説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】記録紙搬送中のジャムの発生を軽減することができる安価な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録紙に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、予め定められた紙間時間で記録紙を搬送する用紙搬送部と、画像形成部による画像形成処理後の記録紙が搬入される搬入経路R1,R2と当該搬入された記録紙が排出される排出経路R4とが交差する区間である交差区間324,325を含む、用紙搬送部により記録紙が搬送される搬送経路と、搬送経路上に離間して配置され、記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する搬送ジャム検出部C1,C2,C3,42と、搬送ジャム検出部C1,C2,C3,42により交差区間内で発生したジャムが検出されると、紙間時間を予め定められた時間拡大する紙間制御部と、を備える画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙搬送中のジャムの発生を軽減する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において画像が形成された記録紙を搬送中にジャムが発生することを軽減するために、記録紙搬送中のジャムの発生を事前に予測して、当該予測される時点で各部の機能動作を調整する画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、フィニッシャに搬入される用紙(記録紙)が搬入される方向と直行する方向(横方向)に位置ずれを起こしているときのずれ量を測定し、当該測定されたずれ量が所定量以上であることを検出したときに、用紙の横方向の両端から用紙を挟み込むことによって当該横方向の位置ずれを補正する部材の待機位置を通常よりも広げるとともに、搬入される用紙の紙間時間を空け、さらに、通常よりも遅い速度で上記の補正用の部材を移動させて搬入された用紙の横方向のずれを補正することで、用紙排出中のジャムの発生を軽減する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、用紙(記録紙)搬送中のジャムの発生が予測される時点を検出するために、搬入される用紙の位置ずれのずれ量を測定する機構を予め設ける必要があった。つまり、記録紙搬送中のジャムの発生を軽減する画像形成装置を構成する上で、コスト面での改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、記録紙搬送中のジャムの発生を軽減することができる安価な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、記録紙に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、
予め定められた紙間時間で前記記録紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成部による前記画像形成処理後の前記記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された前記記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間を含む、前記用紙搬送部により前記記録紙が搬送される搬送経路と、
前記搬送経路上に離間して配置され、前記記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する搬送ジャム検出部と、
前記搬送ジャム検出部により前記交差区間内で発生したジャムが検出されると、前記紙間時間を予め定められた時間拡大する紙間制御部と、
を備える画像形成装置である。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、記録紙に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成ステップと、
予め定められた紙間時間で前記記録紙を搬送する用紙搬送ステップと、
前記画像形成ステップによる前記画像形成処理後の前記記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された前記記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間を含む、前記用紙搬送ステップにより前記記録紙が搬送される搬送経路上の離間した位置において、前記記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する搬送ジャム検出ステップと、
前記搬送ジャム検出ステップにより前記交差区間内で発生したジャムが検出されると、前記紙間時間を予め定められた時間拡大する紙間制御ステップと、
を備える画像形成方法である。
【0009】
