説明

画像形成装置および該装置における位相調整方法

【課題】 所定の目標回転速度で回転する複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、像担持体間での回転位相差の早期検出および回転位相の早期調整を可能とする。
【解決手段】 駆動モータの各々に対応して設けられた周波数発生器が駆動モータの回転周波数を検出して該回転周波数に対応したFG信号を出力する。そして、駆動モータの回転開始からレディ(READY)信号が出力されるまでにFG信号に基づき回転位相差RDが導出されるとともに、その回転位相差RDに基づき調整色の駆動モータの加減速制御が行われて感光体ドラムの間での回転位相調整が行われる。このように、感光体ドラム(像担持体)間での回転位相差の早期検出および回転位相の早期調整が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置に関するものであり、特に複数の像担持体間での回転位相関係を調整する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を形成する装置として、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、それぞれが互いに異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成ステーションが、中間転写ベルトなどの転写媒体の移動方向に沿って配置されている。また、各画像形成ステーションでは、感光体ドラムなどの像担持体が所定の回転速度で回転駆動されるとともに、像担持体の周囲に帯電部、像書込部および現像部が配置されている。そして、全ての像担持体を回転駆動しながら、各像担持体に形成されるトナー像が転写媒体上で重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0003】
このように複数の像担持体を回転駆動するために、従来より大きく分けて、(1)単一の駆動モータを用いるとともに、該駆動モータの回転駆動力を輪列により各像担持体に伝達して駆動する方式と、(2)複数の駆動モータを用いる方式とが存在している。特に後者の方式として、各色ごとに専用の駆動モータを設けたものが数多く提案されている。例えば特許文献1に記載の装置では、4色の像担持体が設けられるとともに、これら4色の像担持体をそれぞれ回転駆動するために4つの駆動モータが設けられている。そして、各駆動モータを制御することで各色の像担持体を独立して回転させることが可能となっている。
【0004】
ところで、このように複数の駆動モータを用いたタンデム装置では、各像担持体の軸ぶれ、各像担持体に直結されたギアの偏心などの要因により周期的な色ずれが発生することがある。そこで、この周期的な色ずれを補正するために、4つの駆動モータを個別に制御している。つまり、各駆動モータを個別に制御することによって、4色の像担持体の回転位相を個別に制御して各色の像担持体間での回転位相関係を調整している。これにより、周期的な色ずれを抑えて画像品質の向上を図っている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−21943号公報(第2頁、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の装置では、4つの像担持体間での回転位相調整を次のようにして行っている。この装置では、駆動モータを制御するモータ制御部に対してモータ起動指令が与えられると、全ての駆動モータの駆動を開始する。そして、全ての駆動モータの回転速度が定常回転速度(本発明の「目標回転速度」に相当)に達するのを待って、4色のうち基準色となるイエローの像担持体(本発明の「基準像担持体」に相当)と、残りの像担持体との回転位相差の検出を開始する。すなわち、基準像担持体に対応して設けられたフォトセンサによりイエロー像担持体の基準位置(ホームポジション)が検出されると、時間計測用カウンタ値をクリアした後、一定周期で該カウント値をインクリメントする。そして、残りの像担持体、例えばマゼンタ像担持体に対応して設けられたフォトセンサによりマゼンタ像担持体の基準位置(ホームポジション)が検出された時点で上記カウント値のインクリメントを停止する。こうして得られたカウント値は位置誤差情報に相当するため、この位置誤差情報が駆動モータの位置制御ループにフィードバックされ、上記位置誤差を解消するように駆動モータが制御される。その結果、イエローとマゼンタとの間で像担持体の回転位相がほぼ一致することとなり、両色の間での周期的な色ずれが抑制される。
【0007】
このような回転位相差の検出および回転位相調整は印字指令に対応して実行されるものであり、各像担持体にトナー像を形成する前に行う必要がある。したがって、印字指令から1枚目のプリント出力までの時間、つまりファーストプリント時間を短縮するためには、回転位相差の検出処理および回転位相の調整処理を可能な限り早期に行うことが要求される。しかしながら、従来装置では、全ての駆動モータの回転速度が定常回転速度に達した後でしか、基準像担持体と残りの像担持体との間での回転位相差を検出することができず、また該回転位相差に基づく像担持体間での回転位相調整を行うことができない。したがって、ファーストプリント時間を短縮するために、回転位相差の検出処理および回転位相の調整処理を早期に行うことを可能とする技術が要望されている。