説明

画像形成装置、異常発生位置の表示方法、画像形成制御プログラム

【課題】傷や汚れの位置をユーザに分かりやすく表示し、不要な交換を回避できるようにする。
【解決手段】画像の位置ずれを補正するために使用するトナーマークパターンを中間転写ベルト10上に形成し、当該パターンをトナーマークセンサ120によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する画像形成装置において、画像が形成されていない状態で中間転写ベルト10の表面をトナーマークセンサによって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常、例えば傷Bの有無と、異常発生個所を検出し、検出結果に基づいて前記異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の前記中間転写ベルト上に不具合表示メッセージCとして書き込み、ユーザが異常発生位置を認識できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状記録媒体に画像を形成する画像形成装置、当該画像形成装置に使用される媒体の異常発生位置の表示方法、及び当該表示方法をコンピュータで実行するための画像形成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト及びトナーマークセンサは、画像品質に直結する部品であり高精度かつ再現性が高いことが求められている。それらを高品質で維持しておくには転写ベルト及びセンサの状態を監視し、その状態に応じてベルト及びセンサの交換し、あるいは清掃を促す必要がある。そこで、従来から中間転写ベルトの光沢度情報を記憶手段に保存して当該中間転写ベルトの傷や汚れを検知し、傷や汚れが発生した場合にはベルトの交換タイミングをユーザへ提示する技術が既に知られている。
【0003】
これらの技術として例えば特許文献1及び2に記載された発明が公知である。このうち特許文献1(特開2003−241472号公報)には、複数の画像形成手段と、無端ベルトと、複数の画像形成手段により無端ベルト上に形成された所定パターン画像を読み取る発行素子と受光素子で構成されるパターン検出センサと、その受光素子が受ける反射光量に応じた出力値が閾値以上の場合にパターン検出信号を出力するように構成されるセンサと、前記パターン検出信号に基づいて各画像形成手段のレジストを電気的又は機械的に補正する手段と、メッセージ表示手段を有し、レジスト補正を行う前に無端ベルトの傷や汚れを含んだ反射光量検知するための初期動作として無端ベルトを1回転させてパターン検出センサで無端ベルトの反射光量を読み取り、そのときのパターン検出信号又はパターン検出センサの受光素子が受ける反射光量に応じて、傷/汚れを検知し表示手段に無端ベルトを交換するよう表示する発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2008−207955号公報)には、搬送ベルトを用いて記録紙を副走査方向へ搬送するとともに、主走査方向に往復駆動されるキャリッジに搭載した記録ヘッドを用いて、前記記録紙に画像を記録する画像形成装置であって、前記キャリッジに、前記搬送ベルト方向に検出光を射出する反射型センサを設け、前記反射型センサの検出信号に基づいて、記録紙の先端を検出する一方、電源オン時、前記記録紙の搬送を行う前の時点で、前記キャリッジを所定の記録紙先端検出位置に移動させ、その状態で、前記搬送ベルトを1周駆動しながら前記反射型センサの検出信号を入力し、その入力された検出信号に基づいて、汚れを検出するようにした発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来技術では、センサは微小な傷や汚れでも反応するため、ユーザが目視で確認しても傷や汚れの位置が分かりにくい。また、センサは一般に赤外光を用いて検出するため人の目視では傷や汚れの位置が分かりにくい。そのため、中間転写ベルト、搬送ベルト、あるいはセンサの交換が本来不要な傷や汚れであっても新品と交換してしまっている場合があった。
【0006】
これは、傷や汚れの位置を特定することが難しいからであり、傷や汚れの位置が特定できれば、ユーザが傷を補修し、汚れを清掃することが可能となり、新品との不要な交換を防止することができる。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、傷や汚れの位置をユーザに分かりやすく表示することにより、不要な交換を回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の手段は、移動する被パターン形成部材(媒体)上に画像の位置ずれを補正するために使用するパターンを形成し、前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する画像形成装置において、画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む書込手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記書込手段は、前記検出手段が前記異常を検出した時点から所定時間経過後であって、前記異常個所が書込対象位置に達したときに前記情報を書き込む。また、前記被パターン形成部材は、前記情報が書き込まれた前記異常個所が予め設定された清掃位置に達したときに停止するようにする。なお、前記情報は前記被パターン形成部材の清掃を促す旨の記載を含む。前記異常は前記被パターン形成部材表面の傷又は汚れであり、前記光学的検出手段の異常をさらに含む。
【0010】
また、前記検出手段によって異常が検出されたとき、その旨若しくは異常解消のための操作内容を装置の操作表示部に表示する表示手段をさらに備え、前記異常が光学的検出手段の汚れ又は前記被パターン形成部材の汚れであることを前記検出手段が検出したとき、前記表示手段にセンサ清掃を促す表示を行わせ、清掃後、前記被パターン形成部材の汚れ除去動作を自動実行させる。前記異常が検出された後、異常解消のための操作若しくは動作を実行させ、実行後、前記異常の有無の確認動作を自動実行させる。なお、前記被パターン形成部材としては、駆動手段によって駆動される無端状の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトが使用され、光学的検出手段としては、反射式光センサが使用される。
