説明

画像形成装置

【課題】 デトーニング機構を具備しないトナー仮保持部材で感光体ドラムや中間転写体等の像担持体を清掃することにより、かかる像担持体のクリーニング機構を簡易に構成して、カラー化においても装置の小型化を達成することが可能であることは勿論のこと、トナー仮保持部材からの捕獲トナーの回収シーケンスにおいて、異音が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成して課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置に関し、特に、感光体ドラムや中間転写体等の像担持体上に残留した転写残りトナーを、トナー仮保持部材によって一時的に保持し、所定のタイミングでまとめて搬送して廃棄するクリーニングサイクルの制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平4−29283号公報
【特許文献2】特開2001−075448号公報
【特許文献3】特開2002−372902号公報
【0003】
従来、この種の電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置においては、画像データに応じて感光体ドラムの表面にトナー像を形成した後、かかるトナー像を記録シートに転写し、転写されたトナー像を記録シートに加熱定着することで記録画像を得ている。また、近年のフルカラープリンターやフルカラー複写機等においては、感光体ドラム上に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、かかる中間転写体上でイエロー、マジェンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像を重ね合わせ、これら合成トナー像を記録シートに一括して二次転写することでフルカラー記録画像を形成するものも知られている。
【0004】
トナー像の転写効率は、感光体ドラムや中間転写体の表面状態、温度・湿度の変化に伴う記録シートや中間転写体の抵抗値の変動に影響を受けるので、これを常に100%に保つことは困難であり、トナー像の転写元である感光体ドラムや中間転写体の表面には、トナー像の転写後にもトナーが残留付着している。このため、従来より、感光体ドラムや中間転写体といった像担持体に対しては、トナー像の転写部位の下流側にクリーニング装置が設けられ、次のトナー像の形成に先立って残留トナーの除去が行われている。
【0005】
この種のクリーニング装置としては、特開平4−29283号公報に開示されるように、無数の摺擦毛を植えたブラシロールを感光体ドラム等の像担持体に接触させると共に、このブラシロールと像担持体との間にトナーの帯電極性に応じた電位差を与え、残留トナーを像担持体からブラシロールへ静電吸着させるように構成したものが知られている。また、ブラシロールではなく、軟弾性体からなるソフトロールを像担持体に接触させ、やはり残留トナーを像担持体からソフトロールの表面へ静電吸着させるように構成したクリーニング装置も知られている。
【0006】
いずれの構成でも、ブラシロールやソフトロールが保持し得るトナーの量には限界があり、多量のトナーを保持したまま像担持体に接触していたのでは、クリーニング能力それ自体が低下してしまうことから、これらブラシロールやソフトロールからトナーを引き離して回収するための、所謂デトーニング機構が必要となる。例えば、ブラシロールに対しては、フリッカーバーと称される突起が摺擦毛の回転範囲内に設けられ、かかる摺擦毛をフリッカーバーに叩きつけることによってトナーをブラシロールから強制的に叩き落とし、これをオーガ等の搬送手段を用いて回収ボックス内に回収している。
【0007】
しかし、このようなデトーニング機構を設けると、クリーニング装置が大がかりなものとなってしまう。特に、イエロー、マジェンタ、シアン及びブラックの4色の夫々に対して感光体ドラムを備えた所謂タンデム型のカラー画像形成装置においては、各感光体ドラム毎にクリーニング装置を設ける必要があり、更に、中間転写体を介してトナー像を記録シートに転写するタイプの画像形成装置においては、中間転写体に対してもクリーニング装置を設けることが必要となる。このため、カラープリンターやカラー複写機等の小型化に当たっては、クリーニング装置を如何に小型化、簡易化するかが極めて重要である。
【0008】
このような観点から、特開2001−075448号公報や特開2002−372902号公報に開示されるカラー画像形成装置では、複数の中間転写体の夫々に対して残留トナーを除去するブラシロールを設けながらも、これらのブラシロールに対してはデトーニング機構を一切設けず、各ブラシロールに付着したトナーを印字ジョブの最後に一カ所に集めて回収するように構成されている。具体的には、トナー像の形成及び転写の邪魔にならないよう、印字ジョブ中は各中間転写体に設けられたブラシロールが残留トナーを清掃して保持するように働く一方、印字ジョブの終了時にはこれらのブラシロールが保持していたトナーを中間転写体上へ吐き出させ、トナー像の転写と同じ要領で下流側のロールへと順次転移させていき、最終段のロールに対して設けられた回収装置で一括して回収するように構成している。
【0009】
このように各ブラシロールで保持されたトナーを一カ所に集めて一括して回収するように構成した場合、各像担持体を清掃するクリーニング装置それ自体は極めて簡易なものとなり、清掃しなければならない像担持体の本数が多いカラー画像形成装置においては極めて有利に小型化を進めることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置においては、感光体ドラムや静電潜像を現像する現像器等の機能デバイス部品が経時的に摩耗や劣化を生じ、記録画像の画質に影響を及ぼすことから、これら部品の交換時期を設定し、定期的に部品交換を行う必要がある。近年のプリンター等では、各部品を個々に交換する際の手間を軽減するため、前記感光体ドラムや現像器といった要交換部品がプロセスカートリッジとして一つのユニットを構成しており、かるプロセスカートリッジを交換することで複数の部品をまとめて交換できるようになっている。プロセスカートリッジを構成する各部品の摩耗や劣化の進行は、1回の印字ジョブにおける記録シートの連続通紙枚数、記録画像の画像密度、温度や湿度といった使用環境等によって異なり、プロセスカートリッジの交換時期を明確に定めることには困難を伴うが、一般的には該カートリッジが標準的な使用条件の下で使用されていると想定し、単純に記録シートの累積通紙枚数が所定枚数に達したか否かのみをもって前記プロセスカートリッジの交換時期を判断していた。
【0011】
前述した標準的な使用条件としては、1回の印字ジョブにおける記録シートの連続通紙枚数が3、4枚である場合を想定しているが、各印字ジョブの前後には画像形成動作の準備処理及び終了処理が存在しており、これら準備処理及び終了処理では各印字ジョブにおける記録シートの通紙枚数に拘らず、一定時間だけプロセスカートリッジが駆動されることになる。このため、各印字ジョブにおける記録シートの実際の連続通紙枚数が想定した使用条件、すなわち3〜4枚よりも少ないと、印字ジョブの準備処理及び終了処理に要する時間が実際の記録シートの通紙時間に対して相対的に増加するので、その分だけプロセスカートリッジに含まれる感光体ドラム等の部品寿命も短くなり、記録画像の画質を維持するためには前記プロセスカートリッジを早期に交換しなければならなくってしまう。
