説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ

【課題】疎水性シリカ粒子の感光体への付着を抑止し、良好な解像度の高画像品質が形成可能な画像形成装置等の提供。
【解決手段】支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、静電潜像を、疎水化処理されているシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを有し、表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、クリーニングブラシが、クリーニングブレードに対し電子写真感光体の回転方向下流側に配置されている画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、複写機、レーザープリンタなどに応用されているが、それに使用される電子写真感光体(以下、「感光体」と称することもある)としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機感光体が主流であった時代から、現在では、地球環境への負荷低減、低コスト化、及び設計自由度の高さで無機感光体よりも有利な有機感光体(OPC)が広く利用されるようになっている。
【0003】
このような有機感光体は、層構成別に分類することができ、例えば、(1)ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体を導電性支持体上に設ける均質単層型、(2)フタロシアニン、ペリレン等の顔料を樹脂中に分散させたものを導電性支持体上に設ける分散単層型、(3)導電性支持体上に設ける感光層を、アゾ顔料等の電荷発生物質を含有する電荷発生層(CGL)と、トリフェニルアミン等の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(CTL)に機能分離した積層型に分類することができる。
【0004】
前記(3)の積層型の場合、電荷発生層の上に電荷輸送層を設ける構造と、これと逆の構造があり、前者が一般的であり、後者を特に逆層と呼ぶ場合がある。
特に、積層型は、高感度化に有利であり、加えて、高感度化及び高耐久化に対する設計上の自由度が高いこともあって、現在、有機感光体の多くは、この層構成が採られている。
近年、地球環境保全に配慮したものづくりの重要度が増すに至り、電子写真感光体はサプライ製品(使い捨てされる消耗品)から機械部品としての転換が求められている。
このためには電子写真感光体の高寿命化が必要であり、この対応として、特に有機感光体の場合、感光層の上に耐摩耗性に優れた保護層で表面層が形成されるケースが一般的となりつつある。
【0005】
また、電子写真に用いられるトナーは、トナー製造時の地球環境負荷低減の向上、低温定着による低消費電力対応、及び高画質化に有利であることから、重合トナー、球形トナー及び小粒径トナー(大凡、6μm以下)を使用することが主流となりつつある。
一方、転写工程後に感光体上に残留するトナーの除去は、ゴムなどの弾性体からなるクリーニングブレードのエッジを感光体表面に、回転方向に対して対向する向き、いわゆるカウンター方向で圧接させて掻き落とす構成としたものが広く知られている。
感光体からトナーを除去すると言う点では、トナー粒径が小さくなるにつれて難しくなり、特にクリーニングブレードによるクリーニングの場合、トナー粒径が小さくなるにつれてエッジをすり抜け易くなる。
【0006】
これらの課題を解決するためのトナーとしては、トナーの母体粒子の表面に疎水化処理されてなるシリカ粒子を外添し、感光体とトナーの付着力を下げることで、クリーニング性を高める方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、クリーニングブレードとしては、反発弾性率、ゴム硬度(JIS−A硬度)が特定のゴム特性を有し、1mm〜5mm幅にカットしたゴム製の短冊状(シート状)のものを、アルミニウム、鉄製の板状支持基体に取り付けたものが提案されている(特許文献2〜4参照)。
【0007】
これらの技術によって、トナーのクリーニング性は向上するものの、トナーに外添されるシリカ粒子がトナーから脱離・分離し、感光体表面に付着すると、それらの付着物は粒子径が非常に小さく、従来のクリーニング手段ではクリーニングが困難になり、感光体表面に残留し、ブレードの圧力と摩擦熱によって固着する、いわゆるフィルミングが発生する問題を有している。
特に、感光体に表面保護層を設けた場合、感光体の摩耗量が減少することによって、より除去が困難になったため、繰り返しの使用において付着したシリカ粒子を起点としてシリカ粒子及びトナー成分が感光体上に序所に付着していき、付着物が画像に現れる異常画像の発生につながるという問題を有しており、耐摩耗性の高い感光体を有し、更に長期間に亘り異常画像の抑制を兼ね備えた画像形成装置が必要とされている。
【0008】
また、クリーニング能力を高めるその他の手段として、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用したクリーニング手段を使用する方法がある(特許文献5〜10参照)。
クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用したクリーニング手段の場合には、クリーニングブラシは、クリーニングブレードで取れにくい異物を強制的に除去する働きを有するものの、感光体回転方向に対し、クリーニングブレードの上流側にクリーニングブラシが備わる構成においては、クリーニングブラシに残留トナーが大量に入り込むため、短期の繰り返し使用にてクリーニングブラシの汚れが促進し、長期間に亘ってクリーニング性を維持することができず、クリーニング能力が十分得られなかった。
【0009】
また、クリーニングブラシを用いてクリーニング能力を高めるその他の手段として、感光体回転方向に対し、クリーニングブラシの上流側にクリーニング補助手段を併用し、クリーニング補助手段としては、繊維体又は板状部材を感光体に接触させることで、クリーニングを行う方法がある(特許文献11及び12参照)。
しかし、これらの方法も、クリーニング補助手段と感光体の接触面積が広いため、繰り返し使用によって特に補助手段のトナー汚れが顕著になり、それに伴い補助手段のクリーニング機能が低下するため、下流側のクリーニングブラシで十分トナーを除去することができず、異常画像を生じるという問題がある。
【0010】
更に、クリーニングブラシを用いてクリーニング能力を高めるその他の手段として、例えば、クリーニングブラシと研磨装置を併用したクリーニング手段を使用する方法が提案されている(特許文献13〜14参照)。これらの提案の方法は、感光体の最表面を削ることで、感光体への付着物を除去する方法であり、耐摩耗性に優れた表面保護層を有する感光体と併用することで有用な効果が得られる。
しかし、これらの研磨粒子を含有する除去部材は感光体上にトナーに外添されるシリカ粒子が付着した際の除去性には優れているものの、表面に凹凸を有するため、残留トナーの除去性が低くなる。その結果、トナーのすり抜けが発生し、異常画像を引き起こしたり、研磨粒子を含有する除去部材にトナーが混入し、更に付着して、研磨効果が低下するなどの問題が生じているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐摩耗性の高い高耐久性の電子写真感光体を用いてトナーの外添剤に用いる疎水性シリカ粒子が作用して起こる感光体への付着を抑止し、良好な解像度の高画像品質が形成可能な画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を、疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、
帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像を、疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング工程と、を含む画像形成方法であって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング工程が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを用いて行われ、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されていることを特徴とする画像形成方法である。
<3> 支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、
疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジであって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、耐摩耗性の高い高耐久性の電子写真感光体を用いてトナーの外添剤に用いる疎水性シリカ粒子が作用して起こる感光体への付着を抑止し、良好な解像度の高画像品質が維持可能な画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置に用いる表面保護層を有する電子写真感光体の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置の一例におけるクリーニング手段の構成を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置の一例を説明するための概略図である。
【図4】図4は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。なお、前記帯電手段と前記露光手段を合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
前記電子写真感光体は、支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば定着工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。なお、前記帯電工程と前記露光工程を合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
【0016】
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0017】
<電子写真感光体>
前記電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に感光層と、少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0018】
本発明の電子写真感光体は、その層構成について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、支持体と、該支持体上に少なくとも積層構造の感光層(電荷発生層、電荷輸送層)、及び表面保護層をこの順に有してなり、必要に応じて下引き層を有していてもよく、該表面保護層が、最表面である。なお、支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層構造の感光層、該感光層上に表面保護層を有する態様であっても構わない。
【0019】
ここで、図1は、本発明で用いられる耐摩耗性に優れた表面保護層が設けられた電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