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、所定の目標回転速度で回転する複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、像担持体間での回転位相差の早期検出および回転位相の早期調整を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる画像形成装置は、所定の目標回転速度で回転する複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して複数の像担持体を回転駆動しながら、複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置であって、上記目的を達成するため、複数の駆動モータの各々に対応して設けられ、それぞれが対応する駆動モータの回転周波数を検出して該回転周波数に対応したパルス信号を出力する複数の周波数発生器と、複数の周波数発生器から出力されるパルス信号に基づき複数の像担持体のうち基準となる基準像担持体に対する残りの像担持体の回転位相差を求めるとともに、該回転位相差に基づき複数の駆動モータを制御して複数の像担持体間での回転位相関係を調整する位相制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる位相調整方法は、複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して複数の像担持体を回転駆動しながら、複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、複数の像担持体間での回転位相関係を調整する位相調整方法であって、上記目的を達成するため、複数の駆動モータの各々について該駆動モータの回転周波数に対応したパルス信号を作成する工程と、該パルス信号に基づき複数の像担持体のうち基準となる基準像担持体に対する残りの像担持体の回転位相差を求める工程と、回転位相差に基づき複数の駆動モータを制御して回転位相関係の調整を行う工程とを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(画像形成装置および該装置における位相調整方法)では、複数の駆動モータの各々に対応して周波数発生器が設けられており、各周波数発生器はそれに対応する駆動モータの回転周波数を検出して該回転周波数に対応したパルス信号を出力する。このパルス信号は時々刻々と変化する駆動モータの回転駆動状態を反映したものである。このため、駆動モータが定常状態となっている最中はもちろんのこと、非定常状態となっている間、例えば回転速度を加速している最中であっても、パルス信号を参照することで駆動モータの回転駆動状態を正確に把握することができる。つまり、像担持体の回転位相差を求めるタイミングについて制約を加えることなく、像担持体間の回転位相差を正確に求めることができる。したがって、像担持体間での回転位相差を早期に検出することができるとともに、像担持体間での回転位相調整も早期に行うことができる。
【0012】
ここで、例えば、駆動モータの回転駆動を開始した後に該駆動モータの回転速度が目標回転速度に達するとレディ信号が位相制御手段に出力される装置において、位相制御手段がレディ信号の出力前に回転位相差を求めるように構成してもよい。このように、レディ信号の出力を待たずに回転位相差を検出することができ、これによりファーストプリント時間の短縮を図ることができる。
【0013】
また、駆動モータの回転駆動状態を反映したパルス信号に基づき回転位相差を求めるように構成しているため、駆動モータの回転速度を増加させている間においても回転位相差を求めることができる。
【0014】
また、上記のようにしてレディ信号の出力前に回転位相差を検出した場合には、さらにレディ信号の出力前に複数の駆動モータを制御して複数の像担持体間での回転位相関係を調整するように構成してもよい。このようにレディ信号の出力前に回転位相差の検出のみならず、回転位相の調整までも行うことでファーストプリント時間をさらに短縮することができる。もちろん、駆動モータの全てについてレディ信号が出力された後に、位相制御手段が駆動モータを制御して複数の像担持体間での回転位相関係を調整するように構成してもよい。この場合には、全駆動モータが目標回転速度で安定して回転駆動されている状態で駆動モータの制御が行われるため、レディ信号の出力前に制御する装置よりも回転位相調整の安定性という面では優れている。
【0015】
また、複数の像担持体の各々に対応して設けられ、それぞれが対応する像担持体の基準位置を検出して検出信号を出力する複数の検出手段をさらに備えた装置において、位相制御手段が、基準像担持体に対応して設けられた検出手段からの検出信号の出力と、残りの像担持体に対応して設けられた検出手段からの検出信号の出力との間に出力されるパルス信号をカウントして得られるパルス数を回転位相差として求めるように構成してもよい。このように検出手段からの検出信号をパルス信号と組み合わせることで回転位相差をより正確に求めることができる。
【0016】
また、複数の駆動モータの回転駆動をほぼ同時に開始してもよい。そして、複数の駆動モータの回転駆動開始から少なくとも1つ以上の検出信号が出力された後に、位相制御手段が回転位相差の導出および回転位相関係の調整を行うように構成してもよい。このように構成することで検出信号とパルス信号を組み合わせた回転位相差の検出処理を確実に行うことができる。
【0017】
なお、この装置では、基準像担持体と、残りの像担持体との回転位相差を求めているが、基準像担持体については予め設定してもよいし、または全駆動モータの回転駆動開始から最初に出力された検出信号に対応する像担持体を基準像担持体として設定してもよい。特に後者の構成を採用した場合には、前者に比べて次のような作用効果が得られる。すなわち、前者では基準像担持体を固定設定しているため、基準像担持体の基準位置を検出して検出手段から検出信号が出力されるのを待って回転位相差を求める必要がある。これに対し、後者の構成を採用した場合には、最初に出力された検出信号に基づき回転位相差を求めることができる。つまり、検出信号が出力されると、直ちに回転位相差の導出処理を実行することができ、ファーストプリント時間を短縮する上で前者に比べて有利となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。この装置1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成するカラー印字処理、およびブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する単色印字処理を選択的に実行する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)がメインコントローラ(図示省略)に与えられると、このメインコントローラからの指令に応じてエンジンコントローラ(図示省略)がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート(記録材)Sに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0019】
