説明

画像形成装置およびプロセスカートリッジ並びに画像形成方法

【課題】感光体に金属石鹸を塗布する際の金属石鹸の塗布量を安定させ、画像品質や信頼性品質に優れる画像形成装置及びプロセスカートリッジ並びに画像形成方法を提供すること。
【解決手段】感光体1と、帯電手段2と、露光手段と、トナーを用いて現像する現像手段4と、転写手段5,6と、前記感光体1上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記感光体1表面に滑剤12を供給する滑剤供給手段11とを備え、前記クリーニング手段は、複数のクリーニング部材を具備し、該複数のクリーニング部材の中の1は不織布10を有し、該不織布10は、前記複数のクリーニング部材の中で最も上流に配置されず、且つ前記感光体1に当接配置されてなり、前記滑剤供給手段11は、前記不織布10より下流に配置され、前記不織布を清掃する清掃手段14を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属石鹸を含む滑剤を感光体に供給しながら画像形成を行う画像形成装置、及び該画像形成装置に対して着脱自在に備えられるプロセスカートリッジ並びに画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等に広く使用されている電子写真方法に用いられる電子写真感光体(以下、単に感光体と言うことがある)としては、安価、大量生産性、無公害性等の利点から、有機系の感光材料が汎用されてきている。しかしながら、有機感光体は無機感光体と比較して耐摩耗性が低く、耐久性の点で劣っていた。
さらに近年では、電子写真システムのフルカラー化、高速化が望まれるようになり、各色毎に感光体を備えたタンデム方式のフルカラー画像形成装置が実用化されている。このタンデム方式の画像形成装置を小型化するには感光体の小径化が必須であるが、小径化に伴って感光体の単位長さあたりの印刷枚数が増加するため、感光体の耐摩耗性を主とする機械的耐久性の向上がさらに強く要望されるようになってきた。
【0003】
有機感光体の耐摩耗性を向上させる方法として、金属あるいは金属酸化物からなるフィラーを含有する保護層を設けるものが、特許文献1(特開平1−170951号公報)に開示されている。
さらに、感光体表面に保護層を設けて感光体そのものの耐摩耗性を向上させる以外に、潤滑剤により感光体の表面エネルギーを低下させる方法が知られている。感光体への潤滑剤の供給方法としては、ブラシなどの塗布手段により固形の潤滑剤を塗布する(特許文献2:特開2000−162881号公報)、トナーに滑剤を外添し感光体に供給する(特許文献3:特許第2859646号公報)等の各種の方法が知られている。また、潤滑剤により感光体の表面エネルギーを低下させることで、感光体の摩耗を低減させるだけでなく、転写率を向上させたり、転写中抜け等の異常画像の発生を防止することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
滑剤塗布機構により感光体表面に金属石鹸を塗布することで、感光体の表面エネルギーを低減し、さらにはコロナ帯電等の強烈な帯電負荷から感光体を保護し、摩耗を低減することは可能である。
ところが、金属石鹸を塗布する画像形成装置には以下の解決しなければならない不具合点のあることが判明した。
金属石鹸の塗布量は画像形成装置の使用初期から寿命時まで一定であることが望まれる。しかしながら、作像する画像面積率や使用環境の変化により、金属石鹸の塗布量や消費量は変動を来たし、転写時に生じる転写中抜けや転写率などの画像品質、感光体摩耗量や金属石鹸の交換頻度などの信頼性品質が低下するなどの不具合が発生することがあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、感光体に金属石鹸を塗布する際の金属石鹸の塗布量を安定させ、画像品質や信頼性品質に優れる画像形成装置およびプロセスカートリッジ、並びに画像形成方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは種々検討した結果、クリーニング手段でクリーニングしきれないトナーやトナー外添剤があると、それらは金属石鹸(滑剤)を供給する領域に進入し、金属石鹸の塗布量に大きな影響を与える。更に詳しく述べると、作像する画像面積率が変化した場合や画像形成装置の環境が変動した場合には、金属石鹸を供給(塗布)する領域の前のクリーニング手段の性能が変動し、クリーニング手段でとりきれないすり抜けトナー量やすり抜け外添剤量が変動する。これらは次に金属石鹸を供給する領域に進入するため、すり抜けトナー量が変動すると金属石鹸から供給できる金属石鹸量も変動する。
そこで本発明者等は、このすり抜けトナー量の変動を少なくすることが金属石鹸を含有する滑剤の供給手段からの供給量の変動を少なくすることに対して効果が大きいということを見出した。
即ち、金属石鹸を含む滑剤を供給する領域の前であり、且つクリーニングにおける最上流を除く位置(好ましくは最下流の位置)に不織布を当接配置させることで、クリーニング部材をすり抜けて滑剤を供給する領域に進入するすり抜けトナー量、外添剤量が著しく低減できるため、安定して滑剤が感光体に供給されるようになった。その結果、転写中抜けや転写率などの画像品質、感光体摩耗量や金属石鹸の交換頻度などの信頼性品質が飛躍的に向上した画像形成装置が得られた。
【0007】
しかし、長期間の使用によりクリーニング性が劣る不具合があることが判明した。