【0012】
特に、前述したカラー画像形成装置の如く、デトーニング機構を具備しないブラシロールを用いて中間転写体や感光体ドラム上の転写残留トナーをクリーニングするように構成した装置では、印字ジョブの終了処理に引き続いて前記ブラシロールが捕獲した転写残留トナーを一括して回収する回収シーケンスを実施しており、この回収シーケンスの長さも1回の印字ジョブにおける記録シートの連続通紙枚数が3、4枚である場合を想定して決定されている。このため、各印字ジョブにおける記録シートの実際の連続通紙枚数が想定した通紙枚数よりも少ないと、一回の印字ジョブ中におけるブラシロールの転写残留トナーの捕獲量に対して回収シーケンスの長さが過剰となり、やはり記録画像の形成と関係なく像担持体を駆動している時間が必要以上に増加してしまう。従って、このようなブラシロールを備えた画像形成装置では、プロセスカートリッジの実際の寿命が想定していた標準寿命と益々かけ離れてしまうといった問題点があった。
【0013】
そこで、本出願人は、上記の問題点を解決し、デトーニング機構を具備しないトナー仮保持部材で感光体ドラムや中間転写体等の像担持体を清掃することにより、かかる像担持体のクリーニング機構を簡易に構成して、カラー化においても装置の小型化を達成することが可能であると共に、記録画像の形成と関係なく像担持体を駆動する時間が必要以上に長くなるのを抑え、プロセスカートリッジの寿命が極端に短命化するのを防止することが可能な画像形成装置を、既に提案している(特願2003−137161号)。
【0014】
この特願2003−137161号に係る画像形成装置は、像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成された画像形成装置において、一つの印字ジョブにおける記録シートの通紙枚数が予め設定された標準枚数を下回ったか否かをチェックし、標準枚数を下回ったと判断される場合には、前記回収シーケンスを全く実施することなく前記印字ジョブを終了し、又は、前記回収シーケンスの実施時間を標準枚数における実施時間よりも短縮し、それによって像担持体の駆動時間を可及的に減らし、像担持体が搭載されたプロセスカートリッジの短命化を防止しようとするものである。
【0015】
しかし、上記特願2003−137161号に係る画像形成装置の場合には、回収シーケンスが通常の画像形成サイクルと同じ速度で実施されているが、回収シーケンスを実施する際における像担持体に印加される電圧値が相対的に高く、当該回収シーケンスにおける像担持体とトナー仮保持部材との電位差が大きくなり、トナー仮保持部材から捕獲したトナーが吐き出されて清浄な状態になった場合に、トナー仮保持部材が像担持体と接触する部分における静電吸引力に起因する摩擦力が増加する。そのため、上記提案に係る画像形成装置の場合には、トナー仮保持部材を構成するブラシの毛が、摩擦力によって像担持体の表面に付着した状態で連れ回りしつつ、トナー仮保持部材が回転してブラシの毛を回転方向に移動させる力が、像担持体の表面に対する摩擦力を上回ると、ブラシの毛が像担持体の表面をスリップする現象を繰り返す、所謂" スティックスリップ現象" を生じ、当該" スティックスリップ現象" にトナー仮保持部材の全体等が共鳴して、異音が発生するという問題点を有していた。
【0016】
特に、所謂タンデム型のカラー画像形成装置のように、清掃しなければならない像担持体の本数が多く、しかも回収すべきトナーの搬送経路が長い場合には、上流側の感光体ドラム等の像担持体からの回収シーケンスが終了していても、最終回収手段によってトナーの回収が終了するまでは、すべての像担持体やトナー仮保持部材が回転している状態となっているため、上述した" スティックスリップ現象" に起因する異音の発生が、比較的長い時間継続し、耳障りであるという問題点を有していた。
【0017】
なお、本発明者らの研究によれば、この異音が発生するという問題点は、像担持体の回転速度が遅いほど、発生し易いことがわかっている。
【0018】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、デトーニング機構を具備しないトナー仮保持部材で感光体ドラムや中間転写体等の像担持体を清掃することにより、かかる像担持体のクリーニング機構を簡易に構成して、カラー化においても装置の小型化を達成することが可能であることは勿論のこと、トナー仮保持部材からの捕獲トナーの回収シーケンスにおいて、異音が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、
像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、
前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうちのいずれか1つ、又は通常のプロセススピードとは異なる速度で実行するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
また、請求項2に記載された発明は、画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、
像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、
前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピード、又は通常のプロセススピードよりも速く設定された特定の速度で実行するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0021】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記回収シーケンスのすべてを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0022】
又、請求項4に記載された発明は、前記回収シーケンスの初期の所定時間のみを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、デトーニング機構を具備しないトナー仮保持部材で感光体ドラムや中間転写体等の像担持体を清掃することにより、かかる像担持体のクリーニング機構を簡易に構成して、カラー化においても装置の小型化を達成することが可能であることは勿論のこと、トナー仮保持部材からの捕獲トナーの回収シーケンスにおいて、異音が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの画像形成部を示すものであり、図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示すものである。尚、図1中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0026】