図1において、本実施形態の画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面(同図の右手側面)に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。
【0020】
ハウジング本体2内には、電源回路基板、メインコントローラおよびエンジンコントローラを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット6、転写ベルトユニット9および給紙ユニット10もハウジング本体2内に配設されている。一方、第1の開閉部材3側には、定着ユニット12が配設されている。なお、この実施形態では、画像形成ユニット6および給紙ユニット10内の消耗品は、ハウジング本体2に対して着脱自在に構成されている。そして、これらの消耗品および転写ベルトユニット9については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0021】
転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設され後述するブラック用駆動モータにより回転駆動される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向D16へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に当接されるベルトクリーナ17とを備えている。この従動ローラ15は駆動ローラ14に対して斜め上方(図1中の左手上方)に配置されている。このため、中間転写ベルト16は傾斜状態のまま方向D16に回転移動する。また、中間転写ベルト16を駆動した際のベルト搬送方向D16が下向き(図1の右下向き)になるベルト面16aは下方に位置している。本実施形態においては、ベルト面16aがベルト駆動時のベルト張り面(駆動ローラ14により引っ張られる面)となっており、各色の感光体ドラム(像担持体)20の周速よりも遅い周速を有している。このように中間転写ベルト16の周速を各感光体ドラム20の周速よりも遅くなるように設定することで、感光体ドラム20は中間転写ベルト16に回転を抑える向きに引っ張られるようにして駆動している。
【0022】
駆動ローラ14は、2次転写ローラ19のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ14の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が10Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ19を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ14に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシートSが進入する際の衝撃が中間転写ベルト16に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、駆動ローラ14の径を従動ローラ15の径より小さくしている。これにより、2次転写後のシートSがシートS自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ローラ15をベルトクリーナ17のバックアップローラとして兼用させている。このベルトクリーナ17は、搬送方向下向きのベルト面16a側に設けられており、図1に示すように、残留トナーを除去するクリーニングブレード17aと、除去したトナーを搬送するトナー搬送部材とを備えている。そして、クリーニングブレード17aは従動ローラ15への中間転写ベルト16の巻きかけ部において中間転写ベルト16に当接して2次転写後に中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーをクリーニング除去する。
【0024】
駆動ローラ14および従動ローラ15は転写ベルトユニット9の支持フレーム(図示省略)に回転自在に支持されている。また、中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16a裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム20に対向して1次転写ローラ21が設けられている。これら4つの1次転写ローラ21は上記支持フレームに対して回転自在に軸支され、図示を省略する1次転写バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで1次転写バイアス発生部から1次転写バイアスが印加される。
【0025】
上記支持フレームは、駆動ローラ14を回動中心として矢印方向D21にハウジング本体2に対して回動自在となっている。そして、図示を省略するアクチュエータを作動させることで支持フレームが回動してイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の画像形成ステーションY,M,Cの感光体ドラム20に対向して配置された1次転写ローラ21が感光体ドラム20に向かって近接し、また感光体ドラム20から離間移動する。このため、イエロー、マゼンタおよびシアン用の1次転写ローラ21が感光体ドラム20に向かって近接移動すると、中間転写ベルト16を挟んで該感光体ドラム20に当接する(図1中の実線)。そして、この当接位置が1次転写位置となっており、該1次転写位置でトナー像が中間転写ベルト16に転写される。逆に、イエロー、マゼンタおよびシアン用の1次転写ローラ21が感光体ドラム20から離間移動すると、画像形成ステーションY,M,Cの感光体ドラム20と中間転写ベルト16とは互いに離間する(図1中の破線)。一方、ブラック(K)の画像形成ステーションKの感光体ドラム20に対向して配置された1次転写ローラ21については、中間転写ベルト16を挟んで該感光体ドラム20に当接されたまま回転するように構成されている。したがって、図1の実線で示すように、全1次転写ローラ21を感光体ドラム20側に位置させることでカラー印字処理が実行可能となる。一方、同図の破線で示すように、ブラック用の1次転写ローラ21を残して他の1次転写ローラ21を感光体ドラム20から離間させることでモノクロ印字処理のみを実行しつつ中間転写ベルト16が画像形成ステーションY,M,Cから離間してイエロー、マゼンタおよびシアン色については非印字状態とすることができる。なお、ブラック用の1次転写ローラ21についても、必要に応じて感光体ドラム20から離間移動させるように構成してもよい。
