画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体
【課題】印字品質を低下させることなく、主走査倍率を適正に補正する。
【解決手段】画像処理回路2107は入力画像信号を1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する。画素データは、複数ビットのデータであって、光源を点灯させための第1のビットデータ及び光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含んでいる。画像処理回路はビットデータの挿入又は削除を行う際、画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも大きいと、第1のビットデータと同一のビットデータを画素データに対して挿入又は削除し、画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも小さいと、第2のビットデータと同一のビットデータを画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して入力画像信号を補正後画像信号とする。レーザ駆動回路2106は補正後画像信号に基づいて光源を駆動する。
【解決手段】画像処理回路2107は入力画像信号を1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する。画素データは、複数ビットのデータであって、光源を点灯させための第1のビットデータ及び光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含んでいる。画像処理回路はビットデータの挿入又は削除を行う際、画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも大きいと、第1のビットデータと同一のビットデータを画素データに対して挿入又は削除し、画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも小さいと、第2のビットデータと同一のビットデータを画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して入力画像信号を補正後画像信号とする。レーザ駆動回路2106は補正後画像信号に基づいて光源を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、画像信号を画素分割変調して、当該画素分割変調された画像信号に基づいてレーザ光源を変調駆動して、レーザ光源から発光されたレーザ光によって感光ドラム等の像担持体を走査することによって、潜像担持体に潜像を形成する画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザビームプリンタ又はデジタル複写機等の画像形成装置では、画像形成の際、ビーム駆動回路により光源(例えば、半導体レーザ)を駆動している。そして、半導体レーザから発光されたレーザビーム(光ビーム)を画像信号(画像データともいう)によって変調する。変調後のレーザビームは回転多面鏡(ポリゴンミラー)によって感光ドラム等の像担持体上にラスタスキャンされて、感光ドラムに潜像を形成している。
【0003】
複数の半導体レーザを有する画像形成装置においては、各半導体レーザから発光されるレーザビームによって照射される感光体ドラム上の照射位置に応じて、潜像の倍率が異なる。また、ポリゴンミラーにおいては、その反射面の面精度が面毎に異なり、このため、反射面毎に感光ドラム上の潜像の書き出し位置が異なる。加えて、両面印字可能な画像形成装置においては、定着の際の加熱による紙サイズの収縮に起因して、両面(表面及び裏面)における潜像の比率が同一であっても、印字後、つまり、定着後において画像サイズが異なってしまう。
【0004】
このような不都合を改善するため、画素データストリームをレーザ書込み周波数で書込んで、走査線に沿って走査されるレーザビームに変換する際、画素データストリームに対してわずかな遅延を挿入又は削除して、レーザ書込み周波数を調整するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0005】
ところが、特許文献1においては、レーザ書込み周波数、画像データを転送するための画像クロックを調整するようにしているため、画像クロックを微小とした際にスペースが生じてしまい、印字品質を損なってしまう。
【0006】
このような印字品質の劣化を防止するため、感光ドラム上においてレーザビームで走査される1走査ライン上の1つ以上の補正点毎に、当該補正点の前に位置する画素分割変調された画素データの最終ビットを補正点に位置する画素分割変調された画素データの先頭ビットとして付加するようにしたものがある(特許文献2参照)。そして、特許文献2においては、補正点以降に位置する各画素に対して、順次画素分割変調された画素データをビット単位で次画素へ移行し、1走査ライン上に付加する新たな画素データを生成する。この新たな画素データは、固定周波数の画像クロックに同期して出力される。
【0007】
さらに、画素片(ビットデータ)の初期挿入位置をランダムとして印字品質の低下を防ぐようにしたものがある(特許文献3参照)。ここでは、初期挿入位置をランダムに設定して、その後、初期挿入位置から一定の間隔で画素片を挿入するようにしている。これによって、画素片が副走査方向に連続することを防止して画像全体として品質の劣化を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−238342号公報
【特許文献2】特開2004−351908号公報
【特許文献3】特開2000−253215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献2に記載の手法においては、挿入されるビットデータ(以下単にビットともいう)が『0』又は『1』になるかについては画素データに依存する。このため、次のように補正点の位置と画像とによっては、濃度差が生じて印字品質が損なわれることがある。
【0010】
図17は、従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の一例を説明するための概念図である。そして、図17(a)は処理前画像の一例を示す図であり、図17(b)は処理後画像の一例を示す図である。
【0011】
いま、図17(a)に示す補正前画像データを主走査倍率補正処理するとする。ここで、図17(a)に丸印で示す位置が挿入補正点であるとする。特許文献2に記載の手法を用いると、補正点の前に位置する画素データの最終ビットと補正点に位置する画素データの先頭ビットとの間に補正点に位置する画素データの先頭ビットと同一のビットデータを付加するのであるから、補正後(処理後)の画像データにおいては、前半部分の濃度が濃くなり、後半部分の濃度が薄くなって(図17(b))、濃度差が生じてしまう。
【0012】
一方、特許文献3に記載の手法では、挿入個所(つまり、挿入補正点)が多くなると(例えば、2画素に1画素片を挿入する場合)、補正による濃度変化が考慮されず、画質が劣化することがある。
【0013】
図18は、従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の他の例を説明するための概念図である。そして、図18(a)は処理前画像の他の例を示す図であり、図18(b)は処理後画像の他の例を示す図である。
【0014】
画素片の挿入個所が多い場合に副走査方向に画素片が連続しないよう初期位相を決定したとする。例えば、図18(a)に丸印で示すように、挿入補正点を決定したとする。そして、主走査倍率補正を行うと、図18(b)に示すように、補正後の画像データにおいては、前半部分の濃度が濃くなり、後半部分の濃度が薄くなって、濃度差が生じてしまう。
【0015】
このように、画像の周期が途中で変わるような画像データが入力された場合、従来の手法で補助画素挿入を行うと図17に示すような課題が生じる。即ち、図17に示すように、▼を挟んで前半部と後半部で同一濃度の画像を形成する画像データが入力され、その画像データが▼の部分で画像の周期が変わるような画像データの場合、従来の手法において補助画素挿入を行うと、前半と後半部とで本来同一濃度で形成されるはずの画像に濃度差が生じてしまう。
【0016】
従って、本発明の目的は、印字品質が低下することなく、主走査倍率を適正に補正することができる画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部と、該ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動手段と、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数とに応じて前記予定画素データに対する前記画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データの平均濃度に応じて挿抜する画素片の色を決定して、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とに応じて当該予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明による主走査倍率補正方法は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正方法において、前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明による主走査倍率補正プログラムは、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正プログラムにおいて、前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、前記画像形成装置が備えるコンピュータに、前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
本発明による記録媒体は、上記の主走査倍率補正プログラムが記録されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像の周期が途中で変わるような画像に対しても印字品質を落とすことなく、主走査倍率を適正に補正することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す露光装置に入射されるレーザ光(レーザビーム)を生成するレーザビーム生成装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態による画素片の挿入補正を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図、(c)は(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【図4】図2に示す画像処理回路で実行される挿入処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示す画像処理装置がウィンドウを用いて挿入処理を実行する様子を説明するための図である。
【図6】1ドットのチェッカーパターンに対して図4で説明した処理を行った場合の結果を説明するための概念図であり、(a)は1ドットのチェッカーパターンである画像データの一例を示す図、(b)は(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図、(c)は(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態による画素片の削除補正を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は(a)で示す削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、(c)は(b)で決定された削除補正点に応じて画素片の削除を行った結果を示す図である。
【図8】図2に示す画像処理回路で実行される削除処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態による画素片の挿抜処理を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は図5に示すウィンドウ部5A内に挿入補正点及び削除補正点がある場合を示す図、(c)は(a)で示す挿入・削除補正予定点を修正した画像データを示す図、(d)は(c)で決定された挿入・削除補正点に応じて画素片の挿入・削除を行った結果を示す図である。
【図10】図2に示す画像処理回路で実行される挿抜処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示す画像処理回路の構成の第1の例を示すブロック図である。
【図12】図11に示すパルスデータLUTに格納されたパルスデータの一例を示す図である。
【図13】図2に示す画像処理回路で実行される挿抜処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図14】図2に示す画像処理回路の構成の第2の例を示すブロック図である。
【図15】図2に示す画像処理回路の構成の第3の例を示すブロック図である。
【図16】図2に示す画像処理回路の構成の第4の例を示すブロック図である。
【図17】従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の一例を説明するための概念図であり、(a)は処理前画像の一例を示す図、(b)は処理後画像の一例を示す図である。
【図18】従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の他の例を説明するための概念図であり、(a)は処理前画像の他の例を示す図、(b)は処理後画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態による画像形成装置の一例ついて図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
【0027】
図1を参照して、図示の画像形成装置は、所謂カラーレーザビームプリンタであり、転写材カセット53を備えている。転写材カセット53にセットされた転写材(記録用紙)は、給紙ローラ54によって一枚ずつ取り出され、搬送ローラ対55−a及び55−bで搬送されてレジストローラ56によって画像形成部に給送される。
【0028】
画像形成部において、転写材を搬送する転写搬送ベルト10が複数の回転ローラによって転写材搬送方向(図1の右から左方向)に沿って扁平に張設されている。記録用紙は、転写搬送ベルト10の搬送方向最上流部において、転写搬送ベルト10に静電吸着される。
【0029】
画像形成部は現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kを有しており、これら現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kには感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kが備えられている。そして、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kは転写搬送ベルト10の搬送面に沿って配置されている。
【0030】
さらに、現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kには、それぞれ帯電器及び現像器が備えられるとともに、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びブラック(K)の各色トナーが収納されている。
【0031】
感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kの周面はそれぞれ帯電器によって均一に帯電され、露光装置51−C、51−Y、51−M、及び51−Kが画像データに応じて感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kを露光する。これによって、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kには静電潜像が形成される。これら静電潜像は現像器によって現像されて、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kには各色トナー像が形成される。
【0032】
転写搬送ベルト10を挟んで、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kに対向してそれぞれ転写ローラ57−C、57−Y、57−M、及び57−Kが配置されている。感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−K上のトナー像は、それぞれ転写ローラ57−C、57−Y、57−M、及び57−Kによって、転写搬送ベルト10によって搬送される記録用紙に順次重ね合わされて転写される。その後、記録用紙は、定着装置58に搬送されて、ここでトナー像が定着処理される。そして、記録用紙は排紙ローラ対59−a及び59−bによって機外に排出される。
【0033】
なお、転写搬送ベルト10の代わりに、シアン、イエロー、マゼンタ、及びブラックの各色トナーが直接転写される所謂中間転写ベルトを用いて、中間転写ベルト上のカラートナー像を記録用紙に2次転写するようにしてもよい。
【0034】
図2は、図1に示す露光装置に入射されるレーザ光(レーザビーム)を生成するレーザビーム生成装置の一例を示すブロック図である。なお、図2においては、図1に示す露光装置を示す符号のサフィックスは省略されている。
【0035】
