説明

画像形成装置、画像形成方法

【課題】消色可能な色材を用いる画像形成装置において、定着温度や消色温度の制御を容易に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、第1画像形成部と、第1加熱部と、第2画像形成部と、第2加熱部とを有する。第1画像形成部は、シートに結着樹脂を転写する。第1加熱部は、第1画像形成部により結着樹脂が転写されたシートを、結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度で加熱する。第2画像形成部は、第1加熱部により加熱されたシート上に形成されている結着樹脂の上に、第1の温度を超えると消色する顔料で画像情報を転写する。第2加熱部は、第2画像形成部により転写されたシートを、第1の温度よりも低い温度で加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、消色トナーをシートに定着させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料があり、この顔料は一定の熱が加わることで無色の状態となる。
【0003】
またこのような顔料と、結着作用を持つ樹脂とを混合したトナー(以下、消色トナー)を用いて、例えば紙などのシートに印刷する画像形成装置や、消色トナーで印刷されたシートを高温加熱し、像を消去してシートの再利用を図る消色装置もある。
【0004】
消色トナーを用いた画像形成装置は、消色しない温度で画像情報をシートの上に加熱定着して形成する。そのシートが用済みになった場合、消色装置は、顔料が消色する温度で加熱することでシート上の画像情報を消去する。これにより、シート消費量を減らし消費エネルギーを削減することができる。
【0005】
関連のある技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−300991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、感温変色性色彩記憶性組成物の組合せで有色と無色を行き来するマイクロカプセル顔料(以下、単に顔料粒子と称する)の発色温度は、シート上に形成された記録情報を室温で保存可能とするために、通常の生活空間で起こり得る最低温度、例えばマイナス10℃よりも低いことが望ましい。そして、顔料粒子の高温消色温度は、上記の結着作用を持つ樹脂粒子を定着させる温度よりも十分に高い必要があるが、現状では100℃前後や100℃未満で消色してしまう場合が多い。
【0008】
一方、結着作用を持つ樹脂粒子(以下、単に結着粒子と称する)は、未使用状態での保存や輸送環境で曝される可能性のある最高温度、例えばプラス50℃で融着しないことが必要である。結着粒子として用いられる熱可塑性高分子は、ガラス転移点を超える環境温度で保存すると融着し、より高温になり結着粒子の粘度が一定値以下まで下がらないと定着されない。ガラス転移点が50℃前後で、それを超えると一気に粘度が低下するような特性が望ましいが、現実的にはガラス転移点と定着温度との間には数10℃の開きがある。
【0009】
以上のことから、顔料粒子と結着粒子とを混合し、一つの定着器内で消色させることなく定着させるためには、70℃〜90℃程度の温度で定着器を制御する必要があり、定着温度について精密に制御する必要がある。
【0010】
しかし、画像形成装置の待機電力や立ち上り時間、動作消費電力を小さく、また低く抑えるために、昨今の定着器は薄肉化などにより熱容量を少なくする方向に開発が進んでいる。そのため、小幅なシートの連続通紙を行うには、温度のリップルによる影響もあり温度制御幅を±10℃以内に抑えることは非常に困難である。
【0011】
実施形態は上述した問題点を解決するためになされたものであり、消色可能な色材を用いる画像形成装置において、定着温度や消色温度の制御を容易に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
