説明

画像形成装置

【課題】転写紙の両面にワンパス方式で画像を形成し、且つ、第1転写ユニットと第2転写ユニットとのレイアウトを縦横にバランスのとれたものにすることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1転写ユニット20内で互いに最も離れた位置にある2つのローラのうち第2転写ユニット40からより離れた位置にある方をローラRa、他方をローラRbと表し、第2転写ユニット40内で互いに最も離れた位置にある2つのローラのうち第1転写ユニット20からより離れた位置にある方をローラRd、他方をローラRcと表し、ローラRaの中心とローラRbの中心とを結ぶ線分、ローラRcの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分、ローラRaの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分をそれぞれL1、L2、L3と表した場合に、線分L1、L2及びL3をそれぞれ鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜させ、これら線分のうち線分L3を最も長くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるワンパス方式で記録体の両面にそれぞれ画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、転写紙等の記録体の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式は、転写手段と定着手段とを通過して一方の面に画像が形成された記録体を反転させた後、転写手段と定着手段とにスイッチバックさせる。そして、もう一方の面にも画像を形成する。これに対し、ワンパス方式は、両面転写手段によって記録体の両面に可視像を転写した後、その記録体を定着手段に通して両面の可視像を同時に定着せしめる。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャムを、何れも回避し得る点である。かかるワンパス方式で記録体の両面に画像を形成する画像形成装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の形状で第1中間転写ベルトを張架している第1ベルトユニットと、同じく縦長の姿勢で第2中間転写ベルトを張架している第2ベルトユニットとを備えている。また、これらベルトユニットにそれぞれ個別に対応する2つの感光体群を備えている。2つの感光体群は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を形成するためのY,M,C,K用という4つの感光体からなる。縦長形状の第1ベルトユニット、第2ベルトユニットは、互いの水平方向の投影像が全く重ならないように鉛直方向にストレートに並べて配設されている。第1ベルトユニットの側方に配設された感光体群の4つの感光体上に形成されたY,M,C,Kトナー像は、第1中間転写ベルトに重ね合わせて転写されて4色の第1トナー像になる。また、第2ベルトユニットの側方に配設された感光体群の4つの感光体に形成されたY,M,C,Kトナー像は、第2中間転写ベルトに重ね合わせて転写されて4色の第2トナー像になる。これら第1トナー像、第2トナー像は、両中間転写ベルトの間に搬送された転写紙の第1面、第2面に2次転写される。
【0004】
上記特許文献2の画像形成装置は、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で第1中間転写ベルトを張架する第1ベルトユニットと、同じく横長の形状で第2中間転写ベルトを張架する第2ベルトユニットとを備えている。また、これらベルトユニットにそれぞれ個別に対応する2つの感光体群とを備えている。2つの感光体群は、それぞれ、Y,M,C,K用の4つの感光体からなる。横長形状の第1ベルトユニット、第2ベルトユニットは、互いの鉛直方向の投影像が全く重ならないように互いに水平方向にストレートに並べて配設されている。第1ベルトユニット、第2ベルトユニット上には、それぞれ感光体群からのトナー像の重ね合わせ転写により、4色の第1トナー像、4色の第2トナー像が形成される。
【0005】
【特許文献1】特開平11−38687号公報
【特許文献2】特開2000−352889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の画像形成装置は、縦長形状の2つの中間転写ベルトを鉛直方向にストレートに重ねて配設していることで、全体として水平方向よりも鉛直方向に遙かに大きなスペースをとるバランスの悪いレイアウトになっていた。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の画像形成装置は、横長形状の2つの中間転写ベルトを水平方向にストレートに並べて配設していることで、鉛直方向よりも水平方向に遙かに大きなスペースをとるバランスの悪いレイアウトになっていた。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置を提供することである。即ち、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、且つ、第1ベルトユニットと第2ベルトユニットとのレイアウトを縦横にバランスのとれたものにすることができる画像形成装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第1可視像を担持する第1像担持ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第1ベルトユニットと、該第1像担持ベルトの表面に第1可視像を形成する第1可視像形成手段と、第2可視像を担持する第2像担持ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第2ベルトユニットと、該第2像担持ベルトの表面に第2可視像を形成する第2可視像形成手段とを備え、記録体に可視像を定着せしめる定着手段に送る前の記録体に対して、その第1面に該第1像担持ベルト上の第1可視像を転写し、且つその第2面に該第2像担持ベルト上の第2可視像を転写して、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置において、上記第1ベルトユニットにおける複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つのうちの一方であって他方よりも該第2ベルトユニットから離れた位置にある張架ローラをローラRaと表し、該他方の張架ローラをローラRbと表し、上記第2ベルトユニットにおける複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つのうちの一方であって他方よりも該第1ベルトユニットから離れた位置にある張架ローラをローラRdと表し、該他方の張架ローラをローラRcと表し、ローラRaの中心とローラRbの中心とを結ぶ線分を線分L1と表し、ローラRcの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分を線分L2と表し、且つローラRaの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分をL3と表した場合に、線分L1、線分L2及び線分L3をそれぞれ鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜させ、且つ、これら線分のうち線分L3を最も長くしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記線分L3を境にして、該線分L3よりも上方の領域と、該線分L3よりも下方の領域とのうち、該下方の領域に、上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットに向けて供給するための記録体を収容する記録体収容手段を配設したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットに向けて供給するための記録体を画像形成装置の筺体外で手差しで載置する手差し載置台を、上記線分L3と同じ方向に傾けて、該線分L3と上記記録体収容手段との間に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の画像形成装置において、上記第1像担持ベルトと上記第2像担持ベルトとを当接させながら、当接部で互いに表面を同方向に移動させ、且つ、該当接部に挟み込んだ記録体に対して該当接部内で上記第1可視像及び第2可視像を転写させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の画像形成装置において、画像形成装置の筺体の上面の少なくとも一部を、上記線分L1と上記線分L2とのうち、該上面により近い方と同じ方向に傾けた形状にして、該筺体内から排出されてくる記録体のスタック台として用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットと、記録体に可視像を定着せしめる定着手段とを順次通過した後の記録体を画像形成装置の筺体外に向けて搬送する排出路として、複数に分岐したものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、定着手段に送る前の記録体に対して、その第1面に第1像担持ベルト上の第1可視像を転写し、且つその第2面に該第2像担持ベルト上の第2可視像を転写することで、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成することができる。