図2を参照して、レーザビーム生成装置は、画像処理回路2107を有している。画像処理回路2107には、例えば、画像形成装置において原稿読取の結果得られた画像信号(入力画像信号)が与えられる。画像処理回路2107は画像信号を画素分割変調して、画素分割変調された画像信号(以下画素変調画像信号と呼ぶ)を画像クロックに同期させて出力する。つまり、画像処理回路2107は画像信号を1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する。
【0036】
この画素データは、半導体レーザ2101(光源を)駆動するための複数ビットのデータであって、半導体レーザ2101を点灯させための第1のビットデータ及び半導体レーザ2101を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0037】
上記の画素変調画像信号(補正後画像信号ともいう)はレーザ駆動装置2106に与えられ、レーザ駆動回路2106は画素変調画像信号に基づいて半導体レーザ(光源)2101を駆動(つまり、点灯制御)する。
【0038】
半導体レーザ2101の内部には、レーザ光の一部を検出するフォトダイオードセンサ(PDセンサ:図示せず)が配置され、レーザ駆動装置2106は、PDセンサの検出信号を用いて半導体レーザ2101のAPC(Auto Power Control)制御を行う。半導体レーザ2101から発光(出射)されたレーザ光(光ビーム)は、コリメータレンズ2102及び絞り等を有する光学系を介してほぼ平行光になり、所定のビーム径でポリゴンミラー(回転多面鏡)2103に入射する。ポリゴンミラー2103は、所定方向に等角速度で回転しており、この回転に伴い、ポリゴンミラー2103に入射したレーザ光は、連続的に角度を変える偏向ビームとして反射される。
【0039】
この偏向ビームは、f−θレンズ2104によって集光作用を受ける。また、f−θレンズ2104は走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行うので、f−θレンズ2104を通過した偏向ビームは、感光ドラム14(サフィックス省略)上に所定方向に等速で走査される。つまり、感光ドラム14はレーザ光によって偏向走査されることになる。
【0040】
感光体ドラム14の一方の端部近傍には、偏向ビームを検出するビームディテクトセンサ2105が配置されおり、このセンサの検出信号はポリゴンミラー2103の回転とデータの書き込みとの同期をとるための同期信号として用いられる。
【0041】
このようなレーザ駆動装置2106においては、1走査中のレーザ光の光量を一定に保持するため、1走査中の光検出区間でレーザ光の出力を検出して半導体レーザ2101の駆動電流を1走査の間保持するという駆動方式が採用される。
【0042】
ここでは、画像形成装置が画像データ(画像信号)に応じて画像形成を行う際に、主走査方向(感光ドラムの長手方向)の倍率(以下、主走査倍率と呼ぶ)を調整する。続いて、図示の画像形成装置における主走査倍率の補正処理の概要について説明することにする。
【0043】
まず、画像データに画素片(ビットデータともいう)を挿入補正して主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態による画素片の挿入補正を説明するための概念図である。そして、図3(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図3(b)は図3(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図である。そして、図3(c)は図3(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【0045】
いま、図3(a)に示す画素の各々は16個の画素片(ビットデータ(単にビットともいう))から構成されているものとする。ここでは、黒画素については画素値を16/16(FULL)とし、白画素については画素値を0とする。図3(a)に丸印で示す部分(画素)は予め設定された挿入補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を挿入補正するものとする。
【0046】
図示の例では、図3(a)に丸印で示す挿入補正予定点について、次のようにして、挿入補正点を決定する。この処理は図2に示す画像処理回路2107で実行される。なお、画像処理回路2107の構成については後述する。
【0047】
図4は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿入処理の一例を説明するためのフローチャートである。また、図5は図2に示す画像処理装置2107がウィンドウ部を用いて挿入処理を実行する様子を説明するための図である。図5に示すウィンドウ部は仮想的なものであり、画像処理回路2107が挿入処理を行う際に用いられる。また、図5では図3(a)の1行目を処理する例が示されている。なお、このウィンドウ部5Aは1行L列(Lは2以上の整数)である(図示の例では、L=4とする)。つまり、このウィンドウ部5Aは4つの窓を有していることになる。言い換えると、ウィンドウ部5Aによって予め規定された数の画素データが観察されることになる。
【0048】
図2、図4、及び図5を参照して、ここでは、図3(a)に示す画像データについて挿入処理を行う場合について説明する。なお、図5(a)は図3(a)の1行目を示す。画像処理回路2107は、後述するようにウィンドウ内の画像濃度に応じて挿入補正点を決定する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS302)。そして、画像処理装置2107は、図5(b)に示すように、図中1番目の画素にウィンドウ5Aの右端の窓を一番目の画素(左端の画素)に位置づける。
【0049】
続いて、画像処理回路2107は、当該画素片挿入予定ポイント(挿入補正予定点があるか否かについて判定する(ステップS303)。つまり、画像処理回路2107は当該画素データが予定画素データであるか否かについて判定することになる。
【0050】
なお、前述のように、この挿入補正予定点は予め設定されている。当該画素が挿入補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS303において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS304)。
【0051】
この際、余白部分、つまり、画素が位置づけられていない窓は、白画素であるとする。図5(b)に示す状態では、ウィンドウ部5Aには白画素が3つ、黒画素が1つ位置づけられていることになる。また、図5(b)に示す状態では、ウィンドウ部5A内において注目画素以外には画素片は存在しない。
【0052】
次に、画像処理回路2107は、注目画素が白画素であるか否かを判別する(ステップS305)とともに、ウィンドウ部5A内の白画素数の比率と白画素片挿入の比率(白補正数/全挿入数)を求める。そして、注目画素が白画素であると(ステップS305において、YES)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS306)。
【0053】
白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きい決定すると(ステップS306において、YES)、その決定結果に応じて画像処理回路2107は当該注目画素(白)に白画素片(つまり、ドットデータ”0”)を挿入する(ステップS307)。
【0054】
一方、白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であると(ステップS306において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は黒画素であり、かつ画素片挿入予定がないかについて調べる(ステップS308)。注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でありかつ画素片挿入予定がないと(ステップS308において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する黒画素に黒画素片を挿入する(ステップS309)。
【0055】
注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でないか及び/又は画素片挿入予定があると(ステップS308において、NO)、画像処理回路2107はステップS307に移行する。
【0056】
ステップS305において、注目画素が白画素でないと(ステップS305において、NO)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS310)。
【0057】
白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であると(ステップS310において、NO)、画像処理回路2107は当該注目画素(黒)に黒画素片を挿入する(ステップS311)。一方、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいと(ステップS310において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は白画素であり、かつ画素片挿入予定がないかについて調べる(ステップS312)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でありかつ画素片挿入予定がないと(ステップS312において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する白画素に白画素片を挿入する(ステップS313)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でないか及び/又は画素片挿入予定であると(ステップS312において、NO)、画像処理回路2107はステップS311に移行する。
【0058】
なお、ステップS303において、当該画素が注目画素でないと(ステップS303において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片挿入なしとする(ステップS314)。
【0059】
ステップS307、S309、S311、S313、又はS314に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS315)。N=横幅でないと(ステップS315において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS316)、ステップS303に戻って処理を続行する。
【0060】
N=横幅であると(ステップS315において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS317)。M=ライン数でないと(ステップS317において、NO)、画像処理回路316は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS318)、ステップS303に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS317において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0061】
このようにして、画像処理回路2107は画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも大きいと、第1のビットデータと同一のビットデータを画素データに対して挿入することになる。
【0062】
また、画像処理回路2107は画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも小さいと、第2のビットデータと同一のビットデータを画素データに隣接する画素データに対して挿入して画像信号を補正して補正後画像信号とする。
【0063】
図5(b)に示す状態では、ステップS304でカウントした結果から白画素比率=3/4であり、注目画素は黒画素であるから白画素片比率白画素の比率=0である。ステップS310において、白画素の比率が白画素片挿入の比率より大きいと判定される。そして、ステップS312において、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であるから、画像処理回路2107は注目画素である黒画素から左に隣接する白画素へ挿入補正点を移動し(図5(b)において矢印で示す)、当該白画素に白画素片を挿入する(ステップS313)。
【0064】
このようにして、図5(b)に示すように、画素片の挿入補正点が左の白画素に移動することになる。
【0065】
続いて、ウィンドウ部5Aが右側に1画素ずれて、図5(c)に示す状態となる。この際、右側の窓5aには注目画素が位置づけられていないので、新たな画素片挿入の挿入はない。その後、順次ウィンドウ部5Aを右側に1画素ずつ順次ずらして同様の処理が行われることになる。
【0066】
図5(d)に示す状態では、白画素数及び黒素数はそれぞれ2であり、補正点は白及び黒ともに1である。つまり、白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であるので、挿入補正点の移動は行われない。
【0067】
図5(e)に示す状態では、右側の窓5aには注目画素が位置づけられていないので、新たな画素片挿入の挿入はない。図5(f)に示す状態では、白画素数及び黒素数はそれぞれ2であり、補正点は黒が2である。従って、図中矢印で示すように、挿入補正点を注目画素(黒)の左側に隣接する白画素に移動する。このようにして、以下図5(g)〜図5(u)に示す処理が行われて、最終的に図5(v)に示すように、一ライン分について新たな画素片挿入補正点が決定される。そして、同様の処理を繰り返して、最終ラインまでの処理が行われ、画像全体(つまり画像データ)について新たな画素片挿入補正点が決定される。
【0068】
図4及び図5を用いて説明した処理を行うと、図3(a)に示す画像データについては、図3(b)に示すように、画素片挿入補正点が変更されることになる。そして、図3(b)に示す画素片挿入補正点に応じて画素片の挿入処理を行うと、図3(c)に示す補正画像データが得られる。図3(c)と図17(b)とを比較すると、図3(c)においては、前半部分と後半部分との濃度差がほとんどなくなることが分かる。
【0069】
図6は、1ドットのチェッカーパターンに対して図4で説明した処理を行った場合の結果を説明するための概念図である。そして、図6(a)は1ドットのチェッカーパターンである画像データの一例を示す図であり、図6(b)は図6(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図6(c)は図6(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【0070】
いま、図6(a)に示す位置(つまり、画素)に画素片挿入補正予定点があるとする。この際、図4及び図5で説明した1行4列のウィンドウ部5Aで前半部分と後半部分との濃度差の変化が少なくなるように、画素片挿入補正点を移動させると、図6(b)に示す位置に挿入補正点が決定される。そして、このようにして決定した挿入補正点に応じて画素片を挿入すると、図6(c)に示す結果が得られる。図6(c)に示すように、1ドットのチェッカーパターンにおいてもその前半部分と後半部分との濃度差が極めて少ないことが分かる。
【0071】
このようにして、予め設定された挿入補正点を移動すると、画素片挿入に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0072】
続いて、画像データから画素片を削除補正して主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0073】
図7は、本発明の実施の形態による画素片の削除補正を説明するための概念図である。そして、図7(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図7(b)は図7(a)で示す削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図7(c)は図7(b)で決定された削除補正点に応じて画素片の削除を行った結果を示す図である。ここで、図7(a)にバツ印で示す部分(画素)は予め設定された削除補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を削除補正するものとする。
【0074】
図示の例では、図7(a)にバツ印で示す削除補正予定点について、次のようにして、削除補正点を決定する。
【0075】
図8は、図2に示す画像処理回路2107で実行される削除処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでも、図5で説明したウィンドウ部5Aが用いられる。図示の例では、1行4列のウィンドウ部5Aが用いられている。
【0076】
図2及び図8を参照して、ここでは、図7(a)に示す画像データについて削除処理を行う場合について説明する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS702)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片削除予定ポイント(削除補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS703)。当該画素が削除補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS703において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS704)。さらに、画像処理回路2107は黒画素片削除数及び白画素削除数をカウントする。