画像形成装置は、第1画像形成部と、第1加熱部と、第2画像形成部と、第2加熱部とを有する。第1画像形成部は、シートに結着樹脂を転写する。第1加熱部は、第1画像形成部により結着樹脂が転写されたシートを、結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度で加熱する。第2画像形成部は、第1加熱部により加熱されたシート上に形成されている結着樹脂の上に、第1の温度を超えると消色する顔料で画像情報を転写する。第2加熱部は、第2画像形成部により転写されたシートを、第1の温度よりも低い温度で加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【図2】実施形態のシート上の状態の遷移例を示す模式図である。
【図3】実施形態の画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の画像形成装置は、上述の有色と無色を行き来する顔料粒子と、この顔料粒子をシートに定着させる無色の結着粒子とを、個別に、それぞれ別のパターンでシート上に形成する。実施形態の画像形成装置は、顔料粒子、結着粒子それぞれに対応する画像形成ユニットを有し、またそれぞれに対応する定着器(加熱源)も有する。すなわち実施形態の画像形成装置は、画像形成ユニット、定着器とも1つの装置内に2組有する。また実施形態の画像形成装置は、シート上に形成されている情報を消去する消去装置の機能も合わせて有する。
【0015】
実施形態の画像形成装置は、まずは第1の画像形成ユニットで結着粒子をシートに付着させ、第1の定着器で付着した結着粒子をシートに定着させる。第1の画像形成ユニットは、実施形態ではシート面の70%以上100%以下等、少なくとも画像形成装置が像を形成することが可能な範囲内でベタ状に結着粒子を付着させる。また第1の定着器の発熱温度は、顔料粒子を消色することが可能な温度であり、シート上に既に顔料粒子で像が形成されている場合は、その像を消去することができる。
【0016】
実施形態の画像形成装置は、第1の画像形成ユニット、第1の定着器により処理されたシートに対し、第2の画像形成ユニットを用いて、顔料粒子に化体した画像情報を形成する。第2の画像形成ユニットは、シート上に定着している結着粒子の層の上に顔料粒子を形成する。次に第2の定着器は、顔料粒子が消色することなく結着粒子の層上に定着する温度、すなわち第1の定着器よりも低い温度でシートを加熱する。
【0017】
上述ではシート面一律ベタ状に結着粒子を付着させるとしたが、例えば、一本の線をシートに形成する場合、この線幅よりも若干太い線となるように結着粒子を付着させ、結着粒子の付着している上に顔料粒子の線を形成する、という実装でもよい。すなわち、シート面に一律に結着粒子を付着させるのではなく、少なくとも顔料粒子の形成領域を含んだ領域に、結着粒子が形成されればよい。このように結着粒子の付着領域を最小限に制御することで、シート面一律に結着粒子を付着させるよりも、使用する結着粒子の量を削減できる。
【0018】
実施形態の顔料粒子は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、感温変色性色彩記憶性組成物の組合せで有色と無色を行き来するように調整してカプセルで内包した顔料粒子であり、体積平均粒径5umの粒子である。この顔料粒子は常温で青色に発色し、90℃以上に加熱すると消色して消色状態を保つ特性を持つ。実施形態では、顔料粒子100重量部に対し、シリカ2.5重量部を混合し十分攪拌することによって、顔料粒子表面にシリカ粒子を均一に付着させる。また、この粒子7重量部と体積平均粒径40μmのフェライト表面にアクリル樹脂でコート処理を施したキャリア粒子93重量部を混合して、顔料粒子の平均帯電量が−25uC/gとなるようにする。この現像剤を必要に応じて現像剤Aと称する。
【0019】
一方、実施形態の結着粒子は、少なくとも結着樹脂と離型剤を含む粒子を、顔料を除いた形で製造されたものである。実施形態の結着粒子は、この粒子100重量部に対してシリカ1.5重量部、酸化チタン0.5重量部を混合し十分攪拌することによって、樹脂粒子表面にこれら無機微粒子を均一に付着させ、体積平均粒径10μmの結着粒子として製造される。この結着粒子10重量部と体積平均粒径40μmのフェライト表面にアクリル樹脂でコート処理を施したキャリア粒子90重量部を混合して、平均帯電量−28μC/gで帯電させる。この現像剤を必要に応じて現像剤Bと称す。
【0020】
従来は、顔料粒子を結着樹脂中に取り込んで合一させた着色樹脂粒子を1つの画像形成ユニット内に投入するが、実施形態では、これらをそれぞれ別粒子として製造し別個の画像形成ユニットに投入する。尚、上記顔料粒子、結着粒子の仕様や構成についてはあくまで一例であり、これに限定されない。