【0026】
また、転写ベルトユニット9の支持フレームには、駆動ローラ14に近接してテストパターンセンサ18が設置されている。このテストパターンセンサ18は、中間転写ベルト16上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。
【0027】
画像形成ユニット6は、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イエロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。各画像形成ステーションY,M,C,Kにはそれぞれ、本発明の「像担持体」に相当する感光体ドラム20が設けられている。また、各感光体ドラム20の周囲には、帯電部22、像書込部23、現像部24および感光体クリーナ25が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作が実行される。なお、図1において、画像形成ユニット6の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上、一部の画像形成ステーションのみに符号を付けて他の画像形成ステーションについては符号を省略する。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0028】
各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム20は1次転写位置TR1で中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接されるように配置されている。その結果、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ローラ14に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。また、これらの感光体ドラム20はそれぞれ専用の駆動モータに接続され、図示矢印D20に示すように、中間転写ベルト16の搬送方向に所定周速で回転駆動される。なお、感光体ドラム20の駆動機構および駆動制御については後で詳述する。
【0029】
帯電部22は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム20の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム20の回転動作に伴って感光体ドラム20に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電位置で感光体ドラム20の表面を帯電させる。
【0030】
像書込部23は、発光ダイオードやバックライトを備えた液晶シャッタ等の素子を感光体ドラム20の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に列状に配列したアレイ状書込ヘッドを用いており、感光体ドラム20から離間配置されている。また、アレイ状書込ヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトである。そのため、感光体ドラム20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。
【0031】
次に、現像部24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。この現像部24は、トナーを貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に配設された2つのトナー撹拌供給部材28,29と、トナー撹拌供給部材29に近接配置された仕切部材30と、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、トナー供給ローラ31および感光体ドラム20に当接して所定の周速で図示矢印方向に回転する現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とから構成されている。
【0032】
そして、各現像部24では、トナー撹拌供給部材29により撹拌、運び上げられたトナーは、仕切部材30の上面に沿ってトナー供給ローラ31に供給される。また、こうして供給されたトナーは供給ローラ31を介して現像ローラ33の表面に供給される。そして、現像ローラ33に供給されたトナーは規制ブレード34により所定厚さの層厚に規制され、感光体ドラム20へと搬送される。そして、現像ローラ33と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ33に印加される現像バイアスによって、現像ローラ33と感光体ドラム20とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ33から感光体ドラム20に移動して、像書込部23により形成された静電潜像が顕像化される。
【0033】
また、この実施形態では、感光体ドラム20の回転方向D20において1次転写位置TR1の下流側に、感光体ドラム20の表面に当接して感光体クリーナ25が設けられている。この感光体クリーナ25は、感光体ドラム20の表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム20の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0034】
