説明

画像形成装置、画像形成方法

【課題】液体現像剤を用いて画像を形成する技術において、画像濃度を高精度に制御することを可能にする。
【解決手段】潜像が形成される潜像担持体と、液体キャリア及びトナーを含む液体現像剤によって前記潜像を現像する現像部と、前記現像部で現像された像に光を照射する発光部材、前記像で拡散反射された光を受光する受光部材、および前記発光部材から照射されて前記像で拡散反射されて前記受光部材に入る光の経路に配されるP偏光部材を有する光検出部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体現像剤を用いて形成したトナー像を光センサーにより検出する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体キャリアにトナーを分散させた液体現像剤によって潜像を現像することで、画像を形成する技術が知られている。また、この画像形成技術の分野では、パッチ画像と称される濃度測定用のトナー像を形成し、このトナー像の濃度を求めた結果に基づいて、その後に形成する画像の濃度を制御することが行われている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2では、光センサーを用いてこのようなトナー像の濃度を測定する技術が記載されている。この技術は、トナー像に光を照射した際の反射光量がトナー像の濃度に依存して変化することを利用して、光センサーで検出した反射光量からトナー像の濃度を求めるものである。
【0004】
さらに、特許文献2では、この濃度測定の精度は、液体現像剤に含まれる液体キャリアの影響によって低下する点が指摘されている。つまり、トナー像の表面には液体キャリアが付着しているため、トナー像に照射された光のうちの相当量は、トナー像そのものではなく、液体キャリアの界面で反射される。その結果、トナー像からの反射光量が過小となって、トナー像からの反射光量を正確に検出できず、濃度測定の精度が低下することがあった。そこで、特許文献2では、トナー像に光を照射する光源を複数設けることで、トナー像への照射光量を増大させて、トナー像からの反射光量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2006−304818号公報
【特許文献2】特開2003−177609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような方法では、液体キャリアが濃度測定の精度に与える影響を十分に排除することはできなかった。つまり、光センサー等の光検出部の検出する液体キャリア界面からの反射光量は、液体キャリアの表面状態に影響を受ける。例えば、液体キャリア表面が平らであるときと波打っているときとでは、液体キャリア界面での光の反射状態は異なるため、光検出部の検出する反射光量が変動する。言い換えれば、トナー像の濃度のみならず液体キャリアの表面状態にも依存して、光検出部の検出光量が変化してしまう。そのため、光検出部の検出光量に基づき測定された濃度は、液体キャリアの表面状態に起因する誤差を含むものとなる。また、この測定濃度に基づいてその後に形成する画像の濃度制御を行なった場合には、この測定濃度の誤差のために、画像濃度を高精度に制御することが困難となる場合があった。このような事情から、液体現像剤によりトナー像を形成する画像形成装置においては、光検出部によるトナー像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響が問題となっていた。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、液体現像剤を用いて像を形成する画像形成装置および画像形成方法において、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響を抑制する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1態様にかかる画像形成装置は、上記課題を解決するために、潜像が形成される潜像担持体と、液体キャリア及びトナーを含む液体現像剤によって潜像を現像する現像部と、現像部で現像された像に光を照射する発光部材、像で拡散反射された光を受光する受光部材、および発光部材から照射されて像で拡散反射されて受光部材に入る光の経路に配されるP偏光部材を有する光検出部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、潜像担持体に潜像を形成し、形成された潜像を液体キャリア及びトナーを含む液体現像剤によって現像し、光を照射する発光部材、像で拡散反射された光を受光する受光部材、および発光部材から照射されて像で拡散反射されて受光部材に入る光の経路に配されたP偏光部材を有する光検出部を用いて現像された像を検出することを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(画像形成装置、画像形成方法)では、像に光を照射する発光部材、および像で反射された光を受光する受光部材を有する光検出部によって、像を検出することができる。そして、この発明では、像に付着する液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを抑えることで、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響を抑制している。具体的には次のとおりである。
【0011】
まず、光検出部の受光部材は、像で拡散反射された光を検出するように構成されている。つまり、液体キャリアは光を鏡面反射(正反射)する性質を有する。したがって、拡散反射光を受光するように受光部材を構成することで、液体キャリアでの正反射光が受光部材に入射することを抑えることができる。さらに、本発明の光検出部はP偏光部材を有する。具体的には、このP偏光部材は、発光部材から出て像で拡散反射されて受光部材に入る光の経路に配されている。その結果、液体キャリアでの正反射光が受光部材に入射することを抑えて、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響を抑制することが可能となっている。
【0012】
このとき、P偏光部材を、発光部材から照射されて像に向かう光の経路に配しても良い。このように構成した場合、P偏光部材の作用によって、P偏光成分の光が像(および液体キャリア)に入射することとなる。すなわち、光に含まれるP偏光成分とS偏光成分のうち液体キャリアでの反射率の低いP偏光成分のみを実質的に像(および液体キャリア)に入射させることができる。その結果、液体キャリアで反射される光そのものの量を抑えて、延いては、液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを抑えることができる。これにより、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響を抑制することができる。
【0013】