【0021】
以下、上記事項を鑑みた各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の画像形成装置の構成例を図1に示す。画像形成装置100は、第1画像形成ユニット51(第1画像形成部)、第1定着器52(第1加熱部)、第2画像形成ユニット53(第2画像形成部)、第2定着器54(第2加熱部)を有する。また画像形成装置100は、シートの供給元である給紙トレイ1、シートの排出先である排出トレイ8を有し、給紙トレイ1から排出トレイ8に至るまで、各ユニットにシートを搬送する搬送部2を有する。
【0023】
画像形成装置100は、装置内の各ユニットやハードウェアを統括制御する制御ボード800(制御部)を有する。制御ボード800は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの演算処理装置であるプロセッサ801、揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置により構成されるメモリ802を有する。メモリ802には、シート上に形成される画像情報や各種プログラム、制御データが記憶されている。プロセッサ801は、メモリ802に事前に記憶されているプログラムを演算実行して各種処理を実行する。
【0024】
第1画像形成ユニット51は、矢印方向に回転する像担持体である第1感光体11、第1感光体11を帯電させる第1帯電器12を有する。第1画像形成ユニット51は、帯電した第1感光体11上に静電潜像を形成する第1露光器13を有し、第1露光器13により形成された静電潜像に従い、第1感光体11上に像(結着粒子)を付着させる第1現像器14を有する。また第1画像形成ユニット51は、第1現像器14により形成される第1感光体11上の像を、搬送されるシート上に転写する第1転写ローラ15を有する。
【0025】
第1現像器14には上述の現像剤Bが投入されている。よって、第1画像形成ユニット51により結像粒子がシート上に形成される。
【0026】
第1定着器52は、加熱ローラ4と定着ローラ3とにより構成されており、シートを加熱することで、シート上に転写された結着粒子を溶融させ、層状の形態にする。加熱ローラ4の表面温度は135℃±15℃であり、定着ローラ3及び加熱ローラ4によって結着粒子がシート上に加熱圧着する。定着ローラ3はSUS(ステンレス鋼)のφ10mmの丸棒表面にシリコンゴム層2mm厚を被覆させ、更に上層にPFA層30μm厚(PFA:パーフルオロアルコキシアルカン)を形成させたものである。加熱ローラ4は、肉厚1mmのアルミニウムチューブにPTFE層30μm厚(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)を被覆し、中に消費電力500Wのヒーターランプを設置したものである。これらの定着ニップは5mmとする。
【0027】
第2画像形成ユニット53は、第1画像形成ユニット51と同様の構成であり、第2感光体21、第2帯電器22、第2露光器23を有し、また第2現像器24、第2転写ローラ25を有する。第2現像器24には現像剤Aが投入される。よって、第2画像形成ユニット53により顔料粒子がシート上に形成される。
【0028】
第2定着器54は、加熱ローラ7と定着ローラ6とにより構成されており、シート上に転写された現像剤Aを加熱圧着してシートに定着させる。加熱ローラ7の表面温度は75℃±15℃である。定着ローラ6はφ8mmのSUS棒表面にシリコンゴム層1mm厚を被覆、更に上層にPFA層30μm厚を形成させたものであり、加熱ローラ7は、肉厚1mmのアルミニウムチューブにPTFE層30μm厚を被覆し、中に消費電力300Wのヒーターランプを設置したもので、定着ニップは3mmである。第2定着器54により定着処理されたシートは、排出トレイ8に排紙される。
【0029】
加熱ローラ4と加熱ローラ7とは、定着ベルト5を熱伝達媒体として互いの発熱を行き来させている。これにより、互いの発熱を利用することで加熱効率を向上させている。尚、定着ベルト5が無い実装でも構わない。また加熱ローラ4の熱が第2画像形成ユニット53に伝わらないよう、ローラ201A、201Bにより、定着ベルト5は一旦シート搬送路から離間するように回されている。