また、これらの発明において、第1ベルトユニットと第2ベルトユニットとの組合せは、線分L3を通る箇所の両端で最も寸法が長くなり、且つこの箇所が鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜する。一般に、画像形成装置の筺体内は、天板の左右いずれか一方の端と、底板の左右反対側の端とを結ぶ対角線上で、最もスペースが長くなる。本発明では、線分L3を鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜させたことで、第1ベルトユニットと第2ベルトユニットとの組合せにおいて最も寸法の長くなる箇所を、筺体内で最もスペースが長くなる対角線に沿うように位置させることができる。そして、このことにより、縦、横の両方向におけるスペース拡大を抑えて、第1ベルトユニットと第2ベルトユニットとのレイアウトを縦横にバランスのとれたものにすることができる。また、線分L2及び線分L3も、鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜させたので、線分L2及び線分L3を鉛直方向又は水平方向の何れかに沿わせる場合に比べて、設計の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、可視像たるトナー像を形成するためのトナー像形成手段として、第1プロセスユニット群1と、第2プロセスユニット群11とを備えている。第1プロセスユニット群1は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック(以下、Y,M,C,Kと記す)の第1トナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの第1プロセスユニット2Y,M,C,Kからなる。また、第2プロセスユニット群11は、Y,M,C,Kの第2トナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの第2プロセスユニット12Y,M,C,Kからなる。なお、第1トナー像は、後述する転写紙Pの第1面と第2面とのうち、第1面に転写されるトナー像である。また、第2トナー像は、第2面に転写されるトナー像である。
【0012】
4つの第1プロセスユニット2Y,M,C,Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するための第1プロセスユニット2Yを例にすると、これは、図2に示すような構成になっている。具体的には、Y用の第1プロセスユニット2Yは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y、一様帯電装置4Y、光書込装置5Y、現像装置6Y、ドラムクリーニング装置7Y、除電装置8Y等を有している。
【0013】
Y用の第1プロセスユニット2Yの感光体3Yは、直径25〜120[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。
【0014】
一様帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体3Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体3Yの表面は、光書込装置5Yから発せられるレーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置6YによってY第1トナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト21上に1次転写される。ドラムクリーニング装置7Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置8Yは、クリーニング後の感光体3Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他の第1プロセスユニット2M,C,Kにおいても、同様にして感光体3M,C,K上にM,C,K第1トナー像が形成され、第1中間転写ベルト21上に重ね合わせて1次転写される。
【0015】
先に示した図1において、プリンタ本体の筺体内における図中左上のスペースには、後述する制御部E2と、画像データ処理装置E1とが配設されている。画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成する。そして、図2に示した第1プロセスユニット2Yの光書込装置5Yに、その露光走査制御信号を送る。潜像形成手段たる光書込装置5Yは、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザー光Lを、第1プロセスユニット2Yの感光体3Yに照射する。この照射を受けて露光された感光体2Y上には、Y用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置5Yは、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の光書込装置5Yに代えて、LEDアレイからのLED光を照射する光書込手段を採用しても良い。
【0016】
図1において、第1プロセスユニット群1の図中右側方には、第1像担持ベルトたる第1中間転写ベルト21を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット20が配設されている。この第1転写ユニット20は、4つの1次転写ローラ22Y,M,C,K、クリーニングバックアップローラ23、ニップ上流ローラ24、2次転写部第1入口ローラ25、2次転写部第1中間ローラ26、2次転写部第1出口ローラ27を有している。第1中間転写ベルト21は、これら9つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写ローラ22Y,M,C,Kは、それぞれ、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト21を、第1プロセスユニット群1の感光体3Y,M,C,Kとの間に挟み込んでY,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。これら1次転写ローラは、第1中間転写ベルト21の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。
【0017】
第1中間転写ベルト21は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が10〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率が、10〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。そして、無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、第1プロセスユニット群1の感光体3Y,M,C,K上のY,M,C,K第1トナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって第1中間転写ベルト21上に重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト21上に4色重ね合わせ第1トナー像(以下、4色第1トナー像という)が形成される。1次転写ローラ22Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0018】
第2プロセスユニット群11は、第1プロセスユニット群1の図中右下に配設されている。第2プロセスユニット群11の各第2プロセスユニット12Y,M,C,Kは、第1プロセスユニット群1の各プロセスユニット2Y,M,C,Kとほぼ同様の構成になっている。Y用の第2プロセスユニット12Yを例にすると、これは図3に示すように、Y用の第1プロセスユニット2Yを水平方向に180°反転させた構造になっている。
【0019】