そこで本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、長期間の使用によりクリーニング性が劣る原因が不織布の目詰まりであり、これを防止することで転写中抜けや転写率などの画像品質、感光体摩耗量や金属石鹸の交換頻度などの信頼性品質が飛躍的に向上し、長期間維持できることを知見した。
【0008】
しかして、上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジ、並びに画像形成方法は、具体的には下記記載の技術的特徴を有する。
【0009】
即ち、本発明に係る画像形成装置は、所定の回転方向に回転する感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記感光体から転写材に転写する転写手段と、該転写手段により前記トナー像が前記感光体に転写された後の当該感光体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記感光体表面に金属石鹸を含有する滑剤を供給する滑剤供給手段と、を備え、前記クリーニング手段は、複数のクリーニング部材を具備し、前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布を有し、該不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体に当接配置されてなり、前記滑剤供給手段は、前記感光体の所定の回転方向に対して前記不織布より下流に配置されてなり、前記不織布の表面を清掃する清掃手段を備えることを特徴とする。但し、前記感光体の所定の回転方向において、前記帯電手段の配置位置が最も上流であり、当該感光体が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。
【0010】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、上記画像形成装置に対して着脱自在に備えられるプロセスカートリッジであって、少なくとも感光体と、前記感光体に当接配置されてなる不織布を有するクリーニング部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る画像形成方法は、所定の回転方向に回転する感光体を帯電させる帯電工程と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記感光体から転写材に転写する転写工程と、該転写工程により前記トナー像が前記感光体に転写された後の当該感光体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング工程と、前記感光体表面に金属石鹸を含有する滑剤を供給する滑剤供給工程と、を備え、前記クリーニング工程は、複数のクリーニング部材で前記感光体上に残留したトナーをクリーニングし、前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布を有し、該不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体に当接配置されてなり、前記滑剤供給工程は、前記感光体の所定の回転方向に対して前記不織布より下流に配置されてなり、前記不織布の表面を清掃する清掃工程を備えることを特徴とする。但し、前記感光体の所定の回転方向において、前記帯電工程が最も上流であり、当該感光体が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期間にわたり安定して滑剤が感光体に供給され、転写中抜けや転写率などの画像品質、感光体摩耗量や金属石鹸の交換頻度などの信頼性品質が飛躍的に向上した画像形成装置がおよびプロセスカートリッジ、並びに画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
【図4】(a)不織布ローラ10の平面図である。(b)図4(a)に示すIIb−IIb断面線における不織布ローラ10の拡大断面図である。
【図5】不織布ローラ10及び清掃手段14の構成を示す断面模式図である。
【図6】実施例で作像した画像のパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、所定の回転方向に回転する感光体1と、該感光体1を帯電させる帯電手段2と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段4と、前記トナー像を前記感光体1から転写材に転写する転写手段5,6と、該転写手段5,6により前記トナー像が前記感光体1に転写された後の当該感光体1上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング手段9,10と、前記感光体1表面に金属石鹸を含有する滑剤12を供給する滑剤供給手段11と、を備え、前記クリーニング手段9,10は、複数のクリーニング部材を具備し、前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布10を有し、該不織布10は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体1の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体1に当接配置されてなり、前記滑剤供給手段11は、前記感光体1の所定の回転方向に対して前記不織布10より下流に配置されてなり、前記不織布の表面を清掃する清掃手段14を備えることを特徴とする。但し、前記感光体1の所定の回転方向において、前記帯電手段2の配置位置が最も上流であり、当該感光体1が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。