さらに、光検出部は、像で拡散反射されて受光部材に向かう光の経路に配されるS偏光部材を有するように構成しても良い。つまり、液体キャリアで反射される光は、反射前後で偏光の向きを変えない。したがって、上述のように、P偏光成分の光を像(および液体キャリア)に入射させた場合、液体キャリアで反射された光は、P偏光の方向を向いたまま受光部材へと向かう。そこで、像で拡散反射されて受光部材に向かう光の経路にS偏光部材を配しておけば、液体キャリアでの反射光をS偏光部材でカットして、液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響をより確実に抑制することができる。
【0014】
また、発光部材を、発光した光の像への入射角がブリュースター角以下となる位置に配しても良い。つまり、P偏光成分の光の液体キャリアでの反射率は、光の入射角がブリュースター角以下の範囲では極めて小さい。したがって、上述のように、P偏光成分の光を像(および液体キャリア)に入射させた場合、像への光の入射角がブリュースター角以下となる位置に発光部材を配することで、液体キャリアでの反射光を極めて小さくすることができ、液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響をより確実に抑制することができる。ちなみに、像への光の入射角は、像を担持する面に対する入射角として求めることができる。
【0015】
なお、P偏光部材の位置は上記に限られない。そこで、P偏光部材を、像で反射されて受光部材に向かう光の経路に配しても良い。これにより、光に含まれるP偏光成分とS偏光成分のうち、液体キャリアで比較的多く反射されるS偏光成分をP偏光部材によりカットして、液体キャリアでの反射光(S偏光成分の光)が受光部材に入射することを効果的に抑制することができる。
【0016】
また、上述してきた構成において、光検出部は像の端部を検出し、光検出部で検出された像の端部の情報に基づいて、像の潜像担持体の移動方向の幅を算出する算出部と、算出部が算出した像の潜像担持体の移動方向の幅の情報に基づいて、画像の濃度に関連する画像形成条件を制御する制御部と、を備えるように構成しても良い。つまり、このような構成では、潜像担持体の潜像を液体現像剤によって現像して像を形成する。このとき形成される像の幅は、後に詳述するように、像の濃度に依存して変化するという性質を持つ。そこで、像の幅を求めて、この結果に基づいて画像の濃度に関連する画像形成条件を制御することができるとともに、画像濃度を高精度に制御することが可能となる。この理由は次のとおりである。
【0017】
上記特許文献2では、像からの反射光量が像の濃度に依存して変化することを利用して像の濃度が測定され、この測定濃度に基づいてその後の画像濃度が制御される。したがって、画像濃度制御を高精度に行うためには、像からの反射光量の微小な変化も光センサーによりきっちり検出して、像の濃度を正確に求めることが重要となる。しかしながら、像に付着する液体キャリアの影響で光センサーの検出する反射光量が変動したために、光センサーの検出光量から像の濃度を正確に求めることができず、その後の画像濃度制御の精度が低下する場合があった。これに対して、上記構成は、像の濃度ではなくて像の端部を光センサーによって検出している。この端部検出に対応して光センサーから出力される信号は比較的大きな変化を伴うものであるため、光センサーの出力信号に液体キャリアの影響に起因するものが含まれていても、端部の検出精度はそれほど大きな影響を受けない。そして、この構成では、こうして検出された像の端部の情報に基づいて像の幅を算出し、この算出結果に基づいての後の画像濃度制御を行うことで、高精度の画像濃度制御が実現されている。
【0018】
この発明の第1態様にかかる画像形成装置は、上記課題を解決するために、潜像が形成される潜像担持体と、液体キャリアとトナーを有する液体現像剤によって潜像を現像する現像部と、現像部で現像された像に光を照射する発光部材、像で拡散反射された光を受光する受光部材、発光部材から照射されて像に向かう光の経路に配されて第1の方向の偏光成分を透過させる第1の偏光部材、像で反射されて受光部材に向かう光の経路に配されて第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向の偏光成分を透過させる第2の偏光部材を有する光検出部と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
このように構成された発明(画像形成装置)では、像に光を照射する発光部材、および像で反射された光を受光する受光部材を有する光検出部によって、像を検出することができる。そして、この発明では、像に付着する液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを抑えることで、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響を抑制している。具体的には、次のとおりである。
【0020】
この発明では、第1の方向を向く偏光成分を透過させる第1の偏光部材が、発光部材から出て像に向かう光の経路に配されている。したがって、像(および液体キャリア)に照射される光は、第1の方向を向く光である。このとき、液体キャリアにより反射された光は反射前後で偏光方向を変えずに第1の方向を向いている。そこで、像(および液体キャリア)で反射されて受光部材に向かう光の経路に、第2の偏光部材が配されている。すなわち、この第2の偏光部材は、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向を向く偏光成分を透過させるものである。したがって、液体キャリアでの反射光を第2の偏光部材でカットして、液体キャリアでの反射光が受光部材に入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光検出部による像の検出結果に対して液体キャリアが与える影響をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図。
【図3】画像形成条件を決定する動作を説明する図。
【図4】トナー像の幅と濃度の関係を説明するための図。
【図5】テスト用トナー像の幅とLUTの関係を示す図。
【図6】液体キャリアの表面状態が光センサーのトナー像検出に与える影響の説明図。
【図7】本実施形態の光センサーの構成を示す模式図。
【図8】光の入射角と液体キャリアでの反射率の関係をグラフとして示した図。
【図9】画像形成条件の決定する動作の変形例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1実施形態
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。図2は、図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーに与えられると、このメインコントローラーがメカコントローラー100(図2)に制御信号を与え、これに基づき、メカコントローラー100が装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0023】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体(図示省略)の内部には、電源回路基板、メインコントローラー、メカコントローラー100等を内蔵する電装品ボックス(図示省略)が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および二次転写ユニット12もハウジング本体内に配設されている。
