説明

画像形成装置および画像形成装置の調整方法

【課題】 画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とに伴う作業者の負担を軽減できるようにする。
【解決手段】 画像形成装置は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取るスキャナ200、およびスキャナ200から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行うプリンタ100を備える。主制御部401は、原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートとプリンタ100での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にてスキャナ200が連続して読み取ることにより得られた調整用画像データに含まれる、基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行い、また、前記調整用画像データに含まれる、スキャナ200の読取調整後にスキャナ200にて読み取られたテスト印刷シートの画像データに基づいてプリンタ100の印刷調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取部と印刷部とを備え、これら両者についての調整を行う画像形成装置および画像形成装置の調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いる画像形成装置としてデジタル複写機が多用されている。このデジタル複写機は、画像読取部と印刷部とを備え、画像読取部が原稿の画像を読み取り、これによって得られた画像データを印刷部がシート上に可視画像として画像形成すなわち印刷する。このようなデジタル複写機は、工場での組み立て後に、画像読取部の読取調整および印刷部の印刷調整が行われている。その詳細な方法については、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
ここで、画像読取部の読取調整を予め用意された基準チャートを使用して行い、印刷部の調整をその印刷部で印刷することによって得られたテスト印刷シートを使用して行う一般的な場合について説明する。
【0004】
基準チャート1001は、図13に示すように、シート一杯に矩形の枠画像が形成されたものである。テスト印刷シート1002は、図14に示すように、基準チャート1001と同様、シート一杯に矩形の枠画像が印刷されたものであり、テスト印刷パターンの画像データを調整対象となる印刷部によって印刷することにより得られたものである。なお、テスト印刷パターンの画像は、通常、基準チャートの画像と同一のものを使用可能であり、その画像データは例えば画像形成装置が記憶している。
【0005】
画像読取部の読取調整は基準チャート1001を画像読取部にて読み取り、得られた画像データに基づいて行われる。印刷部の印刷調整は、テスト印刷シート1002を画像読取部にて読み取り、得られた画像データに基づいて行われる。これら両調整の順序では、先ず画像読取部の読取調整が行われ、その後、印刷部の印刷調整が行われる。したがって、これら調整を行う場合、作業者は、先ず画像形成装置の原稿台に基準チャート1001を配置し、スタートボタンを操作して画像読取部に基準チャート1001を読み取らせる。そして、画像形成装置での画像読取部の読取調整の完了後に、今度は予め印刷していた、あるいは読取調整の完了後に印刷したテスト印刷シート1002を原稿台に配置し、スタートボタンを操作して画像読取部にテスト印刷シート1002を読み取らせるといった操作を行う。
【0006】
以下に、画像読取部の調整方法および印刷部の調整方法について具体的に説明する。なお、以下の説明においては、矩形枠画像における副走査方向の読取始端側の枠部を前枠部、読取後端側の枠部を後枠部と称し、また、主走査方向の読取始端側の枠部を上枠部、読取後端側の枠部を下枠部と称する。
【0007】
画像読取部の読取調整では、例えば、画像読取部にて原稿画像を読み取る場合の(A1)副走査方向の読取倍率調整、(A2)副走査方向の読取先端位置調整、および(A3)主走査方向の読取オフセンター調整が行われる。なお、主走査方向の読取倍率調整については、画像読取部(画像読取装置)単体において既に正しく調整されているものとし、ここでは行わない。
【0008】
これら調整には、例えば図13に示す、画像読取部の読取調整用の基準チャートの画像が印刷されたシート(以下、単に基準チャートと称する)が使用される。即ち、基準チャート1001を画像読取部にて読み取ることにより得られた、基準チャート1001の画像データを使用して調整が行われる。
【0009】
基準チャート1001は、同図に示すように、矩形の枠画像を有している。同図において、P1は矩形枠の前枠部の前端位置を示し、P2は矩形枠の後枠部の後端位置を示し、P3は矩形枠の上枠部の上端位置を示し、P4は矩形枠の下枠部の下端位置を示している。
【0010】
(A1)副走査方向の読取倍率調整では、基準チャート1001の画像データにおけるP1−P2間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、基準チャート1001の画像データにおける副走査方向の倍率を調整する。
【0011】
(A2)副走査方向の読取先端位置調整では、基準チャート1001の画像データにおける位置P1が予めメモリに記憶されている規定の読取先端位置(読取始端位置)と一致するように、メモリ上において、基準チャート1001の画像データを副走査方向に前後移動させる。
【0012】
(A3)主走査方向の読取オフセンター調整では、基準チャート1001の画像データにおける位置P3と位置P4がそれぞれ予めメモリに記憶されている規定の位置と一致するように、メモリ上において、基準チャート1001の画像データを主走査方向において前後移動させる。
【0013】
印刷部の印刷調整では、(B1)副走査方向の印刷倍率調整、(B2)主走査方向の印刷倍率調整、(B3)主走査方向の印刷オフセンター調整、および(B4)副走査方向の印刷先端位置調整が行われる。
【0014】
これら調整には、例えば図14に示す、印刷部の印刷調整用のテスト印刷パターンの画像をその印刷部自身で印刷して得られたシート(以下、テスト印刷シートと称する)が使用される。即ち、テスト印刷シート1002を画像読取部にて読み取ることにより得られた、テスト印刷シート1002の画像データを使用して調整が行われる。
【0015】
テスト印刷シート1002は、同図に示すように、矩形の枠画像を有している。同図において、P11は矩形枠の前枠部の後端位置を示し、P12は矩形枠の後枠部の前端位置を示し、P13は矩形枠の上枠部の下端位置を示し、P14は矩形枠の下枠部の上端位置を示している。
【0016】
