説明

画像形成装置

【課題】高画像面積パターンの印刷を連続して行う場合に残留トナーが増大しても、機内汚染やクリーニングブレードの低寿命化の発生を防ぐ画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニングブラシ7に当接してこれに付着している廃トナーを脱落させる複数のフリッカ11、11’と、クリーニングブラシ7から廃トナー回収部20へ至る複数の廃トナー移動経路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真技術を用いたコピー機やプリンタなどの画像形成装置に関し、特に、像担持体の転写残トナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を使用した画像形成装置(コピー機やプリンタなど)は、印刷業界へのシェア拡大などで近年飛躍的な長寿命化が求められており、その中で作像エンジン部の一つであるクリーニング装置の長寿命化も同様に求められている。
【0003】
図9に、従来の画像形成装置の構成を示す。感光体1の表面を帯電装置2が所定の電位で一様に帯電させる。不図示の露光装置によって感光体表面を露光して、画像データに応じた潜像を形成し、現像装置4によって潜像部にトナーを付着させて顕像化する。顕像化した画像を転写部5に転写し、その画像をさらに不図示の転写紙にさらに転写することによって画像を形成する。転写部5へ転写したときに感光体表面に残った残留トナーは、クリーニング装置6によって回収されて、次回以降の画像形成に備えられる。
【0004】
図10に、クリーニング装置6の近傍の構成を示す。
転写部から来た残留トナー10は、まずクリーニングブラシ7で一部が回収される。回収しきれずに残ったトナーはさらにクリーニングブレード8で完全に回収される。クリーニング後は、感光体表面の摩擦係数を一定に保つために、潤滑剤塗布機構9でステアリン酸亜鉛などの潤滑剤が塗布し、次の画像形成に備える。
【0005】
クリーニングブラシ7でブラシ表面に残留トナーを付着させて回収した後は、ブラシ表面に付着したトナーをフリッカ11によってブラシから脱落させてブラシ表面をクリーニングする。フリッカ11によって飛ばされたトナーは、トナー回収部20に到達し、所定の位置に回収される。
【0006】
特許文献1に開示されるフリッカの機能について図11を用いて説明する。フリッカに当接することによってブラシが変形し、その後当接が解除されることによってブラシが元の形状に復元しようとする。ブラシに付着していたトナーは、このときの反動力によってブラシから離れて飛ばされる。ブラシの回転によってこの動作を何回か繰り返すことによってブラシをクリーニングする。
【特許文献1】特開2007−093863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高画像面積(トナーが全面に載る画像)のパターンを印刷するなどして、多くのトナーが感光体に残留している場合には、ブラシに付着したトナーを回収するためにブラシを何回も回転させる必要が生じる。
図12に示すように、残留トナーが長時間入力され続けると、クリーニングブラシ7に付着したトナーをクリーニングしきれず、クリーニングブラシ7がトナーで汚れたままとなる。この場合には、残留トナーを回収しきることができず、残留トナーの一部はクリーニングブラシ7を通過してしまう。クリーニングブラシ7を通過した残留トナーは、クリーニングブレード8で掻き落とされるが、クリーニングブラシ7を通過するトナー量が多くなるとやはり掻き落としきれなくなり、少しずつブレードエッジからトナーがすり抜ける。
クリーニングブレード8をすり抜けてしまったトナーは、各ユニットを汚してしまう。また、ブレードエッジからトナーがすり抜け続けると、すり抜け時に生じる力がブレードエッジにダメージを与えてしまうが、ブレードエッジが欠落するとクリーニング性能が著しく低下する。
【0008】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、高画像面積パターンの印刷を連続して行う場合に残留トナーが増大しても、機内汚染やクリーニングブレードの低寿命化の発生を防ぐ画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、像担持体に当接して、像担持体に付着している画像形成後の残留トナーを回収するクリーニングブラシと、クリーニングブラシで回収したトナーを廃トナーとして所定の箇所に回収する廃トナー回収部とを有する画像形成装置であって、クリーニングブラシに当接して該クリーニングブラシに付着している廃トナーを脱落させる複数のクリーニングブラシ当接部材と、クリーニングブラシから廃トナー回収部へ至る複数の廃トナー移動経路とを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高画像面積パターンの印刷を連続して行う場合に残留トナーが増大しても、機内汚染やクリーニングブレードの低寿命化の発生を防ぐ画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る画像形成装置が備えるフリッカの構成を示す。このフリッカは、フリッカ部材が2枚重ねて配置された構成である。フリッカ部材を二つ設けることにより、クリーニングブラシ表面に付着しているトナーを倍の効率で除去できる。
1枚目のフリッカ部材で飛ばされたトナーを回収部へ到達させるための経路を確保するために、2枚目のフリッカ部材には穴12が形成されている。
1枚目のフリッカ部材11によって飛ばされたトナーは、2枚目のフリッカ部材11’の穴12を介して(1)の経路でトナー回収部へ到達する。一方、2枚目のフリッカ部材11’によって飛ばされたトナーは、(2)の経路で回収部へ到達する。
【0012】
このような構成とすることにより、フリッカ部材が並んでいる場合でもトナーが溜まることなくブラシ表面をクリーニングできる。
【0013】
なお、ここではフリッカ部材が2枚重ねて配置された構成を例としたが、3枚以上のフリッカ部材を備えた構成であっても良いことは言うまでもない。
【0014】
このように、本実施形態ではブラシ一回転あたりのトナークリーニング能力が向上するため、ブラシ表面の残留トナーを効率良くクリーニングできる。
【0015】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。図2に、本実施形態に係る像形成装置が備えるフリッカの構成を示す。このフリッカはブラシ形状のブラシフリッカである。図3に、フリッカの詳細な構成を示す。