【0024】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0025】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の感光体カートリッジに保持されており、感光体カートリッジと一体的に装置本体に対して着脱自在に構成されている。さらに、感光体カートリッジそれぞれには、当該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性のメモリーが設けられている。そして、メカコントローラー100と各感光体カートリッジとの間で無線通信が行なわれる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がメカコントローラー100に伝達されるとともに、必要に応じて各メモリーの情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各感光体カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0026】
また、感光体カートリッジが装着された状態において、各感光体ドラム21はその回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21の回転軸はそれぞれ専用の駆動モーターDMに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送される。このとき、感光体ドラム21の駆動モーターDMの制御は、モーター制御部101によって実行される。
【0027】
また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、露光器としてのラインヘッド29、現像部25およびスクイーズローラーSQ1、SQ2および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作等が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0028】
帯電部23はいわゆるコロナ帯電器で構成されており、感光体ドラム21表面に接触しない非接触型の帯電器である。この帯電部23は、帯電電圧発生部(図示省略)に接続されている。そして、バイアス電圧制御部102(図2)の制御を受けて帯電電圧発生部が帯電バイアスを帯電部23に給電すると、帯電部23が感光体ドラム21に対向する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0029】
ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように、かつ、その幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように配置されている。ラインヘッド29は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子を備えており、各発光素子からの光を結像して感光体ドラム21表面に照射する。そして、露光制御部103からの制御を受けて、ラインヘッド29が帯電された感光体ドラム21表面を露光することで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0030】
なお、潜像形成時における感光体ドラム21表面の露光時間は形成する画像の濃度に影響し、具体的には、露光時間が長いと画像濃度が高くなり、逆に露光時間が短いと画像濃度が薄くなる。そこで、この実施形態では、露光時間が画像形成条件として予め求められて、露光制御部103に記憶されている。そして、露光制御部103は、記憶する露光時間に基づいて、感光体ドラム21表面を露光する時間を制御することで、画像濃度を適切な濃度に調整している。
【0031】
このように形成された静電潜像は、感光体ドラム21表面に伴って副走査方向SDに現像部25まで移動して、現像部25によって現像される。この現像部25は、現像ローラー251の他に、貯留タンク252、汲上ローラー253および供給ローラー254を備える。貯留タンク252は、シリコーンオイル等の不揮発性かつ絶縁性の液体キャリア中に、トナー粒子を高濃度(5〜40wt%程度)に分散させた高粘度(100〜10000mPa・s程度)の液体現像剤LDを貯留している。この貯留タンク252内の液体現像剤LDには、図1矢印方向に回転する汲上ローラー253が部分的に浸かっている。そして、液体現像剤LDは、汲上ローラー253の回転に伴って供給ローラー254にまで汲み上げられる。
【0032】
供給ローラー254は、現像ローラー251に対向して配置されている。そして、供給ローラー254は、図1矢印方向に回転することで、汲上ローラー253が汲み上げた液体現像剤LDを現像ローラー251に供給する。このとき、現像ローラー251に供給される液体現像剤LDの単位時間当たりの量は、供給ローラー254の回転数(単位時間当たりの回転回数)によって増減する。したがって、供給ローラー254の回転数が変化すると、現像ローラー251に担持される液体現像剤LDの膜厚も増減して、ひいては画像濃度も変化することとなる。そこで、モーター制御部101は、供給ローラー254を回転駆動する駆動モーターを制御して、供給ローラー254の回転数を調整している。すなわち、供給ローラー254の回転数は画像形成条件として予め求められてモーター制御部101に記憶されており、モーター制御部101は、記憶する回転数で供給ローラー254を回転させることで、画像濃度を適切な濃度に調整している。
【0033】
現像ローラー251は、感光体ドラム21に対向して配置されており、その表面に液体現像剤LDを担持しながら図1矢印方向に回転する。現像ローラー251の内心には、現像バイアス発生部(不図示)が電気的に接続されている。そして、現像バイアス発生部が現像ローラー251の内心に現像バイアスを印加すると、液体現像剤LDに含まれる帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21表面に移動する。こうして、感光体ドラム21表面の被露光部分にトナーが付着して、感光体ドラム21表面の潜像が現像される。
【0034】
このとき、被露光部分に付着するトナーの量は、現像バイアスの電圧値によって変化する。したがって、現像バイアスの電圧値によって画像の濃度は変化する。そこで、この現像バイアスの電圧値は、画像形成条件として予め求められてバイアス電圧制御部102に記憶されている。そして、バイアス電圧制御部102は、現像バイアス発生部を制御することで、記憶する現像バイアスを現像ローラー251に印加し、画像濃度を適切な濃度に調整している。
【0035】