給紙ユニット10は、シートSが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシートSを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、2次転写領域TR2へのシートSの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14および中間転写ベルト16に圧接される2次転写手段としての2次転写ローラ19と、定着ユニット12と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
【0035】
2次転写ローラ19は、中間転写ベルト16に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46とを有している。そして、シートSに2次転写された画像は、加熱ローラ45と加圧ローラ46で形成するニップ部で所定の温度でシートSに定着される。本実施形態においては、中間転写ベルト16の斜め上方に形成される空間、換言すれば、中間転写ベルト16に対して画像形成ユニット6と反対側の空間に定着ユニット12を配設することが可能になり、電装品ボックス5、画像形成ユニット6および中間転写ベルト16への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。
【0036】
また、こうして定着処理を受けたシートSは排紙ローラ対39を経由してハウジング本体2の上面部に設けられた第2の開閉部材(排紙トレイ)4に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排紙ローラ対39後方の反転位置まで搬送されてきた時点で排紙ローラ対39の回転方向を反転し、これによりシートSは両面プリント用搬送路40に沿って搬送される。そして、レジストローラ対37の手前で再び搬送経路に乗せられるが、このとき、2次転写領域TR2において中間転写ベルト16と当接して画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0037】
図2は中間転写ベルトと各色の感光体ドラムとの配置関係を示す模式図であり、また図3は感光体ドラムを回転駆動する駆動機構を示す図であり、図4はエンジンコントローラのうち感光体ドラムの回転位相を制御する電気的構成を示すブロック図である。以下、これらの図面を参照しつつ、感光体ドラム20を駆動する駆動機構および駆動制御について詳述する。
【0038】
この実施形態にかかる画像形成装置1では、4色の感光体ドラム20が設けられているが、これらの感光体ドラム20をそれぞれ回転駆動するために4つの駆動モータ50(50Y,50M,50C,50K)が設けられている。そして、各駆動モータ50を制御することで各色の感光体ドラム(像担持体)20を独立して回転させることが可能となっている。なお、感光体ドラム20を回転駆動する駆動機構の構成は互いに同一であるため、ここでは、イエロー用の駆動機構についてのみ説明し、その他のトナー色については同一または相当符号を付して説明を省略する。
【0039】
この実施形態では、イエロー用駆動モータ50Yとして、DCブラシレスモータが採用されている。この駆動モータ50Yの回転軸にはモータピニオン51が取り付けられるとともに、このモータピニオン51に対してアイドルギア52が歯合配置されている。また、このアイドルギア52と同軸にアイドルギア53が取り付けられており、駆動モータ50Yの回転駆動力がモータピニオン51を介してアイドルギア52に伝達されると、アイドルギア52,53が一体的に回転する。一方、アイドルギア53は感光体ドラム20の回転軸と同軸に取り付けられた感光体ギア54と歯合されており、上記のようにしてアイドルギア53が回転駆動されることで、感光体ドラム20Yが回転駆動される。この実施形態では、感光体ドラム20を132rpmで回転させながら画像形成を行うために、例えば駆動モータ50Yの目標回転速度ならびにモータピニオン51、ギア52〜54のギア構成を以下のように設定することができる。
【0040】
(1)駆動モータ50Yの目標回転速度:1905rpm
(2)モータピニオン51について
歯数:12
ピッチ円直径:6.4mm
(3)アイドルギア52について
歯数:48
ピッチ円直径:25.5mm
(4)アイドルギア53について
歯数:30
ピッチ円直径:16.0mm
(5)感光体ギア54について
歯数:108
ピッチ円直径:57.5mm
このように構成されたギア群からなる駆動力伝達機構を用いることで、駆動モータ50Yの回転速度が目標回転速度(1905rpm)に達した時点では、モータピニオン51およびギア52により回転速度は476rpmに減速され、さらにギア52,53により所望の回転速度(132rpm)まで減速される。
【0041】
また、この実施形態では、感光体ドラム20の回転軸に直結された感光体ギア54は感光体ドラム20の直径(30mm)よりも大口径となっており、その外周部の一箇所に凹部55が形成されている。そして、凹部55の回転軌跡上に反射型光学センサ56が回転位相検出センサとして配置されている。このため、感光体ドラム20の基準位置が回転位相検出センサ56を通過するたびに回転位相検出センサ56から検出信号がエンジンコントローラに設けられた位相制御ユニット57のパルスカウンタ58に出力される。すなわち、この実施形態では、回転位相検出センサ56が本発明の「検出手段」に相当しており、回転位相検出センサ56からの出力信号に基づき感光体ドラム20が基準位置を通過したか否かを正確に検出することができるとともに、感光体ドラム20の回転位相を検出することができる。
【0042】
