説明

画像形成装置

【課題】適正な頻度でメモリの診断を行う。
【解決手段】CPU21は、機能的に、電源投入時に電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める経過時間算出部212と、前記経過時間に基づいて、メモリの診断領域及び診断時間の少なくとも一方を設定する領域設定部213と、領域設定部213によって診断領域が設定された場合に、設定された診断領域の診断を、CPU11の診断実行部111に実行させると共に、領域設定部213によって診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけメモリの診断を、CPU11の診断実行部111に実行させる診断制御部214と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリを有する制御ユニットを備え、前記制御ユニットの指示に従って、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙上に転写し、定着ユニットを介して記録紙上にトナーを定着する画像形成装置に関するものである。特に、複写機、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、ネットワークプリンタ、及び、これらの機能の内の少なくとも1以上の機能を有する複合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリを有する制御ユニットを備え、前記制御ユニットの指示に従って、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙上に転写し、定着ユニットを介して記録紙上にトナーを定着するプリンタ等の画像形成装置においては、メモリが正常であるか否かを診断するメモリテストを、電源を投入する度に行っていた。
【0003】
しかしながら、近年のプリンタ等の画像形成装置の高機能化に伴い、CPUは大きなワークエリア(=大きな容量のメモリ)を必要とするため、メモリテストに長時間を要するものとなっている。一方、近年の半導体技術等の高度化に伴い、メモリの信頼性が高くなっており、メモリに故障が発生する可能性は低くなっている。
【0004】
そこで、例えば、ユーザからの操作に基づいて、メモリテストモードの設定を行い、メモリの診断を省略するモードに設定された場合には、メモリの診断を行わないプリンタが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−153047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記プリンタによれば、電源を投入する度にメモリの診断を行うことに伴う待ち時間を解消することが可能となる。しかしながら、ユーザからの操作に基づいて、メモリの診断を行うか否かが設定されるため、適正な頻度でメモリの診断を行うことは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、適正な頻度でメモリの診断を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の画像形成装置は、メモリを有する制御ユニットを備え、前記制御ユニットの指示に従って、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙上に転写し、定着ユニットを介して記録紙上にトナーを定着する画像形成装置であって、電源投入時に、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める経過時間算出手段と、前記経過時間に基づいて、前記メモリの診断領域及び診断時間の少なくとも一方を設定する領域設定手段と、前記領域設定手段によって診断領域が設定された場合に、設定された診断領域の診断を実行すると共に、前記領域設定手段によって診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけ前記メモリの診断を実行する診断実行手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記定着ユニットの定着温度を検出する定着温度検出手段を備え、前記経過時間算出手段が、電源投入時に前記定着温度検出手段によって検出された定着温度である初期定着温度に基づいて前記経過時間を求めることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記領域設定手段が、前記経過時間が予め設定された所定の閾値以上である場合に、前記メモリの診断領域を、前記メモリの全領域に設定し、前記経過時間が前記所定の閾値未満である場合に、前記メモリの診断領域を、前記メモリの一部領域に設定することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記診断実行手段によって診断が行われた前記メモリの後端側のアドレスである後端アドレスを格納するアドレス記憶手段を備え、前記診断実行手段が、前記領域設定手段によって前記メモリの診断領域が前記メモリの一部領域に設定された場合に、前記アドレス記憶手段に格納された前記後端アドレスの次のアドレスから診断を開始すると共に、診断