こうして形成されたトナー像は、スクイーズローラーSQ1、SQ2によって余分な液体キャリアが取り除かれた後に、一次転写位置TR1に搬送されて、転写ベルトユニット8によって転写ベルト81に一次転写される。転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83と、これらのローラーに張架され駆動ローラー82の回転により図示矢印D81の方向(副走査方向SD)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、カートリッジ装着時において各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の一次転写ローラー85Y、85M、85Cおよび85Kを備えている。これらの一次転写ローラーは、それぞれ一次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。
【0036】
カラーモード実行時は、図1に示すように全ての一次転写ローラー85Y、85M、85Cおよび85Kを画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に一次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラー85Y等に一次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する一次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写する。すなわち、カラーモードにおいては、各色の単色トナー像が転写ベルト81上において互いに重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0037】
さらに、転写ベルトユニット8は、ブラック用一次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された転写ベルトスクイーズ部87を備える。この転写ベルトスクイーズ部87は、中間転写ベルト81表面から余分な液体キャリアを除去して、中間転写ベルト81表面に転写されたトナー像のトナー粒子率を向上させる機能を果たす。
【0038】
二次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、二次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。そして、二次転写ローラー121が転写ベルト81に当接した状態において、二次転写ローラー121と中間転写ベルト81との間に二次転写位置TR2が形成される。レジストローラー対80は給紙タイミングを調整しながら排紙経路Dpeに沿ってシートを送り出し、当該シートを二次転写位置TR2に給紙する。そして、二次転写位置TR2において、中間転写ベルト81表面のトナー像がシートに二次転写される。こうして、画像としてのトナー像がシートに形成される。
【0039】
以上が、画像形成装置と同装置が実行する画像形成動作の概略である。ところで、この画像形成装置では、ラインヘッド29の露光時間、供給ローラー254の回転数、および現像ローラー251に印加する現像バイアスの電圧値が画像形成条件として予め求められており、この画像形成条件に基づいて画像濃度が制御される。続いては、この画像形成条件を決定する動作について説明する。
【0040】
図3は、画像形成条件を決定する動作を説明する図である。この画像形成条件の決定動作では、テスト用トナー像TIが形成されて、このテスト用トナー像TIの副走査方向SDのエッジ(端部)が検出される。この検出動作では、感光体ドラム21表面に、副走査方向SDに所定の幅(210μm程度(1〜10dot程度))を有する略長方形状のテスト用潜像が形成される。そして、このテスト用潜像を現像部25によって現像することで、図3の「検出動作」の段に示すような略長方形状のテスト用トナー像TIが形成される。そして、このテスト用トナー像TIの副走査方向SDのエッジED1、ED2が、光センサー104(図2)によって検出される。
【0041】
つまり、感光体ドラム21の回転方向D21において現像ローラー251と一次転写位置TR1との間には、光センサー104(図2)が感光体ドラム21表面に対向して配置されている。この光センサー104は、略円形のセンサースポットSPを感光体ドラム21表面に照射する照射部と、感光体ドラム21表面から拡散反射された光を受光する受光部とで構成されている。主走査方向MDにおいて、このセンサースポットSPの長さLs(数十〜数百μm)は、テスト用トナー像TIの長さLt(約21mm)よりも短く設定されている。そして、感光体ドラム21表面と一緒にテスト用トナー像TIが副走査方向SDに移動してセンサースポットSPを通過すると、光センサー104の受光量が変化して、光センサー104は、図3の「光センサー出力信号」に示すような信号を出力する。
【0042】
より具体的に説明すると、感光体ドラム21の表面は鏡面性が高くて光を正反射する。そのため、テスト用トナー像TIがセンサースポットSPを通過する前後では、光センサー104の受光部に入射する拡散反射光の量は少なく、光センサー104は比較的低い電圧Vlを出力する。一方、テスト用トナー像TIがセンサースポットSPを通過している間は、光センサー104の受光する拡散反射光の量が増大するため、光センサー104は比較的高い電圧Vhを出力する。したがって、テスト用トナー像TIの副走査方向SDの下流側のエッジED1がセンサースポットSPを通過すると、光センサー104の出力電圧が電圧Vlから電圧Vhに上昇して、エッジED1が検出される。また、これに続いて、テスト用トナー像TIの副走査方向SDの上流側のエッジED2がセンサースポットSPを通過すると、光センサー104の出力電圧が電圧VhからVlに下降して、エッジED2が検出される。
【0043】
そして、テスト用トナー像TIのエッジED1、ED2を検出した結果から、テスト用トナー像TIの副走査方向SDへの幅が求められる。具体的には、比較器105が、光センサー104の出力信号を、閾値電圧発生器106の発生する閾値電圧Vthで二値化する。こうして、エッジED1の検出タイミングt1およびエッジED2の検出タイミングt2がそれぞれタイマー107に入力されて、タイマー107がこれらの時間差(=t2−t1)を計測する。
【0044】
こうして計測された時間差(=t2−t1)は、演算器108に入力される。演算器108は、この時間差(=t2−t1)に感光体ドラム21表面の移動速度(250mm/s)を乗じることで、テスト用トナー像TIの幅Wを算出するとともに、この算出幅WとLUT(ルック・アップ・テーブル)109の内容を比較してテスト用トナー像TIの濃度を求める。つまり、次に説明するように、テスト用トナー像TIの幅Wは、テスト用トナー像TIの濃度に依存して変化するという性質を有しており、この実施形態は、この性質を利用してテスト用トナー像TIの濃度を求める。
【0045】
図4は、テスト用トナー像の濃度と幅の関係を説明する図である。同図では、現像ローラー251表面の液体現像剤LDの膜厚が減少したとき(膜厚減少時)、標準のとき(膜厚標準時)および増加したときの各場合について、テスト用トナー像TIの形成過程(同図上段)および当該過程で形成されたテスト用トナー像TI(同図下段)が示されている。なお、同図下段の「トナー像」の段において、「膜厚減少時」および「膜厚増加時」の欄では標準膜厚の液体現像剤LDで現像されたテスト用トナー像TIの輪郭が破線で示されている。
【0046】
