説明

画像形成システム、画像形成装置およびプログラム

【課題】画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、後処理における処理時間に効率的に画像形成処理を行い、生産性を向上する。
【解決手段】ある印刷ジョブ(ジョブA)を実行するに際して後処理装置における後処理の処理速度に起因して、ジョブAの画像形成処理に待ち合わせが必要となる場合、印刷制御部は、後続の印刷ジョブの中から、画像形成処理を行おうとする印刷ジョブ(ジョブA)が使用している後処理装置とは異なる後処理装置を使用し、待ち合わせが発生しない印刷ジョブ(ジョブB)を選択する。印刷制御部は、選択された印刷ジョブ(ジョブB)の画像形成処理と、最初に画像形成しようとしていた印刷ジョブ(ジョブA)の画像形成処理を、画像形成部33に対して並行して実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、後処理が実行される場合には、後処理装置における処理時間に応じて画像形成装置側の給紙を待合せるようにすることにより、後処理を実行しない場合のスループットを向上させ、後処理の有無に応じた最適なプリント生産性を実現する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−215858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、後処理における処理時間に効率的に画像形成処理を行い、生産性を向上することが可能な画像形成システム、画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像形成システム]
請求項1に係る本発明は、画像を用紙に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙に対して後処理を行う複数の後処理手段と、
第1の印刷要求に対する後処理手段の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段とを有する画像形成システムである。
【0006】
請求項2に係る本発明は、画像を用紙に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙に対して後処理を行う複数の後処理手段と、
第1の印刷要求に対する後処理手段の種類に基づいて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段とを有する画像形成システムである。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記選択手段が、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において待機時間が発生しない印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記選択手段が、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において発生する待機時間が、前記第1の印刷要求の画像形成処理において発生する待機時間よりも短い印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記選択手段が、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において発生する待機時間が最も短い印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記選択手段が、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、印刷速度の切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記選択手段が、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、用紙サイズの切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0012】
請求項8に係る本発明は、前記選択手段が、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、定着器の温度切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0013】
請求項9に係る本発明は、前記選択手段が、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、定着器の速度切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システムである。
【0014】
請求項10に係る本発明は、前記選択手段が、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、紙質の変更に伴う画質調整が発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【0015】
[画像形成装置]
請求項11に係る本発明は、画像を用紙に形成する画像形成手段と、
接続されている後処理装置を検出する検出手段と、
第1の印刷要求に対する後処理装置の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理装置とは異なる後処理装置を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段とを有する画像形成装置である。
【0016】
[プログラム]
請求項12に係る本発明は、第1の印刷要求に対する後処理手段の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出するステップと、
算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択するステップと、