この図1の電子写真感光体は、支持体21上に感光層22を設け、最表面に耐摩耗性に優れた表面保護層28が設けられたものであり、感光層22は、電荷発生層25と、電荷輸送層26との機能分離型積層構造であり、支持体21と感光層22の間に下引き層24を有している。なお、下引き層24は、設けられてなくてもよい。
【0020】
<<表面保護層>>
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい1種の金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とは、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たす。これにより、高い耐久性とクリーニング性を両立させることが可能となる。
即ち、前記表面保護層の平均厚みD、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、特定の関係を示した場合に優れた効果が得られる要因としては定かではないが、表面保護層の平均厚みDに対して、ある一定以上の粒径を有する金属酸化物粒子を表面保護層中に含有することによって、表面形状に凹凸を付与することが可能となり、その結果、感光体とクリーニングブレードに微細なニップが形成されるため、トナーから遊離したシリカ粒子がクリーニングブレードのニップ部での押し付けにより感光体に付着することを抑制することが可能となる。また、ある一定以下の粒径を有する金属酸化物粒子を表面保護層中に含有させることによって、表面形状に影響を与えずに、表面保護層全体の硬さ及び機械強度を向上させることが可能となり、感光体の表面形状の凹部分にシリカ粒子が存在し、クリーニングブレードで強く押し付けられた際にもシリカ粒子の付着を抑制することが可能となる。
前記表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、d1<D/5であると、感光体の表面形状が平滑になりやすく、トナーから遊離したシリカ粒子がクリーニングブレードのニップ部で押し付けられ感光体に付着しやすくなる。また、d1<8×d2であると、感光体の表面形状が平滑になりやすく、前述のようにシリカ粒子が感光体に付着しやすくなる、又は感光体の表面粗さが非常に大きくなり、トナーを除去できずに異常画像が発生しやすくなることがある。
前記表面保護層の平均厚みDは、0.8μm〜1.5μmが好ましい。前記平均厚みDが、0.8μm未満であると、感光体の表面凹凸が大きくなりすぎて、トナー及びシリカ粒子を除去できなくなることがあり、1.5μmを超えると、感光体の表面形状が平滑になり、シリカ粒子が感光体に付着しやすくなることがある。
前記表面保護層の平均厚みDは、例えば、渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)により測定することができる。
【0021】
また、前記電子写真感光体表面の十点平均粗さRz(μm)と、前記表面保護層の平均厚みD(μm)とが、次式、Rz≧D/2を満たすことが感光体の表面凹凸を形成し、トナーから遊離したシリカ粒子が感光体に押し付けられることを抑制できる点で好ましい。前記電子写真感光体表面の十点平均粗さRz(μm)と、前記表面保護層の平均厚みD(μm)とが、Rz<D/2であると、感光体の表面形状が平滑になりやすく、シリカ粒子が感光体に付着しやすくなることがある。
前記電子写真感光体表面の十点平均粗さRzは、0.5μm〜1.5μmが好ましく、0.6μm〜1.0μmがより好ましい。前記十点平均粗さRzが、0.5μm未満であると、シリカ粒子が感光体に付着しやすくなることがあり、1.5μmを超えると、感光体の表面凹凸が大きくなりすぎて、トナー及びシリカ粒子を除去できなくなることがある。
前記十点平均粗さRzは、例えば、表面粗さ測定機(サーフコム1400D、東京精密株式会社製)を用いて、表面粗さの規格JIS B 0601:2001に基づき測定することができる。
【0022】
前記表面保護層に含有される金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。
これらの中でも、最も粒径の小さい金属酸化物としては導電性金属酸化物を用いることが電気特性に優れた特性を示す点で好ましい。前記導電性金属酸化物としては、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムなどが挙げられる。
前記表面保護層に含まれる2種以上の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径は一次平均粒子径で0.2μm〜0.5μmが好ましい。また、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径は一次平均粒子径で5nm〜60nmが好ましい。
前記一次平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した金属酸化物粒子の長軸と短軸の平均値により算出し、金属酸化物粒子10個の平均値を導出することで求めることができる。
【0023】
前記金属酸化物粒子は、分散性の向上などの理由から無機物又は有機物で表面処理されてもよい。
前記有機物処理としては、例えば、シランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したものなどが挙げられる。
前記無機物処理としては、金属酸化物表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものなどが挙げられる。
前記金属酸化物粒子は、粉砕、分散したのち、表面保護層用塗工液と混合し、塗工される。
【0024】
前記金属酸化物微粒子の含有量は、前記表面保護層全成分100質量部に対し、3質量部〜60質量部が好ましく、5質量部〜50質量部がより好ましい。前記含有量が、3質量部未満であると、耐摩耗性はあるものの十分ではなく、60質量部を超えると、感光層の透明性が損なわれてしまうことがある。
また、前記表面保護層における2種以上の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の含有質量Aが、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の含有質量Bに比べて大きいことが、表面形状及び膜全体の強度向上の点で好ましい。前記含有質量Aは前記含有質量Bに対して2倍以上であることが好ましい。
【0025】
前記表面保護層は、少なくとも重合性化合物を重合することにより形成されることが好ましい。機械的耐久性の観点から重合性官能基の数が分子内に3つ以上である重合性化合物が好ましく用いられる。即ち、3官能以上の重合性化合物を重合することで三次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高硬度、かつ高弾性な表面保護層が得られ、高い耐摩耗性、及び耐傷性が達成される。
【0026】
硬化樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有するUV硬化型アクリル樹脂が耐摩耗性の点から特に好ましい。
前記3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記表面保護層の形成においては、前記重合性化合物に加え、電荷輸送性化合物(重合性官能基の有無は問わないが、機械的耐久性の観点からは重合性官能基を有するものの方が好ましく使用できる)を含有することも可能である。重合性官能基を有する電荷輸送性化合物としては硬化樹脂構造の歪み、表面保護層の内部応力の観点から官能基数が少ない方が好ましく、1官能の電荷輸送性化合物が良好に用いることができる。
前記表面保護層の塗工溶媒に使用できる分散溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、芳香族化合物類、ハロゲン化合物類、エステル類などが挙げられる。
これらの中でも、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため特に好ましい。
【0028】
本発明においては、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために重合開始剤を含有させてもよい。前記重合開始剤としては、熱重合開始剤と光重合開始剤とがある。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤などが挙げられる。
【0029】
前記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
また、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、重合性官能基を有する総化合物100質量部に対し、0.1質量部〜40質量部が好ましく、0.5質量部〜20質量部がより好ましい。
【0031】
また、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記低分子化合物の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.1質量部〜20質量部がより好ましい。前記レベリング剤の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.001質量部〜5質量部が好ましい。
【0032】
前記表面保護層の形成方法としては、例えば、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等で塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、表面保護層を形成する方法等がある。
このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線等があり、用いる樹脂によって選択される。
熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。前記加熱温度が、100℃未満であると、反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがあり、170℃を超えると、硬化反応が不均一に進行し、表面保護層中に大きな歪み、多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。
硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
【0033】
光のエネルギーとしては、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯、メタルハライドランプ等のUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
照射光量は50mW/cm以上、1,000mW/cm以下が好ましい。前記照射光量が、50mW/cm未満であると、硬化反応に時間を要することがあり、1,000mW/cmを超えると、反応の進行が不均一となり、保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずることがある。
また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラック及び膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。
これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
【0034】
<<感光層>>
前記感光層としては、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層させた積層型感光層が好適である。