【0030】
尚、本例では結着粒子をシート面にほぼ均一に付着させることができればよいため、画像情報に従い形成する必要はない。よって、本例では第1帯電器12、第1露光器13が無い構成でもよい。この場合、第1現像器14の現像ローラに供給される現像バイアスの大小が調整され、制御される(どの程度の結着粒子量を供給し、シート上に転写するかを事前に定義し、設定しておく)。尚、シート面一律では無く、上述したように像をかたどるように結着粒子を供給する場合、画像情報に従い結着粒子を形成する必要がある。よって、この場合は第1帯電器12、第1露光器13により、結着粒子の付着領域が制御される。
【0031】
また、一度以上シート面に結着樹脂をほぼ均一に付着させて使用したシートを再使用する場合、当該シートには既に結着粒子の層が形成されているため、再び結着粒子を付着させる必要はない。画像形成装置100は、このような制御をセンサ61、孔空け器71を用いて行う。孔空け器71は、搬送されるシートの余白部指定位置に孔を開ける器具である。この孔空けにより、使用の有無の履歴をシート上に残すことができる。センサ61は、給紙トレイ1から供給されるシートに、穴空け器71によって開けられた孔が指定位置にあるか否かを検出するセンサであり、本実施形態では透過型光センサが採用される。センサ61により孔があると検出される場合、第1画像形成ユニット51は、制御ボード800の制御に従い結着粒子の付着処理を行わない。また例えば指定位置をシート先端のフロント側とシート後端のリア側にしておけば、シートが裏返しで再使用された場合指定位置には孔が無いことになるので、その場合には再び結着樹脂層が形成される。
【0032】
図2を参照して、シート上の状態の遷移について説明する。給紙トレイ1に積載されるシートは、搬送部2の経路に従い第1画像形成ユニット51まで搬送される。搬送されたシートには、第1画像形成ユニット51の第1現像器14から無色の結着粒子(現像剤B)が供給される(図2(A)の左図)。このとき、シート面の70%以上が被覆されるような量の結着粒子がシートに形成される。その後シートは第1定着器52まで搬送され、加熱ローラ4と定着ローラ3により135℃±15℃で加熱圧着される。これにより結着粒子は溶融しシート上で層状態となる(図2(A)の右図)。
【0033】
結着粒子層を伴うシートは、第2画像形成ユニット53まで搬送され、第2現像器24から有色の顔料粒子が第2感光体21上に供給されることで、画像情報がシート上に転写される(図2(B)の左図)。このとき、結着粒子層の上に転写される。その後シートは、第2定着器54に搬送されて加熱ローラ7と定着ローラ6とにより75℃±15℃で加熱圧着される。これにより、顔料粒子は結着粒子層に取り込まれ、シート上に視認可能な像が形成される(図2(B)の右図)。その後、シートは排出トレイ8まで搬送される。
【0034】
このように像が形成されたシートが用済みとなった場合、画像形成装置100は、シート上の像を消色して再度印刷することができる。給紙トレイ1から給紙されるシートに使用履歴の孔がある場合、制御ボード800は、第1形成ユニット51が動作しないように制御する。よって再利用シートの場合は結着粒子が供給されない(図2(C)の左図)。
【0035】
次の搬送先である第1定着器52は、使用済みシートを加熱することで、シート上に形成されている像を消色する(図2(C)の右図)。第1定着器52は、135℃±15℃という、顔料粒子が消色する温度(90℃〜100℃前後)を超える温度で加熱するため、シート上に形成されている像は消去される。
【0036】
像が消去されたシートは、その後、第2画像形成ユニット53により新しい画像情報が転写され(図2(D)左図)、第2定着器54は、既に存在する結着粒子層に画像情報を定着させる(図2(D)右図)。このときの定着温度は、75℃±15℃という顔料粒子が消色する温度(90℃〜100℃前後)を下回る温度であるため、今現在シートに転写されている像は消去されない。
【0037】
次に、図3を参照しつつ画像形成装置100の動作例について説明する。
【0038】
給紙トレイ1に積載されているシートは、搬送部2により画像形成装置100の本体内に供給される(ACT101)。
【0039】