選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の待機時間に実行するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成システムを提供することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成システムを提供することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、第1の印刷要求の待機時間中に待機時間が発生しない第2の印刷要求の画像形成処理を行うことにより、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成システムを提供することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、第1の印刷要求の待機時間中に待機時間がより短い第2の印刷要求の画像形成処理を行うことにより、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成システムを提供することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、第1の印刷要求の待機時間中に待機時間が最も短い第2の印刷要求の画像形成処理を行うことにより、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成システムを提供することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、印刷速度の切り替えを発生させることなく、第2の印刷要求の画像形成処理を第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、用紙サイズの切り替えを発生させることなく、第2の印刷要求の画像形成処理を第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0024】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、定着器の温度の切り替えを発生させることなく、第2の印刷要求の画像形成処理を第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0025】
請求項9に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、定着器の速度の切り替えを発生させることなく、第2の印刷要求の画像形成処理を第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0026】
請求項10に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、紙質の変更に伴う画像調整を発生させることなく、第2の印刷要求の画像形成処理を第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0027】
請求項11に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0028】
請求項12に係る本発明によれば、画像形成処理後に複数の後処理装置の中から選択された後処理装置により後処理を行う場合に、画像形成処理の処理速度を遅らせて待ち合わせを行うだけの場合と比較して、待ち時間に画像形成処理を効率的に実施することで生産性の向上が可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。本実施形態の画像形成システムは、図1に示すように、画像形成装置10と、画像形成装置10に重連接続された用紙後処理装置群40と、給紙装置51、52と、端末装置30とから構成されている。画像形成装置10と端末装置30とはネットワーク20により接続されている。端末装置30は、印刷ジョブ(印刷要求)を生成して、ネットワーク20経由にて画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置30から送信された印刷ジョブを受け付けて、印刷ジョブに応じた画像を用紙上に出力する。用紙後処理装置群40は、画像形成装置10により画像が形成された用紙に対して、針留め、穴開け、裁断、折り処理、製本等の各種用紙後処理を行う各種の後処理装置41〜46により構成されている。
【0031】
具体的には、用紙後処理装置群40は、スタッカ41と、テープバインダ42と、バインダ43と、パンチャ44と、タンパ45と、フォルダ46とから構成されている。
【0032】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10の印刷機構(プリントエンジン)について図2を参照して説明する。
【0033】
画像形成装置10には、図2に示されるように、中間転写ベルト63が配置されている。この中間転写ベルト63には、CMYK各色毎に設けられた画像形成ユニット62K、62C、62M、62Yが並列配置されている。そして、この画像形成ユニット62K、62C、62M、62Yは、それぞれ、感光体ドラムと、この感光体ドラムを帯電するための帯電装置、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置、露光装置により形成された感光体ドラム上の静電潜像を現像するための現像装置が設けられている。
【0034】
そして、画像形成ユニット62K、62C、62M、62Yは、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのトナー像を中間転写ベルト63上に形成する。
【0035】
そして、中間転写ベルト63上に形成されたトナー画像は、供給されてきた用紙上に転送され、この用紙が定着器61を通過することにより熱と圧力が加えられ用紙上に定着する。
【0036】
このような画像形成装置10において、CMYK4色を使用するフルカラー動作が行われる場合には、図3(A)に示すように、4つの画像形成ユニット62K、62C、62M、62Yが中間転写ベルト63に接することにより画像形成が行われる。また、白黒2色により画像形成を行う白黒(モノカラー)動作が行われる場合には、図3(B)に示すように、画像形成ユニット62Kのみが中間転写ベルト63に接して画像形成が行われる。
【0037】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図4に示す。
【0038】
画像形成装置10は、図4に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワークを介して外部の端末装置30との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15、スキャナ16、上述したようなプリントエンジン(印刷機構)17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0039】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。
【0040】
なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0041】
図5は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0042】