【0077】
次に、画像処理回路2107は、注目画素が白画素であるか否かを判別する(ステップS705)とともに、ウィンドウ部5A内の白画素数の比率と白画素片削除の比率(白補正数/全削除数)を求める。そして、注目画素が白画素であると(ステップS705において、YES)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS706)。
【0078】
白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいと(ステップS706において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素(白)から白画素片を削除する(ステップS707)。
【0079】
一方、白画素数の比率が白画素片削除の比率以下であると(ステップS706において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は黒画素であり、かつ画素片削除予定がないかについて調べる(ステップS708)。注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でありかつ画素片削除予定がないと(ステップS708において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する黒画素から黒画素片を削除する(ステップS709)。
【0080】
注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でないか及び/又は画素片削除予定があると(ステップS708において、NO)、画像処理回路2107はステップS707に移行する。
【0081】
ステップS705において、注目画素が白画素でないと(ステップS305において、NO)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS710)。
【0082】
白画素数の比率が白画素片削除の比率以下であると(ステップS710において、NO)、画像処理回路2107は当該注目画素(黒)から黒画素片を削除する(ステップS711)。一方、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいと(ステップS710において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は白画素であり、かつ画素片削除予定がないかについて調べる(ステップS712)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でありかつ画素片削除予定がないと(ステップS712において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する白画素から白画素片を削除する(ステップS713)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でないか及び/又は画素片削除予定であると(ステップS712において、NO)、画像処理回路2107はステップS711に移行する。
【0083】
なお、ステップS703において、当該画素が注目画素でないと(ステップS703において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片削除なしとする(ステップS714)。
【0084】
ステップS707、S709、S711、S713、又はS714に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS715)。N=横幅でないと(ステップS715において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS716)、ステップS703に戻って処理を続行する。
【0085】
N=横幅であると(ステップS715において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS717)。M=ライン数でないと(ステップS717において、NO)、画像処理回路316は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS718)、ステップS703に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS717において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0086】
上述のようにして、図7(a)に示す画像データについて削除補正点を修正・決定すると、削除補正点は図7(b)に示すようになる。そして、図7(b)に示す削除補正点に応じて画像データの補正を行うと図7(c)に示す結果が得られる。図7(c)に示すように、画素片削除においても、補正後の画像データに関してその前半部分と後半部分との濃度差が極めて小さくなることが分かる。
【0087】
このようにして、削除補正点を移動することによって、画素片削除に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0088】
続いて、画像データについて画素片を挿入・削除する処理(以下挿抜処理と呼ぶ)を行って主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0089】
図9は、本発明の実施の形態による画素片の挿抜処理を説明するための概念図である。そして、図9(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図9(b)は図5に示すウィンドウ部5A内に挿入補正点及び削除補正点がある場合を示す図である。また、図9(c)は図9(a)で示す挿入・削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図9(d)は図9(c)で決定された挿入・削除補正点に応じて画素片の挿入・削除を行った結果を示す図である。ここで、図9(a)に丸印で示す部分(画素)は予め設定された挿入補正予定点を示しており、バツ印で示す部分(画素)は予め設定された削除補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を挿抜処理するものとする。
【0090】
図示の例では、図9(a)に丸印及びバツ印で示す挿入・削除補正予定点について、次のようにして、挿入・削除補正点を決定する。
【0091】
図10は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿抜処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0092】
図2及び図10を参照して、ここでは、図9(a)に示す画像データについて挿抜処理を行う場合について説明する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS902)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片挿抜予定ポイント(挿抜補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS903)。当該画素が挿抜補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS903において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS904)。さらに、画像処理回路2107は黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする。
【0093】
なお、図示の例では、黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする際、挿入補正点(予定点)1つについて”+1”とし、削除補正点(予定点)1つについて”−1”として、ウィンドウ部5A内の合計をカウントする。
【0094】
次に、画像処理回路2107は、注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも、白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近いか否かについて判定する(ステップS906)。注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近いと(ステップS906において、YES)、画像処理回路2107は、注目画素に対してその画素片と同色の画素片を挿抜する(ステップS907)。
【0095】
一方、注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近くないと(ステップS906において、NO)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないかについて判定する(ステップS908)。
【0096】
注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定があると(ステップS908において、NO)、画像処理回路2107はステップS907に移行する。注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないと(ステップS908において、YES)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素に対して画素片を挿抜する(ステップS909)。
【0097】
なお、ステップS903において、当該画素が注目画素でないと(ステップS903において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片の挿抜なしとする(ステップS914)。
【0098】
ステップS907、S909、又はS914に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS915)。N=横幅でないと(ステップS915において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS916)、ステップS303に戻って処理を続行する。
【0099】
N=横幅であると(ステップS915において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS917)。M=ライン数でないと(ステップS916において、NO)、画像処理回路2107は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS918)、ステップS303に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS917において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0100】
ところで、挿抜補正点を決定していく過程で、図9(b)に示すように、ウィンドウ部5A内に挿入及び削除の補正点がともに存在する場合がある。図9(b)に示す状態の場合、画像処理回路2107は、前述のように、ステップS904においてウィンドウ部5A内の画素及び画素片をカウントする。図9(b)に示す例では、黒画素及び白画素はそれぞれ2つあり、白画素片が1つ挿入されている。
【0101】
ここで、注目画素は、図9(b)に示すように、画素片削除予定点であるが、注目画素の色は黒画素であるので、注目画素から画素片を削除するとウィンドウ部5A内においてその濃度が画素片挿抜によってずれることになる。また、図示の例では、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であって、画素片を挿抜する予定はない。従って、画像処理回路2107はその濃度の変動を抑えるため、画素片削除位置を注目画素から左側に隣接する白画素へ移動して、左側に隣接する白画素から白画素片を削除することになる。
【0102】
以上のように図9(a)に示す画像データについて挿抜補正点を修正・設定すると、挿抜補正点は図9(c)で示すようになる。そして、図9(c)に示す挿抜補正点に応じて画像データの補正を行うと、図9(d)に示す結果が得られる。図9(d)に示すように、画素片を挿抜する場合においても、左右の画像サイズが等しく描画されるように画素片を挿入又は削除しているので、左右の画像サイズはほぼ等しくなり、左右の画像の濃度もほぼ等しくなる。
【0103】
このようにして、挿抜補正点を移動することによって、画素片の挿抜に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0104】
続いて、上述した主走査倍率補正処理を実行するための制御系について説明する。図11は、図2に示す画像処理回路2107の構成の一例を示すブロック図である。
【0105】
図2及び図11を参照して、画像処理回路2107は、制御信号発生回路1201を有している。図11には示されていないが、制御信号発生回路1201は、図1に示す画像形成装置が備えるCPUからセグメント数及びセグメント0〜m(mは1以上の整数)が与えられる。なお、セグメント0〜mの各々はセグメント幅及び補正ポイント(補正点)数を有している。ここでは、主走査が複数のセグメントに分割されて処理される。例えば、セグメント数に応じたSRAMテーブルが制御信号発生回路1201に保持され、セグメント毎にセグメント幅(画素数)と当該セグメント中の補正点の数がSRAMテーブルに保持される。
【0106】
制御信号発生回路1201は、セグメント数及びセグメント0〜mに基づいてFIFO(First In−First Out Memory)クロック発生回路1203及びパラレル−シリアル(以下PSと呼ぶ)変換/ビットデータ挿抜回路1208に対してビットデータ挿抜位置信号1252を与える。なお、この図5(a)で示す信号である。
【0107】
さらに、制御信号発生回路1201は、セグメント数及びセグメント0〜mに基づいてシリアル−パラレル(以下SPと呼ぶ)クロック発生回路1204に対してSP変換制御信号1253を与える。FIFOクロック発生回路1203は、基準クロック1251及びビットデータ挿抜位置信号1252に基づいて、FIFO1202、ディレイ時間発生回路1205、パルスデータLUT(Look UP Table)1207、及びLUTアドレス生成回路1206に対して読み出しクロック1254を与える。
【0108】
SPクロック発生回路1204は、基準クロック1251及びSP変換制御信号1253に基づいて、SP変換回路1209に対してSP変換クロック1255を与える。また、このSP変換クロック1255は、画像クロックとしてSPクロック発生回路1204から出力される。
【0109】
FIFO1202には、本体制御部(つまり、CPU)からFIFO書き込み信号1256及び書き込みクロック1259が供給されるとともに、画像生成部(図示せず)から画像信号が画素単位で入力される。この画像信号の上位2ビットがパルス位置であり、下位4ビットがハーフトーン処理済みの画素値である。つまり、FIFO1202には6ビットの書き込み画素データ1257が入力される。FIFO1202からは、読み出しクロック2254及びディレイ時間発生回路1205から与えられるFIFO読み出し信号1260によって、6ビットの読み出し画素データ1261が出力される。
【0110】
読み出し画素データ1261は、ディレイ時間発生回路1205に入力される。ディレイ時間発生回路1205は、BDセンサから出力されるBD信号1262を基準として、本体制御部よって指定されたディレイ時間1263に応じて、FIFO読み出し信号1260を調整する。そして、BD信号1262を基準として、ディレイ時間1263経過後に、ディレイ時間発生回路1205はLUTアドレス生成回路1206に対して画素データ(画素値1265及びパルス位置1266)と画素データ有効信号1264とを入力する。
【0111】
LUTアドレス生成回路1206は、ディレイ時間発生回路1205から入力された画素データ(画素値1265及びパルス位置1266)と画素データ有効信号1264に基づいて、パルスデータLUT1207から16ビットのパルスデータ1268を読み出す。このパルスデータLUT1207にはパルス位置毎に、4ビットの画素値に対する16ビットのパルスデータが格納されている。
【0112】
図12は、図11に示すパルスデータLUT1207に格納されたパルスデータの一例を示す図である。
【0113】
図12に示すように、パルス位置1266が、2’b00で中央を、2’b01で右寄せを、2’b10で左寄せを、2’b11でスプリットを示すとすると、パルス位置1266を上位2ビット、画素値1265を下位4ビットとした6ビット信号をパルスデータLUTアドレス1267とすればよい。なお、パルスデータLUT1207は、ROM(Read Only Memory)で実装するようにしてもよいし、RAM(Ramdom Access Memory)で実装して、本体制御部からパルスデータを当該RAMに書き込むようにしてもよい。
【0114】
LUTアドレス生成回路1206は、16ビットのLUT出力パルスデータ1268をパルスデータ1270として、パルスデータ有効信号1269と同期して、パルス位置1271ととともに、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208に与える。
【0115】
PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、LUTアドレス生成回路1206から入力されたパルスデータ1270を、PS変換クロック(基準クロック)1251に基づいてシリアル画素信号に変換する。さらに、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、パルスデータ1270に応じて挿抜補正点を判別して、ビットデータ挿抜を行う。
【0116】
図示のように、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、1行Lラインのウィンドウバッファ1208aを有している。そして、このウィンドウバッファ1208aには現在の画素以前に処理した画素値及び挿抜位置がバッファデータとして記憶される。PS変換/ビットデータ挿抜回路1208はバッファデータとビットデータ挿抜位置信号1252と参照して、挿抜補正点の移動(補正)を行うか否かを判定する。
【0117】
PS変換/ビットデータ挿抜回路1208から出力されるビットデータ挿抜済みのシリアル画素信号1272は、SP変換回路1209に入力される。SP変換回路1209は、SP変換クロック1255によって、入力されたシリアル画素信号1272を16ビットのパラレル画素信号1273に変換して出力する。
【0118】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、画素値が黒(全点灯)及び白である場合について説明したが、画素値が中間調であっても本発明を適用することができる。
【0119】
図13は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿抜処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0120】
図2及び図13を参照して、ここでは、画素値は中間調であるとする。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS1402)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片挿抜予定ポイント(挿抜補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS1403)。当該画素が挿抜補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS1403において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の平均濃度と黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数とをカウントする(ステップS1404)。
【0121】
図示の例では、黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする際、挿入補正点(予定点)1つについて”+1”とし、削除補正点(予定点)1つについて”−1”として、ウィンドウ部5A内の合計をカウントする。
【0122】
次に、画像処理回路2107は、平均濃度の変化が最小とするように(小さくなるように)挿抜画素片の色を決定する(ステップS1405)。そして、画像処理回路2107は注目画素が挿抜画素片と同色か又は注目画素が中間色であるか否かについて判定する(ステップS1406)。
【0123】
注目画素が挿抜画素片と同色か又は注目画素が中間色であると(ステップS1406において、YES)、画像処理回路2107は、前述のステップS1405で決定した色の画素片を注目画素に対して挿抜する(ステップS1407)。
【0124】
注目画素が挿抜画素片と同色でなくかつ注目画素が中間色でないと(ステップS1406において、NO)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないかについて判定する(ステップS1408)。
【0125】
注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定があると(ステップS1408において、NO)、画像処理回路2107は注目画素と同色の画素片を注目画素に対して挿抜する(ステップS1411)。一方、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないと(ステップS1408において、YES)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色であるか又は注目画素が中間色であるか否かについて判定する(ステップS1409)。
【0126】
注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色でなくかつ注目画素が中間色でないと(ステップS1409において、NO)、画像処理回路2107はステップS1411に移行する。注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色であるか又は注目画素が中間色であると(ステップS1409において、YES)、画像処理回路2107は、前述のステップS1405で決定した色の画素片を、知友目画素の左側に隣接する画素に対して挿抜する(ステップS1410)。
【0127】
なお、ステップS1403において、当該画素が注目画素でないと(ステップS1403において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片の挿抜なしとする(ステップS1412)。
【0128】
ステップS1407、S1410、S1411、又はS1412に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS1413)。N=横幅でないと(ステップS1413において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS1414)、ステップS1403に戻って処理を続行する。
【0129】
N=横幅であると(ステップS1413において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS1415)。M=ライン数でないと(ステップS1415において、NO)、画像処理回路2107は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS1416)、ステップS1403に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS1415において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0130】
上述の処理を全てのラインについて行って、画像処理回路2107は画像全体の画素片挿抜点を新たに決定する。そして、画像処理回路2107は、決定した挿抜補正点に応じて画素片の挿抜処理を行う。これによって、画素値が中間調であっても画像の濃度を損なうことなく、画素片の挿抜処理を行うことができる。
【0131】
ところで、挿抜補正点を決定していく過程で、図9(b)に示すように、ウィンドウ部5A内に挿入及び削除の補正点がともに存在する場合がある。図9(b)に示す状態の場合、画像処理回路2107は、前述のように、ステップS904においてウィンドウ部5A内の画素及び画素片をカウントする。図9(b)に示す例では、黒画素及び白画素はそれぞれ2つあり、白画素片が1つ挿入されている。
【0132】
ここで、注目画素は、図9(b)に示すように、画素片削除予定点であるが、注目画素の色は黒画素であるので、注目画素から画素片を削除するとウィンドウ部5A内においてその濃度が画素片挿抜によってずれることになる。また、図示の例では、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であって、画素片を挿抜する予定はない。従って、画像処理回路2107はその濃度の変動を抑えるため、画素片削除位置を注目画素から左側に隣接する白画素へ移動して、左側に隣接する白画素から白画素片を削除することになる。
【0133】
以上のように図9(a)に示す画像データについて挿抜補正点を修正・設定すると、挿抜補正点は図9(c)で示すようになる。そして、図9(c)に示す挿抜補正点に応じて画像データの補正を行うと、図9(d)に示す結果が得られる。図9(d)に示すように、画素片を挿抜する場合においても、左右の画像サイズが等しく描画されるように画素片を挿入又は削除しているので、左右の画像サイズはほぼ等しくなり、左右の画像の濃度もほぼ等しくなる。
【0134】
このようにして、挿抜補正点を移動することによって、画素片の挿抜に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0135】
図14は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第2の例を示すブロック図である。
【0136】
図14を参照して、図11に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図14に示す画像処理回路2107においては、パルスデータLUT1207がなく、図11に示すLUTアドレス生成回路1206の代わりにパルスデータ生成回路1210が用いられている。
【0137】
4ビットの画素値から16ビットのパルスデータを生成する際、パルスデータ生成回路1210は、画素値1265及びパルス位置1266に応じてパルスデータ1270を生成する。そして、パルスデータ生成回路1210はパルスデータ1270をパルスデータ有効信号1269と同期して、パルス位置1271とともにPS変換/ビットデータ挿抜回路1208に与える。
【0138】
図15は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第3の例を示すブロック図である。
【0139】
図15を参照して、図11に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図15に示す画像処理回路2107においては、FIFO1202としてそのビット幅が18ビットであるFIFOが用いられる。さらに、図11に示すパルスデータLUT1207及びパルスデータ生成回路1206がない。そして、ディレイ時間発生回路1205はPS変換/ビットデータ挿抜回路1208に接続される。画像生成部(図示せず)から入力される書き込み画素データ1257は、6ビットの画素データ(うち2ビットはパルス位置、4ビットが画素値)ではなく、18ビットの画素データ(うち2ビットはパルス位置、16ビットがパルスデータ)とされる。このように、18ビットの画素データを用いれば、画素値からパルスデータを生成するハードウェア(図11に示すLUTアドレス生成回路1206及びパルスデータLUT1207又は図14に示すパルスデータ生成回路1210)が不要となる。
【0140】
図16は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第4の例を示すブロック図である。
【0141】
図16を参照して、図16に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図16に示す画像処理回路2107においては、制御信号発生回路1201にウィンドウバッファ1208aが備えられ、FIFO1202に画素データが書き込まれた際、制御信号発生回路1201はウィンドウバッファ1208aに画素データ及びビットデータ挿抜位置予定信号(図示せず)をバッファデータとして書き込む。このビットデータ挿抜位置予定信号は画素データとセグメント数及びセグメントとに応じて制御信号発生回路1201が生成する。
【0142】
制御信号発生回路1201は、ウィンドウバッファ1208aに保持されている画素データ及びビットデータ挿抜位置予定信号に応じてビットデータ挿抜位置信号1273を生成する。そして、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、ビットデータ挿抜位置信号に応じてビットデータの挿抜位置を判定してビットデータの挿入・削除を行う。
【0143】
このように、図16に示す画像処理回路2107では、制御信号発生回路1201がビットデータ挿抜位置を予め決定するため、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208の構成を簡単にすることができる。
【0144】
なお、FIFOクロック発生回路1203は、基準クロック1251の周期単位で読み出しクロック1254を遅延させるようにしてもよい。これによって、基準クロック1251の周期単位でディレイ時間を発生することができ、読み出しクロック1254の周期単位でディレイ時間を発生するディレイ時間発生回路1205と併用すれば、より高精細なライン開始位置調整を行うことが可能となる。
【0145】
また、制御信号発生装置1201はビットデータ挿抜位置信号を有効にするタイミングを、ライン毎にランダムに変更するようにしてもよい。これによって、ライン内おける補正回数と補正頻度を変えることなく、補正画素の位置をライン毎にランダムに変更することができる。従って、補正画素の配置がランダムになって、補正画素の位置をライン毎に変更しない場合に生じる可能性のある縦方向の縞模様の発生を防ぐことができる。
【0146】
なお、上述の説明から明らかなように、図2に示す画像処理装置2107が変換手段及びデータ補正手段として機能することになる。また、レーザ駆動装置2106が駆動手段として機能する。
【0147】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0148】
例えば、上記の実施の形態の機能を主走査倍率補正方法として、この補正方法を、画像処理形成装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを主走査倍率補正プログラムとして、この補正プログラムを画像処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0149】
この際、主走査倍率補正方法及び主走査倍率補正プログラムは、少なくとも変換ステップ、データ補正ステップ、及び駆動ステップを有することになる。
【0150】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0151】
1201 制御信号発生回路
1202 FIFO
1203 FIFOクロック発生回路
1204 SPクロック発生回路
1205 ディレイ時間発生回路
1206 LUTアドレス生成回路
1207 パルスデータLUT
1208 PS変換/ビットデータ挿抜回路
1209 SP変換回路
2107 画像処理回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、画像信号を画素分割変調して、当該画素分割変調された画像信号に基づいてレーザ光源を変調駆動して、レーザ光源から発光されたレーザ光によって感光ドラム等の像担持体を走査することによって、潜像担持体に潜像を形成する画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザビームプリンタ又はデジタル複写機等の画像形成装置では、画像形成の際、ビーム駆動回路により光源(例えば、半導体レーザ)を駆動している。そして、半導体レーザから発光されたレーザビーム(光ビーム)を画像信号(画像データともいう)によって変調する。変調後のレーザビームは回転多面鏡(ポリゴンミラー)によって感光ドラム等の像担持体上にラスタスキャンされて、感光ドラムに潜像を形成している。
【0003】
複数の半導体レーザを有する画像形成装置においては、各半導体レーザから発光されるレーザビームによって照射される感光体ドラム上の照射位置に応じて、潜像の倍率が異なる。また、ポリゴンミラーにおいては、その反射面の面精度が面毎に異なり、このため、反射面毎に感光ドラム上の潜像の書き出し位置が異なる。加えて、両面印字可能な画像形成装置においては、定着の際の加熱による紙サイズの収縮に起因して、両面(表面及び裏面)における潜像の比率が同一であっても、印字後、つまり、定着後において画像サイズが異なってしまう。
【0004】
このような不都合を改善するため、画素データストリームをレーザ書込み周波数で書込んで、走査線に沿って走査されるレーザビームに変換する際、画素データストリームに対してわずかな遅延を挿入又は削除して、レーザ書込み周波数を調整するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0005】
ところが、特許文献1においては、レーザ書込み周波数、画像データを転送するための画像クロックを調整するようにしているため、画像クロックを微小とした際にスペースが生じてしまい、印字品質を損なってしまう。
【0006】
このような印字品質の劣化を防止するため、感光ドラム上においてレーザビームで走査される1走査ライン上の1つ以上の補正点毎に、当該補正点の前に位置する画素分割変調された画素データの最終ビットを補正点に位置する画素分割変調された画素データの先頭ビットとして付加するようにしたものがある(特許文献2参照)。そして、特許文献2においては、補正点以降に位置する各画素に対して、順次画素分割変調された画素データをビット単位で次画素へ移行し、1走査ライン上に付加する新たな画素データを生成する。この新たな画素データは、固定周波数の画像クロックに同期して出力される。
【0007】
さらに、画素片(ビットデータ)の初期挿入位置をランダムとして印字品質の低下を防ぐようにしたものがある(特許文献3参照)。ここでは、初期挿入位置をランダムに設定して、その後、初期挿入位置から一定の間隔で画素片を挿入するようにしている。これによって、画素片が副走査方向に連続することを防止して画像全体として品質の劣化を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−238342号公報
