説明

画像形成装置、画像形成方法及び画像形成制御プログラム

【課題】装置の状況変化に対応しつつ、画像形成装置に備えられた現像装置や帯電装置等の各装置から発生する共振音を軽減することができる画像形成装置、画像形成方法及び画像形成制御プログラムを提供する。
【解決手段】表面上に潜像が形成される感光体3と、直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部31,35と、当該画像形成装置1で発生する音圧を検出する音圧検出部38と、感光体3の表面を帯電させる帯電部4と、帯電部4によって帯電された感光体3表面を露光して潜像を形成する露光部5と、感光体3表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部6と、を備え、電圧制御部31,35は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力する画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に備えられた現像装置や帯電装置等の各装置から発生する共振音を軽減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、現像装置や帯電装置に駆動電圧を印加する電源装置として、交流電圧を整流して得た直流電圧と、昇圧により生成した交流電圧とを重畳した電圧を供給する電源装置が用いられている。
【0003】
しかし、このような電源装置によって現像装置や帯電装置に駆動電圧を印加した場合に、駆動電圧に含まれる交流電圧の電圧変化に対応して各装置が振動し、耳障りな共振音が発生するという問題があった。そこで、例えば、下記特許文献1では、近隣する装置に対して印加する交流電圧の位相を異ならせるように予め設定して共振音を軽減する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−66794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、近隣する装置に対して印加する交流電圧の位相が予め設定されるため、経時劣化や外気温の変動等による装置の状況変化に対応できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、装置の状況変化に対応しつつ、画像形成装置に備えられた現像装置や帯電装置等の各装置から発生する共振音を軽減することができる画像形成装置、画像形成方法及び画像形成制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、表面上に潜像が形成される感光体と、
直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、
当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、
前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、
を備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する画像形成装置である。
【0008】
また、請求項6に記載の発明は、表面上に潜像が形成される感光体と、直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、を備えてなる画像形成装置において、
前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する画像形成方法である。
【0009】
また、請求項7に記載の発明は、表面上に潜像が形成される感光体と、直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、を備えてなる画像形成装置に内蔵されるコンピュータを、
前記電圧制御部が、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力するように機能させる画像形成制御プログラムである。
【0010】
現像部または帯電部に出力されるバイアス電圧の変化に応じて現像部または帯電部が振動することによって共振音が発生し、さらに、バイアス電圧の位相が重畳している場合には、当該共振音が重なりあって耳障りな騒音となる。
【0011】
しかし、これらの発明では、電圧制御部は、音圧検出部によって当該画像形成装置において実際に検出された音圧に基づいて、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部または帯電部に出力することができる。このため、画像形成装置における音圧の状況変化に対応しつつ、現像部または帯電部に出力されるバイアス電圧の位相が重畳している場合に比して、画像形成装置で発生する音圧を軽減することができるようになる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、ユーザによる操作指令を入力する入力操作部を更に備え、
前記入力操作部は、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間を入力するように構成され、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記入力操作部を介して入力された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する。
【0013】
この発明では、入力操作部を介して、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部及び帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部及び帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間をユーザの希望に応じて柔軟に調整できるようになる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置であって、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを記憶する位相記憶部を更に備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力したときの、当該現像部及び当該帯電部の組み合わせと、当該現像部及び当該帯電部の各部間で、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させた遅延時間とを前記位相記憶部に記憶し、その後、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記位相記憶部に記憶された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する。