【0035】
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能を持ち、電荷発生物質を主成分として含有し、必要に応じてバインダー樹脂を含有する。
【0036】
−−電荷発生物質−−
前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。
前記アモルファス・シリコンとしては、例えば、ダングリングボンドを水素原子又はハロゲン原子でターミネートしたもの、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものなどが好ましく用いられる。
【0037】
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等の金属フタロシアニン;無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料及びペリレン系顔料は電荷発生の量子効率が高い点で特に好ましい。
【0038】
−−バインダー樹脂−−
前記電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリビニルブチラールが特に好ましい。
【0039】
前記電荷発生層を形成する方法としては、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法がある。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料又は有機系材料からなる層が良好に形成できる。
前記キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系又は有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。
これらの中でも、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため特に好ましい。
前記塗布としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行うことができる。
前記電荷発生層の厚みは、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
【0040】
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を構成する層である。
【0041】
前記電荷輸送層は、電荷輸送材料及びバインダー成分を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。
前記塗工方法としては、例えば、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
前記電荷輸送層の厚みは、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合から、15μm〜40μmが好ましく、15μm〜30μmがより好ましく、解像力が要求される場合には、15μm〜25μmが特に好ましい。
前記電荷輸送層の上層には、保護層が積層されているため、この構成における電荷輸送層の厚みは、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要であり、薄膜化も可能となる。
前記電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族類;クロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。
【0042】
−−バインダー成分−−
前記電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
これらの高分子化合物は単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマーの2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは電荷輸送成分のバインダー成分として用いる場合、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。
前記電荷輸送層は、この上層に表面保護層が積層されるため、電荷輸送層は従来型の電荷輸送層に対する機械強度の必要性が要求されない。
このため、ポリスチレンなど、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層のバインダー成分として有効に利用することができる。
【0043】
−−電荷輸送材料−−
前記電荷輸送材料としては、正孔輸送材料と電子輸送材料とがある。
前記電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性材料などが挙げられる。
前記正孔輸送材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−ガルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラジン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体などが挙げられる。
これら電荷輸送材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記電荷輸送層には、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
なお、低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化が生じる場合がある。
このため、前記低分子化合物の使用量は、前記電荷輸送層に含まれる樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましい。前記レベリング剤の使用量は、0.001質量部〜0.1質量部が好ましい。
【0045】
<<支持体>>
前記支持体としては、体積抵抗が1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着法、又はスパッタリング法により、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
【0046】
また、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0047】
更に、適当な円筒基体上に、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、支持体として良好に用いることができる。
【0048】
−下引き層−
本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体には、支持体と感光層との間に、必要に応じて下引き層を設けることもできる。
前記下引き層は、一般に樹脂を主成分とするものが用いられるが、前記樹脂はその上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、又は金属硫化物、金属窒化物等の微粉末を、下引き層中のフィラーとして加えることによって、更に安定した帯電性を保持することができる。
前記下引き層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
前記下引き層の厚みとしては、10μm以下が好ましく、0.2μm〜6μmがより好ましい。
【0049】
前記電子写真感光体においては、必要に応じて前記支持体上に、中間層を設けてもよい。該中間層は樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。前記樹脂としては、前記下引き層と同様のものを適宜選択して用いることができる。
【0050】
前記電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、表面保護層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質、レベリング剤などを添加することができる。
【0051】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、前記電子写真感光体の表面を帯電させる工程であり、帯電手段により実施される。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記電子写真感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真方式の画像形成装置の仕様及び形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属又は他の導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる利点がある。
前記帯電器が電子写真感光体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電するものが好ましい。
また、帯電器が、電子写真感光体にギャップテープを有し非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電するものも好ましい。
【0052】
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、帯電された電子写真感光体表面を露光する工程であり、前記露光手段により行われる。
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0053】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程であり、現像手段により実施される。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0054】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0055】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0056】
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0057】
<<トナー>>
本発明の前記画像形成装置に好適に用いられるトナーとしては、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類の疎水化処理されたシリカ粒子が外添してなるものである。
前記トナー母体粒子は、樹脂、顔料、荷電制御剤、及び離型剤を溶融混練し、冷却した後に粉砕、分級する混練粉砕法も用いることが可能であるが、粒径、形状を均一にするため、乳化重合法、溶解懸濁法といった重合トナー工法を用いて作製されたものを用いることがより好ましい。
【0058】
以下に、一例としてポリエステル重合法トナーの構成材料及び製造方法について、具体的に説明する。
【0059】
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂は、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
【0060】
前記多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
【0061】
前記2価アルコール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
【0062】
