説明

画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法

【課題】 色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 領域信号生成部及び論理演算回路が、パッチ画像形成部により形成されるパッチ画像の領域又はパッチ画像の読み取り領域にドットパターンが形成されないように、少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像を形成するドットパターン形成部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電方式や電子写真記録方式などを採用した画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明の背景技術を転写安定化技術と色安定化技術とに分けて説明する。
【0003】
<転写安定化技術>
従来より、複数の画像形成部を有する画像形成装置が知られている。
【0004】
各画像形成部は、感光ドラム等の像担持体上に、画像情報に応じて光変調されたレーザビームやLED等の発光素子により光を照射して静電潜像を形成する。その後、現像剤(トナー)を収容した現像手段によって、その静電潜像をトナー像として現像し、当該トナー像を、転写材搬送体が搬送する転写材(記録媒体)又は中間転写体上に転写する。
【0005】
そして、この複数の画像形成部がそれぞれ色の違ったトナー像を形成し、転写材搬送体によって転写材を各画像形成部の所定位置に順次搬送しながら各色のトナー像を転写材上に多重転写する方法によってカラー画像を形成する画像形成装置が提案されている。また、中間転写体上に各色のトナー像を多重転写した後に、転写材に一括転写する方法(中間転写方式)によってカラー画像を形成する画像形成装置が提案されている。中間転写体としては、駆動を伝達する駆動ローラ及び少なくとも1つの従動ローラによって張架されて表面が移動する無端状の中間転写ベルトが使用されている。
【0006】
この種の画像形成装置において、像担持体である感光ドラム(以下「ドラム」という)から中間転写ベルトへの転写ラチチュード(転写効率)アップのため、1次転写電流を最適に設定することが要求される。しかし、1次転写電流が低い際には転写不良、1次転写電流が高い際には再転写を引き起こしがちであり、1次転写電流を最適に設定することは困難である。
【0007】
そこで、感光ドラムと中間転写ベルトとの間で周速差をつけ、1次転写ラチチュードアップをはかることが行われている。この周速差により、感光ドラム上のトナー像をすくい取るような剪断力を利用して転写を行うことにより、感光ドラム上のトナー像を1次転写するときの1次転写ラチチュードの向上と安定化を達成する技術が提案されている。この技術では、1次転写ラチチュード低下に起因する、画像の濃度ムラの発生とライン画像や文字画像の中抜けとを防止する。この技術では、特に、2次色の細線の中央部が抜けることが無く、転写ラチチュードの向上がはかれるが、周速差により感光ドラムと中間転写ベルトとの間で常に摩擦力が生じている。このため、感光ドラムと中間転写ベルトとの間にトナーがある場合とトナーが無い場合とで、摩擦係数が変化し、感光ドラムの回転速度が変動する。結果として、感光ドラムへの静電潜像を形成する際に露光がぶれてしまい、画像スジが発生することとなる。
【0008】
この現象は、1つの像担持体に複数の現像器を対応させ、像担持体上に複数色のトナー像を順次形成し、それらのトナー像を中間転写体上に重ねて画像形成する画像形成装置においても発生する。また、感光ドラムから転写材搬送体に搬送された転写材に直接トナー像を転写する系においても発生する。ここでは、転写材搬送体や中間転写体をまとめて、転写移動手段と称する。
【0009】
そのため、前記複数の画像形成部の回転速度とトナー像が転写される中間転写体や転写材搬送体等の転写移動手段との回転速度とに周速差を設ける。そして、通常のトナー像つまり通常画像と重ねて、予め決めた所定の微小ドットによるドット現像剤像(ドットトナー像)を分散して転写移動手段上にドット分散画像(ドットパターン)を形成する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0010】
こうして、感光ドラムと転写移動手段との回転速度に周速差を設けた画像形成装置においても、より安定した画像形成を行い、高品質な画像をプリント可能な画像形成装置を提供できる。
【0011】
また、例えば、特許文献2に記載されているように、像担持体と転写移動手段に周速差を設けない画像形成装置でも、駆動ローラの偏芯等により意図しない速度差が発生し、その結果色ずれが発生してしまう。そこで、特許文献1と同様、通常画像と重ねて、予め決めた所定の微小ドットによるドットトナー像を分散して転写移動手段上にドットパターンを形成することで、より安定した画像形成を行い、高品質な画像をプリント可能としている。
【0012】
<色安定化技術>
一方、近年、版のいらないダイレクトイメージングプリンタの需要が高くなっている。仕上がり時間の短縮、顧客一人一人へのサービス、さらには大量部数生産と廃却という環境問題などから、ダイレクトイメージングプリンタを採用する企業が多い。ダイレクトイメージングプリンタの中でも、価格面、写真印刷に適したインクジェット方式、生産性が高くオフセット印刷の仕上がりに近い電子写真プリンタの勢力が拡大傾向にある。そのような状況において、従来のオフセット印刷や写真の代替として最も重要なのは色の安定性である。
【0013】
色の安定性を確保するため、プリンタ装置内で安定化制御が実施されている。より具体的には、感光体上に形成したトナー濃度検出用のパッチパターンを濃度センサで読み取り、現像器内のトナー濃度制御部へフィードバックして、トナー濃度を適性に制御する技術(定着前トナー濃度制御)が知られている(特許文献3)。
【0014】
一般的には、トナーパッチはその作成および消去が容易であるものの、トナー定着前のトナー濃度の情報しか得られないため、該トナーパッチに基づく制御が行われた場合には、定着工程以降の影響はトナー濃度に反映されない。
【0015】
そこで、装置本体に組み込まれた、所謂複写機のリーダ部分でプリントされた画像を読み取りし、画像制御を行うこと(定着後パッチリーダー読み取り)が提案されている(特許文献4)。
【0016】
しかしながら、この技術は、ユーザの手で出力画像を形成した記録媒体をリーダ部まで運ばねばならず、操作性が悪い。ユーザもその煩わしさから、定期的に濃度調整を行わない場合が殆どであった。そのような煩わしさを解消した技術として、定着後の記録媒体の搬送途中にセンサを搭載し、出力画像をセンシングする技術が公開されている(特許文献5)。
【0017】
また、カラー画像の検出に対応し、人間の視感度的に敏感な無彩色のバランス(グレイバランス)を調整する技術(定着後パッチカラーセンサ読み取り)も公開されている(特許文献6)。
【0018】
このように、ダイレクトイメージング方式の画像形成装置でも、色の安定性は最重要課題の1つであり、画像形成後に設けられたセンサをもちいた安定化制御に注目が集まっている。
【特許文献1】特開2004−118076号公報
【特許文献2】特開平11−52758号公報
【特許文献3】特開平1−309082号公報