終了時に、前記アドレス記憶部に格納された前記後端アドレスを更新することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項4に記載の画像形成装置であって、電源投入時点から前記定着ユニットの定着温度が予め設定された基準温度に到達するまでに要する時間である加熱時間を、前記初期定着温度と対応付けて格納する加熱時間記憶手段を備え、前記領域設定手段が、前記経過時間が予め設定された所定の閾値未満である場合には、前記初期定着温度に対応する加熱時間を前記加熱時間記憶手段から読み出して、前記メモリの診断領域を、読み出された加熱時間に基づいて設定することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記メモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間を格納する診断時間記憶手段を備え、前記領域設定手段が、前記全領域診断時間に基づいて、前記メモリの診断領域を設定することを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項6に記載の画像形成装置であって、前記領域設定手段が、前記加熱時間が前記全領域診断時間以上である場合に、前記メモリの診断領域を全領域に設定することを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置であって、前記領域設定手段が、前記加熱時間が前記全領域診断時間未満である場合に、前記診断時間を前記加熱時間に設定することを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置であって、前記領域設定手段が、前記加熱時間の前記全領域診断時間に対する比率に対応して前記メモリの診断領域を設定することを特徴としている。
【0016】
請求項10に記載の画像形成装置は、請求項6〜請求項9のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記診断実行手段が、前記領域設定手段によって前記メモリの診断領域が前記メモリの全領域に設定された場合に、前記メモリの診断領域を診断するために要した時間を測定し、前記診断時間記憶手段に格納された前記全領域診断時間を更新することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の画像形成装置によれば、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間に基づいて、メモリの診断領域及び診断時間の少なくとも一方が設定され、診断領域が設定された場合に、設定された診断領域の診断が実行されると共に、診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけメモリの診断が実行されるため、適正な頻度でメモリの診断を行うことができる。
【0018】
すなわち、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間が長い程、前回メモリの診断が実施された時点からの経過時間も長くなり、メモリに故障が発生する可能性が高くなるため、前記経過時間が長い程、メモリの診断領域を広くする(または、メモリの診断時間を長くする)ことによって、適正な頻度でメモリの診断を行うことができるのである。
【0019】
請求項2に記載の画像形成装置によれば、電源投入時に検出された定着温度である初期定着温度に基づいて、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間が求められるため、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を、簡素な構成で求めることができる。
【0020】
すなわち、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を、例えば時計機能を利用して求める場合には、時計機能を有する手段を配設する必要があるが、定着温度に基づいて求める場合には、新たな手段を配設する必要がないため、簡素な構成で経過時間を求めることができるのである。
【0021】
請求項3に記載の画像形成装置によれば、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間が予め設定された所定の閾値以上である場合に、メモリの診断領域が、メモリの全領域に設定され、前記経過時間が前記所定の閾値未満である場合に、メモリの診断領域が、メモリの一部領域に設定されるため、簡素な構成で且つ適正な頻度でメモリの診断を行うことができる。
【0022】
請求項4に記載の画像形成装置によれば、メモリの診断領域がメモリの一部領域に設定された場合に、診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスの次のアドレスから診断が開始されると共に、診断終了時に後端アドレスが更新されるため、メモリの全範囲を略均等な頻度で診断を行うことができるので、効率的にメモリの診断を行うことができる。
【0023】
請求項5に記載の画像形成装置によれば、電源投入時に検出された定着温度に対応する加熱時間が読み出されて、メモリの診断領域が、読み出された加熱時間に基づいて設定するため、更に効率的にメモリの診断を行うことができる。