【0011】
第2の手段は、移動する被パターン形成部材上に画像の位置ずれを補正するために使用するパターンを形成する画像形成手段と、前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する位置ずれ補正手段とを備え、画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する工程と、前記検出する工程における検出結果に基づいて前記異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む工程と、を備えた画像形成装置の異常位置表示方法を特徴とする。
【0012】
第3の手段は、移動する被パターン形成部材上に画像の位置ずれを補正するために使用するパターンを形成し、前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する画像形成制御をコンピュータの資源を用いて実行するための画像形成制御プログラムにおいて、画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する処理手順と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む処理手順と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
なお、後述の実施形態では、前記パターンはトナーマークパターンPNに、被パターン形成部材は中間転写ベルト10若しくは転写搬送ベルトに、光学的検出手段はトナーマークセンサ120に、検出手段はトナーマークセンサ120、検出IO部37及びCPU31(若しくは判定部105)に、書込手段は書込制御部140及び作像装置20に、表示手段は画像形成装置の図示しない操作表示部に、画像形成手段は作像装置20に、位置ずれ補正手段は制御部30若しくはCPU31に、被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する工程及び処理手順はステップ1ないし5及び8の処理に、異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む工程及び処理手順はステップC−1の処理に、それぞれ対応し、位置ずれの検出及び補正は制御部30若しくはCPU31によって実行される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する検出手段の検出結果に基づいて異常の個所を示す情報を当該異常個所発生位置の被パターン形成部材上に可視画像として書き込むので、傷や汚れの位置をユーザに分かりやすく表示することができる。その結果、ユーザは被パターン形成部材の異常発生位置を容易に認識することが可能となり、ユーザの清掃によって異常状態が解消すれば、被パターン形成部材の不要な新品との交換を回避することができる。また、被パターン形成部材の異常でない場合には、光学的検出手段の清掃によって対応することも可能となり、この場合も新品との交換が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1の制御部内に設定される検査機能の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカラーレーザプリンタ内の中間転写ユニットの概略構成と、ベルト上に傷があった例を示す斜視図である。
【図4】転写ベルト上に傷がある場合にトナーマークセンサによる誤検知が発生する理由を説明するための説明図である。
【図5】トナーマークパターンが形成されていない状態の中間転写ベルトの表面に光を照射したときのトナーマークセンサの出力電圧の波形をベルトの状態に対応して示す出力電圧波形図である。
【図6A】中間転写ベルトに傷があることを検知したときの停止位置制御を時系列で示す図で、トナーマークを検知したときの状態を示す。
【図6B】中間転写ベルトに傷があることを検知したときの停止位置制御を時系列で示す図で、不具合表示メッセージを書き込むときの状態を示す。
【図6C】中間転写ベルトに傷があることを検知したときの停止位置制御を時系列で示す図で、不具合表示メッセージを清掃位置に停止させたときの状態を示す。
【図7】中間転写ベルト、支持ローラ及び各色の感光体ドラムとの関係を示す説明図である。
【図8】ベルト検査モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ベルト検査モードに対するベルト停止位置制御を含む不具合処理手順を示すフローチャートである。
【図10】不具合処理時における再検査モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、中間転写ベルトあるいは搬送ベルトを被パターン形成部材として使用して画像形成を行う画像形成装置において、中間転写ベルトあるいは搬送ベルト上の傷や汚れの位置を検出し、ユーザに提示することを特徴とする。
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施形態における画像形成装置の画像形成部はカラーレーザプリンタからなり、当該プリンタの制御部30は転写駆動モータ121の駆動パルスをデジタル制御する制御系である。
【0018】
この制御部30はCPU31、RAM32、ROM33、IO制御部34、転写モータ駆動I/F部35、ドライバ36、及び検出IO(Input Output)部37を備え、これらはバスを介して相互に接続されている。CPU31は外部装置122から入力される画像データの受信及び制御コマンドの送受信制御をはじめ、本カラーレーザプリンタ全体の制御を行う。また、ワーク用として用いるRAM32及びプログラムを格納するROM33、IO制御部34は、CPU31からの指示によりデータのリードライト処理及び転写駆動モータ121の他、各負荷123(モータ、クラッチ、ソレノイド、センサなど)を駆動する各種の動作を実行する。
【0019】