前記3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0063】
前記多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
前記2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、アルケニレンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が特に好ましい。
前記3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0064】
前記多価アルコール(PO)と前記多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が更に好ましい。
前記多価アルコール(PO)と前記多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等、公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
【0065】
前記ポリエステル樹脂の水酸基価は5mgKOH/g以上が好ましく、前記ポリエステル樹脂の酸価は、1mgKOH/g〜30mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜25mgKOH/gがより好ましい。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、更には記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30mgKOH/gを超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1万〜40万が好ましく、2万〜20万がより好ましい。前記重量平均分子量が、1万未満であると、耐オフセット性が悪化することがあり、40万を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0066】
前記ポリエステル樹脂には、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステル樹脂の他に、ウレア変性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ウレア変性ポリエステル樹脂は、上記の重縮合反応で得られるポリエステル樹脂の末端のカルボキシル基、水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0067】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、例えば、脂肪族多価イソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等)、脂環式ポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等)、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)、イソシアネート類、前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、又はこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0068】
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。前記当量比[NCO]/[OH]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがある。前記[NCO]の当量が、1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0069】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、1個以上が好ましく、好ましくは平均1.5〜3個、更に好ましくは平均1.8個〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0070】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等)、脂環式ジアミン(例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満であったりすると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0071】
前記ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150℃〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40℃〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。更にこの(A)にアミン類(B)を0℃〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0072】
前記(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いてもよい。例えば、芳香族溶剤(例えば、トルエン、キシレン等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等);アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン等)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性な溶剤が適用できる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はそれらをブロックしたもの(例えば、ケチミン化合物等)などが挙げられる。
【0073】
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記重量平均分子量が、1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。前記ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステル樹脂を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂を単独で使用する場合は、その数平均分子量は、2,000〜15,000が好ましく、2,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が、15,000を超えると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
【0074】
前記未変性ポリエステル樹脂と前記ウレア変性ポリエステル樹脂とを併用することで、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステル樹脂を単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステル樹脂はウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでもよい。
前記未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂とは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、前記未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂とは類似の組成であることが好ましい。
また、前記未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂との質量比率は、20/80〜95/5が好ましく、70/30〜95/5がより好ましく、75/25〜95/5が更に好ましく、80/20〜93/7が特に好ましい。前記ウレア変性ポリエステル樹脂の質量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂とを含むバインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45℃〜65℃が好ましく、45℃〜60℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、45℃未満であると、トナーの耐熱性が悪化することがあり、65℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移温度が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0075】
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
前記着色剤の含有量は、前記トナーに対して1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
<荷電制御剤>
前記荷電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものをいずれも使用できる。例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーを負極性に制御する物質が特に好ましい。
前記荷電制御剤の含有量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、前記バインダー樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下、画像濃度の低下を招くことがある。
【0078】
<離型剤>
前記離型剤としては、融点が50℃〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイル等の離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。
このようなワックスとしては、ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックスなどが挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスなどが挙げられる。
更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、及び低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体又は共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も適用できる。
なお、前記荷電制御剤及び前記離型剤は、マスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、有機溶剤に溶解、分散する際に加えてもよい。
【0079】
−外添剤−
前記外添剤の少なくとも1つとしては、疎水化処理されたシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)が用いられる。
前記疎水性シリカ粒子とは、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性及び帯電特性の悪化を防止可能なものを意味する。前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記疎水性シリカ粒子の一次平均粒径は、100nm〜200nmが好ましい。前記一次平均粒径が、100nm未満であると、トナーのクリーニング性が低下し、スジ状の異常画像が発生することがあり、200nmを超えると、トナー流動特性及び帯電特性が悪化し、地汚れ等が発生することがある。