本実施形態における画像形成装置10は、図5に示されるように、印刷制御部31と、印刷ジョブ格納部32と、画像形成部33と、検出部36とを備えている。
【0043】
印刷制御部31は、端末装置30から印刷ジョブを受け付け、受け付けた印刷ジョブを印刷ジョブ格納部32に格納するとともに、受け付けた印刷ジョブに基づいて画像形成部33を制御することにより画像形成処理を実現する。
【0044】
画像形成部33は、図2に示したような印刷機構により構成されており、給紙装置51、52により給紙されてきた用紙に対して、印刷制御部31による制御に基づいた画像形成処理を行い、画像が形成された用紙を用紙後処理装置群40に出力する。
【0045】
検出部36は、画像形成装置10に接続されている後処理装置を検出する。
【0046】
また印刷制御部31は、選択部34と、算出部35とを有している。
【0047】
算出部35は、これから画像形成を行おうとする印刷ジョブの画像形成処理の処理速度と、この印刷ジョブにより指定された後処理装置における後処理の処理速度とを比較することにより、この印刷ジョブに対する後処理装置の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出する。
【0048】
選択部34は、算出部35により算出された待機時間に応じて、印刷ジョブ格納部32に格納されている後続の印刷ジョブの中から、画像形成処理を行おうとする印刷ジョブが使用している後処理装置とは異なる後処理装置を使用し、待機時間が発生しない印刷ジョブを選択する。
【0049】
そして、印刷制御部31は、選択部34により選択された印刷ジョブの画像形成処理を、最初に画像形成しようとしていた印刷ジョブの画像形成処理の待機時間に実行するよう画像形成部33を制御する画像形成制御部として機能する。
【0050】
なお、本実施形態では、選択部34は、算出部35により算出された待機時間が0であるか否か、つまり待機時間が存在するか否かに応じて、印刷ジョブ格納部32に格納されている後続の印刷ジョブの中から印刷ジョブを選択するものとして説明するが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。選択部34は、算出部35により算出された待機時間が所定時間以上であるか否かに応じて、画像形成を行おうとする印刷ジョブの待機時間に実行するための印刷ジョブを選択するようにしてもよい。
【0051】
例えば、図6(A)に示すように、ステープル処理が必要なジョブAと、特に後処理を必要とせず画像形成処理後に排出装置に排出すれば良いジョブBとが端末装置30から画像形成装置10に送られてきたものとする。
【0052】
このような場合、印刷ジョブが送られてきた順序でジョブA、ジョブBと順次画像形成処理が行われると、ジョブAの各頁にステープル処理を行うためには、画像形成装置10に対する給紙待ち合わせを行うことにより画像形成処理の処理速度を遅くしてステープル処理の処理速度に合わせることが必要となる。その結果、ジョブA、ジョブBの処理が終了するまでの時間が長くなる。
【0053】
本実施形態の画像形成装置10では、このようにジョブAにおいて画像形成処理に待機時間が発生するような場合には、図6(B)に示すように、ジョブAの画像形成処理とジョブBの画像形成処理とを1ページずつ交互に並行して行うことにより、ジョブAとジョブBの処理が終了するまでの時間を短縮することが可能となる。なお、この場合、当然ながらジョブAと排出先である後処理装置Aと、ジョブBの排出先である後処理装置Bとは異なる後処理装置であることが必要となる。
【0054】
なお、用紙後処理装置群40を構成する各後処理装置の処理速度が予め分かっている場合には、選択部34は、画像形成を行おうとする印刷ジョブに対する処理装置の種類に基づいて、印刷ジョブ格納部32に格納されている後続の印刷ジョブの中から、画像形成処理を行おうとする印刷ジョブが使用している後処理装置とは異なる後処理装置を使用する印刷ジョブを選択するようにしてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の画像形成装置10における印刷制御部31における判定処理を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
なお、本実施形態では、後処理の処理速度が画像形成処理の処理速度より遅いことにより画像形成処理に待機時間を設けて待ち合わせ処理を行う必要が有る場合、印刷制御部31は、画像形成部33に対する給紙タイミングを制御することにより待ち合わせ処理を実現する。
【0057】
先ず、印刷制御部31では、最初に実行しようとする印刷ジョブに後処理があるか否かを判定する(ステップS101)。そして、この印刷ジョブに後処理がある場合、印刷制御部31は、この後処理を実行するためには次の用紙の給紙に待ち合わせが必要となるか否かを判定する(ステップS102)。そして、印刷ジョブにより指定された後処理を実行するためには次の用紙の給紙に待ち合わせが必要となると判定された場合、後続の印刷ジョブが存在するか否かの判定が行われる(ステップS103)。
【0058】
ステップS103において後続の印刷ジョブが存在しないと判定された場合には、印刷制御部31は、後処理を行うために必要な給紙待ち合わせを行った後(ステップS104)、給紙が行われるよう画像形成部33を制御する(ステップS107)。
【0059】
ステップS103において後続の印刷ジョブが存在すると判定された場合には、印刷制御部31の選択部35は、後続の印刷ジョブの排出先が、現在処理中の印刷ジョブの次用紙の排出先と異なるか否かを判定する(ステップS105)。
【0060】
ステップS105において、後続の印刷ジョブの排出先が、現在処理中の印刷ジョブの次用紙の排出先と異なると判定された場合、選択部34は、後続の印刷ジョブに給紙待ち合わせが必要であるか否かを判定する(ステップS106)。このステップS105において、後続の印刷ジョブに給紙待ち合わせが必要でないと判定された場合、選択部34は、現在処理中の印刷ジョブとこの後続の印刷ジョブを並行して実施することが可能であると判定し、印刷制御部31は、後続の印刷ジョブを実行するための給紙が行われるよう画像形成部33を制御する(ステップS107)。
【0061】
現在処理中の印刷ジョブの次の印刷ジョブがステップS105、S106の条件に合致しなかった場合、さらに次の印刷ジョブが検索され(ステップS103)、同様な処理が繰り返される。
【0062】
そして、印刷制御部31では、印刷ジョブにまだ処理していない残りがあるか否かが判定され(ステップS108)、印刷ジョブにまだ残りがある場合には画像形成処理に最低限必要な給紙待ち合わせを行った後に(ステップS109)、次の頁に対する処理をステップS101から繰り返す。
【0063】