また、駆動モータ50Yには、周波数発生器59Yが設けられており、駆動モータ50Yの回転速度に応じた周波数信号(以下「FG信号」という)を生成して駆動モータ50Yを制御するモータ回転制御部60Yとパルスカウンタ58に出力する。周波数発生器59Yの構成については特に限定されるものではないが、この実施形態では駆動モータ50Yの1回転を60等分したパルス信号がFG信号として出力されるように構成されている。したがって、周波数発生器59Yから出力されるFG信号は時々刻々と変化する駆動モータ50Yの回転駆動状態を反映したものとなり、駆動モータ50Yが目標回転速度に達して定常状態となっている最中はもちろんのこと、非定常状態となっている間、例えば回転速度を加速している最中であっても、FG信号を参照することで駆動モータ50Yの回転駆動状態を正確に把握することができる。
【0043】
各駆動モータ50および駆動機構は上記のように構成されているが、装置1がホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)を待っている間、全駆動モータ50は回転を停止している。そして、印字指令が与えられると、メインコントローラはエンジン部EGの動作指示に適した形式のジョブデータに変換し、エンジンコントローラに送出する。これを受けたエンジンコントローラは位相制御ユニット57に対して駆動指令を与えて感光体ドラム20を所望の目標回転速度(132rpm)で回転させる。より具体的には、位相制御ユニット57は図4に示すようにパルスカウンタ58、比較部61および回転速度設定部62を有しており、次に説明する処理を実行することで感光体ドラム20間での回転位相を調整した後、各感光体ドラム20を所望の回転速度(132rpm)で定常回転させる。
【0044】
図5は感光体ドラムの間での回転位相を調整する動作を示すフローチャートである。また、図6は基準色の決定動作を示すフローチャートである。また、図7は回転位相差の導出および位相調整動作を示すフローチャートである。さらに図8は回転位相差の導出および位相調整動作を示す図である。以下、これらの図を参照しつつ回転位相差の検出動作および回転位相の調整動作について詳述する。
【0045】
この装置では、外部装置からの印字指令に応じてエンジンコントローラから位相制御ユニット57に駆動指令が与えられると、全色について感光体ドラム20の駆動が開始される(ステップS1)。このとき、パルスカウンタ58にはFG信号のパルス出力は与えられておらず、比較部61から与えられる信号に基づき回転速度設定部62は予め設定された加速度で各駆動モータ50を駆動させるように制御信号を各モータ回転制御部60Y,60M,60C,60Kに与える。これによって、モータ回転制御部60Y,60M,60C,60Kがそれぞれ駆動モータ50Y,50M,50C,50Kを作動させて感光体ドラム20の駆動を開始する。
【0046】
このように各感光体ドラム20を回転させるために各駆動モータ50(50Y,50M,50C,50K)を作動させると、図8に示すように、駆動開始から徐々に駆動モータ50の回転速度が加速されていく。この実施形態では、回転駆動の開始から約0.5秒で駆動モータ50の回転速度が目標回転速度に達するように設定している。また、駆動モータ50の回転に伴ってFG信号が出力される。このFG信号は駆動モータ50の回転状態を反映したものであり、回転速度の上昇に伴ってFG信号のパルス間隔は短くなっていく。つまり、FG信号をモニタすることで定常状態か非定常状態かを問わず駆動モータ50Yの回転駆動状態を正確に把握することができる。一方、駆動モータ50により感光体ドラム20が回転駆動されて感光体ドラム20の基準位置が回転位相検出センサ56を通過すると、回転位相検出センサ56から検出信号が位相制御ユニット57のパルスカウンタ58に出力される。この検出信号は感光体ドラム20の回転位相を検出する信号、つまり回転位相検出信号として機能するものであり、各色の回転位相検出信号を参照することで基準色に対する他の色(以下「調整色」という)の感光体ドラム20の回転位相差を求めることができる。なお、この実施形態では、4色のうち最初に回転位相検出信号が出力されるトナー色を基準色としている(ステップS2)。
【0047】
このステップS2では、図6に示すように、最初の回転位相検出信号が検出される(ステップS21)と、その最初の検出信号がいずれのトナー色の回転位相検出センサ56から出力されたものであるのかを判断して基準色を決定する(ステップS22〜S28)。つまり、
回転位相検出センサ56Kから出力:基準色はブラック、
回転位相検出センサ56Yから出力:基準色はイエロー、
回転位相検出センサ56Mから出力:基準色はマゼンタ、
回転位相検出センサ56Cから出力:基準色はシアン、
と判断される。また、こうして基準色が決定されると、位相制御ユニット57のパルスカウンタ58に記憶されているFGパルス数FGC(0)をクリアする(ステップS29)。このFGパルス数FGC(0)はFG信号のパルス数をカウントすることにより得られる値であり、後述するように本実施形態ではFGパルス数FGC(0)が回転位相差を示す指標値として利用される。
【0048】
上記のようにして基準色が決定され、その基準色のFGパルス数FGC(0)がクリアされた後、基準色の駆動モータ50に対応して設けられた周波数発生器59から出力されるFG信号に基づきパルスカウンタ58がFGパルスのカウントを開始する(ステップS3)。そして、残りのトナー色(第1調整色〜第3調整色)の各々について位相調整を行う(ステップS4)。
【0049】
この位相調整処理においては、位相制御ユニット57が以下のように作動して第n調整色(n=1,2、3)について基準色に対する回転位相差を求め、その回転位相差に基づき駆動モータ50を加減速制御して回転位相を調整する。すなわち、FGパルス数FGC(n)をクリアする(ステップS41)。そして、ステップS42で回転位相検出信号が検出されると、現時点での基準色FGパルス数FGC(0)を回転位相ずれ量(位相差)RDとして記憶する(ステップS43)。こうして、基準色に対する第n調整色の回転位相ずれ量RD(n)を求めることができる。
【0050】
また、回転位相検出信号の検出とともに、当該調整色の駆動モータ50に対応して設けられた周波数発生器59から出力されるFG信号に基づきパルスカウンタ58がFGパルスのカウントを開始する(ステップS44)。そして、駆動モータ50の回転速度が目標回転速度に到達してレディ(READY)信号が出力されるまでに、以下の関係式、