すなわち、CPU31はROM33からプログラムを読み出し、RAM32をワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムで定義される制御を実行する。また、検出IO部37はトナーマークセンサ120とCPU31との間のインターフェイスとして機能する。
【0020】
図2は、本発明の実施形態において、検査処理及びベルト停止位置制御処理を実施するための制御部30内に設定される検査機能の構成を示す機能ブロック図である。同図において、検査機能の構成要素は、検査モード設定部101、センサ制御部102、オフセット調整部103、オフセット調整値記憶部104、判定部105、判定基準値記憶部106、傷検知位置情報記憶部130、書込制御部140、ベルト停止位置制御部150、及び検査結果出力部107の各部からなる。
【0021】
詳細は後述するが、判定部105は、トナーマークセンサ120からの検出出力及びオフセット調整部103からのオフセット情報について、検査モード設定部101で設定された検査モードに基づいて判定基準値記憶部106に記憶された判定基準値と傷検知位置情報記憶部130に記憶された傷検知位置情報とを参照して傷の位置を判定し、書込制御部140に出力する。書込制御部140では、傷検知位置情報記憶部130に記憶されている傷検知位置情報と判定部105からの判定情報に基づいて、傷の位置に「ベルトに傷or汚れがあります」等のメッセージを書き込む。ベルト停止位置制御部150は前記メッセージを書き込んだ位置が予め設定した距離、本実施形態では次のセンサ読み取り位置まで搬送した時点でベルトを停止させ、検査結果出力部107では、検査結果を中間転写ベルト10上に直接出力する。
【0022】
具体的には、例えば検出IO部37を介して入力されたトナーマークセンサ120の出力情報をRAM32に一時保持する。RAM32に保持しているトナーマークセンサ120出力情報を用いて、CPU31によってトナーマークの位置を割り出す演算を行う。CPU31で得たトナーマークの位置情報をRAM32にさらに保持する。RAM32に保持されたトナーマークの位置情報をROM33へトナーマークの初期位置情報として記憶させておく。このトナーマークの初期位置情報を基準に傷の検知が実行される。
【0023】
図3は本実施形態に係るカラーレーザプリンタ内の中間転写ユニット20Uの概略構成と、ベルト上に傷Bがあった例を示す斜視図である。中間転写ユニット20Uは、YMCKの各感光ドラム40K,40Y,40C,40M上に形成された各色の画像を順次1次転写により一旦転写し、4色の重畳された画像を用紙に代表されるシート状転写媒体に再度一括して2次転写する機能を有する。そのため、この機能が中間転写と称される。図3では、中間転写ベルト5は無端状のベルトであり、4本の支持ローラ10a,10b,10c,10d間に所定の張力で張設される。図では、中間転写ベルト10の下側に前記各色の感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mが配置され、中間転写ベルト10上に各色の画像を転写する。各色の感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mの外周部には後述の図11に示すような帯電ユニット、露光ユニット、現像ユニット、転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットなどの作像要素が回転方向に沿って配置され、電子写真プロセスを実行する。なお、矢印は中間転写ベルト10及び各感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mの回転方向である。
【0024】
トナーマークセンサ120は中間転写ベルト10上に形成したトナーマークパターンや中間転写ベルト10自体の表面上を検出する反射型の光センサで、中間転写ベルト10の表面に対向して配置されている。一般には、主走査方向に複数のセンサを配置し、前記トナーマークパターンを読み取り、色ずれの調整及び色合い(プロセス)の調整に使用する。
【0025】
これに対し、ベルトの表面検査として使用する際は、トナーマークセンサ120は、後述する図4に示したようなラダーパターンなどのトナーマークを含むあらゆる画像の書かれていない状態のベルト表面を、ベルト1周に亘って光学的に読み取り、読み取り結果をCPU31で演算し、読み取った個所と出力との関係を求める。その際、読み取り値に異常値が含まれていないかどうかを判定する。異常値は、スレッシュレベルを設定し、当該スレッシュレベルを超える電圧値の有無により判定する。
【0026】
図4は中間転写ベルト10上に傷Bがある場合にトナーマークセンサ120による誤検知が発生する理由を説明するための説明図で、画像の色ずれ補正を行う場合のトナーマークセンサ120とトナーマークパターンPNとの関係、及びトナーマークパターンPNとトナーマークセンサ120との出力の関係を示す。
【0027】
本実施形態では、カラーレーザプリンタの中間転写ベルト10の表面に図4(a)に示す位置ずれ補正用のラダー状のトナーマークパターンPN(Y1,K1,M1,C1、Y2,K2,M2,C2、・・・・・、Y16,K16,M16,C16(不図示))を形成し、当該トナーマークパターンPNをトナーマークセンサ120で読み取り、トナーマークパターンPNの各パターンY1,K1,M1,C1(Y2,K2,M2,C2、・・・・・、Y16,K16,M16,C16)間の色のずれ量をCPU31で演算する。ラダー上のトナーマークパターンPNは主走査方向と平行なパターンY1,K1,M1,C1と主走査方向に対して所定の角度傾いた傾斜パターンY2,K2,M2,C2を1組として8組(前記添字:1〜16に対応)形成される。これらのパターンは、電子写真プロセスによって各感光体ドラム40K,40Y,40C,40M上に形成した画像を転写して形成される。
【0028】
図4(b)は、このように形成されたトナーマークパターンPNを読み取ったトナーマークセンサ120の出力電圧波形図で、センサ20aで読み取った図4(a)において左側のパターンの出力電圧を示す。図4(b)の波形は、中間転写ベルト10上の傷を読み取り、読み取り電圧がスレッシュ電圧を超え、「パターン有り」と誤検知するときの状態を示す。
【0029】