【特許文献4】特開昭63−185279号公報
【特許文献5】特開平10−193689号公報
【特許文献6】特開2002−344759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、これらの色の安定化を行うためのパッチ画像形成時に、転写安定化のためのドット分散画像を用紙全面に形成してしまうと、トナー定着前にトナー濃度を測定する方法では、測定値がドット分散画像によるトナー増加分の影響を受けてしまう。
【0020】
一方、トナー定着後にトナーパッチを読み取る方法では、ドット分散画像がそのまま用紙上に転写されるため、パッチ画像をリーダ部又はカラーセンサで読み取る際に、読み取りデータがドット分散画像による影響を受けてしまう。
【0021】
例えば、シアンのハーフトーンパッチ画像にも、イエローによるドット分散画像が重ねて形成されるため、そのパッチをリーダ部又はカラーセンサで読み取った際に、読み取りデータにイエロートナーの成分が含まれる。また、この影響を避けるため、これらのパッチ画像形成時にドット分散画像の形成を止めると、摩擦係数の変化によりパッチ画像にスジむらが発生し、図22のように読み取り値が変動してしまうため、正確な読み取りができない。
【0022】
そこで、本発明の目的は、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
かかる課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画像情報により像担持体上に現像剤像を形成する画像形成手段と、当該像担持体上の現像剤像又はパッチ画像を中間転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、前記像担持体上に少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像を形成するドット分散画像形成手段と、画像調整のためのパッチ画像を前記像担持体上のいずれかの領域に形成するパッチ画像形成手段と、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、画像情報により像担持体上に現像剤像を形成する画像形成工程と、当該像担持体上の現像剤像又はパッチ画像を中間転写体又は記録媒体に転写する転写工程と、前記像担持体上に少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像を形成するドット分散画像形成工程と、画像調整のためのパッチ画像を前記像担持体のいずれかの領域に形成するパッチ画像形成工程と、前記パッチ画像形成工程により形成されるパッチ画像の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成工程を制御する制御工程とを備えることを特徴とする。
【0025】
さらに、上記画像形成装置の制御方法の工程をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び該プログラムを記憶したを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる、即ち転写を安定化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
下記の第1から第4の実施の形態では、用紙上にパッチ画像を形成する際のドットトナー像の形成方法を説明する。これらの実施の形態では、プリンタ内に実装したカラーセンサによりパッチ画像を読み取る場合を説明しているが、パッチ画像を形成した用紙をリーダ部にセットしてパッチ画像を読み取る画像調整方法においても、同様に適用できる。
【0029】
<本実施の形態の画像形成装置の構成例>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部断面図である。
【0030】
本実施の形態では、画像形成装置は電子写真方式であり、リーダ部1Rとプリンタ部1Pとを備えている。
【0031】
リーダ部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換してプリンタ部1Pに送信する。
【0032】
プリンタ部1Pは、4つ並設された画像形成部10(10a、10b、10c、10d)と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40と、クリーニングユニット50と、レジセンサ60と、制御ユニット80とを有する。
【0033】
4つ並設された画像形成部10(10a〜10d)は同一構成を有する。画像形成部10a〜10dは、各々ブラック用、シアン用、マゼンタ用、イエロー用の画像形成部である。画像形成部10(10a〜10d)では、第1の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム11(11a〜11d)が回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。感光ドラム11a〜11dの外周面に対向してその回転方向に1次帯電器12(12a〜12d)、露光部13(13a〜13d)及び折り返しミラー16(16a〜16d)が配置されている。さらに、現像装置14(14a〜14d)及びクリーニング装置15(15a〜15d)が配置されている。
【0034】
1次帯電器12a〜12dにおいて、感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、露光部13a〜13dにより、リーダ部1Rからの記録画像信号に応じて変調した、例えばレーザビームなどの光線を折り返しミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11d上に露光させることによって、そこに静電潜像を形成する。
【0035】
更に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローといった4色の現像剤(以下、「トナー」という。)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dによって上記静電潜像を顕像化する。顕像化された可視画像(トナー像)を画像転写領域Ta、Tb、Tc、Tdにて中間転写ユニット30を構成する第2の像担持体としてのベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト31に転写する。中間転写ユニット30については、後で詳述する。
【0036】
画像転写領域Ta、Tb、Tc、Tdの下流側では、クリーニング装置15a、15b、15c、15dにより中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。以上に示したプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0037】
給紙ユニット20は、転写材Pを収納するカセット21a,21bと、手差しトレイ27と、カセット21a,21b又は手差しトレイ27より転写材Pを一枚ずつ送り出すピックアップローラ22a,22b,26とを有する。また、給紙ユニット20は、ピックアップローラ22a,22bから送り出された転写材Pを更に搬送する給紙ローラ対23と、給紙ガイド24とを有する。さらに、給紙ユニット20は、各画像形成部10の画像形成タイミングに合わせて転写材Pを2次転写領域Teへ送り出すレジストローラ25a,25bを有する。