なお、本実施形態では、現在実行中の印刷ジョブのある頁において次用紙待ち合わせ処理が必要となった場合、排出先の異なる印刷ジョブの中から待ち合わせ処理を必要とすることなく給紙可能な印刷ジョブを選択して給紙を行うようにしている。
【0064】
しかし、異なる印刷ジョブを並行して実行するようにした場合、印刷モードの切り替えが必要となる場合がある。ここで印刷モードの切り替えとは、例えば、白黒印刷モードやフルカラー印刷モードのように画像形成部33の動作状態を切り替えることを意味する。この印刷モードを切り替える場合には、印刷速度、用紙サイズ、定着器の温度、定着器の速度の変更や、紙質の変更に伴う画質調整を行う必要が発生する。そして、このような印刷モードの切り替えには切り替え時間が必要となるため、異なる印刷ジョブを並行して実行したとしても結果として印刷処理全体としての生産性が却って悪化してしまう可能性もある。
【0065】
そのため、選択部34は、現在実行中の現在の印刷ジョブの画像形成処理と並行して実行した場合に、上記のような画像形成処理の動作状態の切り替えが発生しない印刷ジョブを、後続の印刷ジョブの中から選択するようにしてもよい。
【0066】
例えば、図8(A)に示すように、ジョブA、ジョブB、ジョブCという3つの印刷ジョブが印刷ジョブ格納部32に格納されているような場合について説明する。ここで、ジョブA、Cの各頁は、フルカラー画像により構成され、ジョブBの各頁は、白黒画像により構成されているものとする。
【0067】
この図8(A)に示したような場合において、選択部34は、ジョブAと並行して実行する印刷ジョブとしてジョブCを選択するようにした場合を図8(B)に示す。このようにジョブAとジョブCは共にフルカラー画像により構成されているため、ジョブAとジョブCを並行して実施したとしても、印刷モードをフルカラー印刷モードと白黒印刷モードとの間で切り替える必要はない。これに比較して、もし、ジョブAとジョブBとを並行して実施しようとした場合、1頁印刷する度に印刷モードをフルカラー印刷モードと白黒印刷モードとの間で切り替えることとなり、印刷処理のトータルの生産性は悪化してしまうこととなる。
【0068】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の画像形成システムについて説明する。
【0069】
上記第1の実施形態では、現在実行中の印刷ジョブにおいて待ち合わせ処理が発生する場合には、待ち合わせ処理が発生しない即時給紙可能な印刷ジョブを選択して並列処理を行うようにしていた。そのため、第1の実施形態では、待ち合わせ処理が発生するような印刷ジョブが選択されることはなかった。これに対して、本発明の第2の実施形態の画像形成システムでは、待ち合わせ処理が発生する印刷ジョブであっても、現在実行中の印刷ジョブにおいて発生する待ち合わせ時間(待機時間)よりも少ない待ち合わせ時間であれば、その印刷ジョブを選択するようにしている。
【0070】
本実施形態の画像形成システムの構成は、図5に示した第1の実施形態における画像形成装置10の選択部34における印刷ジョブの選択方法が一部異なるのみであるため、その詳細については省略する。
【0071】
本実施形態における選択部34は、算出部35により算出された待機時間が0以上の場合、後続の印刷ジョブの中から、画像形成処理において発生する待機時間がより短い印刷ジョブを選択する。
【0072】
つまり、図9に示すように、待ち合わせ時間(待機時間)aが必要なジョブAと、待ち合わせ時間bが必要なジョブBがあった場合でも、待ち合わせ時間bが待ち合わせ時間aよりも短い場合には、ジョブAの画像形成処理の合間にジョブBの画像形成処理が行われるようにする。
【0073】
さらに後続の印刷ジョブが複数ある場合には、本実施形態における選択部34は、印刷ジョブ格納部32に格納されている後続の印刷ジョブの中から、画像形成処理において発生する待機時間が最も短い印刷ジョブを選択するようにしてもよい。
【0074】
次に、本実施形態の画像形成装置10における印刷制御部31における判定処理を図10のフローチャートを参照して説明する。
【0075】
なお、本実施形態では、後処理の処理速度が画像形成処理の処理速度より遅いことにより画像形成処理に待機時間を設けて待ち合わせ処理を行う必要が有る場合、印刷制御部31は、画像形成部33に対する給紙タイミングを制御することにより待ち合わせ処理を実現する。
【0076】
先ず、印刷制御部31では、最初に実行しようとする印刷ジョブに後処理があるか否かを判定する(ステップS201)。そして、この印刷ジョブに後処理がある場合、印刷制御部31は、この後処理を実行するためには次の用紙の給紙に待ち合わせが必要となるか否かを判定する(ステップS202)。そして、印刷ジョブにより指定された後処理を実行するためには次の用紙の給紙に待ち合わせが必要となると判定された場合、印刷制御部31では、この待ち合わせ時間が記憶される(ステップS203)。そして、印刷制御部31により、後続の印刷ジョブが存在するか否かの判定が行われる(ステップS204)。
【0077】
ステップS204において後続の印刷ジョブが存在しないと判定された場合には、印刷制御部31は、現在記憶している待ち合わせ時間にて給紙待ち合わせを行った後(ステップS205)、給紙が行われるよう画像形成部33を制御する(ステップS209)。
【0078】
ステップS204において後続の印刷ジョブが存在すると判定された場合には、印刷制御部31の選択部35は、後続の印刷ジョブの排出先が、現在処理中の印刷ジョブの次用紙の排出先と異なるか否かを判定する(ステップS206)。
【0079】
ステップS206において、後続の印刷ジョブの排出先が、現在処理中の印刷ジョブの次用紙の排出先と異なると判定された場合、選択部35は、後続の印刷ジョブの待ち合わせ時間は、記憶されている待ち合わせ時間よりも短いか否かを判定する(ステップS207)。このステップS207において、後続の印刷ジョブの待ち合わせ時間が記憶されている待ち合わせ時間よりも短いと判定された場合、印刷制御部31は、記憶している待ち合わせ時間をこの待ち合わせ時間により更新する(ステップS208)。
【0080】
そして、このステップS206〜S208の処理を後続の印刷ジョブがなくなるまで繰り返し(ステップS204)、後続の全ての印刷ジョブに対する処理が終わると、印刷制御部31は、現在記憶している待ち合わせ時間にて給紙待ち合わせを行った後(ステップS205)、給紙が行われるよう画像形成部33を制御する(ステップS209)。
【0081】
そして、印刷制御部31では、印刷ジョブにまだ処理していない残りがあるか否かが判定され(ステップS210)、印刷ジョブにまだ残りがある場合には画像形成処理に最低限必要な給紙待ち合わせを行った後に(ステップS211)、次の頁に対する処理をステップS201から繰り返す。