【特許文献2】特開2004−351908号公報
【特許文献3】特開2000−253215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献2に記載の手法においては、挿入されるビットデータ(以下単にビットともいう)が『0』又は『1』になるかについては画素データに依存する。このため、次のように補正点の位置と画像とによっては、濃度差が生じて印字品質が損なわれることがある。
【0010】
図17は、従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の一例を説明するための概念図である。そして、図17(a)は処理前画像の一例を示す図であり、図17(b)は処理後画像の一例を示す図である。
【0011】
いま、図17(a)に示す補正前画像データを主走査倍率補正処理するとする。ここで、図17(a)に丸印で示す位置が挿入補正点であるとする。特許文献2に記載の手法を用いると、補正点の前に位置する画素データの最終ビットと補正点に位置する画素データの先頭ビットとの間に補正点に位置する画素データの先頭ビットと同一のビットデータを付加するのであるから、補正後(処理後)の画像データにおいては、前半部分の濃度が濃くなり、後半部分の濃度が薄くなって(図17(b))、濃度差が生じてしまう。
【0012】
一方、特許文献3に記載の手法では、挿入個所(つまり、挿入補正点)が多くなると(例えば、2画素に1画素片を挿入する場合)、補正による濃度変化が考慮されず、画質が劣化することがある。
【0013】
図18は、従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の他の例を説明するための概念図である。そして、図18(a)は処理前画像の他の例を示す図であり、図18(b)は処理後画像の他の例を示す図である。
【0014】
画素片の挿入個所が多い場合に副走査方向に画素片が連続しないよう初期位相を決定したとする。例えば、図18(a)に丸印で示すように、挿入補正点を決定したとする。そして、主走査倍率補正を行うと、図18(b)に示すように、補正後の画像データにおいては、前半部分の濃度が濃くなり、後半部分の濃度が薄くなって、濃度差が生じてしまう。
【0015】
このように、画像の周期が途中で変わるような画像データが入力された場合、従来の手法で補助画素挿入を行うと図17に示すような課題が生じる。即ち、図17に示すように、▼を挟んで前半部と後半部で同一濃度の画像を形成する画像データが入力され、その画像データが▼の部分で画像の周期が変わるような画像データの場合、従来の手法において補助画素挿入を行うと、前半と後半部とで本来同一濃度で形成されるはずの画像に濃度差が生じてしまう。
【0016】
従って、本発明の目的は、印字品質が低下することなく、主走査倍率を適正に補正することができる画像形成装置、その主走査倍率補正方法、及び主走査倍率補正プログラム、並びに記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部と、該ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動手段と、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数とに応じて前記予定画素データに対する前記画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明による画像形成装置は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、入力画像信号を、前記光源を点灯させための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データの平均濃度に応じて挿抜する画素片の色を決定して、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とに応じて当該予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明による主走査倍率補正方法は、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正方法において、前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明による主走査倍率補正プログラムは、光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正プログラムにおいて、前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、前記画像形成装置が備えるコンピュータに、前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
本発明による記録媒体は、上記の主走査倍率補正プログラムが記録されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像の周期が途中で変わるような画像に対しても印字品質を落とすことなく、主走査倍率を適正に補正することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す露光装置に入射されるレーザ光(レーザビーム)を生成するレーザビーム生成装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態による画素片の挿入補正を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図、(c)は(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【図4】図2に示す画像処理回路で実行される挿入処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示す画像処理装置がウィンドウを用いて挿入処理を実行する様子を説明するための図である。
【図6】1ドットのチェッカーパターンに対して図4で説明した処理を行った場合の結果を説明するための概念図であり、(a)は1ドットのチェッカーパターンである画像データの一例を示す図、(b)は(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図、(c)は(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態による画素片の削除補正を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は(a)で示す削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、(c)は(b)で決定された削除補正点に応じて画素片の削除を行った結果を示す図である。
【図8】図2に示す画像処理回路で実行される削除処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態による画素片の挿抜処理を説明するための概念図であり、(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図、(b)は図5に示すウィンドウ部5A内に挿入補正点及び削除補正点がある場合を示す図、(c)は(a)で示す挿入・削除補正予定点を修正した画像データを示す図、(d)は(c)で決定された挿入・削除補正点に応じて画素片の挿入・削除を行った結果を示す図である。
【図10】図2に示す画像処理回路で実行される挿抜処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示す画像処理回路の構成の第1の例を示すブロック図である。
【図12】図11に示すパルスデータLUTに格納されたパルスデータの一例を示す図である。
【図13】図2に示す画像処理回路で実行される挿抜処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図14】図2に示す画像処理回路の構成の第2の例を示すブロック図である。
【図15】図2に示す画像処理回路の構成の第3の例を示すブロック図である。
【図16】図2に示す画像処理回路の構成の第4の例を示すブロック図である。
【図17】従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の一例を説明するための概念図であり、(a)は処理前画像の一例を示す図、(b)は処理後画像の一例を示す図である。
【図18】従来の主走査倍率補正処理によって処理される画像及び処理後の画像の他の例を説明するための概念図であり、(a)は処理前画像の他の例を示す図、(b)は処理後画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態による画像形成装置の一例ついて図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
【0027】
図1を参照して、図示の画像形成装置は、所謂カラーレーザビームプリンタであり、転写材カセット53を備えている。転写材カセット53にセットされた転写材(記録用紙)は、給紙ローラ54によって一枚ずつ取り出され、搬送ローラ対55−a及び55−bで搬送されてレジストローラ56によって画像形成部に給送される。
【0028】
画像形成部において、転写材を搬送する転写搬送ベルト10が複数の回転ローラによって転写材搬送方向(図1の右から左方向)に沿って扁平に張設されている。記録用紙は、転写搬送ベルト10の搬送方向最上流部において、転写搬送ベルト10に静電吸着される。
【0029】
画像形成部は現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kを有しており、これら現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kには感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kが備えられている。そして、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kは転写搬送ベルト10の搬送面に沿って配置されている。
【0030】
さらに、現像ユニット52−C、52−Y、52−M、及び52−Kには、それぞれ帯電器及び現像器が備えられるとともに、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びブラック(K)の各色トナーが収納されている。
【0031】
感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kの周面はそれぞれ帯電器によって均一に帯電され、露光装置51−C、51−Y、51−M、及び51−Kが画像データに応じて感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kを露光する。これによって、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kには静電潜像が形成される。これら静電潜像は現像器によって現像されて、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kには各色トナー像が形成される。
【0032】
転写搬送ベルト10を挟んで、感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−Kに対向してそれぞれ転写ローラ57−C、57−Y、57−M、及び57−Kが配置されている。感光ドラム14−C、14−Y、14−M、及び14−K上のトナー像は、それぞれ転写ローラ57−C、57−Y、57−M、及び57−Kによって、転写搬送ベルト10によって搬送される記録用紙に順次重ね合わされて転写される。その後、記録用紙は、定着装置58に搬送されて、ここでトナー像が定着処理される。そして、記録用紙は排紙ローラ対59−a及び59−bによって機外に排出される。
【0033】
なお、転写搬送ベルト10の代わりに、シアン、イエロー、マゼンタ、及びブラックの各色トナーが直接転写される所謂中間転写ベルトを用いて、中間転写ベルト上のカラートナー像を記録用紙に2次転写するようにしてもよい。
【0034】
図2は、図1に示す露光装置に入射されるレーザ光(レーザビーム)を生成するレーザビーム生成装置の一例を示すブロック図である。なお、図2においては、図1に示す露光装置を示す符号のサフィックスは省略されている。
【0035】
図2を参照して、レーザビーム生成装置は、画像処理回路2107を有している。画像処理回路2107には、例えば、画像形成装置において原稿読取の結果得られた画像信号(入力画像信号)が与えられる。画像処理回路2107は画像信号を画素分割変調して、画素分割変調された画像信号(以下画素変調画像信号と呼ぶ)を画像クロックに同期させて出力する。つまり、画像処理回路2107は画像信号を1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する。
【0036】
この画素データは、半導体レーザ2101(光源を)駆動するための複数ビットのデータであって、半導体レーザ2101を点灯させための第1のビットデータ及び半導体レーザ2101を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0037】
上記の画素変調画像信号(補正後画像信号ともいう)はレーザ駆動装置2106に与えられ、レーザ駆動回路2106は画素変調画像信号に基づいて半導体レーザ(光源)2101を駆動(つまり、点灯制御)する。
【0038】
半導体レーザ2101の内部には、レーザ光の一部を検出するフォトダイオードセンサ(PDセンサ:図示せず)が配置され、レーザ駆動装置2106は、PDセンサの検出信号を用いて半導体レーザ2101のAPC(Auto Power Control)制御を行う。半導体レーザ2101から発光(出射)されたレーザ光(光ビーム)は、コリメータレンズ2102及び絞り等を有する光学系を介してほぼ平行光になり、所定のビーム径でポリゴンミラー(回転多面鏡)2103に入射する。ポリゴンミラー2103は、所定方向に等角速度で回転しており、この回転に伴い、ポリゴンミラー2103に入射したレーザ光は、連続的に角度を変える偏向ビームとして反射される。
【0039】
この偏向ビームは、f−θレンズ2104によって集光作用を受ける。また、f−θレンズ2104は走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行うので、f−θレンズ2104を通過した偏向ビームは、感光ドラム14(サフィックス省略)上に所定方向に等速で走査される。つまり、感光ドラム14はレーザ光によって偏向走査されることになる。
【0040】
感光体ドラム14の一方の端部近傍には、偏向ビームを検出するビームディテクトセンサ2105が配置されおり、このセンサの検出信号はポリゴンミラー2103の回転とデータの書き込みとの同期をとるための同期信号として用いられる。
【0041】
このようなレーザ駆動装置2106においては、1走査中のレーザ光の光量を一定に保持するため、1走査中の光検出区間でレーザ光の出力を検出して半導体レーザ2101の駆動電流を1走査の間保持するという駆動方式が採用される。
【0042】
ここでは、画像形成装置が画像データ(画像信号)に応じて画像形成を行う際に、主走査方向(感光ドラムの長手方向)の倍率(以下、主走査倍率と呼ぶ)を調整する。続いて、図示の画像形成装置における主走査倍率の補正処理の概要について説明することにする。
【0043】
まず、画像データに画素片(ビットデータともいう)を挿入補正して主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態による画素片の挿入補正を説明するための概念図である。そして、図3(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図3(b)は図3(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図である。そして、図3(c)は図3(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【0045】
いま、図3(a)に示す画素の各々は16個の画素片(ビットデータ(単にビットともいう))から構成されているものとする。ここでは、黒画素については画素値を16/16(FULL)とし、白画素については画素値を0とする。図3(a)に丸印で示す部分(画素)は予め設定された挿入補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を挿入補正するものとする。
【0046】
図示の例では、図3(a)に丸印で示す挿入補正予定点について、次のようにして、挿入補正点を決定する。この処理は図2に示す画像処理回路2107で実行される。なお、画像処理回路2107の構成については後述する。
【0047】
図4は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿入処理の一例を説明するためのフローチャートである。また、図5は図2に示す画像処理装置2107がウィンドウ部を用いて挿入処理を実行する様子を説明するための図である。図5に示すウィンドウ部は仮想的なものであり、画像処理回路2107が挿入処理を行う際に用いられる。また、図5では図3(a)の1行目を処理する例が示されている。なお、このウィンドウ部5Aは1行L列(Lは2以上の整数)である(図示の例では、L=4とする)。つまり、このウィンドウ部5Aは4つの窓を有していることになる。言い換えると、ウィンドウ部5Aによって予め規定された数の画素データが観察されることになる。
【0048】