図4(b)では、実際のパターンが「Y1、K1、M1、C1,B,Y2、K2、M2、C2・・・」となっているにも拘わらず、「Y1、K1、M1、C1,Y2、K2、M2、C2、無し・・・」のように平行パターンの最後のパターンC1の次に検出した傷Bの出力を斜めパターンの最初パターンY2と誤検知し、本来のパターンの位置からずれた位置にパターンY2が存在している、とCPU31は誤認識する。その誤認識した分(傷B〜実際のY2までの距離)を「補正すべき距離」としてCPU31は演算し、書き込み補正を行うことになる。そのため、本来補正すべき距離よりも前記誤ご認識分の距離、余分に補正してしまい、結果として画像に色ずれが発生する。
【0030】
このような事態の発生を回避するために、ベルトやセンサの状態を監視し、必要に応じてベルトやセンサの交換あるいは清掃を促す必要がある。そこで、図3の例では、センサ20aで傷Bを読み取り、その読み取った位置、すなわち、傷Bがある個所に丸や四角などでマーキングを施し、さらに「この周辺に傷or汚れがあります。ベルトを清掃して下さい」等、ユーザがどうすれば良いかを視覚的に認識できるように不具合表示メッセージCを直接中間転写ベルト10上に書き込み、表示する。この書き込みは図2における判定部105の判定結果に基づいて書込制御部Yの指示により検査結果出力部107が実行する。
【0031】
図5は、トナーマークパターンPNが形成されていない状態の中間転写ベルト10の表面に光を照射したときのトナーマークセンサ120の出力電圧の波形を示す出力電圧波形図である。図5(a)は正常時、図5(b)はベルトに傷あるいは汚れがある場合、図5(c)はセンサに汚れがある場合、図5(d)はベルトが寿命に達した場合、図5(e)はベルト全体が汚れている場合の出力状態を示す。図中Vthはトナーマークセンサ120によって読み取ったパターン、及び転写ベルト10の表面を「パターン有り」と検知するためのスレッシュ電圧を示す。このスレッシュ電圧以下になった個所が「パターン有り」と検知する個所である。
【0032】
1)トナーマークセンサ120の出力電圧が正常である場合:図5(a)
中間転写ベルト10の表面を読み取った際のトナーマークセンサ120の出力電圧は、中間転写ベルト10上に傷や汚れなどの異常がなく、かつトナーマークセンサ120自体にも汚れや異常などがなければVsg電圧(基準電圧とする)付近で平坦に推移する。
【0033】
2)転写ベルト10の表面に傷や汚れがある場合:図5(b)
中間転写ベルト10の表面を読取った際のトナーマークセンサ120の出力電圧は、中間転写ベルト10上の傷Bや汚れを読み取ると、スレッシュ電圧を超えて推移してしまい「パターン有り」と誤検知する。
【0034】
3)トナーマークセンサ120に汚れがある場合:図5(c)
トナーマークセンサ120の出力電圧は、センサ表面が汚れで覆われてしまい、反射型フォトインタラプタの発光部の出力が拡散し、受光部に戻って来なくなるため、Vsg電圧まで上昇しない。この例では、Vth電圧で前面に亘って読み取ることができる。そこで、Vsgの電圧が検出できず、Vth電圧で読み取ることができる場合には、センサ汚れと判断できる。このような状態では、センサとして機能することもできない。
【0035】
4)中間転写ベルト10が寿命の場合:図5(d)
中間転写ベルト10の表面を読み取った際のトナーマークセンサ120の出力電圧は、中間転写ベルト10に寿命が来ると、表面の光沢度にばらつきが生じ、あるいは表面の平滑度が低下し、更には表面がぐにゃぐにゃ曲がったりして、Vsg電圧付近を中心に上下に大きく変動し、基準電圧に調整できなくなる。従って、Vsg電圧付近を中心に上下に大きく変動した場合に、基準電圧に調整できなくなると中間転写ベルト10が寿命であると判断することができる。
【0036】
5)中間転写ベルト10の表面にベルト全体を覆う汚れがある場合:図5(e)
中間転写ベルト10の表面を読み取った際のトナーマークセンサ120の出力電圧は、中間転写ベルト10の表面がトナーなどの汚れで覆われてしまっていると、ベルト表面の光沢度が失われてしまうため、Vsg電圧まで上昇しなくなり、また、Vthでも読み取ることができない。このような場合には、ベルト全体を覆う汚れがあると判断することができる。この状態では、当然、センサとしての機能も果たせなくなる。
【0037】
図6は、中間転写ベルト10に傷があることを検知したときの停止位置制御を示す図で、制御状態とそのときのトナーマークセンサ120の出力波形を時系列で示す。なお、中間転写ベルト10、感光体ドラム40K,40Y,40C,40M、及びトナーマークセンサ120の関係は図3に示した通りである。
【0038】
この制御では、まず、図6Aに示すように、トナーマークセンサ120が中間転写ベルト10上の傷Bを読取った瞬間(位置情報)からCPU31により時間測定を開始する。この瞬間、図6Aに示すようにVthまで立ち下がり、Vthを切ったタイミングが測定開始タイミングとなる。次に、図6Bに示すように、そのままベルトが移動し、ちょうど次にイエロードラム40Yの書込位置に達したタイミング、すなわち、トナーマークセンサ120が初めに傷Bを読取った時間から次に、イエロードラム40Yの書込位置に達した時間:t1を経過したタイミングで、図2に示した書込制御部140が中間転写ベルト10上に「ベルトに傷or汚れがあります」というメッセージCを書き込ませる。
【0039】
その後、図6Cに示すように、そのまま中間転写ベルト10が移動し、トナーマークセンサ120が初めに傷Bを読取った瞬間からちょうどベルト1周分進んでセンサ読取り位置に達したタイミング、すなわち、センサ20が初めに傷を読取った時間からセンサ20が2回目に傷を読取った時間:t2)+所定距離(本実施形態では、例えば20[cm])移動した位置で中間転写ベルト10の回転を停止させる。この位置は、センサ20が2回目に傷を読取った時間:t2から20[cm]分ベルトが進む時間:t3の位置であり、中間転写ベルト10は、図1に示した転写駆動モータ21の駆動停止により停止する。
【0040】