画像形成部(画像形成ステップ)による画像形成処理後の記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間が搬送経路中に備えられている場合、例えば、記録紙がカールした状態であること等に起因して、当該交差区間内において搬入される記録紙と排出される記録紙とが接触してジャムが発生する頻度は高いものと予測される。
【0010】
これらの発明では、搬送ジャム検出部(搬送ジャム検出ステップ)によって当該交差区間内で発生したジャムが検出されると、紙間制御部(紙間制御ステップ)により、当該ジャムの検出時点以降は、画像形成処理が行われた記録紙が用紙搬送部(用紙搬送ステップ)によって搬送される際の紙間時間が拡大されるので、当該交差区間内に搬入される記録紙と当該交差区間から排出される記録紙とが接触する機会が軽減され、当該交差区間内におけるジャムの発生が軽減される。
【0011】
つまり、当該交差区間内で発生したジャムを一旦検出することにより、当該交差区間内で発生するジャムを予測する機構を設けるコストをかけることなく安価に、当該交差区間内におけるジャムの発生を軽減することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記紙間制御部は、前記搬送ジャム検出部により前記交差区間内でジャムが検出されると、前記交差区間内における当該ジャムの発生を検出した前記搬送ジャム検出部の配置位置が前記交差区間から前記記録紙が排出される排出口に近づくにつれて、前記紙間時間を予め定められた時間大きく拡大する。
【0013】
交差区間内におけるジャムの発生を検出した搬送ジャム検出部の配置位置、つまり、ジャムの発生箇所が交差区間から記録紙が排出される排出口に近づくにつれて、当該ジャムの発生時点で排出されずに交差区間内に残存する記録紙の長さは長くなるものと考えられる。
【0014】
この発明では、交差区間内でジャムが検出されると、紙間制御部により、交差区間内における当該ジャムの発生箇所が交差区間から記録紙が排出される排出口に近づくにつれて紙間時間が大きく拡大されるため、交差区間内におけるジャムの検出時点以降は、次の記録紙が交差区間内に搬入されるまでに、先に搬入された記録紙が交差区間内に残存せずに排出されている可能性が当該ジャムの発生箇所に応じて高まるようになる。つまり、当該ジャムの発生箇所に応じて記録紙の接触機会が適切に軽減され、ジャムの発生が軽減される。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置であって、前記紙間制御部は、前記搬送ジャム検出部によりジャムが検出されることなく前記画像形成部により前記画像形成処理が連続して行われる回数が多くなるにつれて、前記紙間時間を予め定められた時間縮小する。
【0016】
この発明では、ジャムが検出されることなく画像形成処理が連続して行われる回数が多くなるにつれて、つまり、ジャムの発生が軽減される状況になるにつれて紙間時間が縮小されるため、ジャムの発生が軽減される状況に応じて画像形成処理の生産性が向上されるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録紙搬送中のジャムの発生を軽減することができる安価な画像形成装置及び画像形成方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置の一例としての複写機の構成の一例を示す概略断面図。
【図2】用紙後処理部の構成の一例を示す断面図。
【図3】複写機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図4】紙間制御部における紙間時間を拡大する処理の一例を示すフローチャート。
【図5】予め定められる紙間時間の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例としての複写機について、図面を参照して説明する。例えば、図1に示すように、複写機1は、本体部200と、本体部200の左側に配設された用紙後処理部300と、ユーザが種々の操作指令等を入力するための操作部400と、本体部200の上部に配設された原稿読み取り部500と、原稿読み取り部500の上方に配設された原稿給送部800とから構成される。
【0020】
操作部400は、タッチパネル401、スタートキー402及びテンキー403等を備える。
【0021】
タッチパネル401は、種々の操作画面を表示するとともに、ユーザが種々の操作指令を入力するための種々の操作ボタン等を表示する。スタートキー402は、後述する画像形成処理の実行開始指示等を入力するために用いられ、テンキー403は、画像形成処理によって画像形成する記録紙の枚数(印刷部数)等の実行条件を入力するために用いられる。
【0022】
原稿給送部800は、原稿載置部801、原稿排出部802、給紙ローラ803及び原稿搬送部804等を備え、原稿読み取り部500は、スキャナ501等を備える。
【0023】
給紙ローラ803は、原稿載置部801にセットされた原稿を繰り出し、原稿搬送部804は、繰り出される原稿を1枚ずつ順にスキャナ501上に搬送する。スキャナ501は搬送される原稿を順次読み取り、読み取られた原稿は原稿排出部802に排出される。
【0024】