図4上の「トナー像形成過程」の段に示すように、テスト用トナー像TIの形成は、副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面を露光器29で露光して潜像LIを形成するとともに、現像ローラー251表面の液体現像剤LDでこの潜像LIを現像することで行われる。このとき、図4中央の「標準膜厚」の欄に示すように、液体現像剤LDが標準の膜厚を有するときは、感光体ドラム21表面の潜像LIに対して副走査方向SDに所定の広がりを持ってトナーが付着して、副走査方向SDに所定幅W(0)を有するテスト用トナー像TIが形成される。
【0047】
これに対して、図4左の「膜厚減少時」の欄に示すように、液体現像剤LDの膜厚が減少すると、単位面積当たりに存在する液体現像剤LDの固形分比率が少なくなるため、潜像LIに付着する際のトナーの広がりが抑えられて、テスト用トナー像の占有面積が狭くなる。その結果、テスト用トナー像TIは、所定幅W(0)よりも狭い幅W(-)を副走査方向SDに有することとなる。また、同図右の「膜厚増加時」の欄に示すように、液体現像剤LDの膜厚が増加すると、単位面積当たりに存在する液体現像剤LDの固形分比率が多くなるため、潜像LIに付着する際のトナーの広がりが大きくなって、テスト用トナー像の占有面積が広くなる。その結果、テスト用トナー像TIは、所定幅W(0)よりも広い幅W(+)を副走査方向SDに有することとなる。
【0048】
言い換えれば、薄い膜厚の液体現像剤LDで形成された低濃度のテスト用トナー像TIは副走査方向SDに狭い幅W(-)を有し、標準膜厚の液体現像剤LDで形成された標準濃度のテスト用トナー像TIは副走査方向SDに所定幅W(0)を有し、厚い膜厚の液体現像剤LDで形成された高濃度のテスト用トナー像TIは副走査方向SDに広い幅W(+)を有することとなる。そこで、以下の実施形態に示すように、この実施形態は、テスト用トナー像TIの幅がテスト用トナー像TIの濃度によって変化することを利用して、画像濃度の制御を実行している。具体的には、LUT109を参照して、テスト用トナー像TIの測定幅TIからテスト用トナー像TIの濃度を求めている。
【0049】
図5は、テスト用トナー像の幅とLUTの関係を示す図である。同図の左側では、テスト用トナー像TIの幅が示されており、同図の右側では、LUTのアドレス(Address)に記憶されているテスト用トナー像TIの濃度データ(O.D.値)が示されている。さらに、同図では、各テスト用トナー像TIの幅Wと、当該幅Wを有するテスト用トナー像TIの濃度データが矢印で関連付けて示されている。そして、演算器108は、この幅Wと濃度データの関連に基づいて、算出した幅Wから濃度を求める。
【0050】
一例を挙げれば、演算器108は、算出した幅Wが212.67(μm)であれば、LUT109のアドレス15番地にアクセスして、このアドレス15番地に格納されている濃度データ(=1.55)をテスト用トナー像TIの濃度として求める。なお、O.D.値で1.5を標準濃度とすると、ここで挙げた例では、テスト用トナー像TIの濃度が標準濃度より高いことになる。
【0051】
つまり、図4を用いて説明した理由により、テスト用トナー像TIの幅Wはテスト用トナー像TIの濃度によって変化する。そこで、この実施形態では、テスト用トナー像TIの幅Wを測定(算出)し、この測定結果からテスト用トナー像TIの濃度を求めている。こうして求められたテスト用トナー像TIの濃度はメカコントローラー100に出力され、メカコントローラー100はこの濃度に基づいて、画像形成条件を最適化する。具体的には、テスト用トナー像TIの濃度と標準濃度の差が求められて、以後に形成する画像の濃度が標準濃度になるように画像形成条件が最適化される。そして、最適化された画像形成条件は、各制御部101、102、103に記憶されて、以後に形成する画像の濃度制御に用いられることとなる。
【0052】
例えば、画像形成条件として現像バイアスの電圧値を最適化する場合について具体的に説明すると、先ほどのとおり、テスト用トナー像TIの濃度は標準濃度より高いことから、現像バイアスの電圧値が大きすぎることとなる。そこで、現状の現像バイアスの電圧値が450(V)であるならば、これを420(V)に変更すれば良い。これにより、感光体ドラム21へのトナーの供給量を減少させて、所定の濃度(O.D.値で1.5)で画像を形成することができる。
【0053】
ところで、上述のように、液体現像剤LDによって形成されたテスト用トナー像TIを、光センサーで検出する場合、液体現像剤LDに含まれる液体キャリアLCの表面状態が、光センサーのトナー像検出動作に影響する場合があった(図6)。図6は、液体キャリアの表面状態が光センサーのトナー像検出動作に与える影響の説明図である。同図の光センサーSCは、照射部SCeが照射してテスト用トナー像TIで全反射された光を受光部SCrで受光するものである。
【0054】
液体現像剤LDによって形成されたテスト用トナー像TIの両エッジED1、ED2には、液体キャリアLC(キャリアオイル)が付着する。この液体キャリアLCは、表面張力の効果によってテスト用トナー像TIの厚みに比べて、かなり広い範囲に濡れ広がる。しかも、この液体キャリアLCの表面状態は平面とは限らないため、液体キャリアLC表面の法線Ncの方向は不安定であり、そのため、液体キャリアLCで全反射される光の反射方向も不安定となる。したがって、液体キャリアLCの表面状態に依存して、反射光Lrの方向に全反射されて受光部SCrに入射するときもあれば、反射光Lfの方向に全反射されて受光部SCrに入射しないときもあるといったように、受光部SCrに入射する光量が安定せず、その結果、テスト用トナー像TIのエッジED1、ED2検出のタイミングt1、t2が大きな誤差を含んでしまう場合があった。
【0055】
このような問題に対応するために、本実施形態の光センサー104は、図7に示すような構成を備える。ここで、図7は、本実施形態の光センサーの構成を示す模式図である。同図に示すように、感光体ドラム21表面の法線N21に対して、光センサーSCの照射部104eは角度θeだけ傾けて配置される一方、光センサーSCの受光部104rは角度θr(<θe)だけ傾けて配置されている。これにより、照射部104eが発光する光は入射角θeで感光体ドラム21表面に入射する一方、入射角θeと異なる反射角θrで感光体ドラム21表面から拡散反射された光が受光部104rで検出される。つまり、受光部104rは、正反射光を受光する位置から外れて配置されて、拡散反射光を検出するように構成されている。
【0056】
また、照射部104eから感光体ドラム21表面(およびテスト用トナー像TI)に向かう光の進路には、P偏光板104pが配置されている。したがって、照射部104eから射出された光はP偏光板104pにより偏光された後に、感光体ドラム21やテスト用トナー像TIに照射される。つまり、感光体ドラム21やテスト用トナー像TIには、P偏光成分の光Lpが照射される。
【0057】
さらに、このP偏光成分の光Lpのテスト用トナー像TIへの入射角θeが、ブリュースター角θb以下となるように、照射部104e(およびP偏光板104p)は感光体ドラム21表面に対して位置決めされている。なお、テスト用トナー像TIへの光Lpの入射角θeは、テスト用トナー像TIを担持する面(ここでは、感光体ドラム21表面)に対する入射角として求めることができる。