FGC(n)=FGC(0)+RD(n)
が満足されるように当該調整色の駆動モータ50を加減速制御する(ステップS45)。これにより、基準色よりも遅れていた調整色の感光体ドラム20の位相が基準色の感光体ドラム20に追いつき回転位相差は解消され、レディ(READY)信号が出力される時点では既に両者の回転位相が一致され、両色の感光体ドラム20は所定の回転速度で定常回転される。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、駆動モータ50の各々に対応して設けられた周波数発生器59によって駆動モータ50の回転周波数を検出して該回転周波数に対応したFG信号を得ている。このFG信号は時々刻々と変化する駆動モータ50の回転駆動状態を反映したものである。このため、FG信号を参照することで駆動モータ50の回転駆動状態を正確に把握することができ、感光体ドラム20の回転位相差を正確に求めることができる。特に、この実施形態では、駆動モータ50の回転開始からレディ信号が出力されるまでに回転位相ずれ量RD(n)を導出するとともに、その回転位相ずれ量RD(n)に基づき感光体ドラム20の間での回転位相調整を行っている。このように、感光体ドラム(像担持体)20間での回転位相差の早期検出および回転位相の早期調整が行われており、優れたファーストプリント時間で高品質なカラー画像を形成することができる。
【0052】
また、回転位相検出センサ56から出力される回転位相検出信号とFG信号とを組み合わせて回転位相差を求めているため、高精度な回転位相差を求めることができる。そして、その回転位相差に基づき駆動モータ50の駆動制御を行っているため、回転位相を高精度に調整することができる。
【0053】
また、各色の駆動モータ50の駆動開始タイミングについては特に限定されるものではないが、本実施形態のように、ほぼ同時に開始するとともに、最初の回転位相検出信号が出力された後に、位相制御ユニット57による回転位相差の導出および回転位相関係の調整を行うように構成することで回転位相差の検出処理をより早期に、しかも確実に行うことができる。
【0054】
さらに、全駆動モータ50の回転駆動開始から最初に出力された回転位相検出信号に対応するトナー色を基準色としている、つまり当該トナー色の感光体ドラム20を本発明の「基準像担持体」として設定し、該基準像担持体と調整色の感光体ドラム20との回転位相差を求めて位相調整を行うように構成している。このため、基準色を予め設定している場合に比べて次のような作用効果が得られる。すなわち、基準色を固定している装置では基準像担持体の基準位置を検出して回転位相検出センサ56から回転位相検出信号が出力されるのを待って回転位相差を求める必要がある。これに対し、本実施形態では、最初に出力された回転位相検出信号に基づき回転位相差を求めることができる。つまり、回転位相検出信号が出力されると、直ちに回転位相差の導出処理を実行することができ、ファーストプリント時間を短縮する上で非常に有利となっている。
【0055】
図9は本発明にかかる画像形成装置の他の実施形態を示すフローチャートである。また、図10は図9の実施形態における回転位相差の導出および位相調整動作を示す図である。この実施形態では、先の実施形態と同様に、レディ(READY)信号が出力されるまでに回転位相検出信号とFG信号とに基づき基準色の感光体ドラム20に対する調整色の感光体ドラム20の回転位相差を求めている。しかしながら、ステップS46でレディ信号が出力された後、つまり駆動モータ50の回転速度は定常状態に達した後で該調整色の駆動モータ50を駆動制御して回転位相を調整している。このように、本実施形態では、駆動モータ50が目標回転速度で安定して回転駆動されている状態で駆動モータ50の制御を行っているため、回転位相調整をより安定して行うことができる。
【0056】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、駆動モータ50の回転駆動を開始した後、回転速度を直線的に増速しているが、ステップ状に増速してよい。
【0057】
また、上記実施形態では、感光体ドラム20の回転軸に直結された感光体ギア54に設けた凹部55を検出することで感光体ドラム20の基準位置を検出して回転位相検出センサ56から回転位相検出信号が出力しているが、回転位相検出方式についてはこれに限定されるものではなく、感光体ドラム20の基準位置を検出することができるものであれば任意である。例えば、感光体ドラム20の一部に該ドラム回転とともに回転移動する特徴部位を設け、さらに該特徴部位の回転軌跡上にセンサを配置してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では駆動モータ50Y,50M,50C,50Kに感光体ドラム20Y,20M,20C,20Kをそれぞれ接続して各感光体ドラム20を回転駆動しているが、複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の感光体ドラムをそれぞれ接続して4色の感光体ドラムを回転駆動するように構成してもよい。例えばブラック用感光体ドラム20Kについてはブラック用駆動モータで駆動する一方、イエロー、マゼンタおよびシアン用の感光体ドラムについてはカラー用駆動モータで駆動してもよい。このような装置においても、上記実施形態と同様に、駆動モータの回転開始からレディ信号が出力されるまでにFG信号に基づき回転位相差を導出し、レディ信号の出力前あるいは出力後に該回転位相差に基づき感光体ドラムの間での回転位相調整を行うことによって、感光体ドラム間での回転位相差の早期検出および回転位相の早期調整が可能となり、優れたファーストプリント時間で高品質なカラー画像を形成することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、回転位相検出信号の出力タイミングに基づき基準色を変更しているが、予め基準色を固定してもよい。この場合においてもFG信号に基づき各感光体ドラムの回転位相差を求め、その回転位相差に基づき回転位相調整を行うことで、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0060】