本実施形態では、中間転写ベルト10、支持ローラ10a,10b,10c,10d及び各色の感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mとの関係は図7に示すようになっており、中間転写ベルト10の図において上面側には、中央部に開口部Sを有するベルト防塵カバーRが配置されている。そして、この開口部Sの中央位置がトナーマークセンサ120の検知位置からベルト回転方向下流側に20cm回転した位置に設定されている。従って、開口部Sの位置が異なる位置に設定されれば、前記所定処理はその位置に応じて変更される。
【0041】
なお、ここではイエロードラムDYから書き込みを行うようになっているが、書き込みの色は任意に設定可能であり、その際には、書き込み位置は設定した色に応じた位置に設定される。
【0042】
これにより、前記傷Bとこの傷Bの位置を示す不具合表示メッセージCは開口部Sから見える位置に停止することになり、ユーザはこの位置を容易に視認することができる。このように本実施形態では、中間転写ベルト10の図において上面にベルト防塵カバーRと開口部Sを設け、ユーザから中間転写ベルト10の状態を確認(視認)しやすいようにしてある。このとき図6Cで説明した位置で中間転写ベルト10は停止しているので、ユーザが中間転写ベルト10を支持ローラ5a,5b,5c,5dとともにカラーレーザプリンタ本体から引き出して作業しやすい位置に停止していることになる。
【0043】
なお、これまでの説明では、間接転写方式のタンデム型カラーレーザプリンタの中間転写ベルト10を例に取っているが、直接転写方式のタンデム型カラーレーザプリンタでは、転写搬送ベルトに対して同様の色ずれ補正制御と傷や汚れの位置検出制御が実行される。従って、間接転写方式の場合でも、直接転写方式の場合でも同様の制御が可能である。
【0044】
図8ないし図10は本実施形態におけるベルト検査における処理手順を示すフローチャートで、図8はベルト検査モードの処理手順を、図9はベルト検査モードに対するベルト停止位置制御を含む不具合処理手順を、図10は不具合処理時における再検査モードの処理手順をそれぞれ示す。なお、図8ないし図10では、各ステップをSTEPと記す。
【0045】
図8において、ベルト検査モードでは、この検査モードが開始されると、前回の中間転写ベルト10の表面電圧を基準電圧Vsg値に調整(オフセット調整)したデータ値をROM33から取得し(ステップ1)、カラーレーザプリンタの起動初期設定時に、中間転写ベルト10、転写駆動モータ21などが初期設定動作(ウォーミングアップ)を開始する際、同時にトナーマークセンサ120の電源をONする(ステップ2)。次いで、ウォーミングアップ動作中の回転する中間転写ベルト10の表面上をトナーマークセンサ120で読み取り(ステップ3)、中間転写ベルト10表面のデータを取得する。
【0046】
その後、読み取ったサンプリングデータの平均値が、基準電圧Vsg値+0.5[V]かつ−1.0[V]以内であるかどうかを判定し(ステップ4)、前記範囲内に入っていれば、ステップ3で取得したサンプリングデータの最小値がVsg値−2.0Vより小さいかどうかを判定し(ステップ5)、小さければ中間転写ベルト10に傷か汚れがあると判断して図9のCのフローチャートに移行し、小さくなければ「検査OK」と判断し(ステップ6)、トナーマークセンサ120の電源をOFFして処理を終了する(ステップ7)。
【0047】
一方、ステップ4で読み取ったサンプリングデータの平均値が、基準電圧Vsg値+0.5[V]かつ−1.0[V]以内から外れていれば、さらに、ステップ3で取得したサンプリングデータの平均値が基準電圧Vsg値+0.5[V]より大きいかどうかを判定し(ステップ8)、大きければセンサ異常と判断し、図9に示したAのフローチャートに移行する。大きくなければセンサが汚れているかベルト全体を覆う汚れがあると判断し、図9のBのフローチャートに移行する。
【0048】
図8において、ステップ8の判断結果から、平均値が基準電圧+0.5Vより大きい場合にはオフセット上限エラーであり、トナーマークセンサ120に何らかの異常を来たしたと判断し、図9のAのフローチャートで「センサ異常→センサを交換して下さい」とカラーレーザプリンタの図示しない操作表示部へ表示する(ステップA−1)。次いで、上記指示に従いセンサ周辺ドアを開け、センサを交換し、ドアを閉める(ステップA−2,3)。これで“センサが異常である”ことによる不具合は解消されるはずである。
【0049】
そこで、ステップA−1〜3の処理により、ベルト検査の際発覚した不具合が解消されたかを確認するため、図10のDのフローチャートに移行する。
【0050】
他方、図8のステップ8でデータ平均値が基準電圧−1.0[V]より小さいときには、トナーマークセンサ120汚れ(図5(c))あるいは、中間転写ベルト10全体を覆う汚れ発生(図5(e))と判断し、図9のBのフローチャートで、まず「センサが汚れているorベルト全体を覆う汚れが発生→センサ表面をウェスで清掃して下さい」と操作表示部へ表示する(ステップB−1)。次に上記指示に従いユーザがセンサ周辺あるいはベルト周辺のドアを開け、トナーマークセンサ120を清掃し、ドアを閉める(ステップB−2,3)。ここまでで、“センサが汚れている”ことによる不具合は解消されるはずである。
【0051】
その後、中間転写ベルト10全体を覆う汚れが発生している場合を想定し、プロセスコントロールにより中間転写ベルト10全体を覆う汚れ(フィルミング)除去モード実行を操作表示部から入力し、フィルミング除去モードを実行させる(ステップB−4,5)。
【0052】
このように処理することにより、センサが汚れていること、及びベルト全体を覆う汚れが発生していることによる不具合は解消されるはずである。
【0053】
そこで、ステップB−1〜5の処理によりベルト検査の際発覚した不具合が解消されたかを確認するため、図10のDのフローチャートに移行する。
【0054】
さらに、図8のステップ5で基準電圧−2.0[V]以下のものがある場合には、中間転写ベルト10上に傷があるか汚れがあると判断し、図9のCのフローチャートで、まず初めに傷若しくは汚れをトナーマークセンサ120が読取った瞬間(位置情報)から、そのまま中間転写ベルト10は回転し、ちょうどイエローの感光ドラムDYの書込位置に達したタイミング(図6B:t1)で転写ベルト10上に「ベルトに傷or汚れがあります」という不具合表示メッセージを書き込む(ステップC−1)。次いで、初めに傷若しくは汚れをトナーマークセンサ120が読み取った瞬間からベルト1周分まで(図6Cのt2+20[cm]の位置)、すなわち、図6Cでt3で示す位置でベルトの動作(転写駆動モータ21)を止める(ステップC−2)。