このフルカラープリンター01は、図1及び図2に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の各感光体ドラム(像担持体)11, 12, 13, 14を有する画像形成ユニット1, 2, 3, 4と、これら感光体ドラム11, 12, 13, 14に接触又は近接する一次帯電用の帯電ロール(帯電手段)21, 22, 23, 24と、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34を照射して静電潜像を書き込む図2に示すレーザ光学ユニット(潜像書き込み手段)03と、現像装置(現像手段)41, 42, 43, 44と、上記4つの感光体ドラム11, 12, 13, 14のうちの2つの感光体ドラム11, 12に接触する第1の一次中間転写ドラム(像担持体)51及び他の2つの感光体ドラム13, 14に接触する第2の一次中間転写ドラム(像担持体)52と、上記第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52に接触する二次中間転写ドラム(像担持体)53と、この二次中間転写ドラム53に接触する転写ロール(転写部材)60とで、その主要部が構成されている。
【0027】
感光体ドラム11, 12, 13, 14は、図1に示すように、共通の接平面mを有するように一定の間隔をおいて互いに平行に配置されている。また、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52は、各回転軸が該感光体ドラム11, 12, 13, 14軸に対し平行かつ所定の対称面を境界とした面対称の関係にあるように配置されている。さらに、二次中間転写ドラム53は、該感光体ドラム11, 12, 13, 14と回転軸が平行であるように配置されている。
【0028】
各色毎の画像情報に応じた信号は、図示しない画像処理ユニットによりラスタライジングされて図2に示すレーザ光学ユニット03に入力される。このレーザ光学ユニット03では、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34が画像情報に応じて変調され、対応する色の感光体ドラム11, 12, 13, 14に照射されて静電潜像が書き込まれる。
【0029】
上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14の周囲では、周知の電子写真方式による各色毎の画像形成プロセスが実行される。まず、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14としては、例えば、直径24mmのOPC感光体を用いた感光体ドラムが用いられ、これらの感光体ドラム11, 12, 13, 14は、例えば、所定の回転速度で回転駆動される。上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面は、図3に示すように、接触型帯電手段としての帯電ロール21, 22, 23, 24に、約-800VのDC電圧を印加することによって、例えば約-300V程度に帯電される。なお、上記接触型の帯電手段としては、ロールタイプのもの、フィルムタイプのもの、ブラシタイプのもの等が挙げられるが、どのタイプのものを用いても良い。この実施の形態では、近年、電子写真装置で一般に使用されている帯電ロールを採用している。また、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電させるために、この実施の形態では、DCのみ印加の帯電方式をとっているが、AC+DC印加の帯電方式を用いても良い。
【0030】
その後、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面には、露光手段としてのレーザ光学ユニット03によってイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応したレーザ光31, 32, 33, 34が照射され、各色毎の入力画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム11, 12, 13, 14は、レーザ光学ユニット03で静電潜像が書き込まれた際に、その画像露光部の表面電位は-60 V以下程度にまで除電される。
【0031】
また、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した静電潜像は、対応する色の現像装置41, 42, 43, 44によって現像され、感光体ドラム11, 12, 13, 14上にイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
【0032】
この実施の形態では、現像装置41, 42, 43, 44として、磁気ブラシ接触型の二成分現像方式を採用しているが、この現像方式に限定されるものではなく、一成分現像方式や非接触型の現像方式など、他の現像方式においてもこの発明を充分に適用することができることは勿論である。
【0033】
現像装置41, 42, 43, 44には、それぞれ色の異なったイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色のトナーと、キャリアからなる二成分現像剤が充填されている。これらの現像装置41, 42, 43, 44は、図2に示すトナーカートリッジ04Y,04M,04C,04K からトナーが補給されると、この補給されたトナーは、図3に示すように、オーガー404 で充分にキャリアと攪拌されて摩擦帯電される。現像ロール401 の内部には、複数の磁極を所定の角度に配置したマグネットロール(不図示)が固定した状態で配置されている。この現像ロール401 に現像剤を搬送するパドル403 によって、当該現像ロール401 の表面近傍に搬送された現像剤は、現像剤量規制部材402 によって現像部に搬送される量が規制される。この実施の形態では、上記現像剤の量は、30〜50g/m2 であり、また、このとき現像ロール401 上に存在するトナーの帯電量は、概ね-20 〜35μC/g 程度である。
【0034】
上記現像装置41, 42, 43, 44で使用されるトナーとしては、次式で規定される形状係数MLS2が100〜140、例えば、MLS2=130程度のもので、平均粒径が3μm〜10μmの所謂" 球形トナー" が用いられる。
MLS2={(トナー粒子の絶対最大長)2 )}
/{(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100}
【0035】