ここで、前記疎水性シリカ粒子における一次平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子写真顕微鏡を用いた観察像から50個の粒子の直径を測定し、平均値を導出することで求めることができる。
【0080】
前記疎水性シリカ粒子の疎水化度は、50%〜90%が好ましく、60%〜80%がより好ましい。前記疎水化度が、50%未満であると、高温高湿度下でのトナーの電荷のリークが大きくなり、トナー飛散及び感光体カブリを引き起こしやすくなる。一方、前記疎水化度が、90%を超えると、低温低湿度下でのトナーの帯電が過剰にチャージアップしやすくなり、画像の濃度不良が発生したりすることがある。また余剰の疎水化剤が存在することによりトナーの流動性が悪くなるなどの悪影響を及ぼすことがある。
ここで、前記疎水化度の測定方法としては、以下に示すとおりである。
200mLのビーカーに水50mLを入れ、更に0.2gの疎水性シリカ粒子を添加する。そして、マグネットスターラーで緩やかに攪拌しつつ、滴下時に先端が水中に浸漬されたビューレットからメタノールを加え、浮かんでいる疎水性シリカ粒子が沈み始め、完全に沈んだ時の滴下メタノールのmL数を読み、次式から求める。
疎水化度(%)=(滴下メタノールのmL数/(50+滴下メタノールのmL数))×100
【0081】
前記疎水性シリカ粒子に加えて、その他の外添剤を併用することも可能であり、無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
前記外添剤の前記トナーにおける含有量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
【0082】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、などが挙げられる。
【0083】
<製造方法>
次に、トナーの製造方法について説明する。なお、下記においては、具体例を示すものとし、本発明に適用するトナーの製造方法は、下記に限定されるものではない。
(a)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
前記有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは1種単独あるいは2種以上組み合せて用いることができる。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が特に好ましい。
前記有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、25質量部〜70質量部が更に好ましい。
【0084】
(b)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
前記水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(例えば、メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、トナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると経済的でない。
【0085】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
前記界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0086】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を発揮することができる。好適なフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸又は金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0087】
前記カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10%〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等が挙げられる。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0088】
前記樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体(例えば、アクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等);ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等);ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等);アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、又はこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物;又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
【0089】
分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の方式をいずれも適用できる。これらの中でも、分散体の粒径を2μm〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常、0.1分〜5分である。分散時の温度としては、0℃〜150℃(加圧下)が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。
【0090】
(c)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2時間〜24時間である。反応温度は、通常、0℃〜150℃、好ましくは40℃〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
【0091】
(d)上記反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
【0092】
(e)得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ粒子を混合攪拌等で外添させ、トナーを得る。
【0093】
前記現像器に収容させる現像剤としては前記記載の方法で作製したトナーを用いる。
近年、高画質化を達成するため、小粒径で球形に近い形状のトナーが用いられているが、本発明においては、トナークリーニングが困難になることから、外添剤として疎水性シリカ粒子をトナー表面に用いることによって、クリーニング性の向上、感光体とトナー間又は、中間転写ベルトとトナー間の付着力低減効果を図っている。更にトナー間の付着力を低減し、流動性及び帯電特性の向上を図ることができる。
しかし、前記シリカ粒子は一旦トナーから離脱すると電子写真感光体表面に付着しやすく、更に付着したシリカ粒子が徐々に蓄積したり、更に付着したシリカ粒子にトナー樹脂が付着することで、付着物が増大し、付着物が画像として現れる異常画像を発生しやすい。特に、クリーニングブレードは感光体に強く押し付けることで、トナー除去の機能を有するため、クリーニングブレードでトナーからシリカ粒子が離脱するとトナーに比べて粒径の小さいシリカ粒子がクリーニングブレードと感光体の接触面に入り込みやすく強く押し付けられ、その結果、感光体に付着しやすい。
【0094】
従って、本発明においては、感光体の表面保護層中に特定の粒径を有する金属酸化物粒子を含有することによって、表面形状に凹凸を付与するとともに、表面保護層の強度を付与することが可能となる。その結果、感光体とクリーニングブレードに微細なニップ部が作製されるため、トナーから遊離したシリカ粒子がクリーニングブレードのニップ部での押し付けにより感光体に付着することを抑制することが可能となり、更にクリーニングブレードをすり抜けたシリカ粒子を下流側に備えたクリーニングブラシにて除去することができるため、常に感光体上にシリカ粒子の付着を抑制し、異常画像のない良好な画像を得ることが可能となる。
【0095】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間記録媒体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0096】
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、クリーニングブレード、及びクリーニングブラシを有し、該クリーニングブラシは、クリーニングブレードに対し電子写真感光体の回転方向下流側に備えるものである。また、クリーニングブレード、及びクリーニングブラシに加えて、更に磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ウエブクリーナ等を併設することもできる。
【0097】
前記クリーニングブラシは、基布にナイロン系、ポリエステル系、スチレン系、アクリル系等の樹脂からなる合成繊維に導電性を付与した導電性繊維を、先端がループ状又は直毛状になるように植毛して、ブラシを形成した後、基布を所定の大きさに裁断し、回転可能な芯金に巻き付けながら接着して、クリーニングブラシが作製される。導電性繊維の太さとしては1デニール〜3デニール、長さは2mm〜8mmが好ましい。また、導電性繊維の植毛密度は10万本/inch〜40万本/inchが好ましい。
前記クリーニングブラシに用いられる合成繊維のうち、ポリアミド繊維は疎水性シリカ粒子との摩擦帯電により、疎水性シリカ粒子を静電引力で引き付けやすくすることから、特に有効である。
【0098】
本発明において、前記クリーニング手段は、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置される。
前記クリーニング工程は、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを用いて行われ、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されている。
【0099】
ここで、図2は、本発明における、電子写真感光体にクリーニング手段が作用する状態の一例を表した概略構成図である。
図2中、少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層を有する感光体31(以下、「感光体31」と称することがある)が、矢印A方向に回転し、クリーニングブラシ32は矢印B方向に回転している。
クリーニングブレード35は、ホルダー36に保持固定されて、感光体31の回転方向に対向するいわゆるカウンター方向で、所定の圧力で感光体31にそのエッジが圧接されている。
感光体表面から転写手段によって転写紙等の記録媒体に転写されずに残ったトナー30は、クリーニングブレード35によって機械的に感光体31から除去される。クリーニングブレードによって、トナーを除去した際に、トナーの外添剤である疎水性シリカ粒子38がトナー30から一部遊離し、クリーニングブレード35からすり抜ける。クリーニングブレード35に対し、感光体回転方向の下流側に備わるクリーニングブラシ32は、感光体31とのブラシニップ部37を形成するように設けられており、クリーニングブラシ32と感光体31がいずれも回転しながら機械的に擦り付けられ、シリカ粒子38を除去する。クリーニングブラシ32の回転方向はブラシニップ部37において、感光体と同一方向、又は逆方向のいずれでもよく、速度差を持って回転させると効果的である。また、芯金33には、不図示の電源から所定のバイアスが印加されていてもよいし、接地されていてもよい。