【0055】
その後、「ベルトに傷or汚れが発生→ベルト表面をウェスで清掃して下さい」とカラーレーザプリンタの操作表示部へ表示する(ステップC−3)。この表示による指示に従い、ユーザがベルト周辺ドアを開け、ベルトを清掃し、ドアを閉める(ステップC−4,5)。これで、ベルトが汚れている(浅い傷を含む)ことによる不具合は解消されるはずである。
【0056】
そこで、ステップC−1〜5の処理によりベルト検査の際発覚した不具合が解消されたかを確認するため、図10のDのフローチャートに移行する。
【0057】
図10は、ベルト検査モードで実施した不具合処理時の再検査モードの処理手順を示すフローチャートである。この再検査モードでは、前記図9のB及びCのフローチャートを実行した結果、ベルト検査時に発覚した不具合が解消されたかを確認する。
【0058】
この処理手順では、まず、中間転写ベルト10の表面電圧を基準電圧Vsg値に調整(オフセット調整)し(ステップD−1)、オフセット調整(画像調整)が正常に終了したかどうかを判定する(ステップD−2)。この判定で、正常に終了していれば、トナーマークセンサ120により中間転写ベルト10上を読み取り、中間転写ベルト10の表面データを取得し(ステップD−3)、取得したサンプリングデータの平均値がVsg値+0.5Vかつ−1.0V以内であるかどうかを判定する(ステップD−4)。
【0059】
ステップD−4の判定が成り立てば、さらに、ステップD−3で取得したサンプリングデータの最小値がVsg値−2.0Vより小さいかどうかを判定し(ステップD−5)、小さくなければ、「検査OK」と判断し(ステップD−6)、トナーマークセンサ120の電源をOFFして(ステップD−7)処理を終える。
【0060】
一方、ステップD−2でオフセット調整が正常に終了していなければ、正常終了しなかった理由がオフセット上限エラーかどうかを判定する(ステップD−8)。この判定で上限エラーと判定された場合には図9のAのフローチャートに移行してセンサ異常に対する処理を実行する。上限エラーではないと判定された場合には、図9のBのフローチャートに移行し、センサ若しくはセンサの汚れに対する処理を実行する。
【0061】
他方、ステップD−4でサンプリングデータの平均値がVsg値+0.5Vかつ−1.0V以内から外れていれば、サンプリングデータの平均値がVsg値+0.5Vより大きいかどうかを判定し(ステップD−9)、大きければ図9のAのフローチャートに移行してセンサ異常の処理を実行し、大きくなければ図9のBのフローチャートに移行し、センサ若しくはセンサの汚れに対する処理を実行する。
【0062】
このようにして、正常な場合には、処理を終え、正常に戻っていない場合には、再度同様の処理を繰り返し、正常が確認された時点で処理を終える。
【0063】
図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の概略を示す図である。
【0064】
同図において、画像形成装置は、カラーレーザプリンタ100、給紙テーブル200、画像読み取りユニット300、及び自動原稿搬送装置(ADF−Automatic Document Feeder)400から基本的に構成され、本実施形態では、給紙テーブル200の上にカラーレーザプリンタ100が配置され、その上にスキャナ300及びADF400が載置されている。
【0065】
カラーレーザプリンタ100は間接転写方式のタンデム型レーザプリンタであり、中央部に作像装置20が配置されている。作像装置20はKYCM各色の感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mを含む作像ステーションと、中間転写ベルト10を含む中間転写ユニット20Uと、各色の感光体ドラム40K,40Y,40C,40Mに光書き込みを行う光書込ユニット21と、2次転写ユニット22等を備えている。なお、図11では、煩雑にならないように色を示すKYCMの添字は省略している。
【0066】
中間転写ユニット20Uの中間転写ベルト10は無端状のベルトからなり、例えば伸びの少ないフッ素樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層に、弾性層を設けた複層ベルトである。弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの表面に、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層を形成したものである。中間転写ベルト10は、第1ないし第3の3つの支持ローラ14,15,16に掛け回されており、図において時計回り回動駆動される。なお、図3及び図6に示した例では、支持ローラは4個のものを図示しているが、支持ローラの個数は装置に応じて適宜設定される。
【0067】
第3の支持ローラ16の中間転写ベルト10の回転方向下流側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17が設けられ、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間の中間転写ベルト10には、その移動方向に沿って、ブラック(K),イエロー(Y),シアン(C)及びマゼンタ(M)の、各色の感光体ユニット40,帯電チャージャユニット18、現像ユニット及びクリーニングユニット、1次転写ユニット62を含む作像装置20が配置されている。作像装置20は、ICタグを備え、プリンタ本体に対して脱着可能に装着されている。作像装置20の上方には、前記光書込ユニット21が配置されている。
【0068】
2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押し当てるように設けられたもので、中間転写ベルト10の下方に配置されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上で4色重畳された画像を用紙上に転写する。2次転写装置22の用紙搬送方向下流側には、用紙上の転写画像を当該用紙に定着する定着ユニット25が設けられ、トナー像が転写された用紙が前記定着ユニット25に送り込まれる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26に加熱ローラ及び加圧ローラ27を押し当てたものである。