図1において、第2プロセスユニット群11Yの図中右側方には、第2像担持ベルトたる第2中間転写ベルト41を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット40が配設されている。この第2転写ユニット40は、4つの1次転写ローラ42Y,M,C,K、クリーニングバックアップローラ43、テンションローラ44、ニップ上流ローラ45、2次転写部第2入口ローラ46、2次転写部第2中間ローラ47、2次転写部第2出口ローラ48を有している。第2中間転写ベルト41は、これら10個のローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。1次転写ローラ42Y,M,C,Kは、それぞれ、このように無端移動せしめられる第2中間転写ベルト41を、第2プロセスユニット群11の感光体13Y,M,C,Kとの間に挟み込んでY,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。これら1次転写ローラは、第2中間転写ベルト41の裏面にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。
【0020】
第2中間転写ベルト41は、第1転写ユニット20の第1中間転写ベルト21と同様の構成になっている。そして、無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。第2転写ユニット40の各1次転写ニップでは、第2プロセスユニット群11の感光体13Y,M,C,K上のY,M,C,K第2トナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって第2中間転写ベルト41上に重ね合わせて1次転写される。これにより、第2中間転写ベルト41上に4色重ね合わせ第2トナー像(以下、4色第2トナー像という)が形成される。
【0021】
第1中間転写ベルト21における2次転写部第1入口ローラ25と2次転写部第1出口ローラ27との間の展張箇所は、第2中間転写ベルト41における2次転写部第2入口ローラ46と2次転写部第2出口ローラ48との間の展張箇所に当接している。これにより、両中間転写ベルトのおもて面が当接しながら互いに同方向に移動する2次転写部が形成されている。
【0022】
この2次転写部の図中左側方付近には、後述する給紙カセット等から供給される記録体たる転写紙Pを、所定のタイミングで2次転写部に送り出すレジストローラ対87が配設されている。このレジストローラ対87に送り出された転写紙Pは、2次転写部に挟み込まれながら搬送される過程で、第1中間転写ベルト21上の4色第1トナー像が第1面に2次転写される。また、第2中間転写ベルト41上の4色第2トナー像が第2面に2次転写される。これらトナー像は、転写紙Pの白色に相まって、第1フルカラートナー像、第2フルカラートナー像となる。
【0023】
2次転写部で両面にフルカラートナー像が形成された転写紙Pは、2次転写部から、定着装置60に受け渡される。この定着装置60は、互いに無端移動しながら当接する第1定着ベルト61、第2定着ベルト64を有している。第1定着ベルト61は、第1加圧ローラ62と第1加熱ローラ63とによって張架されながら、第1加圧ローラ62に対するベルト掛け回し箇所を第2定着ベルト64に当接させている。また、第2定着ベルト64は、第2加圧ローラ65と第2加熱ローラ66とによって張架されながら、第2加圧ローラ65に対するベルト掛け回し箇所を第1定着ベルト61に当接させている。この当接により、両定着ベルトが当接しながら互いに順方向に移動する定着ニップが形成されている。第1加熱ローラ63、第2加熱ローラ66は、それぞれ、内部にハロゲンランプ等の熱源を有しており、第1定着ベルト61、第2定着ベルト64を加熱する。第1定着ベルト61、第2定着ベルト64は、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、上述の制御部E2に温度検知信号を送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、第1加熱ローラ63、第2加熱ローラ66の熱源に対する電源供給をON/OFF制御して、第1定着ベルト61、第2定着ベルト654の表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。
【0024】
2次転写部から送り出された転写紙Pは、定着装置60の第2定着ベルト64上に保持されながら、定着ニップに送られる。そして、ここで、両面側から加熱及び加圧されて、第1面、第2面に第1フルカラートナー像、第2フルカラートナー像が定着せしめられる。定着処理後の転写紙Pは、反転ガイド部材70に沿って反転せしめられた後、排紙ローラ対71を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック台72にスタックされる。
【0025】
2次転写部を通過した後の第1中間転写ベルト21は、第1転写ユニット20のクリーニングバックアップローラ23と、第1ベルトクリーニング装置28との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第1ベルトクリーニング装置28に回収された転写残トナーは、図示しない廃トナー収容器に送られる。また、2次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト41は、第2転写ユニット40のクリーニングバックアップローラ43と、第2ベルトクリーニング装置49との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2ベルトクリーニング装置49に回収された転写残トナーは、図示しない廃トナー収容器に送られる。なお、第2ベルトクリーニング装置49によるクリーニング位置を通過した第2中間転写ベルト41は、そのおもて面が押圧ローラ50によって押圧されることにより、ループ軌道がループ内に湾曲せしめられる。
【0026】
以上の構成の本プリンタでは、第1転写ユニット20が、第1可視像たる4色第1トナー像を担持する第1像担持ベルトとしての第1中間転写ベルト21を複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第1ベルトユニットとして機能している。また、第2転写ユニット40が、第2可視像たる4色第2トナー像を担持する第2像担持ベルトとしての第2中間転写ベルト41を複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第2ベルトユニットとして機能している。また、第1プロセスユニット群1が、第1中間転写ベルト21の表面に4色第1トナー像を形成する第1可視像形成手段として機能している。また、第2プロセスユニット群11が、第2中間転写ベルト41の表面に4色第2トナー像を形成する第2可視像形成手段として機能している。
【0027】
本プリンタでは、転写紙Pの両面にそれぞれフルカラートナー像を形成する両面フルカラーモードの他に、両面に単色トナー像を形成する両面単色モードのプリントも可能である。この場合には、第1プロセスユニット群1、第2プロセスユニット群11において、それぞれ、出力する色のプロセスユニットによる作像だけを行う。
【0028】
また、本プリンタでは、転写紙Pの片面だけにフルカラートナー像を形成する片面フルカラーモードのプリンタアウトも可能である。このモードで、転写紙Pの第1面にフルカラートナー像を形成する場合には、第1プロセスユニット群1による作像だけを行い、第2プロセスユニット群11による作像は行わない。これに対し、第2面にフルカラートナー像を形成する場合には、第2プロセスユニット群11による作像だけを行い、第1プロセスユニット群12による作像を行わない。なお、転写紙Pの片面だけに単色トナー像を形成する片面単色モードのプリントアウトも可能である。
【0029】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
第1ベルトユニットとしての第1転写ユニット20において、第1中間転写ベルト21を張架している複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つは、クリーニングバックアップローラ23と2次転写部第1出口ローラ26である。これら2つの張架ローラの一方であって他方よりも第2転写ユニット20から離れた位置にある張架ローラは、クリーニングバックアップローラ23である。また、他方の張架ローラは、2次転写部第1出口ローラ26である。以下、これらクリーニングバックアップローラ23、2次転写部第1出口ローラ26を、それぞれ、ローラRa、ローラRbとも言う。
【0030】
また、第2ベルトユニットとしての第2転写ユニット40において、第2中間転写ベルト41を張架している複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つは、2次転写部第2出口ローラ48とテンションローラ44である。これらのうちの一方であって他方よりも第1転写ユニット20から離れた位置にあるものは、テンションローラ44である。また、他方の張架ローラは、2次転写部第2出口ローラ48である。以下、これらテンションローラ44、2次転写部第2出口ローラ48を、それぞれ、ローラRd、ローラRcとも言う。
【0031】