本体部200は、複数の給紙カセット201、複数の給紙ローラ202、転写ローラ203、中間転写ベルト204、感光体ドラム205、帯電装置210、露光装置206、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の現像装置207Y,207M,207C,207K、定着ローラ208、排出口209、及びスイッチバック機構211を備える。
【0025】
感光体ドラム205は、図中の矢印方向に回転しながら帯電装置210によって一様に帯電される。
【0026】
露光装置206は、原稿読み取り部500において読み取られた原稿の画像データに基づいて生成された変調信号をレーザ光に変換して出力し、感光体ドラム205に各色別に静電潜像を形成する。
【0027】
現像装置207Y,207M,207C,207Kは、各色の現像剤を感光体ドラム205に供給して各色別のトナー画像を形成する。感光体ドラム205に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト204に一次転写される。
【0028】
一方、給紙ローラ202は、記録紙が収納された給紙カセット201から予め定められた紙間時間で記録紙を引き出し、転写ローラ203まで給送する。転写ローラ203は、搬送された記録紙に中間転写ベルト204上のトナー像を二次転写させ、定着ローラ208は、二次転写されたトナー像を加熱して記録紙に定着させる。その後、記録紙は、本体部200の排出口209から用紙後処理部300に搬入される。
【0029】
また、スイッチバック機構211は、記録紙の両面に画像を形成すべく設けられ、定着ローラ208で二次転写された記録紙を、記録紙の後端がスイッチバックローラ211aを通過するまで搬送経路Raに沿って搬入し、記録紙の後端がスイッチバックローラ211aを通過すると、2つのスイッチバックローラ211a,211bを反転させ、当該記録紙を搬送経路Rbに沿って排出し、転写ローラ203まで搬送する。
【0030】
用紙後処理部300は、例えば、図2に示すように、用紙搬入部321、右サブトレイ331、多段のジョブトレイ332、左サブトレイ333、メイントレイ334、内部トレイ335、ステイプラ326、中折部327、中折トレイ336、及び、図中の実線矢印に示すように、各種の搬送ローラ対やガイド等によって形成される複数の搬送経路を備えている。
【0031】
各搬送経路上の離間された位置には、図中の斜線矩形部に示すようにジャム検出センサが配置されている。ジャム検出センサは、例えば光透過型センサで構成され、記録紙の先端の通過、後端の通過、或いは両端の通過を示す検出信号を後述する制御部に出力する。
【0032】
本体部200から排出された記録紙は、用紙搬入部321を通じて用紙後処理部300に搬送され、図中の左横方向又は左斜め上方の何れかに分岐して搬送される。更に、当該左横方向に搬送された記録紙は、分岐部323で上下何れかに分岐して搬送される。
【0033】
更に、分岐部323で上方向に分岐して搬送された記録紙は、多段のジョブトレイ332又は左サブトレイ333の何れかに分岐して排出される。一方、分岐部323で下方向に分岐して搬送された記録紙は、内部トレイ335に向けて搬送される。
【0034】
内部トレイ335は、分岐部323の下方から右斜め下方に延びるように構成され、図中の右斜め上方を向く傾斜面に記録紙を束にして積載し、当該傾斜面を移動可能な図略の移動板を備えている。
【0035】
ステイプラ326は、内部トレイ335の下方に設けられ、内部トレイ335の移動板に束上に積載された記録紙を綴じ止めるステイプル処理を行う。尚、内部トレイ335には、記録紙の束を内部トレイ335の移動板によって左斜め上方に搬送して、最終的にメイントレイ334に排出する排出経路R4が形成されており、当該ステイプル処理された記録紙の束は、排出経路R4によってメイントレイ334に排出される。
【0036】
また、内部トレイ335には、上部搬送経路R1と下部搬送経路R2の2つの搬送経路とともに、1つの分岐搬送経路R3が形成されており、分岐部323で下方に分岐して搬送された記録紙は、上部搬送経路R1又は下部搬送経路R2の何れかに振り分けられ、移動板に搬送される。
【0037】
上部搬送経路R1は、長手サイズの記録紙を、分岐部323から傾斜面に沿って内部トレイ335の移動板に搬送する経路であり、下部搬送経路R2は、小サイズの記録紙を、移動板から距離を置いて右斜め下方に搬送した後、移動板の下端近傍の位置へ記録紙を搬送する経路である。尚、内部トレイ335には、上部搬送経路R1及び下部搬送経路R2への搬送経路の切り替えと記録紙を押さえるための、回転作動するガイド324,325が設けられている。
【0038】
このように、記録紙が搬送される搬送経路上のガイド324とガイド325で区切られた区間では、記録紙が搬入される搬入経路R1,R2と当該搬入された記録紙が排出される排出経路R4とが交差している。つまり、ガイド324とガイド325で区切られた区間によって、本発明に係る交差区間の一例が構成されている。
【0039】
尚、分岐搬送経路R3は、下部搬送経路R2から更に分岐した搬送経路である。当該分岐搬送経路R3に振り分けられた記録紙は、用紙後処理部300の右側面に沿って下降し、ステイプラ326の下方位置の中折部327に搬送される。
【0040】