【0038】
ここで、中間転写ユニット30について詳細に説明する。
【0039】
中間転写ベルト31は、巻架ローラとして、中間転写ベルト31に駆動を伝達する駆動ローラ32、中間転写ベルト31の回動に従動する従動ローラ33、及び中間転写ベルト31を挟んで2次転写領域Teに対向する2次転写対向ローラ34に巻架される。駆動ローラ32と従動ローラ33との間の中間転写ベルト31上に1次転写平面Aが形成される。
【0040】
中間転写ベルト31は、原材料としてゴム・エラストマー等の弾性体にて作成された無端ベルトであり、周方向のヤング率は“107Pa”以上である。中間転写ベルト31の厚さは、厚み精度や強度を確保し、かつ柔軟な回転駆動を実現するという観点から“0.3mm〜3mm”が望ましい。更に、中間転写ベルト31は金属粉末(カーボンなど)等の導電剤を添加することで、所望の抵抗値(体積抵抗値としては“1011Ωcm”以下が望ましい)に調節されている。また、感光ドラム11a〜11dの各回転速度と中間転写ベルト31の回転速度とは、数パーセント程度、中間転写ベルトが早いように周速差が設けられている。
【0041】
駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタンまたはクロロプレン)をコーティングして中間転写ベルト31との間で生じるスリップを防いでいる。駆動ローラ32はパルスモータ(不図示)によって矢印B方向へ回転駆動される。各感光ドラム11a〜11dが中間転写ベルト31の1次転写平面Aに対向するように配置されている。よって、1次転写平面Aに1次転写領域Ta〜Tdが位置することになる。
【0042】
各感光ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31とが対向する1次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に1次転写用帯電器35(35a〜35d)が配置されている。2次転写対向ローラ34に対向して2次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップによって2次転写領域Teを形成する。2次転写ローラ36は中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。中間転写ベルト31上の2次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングブレード51及び除去された廃トナーを収納する廃トナーボックス52が設けられている。
【0043】
定着ユニット40は、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラ41aと、そのローラ41aに加圧されるローラ41b(このローラ41bにも熱源を備える場合もある)とを有する。定着ユニット40は、上記ローラ対41(41a,41b)のニップ部へ転写材Pを導くためのガイド43を有する。また、上記ローラ対41から排出されてきた転写材Pを装置外部に導き出すための内排紙ローラ44、外排紙ローラ45、及び転写材Pを積載する排紙トレイ48を有する。
【0044】
さらに、定着ユニット40の後には、用紙上のパッチ画像を検知するカラーセンサ62が配置されている。カラーセンサ62は主走査方向の手前62aと奥62bに2つ実装されており、同時に2つのパッチ画像を読み取ることができる。操作パネル(不図示)からの指示により、転写材P上にパッチ画像を形成し、紙搬送をしながらパッチ画像をカラーセンサ62で読み取り、最大濃度調整、階調調整等を実行する。
【0045】
制御部80は、上記各ユニット内の機構の動作を制御するためのCPU(不図示)、レジストレーション補正回路(不図示)、及びモータドライバ部(不図示)などを有している。制御部80より画像形成動作開始信号が発せられると、選択された用紙サイズ等により選択された給紙段から転写材Pの給紙を開始する。
【0046】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。
【0047】
制御部80より画像形成動作開始信号が発せられると、まずピックアップローラ22aにより、カセット21aから転写材Pが一枚ずつ送り出される。そして給紙ローラ対23によって、転写材Pが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25a,25bまで搬送される。そのとき、レジストローラ25a、25bは停止されており、紙先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10a〜10dが画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ25a,25bは回転を始める。レジストローラ25a,25bの回転は、転写材Pと、画像形成部10a〜10dより中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー画像とが、2次転写領域Teにおいてちょうど一致するようにそのタイミングが設定されている。
【0048】
一方、画像形成部10dでは、制御部80からの画像形成動作開始信号が発せられると、感光ドラム11d上に形成されたトナー像が、高電圧が印加された1次転写用帯電器35dにより1次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31に1次転写される。1次転写されたトナー像は次の1次転写領域Tcまで搬送される。そこでは各画像形成部間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、前画像の上にレジストレーション(画像位置)を合わせて次のトナー像が転写される。他の色の1次転写領域Ta,Tb,Tcについても同様の工程が繰り返され、結局4色のトナー像が中間転写ベルト31上に1次転写される。
【0049】
その後、転写材Pが2次転写領域Teに進入、中間転写ベルト31に接触すると、転写材Pの通過タイミングに合わせて2次転写ローラ36に高電圧が印加される。そして、前述したプロセスにより中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー像が転写材Pの表面に一括転写される。その後、転写材Pは搬送ガイド43によって、定着ローラ対41のニップ部まで正確に案内される。そして定着ローラ対41の熱及びニップの圧力によってトナー画像が紙表面に定着される。その後、内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45により搬送され、転写材Pは機外に排出される。
【0050】
プリンタ部1Pには、各感光ドラム11a〜11d上で形成された各カラー画像のレジストレーションのずれ、つまり色ずれを補正するためのレジセンサ60が設けられている。レジセンサ60は、転写領域A面上で、かつすべての画像形成部10の下流の位置で、駆動ローラ32にてベルト31が折り返される前の位置に設置されている。色ずれ(レジずれ)の発生原因は、各感光ドラム11a〜11d間の機械的取り付け誤差および各露光部13a〜13dによって発生するレーザビーム光の光路長誤差又は光路変化、又はLEDの環境温度による反り等である。