【0015】
この発明では、電圧制御部は、音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に位相記憶部に記憶した、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部または帯電部に出力したときの、当該現像部及び当該帯電部の組み合わせと、当該現像部及び当該帯電部の各部間でバイアス電圧の供給開始時期を遅延させた遅延時間とを利用して、効率よくバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部または帯電部に出力することができるようになる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、当該画像形成装置の気温または湿度を検出する環境検出部を更に備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力したときの、前記環境検出部により検出された気温または湿度と、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを組み合わせた形で前記位相記憶部に記憶し、その後、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記環境検出部により検出される気温または湿度に対応する、前記位相記憶部に記憶されたバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する。
【0017】
画像形成装置の気温または湿度の変化に応じて、画像形成装置で発生する音の伝わり方は異なるものであるが、この発明では、画像形成装置の気温または湿度の変化に応じて音圧検出部により検出される所定の周波数域の音圧が変化した場合であっても、環境検出部により検出される気温または湿度に対応する位相記憶部に記憶された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部及び帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する遅延時間に基づいて、効率よく、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部または帯電部に出力することができるようになる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置であって、警告音を出力する警告出力部を更に備え、
前記音圧検出部が前記警告出力部と兼用されてなる。
【0019】
この発明では、音圧検出部が警告音を出力する警告出力部と兼用されるため、例えば、新たに圧電素子等を設けることなく、安価に本発明における画像形成装置を構成することができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置の状況変化に対応しつつ、画像形成装置に備えられた現像装置や帯電装置等の各装置から発生する共振音を軽減することができる画像形成装置、画像形成方法及び画像形成制御プログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリンタの概略断面図。
【図2】プリンタの電気的構成を示す機能ブロック図。
【図3】音圧検出部の回路構成図。
【図4】電圧制御部の要部構成を示す概略説明図。
【図5】現像部に供給されるバイアス電圧波形の一例を示す図。
【図6】電圧制御部により各色の現像部に出力されるバイアス電圧波形の一例を示す図であり、(a)は、各色の現像部に出力されるバイアス電圧の位相を調整しない場合のバイアス電圧波形を示し、(b)は、各色の現像部に出力されるバイアス電圧の位相を調整した場合のバイアス電圧波形を示す。
【図7】画像形成動作の流れを示すフローチャート。
【図8】警告出力部の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における画像形成装置について図面を参照して説明する。尚、本実施形態では画像形成装置の一例としてプリンタを例に説明するが、これに限らず、プリンタの他に複写機、ファクシミリ等や各機能を備えた複合機であってもよい。
【0023】
図1は、本実施の形態におけるプリンタ1の概略断面図である。図1に示すように、プリンタ1は、装置本体内にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色別に画像形成部2Y、2M、2C及び2K(以下、統括して「画像形成部2」という)が並設されている。
【0024】
画像形成部2は、用紙に対するカラー画像の形成(印刷)を行うものであり、例えば、感光体ドラム3、感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6(現像部6Y、6M、6C及び6K)及び感光体クリーニング部7を備えている。
【0025】
帯電部4は、感光体ドラム3の周囲に配設された図略の帯電ローラにバイアス電圧を印加して、感光体ドラム3の表面を所定電位に均一に帯電させるものである。尚、帯電ローラに印加するバイアス電圧は、後述する電源装置35によって供給される。
【0026】
露光部5は、後述する画像メモリ32に記憶されている画像データに基づき生成された光を感光体ドラム3に照射し、感光体ドラム3の表面上に静電潜像を形成するものである。
【0027】
現像部6は、カートリッジ61から図略の現像ローラにトナーを供給し、現像ローラにバイアス電圧を印加して、感光ドラム3と当該現像ローラとの間に電位差を生じさせることにより、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対してトナーを付着させ、感光体ドラム3にトナー像として顕在化させるものである。尚、現像ローラに印加するバイアス電圧は、後述する電源装置35によって供給される。
【0028】
感光体クリーニング部7は、後述する中間転写ベルト10へのトナー画像の一次転写後、感光体ドラム3の表面に付着したトナーを除去するものである。
【0029】
カートリッジ61は、各現像部6に対応してイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック用のトナーが収容されており、装置本体に対して着脱自在に構成されている。カートリッジ61内のトナー量が少なくなると、新しいカートリッジと交換することによって装置本体内にトナーが再び補充される。