【0024】
すなわち、電源投入時点から定着ユニットの定着温度が予め設定された基準温度に到達するまでに要する時間である加熱時間内は、メモリの診断を行うか否かにかかわらず画像を記録紙に形成する処理を行うことができないため、この加熱時間内に、メモリの診断を行うことによって、更に効率的にメモリの診断を行うことができるのである。
【0025】
請求項6に記載の画像形成装置によれば、メモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間に基づいて、メモリの診断領域が設定されるため、適正な診断領域を設定することができる。
【0026】
請求項7に記載の画像形成装置によれば、加熱時間が全領域診断時間以上である場合に、メモリの診断領域が全領域に設定されるため、更に適正な診断領域を設定することができる。
【0027】
請求項8に記載の画像形成装置によれば、加熱時間が全領域診断時間未満である場合に、診断時間が加熱時間に設定されるため、更に適正な診断領域を設定することができる。
【0028】
請求項9に記載の画像形成装置によれば、加熱時間の全領域診断時間に対する比率に対応してメモリの診断領域が設定されるため、更に適正な診断領域を設定することができる。
【0029】
請求項10に記載の画像形成装置によれば、メモリの診断領域がメモリの全領域に設定された場合に、メモリの診断領域を診断するために要した時間が測定され、全領域診断時間が更新されるため、全領域診断時間を正確に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、ここでは、画像形成装置が、プリンタである場合について説明するが、記録紙上に画像を形成する他の画像形成装置(例えば、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、複写機、複合機等)である形態でもよい。図1に示すように、プリンタ100は、第1制御ユニット1、第2制御ユニット2、操作部3、表示部4、及び、印刷処理部5を備えている。なお、プリンタ100は、図略のパーソナルコンピュータ(PC)等と通信可能に接続され、パーソナルコンピュータ(PC)等から画像情報を受け付け、受け付けた画像情報に対応する画像を記録紙上に形成するものである。
【0031】
第1制御ユニット1(制御ユニットに相当する)は、主に、画像処理、ユーザーインターフェース、モード設定、アプリケーションの制御、及び、第2制御ユニット2の動作の指示等を行い、プリンタ100全体の動作を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、及び、図略のROM(Read Only Memory)を備えている。
【0032】
第2制御ユニット2は、主に、記録紙の搬送制御、センサの検知等を行うものであって、CPU21、RAM22、及び、図略のROMを備えている。ここでは、便宜上、第2制御ユニット2は、電源投入時点で(=電源投入直後に)立ち上げが完了するものとする。更に、第2制御ユニット2は、通常は、第1制御ユニット1からの指示に従って動作するものであるが、電源投入から第1制御ユニット1が立ち上がるまで(ここでは、メモリ診断が完了するまで)の期間は、第1制御ユニット1からの指示なしに動作可能に構成されている。また、ここでは、第2制御ユニット2のRAM22は、第1制御ユニット1のRAM12と比較して、充分に小さい容量を有する(例えば、RAM12の容量は128Mバイト、RAM22の容量は3kバイトである)ものであるため、便宜上、RAM22のメモリ診断についてはその説明を省略する。
【0033】
操作部3は、ユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けられた操作入力に対応する操作入力情報を生成し、第1制御ユニット1(CPU11)に出力するものである。操作部3は、例えば、テンキー、スタートボタン等の各種ボタン、及び、表示部4に配設されたLCDと一体に形成されたタッチパネル等を備えている。
【0034】
表示部4は、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)等を備え、第1制御ユニット1(CPU11)からの指示に基づき、設定情報、ガイダンス情報、メッセージ情報等をユーザから視認可能に表示するものである。
【0035】
印刷処理部5は、記録紙上に電子写真方式で画像(ここでは、原稿画像に対応する画像)を形成するものであって、現像ユニット51、感光ユニット52、及び、定着ユニット53を備えている。感光ユニット52は、感光ドラムを備え、まず、感光ドラムの表面が帯電ローラによって略均一に帯電され、次に、図略のレーザビーム走査ユニットによって、静電潜像が形成され、更に、現像ユニット51によって、静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成され、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙に転写するものである。
【0036】