クリーニングブレード35をすり抜け感光体表面に残ったシリカ粒子38は、ブラシニップ部37で芯金33に印加されたバイアスの作用で、電気的かつ機械的にクリーニングブラシ32の毛部分に移行し、小粒径の外添剤であるシリカ粒子38は効果的に除去される。即ち、本発明においては、クリーニングブレード35を感光体31に押し付けることにより、トナーの外添剤であるシリカ粒子38がトナー30から遊離し、感光体31に付着する課題に対し、特定の表面形状を有する感光体31と少なくともクリーニングブレード35とクリーニングブラシ32を併用したクリーニング手段を用いることで、クリーニングブレード35と感光体31のニップ部に存在する感光体表面の凹凸により、トナー外添剤であるシリカ粒子38がクリーニングブレード35によって強く押し付けられることを抑制し、更に感光体表面をすり抜けたシリカ粒子38がクリーニングブレード35の下流側に存在するクリーニングブラシ32によって完全に除去することを可能にするものである。
クリーニングブラシ32は、クリーニングブラシ32に食い込んだフリッカー34によって感光体31に付着したシリカ粒子38を弾き飛ばして、シリカ回収部(不図示)にシリカ粒子38を回収する。
クリーニングブラシを繰り返し使用すると、そのブラシ繊維の中(間)にクリーニングされたトナーが蓄積してくるため、フリッカー34は、この蓄積したトナーをブラシから取り除くために、ブラシを叩くように設置されるものである。
【0100】
−定着手段−
前記定着手段は、記録媒体に転写された可視像を定着させる手段であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共に、あるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0101】
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0102】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0103】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0104】
本発明の画像形成装置は、表面保護層を有する電子写真感光体を用い、例えば電子写真感光体に帯電、露光、現像の過程を経た後、記録媒体へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した前記プロセスを必ずしも有するものではない。
【0105】
ここで、図3は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
この画像形成装置においては、感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電ローラ3が用いられる。その他の帯電手段としては、例えば、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられる。
【0106】
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源としては、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、例えば、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0107】
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像手段6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャを用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
【0108】
次に、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ、分離爪が用いられる。その他の分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャとしては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャを用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
【0109】
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。なお、図3中、符号8はレジストローラを示す。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段を用いた画像形成装置である。前記画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、以下に説明するようにプロセスカートリッジの形態で画像形成装置内に組み込まれ、着脱可能としたものであってもよい。
【0110】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、
疎水化処理されたシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及び疎水性シリカ粒子を除去するクリーニング手段と、を少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンタに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
【0111】
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たす。
前記クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置される。
【0112】
ここで、図4は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
図4のプロセスカートリッジ105は、電子写真感光体(感光ドラム)101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段106、並びにクレーニング手段としてクリーニングブラシ107及びクリーニングブレード108を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0113】
次に、図4に示すプロセスカートリッジ105による画像形成プロセスについて示すと、電子写真感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段106により、記録媒体(不図示)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の電子写真感光体表面は、クリーニングブレード108、及びクリーニングブラシ107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0114】
本発明の画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジは、特定の金属酸化物粒子を含有する表面保護層を設けて高いクリーニング性と耐摩耗性を有する電子写真感光体と、トナー除去のためのクリーニングブレード、疎水性シリカ粒子除去のためのクリーニングブラシを備えるクリーニング手段を有することで、電子写真感光体上のシリカ粒子付着を防止することが可能となるため、長期にわたって、高精細及び高画質な画像を形成することができる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0116】
(トナー製造例1)
<トナー母体粒子の作製>
−未変性ポリエステル樹脂の合成−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルスズオキシド2質量部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44質量部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、未変性ポリエステル樹脂を合成した。
得られた未変性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500、重量平均分子量が26,000、ガラス転移温度が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
【0117】
−マスターバッチの調製−
水1,200質量部、カーボンブラックPrintex35(デクサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540質量部、及び前記合成した未変性ポリエステル樹脂1,200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
【0118】
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、前記合成した未変性ポリエステル樹脂378質量部、カルナバワックス110質量部、サリチル酸金属錯体(E−84、オリエント化学工業社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃で5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次に、反応容器中に、マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1,324質量部を反応容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、送液速度が1kg/時、ディスク周速度が6m/秒の条件で3パスして、カルナバワックスを分散させ、ワックス分散液を得た。
【0119】
次に、ワックス分散液に前記合成した未変性ポリエステル樹脂の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部を添加した。上記と同様の条件でウルトラビスコミルを用いて1パスして得られた分散液200質量部に、少なくとも一部にベンジル基を有する第4級アンモニウム塩で変性した層状無機鉱物モンモリロナイト(クレイトンAPA Southern Clay Products社製)3質量部を添加し、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて、30分間攪拌し、トナー材料の分散液を得た。
【0120】
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、及び無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルスズオキシド2質量部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステル樹脂を合成した。
得られた中間体ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,100、重量平均分子量が9,500、ガラス転移温度が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が51mgKOH/gであった。
【0121】