【0030】
画像形成部2の下方には、感光体ドラム3の表面に顕在化したトナー像の中間転写を行うための一次転写ローラ9及び中間転写ベルト10が配設されている。
【0031】
中間転写ベルト10は、所定のベルト体からなり、各感光体ドラム3と対向配置された一次転写ローラ9によって感光体ドラム3に押圧された状態で駆動ローラ11〜13によって無端回転するように構成されている。感光体ドラム3上に形成される各色のトナー像は、無端回転される中間転写ベルト10上にそれぞれタイミングを合わせてイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの順に転写されて重ね合わされる。これにより、中間転写ベルト10上に4色からなるカラー画像が形成される。
【0032】
駆動ローラ12と対向する位置には、中間転写ベルト10上のトナー(残留トナー)を除去するクリーニング部18が設けられている。駆動ローラ13と対向する位置には、中間転写ベルト10上のカラー画像を用紙へ転写する二次転写ローラ14が設けられている。
【0033】
また、プリンタ1は、画像形成部2へ向けて給紙を行う給紙部15を備えている。給紙部15は、用紙を収納する給紙カセット151、用紙が搬送される経路である搬送路152及び搬送路152中の用紙の搬送を行う搬送ローラ153等を備え、給紙カセット151から1枚ずつ取り出された用紙を画像形成部2、即ち二次転写ローラ14の位置へ向けて搬送する。また、給紙部15は、二次転写処理された用紙を定着部16へ搬送し、この
定着処理された用紙をプリンタ本体上部の排出トレイ17へ排出する。
【0034】
定着部16は、搬送路152における二次転写ローラ14より下流側の適所に設けられ、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部16は加圧ローラ161及び加熱ローラ162からなり、加熱ローラ162の熱によって用紙上のトナーを溶かし、加圧ローラ161によって圧力をかけてトナーを用紙上に定着させる。
【0035】
図2は、プリンタ1の電気的構成を示す機能ブロック図である。プリンタ1は、制御部31、画像メモリ32、記憶部33、給紙部15、画像処理部34、画像形成部2、電源装置35、入力操作部36、ネットワークI/F部37及び音圧検出部38を備えて構成されている。尚、図1において説明した構成要素と同じものには同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0036】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、入力された指示信号等に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行ってプリンタ1を統括的に制御する。
【0037】
画像メモリ32は、RAMやハードディスク等の記録媒体によって構成され、ネットワークI/F部37を介して図略の外部装置(パソコン等)から送信されてきた画像データを一時的に記憶する。
【0038】
記憶部33は、ROMやRAM等のメモリによって構成され、本発明の一実施形態に係る画像形成制御プログラム等、プリンタ1の備える種々の機能を実現するためのプログラムや制御プログラムで利用するデータ等を一時的に記憶する。
【0039】
画像処理部34は、ネットワークI/F部37を介して入力された画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施す。
【0040】
電源装置35は、画像形成部2の現像部6及び帯電部4にバイアス電圧を供給する。具体的には、制御部31により、画像処理部34によって画像処理が施された画像データに基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の制御信号が生成され、画像形成部2及び電源装置35に出力される。この各色の制御信号に従って、画像形成部2の露光部5は、感光体ドラム3の表面に光を照射し、電源装置35は、現像部6及び帯電部4にバイアス電圧を供給する。
【0041】
入力操作部36は、ユーザによる操作指令を入力する。具体的には、入力操作部36は、電源キーやスタートボタン、各種機能を設定するための設定キーや各種メッセージを表示する表示パネルを有し、ユーザによって操作がなされると操作信号を制御部31へ出力する。
【0042】
ネットワークI/F部37は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークI/F部37と接続されたネットワーク(不図示)を介して外部装置と種々のデータの送受信を行う。
【0043】
音圧検出部38は、ピエゾ圧電素子やコンデンサマイク等の、音圧を検出して当該検出した音圧を示す電気信号(検出信号)を出力する圧電素子を備え、当該圧電素子の検出信号に所定の信号処理を施すことにより、プリンタ1で発生する所定の周波数域の音圧に相当する電気信号を制御部31へ出力する。
【0044】
例えば、図3に示すように、音圧検出部38は、電源E1、圧電素子381、増幅器382、コンデンサC1,C2,C3,C4、抵抗R1,R2、ダイオードD1,D2、A/D変換器383を備えて構成されている。
【0045】
圧電素子381により出力された検出信号は、コンデンサC1により直流成分がカットされ、抵抗R1を介して増幅器382で増幅され、抵抗R2及びコンデンサC2により積分され、さらに、高周波数成分を含むノイズも除去される。次いで、コンデンサC3により直流成分がカットされ、ダイオードD1,D2によって整流され、コンデンサC4により平滑化されることにより、直流信号に変換される。当該直流信号は、A/D変換器383によりデジタル信号に変換され、制御部31へ出力される。
【0046】
尚、コンデンサC1,C2,C3,C4の静電容量や抵抗R1,R2の抵抗値等の設定値を変更することにより、音圧検出部38から制御部31に出力される電気信号が示す音圧の周波数域を調整することができる。本実施形態では、可聴領域の音圧に相当する電気信号が出力されるように、上記の各素子の設定値が予め設定されている。ただし、これに限定する趣旨ではない。また、図3に示した音圧検出部38の回路構成は、あくまで例示にすぎず、これに限定する趣旨ではない。
【0047】