(B1)副走査方向の印刷倍率調整では、P11−P12間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、テスト印刷シート1002の画像データの副走査方向における倍率を調整する。
【0017】
(B2)主走査方向の印刷倍率調整では、P13−P14間隔が予めメモリに記憶されている規定の間隔と一致するように、テスト印刷シート1002の画像データの主走査方向における倍率を調整する。
【0018】
(B3)主走査方向の印刷オフセンター調整では、矩形枠の上枠部の幅W2が予めメモリに記憶されている規定の印刷幅と一致するように、メモリ上において、テスト印刷シート1002の画像データを主走査方向において前後移動させる。
【0019】
(B4)副走査方向の印刷先端位置調整では、矩形枠の前枠部の幅W1が予めメモリに記憶されている規定の印刷幅と一致するように、メモリ上において、テスト印刷シート1002の画像データを副走査方向に前後移動させる。
【特許文献1】特開2005−10733号(平成17年1月13日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記従来の構成では、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とを行う場合に、作業者は、画像形成装置の原稿台への基準チャート1001の配置、スタートボタンの操作、画像読取部の読取調整完了後に原稿台へのテスト印刷シート1002の配置、スタートボタンの操作といった作業を行う必要があり、これら調整のための作業が面倒であるとう問題点を有している。
【0021】
したがって、本発明は、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とに伴う作業者の負担を軽減することができる画像形成装置および画像形成装置の調整方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備えている画像形成装置において、前記原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートと前記印刷部での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にて画像読取部が連続して読み取ることにより得られた調整用画像データ内の基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行う画像読取部調整手段と、
画像読取部の前記読取調整後に前記調整用画像データ内のテスト印刷シートの画像データに基づいて印刷部の印刷調整を行う印刷部調整手段とを備えていることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備えている画像形成装置の調整方法において、前記原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートと前記印刷部での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にて画像読取部が連続して読み取る読取ステップと、前記読取ステップにて得られた調整用画像データ内の基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行う画像読取部調整ステップと、画像読取部の前記読取調整後に前記調整用画像データ内のテスト印刷シートの画像データに基づいて印刷部の印刷調整を行う印刷部調整ステップとを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とを行う場合に、作業者は、画像形成装置の原稿台に対して画像読取部の読取調整用の基準チャートと印刷部の印刷調整用のテスト印刷シートとを同時に配置し、読取開始のスタートボタンをONするといった簡単な作業を行うだけでよい。即ち、原稿台への基準チャートの配置、読取開始のスタートボタンON、画像読取部の読取調整完了を待った後の原稿台へのテスト印刷シートの配置、読取開始のスタートボタンONといった一連の面倒な操作を行う必要がない。したがって、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とに伴う作業者の負担を軽減することができる。
【0025】
なお、画像読取部の読取調整では、例えば、読取画像の倍率調整および位置調整を行い、印刷部の印刷調整では、例えば、印刷倍率調整および印刷位置調整を行う。
【0026】
上記の画像形成装置は、前記調整用画像データを基準チャートの画像データとテスト印刷シートの画像データとに切り分け、前者を画像読取部調整手段に与え、後者を印刷部調整手段に与える画像切分手段を備えている構成としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、画像切分手段が基準チャートの画像データとテスト印刷シートの画像データとを含む調整用画像データからそれら画像を個々に切り分けるので、画像読取部調整手段と印刷部調整手段とは、必要な画像データに基づいてそれぞれの調整動作を適切に行うことができる。
【0028】
上記の画像形成装置は、階調調整手段を備え、前記基準チャートは読取調整用チャートと階調調整用チャートとを備えており、画像読取部調整手段は、調整用画像データの基準チャートの画像データに含まれる読取調整用チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行い、階調調整手段は、調整用画像データの基準チャートの画像データに含まれる階調調整用チャートの画像データに基づいて階調調整を行う構成としてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、基準チャートの画像データに含まれる読取調整用チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整が行われ、基準チャートの画像データに含まれる階調調整用チャートの画像データに基づいて階調調整が行われるので、作業者は、画像読取部の読取調整のための作業に加えて、階調調整用チャートを原稿台に配置して階調調整のための操作をするといった作業を行う必要がない。これにより、画像形成装置の調整における作業者の負担をさらに軽減することができる。
【0030】
上記の画像形成装置において、テスト印刷シートは、主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像を有し、印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像してその現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有し、印刷部調整手段は、テスト印刷シートの画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整する構成としてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、一つのテスト印刷シートを読み取り、その画像データに基づいて印刷部における印刷倍率の調整と印刷位置の調整とを行うことができるので、印刷部の調整に伴う作業が容易となる。