図4は、第1転写ユニット20及び第2転写ユニット40からなる両面転写装置を示す拡大構成図である。同図において、線分L1は、ローラRaの中心と、ローラRbの中心とを結ぶ線分である。また、線分L2は、ローラRcの中心と、ローラRdの中心とを結ぶ線分である。また、線分L3は、ローラRaの中心と、ローラRdの中心とを結ぶ線分である。なお、ローラに対するベルト掛け回し箇所では、例えば図5に示すように、ベルトが角度θの範囲でローラに掛け回されている。
【0032】
本プリンタでは、同図に示すように、線分L1、線分L2、線分L3を、それぞれ傾斜させるように、各張架ローラを配設している。そして、これら線分のうち、線分L3を最も長くしている。このような構成において、第1転写ユニット20は、線分L1を通る箇所の両端で最も寸法が長くなる。また、第2転写ユニット40は、線分L2を通る箇所の両端で最も寸法が長くなる。そして、第1転写ユニット20と第2転写ユニット40とからなる複合ユニットたる両面転写装置は、線分L3を通る箇所の両端で最も寸法が長くなる。画像形成装置の筺体内は、図示のように、天板の左右方向の一端と、底板の左右方向の反対側の端とを結ぶ対角線上で、最もスペースが長くなる。本プリンタでは、線分L3を傾斜させたことで、両面転写装置において最も寸法の長くなる線分L3の箇所を通る箇所を、筺体内で最もスペースが長くなる対角線に沿うように位置させることができる。そして、このことにより、縦、横の両方向におけるスペース拡大を抑えて、両面転写装置のレイアウトを縦横にバランスのとれたものにすることができる。
【0033】
なお、線分L1と線分L2とのなす角度については、120〜180[°]に設定することが望ましい。120[°]以下に設定すると、縦横にバランスのとれたレイアウトにし得るという効果が、得られ難くなるからである。
【0034】
線分L3よりも上方の領域と、線分L3よりも下方の領域とのうち、後者の領域には、先に図1に示したように、第1給紙カセット81、第2給紙カセット82が配設されている。これらは、第1転写ユニット20及び第2転写ユニット40に向けて供給するための転写紙Pを収容する記録体収容手段として機能しており、それぞれ、内部に複数の転写紙を重ねた転写紙束を収容している。そして、一番上の転写紙Pに、第1給紙ローラ83、第2給紙ローラ84を当接させており、その回転駆動によって転写紙Pを第1給紙路85に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、複数の搬送ローラ対86と、レジストローラ対87とを経由した後、上述の2次転写部内に挟まれる。
【0035】
一般に、画像形成装置において、給紙カセットは、装置本体に対して比較的に頻繁に出し入れされる。また、転写紙束を収容することから、重量が比較的重い機器となっている。本プリンタでは、このように頻繁に出し入れされ且つ重い第1給紙カセット81、第2給紙カセット82を、上述の線分L3よりも下方に配設している。かかる構成では、線分L3よりも上方に配設した場合とは異なり、給紙カセット用の支持台を、第1転写ユニット20や第2転写ユニット40に邪魔されることなく、装置本体筺体の底面上に固定することが可能である。よって、重くて出し入れが頻繁な給紙カセットを各転写ユニットの上方で確実に支持させるために筺体の側板を補強するといった対策を講ずることなく、第1給紙カセット81、第2給紙カセット82を筺体内で確実に支持することができる。
【0036】
上述の線分L3と、第1給紙カセット81との間には、第1転写ユニット20及び第2転写ユニット40に向けて供給するための転写紙Pを筺体外で手差しで載置する手差し載置台88が設けられている。この手差し台88が設けられたところでは、装置本体の筺体が側方から筺体内に食い込むような形状になっている。このため、第1給紙カセット81の上方であっても、手差し載置台88は、筺体外となっている。
【0037】
従来の画像形成装置では、手差し載置台を本体筺体の側板に開閉可能に設けていた。このような手差し載置台は、筺体の側板から大きく外側に出っ張ることから、画像形成装置の設置スペースを大きくしていた。しかしながら、本プリンタでは、手差し載置台88を、上述の線分L1と第1給紙カセット80との間に設けることで、図示のように、手差し台88を、筺体内に食い込ませて配設することができる。これにより、筺体の側板に開閉可能に設けた手差し載置台を本体外側に出っ張らせることによる本体の設置スペースの増加を回避することができる。なお、手差し載置台88上に載置された転写紙Pは、手差し給紙ローラ89の回転によって第1給紙路85に向けて送り出される。
【0038】
なお、本プリンタでは、上述した線分L3を傾斜させ、且つ、その下方に給紙カセットを設けたことにより、図1に示すように、給紙カセットを2次転写部にかなり近づけてファーストプリント速度を速めることができる。
【0039】
図6は、本プリンタにおける2次転写部とその周囲構成との第1例を示す模式図である。2次転写部では、第1中間転写ベルト21と第2中間転写ベルト41とが当接しているが、同図においては、便宜上、両ベルトを離間させて示している(後述する図7、8、9も同様)。この第1例では、第2中間転写ベルト41の裏面に当接している2次転写部第2入口ローラ46や2次転写部第2中間ローラ47を、2次転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。
【0040】
2次転写部第2入口ローラ46に印加される2次転写バイアスは、トナーの帯電極性とは逆のプラス極性となっている。これに対し、2次転写部第2中間ローラ47に印加される2次転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材として機能する第2転写部第1入口ローラ25、第2転写部第1中間ローラ26は、それぞれ接地されている。
【0041】
2次転写部に挟み込まれた転写紙Pは、まず、2次転写部第1入口ローラ25と、2次転写部第2入口ローラ46とが対向している前段2次転写部に進入する。この前段2次転写部では、トナーと逆極性であるプラスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、第1フルカラートナー像や第2フルカラートナー像を、転写バイアス対向部材である2次転写部第1入口ローラ25側から、転写バイアス部材である2次転写部第2入口ローラ46側に向けて静電的に引き寄せる電界である。かかる電界により、第1中間転写ベルト21の表面に担持されている第1フルカラートナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第1面に静電転写される。前段2次転写部では、トナー像を転写バイアス部材に向けて静電的に引き寄せる静電引き寄せ方式の転写が行われるのである。この転写の際、第2中間転写ベルト41上の第2フルカラートナー像は、転写紙Pの第2面に向かう方向とは逆となる2次転写部第2入口ローラ46に向けて引き寄せられるため、第2中間転写ベルト41表面に担持されたままの状態を維持する。
【0042】
前段2次転写部を通過した転写紙Pは、2次転写部第1中間ローラ26と、2次転写部第2中間ローラ47とが対向している後段2次転写部に進入する。この後段2次転写部では、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、トナー像を転写バイアス部材である2次転写部第2中間ローラ47側から、転写バイアス対向部材である2次転写部第1中間ローラ26側に向けて静電的に押し出す電界である。かかる電界により、第2中間転写ベルト41の表面に担持されている第2フルカラートナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第2面に静電転写される。後段2次転写部では、トナー像を転写バイアス部材側から転写バイアス対向部材側に向けて静電的に押し出す静電押し出し方式の転写が行われるのである。この転写の際、転写紙Pの第1面上の第1フルカラートナー像は、転写紙Pの第1面側から第1中間転写ベルト21側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、後段2次転写部にて第1面上の第1フルカラートナー像トナー像が第1中間転写ベルト21に逆転写されるようなことはなかった。
【0043】
2次転写部やその周囲構成としては、図7に示す第2例のものを採用してもよい。この第2例では、第1中間転写ベルト21の裏面に当接している2次転写部第1入口ローラ25や2次転写部第1中間ローラ26を、2次転写転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。2次転写部第1入口ローラ25に印加される2次転写バイアスは、トナーの帯電極性とは逆のプラス極性となっている。これに対し、2次転写部第1中間ローラ26に印加される2次転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材として機能する2次転写部第2入口ローラ46や2次転写部第2中間ローラ47は、それぞれ接地されている。
【0044】