次に、電源装置35について詳述する。電源装置35は、例えば、図4に示すように、画像形成部2のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の現像部6毎に、つまり、バイアス電圧の供給先毎に、直流電圧制御回路354(図中、354Y,354M,354C,354K)と、交流電圧制御回路353(図中、353Y,353M,353C,353K)と、直流電源351(図中、351Y,351M,351C,351K)と、交流電源352(図中、352Y,352M,352C,352K)と、を備えて構成されている。
【0048】
直流電圧制御回路354は、制御部31から制御信号が入力されると、当該制御信号に基づいて、現像部6に対して印加すべき直流電圧の電圧レベル等の各種パラメータを示す制御信号を出力する。
【0049】
交流電圧制御回路353は、制御部31から制御信号が入力されると、当該制御信号に基づいて、現像部6に対して印加すべき交流電圧の周波数や位相等の各種パラメータを示す制御信号を出力する。
【0050】
直流電源351は、直流電圧制御回路354から出力された制御信号を入力して、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を図略の変圧器に入力し、当該制御信号により定められた所定の電圧レベルに変圧して、当該変圧された交流電圧を図略の整流回路にて直流電圧に変換する。
【0051】
交流電源352は、交流電圧制御回路353から出力された制御信号を入力して、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を、当該制御信号により定められた交流電圧の周波数や位相の交流電圧に変換し、当該交流電圧を直流電源351から入力された直流電圧に重畳して、当該直流電圧と交流電圧とを重畳したバイアス電圧を現像部6に出力する。
【0052】
例えば、図5に示すように、直流電源351は、直流電圧制御回路354から出力された制御信号に基づいて、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を200Vの直流電圧に変換して交流電源352に出力し、交流電源352は、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧を、交流電圧制御回路353の制御信号に基づいて周波数4KHz、デューティー30%、ピーク電圧1.6kVの交流電圧に変換して、当該交流電圧と直流電圧制御回路354から出力された200Vの直流電圧とを重畳したバイアス電圧を現像部6に出力する。
【0053】
尚、バイアス電圧の周波数、デューティー、ピーク電圧、及び交流電圧波形をシフトさせるシフト量(重畳する直流電圧の電圧レベル)等の各種パラメータは、画像形成時の条件により適宜制御されるものである。
【0054】
さらに、制御部31は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6に出力するように構成されている。
【0055】
尚、所定の閾値は、例えば、プリンタ1の試験運転等の実験値に基づいて予め定められ、記憶部33に記憶されている。ただし、所定の閾値は、これに限らず、入力操作部36を介してユーザにより入力されるものであってもよい。
【0056】
具体的には、例えば、図6(a)は、電源装置35がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の現像部6に対して、デューティー70%でバイアス電圧を出力している場合の、各色の現像部6に供給されるバイアス電圧の電圧波形を示している。この場合、イエロー(Y)とシアン(C)のバイアス電圧の位相が重なっているため、イエロー(Y)及びシアン(C)の現像部6が当該バイアス電圧の変化に伴って振動することにより発生する共振音も重畳されることとなり、耳障りな騒音が発生する。
【0057】
ここで、制御部31は、上記の共振音が大きくなり、つまり、音圧検出部38の出力信号が示す所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高いと判断すると、例えば、図6(b)に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色用の現像部6に供給されるバイアス電圧の位相がそれぞれ異なるように、制御信号を各色用の交流電圧制御回路353に入力する。
【0058】
具体的には、制御部31は、イエロー(Y)のバイアス電圧の供給開始時期を示すエッジ波形Wyと、シアン(C)のバイアス電圧の供給開始時期を示すエッジ波形Wcとを所定の遅延時間Tycずらせるべく、イエロー(Y)の交流電圧制御回路353に制御信号を送信後、遅延時間Tycが経過した時点で、シアン(C)の交流電圧制御回路353に制御信号を送信することにより、イエロー(Y)とシアン(C)の現像部6に供給されるバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる。
【0059】
ここで、所定の遅延時間は、例えば、プリンタ1の試験運転等の実験値に基づいて予め定められ、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象となる各色の組み合わせと組み合わせた形で記憶部33に記憶されている。上記の図6(b)に示す例では、イエロー(Y)とシアン(C)の組み合わせと、遅延時間Tycとが組み合わせた形で記憶部33に記憶されている。
【0060】
尚、これに限らず、イエロー(Y)とシアン(C)とブラック(K)の各色用の現像部6に供給されるバイアス電圧の位相がそれぞれ異なるように、図略の遅延時間Tyckがイエロー(Y)とシアン(C)とブラック(K)の組み合わせと組み合わせた形で記憶部33に記憶されていてもよい。つまり、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の各色の組み合わせ及び当該組み合わせに対応する遅延時間を、上記の例に限定する趣旨ではない。
【0061】
次いで、各色用の交流電圧制御回路353は、制御部31から入力された当該制御信号に基づいて、現像部6に対して印加すべき交流電圧の各種パラメータを示す制御信号を各色用の交流電源352に出力し、各色用の交流電源352は、各色用の交流電圧制御回路353から入力された制御信号に基づいて、位相がそれぞれ異なるバイアス電圧を現像部6に出力する。
【0062】
つまり、制御部31及び電源装置35により、本発明における電圧制御部の一例が構成されている。
【0063】
以下、上述の構成における画像形成動作の流れについて説明する。
【0064】
図7に示すように、制御部31から形成対象の画像データに基づく制御信号が電源装置35に入力されると、電源装置35は、当該制御信号で定められた所定のバイアス電圧を直流電圧制御回路354及び交流電圧制御回路353を介して現像部6に出力する(S1)。