上記現像ロール401 上に供給されたトナーは、マグネットロールの磁力によって、キャリアとトナーで構成された磁気ブラシ状となっており、この磁気ブラシが感光体ドラム11, 12, 13, 14と接触している。この現像ロール401 にAC+DCの現像バイアス電圧を印加して、現像ロール401 上のトナーを感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成された静電潜像に現像することにより、トナー像が形成される。この実施の形態では、現像バイアス電圧はACが4 kHz、1.5 kVppで、DCが-230V程度である。
【0036】
次に、上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52上に、静電的に二次転写される。感光体ドラム11, 12上に形成されたイエロー(Y)及びマジェンタ(M)色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51上に、感光体ドラム13, 14上に形成されたシアン(C)及びブラック(K)色のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム52上に、それぞれ転写される。従って、第1の一次中間転写ドラム51上には、感光体ドラム11または12のどちらから転写された単色像と、感光体ドラム11及び12の両方から転写された2色のトナー像が重ね合わされた二重色像が形成されることになる。また、第2の一次中間転写ドラム52上にも、感光体ドラム13,14 から同様な単色像と二重色像が形成される。
【0037】
上記第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 上に感光体ドラム11,12,13,14 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500 V程度である。この表面電位は、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。この雰囲気温度や湿度は、図2に示すように、雰囲気温度及び湿度を検出する環境センサによって検出される。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位は、+380V程度が望ましい。
【0038】
この実施の形態で用いる第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、例えば、外径が42mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、第1、第2の中間転写ドラム51, 52の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層(R=105 〜109 Ω)として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。ここで重要なのは、抵抗値と表面の離型性であり、高離型層の抵抗値がR=105 〜109 Ω程度であり、高離型性を有する材料であれば、特に材料は限定されない。
【0039】
このように第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52上に形成された単色又は二重色のトナー像は、二次中間転写ドラム53上に静電的に二次転写される。従って、二次中間転写ドラム53上には、単色像からイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色の四重色像までの最終的なトナー像が形成されることになる。
【0040】
この二次中間転写ドラム53上へ第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。この表面電位は、感光体ドラム11, 12, 13, 14から第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52へ転写するときと同様に、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。また、転写に必要なのは、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差であるので、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位が+380V程度の場合には、二次中間転写ドラム53の表面電位は、+880V程度、つまり第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差は、+500V程度に設定することが望ましい。
【0041】
この実施の形態で用いる二次中間転写ドラム53は、例えば、外径が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と同じ42mmに形成され、抵抗値は1011Ω程度に設定される。また、上記二次中間転写ドラム53も第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52と同様、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、二次中間転写ドラム53の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。ここで、二次中間転写ドラム53の抵抗値は、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 よりも高く設定する必要がある。そうしないと、二次中間転写ドラム53が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 を帯電してしまい、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位の制御が難しくなる。このような条件を満たす材料であれば、特に材料は限定されない。
【0042】
次に、上記二次中間転写ドラム53上に形成された単色像から四重色像までの最終的なトナー像は、最終転写ロール60によって、用紙搬送路Pを通る記録シート100 上に3次転写される。この記録シート100 は、図2に示すように、給紙カセット05から紙送り工程を経てレジストローラ90を通過し、二次中間転写ドラム53と転写ロール60のニップ部に送り込まれる。この最終転写工程の後、記録シート100 上に形成された最終的なトナー像は、定着器70によって熱及び圧力で定着され、フルカラープリンター01の上部に設けられた排出トレイT上に排出され、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0043】
最終転写ロール60は、例えば、外径が20mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。この最終転写ロール60は、例えば、金属シャフトの上にウレタンゴム等からなる被覆層を設け、その上に必要に応じてコーティングを施して構成されている。最終転写ロール60に印加される電圧は、雰囲気温度、湿度、記録シートの種類(抵抗値等)等によって最適値が異なり、概ね+1200 〜5000V程度である。この実施の形態では、定電流方式を採用しており、常温常湿環境下で約+10 μAの電流を通電して、ほぼ適正な転写電圧(+1600〜2000V) を得ている。