図2、図4、及び図5を参照して、ここでは、図3(a)に示す画像データについて挿入処理を行う場合について説明する。なお、図5(a)は図3(a)の1行目を示す。画像処理回路2107は、後述するようにウィンドウ内の画像濃度に応じて挿入補正点を決定する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS302)。そして、画像処理装置2107は、図5(b)に示すように、図中1番目の画素にウィンドウ5Aの右端の窓を一番目の画素(左端の画素)に位置づける。
【0049】
続いて、画像処理回路2107は、当該画素片挿入予定ポイント(挿入補正予定点があるか否かについて判定する(ステップS303)。つまり、画像処理回路2107は当該画素データが予定画素データであるか否かについて判定することになる。
【0050】
なお、前述のように、この挿入補正予定点は予め設定されている。当該画素が挿入補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS303において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS304)。
【0051】
この際、余白部分、つまり、画素が位置づけられていない窓は、白画素であるとする。図5(b)に示す状態では、ウィンドウ部5Aには白画素が3つ、黒画素が1つ位置づけられていることになる。また、図5(b)に示す状態では、ウィンドウ部5A内において注目画素以外には画素片は存在しない。
【0052】
次に、画像処理回路2107は、注目画素が白画素であるか否かを判別する(ステップS305)とともに、ウィンドウ部5A内の白画素数の比率と白画素片挿入の比率(白補正数/全挿入数)を求める。そして、注目画素が白画素であると(ステップS305において、YES)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS306)。
【0053】
白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きい決定すると(ステップS306において、YES)、その決定結果に応じて画像処理回路2107は当該注目画素(白)に白画素片(つまり、ドットデータ”0”)を挿入する(ステップS307)。
【0054】
一方、白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であると(ステップS306において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は黒画素であり、かつ画素片挿入予定がないかについて調べる(ステップS308)。注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でありかつ画素片挿入予定がないと(ステップS308において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する黒画素に黒画素片を挿入する(ステップS309)。
【0055】
注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でないか及び/又は画素片挿入予定があると(ステップS308において、NO)、画像処理回路2107はステップS307に移行する。
【0056】
ステップS305において、注目画素が白画素でないと(ステップS305において、NO)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS310)。
【0057】
白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であると(ステップS310において、NO)、画像処理回路2107は当該注目画素(黒)に黒画素片を挿入する(ステップS311)。一方、白画素数の比率が白画素片挿入の比率よりも大きいと(ステップS310において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は白画素であり、かつ画素片挿入予定がないかについて調べる(ステップS312)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でありかつ画素片挿入予定がないと(ステップS312において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する白画素に白画素片を挿入する(ステップS313)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でないか及び/又は画素片挿入予定であると(ステップS312において、NO)、画像処理回路2107はステップS311に移行する。
【0058】
なお、ステップS303において、当該画素が注目画素でないと(ステップS303において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片挿入なしとする(ステップS314)。
【0059】
ステップS307、S309、S311、S313、又はS314に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS315)。N=横幅でないと(ステップS315において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS316)、ステップS303に戻って処理を続行する。
【0060】
N=横幅であると(ステップS315において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS317)。M=ライン数でないと(ステップS317において、NO)、画像処理回路316は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS318)、ステップS303に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS317において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0061】
このようにして、画像処理回路2107は画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも大きいと、第1のビットデータと同一のビットデータを画素データに対して挿入することになる。
【0062】
また、画像処理回路2107は画素データに含まれる第1のビットデータのビット数が第2のビットデータのビット数よりも小さいと、第2のビットデータと同一のビットデータを画素データに隣接する画素データに対して挿入して画像信号を補正して補正後画像信号とする。
【0063】
図5(b)に示す状態では、ステップS304でカウントした結果から白画素比率=3/4であり、注目画素は黒画素であるから白画素片比率白画素の比率=0である。ステップS310において、白画素の比率が白画素片挿入の比率より大きいと判定される。そして、ステップS312において、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であるから、画像処理回路2107は注目画素である黒画素から左に隣接する白画素へ挿入補正点を移動し(図5(b)において矢印で示す)、当該白画素に白画素片を挿入する(ステップS313)。
【0064】
このようにして、図5(b)に示すように、画素片の挿入補正点が左の白画素に移動することになる。
【0065】
続いて、ウィンドウ部5Aが右側に1画素ずれて、図5(c)に示す状態となる。この際、右側の窓5aには注目画素が位置づけられていないので、新たな画素片挿入の挿入はない。その後、順次ウィンドウ部5Aを右側に1画素ずつ順次ずらして同様の処理が行われることになる。
【0066】
図5(d)に示す状態では、白画素数及び黒素数はそれぞれ2であり、補正点は白及び黒ともに1である。つまり、白画素数の比率が白画素片挿入の比率以下であるので、挿入補正点の移動は行われない。
【0067】
図5(e)に示す状態では、右側の窓5aには注目画素が位置づけられていないので、新たな画素片挿入の挿入はない。図5(f)に示す状態では、白画素数及び黒素数はそれぞれ2であり、補正点は黒が2である。従って、図中矢印で示すように、挿入補正点を注目画素(黒)の左側に隣接する白画素に移動する。このようにして、以下図5(g)〜図5(u)に示す処理が行われて、最終的に図5(v)に示すように、一ライン分について新たな画素片挿入補正点が決定される。そして、同様の処理を繰り返して、最終ラインまでの処理が行われ、画像全体(つまり画像データ)について新たな画素片挿入補正点が決定される。
【0068】
図4及び図5を用いて説明した処理を行うと、図3(a)に示す画像データについては、図3(b)に示すように、画素片挿入補正点が変更されることになる。そして、図3(b)に示す画素片挿入補正点に応じて画素片の挿入処理を行うと、図3(c)に示す補正画像データが得られる。図3(c)と図17(b)とを比較すると、図3(c)においては、前半部分と後半部分との濃度差がほとんどなくなることが分かる。
【0069】
図6は、1ドットのチェッカーパターンに対して図4で説明した処理を行った場合の結果を説明するための概念図である。そして、図6(a)は1ドットのチェッカーパターンである画像データの一例を示す図であり、図6(b)は図6(a)で示す補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図6(c)は図6(b)で決定された挿入補正点に応じて画素片の挿入を行った結果を示す図である。
【0070】
いま、図6(a)に示す位置(つまり、画素)に画素片挿入補正予定点があるとする。この際、図4及び図5で説明した1行4列のウィンドウ部5Aで前半部分と後半部分との濃度差の変化が少なくなるように、画素片挿入補正点を移動させると、図6(b)に示す位置に挿入補正点が決定される。そして、このようにして決定した挿入補正点に応じて画素片を挿入すると、図6(c)に示す結果が得られる。図6(c)に示すように、1ドットのチェッカーパターンにおいてもその前半部分と後半部分との濃度差が極めて少ないことが分かる。
【0071】
このようにして、予め設定された挿入補正点を移動すると、画素片挿入に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0072】
続いて、画像データから画素片を削除補正して主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0073】
図7は、本発明の実施の形態による画素片の削除補正を説明するための概念図である。そして、図7(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図7(b)は図7(a)で示す削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図7(c)は図7(b)で決定された削除補正点に応じて画素片の削除を行った結果を示す図である。ここで、図7(a)にバツ印で示す部分(画素)は予め設定された削除補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を削除補正するものとする。
【0074】
図示の例では、図7(a)にバツ印で示す削除補正予定点について、次のようにして、削除補正点を決定する。
【0075】
図8は、図2に示す画像処理回路2107で実行される削除処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでも、図5で説明したウィンドウ部5Aが用いられる。図示の例では、1行4列のウィンドウ部5Aが用いられている。
【0076】
図2及び図8を参照して、ここでは、図7(a)に示す画像データについて削除処理を行う場合について説明する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS702)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片削除予定ポイント(削除補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS703)。当該画素が削除補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS703において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS704)。さらに、画像処理回路2107は黒画素片削除数及び白画素削除数をカウントする。
【0077】
次に、画像処理回路2107は、注目画素が白画素であるか否かを判別する(ステップS705)とともに、ウィンドウ部5A内の白画素数の比率と白画素片削除の比率(白補正数/全削除数)を求める。そして、注目画素が白画素であると(ステップS705において、YES)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS706)。
【0078】
白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいと(ステップS706において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素(白)から白画素片を削除する(ステップS707)。
【0079】
一方、白画素数の比率が白画素片削除の比率以下であると(ステップS706において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は黒画素であり、かつ画素片削除予定がないかについて調べる(ステップS708)。注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でありかつ画素片削除予定がないと(ステップS708において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する黒画素から黒画素片を削除する(ステップS709)。
【0080】
注目画素の左側に隣接する画素は黒画素でないか及び/又は画素片削除予定があると(ステップS708において、NO)、画像処理回路2107はステップS707に移行する。
【0081】
ステップS705において、注目画素が白画素でないと(ステップS305において、NO)、画像処理回路2107は、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいか否かについて判定する(ステップS710)。
【0082】
白画素数の比率が白画素片削除の比率以下であると(ステップS710において、NO)、画像処理回路2107は当該注目画素(黒)から黒画素片を削除する(ステップS711)。一方、白画素数の比率が白画素片削除の比率よりも大きいと(ステップS710において、NO)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素は白画素であり、かつ画素片削除予定がないかについて調べる(ステップS712)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でありかつ画素片削除予定がないと(ステップS712において、YES)、画像処理回路2107は当該注目画素の左側に隣接する白画素から白画素片を削除する(ステップS713)。注目画素の左側に隣接する画素は白画素でないか及び/又は画素片削除予定であると(ステップS712において、NO)、画像処理回路2107はステップS711に移行する。
【0083】
なお、ステップS703において、当該画素が注目画素でないと(ステップS703において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片削除なしとする(ステップS714)。
【0084】
ステップS707、S709、S711、S713、又はS714に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS715)。N=横幅でないと(ステップS715において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS716)、ステップS703に戻って処理を続行する。
【0085】
N=横幅であると(ステップS715において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS717)。M=ライン数でないと(ステップS717において、NO)、画像処理回路316は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS718)、ステップS703に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS717において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0086】
上述のようにして、図7(a)に示す画像データについて削除補正点を修正・決定すると、削除補正点は図7(b)に示すようになる。そして、図7(b)に示す削除補正点に応じて画像データの補正を行うと図7(c)に示す結果が得られる。図7(c)に示すように、画素片削除においても、補正後の画像データに関してその前半部分と後半部分との濃度差が極めて小さくなることが分かる。
【0087】
このようにして、削除補正点を移動することによって、画素片削除に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0088】
続いて、画像データについて画素片を挿入・削除する処理(以下挿抜処理と呼ぶ)を行って主走査倍率補正処理を行う場合について説明する。
【0089】