【0015】
また、本発明に係る画像形成方法は、所定の回転方向に回転する感光体を帯電させる帯電工程と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記感光体から転写材に転写する転写工程と、該転写工程により前記トナー像が前記感光体に転写された後の当該感光体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング工程と、前記感光体表面に金属石鹸を含有する滑剤を供給する滑剤供給工程と、を備え、前記クリーニング工程は、複数のクリーニング部材で前記感光体上に残留したトナーをクリーニングし、前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布を有し、該不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体に当接配置されてなり、前記滑剤供給工程は、前記感光体の所定の回転方向に対して前記不織布より下流に配置されてなり、前記不織布の表面を清掃する清掃工程を備えることを特徴とする。但し、前記感光体の所定の回転方向において、前記帯電工程が最も上流であり、当該感光体が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。
【0016】
次に、本発明に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジ、並びに画像形成方法についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
<画像形成装置、画像形成方法>
図1は本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
作像プロセスとしてはまず、所定の回転方向(図1中反時計回りの矢印方向)に回転する感光体1は帯電手段である帯電ローラ2により帯電される(帯電工程)。
次いで、不図示の露光手段より発せられる書き込み光3により感光体1が露光されて静電潜像が形成され(露光工程)、現像手段である現像ローラ4によって静電潜像をトナー像として現像する(現像工程)。
感光体1上のトナー像は転写手段である転写ローラ5によって中間転写体6上に転写され、さらに図示しない転写紙(転写材)上に再度転写される(転写工程)。
トナー像の載った転写紙は図示していない定着部へ搬送され、トナー像は転写紙上に固定され(定着工程)、画像が得られる。
【0018】
感光体1上から中間転写体6へ転写されなかった残留トナーは複数のクリーニング部材の中の1であるクリーニングブレード9で清掃される。次いで、複数のクリーニング部材の中の他の1である不織布10が感光体に当接配置されているので、クリーニングブレード9で清掃できなかった残留トナーやトナー外添剤が不織布10によってさらに清掃される(以上、クリーニング工程)。
なお、図1に示す例では、クリーニングブレード9と不織布10とからなる2のクリーニング部材によりクリーニング手段が構成されている。また、図1において不織布10はローラ形態で感光体1に当接している。ローラ形態である場合、不織布10の感光体1との接触可能な面積を板状形態よりも大きくすることが出来るため、そのクリーニング性能や耐久性能を向上させることが出来る構成である。不織布ローラ10はφ5〜30mmの円柱状金属のシャフトの外周面を1〜30mm厚みの不織布で被覆したものが、感光体への押圧力やニップを調整することが容易になり、好適である。
【0019】
このようにして清掃された感光体1表面に、金属石鹸を含有する滑剤を保持した滑剤供給手段である滑剤塗布ブラシ11が感光体1に接触することにより、滑剤12を摺擦して当該感光体1表面には滑剤が供給される(滑剤供給工程)。
最後に感光体の残留電荷を除電手段であるQLランプ13の照射により取り除き(除電工程)、次の作像に備える。
【0020】
この画像形成プロセスにおいて滑剤は、感光体のトナークリーニング性を向上させる潤滑機能、帯電による負荷から感光体を保護する保護機能、感光体からのトナー転写性を向上させるためのトナー離型機能を併せ持つ物である。このため、滑剤は近年の高画質化の潮流の中にあって画像形成の際に非常に重要な役割を果たしている。
【0021】
図1に示す本発明に係る画像形成装置の構成においては、クリーニング工程の最後に不織布10が当接配置されているので、クリーニングブレード9をすり抜けてきたトナーやトナー外添剤を不織布10が取り除くことが出来る構成となっている。その結果、滑剤塗布ブラシ11はトナーやトナー外添剤で汚染されることが抑制され、滑剤12の消費量、感光体1への滑剤供給量、滑剤12の感光体1上での塗布状態や被覆率を安定させることが出来る構成となっている。作像したい原稿が著しく高画像濃度である、或いは低画像濃度であるなど、原稿の画像濃度が異なる場合や、画像形成装置の使用環境が低温でクリーニングブレードのゴム特性が変化する環境などで特にその効果を発揮することが出来る。
【0022】
さらに、不織布ローラ10には清掃手段であるゲル状清掃部材14が設けられている。このゲル状清掃部材14により不織布ローラ10表面からトナーやトナー外添剤を吸着し、不織布内部に取り込まれることが防止できる。このため、目詰まりによるクリーニング劣化が防止できる構成となっている。このゲル状清掃部材14はゲル状であるため、画像形成時には不織布ローラ10から離され、非画像形成時に当接されることが好ましい。