センサ61は、供給されるシートに所定の孔があるかを検知し、孔がある場合は制御ボード800に信号を出力する。制御ボード800は、このセンサ61からの信号の有無に基づき、シートの使用履歴の有無を判定する(ACT102)。使用履歴がある場合(ACT102、Yes)、制御ボード800は、第1画像形成ユニット51が動作しないように制御する。シートは、このまま第1定着器52まで搬送されて、定着ローラ3、加熱ローラ4により、顔料粒子が消色する温度以上の温度(135℃±15℃)で加熱消色される(ACT105B)。その後、ACT106の動作へと遷移する。
【0040】
一方、所定の孔がなく使用履歴が無い場合(ACT102、No)、第1画像形成ユニット51の第1露光器13は、制御ボード800からの指示に従い、帯電した第1感光体11上に、全面ソリッド(ベタ状)またはパターン(画像情報)を書き込む(ACT103)。第1現像器14は、現像剤B(結着粒子)を第1感光体11に付着させ、第1転写ローラ15は、第1感光体11に付着している結着粒子の像をシートに転写する(ACT104)。その後、第1定着器52まで搬送されたシートは、結着粒子がシート上に溶融して定着する温度(本例ではACT105Bと同じ温度)で加熱される(ACT105A)。
【0041】
第2画像形成ユニット53の第2露光器23は、帯電した第2感光体21に画像情報を書き込む(ACT106)。第2現像器24は、現像剤A(顔料粒子)を第2感光体21に付着させ、第2転写ローラ25は、第2感光体21の顔料粒子をシートの結着粒子層上に転写する(ACT107)。その後、シートは第2定着器54まで搬送され、定着ローラ6、加熱ローラ7により75℃±15℃で加熱される(ACT108)。これにより顔料粒子がシート上に定着する。
【0042】
その後、少なくとも新規シートである場合(ACT102、Noと判定される場合)、穴空けユニット71はシート余白部に孔を空ける。尚、新規シートであるかの判定を介さずに、常に孔空け動作が行われてもよい。
【0043】
このような構成にすることで、消色と結着粒子の定着を一つの定着器(第1定着器52)で行うことができ、消色装置を別個に用意する必要が無くなる。また消色温度と定着温度の温度差に起因する調整、制御も必要無くなる。
【0044】
更に、本実施形態では、表面が均一でないシート表面に顔料粒子を直接定着させるのではなく、ある程度平滑化された結着粒子層の上に定着させる。これにより、シート表面のザラつき(凹凸状)によって生ずる温度ムラを低減させることができるため、より低温で定着させることができる。また、第2定着器54で顔料粒子が定着と同時に消色してしまうおそれを低減されることができる。
【0045】
また、第1定着器52と第2定着器54が一つの装置内で並んで配置しているため、第2定着器54に進入する直前のシートは、第1定着器52により得た高温温度をある程度保っている。従って、常温のシートに顔料粒子を定着させる場合よりも、昇温量を低減させることができるため、更に低温、短時間で定着させることが可能となる。これにより、消色装置と画像形成装置とを別個に設けるよりもエネルギーを節約できる。
【0046】
シートの使用履歴の判断として、給紙されるシートが再使用のシートであることをユーザが指定するようなボタンを、不図示のコントロールパネル上に配置してもよい。この場合、制御ボード800は、押下されるボタンに応じて画像形成ユニット51の動作制御を行う。また、給紙トレイを複数設け、使用履歴のない新規シートのみを積載するトレイと、使用履歴のあるシートを積載するトレイとを指定し、新規のシートが積載されたトレイから給紙される場合は結着粒子が現像・転写され、使用履歴のあるシートが積載されたトレイから給紙される場合は結着粒子が現像・転写されない、とする実装でもよい。
【0047】
孔空けによる使用履歴の記録は、排出される直前に限定されるものではなく、センサ61の検知処理から排紙されるまでの間のいずれかで行われれば良い。また使用履歴の記録方法は、上記の孔空けに限定されるものではない。シートの角部を切断する方法でもよく、使用回数とともにシートの紙紋をメモリ802に記憶させ、管理する実装でもよい。この場合、センサ61はCCDイメージセンサ等になる。使用履歴の記録については、様々な実装がある。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、中間転写ベルトを介して顔料粒子をシートに付着させる実装例について説明する。図4は、第2の実施形態の画像形成装置を示す図である。
