説明

画像形成装置

【課題】 現像領域から感光体上に載って移動してきた現像剤を感光体内に配置されている磁石とキャリア回収ローラの磁石で形成される磁界により、キャリア回収ローラ上に付着させることで、転写器へのキャリアの進入を防止し、白抜け画像の発生や感光体の破壊を防ぐ画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】 感光体1上に形成された静電潜像を、内部に固定された磁石を備えた現像ローラ3a上にキャリアとトナーよりなる現像剤で磁気ブラシを形成して現像する現像装置を用いた画像形成装置において、前記現像ローラ3a下流側に配置されて磁化されたキャリア回収ローラ8、このキャリア回収ローラ8と対向する位置で前記感光体1内に設けられた磁石9を備え、この磁石9による磁界が、前記感光体1外側接線方向と平行に形成されている画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像剤によって潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置を備える複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、画像形成装置において現像後の不要な現像剤が転写器に進入した場合、トナー像を転写紙に転写するさいにトナーの転写が妨げられ、画像の白抜けの発生、感光体表面の傷付け、放電破壊等の欠陥を生じることになることが知られている。そこで、これを回避するために、感光体表面に付着した現像剤(キャリア)を磁気力によって吸引捕獲する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
画像部を露光し静電潜像を感光体上に形成し、これを現像剤によって可視化する画像形成装置の現像装置には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるものが知られている。かかる現像装置では、現像剤を感光体近傍まで搬送するとともに静電潜像に応じて感光体にトナーを移行させるための現像ローラが用いられる。
この現像ローラは、通常、内部に固定された磁石を有しており、この磁石は現像器内で攪拌された現像剤を現像ローラ上に移行させる機能、ドクターブレードで均一な現像剤層厚を形成するための機能、感光体との近接位置で磁気ブラシを接触させる機能、現像領域を通過後に現像器内に現像剤を戻す機能を磁界によって形成するように着磁されている。
このような現像装置においては、現像領域を通過した後、現像器内に現像剤を戻すさいに、その現像剤の一部が現像器内に戻らずに現像されたトナーの静電力により感光体に付着したまま転写器に進入してしまったり、現像器下へ落下してしまう現象を発生することがある。
このような現象が発生すると、例えば、現像剤が転写器に進入した場合、上述したように、トナー像を転写紙に転写するさいにトナーの転写が妨げられて画像に白抜けが発生したり、感光体表面を傷付けたり、放電破壊等の欠陥を生じることになる。
【特許文献1】実公平8−2685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、感光体表面に付着した現像剤(キャリア)を磁気力によって吸引捕獲する方法を開示している。しかし、この技術では、感光体に近づけないと捕獲が困難であり、しかも近づけると捕獲した現像剤が穂を形成し感光体上のトナー像を乱すことになる。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、現像領域から感光体上に載って移動してきた現像剤を感光体内に配置されている磁石とキャリア回収ローラの磁石で形成される磁界により、キャリア回収ローラ上に付着させることで、転写器へのキャリアの進入を防止し、白抜け画像の発生や感光体の破壊を防ぐ画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、感光体上に形成された静電潜像を、内部に固定された磁石を備えた現像ローラ上にキャリアとトナーよりなる現像剤で磁気ブラシを形成して現像する現像装置を用いた画像形成装置において、前記現像ローラ下流側に配置されて磁化されたキャリア回収ローラと、該キャリア回収ローラと対向する位置で前記感光体内に設けられた磁石とを備え、該磁石による磁界が、前記感光体外側接線方向と平行に形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、プリント動作以外の非作像時に、前記キャリア回収ローラを回転させることにより、当該キャリア回収ローラに付着したキャリアを除去することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記感光体として、非晶質シリコン系光導電材料を用いた請求項1または2記載の画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、現像領域から離れてきた現像剤を、感光体内側の磁石とキャリア回収ローラの磁石による磁界により、感光体に付着したキャリアを誘導し、キャリア回収ローラへ付着させることによって、転写装置へのキャリアの進入を防止し、白抜け画像の発生や感光体の破壊を防ぐことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の対象である画像形成装置を示す概略構成図である。図1において、画像形成装置は感光体1を一様に帯電する帯電装置2、画像情報を感光体1に静電潜像として記録する半導体レーザ、LED等を光源とする露光装置(図示せず)を備えている。