【0032】
本発明の画像形成装置は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備え、この印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像し、その現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有している画像形成装置において、主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像が形成されたテスト印刷シートを前記画像読取部が読み取ることにより得られた画像データを使用し、この画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整する印刷部調整手段を備えていることを特徴としている。
【0033】
また、本発明の画像形成装置の調整方法は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備え、この印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像し、その現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有している画像形成装置の調整方法において、主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像が形成されたテスト印刷シートを読み取る読取ステップと、前記読取ステップにて得られた画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整する印刷部調整ステップとを備えていることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、一つのテスト印刷シートを読み取り、その画像データに基づいて印刷部における印刷倍率の調整と印刷位置の調整とを行うことができるので、印刷部の調整に伴う作業が容易となる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明の画像形成装置は、前記原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートと前記印刷部での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にて画像読取部が連続して読み取ることにより得られた調整用画像データ内の基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行う画像読取部調整手段と、画像読取部の前記読取調整後に前記調整用画像データ内のテスト印刷シートの画像データに基づいて印刷部の印刷調整を行う印刷部調整手段とを備えている構成である。
【0036】
これにより、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とを行う場合に、作業者は、画像形成装置の原稿台に対して画像読取部の読取調整用の基準チャートと印刷部の印刷調整用のテスト印刷シートとを同時に配置し、読取開始のスタートボタンをONするといった簡単な作業を行うだけでよい。即ち、原稿台への基準チャートの配置、読取開始のスタートボタンON、画像読取部の読取調整完了を待った後の原稿台へのテスト印刷シートの配置、読取開始のスタートボタンONといった一連の面倒な操作を行う必要がない。したがって、画像読取部の読取調整と印刷部の印刷調整とに伴う作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
本実施形態の画像形成装置は、画像読取部であるスキャナと印刷部であるプリンタとを備えた複合機となっている。この複合機1は、図3の全体構成図に示すように、概略的に、自動原稿搬送装置210、スキャナ200(画像読取部)、プリンタ100(印刷部)および給紙デスク装置20を備えている。
【0038】
本実施形態においては、複合機1の上部にスキャナ200が配置され、スキャナ200の上面に透明ガラスからなる原稿台209が設けられている。原稿台209の上には自動原稿搬送装置210が配置されている。また、スキャナ200の下にはプリンタ100が配置され、さらにプリンタ100の下には給紙デスク装置20が配置されている。
【0039】
自動原稿搬送装置210は、原稿セットトレイ211上にセットされた複数枚のシート(原稿)を1枚ずつ自動的に原稿台209上へ搬送する装置である。
【0040】
スキャナ200は、原稿台209上に載置されたシートの画像を走査して読み取る装置である。本実施形態のスキャナ200はカラースキャナである。スキャナ200は、原稿台209の下方に、第1走査ユニット201、第2走査ユニット202、光学レンズ203、および光電変換素子であるCCDラインセンサ204を有している。
【0041】
第1走査ユニット201は、シート面上を露光する露光ランプ205と、シートからの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー206等から構成されている。第2走査ユニット202は、第1走査ユニット201の第1ミラー206から反射されてくるシートからの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラー207および第3ミラー208より構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させる。CCDラインセンサ204は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3ラインのイメージセンサを用いており、3色に分解して画像を読み取れるようになっている。
【0042】
次に、プリンタ100の構成、およびプリンタ100に関連する各部の構成について説明する。
【0043】
プリンタ100は、プリンタ100の外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するものである。
【0044】
プリンタ100は、カラー画像を扱うための4つの画像形成ステーションを有している。このプリンタ100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。
【0045】