【0069】
2次転写ユニット22及び定着ユニット25の下方には、用紙反転ユニット28が設けられている。用紙反転ユニット28は、表面に画像が形成された直後の用紙を反転させて作像装置20側に再搬送し、画像形成済みの用紙の裏面にも画像を形成させるためのものである。
【0070】
定着ユニット25の下流側には、プリンタ本体側面から突出するように排紙トレイ57が設けられ、また、逆側の本体側面には給紙テーブル200から延びる搬送路に手差しにより用紙を送り込む手差しトレイ51が設けられている。
【0071】
なお、図3、図6A〜B及び図7に図示した中間転写ユニット22Uは図11に示した中間転写ユニット22Uは同一ではないが、構成的には等価であり、トナーマークセンサ120は最後段の作像ステーションの下流側に位置している。また、図11に示した中間転写ユニット20Uでは、中間転写ベルト10の上面に開口部Sを設けるスペースがないので、不具合表示メッセージCが、例えば中間転写ユニット20Uを引き出したときに上面に位置するような停止位置が選択される。
【0072】
大略上記のように構成された画像形成装置では、図示しない操作部ユニットのスタートスイッチが押されると、ADF400の原稿給紙台30上に原稿があるときは、それをコンタクトガラス32上に搬送する。ADF400に原稿がないときにはコンタクトガラス32上の手置きの原稿を読むために、画像読み取りユニット300のスキャナを駆動し、第1キャリッジ33及び第2キャリッジ34を、読み取り走査駆動する。そして、第1キャリッジ33上の光源からコンタクトガラスに光を発射するとともに原稿面からの反射光を第1キャリッジ33上の第1ミラーで反射して第2キャリッジ34に向け、第2キャリッジ34上のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサであるCCD36に結像する。読取りセンサ36で得た画像信号に基づいてK,Y,M,C各色記録データが生成される。
【0073】
また、スタートスイッチが押されたときに、中間転写ベルト10の回動駆動が開始されるとともに、作像装置20の各色の作像ステーションの作像準備が開始され、各色の作像シーケンスが開始される。このシーケンスでは、各色用の感光体ドラム40に各色記録データに基づいて変調された露光レーザが投射され、各色作像プロセスにより、各色トナー像が中間転写ベルト10上に1枚の画像として転写され、作像ステーションを通過する間にフルカラーの重畳されたトナー画像が形成される。このトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するときに同時に先端が2次転写ユニット22に進入するようにタイミングを計って用紙が2次転写ユニット22に送り込まれ、これにより中間転写ベルト10上の4色重畳されたフルカラーのトナー像が用紙に一括して転写される。トナー像が転写された用紙は定着ユニット25に送り込まれ、そこでトナー像が用紙に定着される。
【0074】
なお、前記用紙は、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択して回転駆動し、給紙ユニット43に多段に設けられた給紙トレイ44の1つから用紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚だけ分離され、給送される。分離ローラ45で分離され、搬送ローラ47に受け渡された用紙は、搬送コロユニット(縦搬送路)46に導かれ、他の搬送ローラ47と協働しながら上方に搬送され、プリンタ1内の搬送コロユニット48に導かれる。用紙は搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てられ、停止した状態で保持され、前述のように中間転写ベル10上の画像先端とタイミングを合わせて2次転写ユニット22に送り出される。
【0075】
給紙テーブル2からの給紙に代えて、手差しトレイ51上に用紙を差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51上に用紙を差し込み、手差しトレイ51からの給紙が選択されたときには、プリンタ1は給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上のシートの1枚を分離し、搬送ローラ52を経て手差し給紙路53に引き込む。手差し給紙路53に引き込まれた用紙は、給紙テーブル2からの給紙と同じようにレジストローラ49に突き当てられ、停止状態となる。以下、給紙テーブル2から給紙の場合と同様に画像先端とタイミングを合わせて送出され、定着ユニット25で画像の定着が行われた後、排紙される。
【0076】
定着ユニット25で定着処理を受けて排紙される用紙は、切換爪55で排紙ローラ56に案内し、排紙ローラ56から排紙トレイ57上に放出され、排紙トレイ57上にスタックされる。また、用紙の裏面に画像を形成する場合には、表面に画像が形成された用紙を切換爪55によってシート反転ユニット28に案内し、シート反転ユニット28で用紙を反転させ、再び作像装置20側へ導き、用紙の裏面にも画像を記録した後、排紙ローラ56によって排紙トレイ57上に排紙する。
【0077】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去し、再度の画像形成に備える。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、
1)傷や汚れがある場合に、その位置を直接中間転写ベルト10あるいは転写搬送ベルトに書き込んでユーザに表示するので、傷や汚れのある位置をユーザは容易に確認することができる。
2)傷や汚れのある位置をユーザが容易に確認することが可能であることから、ユーザ自身で傷や汚れを清掃し、除去することが可能となる。
3)ユーザ自身で位置が特定できた傷や汚れを清掃し、除去することが可能なので、当該清掃によって傷や汚れが除去できれば、中間転写ベルト10あるいは転写搬送ベルトを新品に取り替える必要がなくなる。