前段2次転写部では、トナーと逆極性のプラスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、第2フルカラートナー像を、転写バイアス対向部材である2次転写部第2入口ローラ46側から、転写バイアス部材である2次転写部第1入口ローラ25側に向けて静電的に引き寄せる電界である。かかる電界により、第2中間転写ベルト41の表面に担持されている第2フルカラートナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第2面に静電転写される。前段2次転写部では、トナー像を転写バイアス部材に向けて静電的に引き寄せる静電引き寄せ方式の転写が行われるのである。この転写の際、第1中間転写ベルト21上の第1フルカラートナー像は、転写紙Pの第1面に向かう方向とは逆となる2次転写部第1入口ローラ25に向けて引き寄せられるため、第1中間転写ベルト21表面に担持されたままの状態を維持する。
【0045】
一方、後段2次転写部では、トナーと同極性のマイナスの2次転写バイアスの影響により、次のような転写電界が形成される。即ち、トナー像を転写バイアス部材である2次転写部第1中間ローラ26側から、転写バイアス対向部材である2次転写部第2中間ローラ47側に向けて静電的に押し出す電界である。かかる電界により、第1中間転写ベルト21の表面に担持されている第1フルカラートナー像が、ベルト表面から転写紙Pの第1面に静電転写される。後段2次転写部では、トナー像を転写バイアス部材側から転写バイアス対向部材側に向けて静電的に押し出す静電押し出し方式の転写が行われるのである。この転写の際、転写紙Pの第2面上の第2フルカラートナー像は、転写紙Pの第2面側から第2中間転写ベルト41側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、後段2次転写部にて第2面上の第2フルカラートナー像が第2中間転写ベルト41に逆転写されるようなことはなかった。
【0046】
2次転写部やその周囲構成としては、図8に示す第3例のものを採用してもよい。この第3例では、第1中間転写ベルト21の裏面に当接している2次転写部第1入口ローラ25aを、2次転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。また、第2中間転写ベルト41の裏面に当接している2次転写部第2中間ローラ47を、2次転写バイアスが印加される転写バイアスローラとして機能させている。2次転写部第1入口ローラ25に印加される2次転写バイアスは、トナーの帯電極性と同じマイナス極性となっている。また、2次転写部第2中間ローラ47に印加される2次転写バイアスも、マイナス極性となっている。なお、転写バイアス対向部材としての2次転写部第2入口ローラ46や2次転写部第1中間ローラ26は、それぞれ接地されている。
【0047】
前段2次転写部では、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、静電押し出し方式の転写が行われる。そして、第1フルカラートナー像が、転写バイアス部材である2次転写部第1入口ローラ25側から、転写バイアス対向部材である2次転写部第2入口ローラ46側に向けて静電的に押し出されて、第1面に転写される。
【0048】
一方、後段2次転写部においても、トナーと同極性であるマイナスの2次転写バイアスの影響により、静電押し出し方式の転写が行われる。そして、第2フルカラートナー像が、転写バイアス部材である2次転写部第2中間ローラ47側から、転写バイアス対向部材である2次転写部第1中間ローラ26側に向けて静電的に押し出されて、第2面に転写される。この転写の際、転写紙Pの第1面上の第1フルカラートナー像は、転写紙Pの第1面側から第1中間転写ベルト21側に向けて静電的に押し出される。しかしながら、本発明者らの実験によれば、後段2次転写部にて第1面上の第1フルカラートナー像が第1中間転写ベルト21に逆転写されるようなことはなかった。
【0049】
なお、図6、図7、図8を用いて、転写バイアス部材や転写バイアス対向部材としてそれぞれローラを用いた例を説明したが、非ローラ状の部材を用いてもよい。また、転写バイアス部材として機能させる張架ローラについては、金属、導電性樹脂、あるいは心金の周囲を導電性のゴムで被覆したローラを用いている。また、転写バイアス対向部材として機能させる張架ローラについては、金属、導電性樹脂、あるいは心金の周囲を導電性のゴムで被覆したローラを用いている。転写圧力を加えたとき、転写バイアスローラ、対向ローラの何れかを弾性変形させて、いわゆる転写ニップを確保できるように、何れか一方については弾性層を被覆している。
【0050】
2次転写部やその周囲構成として、図9に示す比較例のものを採用したとする。同図においては、前段、後段ともに、静電引き寄せ方式の転写が行われる。本発明者らはこの比較例では、後段2次転写部において、先に前段2次転写部で転写紙Pの第1面に転写された第1フルカラートナー像が第1面から第1中間転写ベルト21に逆転写してしまうことを実験によって確かめた。
【0051】
本プリンタのように、前段、後段という2次転写部を連続して設ける場合に、前段2次転写部で行われる転写としては次の2通りが考えられる。即ち、図中上側のベルトから転写紙Pの図中上側面にトナー像の転写を行った後に、図中下側のベルトから転写紙Pの図中下側面にトナー像の転写を行うケースと、この逆のケースである。後段2次転写部で行われる転写としても、同様の2通りのケースが考えられる。更に、前段、後段について、それぞれ静電引き寄せ方式であるか、静電押し出し方式であるかを考慮すると、両2次転写部での転写の方式の組合わせが、8通り成立する。本発明者らは、これら8通りの転写方式の全てを試験して、2次転写部におけるトナー像の逆転写の有無を調べてみた。次に示す表1は、これら8通りの転写方式と、後段2次転写部における逆転写の有無との関係を示している。
【表1】

【0052】
表1に示すように、8通りの転写方式において、第2転写部で逆転写が発生しなかったのは、実験番号3、4、7、8の4通りだけであった。これらに着目すると、全て後段2次転写部における転写が静電押し出し方式で行われていることがわかる。一方、逆転写が発生した実験番号1、2、5、6に注目すると、これらは全て後段2次転写部における転写が静電引き寄せ方式で行われていることがわかる。よって、前段、後段という連続する2次転写部を設ける場合には、後段に、静電押し出し方式を採用しないと、逆転写を引き起こしてしまうことが判明した。そこで、本プリンタにおいては、後段で静電押し出し方式を行わせるようにしている。後段2次転写部におけるトナー像の逆転写を抑えることができる。
【0053】
本プリンタでは、上述したように、次のようにして第1、第2フルカラートナー像を2次転写している。即ち、第1中間転写ベルト21と第2中間転写ベルト41とを当接させて前段、後段という連続する2次転写部を形成しながら、当接部で互いに表面を同方向に移動させ、且つ、転写紙Pに対して当接部内で第1、第2フルカラートナー像を転写させるようにしている。かかる構成では、第1、第2フルカラートナー像をともに、転写元であるベルトと、転写先である転写紙Pとを密着させながら転写する。このことにより、密着させないで転写することに起因する転写チリを回避することができる。
【0054】
なお、先に図1に示したように、第1給紙路85には、転写紙Pの第2面の表面平滑性を検知する反射型フォトセンサ等の第2面平滑性検知手段と、第1面の表面平滑性を検知する第1面平滑性検知手段とが配設されている。これら平滑性検知手段による検知結果に基づいて、2次転写部における第1面に対する転写条件(電圧値、電流値、転写圧など)や、第2面に対する転写条件が適宜設定される。これにより、第1面と第2面とで表面平滑性が著しく異なって、トナー像転写性に差が出ることによる第1フルカラートナー像と第2フルカラートナー像との画質差を抑えることができる。
【0055】
本プリンタでは、筺体の上面の少なくとも一部を、上述した線分L1と線分L2とのうち、上面により近い方である線分L1と同じ方向に傾けた形状にして、筺体内から排出されてくる転写紙Pのスタック台72としている。ここで言う「同じ方向」に傾けるとは、同じ角度で傾けるのではなく、右上がり、右下がりといった傾斜の方向を同じにすることを意味する。スタック台72を線分L1と同じ方向に傾けることにより、筐体内の空きスペースを増加させることなく、スタックのために傾斜させることが望ましいスタック台72を、筐体上面に設けることができる。
【0056】
定着装置60の図中右側方には、揺動軸73aを中心に揺動する排紙路選択レール73が配設されている。本プリンタにおいては、先に説明した反転ガイド板70に沿った反転排紙路の他に、定着装置60から本体の筺体側板に向けて真っ直ぐに延びる直線排紙路が設けられている。排紙路が複数に分岐しているのである。排紙路選択レール73の揺動により、これらのうち、どちらの排紙路経由で転写紙Pを排紙するのかが選択される。直線排紙路が選択された場合には、第2排紙ローラ対73を経て、筺体側板に設けられた第2スタック台74上に排紙される。このように、排紙路を複数に分岐することにより、普通紙などといった比較的腰の弱いものについては、反転排紙路経由で筺体上面のスタック台72上に排紙して多量にスタックする一方で、厚紙などといった腰の強いものについては、直線排紙路経由で第2スタック台74上に排紙する。これにより、厚紙を無理に湾曲させながら排紙することによるプリントアウト紙のカールを防止することができる。