図9は、本発明の実施の形態による画素片の挿抜処理を説明するための概念図である。そして、図9(a)は画像データの中央で画像の位相がずれる1ドット1スペースの縦線の画像データを示す図であり、図9(b)は図5に示すウィンドウ部5A内に挿入補正点及び削除補正点がある場合を示す図である。また、図9(c)は図9(a)で示す挿入・削除補正予定点を修正した画像データを示す図である。また、図9(d)は図9(c)で決定された挿入・削除補正点に応じて画素片の挿入・削除を行った結果を示す図である。ここで、図9(a)に丸印で示す部分(画素)は予め設定された挿入補正予定点を示しており、バツ印で示す部分(画素)は予め設定された削除補正予定点を示している。ここでは、2画素につき1画素片を挿抜処理するものとする。
【0090】
図示の例では、図9(a)に丸印及びバツ印で示す挿入・削除補正予定点について、次のようにして、挿入・削除補正点を決定する。
【0091】
図10は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿抜処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0092】
図2及び図10を参照して、ここでは、図9(a)に示す画像データについて挿抜処理を行う場合について説明する。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS902)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片挿抜予定ポイント(挿抜補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS903)。当該画素が挿抜補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS903において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の黒画素及び白画素の個数をカウントする(ステップS904)。さらに、画像処理回路2107は黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする。
【0093】
なお、図示の例では、黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする際、挿入補正点(予定点)1つについて”+1”とし、削除補正点(予定点)1つについて”−1”として、ウィンドウ部5A内の合計をカウントする。
【0094】
次に、画像処理回路2107は、注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも、白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近いか否かについて判定する(ステップS906)。注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近いと(ステップS906において、YES)、画像処理回路2107は、注目画素に対してその画素片と同色の画素片を挿抜する(ステップS907)。
【0095】
一方、注目画素に対して画素片を挿抜した方が左側に隣接する画素に対して挿抜するよりも白黒画素比率と白画素片挿入比率とが近くないと(ステップS906において、NO)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないかについて判定する(ステップS908)。
【0096】
注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定があると(ステップS908において、NO)、画像処理回路2107はステップS907に移行する。注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないと(ステップS908において、YES)、画像処理回路2107は注目画素の左側に隣接する画素に対して画素片を挿抜する(ステップS909)。
【0097】
なお、ステップS903において、当該画素が注目画素でないと(ステップS903において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片の挿抜なしとする(ステップS914)。
【0098】
ステップS907、S909、又はS914に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS915)。N=横幅でないと(ステップS915において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS916)、ステップS303に戻って処理を続行する。
【0099】
N=横幅であると(ステップS915において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS917)。M=ライン数でないと(ステップS916において、NO)、画像処理回路2107は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS918)、ステップS303に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS917において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0100】
ところで、挿抜補正点を決定していく過程で、図9(b)に示すように、ウィンドウ部5A内に挿入及び削除の補正点がともに存在する場合がある。図9(b)に示す状態の場合、画像処理回路2107は、前述のように、ステップS904においてウィンドウ部5A内の画素及び画素片をカウントする。図9(b)に示す例では、黒画素及び白画素はそれぞれ2つあり、白画素片が1つ挿入されている。
【0101】
ここで、注目画素は、図9(b)に示すように、画素片削除予定点であるが、注目画素の色は黒画素であるので、注目画素から画素片を削除するとウィンドウ部5A内においてその濃度が画素片挿抜によってずれることになる。また、図示の例では、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であって、画素片を挿抜する予定はない。従って、画像処理回路2107はその濃度の変動を抑えるため、画素片削除位置を注目画素から左側に隣接する白画素へ移動して、左側に隣接する白画素から白画素片を削除することになる。
【0102】
以上のように図9(a)に示す画像データについて挿抜補正点を修正・設定すると、挿抜補正点は図9(c)で示すようになる。そして、図9(c)に示す挿抜補正点に応じて画像データの補正を行うと、図9(d)に示す結果が得られる。図9(d)に示すように、画素片を挿抜する場合においても、左右の画像サイズが等しく描画されるように画素片を挿入又は削除しているので、左右の画像サイズはほぼ等しくなり、左右の画像の濃度もほぼ等しくなる。
【0103】
このようにして、挿抜補正点を移動することによって、画素片の挿抜に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0104】
続いて、上述した主走査倍率補正処理を実行するための制御系について説明する。図11は、図2に示す画像処理回路2107の構成の一例を示すブロック図である。
【0105】
図2及び図11を参照して、画像処理回路2107は、制御信号発生回路1201を有している。図11には示されていないが、制御信号発生回路1201は、図1に示す画像形成装置が備えるCPUからセグメント数及びセグメント0〜m(mは1以上の整数)が与えられる。なお、セグメント0〜mの各々はセグメント幅及び補正ポイント(補正点)数を有している。ここでは、主走査が複数のセグメントに分割されて処理される。例えば、セグメント数に応じたSRAMテーブルが制御信号発生回路1201に保持され、セグメント毎にセグメント幅(画素数)と当該セグメント中の補正点の数がSRAMテーブルに保持される。
【0106】
制御信号発生回路1201は、セグメント数及びセグメント0〜mに基づいてFIFO(First In−First Out Memory)クロック発生回路1203及びパラレル−シリアル(以下PSと呼ぶ)変換/ビットデータ挿抜回路1208に対してビットデータ挿抜位置信号1252を与える。なお、この図5(a)で示す信号である。
【0107】
さらに、制御信号発生回路1201は、セグメント数及びセグメント0〜mに基づいてシリアル−パラレル(以下SPと呼ぶ)クロック発生回路1204に対してSP変換制御信号1253を与える。FIFOクロック発生回路1203は、基準クロック1251及びビットデータ挿抜位置信号1252に基づいて、FIFO1202、ディレイ時間発生回路1205、パルスデータLUT(Look UP Table)1207、及びLUTアドレス生成回路1206に対して読み出しクロック1254を与える。
【0108】
SPクロック発生回路1204は、基準クロック1251及びSP変換制御信号1253に基づいて、SP変換回路1209に対してSP変換クロック1255を与える。また、このSP変換クロック1255は、画像クロックとしてSPクロック発生回路1204から出力される。
【0109】
FIFO1202には、本体制御部(つまり、CPU)からFIFO書き込み信号1256及び書き込みクロック1259が供給されるとともに、画像生成部(図示せず)から画像信号が画素単位で入力される。この画像信号の上位2ビットがパルス位置であり、下位4ビットがハーフトーン処理済みの画素値である。つまり、FIFO1202には6ビットの書き込み画素データ1257が入力される。FIFO1202からは、読み出しクロック2254及びディレイ時間発生回路1205から与えられるFIFO読み出し信号1260によって、6ビットの読み出し画素データ1261が出力される。
【0110】
読み出し画素データ1261は、ディレイ時間発生回路1205に入力される。ディレイ時間発生回路1205は、BDセンサから出力されるBD信号1262を基準として、本体制御部よって指定されたディレイ時間1263に応じて、FIFO読み出し信号1260を調整する。そして、BD信号1262を基準として、ディレイ時間1263経過後に、ディレイ時間発生回路1205はLUTアドレス生成回路1206に対して画素データ(画素値1265及びパルス位置1266)と画素データ有効信号1264とを入力する。
【0111】
LUTアドレス生成回路1206は、ディレイ時間発生回路1205から入力された画素データ(画素値1265及びパルス位置1266)と画素データ有効信号1264に基づいて、パルスデータLUT1207から16ビットのパルスデータ1268を読み出す。このパルスデータLUT1207にはパルス位置毎に、4ビットの画素値に対する16ビットのパルスデータが格納されている。
【0112】
図12は、図11に示すパルスデータLUT1207に格納されたパルスデータの一例を示す図である。
【0113】
図12に示すように、パルス位置1266が、2’b00で中央を、2’b01で右寄せを、2’b10で左寄せを、2’b11でスプリットを示すとすると、パルス位置1266を上位2ビット、画素値1265を下位4ビットとした6ビット信号をパルスデータLUTアドレス1267とすればよい。なお、パルスデータLUT1207は、ROM(Read Only Memory)で実装するようにしてもよいし、RAM(Ramdom Access Memory)で実装して、本体制御部からパルスデータを当該RAMに書き込むようにしてもよい。
【0114】
LUTアドレス生成回路1206は、16ビットのLUT出力パルスデータ1268をパルスデータ1270として、パルスデータ有効信号1269と同期して、パルス位置1271ととともに、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208に与える。
【0115】
PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、LUTアドレス生成回路1206から入力されたパルスデータ1270を、PS変換クロック(基準クロック)1251に基づいてシリアル画素信号に変換する。さらに、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、パルスデータ1270に応じて挿抜補正点を判別して、ビットデータ挿抜を行う。
【0116】
図示のように、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、1行Lラインのウィンドウバッファ1208aを有している。そして、このウィンドウバッファ1208aには現在の画素以前に処理した画素値及び挿抜位置がバッファデータとして記憶される。PS変換/ビットデータ挿抜回路1208はバッファデータとビットデータ挿抜位置信号1252と参照して、挿抜補正点の移動(補正)を行うか否かを判定する。
【0117】
PS変換/ビットデータ挿抜回路1208から出力されるビットデータ挿抜済みのシリアル画素信号1272は、SP変換回路1209に入力される。SP変換回路1209は、SP変換クロック1255によって、入力されたシリアル画素信号1272を16ビットのパラレル画素信号1273に変換して出力する。
【0118】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、画素値が黒(全点灯)及び白である場合について説明したが、画素値が中間調であっても本発明を適用することができる。
【0119】
図13は、図2に示す画像処理回路2107で実行される挿抜処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0120】
図2及び図13を参照して、ここでは、画素値は中間調であるとする。まず、画像処理装置2107は、ライン方向画素数(横幅)N=1、ライン数M=1とする(ステップS1402)。画像処理回路2107は、当該画素が画素片挿抜予定ポイント(挿抜補正予定点)であるか否かについて判定する(ステップS1403)。当該画素が挿抜補正予定点(以下注目画素ともいう)であると(ステップS1403において、YES)、画像処理回路2107は、ウィンドウ部5A内の平均濃度と黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数とをカウントする(ステップS1404)。
【0121】
図示の例では、黒画素片挿抜数及び白画素挿抜数をカウントする際、挿入補正点(予定点)1つについて”+1”とし、削除補正点(予定点)1つについて”−1”として、ウィンドウ部5A内の合計をカウントする。
【0122】
次に、画像処理回路2107は、平均濃度の変化が最小とするように(小さくなるように)挿抜画素片の色を決定する(ステップS1405)。そして、画像処理回路2107は注目画素が挿抜画素片と同色か又は注目画素が中間色であるか否かについて判定する(ステップS1406)。
【0123】
注目画素が挿抜画素片と同色か又は注目画素が中間色であると(ステップS1406において、YES)、画像処理回路2107は、前述のステップS1405で決定した色の画素片を注目画素に対して挿抜する(ステップS1407)。
【0124】
注目画素が挿抜画素片と同色でなくかつ注目画素が中間色でないと(ステップS1406において、NO)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないかについて判定する(ステップS1408)。
【0125】
注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定があると(ステップS1408において、NO)、画像処理回路2107は注目画素と同色の画素片を注目画素に対して挿抜する(ステップS1411)。一方、注目画素の左側に隣接する画素について画素片の挿抜予定がないと(ステップS1408において、YES)、画像処理回路2107は、注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色であるか又は注目画素が中間色であるか否かについて判定する(ステップS1409)。
【0126】
注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色でなくかつ注目画素が中間色でないと(ステップS1409において、NO)、画像処理回路2107はステップS1411に移行する。注目画素の左側に隣接する画素が挿抜画素片と同色であるか又は注目画素が中間色であると(ステップS1409において、YES)、画像処理回路2107は、前述のステップS1405で決定した色の画素片を、知友目画素の左側に隣接する画素に対して挿抜する(ステップS1410)。
【0127】
なお、ステップS1403において、当該画素が注目画素でないと(ステップS1403において、NO)、画像処理回路2107は、新たな画素片の挿抜なしとする(ステップS1412)。
【0128】
ステップS1407、S1410、S1411、又はS1412に続いて、画像処理回路2107はN=横幅となったか否かについて判定する(ステップS1413)。N=横幅でないと(ステップS1413において、NO)、画像処理回路2107は、N=N+1として(ステップS1414)、ステップS1403に戻って処理を続行する。
【0129】
N=横幅であると(ステップS1413において、YES)、画像処理回路2107は、M=ライン数であるか否かについて判定する(ステップS1415)。M=ライン数でないと(ステップS1415において、NO)、画像処理回路2107は、N=1とするとともに、M=M+1として(ステップS1416)、ステップS1403に戻って処理を続行する。一方、M=ライン数であると(ステップS1415において、YES)、画像処理回路2107は処理を終了する。
【0130】
上述の処理を全てのラインについて行って、画像処理回路2107は画像全体の画素片挿抜点を新たに決定する。そして、画像処理回路2107は、決定した挿抜補正点に応じて画素片の挿抜処理を行う。これによって、画素値が中間調であっても画像の濃度を損なうことなく、画素片の挿抜処理を行うことができる。
