説明

画像形成装置

【課題】 装置の不正移動場所を検知し、不正使用を防ぐことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 外部の位置取得装置2から設置位置情報を取得し、その取得結果と不揮発メモリ12に保持する正規の設置位置情報とを比較し、両設置位置情報の差異が所定の誤差範囲内に収まらない場合、装置の不正使用と判断する制御手段11を備えた画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に不正使用防止機能に特徴のある画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原稿に忠実に複写処理が可能なフルカラー複写機ができており、またそのコストの低下により一般オフィスだけでなく街中のコンビニエンスストア等にも広く普及し、また個人レベルでフルカラー複写機を入手することが可能になり、手軽にカラー複写を行うことができるようになった。しかし、その反面で紙幣等の有価証券(以下、特定原稿)をカラー複写機によって複写する犯罪行為が危惧されている。
そこで近年のカラー複写機では、原稿中の特定原稿画像を検出し、目立ち難い色で複写画像中にその複写機固有のパターンを付加することにより使用された複写機が特定できるようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2614369号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記技術によって、特定原稿複写等の不正使用した複写機を特定することができたにしろ、その複写動作を行った複写機がどこに設置されているかまでは特定することはできない。また、その複写機自体が正規ユーザから盗難された物件であった等、複写機の設置位置を不正に移動させていた場合、不正使用された複写機を特定しただけでは不正使用ユーザを割り出すことは困難であった。
本発明は装置の不正移動場所を検知し、不正使用を防ぐことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、位置情報を取得する位置取得装置と、設置位置情報を記憶した不揮発性メモリと、前記位置取得装置により取得した位置情報と前記不揮発メモリに保持した設置位置情報とを比較し、前記位置情報と前記設置位置情報との差異が所定の誤差範囲内に収まらない場合に不正使用と判断する制御手段と、を備えた画像形成装置を特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、不正使用と判断した場合に外部に通知する外部通知手段を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、不正使用と判断した場合に前記位置取得装置から取得した位置情報と現在時刻を前記不揮発メモリに記憶させることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記外部通知手段による外部の通知先は管理センタであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記制御手段は、管理センタから正規の設置位置情報を取得する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、装置設置場所の地理的位置情報(緯度・経度や住所)を位置取得手段から取得し、登録されている正規の設置位置情報と比較することで、装置の不正移動を検知することができる。それにより、仮に画像形成装置が悪用(有価証券の偽造等)された場合においても、その画像形成装置を悪用した日時と場所を特定することが可能となり、画像形成装置の不正使用を取り締まることが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の画像形成装置が外部の位置検出装置と管理センタに接続されているシステム構成図である。
画像形成装置1は、インタフェースを介して外部の位置検出装置2と管理センタ3に接続されている。位置検出装置2は通信衛星を使って装置の設置位置情報を検出するものであり、それ自体、本出願人の先願に係る特開平9−257905号公報、その他で公知である。管理センタ3は、ホスト装置31とCRT32を有し、複数の場所に設置された画像形成装置1の使用状況や故障の有無、消耗品の交換時期などを一括管理する。
画像形成装置1は、CPU(制御手段)11を中心に不揮発メモリ12、外部通知手段13、操作手段14を備える。不揮発メモリ12は正規の設置位置情報を保持する。
次にその動作を説明する。画像形成装置1が稼働する際、CPU11は、位置取得装置2から設置位置情報(緯度・経度情報)を取得し、その取得結果と不揮発メモリ12が保持する正規の設置位置情報とを比較する。両位置情報の差異が所定の誤差範囲内に収まらない場合、CPU11は装置の設置場所が不正である旨を、外部通知手段13を介して管理センタ3に連絡する。
その際、管理センタ3には、装置設置時に登録された装置固有の登録IDと位置取得装置2が取得した設置位置情報が通知される他、そのときに画像形成された画像データも通知される。その画像データを管理センタ3のCRT32上で確認することが可能である。
なお、不揮発メモリ12に保持される正規の設置位置情報は、装置設置時にサービスマンが操作手段14上の設定による専用モードによって不揮発メモリ12上に書き込みを行う。ユーザはこの記憶情報を参照したり書き換えることはできない。
【0007】
また、正規の設置情報と位置取得装置2が取得した設置位置情報と正規の設置情報とが不一致だった場合、CPU11は、位置取得装置2が取得した設置位置情報と現時刻を不揮発メモリ12上に記憶する。その後、管理センタ3から不揮発メモリ12内の位置情報を読み出すことにより、画像形成装置1が何時、何処に移動されたかを検知・管理することが可能となる。
また、画像形成装置1を正規の設置場所に戻した場合であっても、サービスマンが画像形成装置1のメンテナンスに訪れた際に不揮発メモリ12の内容(設置位置情報と時刻情報)を確認することで、画像形成装置1の移動を知ることが可能となる。
また、画像形成装置1が稼働する際、CPU11は管理センタ3に対して画像形成装置1の正規設置位置情報の取得要求を発行し、管理センタ3の装置31上のデータベースに登録されている正規の設置位置情報を取得することもできる。管理センタ3から取得した設置位置情報と現在の設置位置情報との比較結果が不一致であった場合には、上記と同様、管理センタ3に画像形成装置1の移動情報を通報するほか、装置内部に移動情報の記録を行う。
また、サービスマンが画像形成装置1のメンテナンスに訪れた際、専用モードを使って管理センタ3にアクセスし、ホスト装置3上のデータベースからデータベースに登録されている正規の設置位置情報を取得することもできる。その設置位置情報をサービスマンが装置設置の現場で確認することにより、メンテナンスに訪れた画像形成装置1が正規の設置位置で使用されているかを確認することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、複写元の画像ソースが原稿(ハードコピー)に限定されない。即ちディジタルカメラやビデオカメラによって撮影された画像データ、あるいはコンピュータを使用して作成された画像データを転写紙に複写する場合(プリンタシステム)にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成装置が外部の位置検出装置と管理センタに接続されているシステム構成図である。
【符号の説明】
【0010】
1 画像形成装置、2 位置取得装置、3 管理センタ、11 CPU(制御手段)、12 不揮発メモリ、13 外部通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を取得する位置取得装置と、設置位置情報を記憶した不揮発性メモリと、前記位置取得装置により取得した位置情報と前記不揮発メモリに保持した設置位置情報とを比較し、前記位置情報と前記設置位置情報との差異が所定の誤差範囲内に収まらない場合に不正使用と判断する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、不正使用と判断した場合に外部に通知する外部通知手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、不正使用と判断した場合に前記位置取得装置から取得した位置情報と現在時刻を前記不揮発メモリに記憶させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、前記外部通知手段による外部の通知先は管理センタであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、前記制御手段は、管理センタから正規の設置位置情報を取得する機能を有していることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−148144(P2007−148144A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344336(P2005−344336)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】