中折部327は、用紙後処理部300の下部に設けられ、搬送された記録紙の中央部を境界にして折り畳む中折り処理を施し、中折り処理を施した記録紙を用紙後処理部300の左側下部位置に設けられた中折トレイ336に排出する。
【0041】
尚、上記の記録紙の搬送経路の分岐や振り分けは、搬送ローラとともにカイド等の部材が作動して行うが、これらの動作方法については公知技術を用いて実現すればよく、本発明の趣旨でなないため説明を省略する。
【0042】
続いて、複写機1の電気的構成について説明する。図3に示すように、複写機1は、スキャナ部11、プリンタ部21、操作パネル部31、パラレルI/F部51、シリアルI/F部52、記憶部53、電源装置61及び制御部41を備えている。
【0043】
スキャナ部11は、スキャナ501(図1)を構成する照明用光源12及びイメージセンサ13を含む。イメージセンサ13は、例えばCCDを備える。スキャナ部11は、照明用光源12により原稿を照射し、その反射光をイメージセンサ13で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データ(画像情報に相当する)を制御部41へ出力する。
【0044】
プリンタ部21は、給紙カセット201、給紙ローラ202、及びスイッチバックローラ211a,211b(図1)等の搬送経路を構成する各種の搬送ローラ対やガイド等から構成される用紙搬送部22、感光体ドラム205及び感光体ドラム205の駆動源であるドラムモータ等から構成されるドラム回転部23、帯電装置210等から構成される帯電部24、露光装置206等から構成される露光部25、現像装置207Y,207M,207C,207K(図1)等から構成される現像部26、転写ローラ203及び中間転写ベルト204(図1)等から構成される転写部27、及び定着ローラ208(図1)等から構成される定着部28を含む。
【0045】
具体的には、用紙搬送部22は予め定められた紙間時間で記録紙を転写部27へ搬送し、ドラム回転部23は所定の速度で感光体ドラム205を回転させ、帯電部24は回転している感光体ドラム205の表面を一様に帯電し、露光部25は上記の画像データに基づいて生成された変調信号をレーザ光に変換して出力し、感光体ドラム205に各色別に静電潜像を形成し、現像部26は感光体ドラム205上に形成された静電潜像に各色別に現像剤を供給して上記の画像データに対応するトナー像を感光体ドラム205上に形成し、転写部27は感光体ドラム205上に形成されたトナー像を中間転写ベルト204を介して記録紙に転写し、定着部28はトナー像を記録紙に定着させて画像を形成する。そして、用紙搬送部22は、用紙後処理部300等を介して、画像が形成された記録紙を各トレイに排出する。つまり、ドラム回転部23、帯電部24、露光部25、現像部26、転写部27、及び定着部28によって、本発明に係る画像形成部の一例が構成されている。
【0046】
操作パネル部31は、タッチパネル401(図1)等から構成されるタッチパネル部32、及びスタートキー402及びテンキー403(図1)等から構成される操作キー部33を含む。
【0047】
操作パネル部31は、ユーザが種々の操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を制御部41に与える。タッチパネル部32は、タッチパネル401(図1)とLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面を表示するとともに、ユーザが当該部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン等を表示する。操作キー部33は、スタートキー402(図1)、テンキー403(図1)及びタッチパネル401に表示された操作ボタン等を介して、ユーザが各部の機能動作の実行開始指示や実行条件等を入力するために用いられる。
【0048】
記憶部53は、HDD(ハードディスクドライブ)、不揮発性メモリ、或いはRAM等の記憶媒体により構成され、スキャナ部11によって読み取られた画像データ、種々の画像処理(加工処理)後の画像データ等を記憶する。
【0049】
パラレルI/F部51およびシリアルI/F部52は、外部のコンピュータに対してデータの入出力を行うためのインタフェースである。
【0050】
電源装置61は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する等して、制御部41、及びプリンタ部21等の複写機1に備えられた各機能動作部に電力を供給する。
【0051】
制御部41は、CPUやROM及びRAM等のメモリを備えてなるマイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等を内蔵し、装置全体の動作を制御する。また、制御部41は、ジャム検出部42と紙間制御部43としての機能を有する。
【0052】
ジャム検出部42は、記録紙が搬送される搬送経路上に離間して配置されたジャム検出センサ(例えば、図2の斜線矩形部)から出力される記録紙の通過を示す検出信号に基づいて、例えば、予め定められた複数のセンサで区切られる搬送経路上の所定区間を記録紙が通過するのに要する時間が所定時間以上であるか否か等を判断することにより、記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する。つまり、ジャム検出センサ及びジャム検出部42によって、本発明に係る搬送ジャム検出部の一例が構成されている。