【0058】
一方、感光体ドラム21表面(およびテスト用トナー像TI)から受光部104rに向かう光の進路には、S偏光板104sが配置されている。したがって、感光体ドラム21やテスト用トナー像TIで反射された光はS偏光板104sにより偏光された後に、受光部104rに入射する。つまり、受光部104rには、S偏光成分の光Lsが入射する。
【0059】
以上が本実施形態の光センサー104が備える構成である。そして、このように光センサーSCを構成することで、テスト用トナー像TIに付着する液体キャリアLCでの反射光が受光部104rに入射することを抑えて、テスト用トナー像TI(のエッジED1、ED2)の検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響を抑制している。具体的には次のとおりである。
【0060】
まず、光センサー104の受光部104rは、テスト用トナー像TIで拡散反射された光を検出するように構成されている。つまり、液体キャリアLCは光を鏡面反射(正反射)する性質を有する。したがって、拡散反射光を受光するように受光部104rを構成することで、液体キャリアLCでの正反射光が受光部104rに入射することを抑えることができる。
【0061】
さらに、上記実施形態の光センサー104はP偏光板104pを有する。具体的には、このP偏光板104pは、照射部104eから出てテスト用トナー像TIで拡散反射されて受光部104rに入る光の進路に配されている。その結果、液体キャリアLCでの正反射光が受光部104rに入射することを抑えて、光センサー104によるテスト用トナー像TIの検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響を抑制することが可能となっている。
【0062】
つまり、光に含まれるP偏光成分とS偏光成分のうち、P偏光成分の光は、液体キャリアLCでの反射率が比較的低いという性質を有する(図8)。ここで、図8は、光の入射角と液体キャリアでの反射率の関係をグラフとして示した図である。同図では、横軸に光の入射角をとるとともに縦軸に光の反射率をとっており、S偏光成分の光(s波)の反射率RsおよびP偏光成分の光(s波)の反射率Rpがそれぞれ示されている。具体的には、このグラフは、液体キャリアLCに使用されるシリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製のKF-50-100cs(屈折率は約1.4))と空気(屈折率は1)との界面に対してフレネルの式を適用して、p波およびs波の反射率を求めたものである。このグラフから、どの入射角においても、s偏光成分の光よりもp偏光成分の光の方が液体キャリアLCからの反射が少ない(反射率が低い)ことがわかる。
【0063】
そこで、上記実施形態では、このとき、P偏光板104pを、照射部104eから出てテスト用トナー像TIに向かう光の進路に配している。このように構成した場合、P偏光板104pの作用によって、P偏光成分の光Lpがテスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)に入射することとなる。すなわち、液体キャリアLCでの反射率の低いP偏光成分のみを実質的にテスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)に入射させることができる。その結果、液体キャリアLCで反射される光そのものの量を抑えて、延いては、液体キャリアLCでの反射光が受光部104rに入射することを抑えることができる。これにより、光センサー104によるテスト用トナー像TIの検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響を抑制することができる。
【0064】
さらに、上記実施形態では、光センサー104は、テスト用トナー像TIで拡散反射されて受光部104rに向かう光の進路に配されたS偏光板104sを有している。つまり、液体キャリアLCで反射される光は、反射前後で偏光の向きを変えない。したがって、上述のように、P偏光成分の光Lpをテスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)に入射させた場合、液体キャリアLCで反射された光は、P偏光の方向を向いたまま受光部104rへと向かう。そこで、テスト用トナー像TIで拡散反射されて受光部104rに向かう光の進路にS偏光板104sを配しておけば、液体キャリアLCでの反射光をS偏光板104sでカットして、液体キャリアLCでの反射光が受光部104rに入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光センサー104によるテスト用トナー像TIの検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響をより確実に抑制することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、照射部104eを、発光した光のテスト用トナー像TIへの入射角θeがブリュースター角θb以下となる位置に配置している。つまり、図8から理解できるように、P偏光成分の光Lpの液体キャリアLCでの反射率は、光の入射角がブリュースター角θb以下の範囲では極めて小さい。したがって、上述のように、P偏光成分の光Lpをテスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)に入射させた場合、テスト用トナー像TIへの光の入射角θeがブリュースター角θb以下となる位置に照射部104eを配することで、液体キャリアLCでの反射光を極めて小さくすることができ、液体キャリアLCでの反射光が受光部104rに入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光センサー104によるテスト用トナー像TIの検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響をより確実に抑制することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、第1の方向(P偏光方向)を向く偏光成分を透過させる第1の偏光板104pが、照射部104eから出てテスト用トナー像TIに向かう光の進路に配されている。したがって、テスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)に照射される光Lpは、第1の方向を向く光である。このとき、液体キャリアLCにより反射された光は反射前後で偏光方向を変えずに第1の方向を向いている。そこで、テスト用トナー像TI(および液体キャリアLC)で反射されて受光部104rに向かう光の進路に、第2の偏光板104sが配されている。すなわち、この第2の偏光板104sは、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向(S偏光方向)を向く偏光成分を透過させるものである。したがって、液体キャリアLCでの反射光を第2の偏光板104sでカットして、液体キャリアLCでの反射光が受光部104rに入射することを効果的に抑制することができる。これによって、光センサー104によるテスト用トナー像TIの検出結果に対して液体キャリアLCが与える影響をより確実に抑制することができる。