【0051】
さらに、濃度制御時にパッチの濃度を測定する濃度センサ61がレジセンサ60の近傍に配置されている。濃度制御が行なわれた際には、この濃度センサ61により、それぞれのパッチの濃度測定を行う。
【0052】
(レジずれ補正例)
以下、レジずれ補正動作について図2を用いて説明する。
【0053】
図2は、図1のプリンタ部1Pの部分断面図である。
【0054】
図2では、画像形成部10aが示されているが、以下の動作は画像形成部10b,10c,10dも同様に実行される。
【0055】
制御部80は、画像形成部10b,10c,10dの制御を行うために共通して使用する制御部である。制御部80内のレジストレーション補正用パターン発生部81からの信号によって、各感光ドラム11a〜11dから転写ベルト31上にレジストレーション補正用パターン画像(色ずれ検知用画像)が作成される。また、制御部80内のトナー濃度調整用パターン発生部82からの信号によって、各感光ドラム11a〜11dから転写ベルト31上にトナー濃度調整用パターン画像が作成される。
【0056】
レジセンサ60は、発光素子及び受光素子(不図示)で構成されており、転写ベルト31上に作成されたレジストレーション補正用パターン画像Saを読み取り、各色に相当する感光ドラム11a〜11d上でのレジずれを検知する。
【0057】
制御部80は、この検知結果に基づいて、記録されるべき画像信号に電気的補正をかけたり、又は、レーザビーム光路中に設けられている折り返しミラー16a〜16dを駆動したりして、レーザビームの光路長変化又は光路変化の補正を行っている。
【0058】
(濃度センサの構成例)
図3は、濃度センサ61の概略構成図である。
【0059】
濃度センサ61は、LEDなどの赤外発光素子3051と、フォトダイオード、Cds等の受光素子3052a,3052bと、受光データを処理するIC(不図示)などと、これらを収容するホルダー(不図示)とを備えている。
【0060】
制御部80内のトナー濃度調整用パターン発生部82からの信号によって、各感光ドラム11a〜11dから転写ベルト31上にトナー濃度調整用パターン画像を転写して、つまりトナーパッチ3064が作成される。
【0061】
受光素子3052aは、中間転写ベルト31上のトナーパッチ3064からの乱反射光強度を検知し、受光素子3052bはトナーパッチ3064からの正反射光強度を検知する。正反射光強度と乱反射光強度の両方を検知することにより、高濃度から低濃度までのトナーパッチ3064の濃度を検知することができる。受光素子3052a,3052bは検出した光の量に応じて出力値を変化させるA/D変換(10ビット)を実行し、デジタル信号にされた後、輝度―濃度変換テーブルにて濃度情報に変換される。当該濃度情報に基づき、後述する各種制御を実行し、色の安定性を確保する。
【0062】
(カラーセンサの構成例)
図4は、カラーセンサ62の概略構成図である。
【0063】
定着後のパッチの色を検知するカラーセンサ62は、図1の定着部40より転写紙搬送方向において下流に配置されており、転写材P上に形成された定着後のパッチ3061を読み取り、RGB出力値を検知する。
【0064】
カラーセンサ62は、白色LED(発光素子)3053と、RGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ(受光素子)3054a及びトリガー信号に使用するフォトダイオード(PD)3054bを有する受光部3054とで構成される。
【0065】
白色LED3053の光線をパッチ画像3061が形成された転写材Pに対して斜め45度より入射させ、0度方向への乱反射光強度をRGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ3054aにより検知する。RGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ3054aは、RGBの各色を受光できるように構成されている。RGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ3054aの電荷蓄積型センサは、フォトダイオードでも良い。RGBの3画素のフィルタセットを複数備えていてもよい。
【0066】
また、白色LED(発光素子)3053の光線の入射角が0度となり、その反射角が45度となるように、白色LED(発光素子)3053と受光部3054との配置を変更してもよい。更に、白色LED(発光素子)3053及び受光部3054を有する構成に代えて、RGB3色が個別に発光するLEDとフィルタ無しセンサを有する構成にしてもよい。
【0067】
以上のように構成されたカラーセンサ62で、転写材P上のパッチ画像3061のRGB出力値を検出し、プリンタコントローラに返却し、各種画像制御を行う。
【0068】
<第1の実施の形態の画像データ作成例>
図5を用いて、通常画像形成時の制御部80から画像形成部10dの露光部13dに入力される画像データの、第1の実施の形態の生成方法を説明する。
【0069】
図5は、第1の実施の形態の制御部80及び画像形成部10dの露光部13dの概略構成図である。
【0070】
同図では、1次転写平面Aの最上流の画像形成部10dをYステーション(Yellow)とする。画像形成部10dでは、イエロー(Y)の画像に微小なドットトナー像を重ね合わせる。これは、最上流の画像形成部10dの画像にドットトナー像を付加することで、下流の全ての画像形成部(10a,10b,10c)の一時転写時に、そのドットトナー像が摩擦力変動を緩和するように働くからである。つまり、ドットトナー像は転写ショック軽減の機能を果たす。また、イエローのドットであれば、他のM、C、Kのドットに比べて、記録媒体に転写された後に目立ちにくいからである。かかるドットトナー像とは、少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像である。かかるドット分散画像の形成を、ドット分散画像形成処理と称する。
【0071】
図5において、ホストPC101又はリーダ部1Rから入力された画像情報は、制御部80の画像処理部103で処理され、レーザユニットを駆動するための画像濃度信号(a)として出力される。
【0072】
制御部80は、ドットパターン形成部106、論理演算回路110−1、及び領域信号生成部108−1を備え、イエローの画像形成部10dであるYステーションに対して制御を実行する。
【0073】
ドットパターン形成部106では、微小なドットトナー像を形成するためのドットパターン信号(b)が生成され、濃度判定回路104に送信される。濃度判定回路104では、ドットパターン信号(b)が“1”の場合には、画像濃度信号(a)をそのままPWM回路107に送信する。一方、ドットパターン信号(b)が“0”の場合には、ドットパターン用に定義された所定濃度値を示す画像濃度信号を露光部13dのPWM回路107に送信する。
【0074】
