説明

画像形成装置

【課題】ファンにより取り込まれた空気を、風量及び風速の低下を抑えつつ搬送しながら、空気に含まれる塵埃等を捕捉する。
【解決手段】第2のダクト31には、ダクト内を流れる空気の空気流路Oの方向を変更する屈曲部Rが設けられ、ダクト内を流れる空気に含まれる塵埃を捕捉するための吸着部材33が、屈曲部Rを構成するダクト内壁のうち、屈曲部Rより上流側の空気流路Oの方向に対して交差する外側壁面31bに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、浮遊物により画像形成に悪影響を及ぼすことを防止するため、特許文献1に記載のような構成が提案されている。
【0003】
この構成としては、図7のように、送風のためのファン40と、空気を搬送するためのダクト41と、前記ダクト内の風の流れに対向する位置に配置される交換可能なフィルタ42を有する構成となっている。空気がフィルタ42を透過することにより、浮遊物が捕捉され、浄化された空気が装置内部に送られる。
【特許文献1】特開2002−278389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のような構成では、ファンから送られる空気が集塵フィルタを透過するため、浮遊物の集塵効率は良いが、風量及び風速が低下する可能性がある。また、集塵フィルタが目詰まりを起こし、送風機能を低下させる可能性があるため、この構成のように交換可能な構造にする必要がある。また、浮遊物を捕捉し、かつ風速及び風量を求める場合には、ファンの容量を大きくする必要があり、部品コストが増加する。
【0005】
画像形成装置においては、感光体上の静電潜像を形成するためにトナーを供給する構成を有するが、トナーを供給する画像形成装置においては、帯電量が低下したトナーや感光体上の残留トナーが装置内部に飛散する場合がある。
【0006】
空気に含まれる塵埃やトナー等の浮遊物は、装置の長期使用により、装置内部を汚染して見た目を悪くするだけでなく、次のようなことが懸念される。すなわち、浮遊物は、装置の長期使用により、感光体上で帯電ムラを発生させたり、駆動機構を構成するギアや軸等の摺動を悪化させ、駆動トルクを増加させたり、異音の発生原因となることが懸念される。
【0007】
また、塵埃等を含む空気が光学系を構成する反射ミラーのガラス表面に付着することにより、反射率が低下し、画像の品質を悪化させる可能性がある。
【0008】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、ファンにより取り込まれた空気を、風量及び風速の低下を抑えつつ搬送しながら、空気に含まれる塵埃等を捕捉することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
装置本体の外部から内部に空気を取り込むためのファンと、
前記ファンにより装置本体の内部に取り込まれた空気を案内するダクトと、
前記ダクト内を流れる空気に含まれる塵埃を捕捉するための捕捉部材と、
を有する画像形成装置において、
前記ダクトには、ダクト内を流れる空気の空気流路の方向を変更する屈曲部が設けられ、
前記捕捉部材は、前記屈曲部を構成するダクト内壁のうち、前記屈曲部より上流側の前記空気流路の方向に対して交差する壁面に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ファンにより取り込まれた空気を、風量及び風速の低下を抑えつつ搬送しながら、空気に含まれる塵埃等を捕捉することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る画像形成装置内に設けられた風路の概略構成を説明するための斜視図である。図3は、本実施形態に係る画像形成装置内に設けられたダクトの概略構成を示す断面図である。図4は、図3のA−A断面を示す図である。
【0013】
以下に、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。
【0014】
<画像形成装置の全体構成>
本実施形態に係る画像形成装置1は、レーザダイオード(不図示)、ポリゴンミラー21、レンズ(不図示)、反射ミラー22を備えた光学手段2と、光学手段2から得られる画像情報に応じたレーザ光を照射する。
【0015】
これによって、像担持体としてのドラム形状の感光体ドラム(電子写真感光体)26に画像情報に応じた静電潜像が形成される。この潜像は、プロセスカートリッジ3の内部に構成される現像手段によって現像される。
【0016】
光学手段2は、プレート部材27上に配置され、プロセスカートリッジ3はプレート部材27と搬送ガイド部材との間に配置され、記録材Sはプロセスカートリッジ3と転写ローラ11によって形成される搬送ニップ部を通過することで画像形成される。
【0017】