さらに、上記各実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いてカラー画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく、複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の感光体ドラムなどの像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】中間転写ベルトと各色の感光体ドラムとの配置関係を示す模式図。
【図3】感光体ドラムを回転駆動する駆動機構を示す図。
【図4】感光体ドラムの回転位相を制御する電気的構成を示すブロック図。
【図5】感光体ドラムの間での回転位相を調整する動作を示すフローチャート。
【図6】基準色の決定動作を示すフローチャート。
【図7】回転位相差の導出および位相調整動作を示すフローチャート。
【図8】回転位相差の導出および位相調整動作を示す図。
【図9】本発明にかかる画像形成装置の他の実施形態を示すフローチャート。
【図10】図9の実施形態における回転位相差の導出および位相調整動作を示す図。
【符号の説明】
【0062】
1…画像形成装置、 20,20Y,20M,20C,20K…感光体ドラム(像担持体)、 50,50Y,50M,50C,50K…駆動モータ、 56,56Y,56M,56C,56K…回転位相検出センサ(検出手段)、 57…位相制御ユニット、 58…パルスカウンタ、 59,59Y,59M,59C,59K…周波数発生器、 RD…回転位相ずれ量(回転位相差)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の目標回転速度で回転する複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、
前記複数の駆動モータの各々に対応して設けられ、それぞれが対応する駆動モータの回転周波数を検出して該回転周波数に対応したパルス信号を出力する複数の周波数発生器と、
前記複数の周波数発生器から出力されるパルス信号に基づき前記複数の像担持体のうち基準となる基準像担持体に対する残りの像担持体の回転位相差を求めるとともに、該回転位相差に基づき前記複数の駆動モータを制御して前記複数の像担持体間での回転位相関係を調整する位相制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各駆動モータの回転駆動を開始した後に該駆動モータの回転速度が前記目標回転速度に達するとレディ信号が前記位相制御手段に出力される請求項1記載の画像形成装置であって、
前記位相制御手段は前記レディ信号の出力前に前記回転位相差を求める画像形成装置。
【請求項3】
前記位相制御手段は各駆動モータの回転速度を増加させている間に前記回転位相差を求める請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位相制御手段は前記レディ信号の出力前に前記複数の駆動モータを制御して前記複数の像担持体間での回転位相関係を調整する請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の駆動モータの全てについて前記レディ信号が出力された後に、前記位相制御手段は前記複数の駆動モータを制御して前記複数の像担持体間での回転位相関係を調整する請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の像担持体の各々に対応して設けられ、それぞれが対応する像担持体の基準位置を検出して検出信号を出力する複数の検出手段をさらに備え、
前記位相制御手段は、前記基準像担持体に対応して設けられた検出手段からの検出信号の出力と、残りの像担持体に対応して設けられた検出手段からの検出信号の出力との間に出力されるパルス信号をカウントして得られるパルス数を前記回転位相差として求める請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の駆動モータの回転駆動がほぼ同時に開始される請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の駆動モータの回転駆動開始から少なくとも1つ以上の検出信号が出力された後に、前記位相制御手段は回転位相差の導出および回転位相関係の調整を行う請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記基準像担持体は予め設定されている請求項7または8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数の駆動モータの回転駆動開始から最初に出力された検出信号に対応する像担持体を前記基準像担持体として設定する請求項7または8記載の画像形成装置。
【請求項11】
複数の駆動モータの各々に少なくとも1つ以上の像担持体をそれぞれ接続して前記複数の像担持体を回転駆動しながら、前記複数の像担持体の各々に形成されるトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、前記複数の像担持体間での回転位相関係を調整する位相調整方法であって、
前記複数の駆動モータの各々について該駆動モータの回転周波数に対応したパルス信号を作成する工程と、
前記パルス信号に基づき前記複数の像担持体のうち基準となる基準像担持体に対する残りの像担持体の回転位相差を求める工程と、
前記回転位相差に基づき前記複数の駆動モータを制御して前記回転位相関係の調整を行う工程と
を備えたことを特徴とする位相調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−171595(P2006−171595A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367131(P2004−367131)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】