【0044】
また、上記記録シート100 の両面に画像を形成する場合には、図2に示すように、片面に画像が形成された記録シート100 をそのまま排出トレイT上に排出せずに、表裏を反転した状態で記録シート100 を両面用の用紙搬送路07を介して、当該記録シート100 を再度転写部へと搬送し、記録シート100 の裏面に画像が形成される。
【0045】
なお、図2中、符号08は図示しない手差しトレイから供給される記録シート100 を搬送する給紙ロール、09は制御回路、10は電源回路をそれぞれ示している。
【0046】
ところで、この実施の形態では、画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうちのいずれか1つ、又は通常のプロセススピードとは異なる速度で実行するように制御する制御手段を備えるように構成されている。
【0047】
また、この実施の形態では、画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピード、又は通常のプロセススピードよりも速く設定された特定の速度で実行するように制御する制御手段を備えるように構成されている。
【0048】
また、この実施の形態では、前記回収シーケンスのすべてを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行するように構成されている。
【0049】
すなわち、この実施の形態に係るフルカラープリンターでは、図1に示すように、各感光体ドラム11,12,13,14及び一次中間転写ドラム51,52、並びに二次中間転写ドラム53に対してトナー仮保持部材が配置されている。
【0050】
先ず、感光体ドラム11に対して配置されたトナー仮保持部材は、金属製回転軸の周囲に導電性の摺擦毛が起立したリフレッシャブラシ215 であり、帯電ロール21に対するトナーの付着を防止するため、感光体ドラム11の回転方向に関して帯電ロール21の上流側に位置している。また、このリフレッシャブラシ215 には、クリーニングバイアスが印加されており、各転写部位において極性反転したトナーを感光体ドラム11の表面から一時的に回収し、後述するクリーニングモードが開始される迄の間、かかるトナーを保持するようになっている。すなわち、トナーは、現像装置41内において(−)極性に帯電しており、各転写行程においては、トナー像がより電位の高い方向へ向けて転写されていくことになる。このような初期帯電極性のトナーを正極トナーという。しかし、かかるトナー像が各転写工程の転写部位を繰り返し通過する際、パッシェン放電や電荷注入により、(−)帯電しているトナーの一部が逆極性、すなわち(+)極性に反転して帯電してしまうことがあり、このように極性反転したトナーは次工程へ転写されず、上流側へ逆流していくことになる。このような極性反転したトナーを逆極トナーという。そして、最終的には感光体ドラム11へ転移し、ひいては帯電ロール21に付着することになる。上記リフレッシャブラシ215 は、このような逆極トナーを帯電ロール21の手前で捕え、帯電ロール21に対する付着を防止するために設けられている。従って、トナー像の作像時においては、感光体ドラム11の表面電位−300 Vよりも低い電位である−400 Vが上記リフレッシャブラシ215 に印加されている。また、このリフレッシャブラシ215 には、何ら駆動手段が設けられておらず、かかるリフレッシャブラシ215 は、摺擦毛と感光体ドラム11との間に作用する摩擦力によって感光体ドラム11の回転に連れ回っている。
【0051】
尚、以上の説明では感光体ドラム11に対して設けられたリフレッシャブラシ215 について説明したが、他の感光体ドラム12,13,14に対しても同じ構造のリフレッシャブラシ216 ,217 ,218 が設けられている。
【0052】
一方、一次中間転写ドラム51,52に対しては、やはり金属製回転軸の周囲に導電性の摺擦毛が起立したトナー仮保持部材としての第1及び第2のブラシロール220 ,221 が夫々配置されている。上記第1ブラシロール220 は、二次転写の終了後に一次中間転写ドラム51の表面に残留したトナーを感光体ドラム12の手前側でブロックする位置に、第2のブラシロール221 は、二次転写の終了後に一次中間転写ドラム52の表面に残留したトナーを感光体ドラム14の手前側でブロックする位置に夫々配置されている。
【0053】
また、これら第1及び第2のブラシロール220 ,221 には、クリーニングバイアスが印加されているが、その極性はリフレッシャブラシ215 に印加されていたものと逆極性である。一次転写では各感光体ドラムが1色のトナー像のみを一次中間転写ドラム51,52に転写していることから、転写効率をある程度高めに設定することができ、残留トナーを敢えて回収するクリーニング装置を設けずとも、作像上は大きな支承は生じず、また、各現像装置41,42,43,44において混色が発生することもない。しかし、二次転写では互いに重なり合った2色分のトナー像を二次中間転写ドラム53へ転写するので、転写されずに一次中間転写ドラム51,52に残留するトナーも多く、かかる残留トナーをクリーニング装置で回収しない場合には、次に転写されるトナー像にゴーストが発生してしまうからである。このため、(−)極性に帯電している残留トナーが一次中間転写ドラム51,52から第1及び第2のブラシロール220 ,221 へ静電的に転移してくるよう、かかる第1及び第2のブラシロール220 ,221 には、一次中間転写ドラム51,52の表面電位よりも高いクリーニングバイアス(例えば、+600 V)が印加されている。もちろん、温度及び湿度といった雰囲気環境が変動し、一次中間転写ドラム51,52の表面電位が変動すれば、第1及び第2のブラシロール220 ,221 と一次中間転写ドラム51,52との間の電位差を確保するため、クリーニングバイアスも変動させる必要が生じる。また、これら第1及び第2のブラシロール220 ,221 にも何ら駆動手段が設けられておらず、リフレッシャブラシ215 と同様、摺擦毛と一次中間転写ドラム51,52との間に作用する摩擦力によって一次中間転写ドラム51,52の回転に連れ回っている。
【0054】
また、二次中間転写ドラム53に対しても、三次転写で残留したトナーを除去するためのトナー仮保持部材としての第3のブラシロール230 が配置されている。上記第1及び第2のブラシロール220 ,221 やリフレッシャブラシ215 、216 ,217 ,218 と異なり、この第3のブラシロール230 は、図示外のモータによって二次中間転写ドラム53の回転方向と対向する方向へ回転駆動されている。この第3のブラシロール230 にも、クリーニングバイアスが印加されているが、三次転写で発生した残留トナーを二次中間転写ドラム53の表面から除去するという目的上、その極性は第1及び第2のブラシロール220 ,221 に印加されていたものと同じである。すなわち、(−)極性に帯電している残留トナー(正極トナー)が二次中間転写ドラム53から第3のブラシロール230 へ静電的に転移してくるよう、かかる第3のブラシロール230 には、二次中間転写ドラム53の表面電位よりも高いクリーニングバイアス(例えば、+1080V)が印加されている。