このため、プリンタ100は、図3に示すように、露光ユニット10(10a、10b、10c、10d)、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム(像担持体)3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)を、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれの画像形成ステーションごとに備えている。各画像形成ステーションは、それぞれ、aがブラック(K)に対応し、bがシアン(C)に対応し、cがマゼンタ(M)に対応し、dがイエロー(Y)に対応するように設定されている。各画像形成ステーションを区別する必要がない場合には、以下では説明を簡単にするため、露光ユニット10、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5のように呼ぶ。
【0046】
プリンタ100は、さらに転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ19、排紙トレイ15,33、画像処理基板300、および制御回路基板400等を備えている。画像処理基板300は画像処理部301を含んでいる。制御回路基板400は、主制御部(画像読取部調整手段、印刷部調整手段)401、プリンタ制御部402、スキャナ制御部403、γ調整部(階調調整手段)501および記憶部600を含んでいる。以下ではプリンタ100の各部について説明する。
【0047】
感光体ドラム3はプリンタ100のほぼ中心部に配置されている。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図3に示すチャージャー型のもののほかに、接触式の帯電ローラ型やブラシ型のものが用いられる。
【0048】
露光ユニット10は、発光素子をアレイ状に並べた例えばELあるいはLED書込みヘッド、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。この露光ユニット10は、帯電された感光体ドラム3を入力される画像に応じて露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0049】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、K、C、M、Yのトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像および画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去し回収するものである。
【0050】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ベルトユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0051】
転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ローラ6、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74等は、転写ベルト7を張架し矢印B方向に回転駆動させるものである。
【0052】
転写ローラ6は、転写ベルトユニットの内側のフレーム(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写するものである。
【0053】
転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像は転写ベルト7上のシートに順次重ねて転写される。これにより、シート上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
【0054】
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。なお、転写ローラ6に限らず、例えばブラシ等を用いることもできる。
【0055】
このように、転写搬送ベルトユニット8の各部材が、感光体ドラム3からシートへトナー像を転写させる転写手段として機能する。
【0056】
感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去し回収される。
【0057】
給紙トレイ19は、画像形成に使用するシートを収容するトレイであり、プリンタ100の下側に設けられている。プリンタ100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。また、プリンタ100の側部に設けられている排紙トレイ33は、画像形成済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
【0058】
プリンタ100には、シートを給紙トレイ19からシート転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ19から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着ユニット12、搬送方向切り替えゲート34、シートを搬送する搬送ローラ25等が配されている。
【0059】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ19の端部に備えられ、給紙トレイ19から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0060】
搬送方向切換えゲート34は、実線で示す状態から破線で示す状態にすることにより搬送路Sの途中からシートを分離し、排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35、搬送切換えガイド(ゲート)34の間に形成される搬送部S’(用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
【0061】
レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
【0062】
定着ユニット12は、ヒートローラ31および加圧ローラ32等を備えている。ヒートローラ31と加圧ローラ32とは、シートを挟んで回転し、シートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接させ、シートに熱定着させる。
【0063】
画像処理基板300は、画像データに対して所定の処理を施す回路基板であり、制御回路基板400は画像形成プロセスを制御する回路基板である。
【0064】
次に、給紙デスク装置20について説明する。給紙デスク装置20は、プリンタ100の給紙トレイ19の下方に備えられている。給紙デスク装置20は、3段の給紙トレイ20a〜20cを備えており、用紙搬送路Sを経由して、プリンタ100に用紙を供給できるようになっている。なお、本実施形態の複合機1は、給紙デスク装置20の構成に限らず、1段の給紙トレイを備えたものや、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、あるいは単にデスクとして機能するもの等、ユーザの要望に応じて装着できるようになっている。