【0082】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置に対して複数の後処理装置が接続された画像形成システムに対して本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後処理を行う複数の排出先を有する画像形成装置に対しても本発明を同様に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10の印刷機構を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10のフルカラーモードと白黒モードでの動作状態を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における画像形成システムにより実行されるジョブの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の画像形成装置10における印刷制御部31における判定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態における画像形成システムにより実行されるジョブの他の例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における画像形成システムにより実行されるジョブの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像形成装置10における印刷制御部31における判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 ネットワーク
30 端末装置
31 印刷制御部
32 印刷ジョブ格納部
33 画像形成部
34 選択部
35 算出部
36 検出部
40 用紙後処理装置群
41 スタッカ
42 テープバインダ
43 バインダ
44 パンチャ
45 タンパ
46 フォルダ
51、52 給紙装置
61 定着器
62K、62C、62M、62Y 画像形成ユニット
63 中間転写ベルト
S101〜S109 ステップ
S201〜S211 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を用紙に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙に対して後処理を行う複数の後処理手段と、
第1の印刷要求に対する後処理手段の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段と、
を有する画像形成システム。
【請求項2】
画像を用紙に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙に対して後処理を行う複数の後処理手段と、
第1の印刷要求に対する後処理手段の種類に基づいて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の画像形成処理の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段と、
を有する画像形成システム。
【請求項3】
前記選択手段は、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において待機時間が発生しない印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記選択手段は、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において発生する待機時間が、前記第1の印刷要求の画像形成処理において発生する待機時間よりも短い印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記選択手段は、後続の印刷要求の中から、画像形成処理において発生する待機時間が最も短い印刷要求を前記第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記選択手段は、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、印刷速度の切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記選択手段は、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、用紙サイズの切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記選択手段は、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、定着器の温度切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記選択手段は、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、定着器の速度切り替えが発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記選択手段は、第1の印刷要求の画像形成処理と並行して実行した場合に、紙質の変更に伴う画質調整が発生しない印刷要求を、後続の印刷要求の中から第2の印刷要求として選択する請求項1記載の画像形成システム。
【請求項11】
画像を用紙に形成する画像形成手段と、
接続されている後処理装置を検出する検出手段と、
第1の印刷要求に対する後処理装置の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理装置とは異なる後処理装置を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の待機時間に実行するよう前記画像形成手段を制御する画像形成制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項12】
第1の印刷要求に対する後処理手段の後処理において発生する画像形成処理の待機時間を算出するステップと、
算出された待機時間に応じて、後続の印刷要求の中から前記第1の印刷要求が使用している後処理手段とは異なる後処理手段を使用する印刷要求を第2の印刷要求として選択するステップと、
選択された第2の印刷要求の画像形成処理を、前記第1の印刷要求の待機時間に実行するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−93034(P2009−93034A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265098(P2007−265098)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】