【0131】
ところで、挿抜補正点を決定していく過程で、図9(b)に示すように、ウィンドウ部5A内に挿入及び削除の補正点がともに存在する場合がある。図9(b)に示す状態の場合、画像処理回路2107は、前述のように、ステップS904においてウィンドウ部5A内の画素及び画素片をカウントする。図9(b)に示す例では、黒画素及び白画素はそれぞれ2つあり、白画素片が1つ挿入されている。
【0132】
ここで、注目画素は、図9(b)に示すように、画素片削除予定点であるが、注目画素の色は黒画素であるので、注目画素から画素片を削除するとウィンドウ部5A内においてその濃度が画素片挿抜によってずれることになる。また、図示の例では、注目画素の左側に隣接する画素は白画素であって、画素片を挿抜する予定はない。従って、画像処理回路2107はその濃度の変動を抑えるため、画素片削除位置を注目画素から左側に隣接する白画素へ移動して、左側に隣接する白画素から白画素片を削除することになる。
【0133】
以上のように図9(a)に示す画像データについて挿抜補正点を修正・設定すると、挿抜補正点は図9(c)で示すようになる。そして、図9(c)に示す挿抜補正点に応じて画像データの補正を行うと、図9(d)に示す結果が得られる。図9(d)に示すように、画素片を挿抜する場合においても、左右の画像サイズが等しく描画されるように画素片を挿入又は削除しているので、左右の画像サイズはほぼ等しくなり、左右の画像の濃度もほぼ等しくなる。
【0134】
このようにして、挿抜補正点を移動することによって、画素片の挿抜に起因する画像の濃度変化を抑制することができる。
【0135】
図14は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第2の例を示すブロック図である。
【0136】
図14を参照して、図11に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図14に示す画像処理回路2107においては、パルスデータLUT1207がなく、図11に示すLUTアドレス生成回路1206の代わりにパルスデータ生成回路1210が用いられている。
【0137】
4ビットの画素値から16ビットのパルスデータを生成する際、パルスデータ生成回路1210は、画素値1265及びパルス位置1266に応じてパルスデータ1270を生成する。そして、パルスデータ生成回路1210はパルスデータ1270をパルスデータ有効信号1269と同期して、パルス位置1271とともにPS変換/ビットデータ挿抜回路1208に与える。
【0138】
図15は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第3の例を示すブロック図である。
【0139】
図15を参照して、図11に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図15に示す画像処理回路2107においては、FIFO1202としてそのビット幅が18ビットであるFIFOが用いられる。さらに、図11に示すパルスデータLUT1207及びパルスデータ生成回路1206がない。そして、ディレイ時間発生回路1205はPS変換/ビットデータ挿抜回路1208に接続される。画像生成部(図示せず)から入力される書き込み画素データ1257は、6ビットの画素データ(うち2ビットはパルス位置、4ビットが画素値)ではなく、18ビットの画素データ(うち2ビットはパルス位置、16ビットがパルスデータ)とされる。このように、18ビットの画素データを用いれば、画素値からパルスデータを生成するハードウェア(図11に示すLUTアドレス生成回路1206及びパルスデータLUT1207又は図14に示すパルスデータ生成回路1210)が不要となる。
【0140】
図16は、図2に示す画像処理回路2107の構成の第4の例を示すブロック図である。
【0141】
図16を参照して、図16に示す画像処理回路2107と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略する。図16に示す画像処理回路2107においては、制御信号発生回路1201にウィンドウバッファ1208aが備えられ、FIFO1202に画素データが書き込まれた際、制御信号発生回路1201はウィンドウバッファ1208aに画素データ及びビットデータ挿抜位置予定信号(図示せず)をバッファデータとして書き込む。このビットデータ挿抜位置予定信号は画素データとセグメント数及びセグメントとに応じて制御信号発生回路1201が生成する。
【0142】
制御信号発生回路1201は、ウィンドウバッファ1208aに保持されている画素データ及びビットデータ挿抜位置予定信号に応じてビットデータ挿抜位置信号1273を生成する。そして、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208は、ビットデータ挿抜位置信号に応じてビットデータの挿抜位置を判定してビットデータの挿入・削除を行う。
【0143】
このように、図16に示す画像処理回路2107では、制御信号発生回路1201がビットデータ挿抜位置を予め決定するため、PS変換/ビットデータ挿抜回路1208の構成を簡単にすることができる。
【0144】
なお、FIFOクロック発生回路1203は、基準クロック1251の周期単位で読み出しクロック1254を遅延させるようにしてもよい。これによって、基準クロック1251の周期単位でディレイ時間を発生することができ、読み出しクロック1254の周期単位でディレイ時間を発生するディレイ時間発生回路1205と併用すれば、より高精細なライン開始位置調整を行うことが可能となる。
【0145】
また、制御信号発生装置1201はビットデータ挿抜位置信号を有効にするタイミングを、ライン毎にランダムに変更するようにしてもよい。これによって、ライン内おける補正回数と補正頻度を変えることなく、補正画素の位置をライン毎にランダムに変更することができる。従って、補正画素の配置がランダムになって、補正画素の位置をライン毎に変更しない場合に生じる可能性のある縦方向の縞模様の発生を防ぐことができる。
【0146】
なお、上述の説明から明らかなように、図2に示す画像処理装置2107が変換手段及びデータ補正手段として機能することになる。また、レーザ駆動装置2106が駆動手段として機能する。
【0147】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0148】
例えば、上記の実施の形態の機能を主走査倍率補正方法として、この補正方法を、画像処理形成装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを主走査倍率補正プログラムとして、この補正プログラムを画像処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0149】
この際、主走査倍率補正方法及び主走査倍率補正プログラムは、少なくとも変換ステップ、データ補正ステップ、及び駆動ステップを有することになる。
【0150】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0151】
1201 制御信号発生回路
1202 FIFO
1203 FIFOクロック発生回路
1204 SPクロック発生回路
1205 ディレイ時間発生回路
1206 LUTアドレス生成回路
1207 パルスデータLUT
1208 PS変換/ビットデータ挿抜回路
1209 SP変換回路
2107 画像処理回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部と、
該ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動手段と、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記データ補正手段は、前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記画素データに隣接する画素データが前記予定画素データでない場合に、当該隣接する画素データに対して前記第2のビットデータと同一のビットデータを挿入又は削除することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数とに応じて前記予定画素データに対する前記画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記データ補正手段は、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数に応じて得られた前記予め規定された数の画素データに含まれる第1のビットデータの比率と前記第1のビットデータからなる挿抜画素片の比率との変動を最小とするように前記画素片の挿抜を行う画素データを前記予定画素データから当該予定画素データに隣接する画素データに変更することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データの平均濃度に応じて挿抜する画素片の色を決定して、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とに応じて当該予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記データ補正手段は、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とが同色であるか又は前記予定画素データの色が中間色である際に前記予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行い、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とが同色でなくかつ前記予定画素データの色が中間色でないと当該予定画素データに隣接する画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正方法において、
前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、
前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、
前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを有することを特徴とする主走査倍率補正方法。
【請求項8】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正プログラムにおいて、
前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、
前記画像形成装置が備えるコンピュータに、
前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、
前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを実行させることを特徴とする主走査倍率補正プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の主走査倍率補正プログラムが記録されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部と、
該ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動手段と、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記データ補正手段は、前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記画素データに隣接する画素データが前記予定画素データでない場合に、当該隣接する画素データに対して前記第2のビットデータと同一のビットデータを挿入又は削除することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数とに応じて前記予定画素データに対する前記画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記データ補正手段は、予め規定された数の前記画素データに含まれる前記第1及び前記第2のビットデータのビット数と前記予め規定された数の前記画素データに対して挿抜される挿抜画素片の数に応じて得られた前記予め規定された数の画素データに含まれる第1のビットデータの比率と前記第1のビットデータからなる挿抜画素片の比率との変動を最小とするように前記画素片の挿抜を行う画素データを前記予定画素データから当該予定画素データに隣接する画素データに変更することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置において、
入力画像信号を、前記光源を点灯させための第1のビットデータ及び前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうちの少なくとも一方を含み、1画素に対応する静電潜像を形成するための画素データに変換する変換手段と、
前記入力画像信号に対して少なくとも1つのビットデータからなる画素片の挿抜を行う際、前記画素データが前記画素片の挿抜を行う予定である予定画素データである場合に、予め規定された数の前記画素データの平均濃度に応じて挿抜する画素片の色を決定して、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とに応じて当該予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うか否かを決定し、当該決定結果に応じて前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正手段と、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記データ補正手段は、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とが同色であるか又は前記予定画素データの色が中間色である際に前記予定画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行い、前記決定された画素片の色と前記予定画素データの色とが同色でなくかつ前記予定画素データの色が中間色でないと当該予定画素データに隣接する画素データに対して前記決定された画素片の挿抜を行うことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正方法において、
前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、
前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、
前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを有することを特徴とする主走査倍率補正方法。
【請求項8】
光源を点灯制御して前記光源から出射される光ビームを所定の方向に走査することによって感光体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像することによって画像形成を行う画像形成装置に用いられ、前記感光体の主走査方向の倍率を補正するための主走査倍率補正プログラムにおいて、
前記画像形成装置には入力画像信号について予め規定された数の画像データを観察するウィンドウ部が備えられており、
前記画像形成装置が備えるコンピュータに、
前記入力画像信号を、前記光源を点灯させるための第1のビットデータと前記光源を消灯させるための第2のビットデータのうち少なくとも一方を含む複数ビットの画素データに変換する変換ステップと、
前記ウィンドウ部を1画素ずつ移動させる移動ステップと、
前記所定の方向の画像の長さを補正するために、前記画素データに対してビットデータの挿入又は削除を行う際、前記画素データがビットデータの挿入又は削除を行う予定である予定画素データである場合に、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データについて前記第1及び前記第2のビットデータのビット数をカウントして、前記ウィンドウ部に位置する前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも大きいと、前記第1のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに対して挿入又は削除し、前記画素データに含まれる前記第1のビットデータのビット数が前記第2のビットデータのビット数よりも小さいと、前記第2のビットデータと同一のビットデータを前記予定画素データに隣接する画素データに対して挿入又は削除して前記入力画像信号を補正して補正後画像信号とするデータ補正ステップと、
前記補正後画像信号に基づいて前記光源を駆動する駆動ステップとを実行させることを特徴とする主走査倍率補正プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の主走査倍率補正プログラムが記録されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−179830(P2012−179830A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44915(P2011−44915)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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