【0065】
制御部31から電源装置35に制御信号が入力されており、つまり、画像形成動作が終了していない場合(S2;NO)、音圧検出部38は、プリンタ1で発生する音圧を検出して、制御部31に当該検出した音圧を示す電気信号を出力する(S3)。
【0066】
制御部31は、音圧検出部38の電気信号が示す音圧が所定の閾値より高いと判断すると(S4;YES)、上記のように、各色のバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるよう調整した制御信号を電源装置35に出力して(S5)、ステップS1の処理を実行させる。
【0067】
尚、制御部31は、音圧検出部38の電気信号が示す音圧が所定の閾値以下と判断した場合は(S4;NO)、各色のバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるよう調整することなく、所定の制御信号を電源装置35に出力して、ステップS1の処理を実行させる。
【0068】
画像形成が終了した場合は(S2;YES)、制御部31は、電源装置35に対する制御信号の入力を終了して、画像形成処理を終了する。
【0069】
即ち、現像部6に出力されるバイアス電圧の変化に応じて現像部6が振動することによって共振音が発生し、さらに、バイアス電圧の位相が重畳している場合には、当該共振音が重なりあって耳障りな騒音となるが、本実施形態の構成では、制御部31及び電源装置35(電圧制御部)は、音圧検出部38によってプリンタ1において実際に検出された音圧に基づいて、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6に出力することができる。
【0070】
このため、プリンタ1における音圧の状況変化に対応しつつ、現像部6に出力されるバイアス電圧の位相が重畳している場合に比して、プリンタ1で発生する音圧を軽減することができるようになる。
【0071】
尚、以上では、電圧制御部が、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、位相がそれぞれ異なるバイアス電圧を各色の現像部6に出力する例について説明したが、現像部6に限らず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の帯電部4にバイアス電圧を供給する、直流電圧制御回路354と交流電圧制御回路353と直流電源351と交流電源352とを備えた電源装置35を構成し、電圧制御部は、上記と同様に、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、位相がそれぞれ異なるバイアス電圧を各色の帯電部4の帯電ローラに供給するように構成してもよい。
【0072】
或いは、これらを組み合わせて、電圧制御部は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、位相がそれぞれ異なるバイアス電圧を各色の現像部6及び帯電部4に供給するように構成してもよい。
【0073】
また、上記の構成に加えて、入力操作部36は、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間を入力するように構成し、電圧制御部は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、入力操作部36を介して入力された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと当該組み合わせに対応する上記の遅延時間に基づいて、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力するように構成してもよい。
【0074】
ここで、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせとは、例えば、図6(b)に示す例では、イエロー(Y)とシアン(C)の組み合わせを示し、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とは、シアン(C)のバイアス電圧の供給開始時期を示すエッジ波形Wcを、イエロー(Y)のバイアス電圧の供給開始時期を示すエッジ波形Wyよりも遅延させる際の遅延時間Tycを示すものである。
【0075】
つまり、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間と、により、現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係が示されている。
【0076】
本構成は、例えば、制御部31は、ステップS4(図7)において、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、上記の当該現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係を入力操作するための表示画面を表示パネルに表示するように構成し、ステップS5(図7)において、ユーザにより入力操作部36を介して当該表示画面に入力された上記のバイアス電圧の位相関係に従って、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力させる制御信号を出力するようにして構成することができる。
【0077】
本構成によれば、入力操作部36を介して、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間をユーザの希望に応じて柔軟に調整できるようになる。
【0078】
また、上記の構成に加えて、図2の破線部で示すように、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを記憶する位相記憶部331を更に備えてもよい。
【0079】
これに合わせて、電圧制御部は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力したときの、当該現像部6及び当該帯電部4の組み合わせと、当該現像部6及び当該帯電部4の各部間で、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させた遅延時間とを位相記憶部331に記憶し、その後、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、位相記憶部331に記憶された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと当該組み合わせに対応する上記の遅延時間に基づいて前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力するように構成してもよい。