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル樹脂410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃で5時間反応させて、プレポリマーを合成した。得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
【0122】
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部、及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物のアミン価は、418mgKOH/gであった。
反応容器中に、トナー材料の分散液749質量部、プレポリマー115質量部、及びケチミン化合物2.9質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて5,000rpmで1分間混合して、油相混合液を得た。
【0123】
−樹脂粒子分散液の調製−
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、反応性乳化剤(メタクリル酸のエチレンオキシド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩、エレミノールRS−30、三洋化成工業社製)11質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、乳濁液を得た。乳濁液を加熱して、75℃まで昇温して5時間反応させた。次に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃で5時間熟成して、樹脂粒子分散液を調製した。
【0124】
次に、水990質量部、樹脂粒子分散液83質量部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37質量部、高分子分散剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液(セロゲンBS−H−3、第一工業製薬社製)135質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、水系媒体を得た。
【0125】
得られた水系媒体1,200質量部に、前記油相混合液867質量部を加え、TK式ホモミキサーを用いて、13,000rpmで20分間混合して、分散液(乳化スラリー)を調製した。
更に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、乳化スラリーを仕込み、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
続いて、分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
【0126】
得られた濾過ケーキに10質量%塩酸を加えて、pHを2.8に調整し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
更に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子を得た。
【0127】
−外添剤の外添−
得られたトナー母体粒子100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水化度65%、平均一次粒子径140nmの疎水性シリカ粒子1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性シリカ粒子を外添したトナー1を作製した。
【0128】
(トナー製造例2)
トナー製造例1において、以下のようにして外添剤を外添させた以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー2を作製した。
−外添剤の外添−
得られたトナー母体粒子100質量部に対し、表面処理されていない平均一次粒子径140nmのシリカ粒子1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き、シリカ粒子を外添したトナー2を作製した。
【0129】
(感光体作製例1)
<電子写真感光体の作製>
外径100mmのアルミニウムシリンダ上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、それぞれ浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥して、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み23μmの電荷輸送層を形成した。
【0130】
−下引き層塗工液−
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4質量部
・酸化チタン・・・40質量部
・メチルエチルケトン・・・50質量部
【0131】
−電荷発生層塗工液−
・下記構造式で表されるビスアゾ顔料・・・2.5質量部
【化1】

・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・0.5質量部
・シクロヘキサノン・・・200質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
【0132】
−電荷輸送層塗工液−
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成株式会社製)・・・10質量部
・下記構造式で表される電荷輸送物質・・・7質量部
【化2】

・テトラヒドロフラン・・・100質量部
・1質量%のシリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・1質量部
【0133】
次に、前記電荷輸送層上に、下記組成の表面保護層塗工液を用いて、スプレー塗工し、メタルハライドランプ、照射強度:500mW/cm、照射時間:20秒間の条件で光照射を行い、更に130℃で30分間乾燥し、平均厚み1.4μmの表面保護層を形成した。以上により、電子写真感光体1を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.3μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−03、住友化学株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0134】
(感光体作製例2)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体2を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.5μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−05、住友化学株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0135】
(感光体作製例3)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体3を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.5μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−05、住友化学株式会社製)・・・15質量部
・平均一次粒子径0.1μmの酸化アルミニウム粒子(タイミクロンTM−DAR、大明化学工業社製)・・・7.5質量部
・平均粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・7.5質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0136】
(感光体作製例4)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例2の表面保護層の平均厚みを1.4μmから0.8μmに変更した以外は、感光体作製例2と同様にして、電子写真感光体4を作製した。
【0137】
(感光体作製例5)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例2の表面保護層の平均厚みを1.4μmから2.0μmに変更した以外は、感光体作製例2と同様にして、電子写真感光体5を作製した。
【0138】
(感光体作製例6)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例2の表面保護層の厚みを1.4μmから0.6μmに変更した以外は、感光体作製例2と同様にして、電子写真感光体6を作製した。
【0139】
(感光体作製例7)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体7を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.3μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−03、住友化学株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径31nmの酸化アルミニウム粒子(NanoTek Powder、シーアイ化成社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0140】
(感光体作製例8)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体8を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.3μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−03、住友化学株式会社製)・・・10質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル社製)・・・20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0141】
(感光体作製例9)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体9を作製した。
−表面保護層塗工液−
・2官能のラジカル重合性化合物(KAYARAD NPGDA、日本化薬株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.3μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−03、住友化学株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0142】
(感光体作製例10)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更し、また表面保護層の平均厚みを1.4μmから0.6μmに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体10を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0143】
(感光体作製例11)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体11を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・30質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0144】