【0065】
なお、本実施形態では、プリンタ100を多色の画像を形成する多色プリンタとして説明するが、モノクロ(白黒)画像形成を行うプリンタでも本発明の一部を除く機能を実施可能であるものとする。また、複合機1として、自動原稿搬送装置210を備えたものについて説明しているが、これに限るものではなく、自動原稿搬送装置は装着されていなくてもよい。
【0066】
また、複合機1は、複合機1のユーザインタフェースとしての操作パネルを、スキャナ200の位置に備えている。操作パネル220には、図4に示すように、左部分に、タッチパネル液晶表示装置(LCDと称呼する)221が配置されていて、その右側にテンキー231、スタートキー241、クリアキー251、および全解除キー261が配置されている。
【0067】
このLCD221の画面上には、種々の画面が切換えられて表示される。これらの画面中では、種々の条件を設定するタッチキーが配置されており、タッチキーを指で直接押圧操作して、各種の条件設定(例えば白黒/カラーのモード選択、原稿の種類選択、自動/手動の選択、その他の特別な機能選択など)が可能になっている。また、操作のガイダンスや警告等もこのLCD221に表示される。
【0068】
また、LCD221とテンキー231の間には、本プリンタ100を有する複合機1が複合機として動作する時の機能を切換えるキーとして、プリンタキー271、ファクシミリ/イメージ送信キー281、コピーキー291、およびそれぞれの機能ごとに登録されているジョブ状況を確認するためのジョブキー311等が配置されている。
【0069】
LCD221の右側に配置されたキー群のうち、テンキー231はLCD221画面における数値(複写枚数等)を入力するのに使用するキーであり、スタートキー241はそれぞれの処理モードでの画像形成動作や読取動作の開始を指示するためのキーである。クリアキー251はLCD221に表示される設定値をクリアしたり、画像形成動作など現在実行中の動作の中断を行ったりするキーであり、全解除キー261は、読取の条件や画像の形成条件等の設定をデフォルト値に戻すためのキーである。割込キー321は、実行中の画像形成動作などを一時中断して他の画像形成を許容するためのキーである。
【0070】
図1は、複合機1の機能的構成の主要部を示すブロック図である。同図に示すように、複合機1は、複合機1の全体を制御する主制御部401、プリンタ100、プリンタ100を制御するプリンタ制御部402、スキャナ200、スキャナ200を制御するスキャナ制御部403、画像処理部301、γ調整部501および記憶部600を備えている。記憶部600は、画像データ記憶部601、基準データ記憶部602およびテスト印刷パターン記憶部603を備えている。
【0071】
画像データ記憶部601にはスキャナ200によって読み取られた画像データが記憶される。この画像データ記憶部601は主制御部401の作業領域となる。基準データ記憶部602には、スキャナ200の読取調整およびプリンタ100の印刷調整に必要な各種の基準値が記憶されている。例えば、A4サイズを含む各種サイズのシートの縦・横の長さが基準値として記憶されている。テスト印刷パターン記憶部603には、例えばA4サイズを含む少なくとも1つのサイズのテスト印刷シート702を印刷するためのテスト印刷パターンが記憶されている。
【0072】
図2は、図1に示した主制御部401の機能的構成の主要部を示すブロック図である。同図に示すように、主制御部401は、画像第1切分部(画像切分手段)411、画像第2切分部421、読取調整部431および印刷調整部441を備えている。
【0073】
画像第1切分部411は、図8に示すように、スキャナ200によって基準チャート701とテスト印刷シート702とが同時に読み込まれることによって得られた画像から、基準チャート701の画像データ(基準チャート画像)とテスト印刷シート702の画像データ(テスト印刷画像)とを切り分ける。これによって得られた基準チャート画像は画像第2切分部421に入力され、テスト印刷画像は印刷調整部441に入力される。
【0074】
画像第2切分部421は、基準チャート画像から、矩形枠形状の画像である読取調整用画像(図5に示す読取調整用チャート711の画像)と、この読取調整用画像の内部の画像であるγ調整用チャート画像(図5に示すγ調整用チャート712の画像)とを切り分ける。これによって得られた読取調整用画像は読取調整部431に入力され、γ調整用チャート画像はγ調整部501に入力される。
【0075】
読取調整部431は読取調整用画像に基づいてスキャナ200の読取調整を行い、印刷調整部441はテスト印刷画像に基づいてプリンタ100の印刷調整を行い、γ調整部501はγ調整用チャート画像に基づいてスキャナ200のγ調整を行う。
【0076】
なお、本実施形態において、スキャナ200の主走査方向の読取倍率については、既に正しく調整されているものとする。これは、スキャナ200は、工場での組立時に、治具などによって主走査方向の倍率が機械的に調整されるためである。
【0077】
図5(a)(b)は本実施の複合機1において使用する基準チャートおよびテスト印刷シートを示す説明図である。即ち、本実施の形態では、図13に示した基準チャート1001に代えて図5(a)に示す基準チャート701を使用し、図14に示したテスト印刷シート1002に代えて図5(b)に示すテスト印刷シート702を使用する。
【0078】
基準チャート701は、矩形枠形状の画像からなる読取調整用チャート711(前記基準チャート1001に相当)の内部にγ調整に使用する画像であるγ調整用チャート(階調調整用チャート)712を有するものとなっている。これにより、基準チャート701は、スキャナ200の読取調整およびγ調整に使用可能である。
【0079】
テスト印刷シート702はテスト印刷パターン記憶部603に記憶されているテスト印刷パターンの画像データを印刷することによって得られる。テスト印刷シート702の画像(テスト印刷パターン)は、前記テスト印刷シート102の画像のように連続した矩形枠形状の画像ではなく、枠形状部分の画像が部分的に間引きされた状態の画像となっている。これにより、テスト印刷シート702(テスト印刷パターン)は、これを印刷した場合のトナー使用量を低減できるようになっている。
【0080】
図6は、テスト印刷パターン記憶部603に記憶されているテスト印刷パターンと、このテスト印刷パターンが印刷されたテスト印刷シート702との関係を示す説明図である。具体的には、例えば転写ベルト7上のテスト印刷シート702を含む領域に、上記テスト印刷パターンに基づいて形成されたテスト印刷パターン画像751が感光体ドラム3から転写された状態を示している。あるいは、感光体ドラム3の表面にテスト印刷パターンに基づいて形成されたテスト印刷パターン画像751とテスト印刷パターン画像751が印刷される場合の転写ベルト7上のテスト印刷シート702との対応関係を示している。
【0081】