【0080】
本構成は、上記のステップS5(図7)において、制御部31は、各色の現像部6または帯電部4に供給するバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる制御信号を出力した場合に、当該各色の現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係(当該現像部6及び当該帯電部4の組み合わせと、当該現像部6及び当該帯電部4の各部間で、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間)を、位相記憶部331に記憶するようにして構成することができる。
【0081】
また、制御部31は、各色の現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係を位相記憶部331に記憶した後のステップS1(図7)において、位相記憶部331から当該バイアス電圧の位相関係を取得して、当該取得したバイアス電圧の位相関係に基づいてバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる制御信号を電源装置35に出力し、電源装置35は、当該制御信号で定められた所定のバイアス電圧を直流電圧制御回路354及び交流電圧制御回路353を介して現像部6に出力するようにして構成することができる。
【0082】
本構成によれば、画像形成装置の気温や湿度等の状況変化によっては必ず所定の周波数域の音圧が閾値以下となるわけではないが、事前に位相記憶部331に記憶されたバイアス電圧の位相関係に基づいて、位相がそれぞれ異なるバイアス電圧が現像部6に供給されるため、当該画像形成動作時のステップS4において音圧検知部38で検知される所定の周波数域の音圧が閾値以上になる可能性は軽減される。このため、ステップS5の処理を行う機会が軽減され、効率よくバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力することができる。
【0083】
また、本構成に加えて、プリンタ1の気温または湿度を検出する環境検出部を更に備え、電圧制御部は、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力したときの、環境検出部により検出された気温または湿度と、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる現像部6及び帯電部4の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを組み合わせた形で位相記憶部331に記憶し、その後、音圧検出部38により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、環境検出部により検出される気温または湿度に対応する、位相記憶部331に記憶されたバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと当該組み合わせに対応する上記の遅延時間に基づいてバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力するように構成してもよい。
【0084】
本構成は、例えば、図2の破線部に示すように、環境検出部30が、現像部6または帯電部4の周囲に気温または湿度を検出するセンサを設けて、当該センサから出力される検出信号を制御部31に出力するようにして構成することができる。
【0085】
これに合わせて、制御部31は、上記のステップS5(図7)において、各色の現像部6または帯電部4に供給するバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる制御信号を出力した場合に、環境検出部30の検出信号が示す気温または湿度と、当該各色の現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係(当該現像部6及び当該帯電部4の組み合わせと、当該現像部6及び当該帯電部4の各部間で、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間)とを組み合わせた形で位相記憶部331に記憶するようにして構成することができる。
【0086】
さらに、制御部31は、環境検出部30の検出信号が示す気温または湿度と、各色の現像部6または帯電部4におけるバイアス電圧の位相関係とを組み合わせた形で位相記憶部331に記憶した後のステップS1(図7)において、環境検出部30の検出信号が示す気温または湿度に対応するバイアス電圧の位相関係を位相記憶部331から取得して、当該取得したバイアス電圧の位相関係に基づいてバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる制御信号を電源装置35に出力するようにして構成することができる。
【0087】
プリンタ1の気温または湿度の変化に応じて音の伝わり方は異なるものであるが、この発明では、プリンタ1の気温または湿度の変化に応じて音圧検出部38により検出される所定の周波数域の音圧が変化した場合であっても、環境検出部30により検出される気温または湿度に対応する位相記憶部331に記憶された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の現像部6及び帯電部4の組み合わせと当該組み合わせに対応する遅延時間に基づいて、効率よく、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて現像部6または帯電部4に出力することができるようになる。
【0088】
尚、上記の構成に加えて、警告音を出力する警告出力部を備え、音圧検出部38を当該警告出力部と兼用して構成してもよい。
【0089】
例えば、図8に示すように、警告出力部39は、警告音を発生させるスピーカー部392と、後述する制御部31からの制御信号に基づいてスピーカー部392を駆動するトランジスタ391とを備えて構成され、制御部31は、用紙が複数枚重なって搬送されていることを検出する図略の重送検出センサ等の、各種検出信号に基づいてエラー発生を検出すると、警告音の発生指示を示す制御信号を警告出力部39に出力するように構成されている。
【0090】