【0057】
プリンタ本体の筐体内には、図示しない温湿度センサを設けており、これによる検知結果に基づいて、2次転写部における転写条件を変更させるようにしている。よって、環境変動に起因する転写性のバラツキを抑えることができる。
【0058】
定着装置60と第1転写ユニット20との間や、定着装置60と第2転写ユニット40との間には、それぞれ排気ファンFを配設している。これにより、筐体内の空気を排気することで、内部温度の過剰な上昇を回避している。また、定着装置60から発せられる熱を、その近傍で効率良く排気して、第1転写ユニット20や第2転写ユニット40への熱影響を抑えている。
【0059】
手差し載置台88と第1給紙カセット81との間には、本プリンタとは別体で構成された図示しない外部給紙装置から送られてきた転写紙を受け入れて上述の第1給紙路85に搬送するための第2給紙路93が設けられている。
【0060】
静電潜像をトナー像に現像するトナーとしては、平均円形度が0.93〜1.00であるものを用いることが好ましい。この平均円形度とは、トナー粒子1個あたりの円形度について、所定数のトナー粒子の平均を求めた数値である。円形度は、粒子の凹凸の度合を表す指標であり、粒子が真球の場合には1.00となる。凹凸のある粒子ほど、円形度が1.00よりも小さな値となる。トナー粒子1個あたりの円形度については、次式に基づいて求めることができる。
【数1】

【0061】
トナーの平均円形度については、次のようにして測定することができる。即ち、まず、被検トナーのトナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的にその2次元投影像を撮影する。そして、個々の2次元投影像について、それと面積の等しい真円の周囲長(L)を、2次元投影像の周囲長(L)で除した値を求めたものの1万個あたりの平均値を算出する。この平均値が平均円形度である。かかる平均円形度を測定するには、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)などを用いるとよい。この装置を用いる場合には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に被検トナーを0.1〜0.5[g]程度加える。そして、この懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度を3000〜1[万個/μl]に調整したものを、上記装置にかけてトナーの形状及び分布を測定する。
【0062】
平均円形度が0.93〜1.00であるトナーは、各トナー粒子の表面の滑らかさにより、粒子同士や、トナー粒子と感光体との接触面積が小さくなるため、優れた転写性を発揮することができる。また、各トナー粒子の表面に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクを小さく抑え、攪拌速度を安定させる。これにより、過度攪拌による性状の変化を抑えて、安定した画像を形成することができる。また、形成画像のドット中に角張ったトナー粒子が存在しないことにより、転写工程においてトナー像が転写体に圧接する際に、その圧がドット中のトナー粒子に均一にかかるので、転写中抜けが生じ難い。また、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体や耐電部材等の表面の傷付きや摩耗を抑えることができる。
【0063】
また、トナーとしては、形状係数SF−1が100〜180であって、且つ形状係数SF−2が100〜180のものを用いることが好ましい。形状係数SF−1や形状係数SF−2は、トナーの形状を表すパラメータの一つである。形状係数SF−1は、トナー粒子等の球形物質における丸さの度合いを示す値である。図10に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる楕円状図形の最大径箇所の長さMXLNGの二乗を面積AREAで除算し、更に100π/4を乗じた値である。つまり、下記の数2の式によって表すことができる。なお、πは円周率である。形状係数SF−1の値が100の球形物質は真球であり、SF−1の値が大きくなるほど、球形物質の形状は不定形となる。また、形状係数SF−2は、球形物質の表面における凹凸の度合いを示す数値である。図11に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる図形の周長PERIの二乗を面積AREAで除算し、更に100/4πを乗じて求められる値である。つまり、形状係数SF−2は、下記の数3の式によって表すことができる。なお、形状係数SF−2の値が100である球形物質は、その表面に凹凸が全く存在しない。形状係数SF−2の値が大きくなるほど、球形物質の表面の凹凸は顕著となる。
【数2】

【数3】

【0064】
トナーの形状が真球に近づく(SF−1、SF−2ともに100に近づく)ほど、転写効率が高くなることが本発明者の検討により明らかになっている。これは、真球に近づくほど、トナー粒子とこれに接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体など)との間の接触面積が小さくなって、トナー流動性が高まったり、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まって転写電界の影響を受け易くなったりするためと考えられる。本発明者の研究によれば、形状係数SF−1、形状係数SF−2で180がそれぞれ超えると、転写効率を急激に悪化させ始める。180以下のものであれば、転写チリのない良好な画像を形成することができる。
【0065】
形状係数SF−1や形状係数SF−2については、次のようにして求めることが可能である。即ち、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー粒子を無作為に100個選んで順次その画像を撮影し、その画像情報をニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入してMXLING、AREA、PERIを求める。そして、上述した式によって得た形状係数の100個あたりの平均値として算出するのである。
【0066】
また、トナーとしては、重量平均粒径Dmが3〜8[μm]であり、且つ、重量平均粒径Dm/個数平均粒径Dnが1.00〜1.40であるものを用いることが好ましい。かかるトナーでは、次のようなメリットがある。即ち、600[dpi]以上の高解像度のドットを再現する場合に、感光体上における微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を付着させることで、優れたドット再現性を実現することができる。重量平均粒径Dmが3[μm]未満になると、転写効率やブレードクリーニング性が急激に低下してしまう。また、重量平均粒径が8[μm]を超えると、文字画像やライン画像の周囲へのトナー飛び散りが急激に発生し易くなる。
【0067】
重量平均粒径Dm/個数平均粒径Dnは、トナー中におけるトナー粒子の粒径分布のシャープ性を示す。この値が1.00に近いほど、粒径分布が狭くなる。そして、個々のトナー粒子の帯電量分布が均一になって、地汚れのない高品質の画像を得ることができる。また、静電転写効率も向上する。
【0068】
トナーの粒径分布については、コールターカウンター法による測定装置、例えば、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)によって測定することができる。具体的には、まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解水溶液としては1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を用いることができる。得られた溶液に更に測定試料を2〜20mg加える。そして、その溶液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、上述した測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径Dm、個数平均粒径Dnを求めることができる。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満のトナー粒子を対象とする。なお、Dm、Dnはともに1万個あたりの平均である。
【0069】
先に図1に示したように、第1中間転写ベルト21とスタック台72との間には、第1ボトル収容部94が、上述した線分L1と同じ方向に傾斜するように設けられている。この第1ボトル収容部94は、内部にY,M,C,Kトナーを収容するトナーボトルBY,BC,BM,BKが着脱可能に支持する。これらトナーボトルBY,BC,BM,BK内に収容されるY,M,C,Kトナーは、図示しない第1Y,M,C,Kトナー補給装置の駆動により、第1プロセスユニット群1内の対応する色の現像装置に補給される。第1中間転写ベルト21とスタック台72との間で、第1ボトル収容部94を線分L1と同じ方向に傾けることにより、第1ボトル収容部94を第1中間転写ベルト21の近傍の空きスペースを有効に利用して配設することができる。