PWM回路107では、図6で示されるような、画像濃度信号に応じたパルス幅を生成するPWMテーブルにより、濃度判定回路104から受信した画像濃度信号がパルス幅信号に変換されて、レーザユニット105に送られる。感光ドラム11d上に形成されるトナー像は、画像情報と微小なドットパターンとを重ね合わせたものになる。本例では、各画素については画像情報と微小なドットパターンとのいずれかが形成される。
【0075】
領域信号生成部108−1は、ドットパターン形成部106でドットパターンを形成する領域を指示するためのエリア信号を生成する。このエリア信号は、主走査用紙エリア信号(c)、副走査用紙エリア信号(d)、主走査ドットパターンエリア信号(e)及び副走査ドットパターンエリア信号(f)を含む。
【0076】
論理演算回路110−1は、これら4つの信号を受信する。そして、以下の論理条件で、ドットパターンイネーブル信号(g-1)をドットパターン形成部106に出力する。その論理条件は、上記主走査及び副走査用紙エリア信号(c),(d)が“0”で、かつ主走査ドットパターンエリア信号(e)又は副走査ドットパターンエリア信号(f)が“0”の場合である。
【0077】
すなわち、論理式で表すと、
/g = /c and /d and (/e or /f)、(/は負論理の意味)
となる。
【0078】
ドットパターン形成部106においてドットパターンイネーブル信号(g-1)が“0”の場合に、ドットパターンの形成が実行される。
【0079】
通常の画像形成時には、用紙エリア信号(即ち信号(c),(d))とドットパターンエリア信号(即ち信号(e),(f))とがほぼ同じ状態になっている。そのため、用紙全面に渡ってドットパターンが形成され、図7のように通常画像とドットパターンとが重ねられる。
【0080】
(ドットパターン形成部の構成及び動作例)
ドットパターン形成部106の処理を図8と図9で説明する。
【0081】
図8は、ドットパターン形成部106の概略構成図であり、図9は、ドットパターン形成部106の動作を示すタイミングチャートである。
【0082】
例として、ドットパターンを形成する微小領域の主走査方向のドット数を8ドット、副走査方向のドット数を6ドット、シフトドット数を1とする。また、微小領域内に形成するドットの数は1つのみとし、その位置は微小領域内の(X,Y)=(3,0)とする。
【0083】
ドットパターン形成部106は、カウンタ201、カウンタ202、カウンタ203及びルックアップテーブル(LUT)204を備えている。
【0084】
カウンタ201は、主走査方向の位置をカウントするものであり、画像クロックを入力にして、0から7のカウントを繰り返す。カウンタ201は、初期値のロードが可能となっており、カウンタ203の出力を初期値として、主走査トップ信号をロード信号にしている。カウンタ202は、主走査トップ信号をクロックとしてカウントアップするカウンタであり、0から5のカウントを繰り返す。カウンタ203は、シフト時の初期値をカウントするカウンタであり、カウンタ202がオーバーフローする度にカウントアップしていき、主走査トップ信号が入ると、そのカウント値がカウンタ201にロードされる。LUT204には、カウンタ201のカウント値とカウンタ202のカウント値が入力され、その組み合わせがLUT204で設定された値と一致すると、LUT204の出力が“High”となり、微小ドットパターンが形成される。
【0085】
図10は、微小ドットパターンが形成されたトナー像の一例を示す図である。
【0086】
図10の小さな四角一つ一つが画素であり、斜線の画素にドットパターンによるトナー像が形成されている。
【0087】
主走査6ライン毎に微小領域の主走査位置が1ドットづつ主走査方向と反対にシフトしているので、微小ドットが形成される主走査位置が均一となる。これにより、2次転写ローラに縦スジ汚れが発生したり、クリーニングブレードの特定位置にトナーが溜まったり、又は、記録媒体に転写されたドットトナー像が目立ってしまうという問題が発生しない。
【0088】
本実施の形態ではシフトドット数kを1にした。しかし、微小領域の主走査方向のサイズmが8ドットの場合には、mとkの最大公約数が1となるようなシフトドット数kの値(例えば3,5,7等)を採用しても、微小ドットが形成される主走査位置を均一にできる。
【0089】
(第1の実施の形態の画像調整時のパッチ画像とドットパターン形成例)
次に、カラーセンサによる画像調整時のパッチ画像とドットパターン形成の方法を説明する。
【0090】
パッチ画像は、図5のトナー濃度調整用パターン発生部82で生成される。先に述べたように、カラーセンサ62は主走査方向に2つ実装されているため(手前側のカラーセンサ62a、奥側のカラーセンサ62b)、同時に2つのパッチを読み取ることができる。そこで、例えば、マゼンタのパッチ画像を副走査方向に濃度を変えて一列に形成して手前側のカラーセンサ62aで読み取る。一方、奥側のカラーセンサ62bでは、シアンのパッチ画像を副走査方向に濃度を変えて一列に形成して読み取るということが可能となる。この際のパッチ画像は、図11のように形成する。各4角形のパッチ画像内の楕円形の点線部が実際にカラーセンサ62が読み取る領域である。
【0091】
パッチ画像形成時には、領域信号生成部108−1からは、図12のようにパッチ画像をよけるようにエリア信号(即ち、主走査ドットパターンエリア信号(e)及び副走査ドットパターンエリア信号(f))が出力される。そのため、イエロートナーによるドットトナー像とシアン及びマゼンタトナーのパッチ画像が重ならず、カラーセンサ62によるパッチ画像の読み取り時にも、イエローのドットトナー像による影響が無い。また最上流の画像形成部10dでドットトナー像を形成するので、それ以下の画像形成部10a〜10cでの摩擦係数の変化を押さえる効果がある。
【0092】
図12ではパッチ画像とドットトナー像とが全く重ならない例を示したが、パッチ画像の読み取り時にドットトナー像の影響が無いようにすれば良いので、必ずしも重ならないようにする必要は無い。
【0093】
図12のパッチ画像を詳細に示すと図13Aとなるが、図13Bのように破線で囲んだカラーセンサ62の読み取り箇所(パッチ画像読取領域)だけ、ドットトナー像を形成しないようにパッチ画像形成部109を制御しても良い。
【0094】
本第1の実施の形態によれば、領域信号生成部108−1及び論理演算回路110−1が、ドットパターン形成部106を制御する。そして、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成されるパッチ画像に、又はパッチ画像の読み取り領域にドットパターンが重ならないようにする。これにより、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる。
【0095】
<第2の実施の形態の画像データ作成例>
本第2の実施の形態が、ドットトナー像が副走査方向に帯状に形成される点で上記第1の実施の形態と異なる。上記第1の実施の形態と同様に、カラーセンサ用のパッチ画像形成時を例に説明する。
【0096】
図14を用いて、パッチ画像形成時の露光部13dに入力される画像データの第2の実施の形態の生成方法を説明する。
【0097】
図14は、第2の実施の形態の画像形成部10d及び露光部13dの概略構成図である。上記図5との違いは、領域信号生成部108−2が副走査ドットパターンエリア信号(f)を論理演算回路110−2に出力しないことである。
【0098】