【0049】
画像形成装置200は、第1の実施形態で説明した画像形成装置100に加え、中間転写ベルト26、第3転写ローラ27を有する構成となっており、第2転写ローラ25と第2感光体21との間に転写ベルト26が位置する構成となっている。
【0050】
第2感光体21に現像された画像情報は、第2転写ローラ25により中間転写ベルト26に一次転写される。一次転写された中間転写ベルト26上の像は、ベルト回転方向に向かい、第3転写ローラ27によりシート上に二次転写される。尚、配置構成上、第2感光体21の回転方向は第1の実施形態と逆向きになり、これにより第2帯電器22、第2露光器23、第2現像器24の並びも逆になる。
【0051】
第2の実施形態では、加熱ローラ4、加熱ローラ7との間の熱伝達媒体である定着ベルト5(図1参照)が無い構成を示しているが、定着ベルト5があってもよい。第1の実施形態では、加熱ローラ4の熱が第2画像形成ユニット53に伝わらないよう、加熱ローラ4と加熱ローラ7の間で定着ベルト5が一旦シート搬送路から離間するように回されている。この離間させる構成の場合、定着ベルトの構成とシート搬送経路が複雑になる。一方、第2の実施形態のように中間転写ベルト26を介して転写する構成に、定着ベルト5を有する構成を適用する場合、定着ベルト5により伝播される加熱ローラ4の熱は、直接第2形成ユニット52に伝わることが無くなる。よって、定着ベルト5を離間させる必要がなくなる。
【0052】
このような中間転写ベルトによる一次転写、二次転写を行う構成は、第1画像形成ユニット51にも適用可能である。
【0053】
第1、第2の各実施形態では、シートに結着樹脂を転写する第1画像形成ユニット51と、第1画像形成ユニット51により結着樹脂が転写されたシートを、結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度(一例として135℃±15℃)で加熱する第1定着器52と、第1定着器52により加熱されたシート上に形成されている結着樹脂の上に、第1の温度(一例として90℃〜100℃)を超えると消色する顔料で画像情報を転写する第2画像形成ユニット53と、第2画像形成ユニット53により転写されたシートを、第1の温度よりも低い温度(一例として75℃±15℃)で加熱する第2定着器54と、を有する画像形成装置100について説明した。
【0054】
このような構成とすることで、第1定着器52については、結着樹脂が溶融してシートに定着する温度以上となるように温度調整を行えばよく、第2定着器54については、消色温度よりも低くなるように温度調整を行えばよくなる。これは、従来の定着器温度を70℃〜90℃程度に維持することに比べ、温度調整の制御が容易となる。
【0055】
また第1定着器52の温度を、顔料粒子が消色する温度(第1の温度)よりも高い温度であり、且つ、結着樹脂が溶融して定着する温度以上の温度となるように調整することで、一つの熱源で消去と定着とを兼ねることができる。これにより、シート上の像の消去と消去後のシートに対しての像形成とを、1つの画像形成装置内で行うことができ、またユーザの手間をかけずに行うことができる。
【0056】
一方、第2定着器54においては、表面性が粗いシートに直接定着させる場合よりも、あらかじめ定着させてある樹脂層で比較的平滑化された表面に定着させるほうが低温、短時間で定着させることができる。よって、第2定着器54の温度は、顔料粒子が消色してしまう心配のない低温温度に設定することができる。
【0057】
また、2つの定着器は連続してシートを通過させるため、常温のシートを定着温度まで昇温させるために必要な加熱時間を短くすることができる。よって、定着器の定着ニップを必要以上に増やす必要がなくなる。
【0058】
第1、第2の実施形態で説明した構成にすることで、画像形成装置と消色装置をそれぞれ用意する構成に比べ、コンパクトで定着温度及び消色温度のコントロールが容易な書き換え可能リサイクル画像形成装置を得ることができる。
【0059】
以上に詳説したように、消色可能な色材を用いる画像形成装置において、定着温度や消色温度の制御を容易に行うことができる。
【0060】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0061】