【0067】
また、図2〜図5を用いて説明したように、上記実施形態では、感光体ドラム21表面の潜像を液体現像剤LDによって現像してテスト用トナー像TIを形成する。そして、このテスト用トナー像TIの幅Wは、テスト用トナー像TIの濃度に依存して変化するという性質を持つ。そこで、この実施形態は、テスト用トナー像TIの幅Wを測定し、この測定結果に基づいて画像の濃度に関連する画像形成条件を調整している。その結果、画像濃度を高精度に制御することが可能となっている。この理由は次のとおりである。
【0068】
先に説明した特許文献2では、トナー像からの反射光量がトナー像の濃度に依存して変化することを利用してトナー像の濃度が測定され、この測定濃度に基づいてその後の画像濃度が制御される。したがって、画像濃度制御を高精度に行うためには、トナー像からの反射光量の微小な変化も光センサーによりきっちり検出して、トナー像の濃度を正確に求めることが重要となる。しかしながら、トナー像に付着する液体キャリアの影響で光センサーの検出する反射光量が変動したために、光センサーの検出光量からトナー像の濃度を正確に求めることができず、その後の画像濃度制御の精度が低下する場合があった。
【0069】
これに対して、上記実施形態は、テスト用トナー像TIの濃度ではなくてテスト用トナー像TIのエッジED1、ED2を光センサー104によって検出している。このエッジ検出に対応して光センサー104から出力される信号は比較的大きな変化を伴うものであるため、光センサー104の出力信号に液体キャリアの影響に起因するものが含まれていても、エッジED1、ED2の検出精度はそれほど大きな影響を受けない。そして、この実施形態では、こうして検出されたテスト用トナー像TIのエッジED1、ED2に基づいてテスト用トナー像TIの幅Wを測定し、この測定結果に基づいての後の画像濃度制御を行うことで、高精度の画像濃度制御が実現されている。
【0070】
第2実施形態
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、主として画像形成条件を決定する動作にあるので、以下ではこれを中心に説明を行い、その他の部分の説明は適宜省略する。なお、第1実施形態と共通する構成を具備することで、第2実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が奏されることは言うまでも無い。
【0071】
図9は、画像形成条件の決定する動作の変形例を説明する図である。第1実施形態では、テスト用トナー像TIの幅Wがテスト用トナー像TIの濃度によって変化することを画像濃度制御に利用するために、テスト用トナー像TIの幅Wが測定された。これに対して、第2実施形態では、副走査方向SDに並ぶ2つのテスト用トナー像TI1、TI2が形成され、副走査方向SDへのテスト用トナー像TI1、TI2の間の距離(間隔P)が測定される。つまり、濃度変化によってテスト用トナー像TI1、TI2それぞれの幅が変化した場合、これらテスト用トナー像TI1、TI2の間隔Pも変化することとなる。そこで、第2実施形態は、この間隔Pを測定した結果に基づいて画像形成条件を最適化する。詳細は次のとおりである。
【0072】
まず、感光体ドラム21表面に副走査方向SDに幅を有する略長方形状のテスト用潜像が、副走査方向SDに並んで形成される。そして、これらテスト用潜像を現像部25によって現像することで、図9の「検出動作」の段に示すような略長方形状を有する2つのテスト用トナー像TIが副走査方向SDに並んで形成される。続いて、2つのテスト用トナー像TI1、TI2は、副走査方向SDに移動して、光センサー104のセンサースポットSPを通過する。これに伴って、光センサー104の受光量が変化して、光センサー104は、図9の「光センサー出力信号」の段に示すような電圧信号を出力する。そして、この電圧信号からテスト用トナー像TI1、TI2の間隔Pが求められる。
【0073】
つまり、テスト用トナー像TI1の副走査方向SD上流側のエッジED1がセンサースポットSPを通過すると、光センサー104の出力電圧が電圧VhからVlに下降して、エッジED1が検出される。これに続いて、テスト用トナー像TI2の副走査方向SD下流側のエッジED2がセンサースポットSPを通過すると、光センサー104の出力電圧が電圧Vlから電圧Vhに上昇して、エッジED2が検出される。
【0074】
そして、これらエッジED1、ED2を検出した結果から、テスト用トナー像TI1、TI2の副走査方向SDへの間隔Pが求められる。具体的には、比較器105が、光センサー104の出力信号を、閾値電圧発生器106の発生する閾値電圧Vthで二値化する。こうして、エッジED1の検出タイミングt1およびエッジED2の検出タイミングt2がそれぞれタイマー107に入力されて、タイマー107がこれらの時間差(=t2−t1)を計測する。
【0075】
こうして計測された時間差(=t2−t1)は、演算器108に入力される。演算器108は、この時間差(=t2−t1)に感光体ドラム21表面の移動速度を乗じることで、テスト用トナー像TI1、TI2の間隔Pを算出するとともに、この算出間隔Pからテスト用トナー像TI1、TI2の濃度を求める。
【0076】
こうして求められたテスト用トナー像TI1、TI2の濃度はメカコントローラー100に出力され、メカコントローラー100はこの濃度に基づいて、画像形成条件を最適化する。具体的には、テスト用トナー像TI1、TI2の濃度と標準濃度の差が求められて、以後に形成する画像の濃度が標準濃度になるように画像形成条件が最適化される。そして、最適化された画像形成条件は、各制御部101、102、103に記憶されて、以後に形成する画像の濃度制御に用いられることとなる。
【0077】
以上に説明したように、第2実施形態においても、テスト用トナー像TI1、TI2の濃度ではなくてテスト用トナー像TI1、TI2のエッジED1、ED2を光センサー104によって検出している。このエッジ検出に対応して光センサー104から出力される信号は比較的大きな変化を伴うものであるため、光センサー104の出力信号に液体キャリアの影響に起因するものが含まれていても、エッジED1、ED2の検出精度はそれほど大きな影響を受けない。そして、この第2実施形態では、こうして検出されたテスト用トナー像TI1、TI2のエッジED1、ED2に基づいて2つのテスト用トナー像TI1、TI2の間の距離(間隔P)を測定し、この測定結果に基づいての後の画像濃度制御を行うことで、高精度の画像濃度制御が実現されている。
【0078】
その他