【0055】
図3は、印字ジョブ中、すなわち感光体ドラムで形成されたトナー像が記録シートに転写されている最中におけるトナーの流れを簡略的に示したものである。印字ジョブ中、 (−)極性に帯電しいる正極トナーは、感光体ドラムから一次中間転写ドラム51、二次中間転写ドラム53を経て、最終的には記録シート100 へ転写される。但し、一次中間転写ドラム51から二次中間転写ドラム53へ転写されなかった二次転写の残留トナーは、感光体ドラム11へ戻る途中で第1のブラシロール220 に捕獲される。また、二次中間転写ドラム53から記録シート100 へ転写されなかった三次転写の残留トナーは、一次中間転写ドラム53へ戻る途中で第3のブラシロール230 に捕獲される。一方、転写部位において逆極性の電荷が注入され、帯電極性が(+)に反転してしまった逆極トナーは、正極トナーと逆に二次中間転写ドラムから一次中間転写ドラムを経て感光体ドラムへ逆上って転写され、最終的には感光体ドラムに対して設けられたリフレッシャブラシ215 に捕獲される。
【0056】
このように、上記リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 、第1、第2のブラシロール220 ,221 、及び第3のブラシロール230 は、夫々対向する感光体ドラム11,12,13,14、一次中間転写ドラム51,52、二次中間転写ドラム53からトナーを捕獲するものの、捕獲したトナーを排出するための機械的構成、すなわちデトーニング機構を何ら具備していない。従って、印字ジョブ中にトナー像が繰り返し形成されると、捕獲したトナーが各ブラシロールの摺擦毛の間から溢れ出てしまうことになる。そこで、この実施の形態に係るプリンターでは、各ブラシロールによって捕獲されたトナーを回収するため、印字ジョブの終了に引き続いて以下のような回収シーケンスを行ない、各ブラシロールによって一時的に捕獲されていたトナーを、図1に示すように、転写ロール60に対して設けた一括回収装置80で回収するようにしている。
【0057】
この回収シーケンスにおいては、先ず、トナー像の作像時と同じ電位が帯電ロール21,22,23,24、感光体ドラム11,12,13,14、一次中間転写ドラム51,52、二次中間転写ドラム53、最終転写ロール60に与えられる一方、第1のブラシロール乃至第3のブラシロール220 ,221 ,230 には、作像時と逆極性の電位が与えられ、第1、第2のブラシーロール220 ,221 及び第3のブラシロール230 に付着している正極トナーを、図4に示すように最終転写ロール60まで順々に転移させ、最終転写ロール60に接触して設けた一括回収装置80によって回収するように構成されている。この一括回収装置80では、シリコンゴム等の弾性体からなるクリーニングブレード801 が転写ロール60の周面に接しており、転写ロール60に転移したトナーを該クリーニングブレード801 によって削ぎ落とし、装置内に回収するようになっている。従って、このようなクリーニング動作が開始されると、第1、第2のブラシーロール220 ,221 及び第3のブラシロール230 に保持されていた正極トナーは、一次中間転写ドラム51,52及び二次中間転写ドラム53上に吐き出され、通常のトナー像の転写と同様に二次中間転写ドラム53を経由して最終転写ロール60へ到達し、一括回収装置80によって回収される。
【0058】
また、このようにして正極トナーの回収が終了すると、帯電ロール21,22,23,24、リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 、感光体ドラム11,12,13,14、一次中間転写ドラム51,52、二次中間転写ドラム53、最終転写ロール60に対し、最終転写ロール60が最もマイナス電位が高くなるように、順々に電位勾配をつけた電圧を印加する。これによって印字動作中にリフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 に回収保持された逆極トナーは、図5に示すように感光体ドラム11,12,13,14上に吐き出された後、最終転写ロール60まで順々に転移し、最終転写ロール60に接触して設けた一括回収装置80によって回収される。その結果、リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 は清浄な状態に復帰することになる。
【0059】
このように、回収シーケンスは、図6に示すように、正極トナーの回収シーケンスと逆極トナーの回収シーケンスとの組み合わせから構成されており、印字ジョブにおける記録シートの連続通紙枚数が所定枚数を超える場合は、印字ジョブを一時的に中断して実施され、各ブラシロールを逐次清浄な状態に復帰させている。また、印字ジョブの終了時には必ず実施され、各ブラシロールは印字ジョブ後、直ちに清浄な状態に復帰し、次の印字ジョブに備えることになる。
【0060】
ここで、印字ジョブにおいて各ブラシロールに捕獲される不要トナーの量は、かかる印字ジョブの内容、例えば 記録シートの通紙枚数や形成したトナー像の画像密度、トナー像を最終転写する記録シートの種類によって異なったものとなることから、回収シーケンスにおいて各ブラシロールを清浄な状態に復帰させるためには、かかる回収シーケンスを印字ジョブの内容に応じた時間だけ実施する必要がある。しかし、例えば正極トナーの回収シーケンスにおいては、かかる回収シーケンスの開始から数秒は大量の正極トナーが第1、第2のブラシーロール220 ,221 及び第3のブラシロール230 から一次中間転写ドラム51,52又は二次中間転写ドラム53上に吐き出されるが、数秒経過した後には正極トナーの吐き出し量が減少し、それ以上は回収シーケンスを続行しても、極少量の正極トナーしか吐き出されない傾向にある。このことは逆極トナーの回収シーケンスにおいても同じである。従って、印字ジョブにおける記録シートの通紙枚数やトナー像の画像密度が大きいからといって、むやみに回収シーケンスの実施時間を延長しても、ブラシロールの清浄化という点ではそれ程効果がない。それどころか、感光体ドラム11,12,13,14、一次中間転写ドラム51,52、二次中間転写ドラム53に電圧を印加して行う回収シーケンスは、これら部材の劣化を早めるので、かかる回収シーケンスの実施時間が長くなればなるほど、画像形成ユニット1の寿命は短命化してしまう。
【0061】
このことから、本実施の形態に係るプリンターでは、印字ジョブの最後における記録シートの連続通紙枚数が所定の標準枚数以上となる場合は、印字ジョブの終了時に、かかる通紙枚数に拘らず実施時間を固定した標準回収シーケンスを実施する一方、印字ジョブの最後における連続通紙枚数が所定の標準枚数を下回る場合には、標準回収シーケンスの実施時間よりも実施時間が短く、且つ、連続通紙枚数に応じて実施時間の異なる縮小回収シーケンスを実施し、あるいは回収シーケンスそのものの実施を省略するように構成している。
【0062】