定着ユニット53は、感光ユニット52で感光ドラムから記録紙に転写されたトナー像を、加熱ローラ対によって記録紙を挟持して搬送することにより、トナー像を溶融して固着させ、記録紙に定着するものであって、温度センサ531を備えている。温度センサ531(定着温度検出手段の一部に相当する)は、加熱ローラの表面温度を測定するものであって、サーミスタ等から構成されている。
【0037】
図2は、プリンタ100の主要部の機能構成の一例を示す機能構成図である。CPU11は、機能的に、診断実行部111を備え、CPU21は、機能的に、定着温度検出部211、経過時間算出部212、領域設定部213、及び、診断制御部214を備えている。また、RAM22は、機能的に、加熱時間記憶部221、診断時間記憶部222、及び、アドレス記憶部223を備えている。
【0038】
ここでは、CPU11が、図略のROM(Read Only Memory)等に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、診断実行部11等の機能部として機能するものである。また、CPU21が、図略のROM(Read Only Memory)等に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、定着温度検出部211、経過時間算出部212、領域設定部213、及び、診断制御部214等の機能部として機能すると共に、RAM22を、加熱時間記憶部221、診断時間記憶部222、及び、アドレス記憶部223等の機能部として機能させるものである。
【0039】
また、RAM12、RAM22、ROMに格納された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に格納され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0040】
定着温度検出部211(定着温度検出手段の一部に相当する)は、温度センサ531を介して定着ユニットの定着温度を検出するものである。
【0041】
経過時間算出部212(経過時間算出手段に相当する)は、電源投入時に定着温度検出部211によって検出された定着温度である初期定着温度に基づいて、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求めるものである。例えば、経過時間算出部212は、予め初期定着温度と、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間とを対応付けて、RAM22等に格納しておき、定着温度検出部211によって検出された初期定着温度に対応する経過時間を読み出すことによって、経過時間を求めるものである。
【0042】
ただし、ここでは、経過時間算出部212によって経過時間を求める処理は行わず、初期定着温度が所定の閾値(例えば、30℃)以上か否かによって、領域設定部213が、メモリの診断領域を全領域にするか否かを設定する場合について説明する。
【0043】
なお、経過時間算出部212が経過時間を求め、求められた経過時間に基づいて、領域設定部213がメモリの診断領域を設定する形態でもよい。例えば、経過時間が第1の閾値(例えば、1時間)以上である場合には、メモリの診断領域を全領域に設定し、経過時間が第1の閾値(例えば、1時間)未満であり、且つ、第2の閾値(15分)以上である場合には、メモリの診断領域を半分の領域に設定し、経過時間が第2の閾値(15分)未満である場合には、メモリの診断領域を1/4の領域に設定する形態でもよい。
【0044】
領域設定部213(領域設定手段に相当する)は、経過時間が予め設定された所定の閾値以上である場合に、メモリの診断領域を、メモリの全領域に設定し、経過時間が所定の閾値未満である場合に、メモリの診断領域を、メモリの一部領域に設定するものである。ただし、ここでは、経過時間に換えて初期定着温度Aを用いるものとし、領域設定部213が、初期定着温度Aが予め設定された所定の閾値(例えば、30℃)未満である場合に、メモリの診断領域を、メモリの全領域に設定し、初期定着温度Aが所定の閾値(例えば、30℃)以上である場合に、メモリの診断領域を、メモリの一部領域に設定するものである。
【0045】
また、領域設定部213は、初期定着温度が所定の閾値(例えば、30℃)以上である場合には、初期定着温度Aに対応する加熱時間TWを加熱時間記憶部221から読み出して、メモリの診断領域を、読み出された加熱時間TWに基づいて設定するものである。
【0046】
更に、領域設定部213は、加熱時間TWがメモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間TF以上である場合に、メモリの診断領域を全領域に設定すると共に、加熱時間TWが全領域診断時間TF未満である場合に、診断時間を加熱時間TWに設定するものである。
【0047】
診断制御部214(診断実行手段の一部に相当する)は、領域設定部213によってメモリの診断領域が全領域に設定された場合に、診断実行部111に対してメモリ(ここでは、RAM12)の全領域の診断を実行させるものである。また、診断制御部214は、領域設定部213によって診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけ、診断実行部111に対してメモリの診断を実行させるものである。
【0048】