同図に示すように、テスト印刷シート702に印刷されるテスト印刷パターンは、テスト印刷シート702の用紙サイズよりも大きいものであり、これによってテスト印刷シート702の端縁部一杯まで、テスト印刷画像を印刷できるようになっている。なお、本実施の形態において、テスト印刷シート702のサイズはA4となっている。
【0082】
また、テスト印刷シート702(テスト印刷パターン)は、枠画像721の内部に方向マーク731を有している。この方向マーク731は、作業者がテスト印刷シート702を原稿台209上に配置する場合等のテスト印刷シート702の方向の目印となるものである。
【0083】
なお、図5(a)(b)は透視図であり、画像が印刷された面を下に向けて原稿台209に載置された状態の基準チャート701およびテスト印刷シート702を原稿台209の上方から透視した状態の図である。この点は、以下の図においても同様である。
【0084】
上記の構成において、本実施の形態の複合機1における、スキャナ200の読取調整、並びにプリンタ100の印刷調整の方法について、図7のフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0085】
複合機1において上記の調整を行う場合には、先ず、テスト印刷シート702を用意する(S1)。このテスト印刷シート702は例えばテスト印刷パターン記憶部603に予め記憶されているものをプリンタ100によって印刷することにより得られる。
【0086】
次に、図8に示すように、原稿台209上に基準チャート701とテスト印刷シート702とを、この順序に走査されるように、副走査方向(露光ランプ205の走査方向)に並べて原稿台209上に配置する(S2)。
【0087】
この場合、上記両者は原稿台209上において原稿載置ガイド101を基準として配置される。具体的には、原稿載置ガイド101は、原稿台209上の原稿走査(副走査方向走査)の始端側位置において主走査方向に延びる前ガイド部111と、原稿台209上の複合機1の背部側位置において、前ガイド部111と直角に原稿走査方向(副走査方向)に延びる上ガイド部112とを有する。そこで、基準チャート701は前ガイド部111および上ガイド部112にガイドされるように原稿載置ガイド101の角部に配置され、基準チャート701は上ガイド部112のみによってガイドされ、かつ例えば基準チャート701と適当な間隔をおいて配置される。
【0088】
なお、図8は原稿台209上に基準チャート701とテスト印刷シート702とが載置された状態を、基準チャート701とテスト印刷シート702との印刷面の透視状態によって示す説明図である。
【0089】
次に、操作パネル220のスタートキー241(読込開始ボタンに相当)がONされると(S3)、スキャナ200が基準チャート701とテスト印刷シート702とを連続して走査し、それら画像を読み込む(S4)。これによって得られた画像データは、画像処理部301を経て主制御部401に入力され、主制御部401は上記画像データを演算処理し(S5)、画像データ記憶部601に書き込む。
【0090】
次に、主制御部401では、画像第1切分部411が画像データ記憶部601に記憶された画像データにおいて、基準チャート701の画像データ(基準チャート画像)とテスト印刷シート702の画像データ(テスト印刷画像)とを切り分ける(S6)。そして、画像第1切分部411は、基準チャート画像を画像第2切分部421に出力し、テスト印刷画像を印刷調整部441に出力する。
【0091】
次に、主制御部401は、入力された基準チャート画像によってスキャナ200の読取調整およびスキャナ200のγ調整を行う(S7)。
【0092】
次に、主制御部401は、入力されたテスト印刷画像によってプリンタ100の印刷調整を行う(S8)。
【0093】
その後、主制御部401は、上記読取調整および印刷調整によって得られた各種調整値をスキャナ制御部403およびプリンタ制御部402に対してフィードバックする(S9)。
【0094】
なお、本実施の形態において、プリンタ100の印刷調整はスキャナ200の読取調整完了後にスキャナ200にて読み込まれたテスト印刷シート702の画像データに基づいて行う必要がある。したがって、スキャナ200の読取調整は、基準チャート701とテスト印刷シート702とをこの順序で連続して読み込んでいる場合に、テスト印刷シート702の読み取りが開始される前に完了していることが好ましい。また、スキャナ200の読取調整がテスト印刷シート702の読み取り開始前に完了しない場合には、スキャナ200の読取調整の完了後に、再度スキャナ200による読取動作を行い、これによって得られたテスト印刷シート702の画像データに基づいてプリンタ100の印刷調整を行うようにしてもよい。
【0095】
次に、図7に示したS7のスキャナ200の読取調整およびγ調整について図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0096】
スキャナ200の読取調整において、主制御部401では、画像第2切分部421が、基準チャート画像から、矩形枠形状の画像である読取調整用画像と、この読取調整用画像の内部の画像であるγ調整用チャート画像とを切り分ける(S11)。そして、画像第2切分部421は、読取調整用画像を読取調整部431に出力し、γ調整用チャート画像をγ調整部501に出力する。
【0097】
γ調整部501では、γ調整用チャート画像に基づいてスキャナ200のγ調整を行う(S12)。このγ調整は周知の手法によって行われる。一方、読取調整部431では、読取調整用画像に基づいてスキャナ200の読取調整を行う(S13〜S14)。
γ調整では、例えば、読み取った基準チャート画像の色データがA1であり、これを初期色補正係数B1で補正したときの色データがA2であったとき、基準値ArefとA2とを比較して、許容範囲を超えていれば許容範囲内に収まるように色補正係数を変更する。これにより、出力される色データが基準値に近くなるようにする。
【0098】
スキャナ200の読取調整において、読取調整部431は先ず読取画像についての副走査方向の倍率調整を行う(S13)。次に、読取調整部431は副走査方向の先端位置調整を行う(S14)。最後に、読取調整部431は主走査方向のオフセンター調整を行う(S15)。なお、スキャナ200の読取調整の詳細は、図13に基づく先述の説明の通りである。
【0099】
次に、図7に示したS8のプリンタ100の印刷調整について図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0100】
プリンタ100の印刷調整において、主制御部401の印刷調整部441は、先ず、スキャナ200から入力されたテスト印刷画像から、テスト印刷シート702の原稿台209における配置方向とサイズとを検知する(S21)。
【0101】