また、本実施形態に係る画像形成装置は記録材給送装置として、図1に示すように、手差し給送トレイ4を備えるほか、複数の給送カセット5,6を備えている。手差し給送トレイ4は、画像形成装置1本体の一側部に設けられ、所定量の記録材Sを積載可能に設けられている。また、給送カセット5,6は、画像形成装置1本体内の下部(感光体ドラム26の下方)に設けられ、所定量の記録材Sを積載収納している。
【0018】
そして、記録材Sを給送するための手差し給送トレイ4および各給送カセット5,6の設置部位にはそれぞれリタード分離方式の記録材給送装置7,8,9が備えられている。
【0019】
手差し給送トレイ4及び給送カセット5,6内の記録材Sはそれぞれの記録材給送装置7,8,9によって給送されると、まず回転停止しているレジストローラ対10に送られ、ここで斜行状態の矯正が行われる。
【0020】
次いで、画像情報に基づき、処理手段である画像形成部を構成する感光体ドラム26上に形成される潜像とのタイミングをとって回転するレジストローラ対10により、感光体ドラム26と転写帯電器(不図示)との間に送られる。
【0021】
転写位置には、転写手段としての転写ローラ11が配置されており、電圧が印加されることによって、感光体ドラム26上のトナー像が記録材Sに転写される。
【0022】
この後、トナー像の転写を受けた記録材Sは搬送ベルト12により定着手段13に送られ、ここで転写されたトナー像を記録材面に定着させるための定着処理がなされる。
【0023】
定着手段13は、駆動ローラ14およびヒータを内蔵した定着ローラ15を備え、通過する記録材Sに熱および圧力を印加して転写されたトナー像を記録材S上に定着する。
【0024】
本実施形態の画像形成装置1は、記録材Sへの両面印字を行う両面プリントモードと片面プリントモードを備えているが、片面プリントモードの場合、定着処理後の記録材Sは内排出ローラ対16及び外排出ローラ17により機外の排出トレイ18上に排出される。
【0025】
また、両面プリントモードの場合には、内排出ローラ対16又はスイッチバックローラ対19により再給送パス20及び両面搬送パス23を介して中間トレイ24上に一時的に積載収納される。そして、中間トレイ24上に収納された記録材Sは再給送装置25により再び画像形成のためにレジストローラ対10に搬送され、以後、片面プリントと同一のプロセスを経て機外に排出される。
【0026】
次に、本実施形態の特徴的な構成であるダクト、及び、ダクト内を流れる空気に含まれる塵埃を捕捉するために設けられた捕捉部材としての吸着部材33の構成について説明する。
【0027】
本実施形態では、外気を吸引するファン28が画像形成装置1の左側板(不図示)に配置されている。そして、図2に示すように、第1のダクト30によりファン28が保持され、ファン28から送風される空気は、第1のダクト30から第2のダクト31へと送られる。
【0028】
第2のダクト31を通過した空気は、光学手段2を保持するプレート部材27の露光口29に沿って配置される第3のダクト32を通り、光学手段2が配置されるプレート部材27側から感光体ドラム26方向に送られる。
【0029】
ここで、ファン28により画像形成装置本体の外部から内部に取り込まれた空気が、第1のダクト30,第2のダクト31及び第3のダクト32により案内されることで、空気流路Oが形成される。
【0030】
そして、図3及び図4に示すように、第2のダクト31には、ダクト内を流れる空気の空気流路Oの方向を変更する屈曲部Rが設けられている。そして、第2のダクト31において、空気が流入する斜面31aから、屈曲部Rの外側壁面31bにかけて、吸着部材33として1枚のシート状のモルトプレンが貼り付けられて配置される。
【0031】
ダクト内の屈曲部Rでは、圧力勾配や遠心力の作用により、空気の乱れが発生し易く、流れに損失が生じるため、塵埃等が溜り易い。特に、ダクト内の空気が、屈曲部Rの外側壁面31bに衝突することで、空気の流れに損失が生じるため、屈曲部Rの外側壁面31b近傍には塵埃等が溜り易くなる。
【0032】
本実施形態では、空気が屈曲部Rの外側壁面31bに衝突(接触)する位置とその近傍や、空気の流れに損失が生じ易い位置に吸着部材33を配置している。このように構成することで、塵埃等の捕捉効率を上げることができる。
【0033】
ここで、屈曲部Rの外側壁面31bは、屈曲部Rを構成するダクト内壁のうち、屈曲部Rより上流側の空気流路Oの方向に対して交差する壁面を構成している。また、本実施形態では、ダクト内を流れる空気が接触する壁面に吸着部材33を配置するもので、吸着部材33においては空気を透過する構成とはしていない。このように構成することで、従来のような、空気の流れに対向する位置に吸着部材を配置して空気が吸着部材を透過する構成に比べて、風量及び風速の低下を抑えることができるものである。しかし、ダクト内を流れる空気が接触する壁面に配置されることで、従来のような、空気の流れに対向する位置に配置された吸着部材を空気が透過する構成に比べ、風量及び風速の低下を抑制可能であれば、吸着部材33は空気を透過する構成であってもよい。また、吸着部材33としては、モルトプレンに限るものではなく、不織布等を用いたエアフィルタ等を使用しても効果を得ることができる。
【0034】