更に、診断制御部214は、領域設定部213によってメモリの診断領域がメモリの一部領域に設定された場合(=領域設定部213によって診断時間が設定された場合)に、診断実行部111に対して、アドレス記憶部223に格納された後端アドレスLAの次のアドレスから診断を開始させると共に、診断終了時に、診断実行部111から、診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスLA情報を取得し、アドレス記憶部223に格納された後端アドレスLAを更新するものである。
【0049】
また、診断制御部214は、領域設定部213によってメモリの診断領域がメモリの全領域に設定された場合に、診断実行部111に対して、メモリの診断領域を診断するために要した時間を測定させて、その時間情報を取得し、診断時間記憶部222に格納された全領域診断時間TFを更新するものである。
【0050】
診断実行部111(診断実行手段の一部に相当する)は、診断制御部214からの指示(診断時間又は診断領域)に従って、メモリ(ここでは、RAM12)の診断を実行するものである。
【0051】
また、診断実行部111は、診断制御部214によってメモリの診断領域がメモリの一部領域に設定された場合(=診断制御部214によって診断時間が設定された場合)に、診断制御部214から送信された後端アドレスLAの次のアドレスから診断を開始すると共に、診断終了時に、診断制御部214に対して、診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスLA情報を送信するものである。
【0052】
加熱時間記憶部221(加熱時間記憶手段に相当する)は、電源投入時点から定着ユニット53の定着温度が予め設定された基準温度(例えば、180℃)に到達するまでに要する時間である加熱時間TWを、初期定着温度Aと対応付けて格納するものである。
【0053】
図3は、加熱時間記憶部221に格納された加熱時間TW及び初期定着温度Aの一例を示す図表である。初期定着温度Aが低い程、加熱時間TWが長くなるが、例えば、予め実験等により、初期定着温度Aと加熱時間TWとの関係を測定しておき、加熱時間記憶部221に格納するものである。ここでは、例えば、初期定着温度Aが25℃である場合には、加熱時間TWが20秒であり、また、例えば、初期定着温度Aが30℃である場合には、加熱時間TWが18秒である。初期定着温度Aが180℃(=基準定着温度)である場合には、加熱時間TWは0秒である。
【0054】
再び、図2に戻って、機能構成について説明する。診断時間記憶部222(診断時間記憶手段に相当する)は、メモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間TFを格納するものである。ここで、診断時間記憶部222に格納された全領域診断時間TFは、診断制御部214によって更新されるものである。
【0055】
アドレス記憶部223(アドレス記憶手段に相当する)は、診断実行部111によって診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスLAを格納するものである。また、アドレス記憶部223に格納された後端アドレスLAは、診断制御部214によって更新されるものである。
【0056】
図4は、第2制御ユニット2(CPU21)の動作の一例を示すフローチャートである。まず、定着温度検出部211によって、温度センサ531を介して、電源投入直後の定着ユニットの定着温度である初期定着温度Aが検出される(S101)。そして、定着ユニットを加熱するヒータがONされ(S103)、領域設定部213によって、初期定着温度Aが予め設定された所定の閾値(例えば、30℃)未満であるか否かの判定が行われる(S105)。
【0057】
初期定着温度Aが予め設定された所定の閾値(例えば、30℃)未満であると判定された場合(S105でYES)には、領域設定部213によって、メモリの診断領域が、メモリの全領域に設定され(S107)、処理がステップS119に進められる。初期定着温度Aが予め設定された所定の閾値(例えば、30℃)以上であると判定された場合(S105でNO)には、領域設定部213によって、初期定着温度Aに対応する加熱時間TWが加熱時間記憶部221から読み出すことにより求められる(S109)。
【0058】
そして、領域設定部213によって、加熱時間TWが、全領域診断時間TF以上であるか否かの判定が行われる(S111)。加熱時間TWが全領域診断時間TF以上であると判定された場合(S111でYES)には、領域設定部213によって、メモリの診断領域が、メモリの全領域に設定され、診断制御部214によって、メモリの全領域を診断する旨の指示情報が診断実行部111に対して送信されて(S107)、処理がステップS119に進められる。加熱時間TWが全領域診断時間TF未満であると判定された場合(S111でNO)には、領域設定部213によって、診断時間が加熱時間TWに設定され、診断制御部214によって、アドレス記憶部223に後端アドレスLAが格納されているか否かが判定される(S113)。
【0059】