次に、印刷位置調整のための演算を行い(S22)、次に、印刷倍率調整のための演算を行う(S23)。このS23の処理は、先述の(B1)副走査方向の印刷倍率調整および(B2)主走査方向の印刷倍率調整に相当する。次に、主走査方向の印刷オフセンター調整を行い(S24)、その後、副走査方向の印刷先端位置調整を行う(S25)。なお、プリンタ100の印刷調整の詳細は、使用するテスト印刷シートとして、テスト印刷シート702とテスト印刷シート1002との違いはあるものの、図14に基づく先述の説明の通りである。
【0102】
上記のように、本実施の形態の複合機1の調整方法では、スキャナ200の読取調整およびプリンタ100の印刷調整を行う場合に、基準チャート701とテスト印刷シート702を原稿台209の上に並べて配置し、これら基準チャート701とテスト印刷シート702とを一度のスタートキー241操作によって同時に読み込むようにしている。また、複合機1では、上記読み込みによって得られた画像データから基準チャートの画像データとテスト印刷の画像データとを切り分け、それぞれの画像データを使用してスキャナ200の読取調整とプリンタ100の印刷調整とを行うようにしている。したがって、これら調整に伴う作業者の負担を軽減することができる。
【0103】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
本実施の形態の複合機1は、プリンタ100の印刷調整を前述の方法とは異なる方法にて行っている。以下にその方法について詳細に説明する。ここでは、テスト印刷シートとして、例えば図14に示したテスト印刷シート1002を使用している。なお、テスト印刷シート702を使用することも同様に可能である。また、テスト印刷シート1002のサイズはA4である。
【0104】
図11は図3に示した露光ユニット10の一例を示す概略の模式図である。同図において、LEDヘッド(光ビーム照射部)801から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラー(光ビーム照射部)802によって主走査方向に振られ、感光体ドラム3に照射される。これにより、感光体ドラム3に静電潜像が形成され、この静電潜像はトナーによって現像されてトナー像となる。感光体ドラム3へのレーザ光の照射において、レーザ光は倍率調整用のレンズ803を介して、またビームディテクタ(BD)804を基準位置として感光体ドラム3に照射される。
【0105】
図12は、プリンタ100の印刷調整が行われる過程を示す説明図である。同図では、テスト印刷シート1002についてのスキャナ200による読込画像、印刷倍率補正後仮想画像およびオフセンター調整後仮想画像を示している。上記の読込画像は、テスト印刷シート1002を読み込んで得られた、画像データ記憶部601に記憶されているテスト印刷画像761である。ただし、位置関係を明瞭するため、同図においては感光体ドラム3上の画像として示している。
【0106】
プリンタ100の印刷調整において、主制御部401の印刷調整部441は、先ず、(1)倍率補正演算を行う。この処理では、読込画像から白部幅実測値a1を求め、白部幅実測値a1と白部幅理想値a2とから倍率補正値を求める。なお、白部幅は図14におけるP13(シート上基準位置)−P14(シート上基準位置)の間隔に相当する。例えば、白部幅実測値a1を198mmとし、白部幅理想値a2を200mmとすると、白部幅実測値a1は白部幅理想値a2に対して1%(1−198/200)だけ短いことになる。
【0107】
次に、(2)BD距離仮想値演算を行う。この処理では、上記の(1)倍率補正演算の結果と理想BD距離b2とから仮想BD距離b1を求める。この場合の基準位置(シート上基準位置)はテスト印刷画像761の上枠部の下端部(図14における位置P13に相当)であり、この基準位置から主走査方向に存在する仮想BD位置までの距離を求める。例えば、理想BD距離b2を60ミリとすると、上記(1)の結果から実測値は理想値の99%であることを考慮して、仮想BD距離b1は59.4mm(60mm×0.99)となる。
【0108】
次に、(3)倍率補正後の枠部幅演算を行う。この処理では、読込画像における上枠部実測幅c1(P3−P13間隔)、および理想BD距離b2と仮想BD距離b1との差d1を求め、求めた両値(c1,d1)から印刷倍率補正後仮想画像における上枠部倍率補正幅c2(P3−P13間隔)を求める。例えば、読込画像における上枠部実測幅c1を50mm、理想BD距離b2を60mm、仮想BD距離を上記59.4mmとすると、差d1は0.6mmとなるので、倍率補正後仮想画像における上枠部倍率補正幅c2は、50.6mm(50mm+0.6mm)となる。
【0109】
最後に、(4)オフセンター補正距離演算を行う。この処理では、上枠部基準幅c3と上枠部倍率補正幅c2との差d2を求め、これをオフセンター補正距離とする。例えば、上枠部基準幅c3を48.5mmとし、上枠部倍率補正幅c2を上記の50.6mmとすると、これらの差d2は−2.1mm(48.5mm−50.6mm)となり、オフセンター補正距離は−2.1mmとなる。
【0110】
以上の処理により、印刷倍率の補正値(+1%)とオフセンターの調整値(オフセンター補正距離:−2.1mm)とが得られ、これらによってスキャナ200の印刷調整を行うことができる。
【0111】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の画像形成装置の構成は、スキャナとプリンタとを備えたデジタル複写機の複合機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施の形態における画像形成装置のスキャナの読取調整およびプリンタの印刷調整のための機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した主制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態における画像形成装置の内部の構成を示す正面図である。
【図4】図3に示した画像形成装置が備える操作パネルを示す平面図である。
【図5】図5(a)は図3に示した画像形成装置でのスキャナの読取調整に使用する基準チャートを示す説明図、図5(b)は同画像形成装置でのプリンタの印刷調整に使用するテスト印刷シートを示す説明図である。
【図6】図1に示したテスト印刷パターン記憶部に記憶されているテスト印刷パターンと、このテスト印刷パターンが印刷されたテスト印刷シートとの関係を示す説明図である。
【図7】図1に示した構成によるスキャナの読取調整、並びにプリンタの印刷調整の方法を示すフローチャートである。
【図8】図3に示した原稿台上に基準チャートとテスト印刷シートとが載置された状態を示す説明図である。
【図9】図7に示したS7におけるスキャナの読取調整の詳細を示すフローチャートである。
【図10】図7に示したS8におけるプリンタの印刷調整の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図3に示した露光ユニットの一例を示す概略の模式図である。
【図12】本発明の他の実施の形態を示すものであって、図1に示した構成によりプリンタの印刷調整が行われる過程を示す説明図である。