ここで、ゲル状清掃部材とは、高分子ゲルよりなる部材である。PVA、アクリル酸、メタクリル酸等に架橋剤を用いて三次元的な網目構造を形成し、網目の内部に水等を吸収し、膨張した状態である。このため、不織布ローラ10表面からトナーやトナー外添剤を吸着し、不織布内部に取り込まれることが防止できる。
【0023】
なお、本発明における画像形成プロセスは、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、滑剤塗布、必要に応じて除電、の順で、当該画像形成プロセスが流れることが好ましい。従って、帯電ローラ2の配置位置が画像形成プロセスにおける最上流であり、画像形成プロセスにより感光体1が1周回転した際に、次の画像形成プロセスの最上流となる。即ち、帯電ローラ2の配置位置が最も上流であり、この最上流の位置から感光体1の回転方向に1周回転した位置の直前が最も下流である。
【0024】
図2は本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
クリーニング手段がクリーニングブラシ8、クリーニングブレード9、不織布ローラ10の3部材の構成となっている。
不織布ローラ10は、クリーニング手段の最終位置で且つ滑剤塗布ブラシ11の直前に配置されている。
不織布ローラ10には清掃手段である(薄肉)板状清掃部材14が当接されている。この板状清掃部材14により不織布ローラ10表面からトナーやトナー外添剤を叩き落し、不織布内部に取り込まれることが防止できる。板状清掃部材は、金属製であると叩き落す力が強いが不織布ローラ10を毛羽立たせるため、樹脂製が好ましい。叩き落されたトナーやトナー外添剤は、図示しない回収容器に集められる。
【0025】
図2に示す不織布ローラは回転体であり、その回転方向は感光体1に対して順方向であっても、感光体に対して逆方向であってもかまわないが、順方向の場合は感光体と周速差を設けることが好ましい。
【0026】
図3は本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態における構成を示す断面模式図である。
クリーニング手段はクリーニングブラシ8、クリーニングブレード9、不織布ローラ10a、不織布ローラ10bの4部材による構成となっている。
不織布ローラ10bは、クリーニング手段の最終位置で且つ滑剤供給ローラ11の直前に配置されている。
【0027】
不織布ローラが2段構成となっている場合、不織布ローラ10aと不織布ローラ10bの不織布の繊維材質は異なっていることが好ましい。例えば、感光体の最表層の結着樹脂がポリカーボネート樹脂であるとすると、不織布ローラ10aにはポリメタクリル酸メチル、羊毛、ナイロンなどのポリカーボネートよりも帯電列が+側の繊維を用い、不織布ローラ10bにはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)などのポリカーボネートよりも帯電列が−側の繊維を用いるとよい。このようにすれば残留トナー、残留外添剤の極性が異なっても、良好なクリーニング性能が得られる。
【0028】
不織布ローラ10aには板状清掃部材14aが、不織布ローラ10bには板状清掃部材14bが、それぞれ当接されている。この板状清掃部材14aにより不織布ローラ10a、不織布ローラ10b表面からトナーやトナー外添剤を叩き落し、不織布内部に取り込まれることが防止できる。叩き落されたトナーやトナー外添剤は、図示しない回収容器に集められる。
【0029】
〔不織布〕
次に、本発明に係わる不織布について説明する。
本発明に係わる不織布は、繊維シート、ウェブ又はバットであり、繊維が一方向またはランダムに配向してなり、交流、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたものである。なお、本発明においては縮絨(しゅくじゅう)フェルトも不織布としてみなす。
【0030】
不織布は、ポーラス(多孔質)構造であり、通気性・ろ過性・保温性などの基本的な特徴がある。加えてこの不織布は、目的や用途に合わせてこの特徴を引き出して機能を高めたり、多様な原料や製法の組み合わせによって布状・レザー状・綿状・紙状などさまざまな形状にしたり、しなやかなものから強靭なものまでつくることができる物である。つまり、必要に応じて機能と形状を自由自在に設計できることが最大の特徴である。
本発明においては、不織布の繊維の配列がランダムであることが、様々な繊維方向でトナーや外添剤を清掃することに効果を発揮している。
【0031】
本発明に係わる不織布に用いられる繊維材料としては綿、羊毛、麻、ケナフ、バンブー、バナナ、パルプ、絹、などの天然繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維などの化学繊維、ガラス繊維などが使用できる。
天然繊維、合成繊維をはじめガラス・金属・セラミックス・パルプ・炭素繊維など、およそ繊維と呼ばれるもののほとんどを原料にすることが可能で、一般的には、ポリエステルなどの合成繊維が多く使用される。
本発明においても、様々な繊維が使用可能である。
【0032】
さらに前述したように、感光体上に残留しているトナーや外添剤の帯電列に対して逆極性の帯電列から繊維を選定することが好ましい。