この画像形成装置は、また、感光体1の静電潜像をトナーで顕像化するための現像装置3の現像スリーブ(現像ローラ)3a、転写紙Pへ感光体1上のトナー像を転写するための転写装置4、転写されずに感光体1上に残ったトナーを除去するためのクリーニング装置5、感光体1上の電荷を除去するためのLED等を光源とする除電光照射装置6、転写紙Pを感光体1から分離する分離爪7等から構成されている。
画像形成装置本体が起動し、感光体1が回転を開始した後、帯電を開始する。帯電された部分が現像装置3に到達したときに現像バイアスを印加し始める。現像装置3は内部に固定された磁石(図示せず)を備えた現像ローラ3a上にキャリアとトナーよりなる現像剤で磁気ブラシを形成して現像する。そして転写紙Pの検知により露光装置により画像露光を開始する。
転写紙Pが転写装置4へ到達するのに合わせて転写装置4への電圧印加を開始する。転写紙Pへ転写されずに感光体1上に残ったトナー20はクリーニング装置5によって除去される。画像形成装置本体は転写紙Pを排出した後、その作動を停止する。
図2は本発明の現像装置部分の構成を示す概略図である。図2に示すように、現像装置の現像ローラ3aの下流側に磁石10を内蔵したキャリア回収ローラ8を備えている。また、感光体1内側でキャリア回収ローラ8に対向する位置に磁石9を配置している。
【0007】
図3は図2の構成で形成する磁界をその構成を拡大して説明する概略図である。図3において、点線で示すような磁界を感光体1内側の磁石9とキャリア回収ローラ8に内蔵した磁石10の間に形成させる。それにより現像領域通過後、図上a、b、cに示すように感光体1上に載っているキャリアを誘導し、キャリア回収ローラ8上に付着させる。
図4はキャリア回収ローラ上に付着したキャリアを掻き落とす回収ブレードを示す概略図である。図5は図4の回収ブレードがキャリア回収ローラ上に付着したキャリアを掻き落としている状態を示す概略図である。
キャリア回収ローラ8に付着したキャリアdは蓄積されると、感光体1に接するようになり(図4参照)、感光体1上に形成されたトナー像を乱してしまう可能性がある。
このため、図4に示すように、キャリア回収ローラ8上に付着したキャリアdの蓄積を回避するためにキャリア回収ローラ8を回転させて、回収ブレード11によりキャリアdを掻き落とす(図5参照)。掻き落としたキャリアは現像装置(図示せず)内に戻すこともできる。
キャリア回収ローラ8に付着したキャリアdをキャリア回収ローラ8から除去することで、キャリア回収ローラ8に付着したキャリアdが感光体1と接して、感光体1上のトナー像を乱すことを防止する。それと同時に、転写装置4(図1参照)へのキャリアの進入を防止し、結果として白抜け画像の発生や感光体1の破壊を防ぐことが可能になる。
とくに感光体として非晶質シリコン系感光体を用いた画像形成装置においては、非晶質シリコン系感光体の特性として放電破壊に弱いためにキャリアの転写部への進入を避ける必要がある。
図6はプリント枚数と画像上に現れた放電破壊によるピンホールの個数の関係をグラフで示す図である。図6に示すように、非晶質シリコン系感光体を実験機に装着してランニングテストを行った。
画像上に現れた放電破壊によるピンホールの個数を感光体1周あたりについて求めた結果をプロットした。図6では本発明方式と従来方式についての結果を示している。
図6から明らかなように、本発明によれば、画像上に現れた放電破壊によるピンホールの個数が従来方式に比べて少ない。したがって、本発明を、キャリアの転写装置への進入による放電破壊が発生し易い非晶質シリコン系感光体に適用することで、感光体1の寿命を延ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の対象である画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の構成を示す概略図。
【図3】図2の構成で形成する磁界をその構成を拡大して説明する概略図。
【図4】キャリア回収ローラ上に付着したキャリアを掻き落とす回収ブレードを示す概略図。
【図5】図4の回収ブレードがキャリア回収ローラ上に付着したキャリアを掻き落としている状態を示す概略図。
【図6】プリント枚数と画像上に現れた放電破壊によるピンホールの個数の関係をグラフで示す図。
【符号の説明】
【0009】
1 感光体、3 現像装置、3a 現像スリーブ(現像ローラ)、4 転写装置、8 キャリア回収ローラ、9 磁石(感光体内側の)、10 磁石(キャリア回収ローラ内蔵の)、11 回収ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に形成された静電潜像を、内部に固定された磁石を備えた現像ローラ上にキャリアとトナーよりなる現像剤で磁気ブラシを形成して現像する現像装置を用いた画像形成装置において、前記現像ローラ下流側に配置されて磁化されたキャリア回収ローラと、該キャリア回収ローラと対向する位置で前記感光体内に設けられた磁石とを備え、該磁石による磁界が、前記感光体外側接線方向と平行に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
プリント動作以外の非作像時に、前記キャリア回収ローラを回転させることにより、当該キャリア回収ローラに付着したキャリアを除去することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体として、非晶質シリコン系光導電材料を用いたことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−215402(P2006−215402A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29678(P2005−29678)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】