【図13】スキャナの読取調整に使用される従来の基準チャートを示す説明図である。
【図14】プリンタの印刷調整に使用される従来のテスト印刷シートを示す説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 複合機(画像形成装置)
3 感光体ドラム
101 原稿載置ガイド
111 前ガイド部
112 上ガイド部
100 プリンタ(印刷部)
200 スキャナ(画像読取部)
209 原稿台
401 主制御部(画像読取部調整手段、印刷部調整手段)
411 画像第1切分部(画像切分手段)
421 画像第2切分部
431 読取調整部
441 印刷調整部
501 γ調整部(階調調整手段)
603 テスト印刷パターン記憶部
701 基準チャート
702 テスト印刷シート
711 読取調整用チャート
712 γ調整用チャート(階調調整用チャート)
721 枠画像
731 方向マーク
751 テスト印刷パターン画像
761 テスト印刷画像
801 LEDヘッド(光ビーム照射部)
802 ポリゴンミラー(光ビーム照射部)
804 ビームディテクタ
1001 基準チャート
1002 テスト印刷シート
P13 矩形枠の上枠部の下端位置(シート上基準位置)
P14 矩形枠の下枠部の上端位置(シート上基準位置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備えている画像形成装置において、
前記原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートと前記印刷部での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にて画像読取部が連続して読み取ることにより得られた調整用画像データ内の基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行う画像読取部調整手段と、
画像読取部の前記読取調整後に前記調整用画像データ内のテスト印刷シートの画像データに基づいて印刷部の印刷調整を行う印刷部調整手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記調整用画像データを基準チャートの画像データとテスト印刷シートの画像データとに切り分け、前者を画像読取部調整手段に与え、後者を印刷部調整手段に与える画像切分手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
階調調整手段を備え、
前記基準チャートは読取調整用チャートと階調調整用チャートとを備えており、
画像読取部調整手段は、調整用画像データの基準チャートの画像データに含まれる読取調整用チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行い、
階調調整手段は、調整用画像データの基準チャートの画像データに含まれる階調調整用チャートの画像データに基づいて階調調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
テスト印刷シートは、主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像を有し、
印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像してその現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有し、
印刷部調整手段は、テスト印刷シートの画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備え、この印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像し、その現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有している画像形成装置において、
主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像が形成されたテスト印刷シートを前記画像読取部が読み取ることにより得られた画像データを使用し、この画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整する印刷部調整手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備えている画像形成装置の調整方法において、
前記原稿台に副走査方向に並べられた基準チャートと前記印刷部での印刷動作により得られたテスト印刷シートとをこの順序にて画像読取部が連続して読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにて得られた調整用画像データ内の基準チャートの画像データに基づいて画像読取部の読取調整を行う画像読取部調整ステップと、
画像読取部の前記読取調整後に前記調整用画像データ内のテスト印刷シートの画像データに基づいて印刷部の印刷調整を行う印刷部調整ステップとを備えていることを特徴とする画像形成装置の調整方法。
【請求項7】
原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部、およびこの画像読取部から得られた前記原稿の画像データに基づいて印刷を行う印刷部を備え、この印刷部は、感光体に形成された静電潜像を現像剤にて現像し、その現像剤画像を用紙に転写するものであり、かつビームディテクタ、およびこのビームディテクタを基準位置として感光体に対し光ビームを照射する光ビーム照射部を有している画像形成装置の調整方法において、
主走査方向のシート両端側部分にシートの端縁部からシート内方へ所定距離入ったシート上基準位置を示す画像が形成されたテスト印刷シートを読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにて得られた画像データが示す前記の両シート上基準位置間の実測距離と両シート上基準位置間の規定距離とから印刷倍率の補正値を演算し、テスト印刷シートの画像データが示すビームディテクタ側の前記シート上基準位置に対するビームディテクタの仮想位置を求め、この仮想位置とこの仮想位置からシート上基準位置までの理想距離および規定の前記シート上基準位置から印刷位置の補正値を演算し、印刷倍率の補正値に基づいて印刷倍率を調整し、印刷位置の補正値に基づいて印刷位置を調整する印刷部調整ステップとを備えていることを特徴とする画像形成装置の調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−333410(P2006−333410A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158177(P2005−158177)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】