図5は、吸着部材33の配置条件を変えた時の塵埃試験結果を示している。図6は、ダクト内の空気の流れに平行となるダクト底面に、シート状の吸着部材33を配置した状態を示す概略図である。
【0035】
JIS−Z8901試験用粉体1−8種を塵埃として使用した塵埃試験では、第3のダクト32出口付近での集塵効果は、吸着部材33をダクトの屈曲部外側壁面に配置した場合は、吸着部材33を配置しなかった場合に対して83%の効果があった。
【0036】
これは、事務所衛生基準規則での塵埃濃度0.15mg/mに基づき、装置の耐年を考慮した塵埃濃度100mg/mで、前記塵埃を用いた塵埃試験を例とすれば、プレート部材27の露光口29を通過する塵埃量は、図5に示すようになる。すなわち、吸着部材33がない場合は45mgとなり、吸着部材33をダクト内屈曲部外側壁面に配置した場合は8mgである。また、図6に示すように、ダクト内の空気の流れに平行となるダクト底面に、シート状の吸着部材33を配置した時の塵埃量は29mgとなる。
【0037】
吸着部材33を空気の流れに対し平行に配置した場合は、吸着部材33を配置したことにより流れに乱れは生じるが、抵抗が少ないため、集塵効果は上がらない。
【0038】
これに対して、本実施形態のように、吸着部材33をダクト内の屈曲部Rの外側壁面31bに配置することで、圧力勾配や遠心力の作用により空気が乱流となり、抵抗が大きくなるため、塵埃の捕捉効果を上げることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、ファン28から送風された空気を案内するダクトに屈曲部Rを設け、屈曲部近傍の外側壁面31bのダクト内を流れる空気が接触する位置に吸着部材33を配置している。このように、空気が接触する屈曲部近傍の外側壁面31bに吸着部材33が配置される構成とすることで、空気の流れに対向する位置に吸着部材を配置して空気が吸着部材を透過する構成に比べて、風量及び風速の低下を抑えることができる。さらには、空気が接触する屈曲部近傍の外側壁面31bに設けられた吸着部材33を、空気が透過しない構成とすることで、風量及び風速の低下を、より抑えることができる。
【0040】
また、ダクト内の屈曲部Rでは、圧力勾配や遠心力の作用により、空気の乱れが発生し易く、流れに損失が生じるため、塵埃等が溜り易い。特に、ダクト内の空気が、屈曲部Rの外側壁面31bに衝突することで、空気の流れに損失が生じるため、屈曲部Rの外側壁面31b近傍には塵埃等が溜り易くなる。この塵埃等が溜り易い外側壁面31bに吸着部材33が配置されることにより、塵埃等の捕捉効率を向上することができる。
【0041】
したがって、風量及び風速の低下を抑えつつ空気を搬送しながら、空気に含まれる塵埃
等を捕捉することができるため、装置内部の汚れが少ない画像形成装置を提供することが可能となる。
【0042】
また、塵埃等を低減させたい箇所に風速及び風量を求める場合、本実施形態の構成により風量及び風速の低下を抑えることができるため、ファンの容量を大きくする必要がなく、部品コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置内に設けられた風路の概略構成を説明するための斜視図。
【図3】実施形態に係る画像形成装置内に設けられたダクトの概略構成を示す断面図。
【図4】図3のA−A断面を示す図。
【図5】吸着部材の配置条件を変えた時の塵埃試験結果。
【図6】ダクト内の空気の流れに平行となるダクト底面に、吸着部材を配置した状態を示す概略図。
【図7】従来の風路の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
28 ファン
30 第1のダクト
31 第2のダクト
31b 外側壁面
32 第3のダクト
33 吸着部材
O 空気流路
R 屈曲部
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の外部から内部に空気を取り込むためのファンと、
前記ファンにより装置本体の内部に取り込まれた空気を案内するダクトと、
前記ダクト内を流れる空気に含まれる塵埃を捕捉するための捕捉部材と、
を有する画像形成装置において、
前記ダクトには、ダクト内を流れる空気の空気流路の方向を変更する屈曲部が設けられ、
前記捕捉部材は、前記屈曲部を構成するダクト内壁のうち、前記屈曲部より上流側の前記空気流路の方向に対して交差する壁面に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記捕捉部材は、空気を透過することなく塵埃を捕捉する部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−258537(P2009−258537A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110013(P2008−110013)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】