【0070】
第2中間転写ベルト41とその側方に存在する筺体側板との間には、第2ボトル収容部95が、上述した線分L2と同じ方向に傾斜するように設けられている。この第2ボトル収容部95は、内部にY,M,C,Kトナーを収容するトナーボトルBY,BC,BM,BKが着脱可能に支持する。これらトナーボトルBY,BC,BM,BK内に収容されるY,M,C,Kトナーは、図示しない第2Y,M,C,Kトナー補給装置の駆動により、第2プロセスユニット群11内の対応する色の現像装置に補給される。第2中間転写ベルト41と筺体側板との間で、第2ボトル収容部95を線分L2と同じ方向に傾けることにより、第2ボトル収容部95を第2中間転写ベルト41の近傍の空きスペースを有効に利用して配設することができる。
【0071】
図12は、内部紙搬送路を露出させた状態の本プリンタを示す概略構成図である。本プリンタは、図示のように、転写紙Pを搬送するための内部紙搬送路を境にして、左右方向に筺体を2分できるようにしている。筺体下部の伸縮アームの伸縮によって筺体が2分すると、第2転写ユニット40やその周囲の機器が図中右方向にスライドする。これにより、内部紙搬送路の全体を外部に露出させて、用紙のジャム処理を容易に行うことができる。
【0072】
図13は、本プリンタ100を採用した画像形成システムを示す斜視図である。本プリンタ100は、図示のように、スキャナ300やパーソナルコンピュータ200と接続した画像形成システムとして利用することが可能である。本プリンタの正面側板には、ドアD1やドアD2が開閉自在に設けられている。ドアD1を開けることにより、第1プロセスユニット群用のトナーボトルBY,BM,BC,BKを露出させて、着脱することができる。また、ドアD2を開けることにより、第2プロセスユニット群用のトナーボトルBY,BM,BC,BKを露出させて、着脱することができる。また、第1給紙カセット81,第2給紙カセット82は、図示のように、本体正面側からスライドさせて、本体に着脱することができる。なお、スキャナ300として、パーソナルコンピュータ200に接続するものを示したが、自動原稿読取方式のものを、本プリンタ100の上部に設けてもよい。
【0073】
図14は、本プリンタの上部に固定して使用する自動原稿読取方式のスキャナ300を示す概略構成図である。原稿読取部のフレーム301の上部にはコンタクトガラス302、303が配設されている。大きいほうのコンタクトガラス302は、当該コンタクトガラス上に原稿を固定載置して原稿画像を読み取る場合に用いられる。小さいほうのコンタクトガラス303は、ADF350によりシート原稿を走行させながら原稿画像を読み取る場合に用いられる。
【0074】
原稿読取部の内部には、照明用光源304とミラーとを搭載した第1走行体305と、2枚のミラーを搭載した第2走行体306がコンタクトガラス302に平行に移動可能に設けられている。第2走行体306は、第1走行体305の1/2の速度で移動する公知の光学系を採用しており、これらの走行体305、306が移動しながらコンタクトガラス302上の原稿画像を走査する。また、シート原稿を走行させながら画像を読み取る場合には、第1走行体305、第2走行体306を図示の位置に停止させた状態でコンタクトガラス303上を移動して原稿画像を走査する。
【0075】
光源304で照明された原稿は、固定されたレンズ307で結像され、カラーCCD(固体撮像素子)308に取り込まれる。カラーCCD521は、3ラインCCDである。このカラーCCD521は、R,G,B画像信号を生成し、不図示のアナログASICに入力される。アナログASICの内部のサンプルホールド回路により、サンプルホールドされた後に、A/D変換される。そして、R,G,B画像データに変換されてから、画像データバスを介して図示しない画像データ処理装置(Image Processing Processor)に送り出される。
【0076】
原稿読取部の上には、自動原稿送り装置(以下、ADFという)350が配設されている。このADF350は、原稿束を載置するための原稿台361を有している。原稿台361には可動板362が備えられている。原稿台361の左側部分はADF350の給紙搬送部351となっている。給紙搬送部351には、可動板362の先端上部にある給紙ローラ352、分離ローラ対353、搬送ローラ対354、イメージセンサ356、イメージセンサ356に対向して設けられた搬送ローラ355、圧板357、搬送ローラ358、排紙ローラ359等が設けられている。また、原稿台361の下方には排紙トレイ360があり、原稿台361と排紙トレイ360間が排紙空間となっている。排紙トレイ360の下部位置に圧板363があり、コンタクトガラス302上にセットされた原稿を圧板363が押圧する。圧板363の下面には白色シート363Aが貼付されている。このADF350は圧板363を伴ってコンタクトガラス302、303を境に上方に開放できるよう構成されている。また本のような厚い原稿の場合でも圧板363が原稿を押しつけられるような機構にしてある。シート状の原稿は、このADF350を使って自動給送させると好都合である。
【0077】
複数頁のシート原稿OSは、原稿台361の可動板362上に1頁目を上面にしてセットする。給紙ローラ352が矢印方向(図中時計回り)に回転し、最上部のシート原稿が送り出されて給紙搬送部351に送られる。原稿は分離ローラ対353により確実に1枚づつ搬送される。その原稿は搬送用ローラ354、355、358を経て排紙ローラ359から矢印A2方向に排出され、原稿排紙トレイ360上に1頁目が下面になってスタックされる。
【0078】
排出までの間に、イメージセンサ356により、2頁目(1頁目の裏頁)の画像が読み取られる。その後1頁目の画像はシート圧板357とコンタクトガラス303の間を通過中に、前述の原稿読取部300で読み取られる。この原稿読取部300で第2のコンタクトガラス303を通過する原稿を読み取る場合、先述の第1、第2走行体305,306をその読み取り位置に静止させておく。
【0079】
ADF350により給紙されるシート状原稿の画像を読み取る場合、シート原稿の両面が1度の搬送で、ずらして配置された2カ所の読み取り場所で読み取られる。以下、シート状原稿を搬送しながら読み取る読取部をY1、原稿を固定し走行体305,306により読み取る読取部をY2と呼ぶことにする。
【0080】
ADF350内のイメージセンサ356部分を指して符号Y1を付し、原稿読取部300内に符号Y2を付してあるが、原稿読取部300は、原稿を固定した(圧板363を用いた)読み取りを行う場合は読取部Y2であるが、走行体を読み取り位置に静止させてADF350によりシート原稿を搬送しながら読み取る場合は読取部Y1の一部となる。読取部Y1は、ADF350内のイメージセンサ356を中心とする部分と、走行体停止状態の原稿読取部300とで構成されるものである。
【0081】
裏面が透けるような薄い原稿の場合には、圧板の色が読み取り手段で背景として読み取られてしまう恐れがある。そのため、圧板363の原稿に接する部分には白色シート363Aが貼りつけてある。同じ理由で、搬送ローラ355、シート圧板357も白色にしてある。
【0082】
図15は、イメージセンサ356の詳細を示す概略の断面図である。同図において、原稿に対面するガラス356A、原稿の読み取り面を照明する光源、たとえばLEDアレイ356B、結像素子であるレンズアレイ356C、等倍センサ356Dから構成されている。以上の形式以外のイメージセンサ、例えば結像レンズを使用しない密着センサなどを採用することも可能である。
【0083】
図14に示したADF350は、厚い本などの原稿を読取部Y2にセットする場合、圧板363で押しつけるが、ADF本体と一体に構成されている第1の読取部Y1も若干浮き上がり、第2のコンタクトガラス303とシート圧板357が離れてしまう。そのためシート圧板357がコンタクトガラス303から離れていることを検知するセンサ(不図示)を設け、この検知結果をもとに、第1の読取部Y1の使用を禁止するようにしてある。
【0084】
シート原稿を第1の読取部Y1で取り中に、緊急の読み取り・画像形成の必要が生じた場合、たとえシート原稿が原稿台361あるいは原稿排紙トレイ360に存在していても、割り込み作業として、コンタクトガラス302と圧板363を使用する第2の読取部Y2が使用できるようにしてある。割り込み時の指令の操作は操作パネルOP(図13参照)のキーにより指示することができる。
【0085】
これまで、潜像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト上の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を像担持体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。