アドレス記憶部223に後端アドレスLAが格納されていないと判定された場合(S113でNO)には、診断制御部214によって、診断実行部111に対してメモリの先頭アドレスから加熱時間TWだけ診断を実行する旨の指示情報が診断実行部111に対して送信され(S115)、処理がステップS119に進められる。アドレス記憶部223に後端アドレスLAが格納されていると判定された場合(S113でYES)には、診断制御部214によって、診断実行部111に対して後端アドレスLAの次のアドレスから加熱時間TWだけ診断を実行する旨の指示情報が診断実行部111に対して送信される(S117)。処理がステップS119に進められる。
【0060】
ステップS107、ステップS115、又は、ステップ117の処理が終了した場合には、診断制御部214によって、領域設定部213によりメモリの診断領域が全領域に設定されたか否かの判定が行われる(S119)。メモリの診断領域が全領域に設定されていない(=診断時間が加熱時間TWに設定された)と判定された場合(S119でNO)には、診断制御部214によって、診断実行部111からメモリの診断が終了した旨の情報が受信されたか否かの判定が行われる(S121)。メモリの診断が終了した旨の情報が受信されていないと判定された場合(S121でNO)には、処理が待機状態とされる。メモリの診断が終了した旨の情報が受信されたと判定された場合(S121でYES)には、診断制御部214によって、診断実行部111から後端アドレスLA情報が取得されて、アドレス記憶部223に格納された後端アドレスLAが更新され(S123)、処理が終了される。
【0061】
メモリの診断領域が全領域に設定されたと判定された場合(S119でYES)には、診断制御部214によって、診断実行部111からメモリの診断が終了した旨の情報が受信されたか否かの判定が行われる(S125)。メモリの診断が終了した旨の情報が受信されていないと判定された場合(S125でNO)には、処理が待機状態とされる。メモリの診断が終了した旨の情報が受信されたと判定された場合(S125でYES)には、診断制御部214によって、診断実行部111から全領域診断時間TF情報が取得されて、診断時間記憶部222に格納された全領域診断時間TFが更新される(S127)。そして、診断制御部214によって、アドレス記憶部223に格納された後端アドレスLAがクリアされ(S129)、処理が終了される。
【0062】
図5は、第1制御ユニット1(CPU11)の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理は全て診断実行部111によって実行されるものである。まず、診断制御部214から指示情報が取得される(S201)。そして、取得された指示情報に基づいて、メモリの診断領域が全領域か否かの判定が行われる(S203)。メモリの診断領域が全領域であると判定された場合(S203でYES)には、メモリの先頭アドレスから診断が開始される(S205)。そして、メモリの全領域の診断が完了したか否かの判定が行われる(S207)。診断が完了していないと判定された場合(S207でNO)には、処理が待機状態とされる。診断が完了したと判定された場合(S207でYES)には、メモリの全領域の診断が完了した旨の情報、及び、診断に要した時間である全領域診断時間TFが診断制御部214に対して出力され(S209)、処理が終了される。
【0063】
メモリの診断領域が全領域ではないと判定された場合(S203でNO)には、ステップ201で取得された指示情報に後端アドレスLA情報が含まれているか否かの判定が行われる(S211)。後端アドレスLA情報が含まれていないと判定された場合(S211でNO)には、先頭アドレスから加熱時間TWだけメモリの診断が実行され(S213)、処理がステップS217に進められる。後端アドレスLA情報が含まれていると判定された場合(S211でYES)には、後端アドレスLAの次のアドレスから加熱時間TWだけメモリの診断が実行され(S215)、処理がステップS217に進められる。
【0064】
ステップ213又はステップS215の処理が終了した場合には、診断が終了したか否かの判定が行われる(S217)。診断が終了していないと判定された場合(S217でNO)には、処理が待機状態とされる。診断が終了したと判定された場合(S217でYES)には、メモリの診断が完了した旨の情報が診断制御部214に対して出力される(S219)。そして、診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスLA情報が診断制御部214に対して出力されて(S221)、処理が終了される。
【0065】
このようにして、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間(ここでは、この経過時間に換えて、初期定着温度A)に基づいて、メモリの診断領域及び診断時間の少なくとも一方が設定され、診断領域が設定された場合に、設定された診断領域の診断が実行されると共に、診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけメモリの診断が実行されるため、適正な頻度でメモリの診断を行うことができる。
【0066】
すなわち、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間が長い程(ここでは、初期定着温度Aが低い程)、前回メモリの診断が実施された時点からの経過時間も長くなり、メモリに故障が発生する可能性が高くなるため、前記経過時間が長い程(ここでは、初期定着温度Aが低い程)、メモリの診断領域を広くする(または、メモリの診断時間を長くする)ことによって、適正な頻度でメモリの診断を行うことができるのである。