【0053】
尚、ジャム検出センサの構成、ジャム検出センサから出力される検出信号、及びジャム検出部42がジャム検出センサから出力される検出信号を用いてジャムを検出する方法は、上記の例に限らず、公知技術を利用して適宜構成してもよい。
【0054】
紙間制御部43は、ジャム検出部42により、例えば、内部トレイ335におけるガイド324とガイド325で区切られる区間(図2)等の、画像形成された記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間内でジャムが検出されると、用紙搬送部22において記録紙を転写部27へ搬送する予め定められた紙間時間を予め定められた時間拡大する。ここで、予め定められた紙間時間及び予め定められた時間は、後述する紙間時間定義テーブルとして定義され、制御部41のROMや記憶部53の不揮発性メモリ等に記憶されている。
【0055】
以下では、紙間制御部43における紙間時間を拡大する処理の動作について詳述する。例えば、図4に示すように、用紙後処理部300を利用する画像形成処理の実行指示が操作パネル部31を介してユーザから入力されると、紙間制御部43は、RAMに記憶された、ジャム検出部42によりジャムが検出されることなく画像形成処理が連続して行われた回数を示すコンティニューカウンタが予め定められた閾値以上であるか否かを判断する(S1)。尚、ここで、RAMにコンティニューカウンタが記憶されていない場合は、コンティニューカウンタが0であるものとする。
【0056】
紙間制御部43は、コンティニューカウンタが予め定められた閾値以上であることを判断することによって、搬送中のジャムの発生が軽減されたと判断すると、(S1;YES)、記憶部53の不揮発性メモリから紙間レベルを読み出して、当該読み出した紙間レベルの値を1削減した値を紙間レベルとして設定する(S2)。
【0057】
そして、紙間制御部43は、例えば、図5に示すように、制御部41のROMや記憶部53の不揮発性メモリ等に記憶された紙間時間定義テーブルTBから紙間レベルに対応する紙間時間を読み出し、当該読み出した紙間時間をRAMに設定する(S3)。
【0058】
尚、紙間時間定義テーブルTBは、製品出荷前の試験運転時の実験値を利用する等して、画像形成処理における記録紙の紙間時間を予め段階的に定めるものである。図5の例では、紙間時間定義テーブルTBは、10段階の紙間レベルに応じた紙間時間が定められ、紙間レベルの値が小さくなるにつれて紙間時間が縮小されるように構成されているが、これに限定する趣旨ではない。
【0059】
また、ステップS2、S3において、記憶部53の不揮発性メモリに紙間レベルが記憶されていない場合は、紙間制御部43は、記憶部53の不揮発性メモリから読み出した紙間レベルとして、紙間レベルの最大値を代用する。つまり、紙間時間定義テーブルTBに定義された当該代用される紙間レベルの最大値に対応する紙間時間により、本発明に係る予め定められた紙間時間の一例が構成されている。
【0060】
そして、制御部41は、紙間時間がRAMに設定されると、操作パネル部31を介して入力された画像形成処理の実行条件に従って、当該RAMに設定された紙間時間が示す紙間間隔で所定枚数の記録紙を用紙搬送部22に搬送させ(用紙搬送ステップ)、ドラム回転部23、帯電部24、露光部25、現像部26、転写部27及び定着部28を介して、所定枚数分の記録紙に画像を形成する画像形成処理(画像形成ステップ)を行う(S4)。
【0061】
そして、画像形成処理によって画像が形成された記録紙が用紙後処理部300に搬送され、ジャム検出部42によりジャムの発生が検出されると(S5、搬送ジャム検出ステップ;YES)、紙間制御部43は、ジャム検出部42により当該ジャムの発生を検出したジャム検出センサの配置位置に応じて紙間レベルの値を設定して、記憶部53の不揮発性メモリに記憶する。
【0062】
例えば、図2に示すように、記録紙が搬入される搬入経路R1,R2と、当該搬入された記録紙が排出される排出経路R4と、が交差するガイド324とガイド325で区切られる交差区間では、例えば、記録紙がカールした状態であること等に起因して、当該交差区間内において搬入される記録紙と排出される記録紙とが接触してジャムが発生する頻度は高いものと予測される。
【0063】
そこで、当該交差区間内で発生するジャムを検出するためのジャム検出センサC1,C2,C3が搬送経路上に設けられ、ジャム検出部42によってジャム検出センサC1から出力される検出信号に基づいて、記録紙が排出される排出口に最も近い内部トレイ335の上部のジャムの発生が検出されたときは(S7;YES)、紙間制御部43は、内部トレイ335の上部で搬入される記録紙と排出される記録紙とが接触してジャムが発生することを回避すべく、記録紙が確実に排出された後に次の記録紙が搬入されるようにするために、紙間時間の最大値に対応する紙間レベルの最大値(例えば図5の場合、10)で、記憶部53の不揮発性メモリに記憶された紙間レベルを更新設定する(S8)。
【0064】