【0016】
ブラシフリッカは、当接、離間するたびにクリーニングブラシ表面のトナーが掻き落とす。この動作は、フリッカブラシの穂の数だけ繰り返されるため、一度フリッカブラシを通過させるだけで、クリーニングブラシの表面に付着したトナーを旧来のブレード状のフリッカと比較して格段に効率よくクリーニングできる。
ただし、ブラシフリッカのピッチが狭いと、図4に示すようにクリーニングブラシは変形状態のままブラシフリッカを通過してしまうため、復元による反動力が発生しないため、除去効率が低下してしまう。
また、図5に示すように、飛ばされたトナーのトナー回収部への移動経路は、ブラシフリッカのピッチ間であるため、最下流のブラシピッチ間が出口となる。従って、上流からフリッキングされたトナー全てが最下流のブラシピッチ間から出て行くため、下流側のブラシピッチでトナーの目詰まりが発生しやすいという懸念が生じる。このため、ブラシピッチはある程度の間隔を確保する必要がある。ただし、ピッチが広がり過ぎると微視的に見てクリーニングブラシをフリッキングしない箇所が発生してしまってトナーの除去効率が下がるので、トナーの性質(フリッカブラシに対する粘着性など)を考慮して、トナーの除去効率が低下しないように設計することが好ましい。
【0017】
このように、フリッカ部材をクリーニングブラシよりもピッチの粗いブラシ状とすることにより、一つの部材で複数の当接部とトナー経路とを形成でき、小さなスペースで効率よくクリーニングブラシ表面をクリーニングできる。
【0018】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。
図6に、本実施形態に係るフリッカの構成を示す。本実施形態においては板状のフリッカ部材には無数の穴が形成されている。図7に示すように、ブラシに付着しているトナーは、ブラシの穂が一つの穴を通過する際に変形した状態から元に戻る反動によって飛ばされる。飛ばされたトナーはその穴を経路としてトナー回収部へ到達する。
【0019】
穴を通過する際に元の状態に戻ったブラシの穂は、穴を通過後にフリッカ部材が当接して再び変形し、次の穴を通過する際にまた復元する。穴の数だけ変形と復元とが繰り返されるため、ブラシ一回転で効率よくトナーをクリーニングできる。
上記第2の実施形態と比較すると、フリッキングしたトナーは通過時の各穴を経路としてトナー回収部へと到達するため、フリッカの下流側にトナーが滞留してしまうことがなく、効率よくフリッキングできる。
【0020】
なお、図8に示すように、ブラシ表面に沿ってフリッカをR形状としても良い。このような形状とすることにより、ブラシ表面とフリッカ部材との当接面積が大きくなるため、ブラシの一回転でさらに多くにフリッキング動作を繰り返すことができ、ブラシ表面のクリーニング効率をさらに高めることができる。
【0021】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれらに限定されることはなく、様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るフリッカの構成を示す図である。
【図2】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るフリッカの構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係るフリッカの詳細な構成を示す図である。
【図4】ブラシフリッカのピッチが狭く、クリーニングブラシが変形したまま維持される状態を示す図である。
【図5】飛ばされたトナーのトナー回収部への移動経路を示す図である。
【図6】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係るフリッカの構成を示す図である。
【図7】クリーニングブラシに付着しているトナーが、ブラシの穂が穴を通過する際に飛ばされる状態を示す図である。
【図8】クリーニングブラシの表面に沿ってR形状としたフリッカを示す図である。
【図9】従来の画像形成装置の構成を示す図である。
【図10】従来の画像形成装置のクリーニング装置の近傍の構成を示す図である。
【図11】フリッカの機能を示す図である。
【図12】残留トナーが長時間入力され続け、ブラシに付着したトナーをクリーニングしきれず、ブラシがトナーで汚れたままとなった状態を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 感光体
2 帯電装置
4 現像装置
5 転写部
6 クリーニング装置
7 クリーニングブラシ
9 潤滑剤塗布機構
10 残留トナー
11、11’ フリッカ
20 トナー回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に当接して、前記像担持体に付着している画像形成後の残留トナーを回収するクリーニングブラシと、前記クリーニングブラシで回収したトナーを廃トナーとして所定の箇所に回収する廃トナー回収部とを有する画像形成装置であって、
前記クリーニングブラシに当接して該クリーニングブラシに付着している廃トナーを脱落させる複数のクリーニングブラシ当接部材と、前記クリーニングブラシから前記廃トナー回収部へ至る複数の廃トナー移動経路とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングブラシ当接部材は、前記クリーニングブラシよりもピッチの粗いブラシ形状であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニングブラシ当接部材は、前記クリーニングブラシと当接する領域に複数の穴を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングブラシ当接部材は、前記クリーニングブラシの外周に沿って変形可能であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニングブラシ当接部材は、前記クリーニングブラシの外周に沿った曲面を有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−210804(P2009−210804A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53585(P2008−53585)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】