(感光体作製例12)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層の平均厚みを1.4μmから2.5μmに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体12を作製した。
【0145】
(感光体作製例13)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体13を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.3μmの酸化アルミニウム粒子(アドバンストアルミナAA−03、住友化学株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径0.1μmの酸化アルミニウム粒子(タイミクロンTM−DAR、大明化学工業株式会社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
・テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0146】
(感光体作製例14)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体14を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)・・・80質量部
・平均一次粒子径0.1μmの酸化アルミニウム粒子(タイミクロンTM−DAR、大明化学工業株式会社製)・・・20質量部
・平均一次粒子径30nmの導電性酸化スズ粒子(S−2000、三菱マテリアル株式会社製)・・・10質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・4質量部
テトラヒドロフラン・・・1,200質量部
【0147】
(クリーニングブラシ作製例1)
先端がループ状になるようにナイロン系導電性繊維のカーボンベルトロン931(KBセーレン社製)を基布に植毛し、ブラシを形成し、該基布を幅10mmのひも状にカットし、直径9mmの真鍮製ロッド棒に巻き付け、接着剤を用いて貼り付け固定されたループ状クリーニングブラシ1を作製した。
【0148】
(クリーニングブラシ作製例2)
先端がループ状になるようにアクリル系導電性繊維のSA−7(東レ株式会社製)を基布に植毛し、ブラシを形成し、該基布を幅10mmのひも状にカットし、直径9mmの真鍮製ロッド棒に巻き付け、接着剤を用いて貼り付け固定されたループ状クリーニングブラシ2を作製した。
【0149】
(クリーニングブラシ作製例3)
先端がループ状になるようにポリエステル系導電性繊維のカーボンベルトロンB31(KBセーレン社製)を基布に植毛し、ブラシを形成し、該基布を幅10mmのひも状にカットし、直径9mmの真鍮製ロッド棒に巻き付け、接着剤を用いて貼り付け固定されたループ状クリーニングブラシ3を作製した。
【0150】
次に、作製した各電子写真感光体について、以下のようにして、十点平均粗さRzを測定した。結果を表1に示す。また、電子写真感光体の表面保護層の平均厚みDを、以下のようにして、測定した。結果を表1に示す。
【0151】
<十点平均粗さRzの測定>
表面粗さ測定機(サーフコム1400D、東京精密株式会社製)を用いて、表面粗さの規格JIS B 0601:2001に基づき十点平均粗さRzを測定した。測定結果を表1に示す。
【0152】
<表面保護層の平均厚みDの測定>
渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて、表面保護層塗布前後の厚みを測定し、表面保護層の厚みを求めた。その際、感光体長手方向に沿って50mm間隔で、6箇所測定して求めた厚みの平均値を平均厚みDとして導出した。
【0153】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0154】
<画像評価>
次に、作製したトナー、電子写真感光体、クリーニングブレード、及びクリーニングブラシを用いて、表2に示す組合せで画像形成装置(デジタル複写機、imagio MP9001、株式会社リコー製)の標準装備の各部材と交換し、改造した。なお、表2のクリーニング条件では、電子写真感光体の回転方向の上流→下流の配置順で記載した。
改造した各画像形成装置を用いて、常温常湿環境下(23℃で55%RH)において、画像面積率5%文字チャートA4サイズ縦(株式会社リコー製)の連続10万枚の繰返し試験を行った後、繰り返し使用後の画像評価を実施した。結果を表3に示す。
【0155】
【表2】

*比較例9は、電子写真感光体の回転方向の上流側にクリーニングブラシ、下流側にクリーニングブレードが配置されている。
【0156】
【表3】

表3の結果から、実施例1〜11に示されるように、少なくとも2種の特定の金属酸化物粒子を含有した表面保護層を設けた電子写真感光体、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類の疎水化処理されたシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)を外添したトナーを用い、クリーニング手段として、少なくともクリーニングブレードとその下流側にクリーニングブラシを備えた画像形成装置は、比較例1〜9に比べて、長期間に亘って異常画像のない良好な画像が得られることが明らかである。
【0157】
本発明の画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジは、例えば、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンタ、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用できる。
【符号の説明】
【0158】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電ローラ
5 画像露光部
6 現像手段
8 レジストローラ
9 記録媒体
10 転写チャージ
14 クリーニングブラシ
15 クリーニングブレード
21 支持体
22 感光層
24 下引き層
25 電荷発生層
26 電荷輸送層
28 表面保護層
30 トナー
31 感光体
32 クリーニングブラシ
33 芯金
34 フリッカー
35 ブレード
36 ブレードホルダー
37 ブラシニップ部
38 シリカ粒子
101 感光ドラム
102 帯電手段
104 現像手段
105 プロセスカートリッジ
106 転写手段
107 クリーニングブラシ
108 クリーニングブレード
A 感光体回転方向
B クリーニングブラシ回転方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【特許文献1】特開昭48−47345号公報
【特許文献2】特開平8−248851号公報
【特許文献3】特開2001−242758号公報
【特許文献4】特開2002−055582号公報
【特許文献5】特開2005−208622号公報
【特許文献6】特開平9−22155号公報
【特許文献7】特開平11−167224号公報
【特許文献8】特許第2793647号公報
【特許文献9】特許第2619424号公報
【特許文献10】特開平8−314175号公報
【特許文献11】特開2006−259588号公報
【特許文献12】特開2007−193255号公報
【特許文献13】特開2007−147767号公報
【特許文献14】特開2007−171627号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を、疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング手段と、を有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
電子写真感光体表面の十点平均粗さRz(μm)と、表面保護層の平均厚みD(μm)とが、次式、Rz≧D/2を満たす請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
表面保護層の平均厚みDが、0.8μm〜1.5μmである請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
表面保護層における少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の小さい金属酸化物が、導電性金属酸化物粒子である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
表面保護層における少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の含有質量が、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の含有質量より大きい請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
表面保護層が、3官能以上のラジカル重合性化合物を重合させてなる硬化物を含む請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
クリーニングブラシが、ポリアミド繊維を含む請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、
帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像を、疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング工程と、を含む画像形成方法であって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング工程が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを用いて行われ、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されていることを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
支持体上に感光層と少なくとも2種の金属酸化物粒子を含有する表面保護層とを有する電子写真感光体と、
疎水化処理されたシリカ粒子が外添されたトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体上に残留するトナー及びシリカ粒子を除去するクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジであって、
前記電子写真感光体における表面保護層の平均厚みD(μm)と、少なくとも2種の金属酸化物粒子のうち最も粒径の大きい金属酸化物粒子の粒径d1(μm)と、最も粒径の小さい金属酸化物粒子の粒径d2(μm)とが、次式、d1≧D/5、及びd1≧8×d2を満たし、
前記クリーニング手段が、クリーニングブレード及びクリーニングブラシを有し、前記クリーニングブラシが、前記クリーニングブレードに対し前記電子写真感光体の回転方向下流側に配置されることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247749(P2012−247749A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121852(P2011−121852)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】