これと同様に、ジャム検出部42によってジャム検出センサC2から出力される検出信号に基づいて内部トレイ335の中間部のジャムの発生が検出されたときは(S9;YES)、紙間制御部43は、紙間時間の最大値よりも或る程度小さい紙間時間に対応する紙間レベル(例えば、最大値から3を引いた値)で、記憶部53の不揮発性メモリに記憶された紙間レベルを更新設定する(S10)。
【0065】
また、ジャム検出部42によってジャム検出センサC3から出力される検出信号に基づいて内部トレイ335の下部のジャムの発生が検出されたときは(S11;YES)、紙間制御部43は、紙間時間の最大値よりも更に或る程度小さい紙間時間に対応する紙間レベル(例えば、最大値から6を引いた値)で、記憶部53の不揮発性メモリに記憶された紙間レベルを更新設定する(S12)。
【0066】
一方、ジャム検出部42によって、交差区間に設けられたジャム検出センサC1,C2,C3以外のジャム検出センサから出力される検出信号に基づいて記録紙の搬送中のジャムの発生が検出されたときは(S11;NO)、記憶部53の不揮発性メモリに記憶された紙間レベルを更新設定しない。
【0067】
そして、ジャム検出部42により搬送中のジャムの発生が検出され(S5;YES)、上記のステップS7〜S12の処理が実行されたときは、紙間制御部43は、コンティニューカウンタをリセット(0に設定)する(S13)。
【0068】
一方、ジャム検出部42により搬送中のジャムの発生が検出されなかった場合(S5;NO)、紙間制御部43は、コンティニューカウンタの値を1累積加算する(S14)。
【0069】
そして、操作パネル部31を介して入力された画像形成処理の実行条件に従って所定枚数分の記録紙に画像を形成する画像形成処理が終了するまで(S15;YES)、ステップS4の処理が再び実行される(S15;NO)。
【0070】
つまり、上記のステップS1〜S3、S7〜S15によって、本発明に係る紙間制御ステップの一例が構成されている。
【0071】
したがって、本構成によれば、ジャム検出部42によって交差区間内で発生したジャムが検出されると、紙間制御部43により、当該ジャムの検出時点以降は、画像形成処理が行われた記録紙が用紙搬送部22によって搬送される際の紙間時間が拡大されるので、当該交差区間内に搬入される記録紙と当該交差区間から排出される記録紙とが接触する機会が軽減され、当該交差区間内におけるジャムの発生が軽減される。
【0072】
つまり、交差区間内で発生したジャムを一旦検出することにより、当該交差区間内で発生するジャムを予測する機構を設けるコストをかけることなく安価に、当該交差区間内におけるジャムの発生を軽減することができる。
【0073】
また、交差区間内におけるジャムの発生を検出したジャム検出センサの配置位置、つまり、ジャムの発生箇所が交差区間から記録紙が排出される排出口に近づくにつれて、当該ジャムの発生時点で排出されずに交差区間内に残存する記録紙の長さは長くなるものと考えられるが、本構成によれば、交差区間内でジャムが検出されると、紙間制御部43により、交差区間内における当該ジャムの発生箇所が交差区間から記録紙が排出される排出口に近づくにつれて紙間時間が大きく拡大されるため、交差区間内におけるジャムの検出時点以降は、次の記録紙が交差区間内に搬入されるまでに、先に搬入された記録紙が交差区間内に残存せずに排出されている可能性が当該ジャムの発生箇所に応じて高まるようになる。つまり、当該ジャムの発生箇所に応じて記録紙の接触機会が適切に軽減され、ジャムの発生が軽減される。
【0074】
また、ジャム検出部42によりジャムが検出されることなく画像形成処理が連続して行われる状況、つまり、コンティニューカウンタの値が大きい状況は、画像形成処理後の記録紙の搬送中のジャムの発生が軽減されている状況を示しているといえる。
【0075】
本構成では、紙間制御部43は、ステップS1において、コンティニューカウンタの値が予め定められた閾値以上であると判断する状況、つまり、ジャムが発生することなく予め定められた閾値回数以上連続して画像形成処理が実行され、ジャムの発生が或る程度軽減されているものと判断することができる状況になると、コンティニューカウンタの値が大きくなるにつれて、つまり、ジャムの発生が軽減される状況になるにつれて紙間レベルが1つずつ小さく設定されるため、これに対応して紙間時間が縮小され、画像形成処理の生産性が向上されるようになる。
【0076】
尚、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記のステップS1、S2、S13及びS14(図4)の処理を実行しないように簡略化して構成してもよい。
【0077】