尚、図7に示すように、印字ジョブ中は該印字ジョブにおける記録シートの連続通紙枚数が所定枚数Nに達する毎に、かかる印字ジョブが中断されると共に一定実施時間の回収シーケンスが実施されている。従って、印字ジョブの終了時に各ブラシロールが保持している不要トナー量は、図5の例であれば、第2回目の回収シーケンスの終了後の連続通紙枚数nに対応したものとなっており、印字ジョブの終了時に実施する回収シーケンスについては、この最後の連続通紙枚数nに着目して実施時間を決定すれば良いことになる。このことから、本発明では、印字ジョブの最後における記録シートの連続通紙枚数が所定の標準通紙枚数を下回ったか否かをチェックしている。
【0063】
また、この実施の形態では、回収シーケンスのすべてを、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピードで実行するように制御する制御手段を備えるように構成されている。
【0064】
この実施の形態に係るプリンター01では、プロセススピードとして、最も速い白黒用のプロセススピード=225mm/secと、次に速いフルカラー用のプロセススピード=161mm/secと、次に速い高光沢な画像を目的としたハイグロス用のプロセススピード=112.5mm/secと、最も遅い超高光沢な画像を目的としたスーパーハイグロス用のプロセススピード=75mm/secの4つの速度を備えており、図2に示すように、制御回路09に配設された制御手段としてのCPU300 によって、これら4つのプロセススピードを適宜切り替えてプリント動作を実行するように構成されている。
【0065】
そこで、この実施の形態では、CPU300 によって、回収シーケンスのすべてを、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピードである白黒用のプロセススピード=225mm/secで実行するように制御される。その際、二次中間転写ドラム53上からトナーを回収する第3のブラシロール230 も、最も速いプロセススピードである白黒用のプロセススピード=225mm/secに対応した速度で回転駆動されるようになっている。
【0066】
更に説明すると、上記フルカラープリンター01では、例えば、フルカラーの印字動作を、白黒用のプロセススピード(225mm/sec)よりも遅い、フルカラー用のプロセススピード=161mm/secで実行するように設定されているが、フルカラーの印字動作が終了した後の回収シーケンスは、すべてフルカラー用のプロセススピードよりも速い白黒用のプロセススピード(225mm/sec)に切り替えられて実施される。同様に、ハイグロス用のプロセススピードやスーパーハイグロス用のプロセススピードで印字動作を実行した場合であっても、回収シーケンスは、すべてフルカラー用のプロセススピードよりも速い白黒用のプロセススピード(225mm/sec)に切り替えられて実施される。
【0067】
以上の構成において、この実施の形態に係るフルカラープリンターでは、次のようにして、デトーニング機構を具備しないトナー仮保持部材で感光体ドラムや中間転写体等の像担持体を清掃することにより、かかる像担持体のクリーニング機構を簡易に構成して、カラー化においても装置の小型化を達成することが可能であることは勿論のこと、トナー仮保持部材からの捕獲トナーの回収シーケンスにおいて、異音が発生うするのを防止することが可能となっている。
【0068】
すなわち、この実施の形態に係るフルカラープリンター01では、図1及び図2に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ユニット1, 2, 3, 4において、各感光体ドラム11, 12, 13, 14上にそれぞれイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が形成され、これら各感光体ドラム11, 12, 13, 14に形成された各色のトナー像は、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52、並びに二次中間転写ドラム53を介して、転写ロール60によって記録シート100 上に最終的に転写された後、定着器70によって定着処理を受けて、フルカラー画像の印字が行われる。
【0069】
その際、上記フルカラープリンター01では、イエロー(Y)及びマジェンタ(M)の各感光体ドラム11, 12上から第1の一次中間転写ドラム51にトナー像を転写する際、及びシアン(C)及びブラック(K)の各感光体ドラム13, 14上から第2の一次中間転写ドラム52にトナー像を転写する際、更には第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52から二次中間転写ドラム53にイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を一括して転写する際、そして当該二次中間転写ドラム53から記録シート100 上に最終的にフルカラーのトナー像を最終転写する際に、感光体ドラム11, 12,13,14上、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52上、二次中間転写ドラム53上にトナーが残留することになる。
【0070】
ところで、これら感光体ドラム11, 12,13,14上、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52上、二次中間転写ドラム53上に残留したトナーは、図1に示すように、リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 と、第1、第2のブラシーロール220 ,221 と、第3のブラシロール230 とによって除去され、一時的に保持される。
【0071】
その後、上記リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 と、第1、第2のブラシーロール220 ,221 と、第3のブラシロール230 とによって除去され、一時的に保持されたトナーは、上述したように、プリントシーケンス後に実施される正極トナー及び逆極トナーの回収シーケンスにおいて回収され、最終転写ロール60に接触して設けた一括回収装置80によって回収され、除去される。
【0072】
このとき、上記フルカラープリンター01では、CPU300 によって、回収シーケンスのすべてを、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピードである白黒用のプロセススピード=225mm/secで実行するように制御される。
【0073】