【0086】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、上述した線分L3を境にして、線分L3よりも上方の領域と、線分L3よりも下方の領域とのうち、下方の領域に、第1ベルトユニットたる第1転写ユニット20及び第2ベルトユニットたる第2転写ユニット40に向けて供給するための転写紙Pを収容する記録体収容手段たる第1給紙カセット81、第2給紙カセット82を配設している。かかる構成では、上述した理由により、重くて出し入れが頻繁な給紙カセットを各転写ユニットの上方で確実に支持させるために筺体の側板を補強するといった対策を講ずることなく、第1給紙カセット81、第2給紙カセット82を筺体内で確実に支持することができる。
【0087】
また、第1転写ユニット20及び第2転写ユニット40に向けて供給するための転写紙Pを本体の筺体外で手差しで載置する手差し載置台88を、上述した線分L3と同じ方向に傾けて、線分L3と第1給紙カセット81との間に設けている。かかる構成では、上述した理由により、筺体の側板に開閉可能に設けた手差し載置台を本体外側に出っ張らせることによる本体の設置スペースの増加を回避することができる。
【0088】
また、第1像担持ベルトたる第1中間転写ベルト21と、第2像担持ベルトたる第2中間転写ベルト41とを当接させながら、当接部で互いに表面を同方向に移動させ、且つ、当接部に挟み込んだ転写紙Pに対して当接部内で第1可視像たる第1フルカラートナー像及び第2可視像たる第2フルカラートナー像を転写させるようにしている。かかる構成では、上述した理由により、かかる構成では、第1、第2フルカラートナー像について、それぞれ、転写元であるベルトと、転写先である転写紙Pとを密着させないで転写することに起因する転写チリを回避することができる。
【0089】
また、本体の筺体の上面の少なくとも一部を、上述した線分L1と、線分L2とのうち、その上面により近い方である線分L1と同じ方向に傾けた形状にして、筺体内から排出されてくる転写紙Pのスタック台72として用いている。かかる構成では、上述した理由により、筐体内の空きスペースを増加させることなく、スタックのために傾斜させることが望ましいスタック台72を、筐体上面に設けることができる。
【0090】
また、第1転写ユニット20及び第2転写ユニット40と、転写紙Pにトナー像を定着せしめる定着手段たる定着装置60とを順次通過した後の転写紙Pを本体の筺体外に向けて搬送する排出路たる排紙路として、複数に分岐したものを用いている。かかる構成では、上述した理由により、比較的腰の弱い転写紙Pについては、反転排紙路経由で筺体上面のスタック台72上に排紙して多量にスタックする一方で、腰の強い転写紙Pについては、直線排紙路経由で第2スタック台74上に排紙することで、後者の転写紙Pを無理に湾曲させながら排紙することによるプリントアウト紙のカールを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施携帯に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのY用の第1プロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのY用の第2プロセスユニットを示す拡大構成図。
【図4】同プリンタの第1転写ユニット及び第2転写ユニットからなる両面転写装置を示す拡大構成図。
【図5】ベルト掛け回し箇所を説明する模式図。
【図6】同プリンタにおける2次転写部とその周囲構成との第1例を示す模式図。
【図7】同2次転写部及びその周囲構成の第2例を示す模式図。
【図8】同2次転写部及びその周囲構成の第3例を示す模式図。
【図9】同2次転写部及びその周囲構成の比較例を示す模式図。
【図10】MXLINGを説明する模式図。
【図11】PERIを説明する模式図。
【図12】内部紙搬送路を露出させた状態の同プリンタを示す概略構成図。
【図13】同プリンタを採用した画像形成システムを示す斜視図。
【図14】同プリンタの上部に固定して使用する自動原稿読取方式のスキャナを示す概略構成図。
【図15】同スキャナのイメージセンサの詳細を示す概略の断面図。
【符号の説明】
【0092】
1 第1プロセスユニット群(第1可視像形成手段)
11 第2プロセスユニット群(第2可視像形成手段)
20 第1転写ユニット(第1ベルトユニット)
21 第1中間転写ベルト(第1像担持ベルト)
40 第2転写ユニット(第2ベルトユニット)
41 第2中間転写ベルト(第2像担持ベルト)
23(Ra) クリーニングバックアップローラ(張架ローラ)
27(Rb) 2次転写部第1出口ローラ(張架ローラ)
44 テンションローラ(張架ローラ)
48(Rc) 2次転写部第2出口ローラ(張架ローラ)
72 スタック台
81 第1給紙カセット(記録体収容手段)
82 第2給紙カセット(記録体収容手段)
88 手差し載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可視像を担持する第1像担持ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第1ベルトユニットと、該第1像担持ベルトの表面に第1可視像を形成する第1可視像形成手段と、第2可視像を担持する第2像担持ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる第2ベルトユニットと、該第2像担持ベルトの表面に第2可視像を形成する第2可視像形成手段とを備え、記録体に可視像を定着せしめる定着手段に送る前の記録体に対して、その第1面に該第1像担持ベルト上の第1可視像を転写し、且つその第2面に該第2像担持ベルト上の第2可視像を転写して、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置において、
上記第1ベルトユニットにおける複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つのうちの一方であって他方よりも該第2ベルトユニットから離れた位置にある張架ローラをローラRaと表し、該他方の張架ローラをローラRbと表し、上記第2ベルトユニットにおける複数の張架ローラのうち、互いに最も離れた位置にある2つのうちの一方であって他方よりも該第1ベルトユニットから離れた位置にある張架ローラをローラRdと表し、該他方の張架ローラをローラRcと表し、ローラRaの中心とローラRbの中心とを結ぶ線分を線分L1と表し、ローラRcの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分を線分L2と表し、且つローラRaの中心とローラRdの中心とを結ぶ線分をL3と表した場合に、線分L1、線分L2及び線分L3をそれぞれ鉛直方向及び水平方向の何れからも傾斜させ、且つ、これら線分のうち線分L3を最も長くしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記線分L3を境にして、該線分L3よりも上方の領域と、該線分L3よりも下方の領域とのうち、該下方の領域に、上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットに向けて供給するための記録体を収容する記録体収容手段を配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットに向けて供給するための記録体を画像形成装置の筺体外で手差しで載置する手差し載置台を、上記線分L3と同じ方向に傾けて、該線分L3と上記記録体収容手段との間に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の画像形成装置において、
上記第1像担持ベルトと上記第2像担持ベルトとを当接させながら、当接部で互いに表面を同方向に移動させ、且つ、該当接部に挟み込んだ記録体に対して該当接部内で上記第1可視像及び第2可視像を転写させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の画像形成装置において、
画像形成装置の筺体の上面の少なくとも一部を、上記線分L1と上記線分L2とのうち、該上面により近い方と同じ方向に傾けた形状にして、該筺体内から排出されてくる記録体のスタック台として用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記第1ベルトユニット及び第2ベルトユニットと、記録体に可視像を定着せしめる定着手段とを順次通過した後の記録体を画像形成装置の筺体外に向けて搬送する排出路として、複数に分岐したものを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−30403(P2006−30403A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206352(P2004−206352)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】