またさらに、不織布が2段構成となっていて、感光体の最表層の結着樹脂がポリカーボネート樹脂或いはそれに類似した樹脂が用いられる場合、一方の不織布にはポリメタクリル酸メチル、羊毛、ナイロンなどのポリカーボネートよりも帯電列が+側の繊維を用いたり、他方の不織布にはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)などのポリカーボネートよりも帯電列が−側の繊維を用いたりすることが出来る。このようにすれば残留トナー、残留外添剤の極性が異なっても、良好なクリーニング性能が得られる。
【0033】
不織布の製造工程には、(1)フリース形成と(2)繊維間結合の2工程がある。まず、フリースとよばれる繊維の集積層を形成し、次に繊維同士を結合させる。
【0034】
・(1)フリース形成
フリース形成には乾式法、湿式法、スパンボンド法の3つの形成方法がある。
乾式法は短繊維(15〜100mm)を、カードと呼ばれる機械やエアレイと呼ばれる空気流で一定方向またはランダムに並べて形成する。
湿式法は紙を作る場合と同じように、ガラス繊維やパルプ原料のようなごく短い繊維(6mm以下)を水中に分散し網状のネット上に漉き上げてフリースを形成する。この方式で形成すると厚さが均一で、目付け(単位面積当たりの質量)を自由に変えることが可能となる。
スパンボンド法は溶かした原料樹脂を直接ノズルの先から溶出・紡糸させ、連続した長い繊維でフリースを形成する方法である。広幅、高速生産などにも対応可能な特徴がある。
【0035】
・(2)繊維間結合
繊維間結合にはケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流絡合法の4つの方法がある。
ケミカルボンド法はエマルジョン系の接着樹脂を含浸あるいはスプレー等の方法でフリースに付着させ、加熱・乾燥させて繊維の交点を接着する方法であり、柔軟性とドレープ性に富む特徴がある。
サーマルボンド法は低融点の熱融着繊維を混合したフリースを、熱ロールの間を通して熱圧着する、または熱風を当て繊維同士を接着させる方法であり、接着剤を使用しないため、繊維の特徴が結合後も維持されやすい特徴がある。
ニードルパンチ法はフリースを、高速で上下するニードル(針)で繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませる方法であり、バルク性に富み繊維間の剥離がない特徴がある。
水流絡合法はフリースに高圧の水流を柱状に噴射して繊維を絡ませる方法であり、柔軟でドレープ性に富み、毛羽立ちしない特徴がある。
【0036】
本発明においては、不織布の厚さの均一性、繊維単体の特徴が活かせることから、フリース形成には湿式法、繊維間結合にはサーマルボンド法が適している。
【0037】
図4を参照して、クリーニング部材としての不織布ローラ10について、より具体的に説明する。
図4(a)は不織布ローラ10の平面図であり、図4(b)は図4(a)に示すIIb−IIb断面線における不織布ローラ10の拡大断面図である。
【0038】
図4(a)に示すように、不織布ローラ10は、芯材110と、その芯材110を被覆する被覆層120とによって構成されている。また、この被覆層120は、図4(b)に示すように、被覆層120の表面を構成する表面層120aと、その表面層120aと芯材110との間に形成されている下地層120bとによって構成されている。
尚、表面層120aと下地層120bとの間、および、芯材110と下地層120bとの間には、図示しない接着層が備えられている。また、芯材110は円柱状金属シャフトである。
【0039】
表面層120aは、感光体1の表面に接触し、感光体1の表面に付着している残留トナーや、トナーの流動性及び帯電性を制御する外添剤や、紙粉等の微粒子を掻き取り、捕獲するものであり、上述した不織布よって構成されている。
この織布には、前述の繊維やポリエステルまたはナイロン製の長繊維が用いられており、その単糸繊度(1本の細さ)は約0.1デシテックス(約2μm)〜20デシテックス(約25μm)と微細である。
【0040】
また、表面層120aは、シート状の織布を下地層120bに巻回して構成されているので、表面層120aの表面には継ぎ目T1が形成されている。
継ぎ目が感光体に対して同時に当接されることが問題である場合は、不織布の裁断を細長い形態として、下地層120bにらせん状に巻いて、継ぎ目もらせん状になるように形成することも出来る。図4に示す例では、継ぎ目T1は直線状に形成されている。
【0041】
下地層120bは必要に応じ形成される物で、下地層の目的は、感光体に対する押圧力、ニップ、食い込み量などの調整が必要な場合に形成される。
図4に示す例では、下地層はクッション層として作用し、柔軟性を有するウレタン製である。具体的には、ポリイソシアネートとポリオール(ポリエーテル型またはポリエステル型のポリオール)とを反応させ、重合体生成反応と発泡反応とを同時に開始させたものであり、ポリエーテル系とポリエステル系とのいずれをも使用することができる。
尚、ポリイソシアネート、ポリオールとしては、その種類には特に制限されない。例えば、ポリイソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート)、TDIとMDIとの混合物等を使用できる。ポリオールとしては、アルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール、カルボン酸とグリコール等を重縮合して得られたポリエステルポリオール、開環重合により得られる付加重合型ポリエステルポリオール等を使用できる。
【0042】
次に、本発明に係わる不織布ローラの表面を清掃する清掃手段である清掃部材について説明する。