そのため、回収シーケンスでは、リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や、第1、第2のブラシーロール220 ,221 が、感光体ドラム11, 12, 13, 14及び第1、第2の一次中間転写ドラム51,52に従動する回転速度が速くなるとともに、回転駆動される第3のブラシロール230 の回転速度が速くなり、これらリフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や第1、第2のブラシーロール220 ,221 、あるいは第3のブラシロール230 は、感光体ドラム11, 12, 13, 14及び第1、第2の一次中間転写ドラム51,52、更には二次中間転写ドラム53に対する相対速度が速くなる。その結果、上記リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や、第1乃至第3のブラシーロール220 ,221 ,239 からのトナーの吐き出し効率を一定とした場合(理論値)には、図8に示すように、単位時間当たりの吐き出し量が増加し、効果的に単時間でトナーの回収シーケンスを実行することが可能となる。
【0074】
また、上記リフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や第1、第2のブラシーロール220 ,221 、あるいは第3のブラシロール230 は、感光体ドラム11, 12, 13, 14及び第1、第2の一次中間転写ドラム51,52、更には二次中間転写ドラム53に対する相対速度が速くなるため、" スティックスリップ現象" が緩和乃至抑制され、当該" スティックスリップ現象" に起因する異音の発生が問題にならない程度に抑制乃至防止することができる。
【0075】
実施の形態2
図9はこの発明の実施の形態2を示したものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、トナー仮保持部材のトナー吐き出し特性に応じて、最適な特定の速度にプロセススピードを制御するように構成されている。
【0076】
すなわち、この実施の形態2では、図9に示すように、トナー仮保持部材としてのリフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や第1、第2のブラシーロール220 ,221 、あるいは第3のブラシロール230 が、単位時間当たりのトナー吐き出し量が、ある線速でピークを示すような特性を有している。
【0077】
更に説明すると、上記トナー仮保持部材としてのリフレッシャブラシ215 ,216 ,217 ,218 や第1、第2のブラシーロール220 ,221 、あるいは第3のブラシロール230 は、線速度が遅いと、トナーを吐き出すのに時間が掛かり、結果的に単位時間当たりのトナー吐き出し量が少ないが、ある特定の速度で、電界やフリッキング、遠心力の効果が最も出やすく、単位時間当たりのトナー吐き出し量がピークを示し、速過ぎると電界の効果が出にくいばかりか、ブラシの毛が動かず、奥のトナーが吐き出され難く、トナーの動きにブラシに追従しなくなって、結果的に単位時間当たりのトナー吐き出し量が減少することになる。
【0078】
そのため、この実施の形態2では、図9に示すように、回収シーケンスとして、直径14mm程度のブラシで、単位時間当たりのトナー吐き出し量が略ピークを示すプロセススピード=150mm/secで実行するように構成されている。
【0079】
また、回収シーケンスとして、プロセススピードがある程度の速度(例えば、150mm/sec)以上であれば、" スティックスリップ現象" に起因する異音の抑制にも効果が得られる。
【0080】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
なお、前記実施の形態では、回収シーケンスのすべてを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行するように構成した場合などについて説明したが、前記回収シーケンスの初期の所定時間のみを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの画像形成部の構成を示す概略図である。
【図2】本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの構成を示す概略図である。
【図3】印字ジョブ中におけるトナーの流れを示した模式図である。
【図4】回収シーケンス中における正極トナーの回収の流れを示した模式図である。
【図5】回収シーケンス中における逆極トナーの回収の流れを示した模式図である。
【図6】一つの印字ジョブに対する回収シーケンスの実施タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】一つの印字ジョブに対する回収シーケンスの実施タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】線速度と単位時間あたりのトナー吐き出し量との関係を示すグラフである。
【図9】この発明の実施の形態2係る線速度と単位時間あたりのトナー吐き出し量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0083】
11〜14…感光体ドラム、51,52…一次中間転写ドラム、53…二次中間転写ドラム、215〜218…リフレッシャーブラシ、220,221…第1ブラシロール、230…第2ブラシロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、
像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、
前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうちのいずれか1つ、又は通常のプロセススピードとは異なる速度で実行するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画情報に応じたトナー像を像担持体上に形成すると共に該トナー像を記録シートに転写する印字ジョブを実行する画像形成装置であって、
像担持体の表面に付着した不要トナーを除去すると共に一時的に保持するトナー仮保持部材を備え、トナー像の形成及び転写が行われた後、前記トナー仮保持部材に保持された不要トナーを像担持体上に吐き出させると共に最終回収手段によって捕獲する回収シーケンスを実行して前記印字ジョブを終了するように構成した画像形成装置において、
前記回収シーケンスの少なくとも一部を、複数設定されたプロセススピードのうち、最も速いプロセススピード、又は通常のプロセススピードよりも速く設定された特定の速度で実行するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記回収シーケンスのすべてを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回収シーケンスの初期の所定時間のみを、通常のプロセススピードよりも速い速度で実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−58703(P2006−58703A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241580(P2004−241580)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】