図14において、ホストPC101又はリーダ部1Rから入力された画像情報は、画像処理部103で処理される。パッチ画像用の画像情報は、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成され、画像処理部103で処理される。これらの処理された画像情報は、レーザユニットを駆動するための画像濃度信号(a)として出力される。
【0099】
制御部80は、ドットパターン形成部106、論理演算回路110−2、及び領域信号生成部108−2を備え、イエローの画像形成部10dであるYステーションに対して制御を実行する。
【0100】
ドットパターン形成部106では、微小なドットトナー像を形成するためのドットパターン信号(b)が生成され、濃度判定回路104に送信される。濃度判定回路104では、ドットパターン信号(b)が“1”の場合には、画像濃度信号(a)をそのままPWM回路107に送信する。一方、ドットパターン信号(b)が“0”の場合には、ドットパターン用に定義された所定濃度値を示す画像濃度信号をPWM回路107に送信する。
【0101】
Yステーション10dのPWM回路107では、図6で示されるような、画像濃度信号に応じたパルス幅を生成するPWMテーブルにより、濃度判定回路104から受信した画像濃度信号がパルス幅信号に変換され、レーザユニット105に送られる。感光ドラム11d上に形成されるトナー像は画像情報と微小なドットパターンとを重ね合わせたものになる。本例では、各画素については画像情報と微小なドットパターンとのいずれかが形成される。
【0102】
領域信号生成部108−2は、ドットパターン形成部106でドットパターンを形成する領域を指示するためのエリア信号を生成する。このエリア信号は、主走査用紙エリア信号(c)、副走査用紙エリア信号(d)及び主走査ドットパターンエリア信号(e)を含む。
【0103】
論理演算回路110は、これら3つの信号を受信する。そして、主走査用紙エリア信号(c)及び副走査用紙エリア信号(d)が“0”で、かつ主走査ドットパターンエリア信号(e)が“0”の場合に、ドットパターンイネーブル信号(g-2)をドットパターン形成部106に出力する。
【0104】
すなわち、論理式で表すと、
/g = /c and /d and /e、(/は負論理の意味)
となる。
【0105】
ドットパターン形成部106においてドットパターンイネーブル信号(g-2)が“0”の場合に、ドットパターンの形成が実行される。
【0106】
本第2の実施の形態では、図15のように、ドットトナー像が副走査方向に帯状に形成される。パッチ画像にドットトナー像が重ならないように、主走査ドットパターンエリア信号(e)が出力される。そのため、ドットトナー像が形成される領域が狭くなるが、ドットパターンエリア内では副走査方向のどの位置でもドットトナー像が存在する。これにより、パッチ画像のスジむらを防ぐことができる。
【0107】
本第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様に、パッチ画像とドットトナー像が全く重ならない例を示したが、パッチ画像読み取り時にドットトナー像の影響が無いようにすれば良いので、必ずしも重ならないようにする必要は無い。図15の方法のパッチ部を詳細に示すと図16Aとなるが、図16Bのように破線で囲まれたカラーセンサの読み取り部(パッチ画像読取領域)だけ、ドットトナー像を形成しないように制御しても良い。
【0108】
本第2の実施の形態によれば、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成されるパッチ画像に、又はパッチ画像の読み取り領域に、ドットパターンが重ならないように、ドットパターン形成部106がドットトナー像を副走査方向に帯状に形成する。これにより、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる。
【0109】
<第3の実施の形態の画像データ作成例>
本第3の実施の形態が、ドットトナー像が主走査方向に帯状に形成される点で上記第1の実施の形態と異なる。上記第1の実施の形態と同様に、カラーセンサ用のパッチ画像形成時を例に説明する。
【0110】
図17を用いて、パッチ画像形成時の露光部13dに入力される画像データの第3の実施の形態の生成方法を説明する。
【0111】
図17は、第3の実施の形態の画像形成部10d及び露光部13dの概略構成図である。上記図5との違いは、領域信号生成部108−3が主走査ドットパターンエリア信号(e)を論理演算回路110−3に出力しないことである。
【0112】
図17において、ホストPC101又はリーダ部1Rから入力された画像情報は、画像処理部103で処理される。パッチ画像用の画像情報は、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成され、画像処理部103で処理される。これらの処理された画像情報は、レーザユニットを駆動するための画像濃度信号(a)として出力される。
【0113】
制御部80は、ドットパターン形成部106、論理演算回路110−3、及び領域信号生成部108−3を備え、イエローの画像形成部10dであるYステーションに対して制御を実行する。
【0114】
ドットパターン形成部106では、微小なドットトナー像を形成するためのドットパターン信号(b)が生成され、濃度判定回路104に送信される。濃度判定回路104では、ドットパターン信号(b)が“1”の場合には、画像濃度信号(a)をそのままPWM回路107に送信する。一方、ドットパターン信号(b)が“0”の場合には、ドットパターン用に定義された所定濃度値を示す画像濃度信号をPWM回路107に送信する。
【0115】
Yステーション10dのPWM回路107では、図6で示されるような、画像濃度信号に応じたパルス幅を生成するPWMテーブルにより、濃度判定回路104から受信した画像濃度信号がパルス幅信号に変換され、レーザユニット105に送られる。感光ドラム11d上に形成されるトナー像は画像情報と微小なドットパターンを重ね合わせたものになる。本例では、各画素については画像情報と微小なドットパターンとのいずれかが形成される。
【0116】
領域信号生成部108−3は、ドットパターン形成部106でドットパターンを形成する領域を指示するためのエリア信号を生成する。このエリア信号は、主走査用紙エリア信号(c)、副走査用紙エリア信号(d)及び副走査ドットパターンエリア信号(f)を生成する。
【0117】
論理演算回路110−3は、これら3つの信号を受信する。そして、主走査用紙エリア信号(c)及び副走査用紙エリア信号(d)が“0”で、かつ副走査ドットパターンエリア信号(f)が“0”の場合に、ドットパターンイネーブル信号(g-3)をドットパターン形成部106に出力する。
【0118】
すなわち、論理式で表すと、
/g = /c and /d and /f、(/は負論理の意味)
となる。
【0119】
ドットパターン形成部106において、ドットパターンイネーブル信号(g-3)が“0”の場合に、ドットパターンの形成が実行される。
【0120】