【0067】
また、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間が予め設定された所定の閾値以上である場合(ここでは、初期定着温度Aが30℃未満である場合)に、メモリの診断領域が、メモリの全領域に設定され、前記経過時間が前記所定の閾値未満である場合(ここでは、初期定着温度Aが30℃以上である場合)に、メモリの診断領域が、メモリの一部領域に設定されるため、簡素な構成で且つ適正な頻度でメモリの診断を行うことができる。
【0068】
更に、メモリの診断領域がメモリの一部領域に設定された場合に、診断が行われたメモリの後端側のアドレスである後端アドレスLAの次のアドレスから診断が開始されると共に、診断終了時に後端アドレスLAが更新されるため、メモリの全範囲を略均等な頻度で診断を行うことができるので、効率的にメモリの診断を行うことができる。
【0069】
また、初期定着温度Aに対応する加熱時間TWが読み出されて、メモリの診断領域が、読み出された加熱時間TWに基づいて設定するため、更に効率的にメモリの診断を行うことができる。
【0070】
すなわち、初期定着温度Aが予め設定された基準温度(ここでは、180℃)に到達するまでに要する時間である加熱時間TW内は、メモリの診断を行うか否かにかかわらず画像を記録紙に形成する処理を行うことができないため、この加熱時間TW内に、メモリの診断を行うことによって、更に効率的にメモリの診断を行うことができるのである。
【0071】
更に、メモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間TFに基づいて、メモリの診断領域が設定されるため、適正な診断領域を設定することができる。
【0072】
加えて、加熱時間TWが全領域診断時間TF以上である場合に、メモリの診断領域が全領域に設定されるため、更に適正な診断領域を設定することができる。
【0073】
また、メモリの診断領域がメモリの全領域に設定された場合に、メモリの診断領域を診断するために要した時間が測定され、全領域診断時間TFが更新されるため、全領域診断時間TFを正確に設定することができる。
【0074】
なお、本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、プリンタ100が、第1制御ユニット1(CPU11)と第2制御ユニット2(CPU21)とを備える場合について説明したが、プリンタ100が、1の制御ユニット(1のCPU)を備える形態でもよい。この場合には、CPU11とCPU21との通信が不要となるため、処理が簡略化される。
【0075】
(B)本実施形態では、経過時間算出部212が、初期定着温度Aに基づいて、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める場合について説明したが、その他の方法で電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める形態でもよい。例えば、計時機能を備え、計時機能により電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める形態でもよい。この場合には、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を更に正確に求めることができる。
【0076】
(C)本実施形態では、領域設定部213が、初期定着温度が所定の閾値(例えば、30℃)以上か否かによって、メモリの診断領域を全領域にするか否かを設定する場合について説明したが、経過時間算出部212が経過時間を求め、求められた経過時間に基づいて、領域設定部213がメモリの診断領域を設定する形態でもよい。例えば、経過時間が第1の閾値(例えば、1時間)以上である場合には、メモリの診断領域を全領域に設定し、経過時間が第1の閾値(例えば、1時間)未満であり、且つ、第2の閾値(15分)以上である場合には、メモリの診断領域を半分の領域に設定し、経過時間が第2の閾値(15分)未満である場合には、メモリの診断領域を1/4の領域に設定する形態でもよい。
【0077】
(D)本実施形態では、加熱時間TWが全領域診断時間TF未満である場合に、領域設定部213が、診断時間を加熱時間TWに設定する場合について説明したが、領域設定部213が、加熱時間TWの全領域診断時間TFに対する比率に対応してメモリの診断領域を設定する形態でもよい。例えば、(メモリの診断領域)=(加熱時間TW)/(全領域診断時間TF)×100%とする形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】は、本本発明に係るプリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】は、プリンタの主要部の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【図3】は、加熱時間記憶部に格納された加熱時間TW及び初期定着温度Aの一例を示す図表である。