1 給紙トレイ、2 搬送部、3 定着ローラ、4 加熱ローラ、5 定着ベルト、6 定着ローラ、7 加熱ローラ、8 排出トレイ、11 第1感光体、12 第1帯電器、13 第1露光器、14 第1現像器、15 第1転写ローラ、21 第2感光体、22 第2帯電器、23 第2露光器、24 第2現像器、25 第2転写ローラ、26 中間転写ベルト、27 第3転写ローラ、51 第1画像形成ユニット、52 第1定着器、53 第2画像形成ユニット、54 第2定着器、61 センサ、71 孔空け器、100、200 画像形成装置、800 制御ボード、801 プロセッサ、802 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに結着樹脂を転写する第1画像形成部と、
前記第1画像形成部により結着樹脂が転写されたシートを、前記結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度で加熱する第1加熱部と、
前記第1加熱部により加熱されたシート上に形成されている前記結着樹脂の上に、第1の温度を超えると消色する顔料で画像情報を転写する第2画像形成部と、
前記第2画像形成部により転写されたシートを、前記第1の温度よりも低い温度で加熱する第2加熱部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱部は、前記第1の温度よりも高温でシートを加熱する
画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、さらに、
少なくとも前記第1画像形成部の動作を制御し、シートに一度以上使用したことを示す使用履歴がある場合、前記第1画像形成部が動作しないように制御する制御部を有する
画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、さらに、
シートに所定形式で使用履歴を形成する履歴付加部と、
前記履歴付加部による使用履歴が、シートに形成されているかを検出する検出部と、を有し、
前記制御部は、前記検出部により使用履歴がシートに形成されていないと検出される場合、前記第1画像形成部が動作しないように制御する
画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第1画像形成部は、シート面の像形成領域に、一律に結着樹脂を転写する
画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第1画像形成部は、前記画像情報のパターンで結着樹脂を転写する
画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第1加熱部と前記第2加熱部との発熱を互いに伝達する熱伝達部を有する
画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置が、
シートに結着樹脂を転写し、
結着樹脂が転写された前記シートを、前記結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度で加熱し、
加熱された前記シート上に形成されている前記結着樹脂の上に、第1の温度を超えると消色する顔料で画像情報を転写し、
前記顔料が転写された前記シートを、前記第1の温度よりも低い温度で加熱する
画像形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成方法において、
前記画像形成装置は、前記結着樹脂がシートに定着する温度以上の温度で加熱する際、前記第1の温度よりも高温でシートを加熱する画像形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成方法において、
前記画像形成装置は、シートに一度以上使用したことを示す使用履歴が無い場合、シートへの前記結着樹脂の転写を行い、シートに前記使用履歴がある場合、シートへの前記結着樹脂の転写を行わない画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−109314(P2013−109314A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141615(P2012−141615)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】