本第3の実施の形態では、パッチ画像は、図17のトナー濃度調整用パターン発生部82で生成される。図18のように、ドットトナー像が主走査方向に帯状に形成される。パッチ画像にドットトナー像が重ならないように、副走査ドットパターンエリア信号(f)が出力されるため、ドットトナー像が形成される領域が狭くなる。しかし、用紙エリア内では副走査方向のどの位置でもドットトナー像もしくはパッチ画像が存在するため、ドットトナー像の効果により、パッチ画像のスジむらを防ぐことができる。ただし、この場合には、パッチ画像の横幅を大きくするなどして、ドットトナー像が形成される領域とパッチ画像が形成される領域との間で、用紙と搬送ローラの間に生じる摩擦の差が発生しないようにする必要がある。
【0121】
本第3の実施の形態も第1の実施の形態と同様に、パッチ画像とドットトナー像が全く重ならない例を示したが、パッチ画像読み取り時にドットトナー像の影響が無いようにすれば良いので、必ずしも重ならないようにする必要は無い。図18の方法のパッチ部を詳細に示すと図19Aとなるが、図19Bのように破線で囲まれたカラーセンサの読み取り部(パッチ画像読取領域)だけ、ドットトナー像を形成しないように制御しても良い。
【0122】
本第3の実施の形態によれば、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成されるパッチ画像に、又はパッチ画像の読み取り領域に、ドットパターンが重ならないように、ドットパターン形成部106がドットトナー像を主走査方向に帯状に形成する。これにより、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる。
【0123】
<第4の実施の形態の画像データ作成例>
本第4の実施の形態と上記第1〜3の実施の形態との違いは、パッチ画像が中間転写体上に形成されるものの、転写材には転写されないことである。中間転写体上に形成されたパッチ画像は濃度センサ61により読み取られ、その後、クリーニング手段によりクリーニングされる。
【0124】
図20を用いて、パッチ画像形成時の露光部13dに入力される画像データの第4の実施の形態の生成方法を説明する。
【0125】
図20は、第4の実施の形態の画像形成部10d及び露光部13dの概略構成図である。上記図5との違いは、領域信号生成部108−4が主走査用紙エリア信号(c)及び副走査用紙エリア信号(d)を論理演算回路110−4に出力しないことである。
【0126】
図20において、ホストPC101又はリーダ部1Rから入力された画像情報は、画像処理部103で処理される。パッチ画像用の画像情報は、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成され、画像処理部103で処理される。これらの処理された画像情報は、レーザユニットを駆動するための画像濃度信号(a)として出力される。
【0127】
制御部80は、ドットパターン形成部106、論理演算回路110−4、及び領域信号生成部108−4を備え、イエローの画像形成部10dであるYステーションに対して制御を実行するようにしてもよい。
【0128】
ドットパターン形成部106では、微小なドットトナー像を形成するためのドットパターン信号(b)が生成され、濃度判定回路104に送信される。濃度判定回路104では、ドットパターン信号(b)が“1”の場合には、画像濃度信号(a)をそのままPWM回路107に送信する。一方、ドットパターン信号(b)が“0”の場合には、ドットパターン用に定義された所定濃度値を示す画像濃度信号をPWM回路107に送信する。
【0129】
Yステーション10dのPWM回路107では、図6で示されるような、画像濃度信号に応じたパルス幅を生成するPWMテーブルにより、濃度判定回路104から受信した画像濃度信号がパルス幅信号に変換され、レーザユニット105に送られる。感光ドラム11d上に形成されるトナー像は画像情報と微小なドットパターンを重ね合わせたものになる。本例では、各画素については画像情報と微小なドットパターンとのいずれかが形成される。
【0130】
領域信号生成部108−4は、ドットパターン形成部106でドットパターンを形成する領域を指示するためのエリア信号を生成する。このエリア信号は、主走査ドットパターンエリア信号(e)及び副走査ドットパターンエリア信号(f)を含む。
【0131】
論理演算回路110−4は、これら2つの信号を受信する。主走査ドットパターンエリア信号(e)もしくは副走査ドットパターンエリア信号(f)が“0”の場合に、ドットパターンイネーブル信号(g-4)をドットパターン形成部106に出力する。
【0132】
すなわち、論理式で表すと、
/g = /e or /f、(/は負論理の意味)
となる。
【0133】
ドットパターン形成部106においてドットパターンイネーブル信号(g-4)が“0”の場合に、ドットパターンの形成が実行される。ドットパターンを形成するエリアは、パッチ画像に対してスジむらが発生しないように、パッチ画像よりも手前からドットパターンが形成されるように制御される。
【0134】
本第4の実施の形態では、領域信号生成部108−4は、パッチ画像形成時に図21のようにパッチ画像をよけるように主走査ドットパターンエリア信号(e)及び副走査ドットパターンエリア信号(f)を出力する。そのため、イエロートナーによるドットトナー像とパッチ画像が重ならず、濃度センサ61によるパッチ画像読み取り時にも、イエローのドットトナー像による影響が無い。
【0135】
図21では、パッチ画像とドットトナー像が全く重ならない例を示したが、パッチ画像読み取り時にドットトナー像の影響が無いようにすれば良いので、必ずしも重ならないようにする必要は無い。パッチ画像とドットトナー像の関係は、図13Aのようになっている必要は必ずしもなく、図13Bのようでも良いし、図16や図19のようにドットトナー像を帯状に形成しても同様の効果が得られる。
【0136】
本第4の実施の形態によれば、領域信号生成部108−4及び論理演算回路110−4が、ドットパターン形成部106を制御する。そして、トナー濃度調整用パターン発生部82で生成されるパッチ画像に、又はパッチ画像の読み取り領域にドットパターンが重ならないようにする。これにより、色の安定化のためのパッチ画像形成時に、スジむらの発生を抑えつつ、パッチ画像に対するドット分散画像の影響を回避することができる。
【0137】
<他の実施の形態例>
なお、本実施の形態では中間転写体上に濃度検出用のパッチ画像を形成する場合の例を説明したが、濃度検出用のパッチ画像が感光体上に形成され、感光体上のパッチ画像を濃度センサが検出する場合にも、上記各実施の形態の技術を利用できる。
【0138】
摩擦力の変化による画像スジは、カラー画像形成時のみに限らず、例えばカラー画像形成装置でブラック単色の画像形成を行う場合にも発生する。そのため、モノクロ画像形成時にも本発明を利用することにより、高品質の画像形成を行うことができる。
【0139】
また、中間転写体を使用しない画像形成装置において、像担持体から直接転写材搬送体等に搭載された転写材に現像剤像を転写する構成においても、本発明は適用できる。その場合、転写材搬送体と像担持体との移動速度に周速差が設けられることが多い。また、転写材搬送体と像担持体との移動速度に周速差を設けない構成でも、駆動ローラの偏芯等により意図しない速度差が発生する場合には、本発明を適用できる。
【0140】
以上に説明した画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0141】