また、紙間制御部43が、ジャム検出部42により当該ジャムの発生を検出したジャム検出センサの配置位置に応じて紙間レベルの値を設定して記憶部53の不揮発性メモリに記憶する処理は、上記のステップS7〜S12に限定する趣旨ではない。例えば、ジャム検出センサC1,C2,C3以外のジャム検出センサから出力される検出信号に基づいて記録紙の搬送中のジャムの発生が検出されたとき(S11;NO)に、紙間制御部43が、ジャム検出センサC1,C2,C3以外のジャム検出センサの配置位置に応じて紙間レベルの値を設定する処理ステップを実行するように構成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、画像形成された記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間は、内部トレイ335におけるガイド324とガイド325で区切られる区間(図2)であるものとして説明した。しかし、交差区間をこれに限定する趣旨ではなく、例えば、図1に示すように、搬入経路Raと排出経路Rbが交差する箇所である2つのスイッチバックローラ211a,211bの間の区間として、当該区間内における離間した位置にジャム検出センサを配置してもよい。
【0079】
或いは、画像が形成された面を表(上方)にして排出すべく記録紙が搬入される搬入経路と、画像が形成された面を裏(下方)にして排出するために記録紙をフェイスダウンして排出するための排出経路とが交差する区間を搬送経路上に備える画像形成装置においては、当該交差する区間を上記の交差区間として構成し、当該交差区間における離間した位置にジャム検出センサを配置してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として複写機を例に説明したが、これに限らず、カラー画像形成用のカラープリンタや、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びコピー機能等を兼ね備えた複合機であっても構わない。
【0081】
また、上記実施形態において図1乃至図5に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0082】
1 複写機(画像形成装置)
22 用紙搬送部
23 ドラム回転部(画像形成部)
24 帯電部(画像形成部)
25 露光部(画像形成部)
26 現像部(画像形成部)
27 転写部(画像形成部)
28 定着部(画像形成部)
42 ジャム検出部(搬送ジャム検出部)
43 紙間制御部
C1,C2,C3 ジャム検出センサ(搬送ジャム検出部)
R1,R2,Ra 搬入経路
R4,Rb 排出経路
211a,211b スイッチバックローラ(交差区間)
324,325 ガイド(交差区間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、
予め定められた紙間時間で前記記録紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成部による前記画像形成処理後の前記記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された前記記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間を含む、前記用紙搬送部により前記記録紙が搬送される搬送経路と、
前記搬送経路上に離間して配置され、前記記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する搬送ジャム検出部と、
前記搬送ジャム検出部により前記交差区間内で発生したジャムが検出されると、前記紙間時間を予め定められた時間拡大する紙間制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記紙間制御部は、前記搬送ジャム検出部により前記交差区間内でジャムが検出されると、前記交差区間内における当該ジャムの発生を検出した前記搬送ジャム検出部の配置位置が前記交差区間から前記記録紙が排出される排出口に近づくにつれて、前記紙間時間を予め定められた時間大きく拡大する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記紙間制御部は、前記搬送ジャム検出部によりジャムが検出されることなく前記画像形成部により前記画像形成処理が連続して行われる回数が多くなるにつれて、前記紙間時間を予め定められた時間縮小する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録紙に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成ステップと、
予め定められた紙間時間で前記記録紙を搬送する用紙搬送ステップと、
前記画像形成ステップによる前記画像形成処理後の前記記録紙が搬入される搬入経路と当該搬入された前記記録紙が排出される排出経路とが交差する区間である交差区間を含む、前記用紙搬送ステップにより前記記録紙が搬送される搬送経路上の離間した位置において、前記記録紙の搬送中に発生するジャムを検出する搬送ジャム検出ステップと、
前記搬送ジャム検出ステップにより前記交差区間内で発生したジャムが検出されると、前記紙間時間を予め定められた時間拡大する紙間制御ステップと、
を備える画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58576(P2012−58576A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202944(P2010−202944)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】