前述の通り、不織布はポーラス(多孔質)構造が特徴であるがために、表面に付着したトナーや外添剤が内部に取り込まれ、目詰まりしてしまう不具合があることがわかった。目詰まりを防止するためには不織布表面に付着したトナーや外添剤を内部に取り込む前に清掃部材にて除去すればよい。
【0043】
本発明に係わる清掃部材は、不織布表面に付着したトナーや外添剤を吸着する性質の部材を用いることができる。吸着する性質の部材としては、ゲル状クリーナーなどを用いることができる。また、不織布表面からトナーや外添剤を叩き落すために板状清掃部材を用いることができる。
【0044】
特に板状清掃部材は効果の持続性が高く、部材の交換が長期にわたり必要無い。
板状清掃部材の厚みが厚くなると不織布ローラの形状を変形される恐れがある。しかし、薄すぎても効果が弱い。このため、厚みは10μm以上1mm以下の薄肉が好ましく、特に20μm以上500μm以下がより好ましい。
【0045】
板状清掃部材に用いられる材質については、アルミ、鉄、チタン、銅、ステンレス等合金などの金属や、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどの樹脂、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどのゴムを用いることができる。これらの中でも特に樹脂が好ましい。樹脂は厚みの調整が容易であり、可撓性に優れているため不織布への劣化作用が少なく、耐久性も高い。特にポリエステルが好ましく、より好ましくはPETである。導電性PETを用いた場合、電界をかけることで不織布表面から静電的にトナーや外添剤を除去できる。
【0046】
さらに、板状清掃部材には切り込みが入っているとより好ましい。切り込み例を図5に示す。
不織布ローラ10に接して設けられた板状清掃部材14に、切り込み14Sが設けられている。
切り込みが入っていることで不織布表面へ均一に板状清掃部材が当たり、さらに不織布に長時間当接されても双方に形状変化が少ない。切り込みは1箇所でも充分効果があるが、3箇所以上がより好ましい。
この板状清掃部材は1枚でも充分効果があるが、複数枚用いてもよい。この場合、例えば円柱状金属シャフトの外周面に複数枚はりつけた清掃部材ローラを、不織布ローラと逆回転させることで連続的に表面に付着したトナーや外添剤を除去できる。
また、不織布ローラの表面に切り込みを入れるなど微小な段差を設けることもできる。この場合、不織布ローラの段差で板状部材がはじかれるように作用し、より叩き落す効果が高くなる。
【0047】
〔金属石鹸〕
次に金属石鹸を含む滑剤を供給する工程について説明する。
本発明に係る画像形成方法では、滑剤塗布工程を備えている。図1に示すように、滑剤塗布ブラシ11は、感光体1と滑剤12に同時に接触してなり、感光体1回転時には感光体1と逆回転もしくは周速差をもって順方向に回転する。このようにすると、滑剤塗布ブラシ11によって滑剤12は掻き取られ、滑剤塗布ブラシ11上に保持され、次いで感光体1に滑剤12が供給される。滑剤12は、滑剤塗布ブラシ11に対して均一に、且つ、繰り返し使用によっても同じ圧力で当接されるべきものであるので、図1には記していないが、滑剤12には滑剤塗布ブラシ11と対向する側に板バネなどの押圧機構を有することが好ましい。
【0048】
本発明に係わる金属石鹸は、脂肪酸とアルカリ金属以外の金属との金属塩を指す。金属石鹸の性質は、構成する脂肪酸と金属の両者で決まり、脂肪酸分子間の疎水結合に関連する物性と金属間結合に関連する物性と化学的性質を併せ持っている。
本発明における金属石鹸の目的は、感光体への被覆による保護と感光体表面の低表面エネルギー化による離型性向上であるから、金属石鹸の脂肪酸の炭素数はC18以上の長鎖の物が好適であり、また、金属についてはBa、Al、Zn等の接触角が高い金属塩が好ましい。
【0049】
滑剤の塗布工程は以上の構成を採っているので、滑剤塗布ブラシは常時同じ状態であることが好ましい。即ち、滑剤の塗布領域(滑剤塗布ブラシ)に清掃しきれないトナーやトナー外添剤が混入することは、金属石鹸の掻き取り力や塗布能力に影響を与えるため、不織布が滑剤塗布ブラシの直前に存在する構成が特に有効である。
【0050】
本発明においては感光体、トナー、帯電用部材(帯電手段)、現像部材(現像手段)、転写部材(転写手段)、不織布以外のクリーニング部材(クリーニング手段)、除電部材(除電手段)などは従来から公知の技術が利用できる。
また、上述した画像形成装置は、少なくとも感光体と、該感光体に当接配置されてなる不織布を有するクリーニング部材と、を備えるプロセスカートリッジを、着脱自在に備える構成としてもよい。このプロセスカートリッジは、この他、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、滑剤供給手段、他のクリーニング部材(クリーニングブレード等)から選ばれる1以上をさらに備えても良い。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
【0052】
〔実施例1〕
繊度1dtex、繊維長51mmのナイロン繊維を湿式法によりフリース形成し、次にサーマルボンド法で繊維間結合を行い、目付け500g/m、厚さ2.5mmの不織布を得、この不織布を幅10mm、長さ800mmの長帯状に裁断した。
次にφ6mm、40mm長のステンレス製円筒芯材を準備し、この上に両面接着テープを貼った。
最後に、前述の長帯状の不織布をこの円筒芯材の上に隙間無く螺旋状に巻いて不織布ローラを得た。