4)トナーマークセンサの汚れも検知可能であることから、ユーザによるセンサの清掃によりセンサ性能を回復することでき、センサの交換を回避することも可能となる。
5)直接中間転写ベルト10、転写搬送ベルト、あるいはトナーマークセンサの清掃や交換後に正常に戻っていない場合には、再度同様の処理を繰り返すので、確実に中間転写ユニットの正常化を図ることが可能となり、画像品質の向上を図ることができる。
等の効果を奏する。
【0079】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0080】
10 中間転写ベルト
20 作像装置
20U 中間転写ユニット
30 制御部
31 CPU
37 検出IO部
105 判定部
120 トナーマークセンサ
140 書込制御部
PN トナーマークパターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2003−241472号公報
【特許文献2】特開2008−207955号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の位置ずれパターンを移動する被パターン形成部材上に形成し、前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する画像形成装置において、
画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常発生個所を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記異常発生個所を示す情報を当該異常発生個所の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む書込手段と、
を備えていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記書込手段は、前記検出手段が前記異常を検出した時点から所定時間経過後であって、前記異常個所が書込対象位置に達したときに前記情報を書き込むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記被パターン形成部材は、前記情報が書き込まれた前記異常個所が予め設定された清掃位置に達したときに停止すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記情報が前記被パターン形成部材の清掃を促す旨の記載を含むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記異常が前記被パターン形成部材表面の傷又は汚れであること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記異常が前記光学的検出手段の異常をさらに含むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記検出手段によって異常が検出されたとき、その旨若しくは異常解消のための操作内容を装置の操作表示部に表示する表示手段をさらに備えていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記異常が光学的検出手段の汚れ又は前記被パターン形成部材の汚れであることを前記検出手段が検出したとき、前記表示手段にセンサ清掃を促す表示を行わせ、清掃後、前記被パターン形成部材の汚れ除去動作を自動実行させる制御手段を備えていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記異常が検出された後、異常解消のための操作若しくは動作を実行させ、実行後、前記異常の有無の確認動作を自動実行させる制御手段を備えていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記被パターン形成部材が駆動手段によって駆動される無端状の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトであること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
画像の位置ずれパターンを移動する被パターン形成部材上に形成する画像形成手段と、
前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する位置ずれ補正手段とを備え、
画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常発生個所を検出する工程と、
前記検出する工程における検出結果に基づいて前記異常発生個所を示す情報を当該異常発生個所の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む工程と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置の異常発生位置表示方法。
【請求項12】
画像の位置ずれパターンを移動する被パターン形成部材上に形成し、前記パターンを光学的検出手段によって読み取って画像の位置ずれを検出し、当該位置ずれを補正して画像を形成する画像形成制御をコンピュータの資源を用いて実行するための画像形成制御プログラムにおいて、
画像が形成されていない状態で前記被パターン形成部材の表面を前記光学的検出手段によって読み取り、読み取り結果に基づいて前記被パターン形成部材の表面の異常の有無と、異常個所を検出する処理手順と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記異常の個所を示す情報を当該異常個所発生の前記被パターン形成部材上に可視画像として書き込む処理手順と、
を備えていることを特徴とする画像形成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−14108(P2012−14108A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153047(P2010−153047)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】