以上のように、上記実施形態では、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、現像部25が本発明の「現像部」に相当し、テスト用トナー像TIが本発明の「像」に相当し、光センサー104が本発明の「光検出部」に相当し、照射部104eが本発明の「発光部材」に相当し、受光部104rが本発明の「受光部材」に相当し、P偏光板104pが本発明の「P偏光部材」あるいは「第1の偏光部材」に相当し、S偏光板104sが本発明の「S偏光部材」あるいは「第2の偏光部材」に相当する。また、上記実施形態では、画像形成条件が本発明の「画像の濃度に関連する画像形成条件」に相当し、光センサー104、比較器105、閾値電圧発生器106、タイマー107、演算器108およびLUT109が協働して本発明の「算出部」に相当し、メカコントローラー100が本発明の「制御部」に相当する。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、P偏光板104pの位置は上記に限られない。そこで、光センサー104からS偏光板104sを排するとともに、P偏光板104pを、テスト用トナー像TIで反射されて受光部104rに向かう光の進路に配しても良い。これにより、光に含まれるP偏光成分とS偏光成分のうち、液体キャリアLCで比較的多く反射されるS偏光成分(図8)をP偏光板104pによりカットして、液体キャリアLCでの反射光(S偏光成分の光)が受光部104rに入射することを効果的に抑制することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、ラインヘッド29の露光時間、供給ローラー254の回転数、および現像ローラー251に印加する現像バイアスの電圧値が画像形成条件として最適化されていた。しかしながら、これらの全てを最適化する必要は必ずしも無く、これらのうちの一つ(例えば、供給ローラー254の回転数)を選択的に最適化するように構成しても良い。あるいは、画像濃度に関連するこれら以外の条件(例えば、ラインヘッド29の発光素子の発光光量等)を、画像形成条件として最適化しても良い。
【0081】
また、上記実施形態では、感光体ドラム21上のテスト用トナー像TI、TI1、TI2のエッジを検出していた。しかしながら、中間転写ベルト81に一次転写されたテスト用トナー像TI、TI1、TI2、あるいはシートに二次転写されたテスト用トナー像TI、TI1、TI2のエッジを検出するように構成しても良い。
【0082】
また、上記第1実施形態では、テスト用トナー像TIの幅Wをテスト用トナー像TIの濃度に換算し、この換算結果に基づいて画像形成条件を最適化していた。しかしながら、テスト用トナー像TIの濃度に換算すること無く、テスト用トナー像TIの幅Wから直接に画像形成条件を最適化するように構成することもできる。
【0083】
また、上記第1実施形態では、形成されるテスト用トナー像TIは一つだけであった。しかしながら、複数のテスト用トナー像TIを形成するように構成しても良い。この場合、例えば、複数のテスト用トナー像TIそれぞれの幅Wを測定して、この平均値に基づいて画像形成条件を最適化しても良い。
【0084】
また、上記第2実施形態では、テスト用トナー像TI1、TI2の間隔Pをテスト用トナー像TI1、TI2の濃度に換算し、この換算結果に基づいて画像形成条件を最適化していた。しかしながら、テスト用トナー像TI1、TI2の濃度に換算すること無く、テスト用トナー像TI1、TI2の間隔Pから直接に画像形成条件を最適化するように構成することもできる。
【0085】
また、上記第1実施形態では、形成されるテスト用トナー像は2つだけであった。しかしながら、3つ以上のテスト用トナー像を形成するように構成しても良い。この場合、例えば、これらのテスト用トナー像TIそれぞれの間隔Pを測定して、この平均値に基づいて画像形成条件を最適化しても良い。
【符号の説明】
【0086】
21…感光体ドラム、 SD…副走査方向、 LD…液体現像剤、 TI、TI1、TI2…テスト用トナー像、 100…メカコントローラー、101…モーター制御部、 102…バイアス電圧制御部、 103…露光制御部、 104…光センサー、 104e…照射部、 104r…受光部、 104p…P偏光板、 104s…S偏光板、 105…比較器、 106…閾位置電圧発生器、 107…タイマー、 108…演算器、 109…LUT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
液体キャリア及びトナーを含む液体現像剤によって前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像に光を照射する発光部材、前記像で拡散反射された光を受光する受光部材、および前記発光部材から照射されて前記像で拡散反射されて前記受光部材に入る光の経路に配されるP偏光部材を有する光検出部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記P偏光部材は、前記発光部材から照射されて前記像に向かう光の経路に配される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光検出部は、前記像で拡散反射されて前記受光部材に向かう光の経路に配されるS偏光部材を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光部材は、発光した光の前記像への入射角がブリュースター角以下となる位置に配される請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記P偏光部材は、前記像で反射されて前記受光部材に向かう光の経路に配される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光検出部は前記像の端部を検出し、
前記光検出部で検出された前記像の端部の情報に基づいて、前記像の前記潜像担持体の移動方向の幅を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記像の前記潜像担持体の移動方向の幅の情報に基づいて、画像の濃度に関連する画像形成条件を制御する制御部と、
を備える請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
潜像担持体に潜像を形成し、
形成された前記潜像を液体キャリア及びトナーを含む液体現像剤によって現像し、
光を照射する発光部材、前記像で拡散反射された光を受光する受光部材、および前記発光部材から照射されて前記像で拡散反射されて前記受光部材に入る光の経路に配されたP偏光部材を有する光検出部を用いて現像された像を検出することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
潜像が形成される潜像担持体と、
液体キャリアとトナーを有する液体現像剤によって前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像に光を照射する発光部材、前記像で拡散反射された光を受光する受光部材、前記発光部材から照射されて前記像に向かう光の経路に配されて第1の方向の偏光成分を透過させる第1の偏光部材、前記像で反射されて前記受光部材に向かう光の経路に配されて前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向の偏光成分を透過させる第2の偏光部材を有する光検出部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−68298(P2012−68298A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210717(P2010−210717)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】