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0142】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0143】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスクを用いることができる。また、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0144】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0145】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部断面図である。
【図2】図1のプリンタ部の部分断面図である。
【図3】濃度センサの概略構成図である。
【図4】カラーセンサの概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る画像形成部及び露光部の概略構成図である。
【図6】画像濃度信号とパルス幅との関係を示すPWMテーブルの一例を示す図である。
【図7】用紙全面に渡ってドットパターンが形成されている状態を示す図である。
【図8】ドットパターン形成部の概略構成図である。
【図9】ドットパターン形成部の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】微小ドットパターンが形成されたトナー像の一例を示す図である。
【図11】パッチ画像とカラーセンサの読み取り領域との関係を示す図である。
【図12】第1の実施の形態に係るパッチ画像とドットトナー像との関係を示す図である。
【図13A】図12でパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図13B】図12でカラーセンサの読み取り領域においてパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図14】第2の実施の形態に係る画像形成部及び露光部の概略構成図である。
【図15】第2の実施の形態に係るパッチ画像とドットトナー像との関係を示す図である。
【図16A】図15でパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図16B】図15でカラーセンサの読み取り領域においてパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図17】第3の実施の形態に係る画像形成部及び露光部の概略構成図である。
【図18】第3の実施の形態に係るパッチ画像とドットトナー像との関係を示す図である。
【図19A】図18でパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図19B】図18でカラーセンサの読み取り領域においてパッチ画像とドットトナー像とが重ならない状態を示す図である。
【図20】第4の実施の形態に係る画像形成部及び露光部の概略構成図である。
【図21】第4の実施の形態に係るパッチ画像とドットトナー像との関係を示す図である。
【図22】従来のカラーセンサの読み取り濃度と読み取り位置との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0147】
1R リーダ部
10 画像形成部
13 露光部
30 中間転写ユニット
34 2次転写対向ローラ
35(35a〜35d) 1次転写用帯電器
36 2次転写ローラ
80 制御部
81 レジストレーション補正用パターン発生部
82 トナー濃度調整用パターン発生部
101 ホストPC
103 画像処理部
104 濃度判定回路
105 レーザユニット
106 ドットパターン形成部
107 PWM回路
108 領域信号生成部
110 論理演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報により像担持体上に現像剤像を形成する画像形成手段と、
当該像担持体上の現像剤像又はパッチ画像を中間転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、
前記像担持体上に少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像を形成するドット分散画像形成手段と、
画像調整のためのパッチ画像を前記像担持体上のいずれかの領域に形成するパッチ画像形成手段と、
前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の読み取り領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の領域を含む主走査方向の帯状の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の領域を含む副走査方向の帯状の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の読み取り領域を含む主走査方向の帯状の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記パッチ画像形成手段により形成されるパッチ画像の読み取り領域を含む副走査方向の帯状の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置がカラー画像を形成する場合に、前記ドット分散画像形成手段は、イエローのドット分散画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記パッチ画像形成手段により形成され中間転写体に転写されたパッチ画像を読み取るパッチ画像読取手段と、
当該読み取られたパッチ画像を中間転写体から除去する除去手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像情報により像担持体上に現像剤像を形成する画像形成工程と、
当該像担持体上の現像剤像又はパッチ画像を中間転写体又は記録媒体に転写する転写工程と、
前記像担持体上に少なくとも1つのドット単位の面積を有するドット現像剤像を複数分散したドット分散画像を形成するドット分散画像形成工程と、
画像調整のためのパッチ画像を前記像担持体のいずれかの領域に形成するパッチ画像形成工程と、
前記パッチ画像形成工程により形成されるパッチ画像の領域に前記ドット分散画像が形成されないように、前記ドット分散画像形成工程を制御する制御工程とを備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置の制御方法の工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶したを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−158506(P2008−158506A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305072(P2007−305072)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】