得られた不織布ローラを図2に示す構成の画像形成装置の不織布ローラ10として組み込み、薄肉板状清掃部材14としてアルミ板(厚さ0.2mm)を組み込み、画像形成装置を得た。
【0053】
〔実施例2〕
薄肉板状清掃部材14を合成ゴム板(オオサカゴム MSR 厚さ1mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図2に示す構成の画像形成装置を得た。
【0054】
〔実施例3〕
薄肉板状清掃部材14をPETフィルム(帝人デュポンフィルム マイラー 厚さ0.1mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図2に示す構成の画像形成装置を得た。
【0055】
〔実施例4〕
薄肉板状清掃部材14を均等に10箇所切り込みを入れたPETフィルム(帝人デュポンフィルム マイラー 厚さ0.1mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図2に示す構成の画像形成装置を得た。
【0056】
〔実施例5〕
繊度2dtex、繊維長51mmのナイロン繊維を湿式法によりフリース形成し、次にサーマルボンド法で繊維間結合を行い、目付け500g/m、厚さ2.5mmの不織布を得、この不織布を幅10mm、長さ800mmの長帯状に裁断した。
次にφ6mm、40mm長のステンレス製円筒芯材を準備し、この上に両面接着テープを貼った。
最後に、前述の長帯状の不織布をこの円筒芯材の上に隙間無く螺旋状に巻いて不織布ローラを得た。
得られた不織布ローラを図1に示す構成の画像形成装置の不織布ローラ10として組み込み、ゲル状清掃部材(ポリビニルアルコール高分子ゲル)は画像形成時に不織布ローラから離れ、非画像形成時に当接するように改造した。
【0057】
〔比較例1〕
薄肉板状清掃部材14を組み込まない以外は実施例2と全く同様にして画像形成装置を得た。
【0058】
以上の様にして得られた画像形成装置及びトナーを用いて複写試験を行った。試験モードは図6に示す画像を原稿として、矢印の方向に作像し感光体の長手方向手前側から奥側へ3段階で画像濃度が異なる加速劣化試験とし、3000枚のプリント試験を行った。
上述の実施例、比較例で記した以外の構成および試験条件は以下のようにした。
【0059】
(画像形成装置の構成と試験条件)
感光体:アルミニウム支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した有機感光体であり電荷輸送層のバインダーはポリカーボネート
帯電:AC帯電にDCを重畳した接触帯電方式
書き込み:780nmLD
現像:2成分現像方式
使用したトナー:重合トナー、平均粒径5.3μm、平均円形度0.991、平均粒径10nmのシリカを外添
転写:ポリイミド製中間転写ベルト方式
クリーニングブラシがある場合:ポリエステル製ブラシ
クリーニングブラシ:ウレタンゴムブレード
滑剤塗布:ポリエステルブラシ
滑剤:ステアリン酸亜鉛8×8×320mmブロック形状
除電:波長660nmLED
システム線速:400mm/sec
プリント画像:A4サイズの図6画像パターン
プリント枚数:3000枚
プリント環境:15℃30%
【0060】
以上のプリント試験の評価は次のようにした。
<虫食い転写>
1000枚後に通常の文字画像をプリントし、文字の中抜けが発生しているか。なお、僅かに派生という程度であれば実使用に耐えうるレベルである。
<クリーニング性>
1000枚のプリント試験後に画像形成装置から感光体を取り出して、クリーニング工程以降の部分の感光体上を観察し、クリーニング不良が発生しているか。なお、高画像濃度部で不良という程度であれば実使用に耐えうるレベルである。
<滑剤消費状況>
1000枚のプリント試験後に滑剤を取り出し、その消費量(残存する滑剤厚み)にプリント画像濃度差に起因する長手方向で偏りがあるか。なお、やや偏りがあるという程度であれば実使用に耐えうるレベルである。
<感光体偏摩耗>
1000枚のプリント試験後に感光体を取り出し、感光層の摩耗(残存膜厚)に長手方向でプリント画像濃度差に起因する偏りがあるか。なお、偏磨耗有りという程度であれば実使用に耐えうるレベルである。
<変形>
3000枚のプリント試験後に清掃部材を取り出し、形状変化や摩耗しているか。なお、ゆがみ、僅かにゆがみ、僅かに磨耗、著しい形状変化という程度であれば実使用に耐えうるレベルである。
【0061】
以上の評価結果を下記表1及び2に記す
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
ここで、実施例5の変形の評価結果である著しい形状変化について詳細に説明する。
実施例5の清掃部材はゲル状なので固体物質のように形を保つことができないが、形状変化をしても不織布ローラにゲル状清掃部材が接していればクリーニング品質が保てる。今回の実施例5における評価では、3000枚のプリント試験後において著しく形状変化していたため、評価中に不織布ローラに接していなかった部分や時間があった可能性があり、このため、実施例1〜4よりも諸評価において劣ることになったと推察される。ただし、この実施例5では、クリーニング品質等の所望の特性において、清掃部材を用いない比較例1よりも格段に良好であることがわかった。実施例5では3000枚のプリント試験で本発明の効果が確認できたが、さらに1000枚のプリント試験を行う場合は、ゲル状清掃部材の交換、もしくは形状を整えることで、所望の特性が継続して得られる。
【0065】