ここで、スピーカー部392は、電気信号に応じてスピーカーを振動させることにより警告音を発生させるように構成され、これとは反対に、電気信号が入力されない場合には、スピーカーの振動に対応した電気信号を発生させるように構成されている。したがって、スピーカー部392は、図4に示す、音圧検知部38に備えられた圧電素子381と同じ機能を有するものとして、音圧検知部38に備えられる圧電素子381と兼用することができる。
【0091】
本構成によれば、例えば、画像形成動作時に紙詰まりが発生する等のエラーが発生した場合に、当該エラー発生状況を操作者に知らせるべく警告音を出力する警告出力部は、一般的に画像形成装置に備えられているものであるため、新たに圧電素子等を設けることなく、安価に本発明における音圧検出部を構成することができる。
【0092】
上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色で画像形成可能なカラープリンタを示したが、本発明に係る画像形成装置はモノクロプリンタであっても構わず、この場合、電圧制御部により、現像部6に出力するバイアス電圧の位相と帯電部4に出力するバイアス電圧の位相とを異ならせて、現像部6及び帯電部4で発生する共振音を軽減することができる。
【0093】
また、上記実施形態において図1乃至図8に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0094】
1 プリンタ(画像形成装置)
3 感光体ドラム(感光体)
4 帯電部
5 露光部
6 現像部
30 環境検出部
31 制御部(電圧制御部)
35 電源装置(電圧制御部)
36 入力操作部
38 音圧検出部
39 警告出力部
331 位相記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に潜像が形成される感光体と、
直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、
当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、
前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、
を備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する画像形成装置。
【請求項2】
ユーザによる操作指令を入力する入力操作部を更に備え、
前記入力操作部は、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間を入力するように構成され、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記入力操作部を介して入力された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを記憶する位相記憶部を更に備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力したときの、当該現像部及び当該帯電部の組み合わせと、当該現像部及び当該帯電部の各部間で、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させた遅延時間とを前記位相記憶部に記憶し、その後、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記位相記憶部に記憶された、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像形成装置の気温または湿度を検出する環境検出部を更に備え、
前記電圧制御部は、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力したときの、前記環境検出部により検出された気温または湿度と、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと、当該組み合わせに含まれる前記現像部及び前記帯電部の各部間で、バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせるべく、バイアス電圧の供給開始時期を遅延させる際の遅延時間とを組み合わせた形で前記位相記憶部に記憶し、その後、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記環境検出部により検出される気温または湿度に対応する、前記位相記憶部に記憶されたバイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせる対象の前記現像部及び前記帯電部の組み合わせと当該組み合わせに対応する前記遅延時間に基づいて前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
警告音を出力する警告出力部を更に備え、
前記音圧検出部が前記警告出力部と兼用されてなる請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
表面上に潜像が形成される感光体と、直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、を備えてなる画像形成装置において、
前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力する画像形成方法。
【請求項7】
表面上に潜像が形成される感光体と、直流電圧と交流電圧を重畳させてなるバイアス電圧を出力する電圧制御部と、当該画像形成装置で発生する音圧を検出する音圧検出部と、前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された前記感光体表面を露光して潜像を形成する露光部と、前記感光体表面の潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像部と、を備えてなる画像形成装置に内蔵されるコンピュータを、
前記電圧制御部が、前記音圧検出部により検出された所定の周波数域の音圧が所定の閾値よりも高い場合に、前記バイアス電圧の位相をそれぞれ異ならせて前記現像部または前記帯電部に出力するように機能させる画像形成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−203679(P2011−203679A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73363(P2010−73363)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】