【図4】は、第2制御ユニット(CPU)の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】は、第1制御ユニット(CPU)の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
100 プリンタ
1 第1制御ユニット(制御ユニットの一部)
11 CPU
111 診断実行部(診断実行手段の一部)
2 第2制御ユニット(制御ユニットの一部)
21 CPU
211 定着温度検出部(定着温度検出手段の一部)
212 経過時間算出部(経過時間算出手段)
213 領域設定部(領域設定手段)
214 診断制御部(診断実行手段の一部)
22 RAM
221 加熱時間記憶部(加熱時間記憶手段)
222 診断時間記憶部(診断時間記憶手段)
223 アドレス記憶部(アドレス記憶手段)
53 定着ユニット
531 温度センサ(定着温度検出手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリを有する制御ユニットを備え、前記制御ユニットの指示に従って、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙上に転写し、定着ユニットを介して記録紙上にトナーを定着する画像形成装置であって、
電源投入時に、電源遮断時点から電源投入時点までの経過時間を求める経過時間算出手段と、
前記経過時間に基づいて、前記メモリの診断領域及び診断時間の少なくとも一方を設定する領域設定手段と、
前記領域設定手段によって診断領域が設定された場合に、設定された診断領域の診断を実行すると共に、前記領域設定手段によって診断時間が設定された場合に、設定された診断時間だけ前記メモリの診断を実行する診断実行手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着ユニットの定着温度を検出する定着温度検出手段を備え、
前記経過時間算出手段は、電源投入時に前記定着温度検出手段によって検出された定着温度である初期定着温度に基づいて前記経過時間を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記領域設定手段は、前記経過時間が予め設定された所定の閾値以上である場合に、前記メモリの診断領域を、前記メモリの全領域に設定し、前記経過時間が前記所定の閾値未満である場合に、前記メモリの診断領域を、前記メモリの一部領域に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記診断実行手段によって診断が行われた前記メモリの後端側のアドレスである後端アドレスを格納するアドレス記憶手段を備え、
前記診断実行手段は、前記領域設定手段によって前記メモリの診断領域が前記メモリの一部領域に設定された場合に、前記アドレス記憶手段に格納された前記後端アドレスの次のアドレスから診断を開始すると共に、診断終了時に、前記アドレス記憶部に格納された前記後端アドレスを更新することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
電源投入時点から前記定着ユニットの定着温度が予め設定された基準温度に到達するまでに要する時間である加熱時間を、前記初期定着温度と対応付けて格納する加熱時間記憶手段を備え、
前記領域設定手段は、前記経過時間が予め設定された所定の閾値未満である場合には、前記初期定着温度に対応する加熱時間を前記加熱時間記憶手段から読み出して、前記メモリの診断領域を、読み出された加熱時間に基づいて設定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記メモリの全領域を診断するために要する時間である全領域診断時間を格納する診断時間記憶手段を備え、
前記領域設定手段は、前記全領域診断時間に基づいて、前記メモリの診断領域を設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記領域設定手段は、前記加熱時間が前記全領域診断時間以上である場合に、前記メモリの診断領域を全領域に設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記領域設定手段は、前記加熱時間が前記全領域診断時間未満である場合に、前記診断時間を前記加熱時間に設定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記領域設定手段は、前記加熱時間の前記全領域診断時間に対する比率に対応して前記メモリの診断領域を設定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記診断実行手段は、前記領域設定手段によって前記メモリの診断領域が前記メモリの全領域に設定された場合に、前記メモリの診断領域を診断するために要した時間を測定し、前記診断時間記憶手段に格納された前記全領域診断時間を更新することを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−58340(P2008−58340A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231464(P2006−231464)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】