以上より明らかなように、本発明による実施例1〜5の画像形成装置は低温環境で、かつ画像濃度に著しい差が連続して与えられる過酷なクリーニング条件であっても、安定したクリーニング品質が保てるので、次工程の滑剤供給が安定し、そのため虫食い転写画像、クリーニング不良などの発生が起こりにくく良好な画像を示すものであることが分かる。画像濃度差に起因する滑剤の消費偏りや感光体の偏磨耗は抑制されるので、長期に渡った信頼性が確保できるものである。
また、清掃部材は薄肉板状が良好であることがわかった。
さらに、薄肉板状部材は樹脂製であるとより良好であり、切り込みが入ると変形せずさらに信頼性が長期間確保されることがわかった。
【符号の説明】
【0066】
1 感光体
2 帯電ローラ(帯電手段)
3 書き込み光
4 現像ローラ(現像手段)
5 転写ローラ(転写手段の一部)
6 中間転写体(転写手段の一部)
7 PCLランプ
9 クリーニングブレード(クリーニング手段の一部)
10 不織布(クリーニング手段の一部)
11 滑剤塗布ブラシ(滑剤塗布手段)
12 滑剤
13 QLランプ(除電手段)
14 清掃部材(清掃手段)
110 芯材
120 被覆層
120a 表面層
120b 下地層
T1 継ぎ目
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開平1−170951号公報
【特許文献2】特開2000−162881号公報
【特許文献3】特許第2859646号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に回転する感光体と、
該感光体を帯電させる帯電手段と、
前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を前記感光体から転写材に転写する転写手段と、
該転写手段により前記トナー像が前記感光体に転写された後の当該感光体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング手段と、
前記感光体表面に金属石鹸を含有する滑剤を供給する滑剤供給手段と、を備え、
前記クリーニング手段は、複数のクリーニング部材を具備し、
前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布を有し、
該不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体に当接配置されてなり、
前記滑剤供給手段は、前記感光体の所定の回転方向に対して前記不織布より下流に配置されてなり、
前記不織布の表面を清掃する清掃手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
但し、前記感光体の所定の回転方向において、前記帯電手段の配置位置が最も上流であり、当該感光体が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。
【請求項2】
前記不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も下流に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃手段は、板状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記板状部材は、樹脂製であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記板状部材は、切り込みを有することを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置に対して着脱自在に備えられるプロセスカートリッジであって、
少なくとも感光体と、前記感光体に当接配置されてなる不織布を有するクリーニング部材と、を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
所定の回転方向に回転する感光体を帯電させる帯電工程と、
前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を前記感光体から転写材に転写する転写工程と、
該転写工程により前記トナー像が前記感光体に転写された後の当該感光体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング工程と、
前記感光体表面に金属石鹸を含有する滑剤を供給する滑剤供給工程と、を備え、
前記クリーニング工程は、複数のクリーニング部材で前記感光体上に残留したトナーをクリーニングし、
前記複数のクリーニング部材の中の少なくとも1は、不織布を有し、
該不織布は、前記複数のクリーニング部材の中で前記感光体の所定の回転方向に対して最も上流に配置されず、且つ、前記感光体に当接配置されてなり、
前記滑剤供給工程は、前記感光体の所定の回転方向に対して前記不織布より下流に配置されてなり、
前記不織布を清掃する清掃工程を備えることを特徴とする画像形成方法。
但し、前記感光体の所定の回転方向において、前記帯電工程が最も上流であり、当該感光体が最も上流から1周分回転する直前の位置が最も下流である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20011(P2013−20011A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152070(P2011−152070)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】