説明

画像形成装置

【課題】像担持体にクリーニングブレードを当接する画像形成装置において、クリーニング部位の側端部からのトナーの漏出を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1は、クリーニング手段11の側端部11eが摺擦する位置であって、かつ、像担持体1の周方向の少なくとも一箇所に、クリーニング手段11の側端部11eに振動を与える振動部材101を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファックス等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、像担持体、中間転写体、或いは、転写材担持体のクリーニング手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転移動する像担持体表面に形成したトナー像を転写材に転写する工程を繰り返す周知の画像形成装置においては、転写材に転写されずに像担持体に残留した不要なトナーを除去する必要がある。このために、像担持体表面の不要なトナーを除去するクリーニング手段として、ゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードを用いた構成が特許文献1などで提案されている。斯かる構成は、簡易で低コストな構成であり、かつ、トナー除去機能も優れているので、広く実用されている。
【0003】
図9は、従来の画像形成装置におけるクリーニング手段であるクリーニング装置の一例を示す端部の斜視図である。本例のクリーニング装置は、画像形成装置の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)1に対して、表面の不要なトナーをクリーニングする上記のようなクリーニングブレードを用いた構成とされる。
【0004】
感光ドラム1は、不図示の駆動手段によって矢印方向に回転する。感光ドラム1の周辺には、不図示の帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段などが配置され、感光ドラム1が矢印方向に回転されることで、前記各手段により画像形成が行われる。
【0005】
感光ドラム1の転写手段の回転方向下流には、感光ドラム1のクリーニング手段としてのドラムクリーニングブレード11が配置される。ドラムクリーニングブレード11としては、例えば、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料をブレード状に成型したものが使用される。ドラムクリーニングブレード11は、一辺11Aを金属板金などからなる支持部材11aによって支持される。もう一辺のエッジ部11Bは、感光ドラム1の回転方向と直交するように当接してクリーニング部位を形成し、感光ドラム1の回転移動によって感光ドラム1の表面と摺擦して不要なトナーを掻き取るように構成している。
【0006】
クリーニング部位11Bにおいて感光ドラム1の表面より掻き取られたトナーTのほとんどは、一度クリーニング部位11Bに堆積し、後続するトナーともに団塊となる。更に、後続して掻き取られるトナーと一緒になって団塊が成長すると、クリーニング部位11Bから図中x方向に自由落下する。
【0007】
搬送スクリュー11cは、不図示の駆動手段によって回転する。トナーTのうち、x方向に落下したトナーは、搬送スクリュー11cの回転によって、不図示のトナー回収部に回収するべく搬送される。
【0008】
ここで、クリーニング部位11Bに堆積するトナーTの一部には、後続して掻き取られるトナーに押し出されて、図中y1の方向、即ち、感光ドラム1とクリーニングブレード11の当接部に沿って移動し、クリーニング部位11Bの側端部11eに到達するものがある。クリーニング部位の側端部11eに到達したトナーは、更に後続トナーに押し出され、y2方向に落下してクリーニング装置の外部に漏出してしまう。トナーがクリーニング装置の外部に漏出すると、カートリッジや画像形成装置内に付着して機能の劣化を招いたり、或いは、画像不良が発生したりするという問題がある。
【0009】
そこで、例えば特許文献2のように、クリーニング部位11Bの側端部、具体的にはクリーニングブレード11の側端部11eと感光ドラム1との間をシール材によってシールし、トナーの漏出を防止する構成が実用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−009182号公報
【特許文献2】特開昭58−122578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、クリーニングブレード11に対してシール材を配置するためには位置公差が存在する。また、クリーニングブレード11は、柔軟な弾性ゴムからなるために、各部の直線性、直角性などの切断精度を十分に得ることは容易ではない。そのため、クリーニング部位11Bの側端部11eを完全にシールすることは非常に困難である。
【0012】
特に、近年では、画質向上などの理由から次第にトナーの微粒化が進んできており、クリーニングブレードとシール材との間隙が微小であってもトナーの漏出が発生し易くなっている。
【0013】
そこで本発明の目的は、像担持体、中間転写体、或いは、転写材担持体にクリーニングブレードを当接する画像形成装置において、クリーニング部位の側端部からのトナーの漏出を抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。本発明の第一の態様によれば、回転移動し、表面にトナー像を担持する像担持体と、弾性ブレードからなるクリーニング手段とを備え、前記クリーニング手段は、前記像担持体の表面に圧接されて、前記像担持体の回転移動によって摺擦することで前記像担持体からトナーを除去する画像形成装置において、
前記像担持体は、前記クリーニング手段の側端部が摺擦する位置であって、かつ、前記像担持体の周方向の少なくとも一箇所に、前記クリーニング手段の側端部に振動を与える振動部材を具備することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0015】
本発明の第二の態様によれば、回転移動し、表面にトナー像又は転写材を担持する無端ベルトと、前記無端ベルトを内側より張架する張架部材と、弾性ブレードからなるクリーニング手段とを具備し、前記クリーニング手段は、前記無端ベルトを介して前記張架部材に圧接されて、前記無端ベルトの回転移動によって摺擦することで前記無端ベルトからトナーを除去する画像形成装置において、
前記無端ベルトの表面又は裏面であって、前記無端ベルトを介して前記クリーニン手段の側端部と前記張架部材とで挟持される位置で、かつ、前記無端ベルトの周方向の少なくとも一箇所に、前記クリーニング手段の側端部に振動を与える振動部材を具備することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、振動部材によってクリーニングブレードの側端部に振動を与え、像担持体又は無端ベルトと、クリーニングブレードとの当接部に沿ってクリーニング部位の側端部方向に移動するトナーに対して、搬送スクリュー方向への移動を促すことができる。これによって、クリーニング部位の側端部に到達するトナーの量を低減して、クリーニング部位の側端部からのトナーの漏出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】画像形成装置のクリーニング装置端部の一実施例の斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成図である。
【図4】画像形成装置のクリーニング装置端部の他の実施例の斜視図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成図である。
【図6】画像形成装置のクリーニング装置端部の他の実施例の斜視図である。
【図7】画像形成装置のクリーニング装置端部の他の実施例の斜視図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成図である。
【図9】従来の画像形成装置のクリーニング装置端部の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。図2は、像担持体としての感光ドラム1と、感光ドラム1の表面をクリーニングするドラムクリーニングブレード11の、一方の側端部の周辺を示す斜視図である。先に図9を参照して説明した従来装置における部材と同じ構成及び作用をなす部材には同じ参照番号を付している。
【0020】
先ず、図1を参照して、本実施例における画像形成装置の全体構成について説明する。本実施例にて、画像形成装置100は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を具備する。
【0021】
感光ドラム1の周囲には、回転周面を取り巻くように、プロセス手段、即ち、帯電手段としての帯電ローラ2、露光手段としてのスキャナ3、現像手段としての現像ローラ4が設けられる。感光ドラム1は矢印方向に回転移動し、それによって感光ドラム1の表面には、各プロセス手段を周回してトナー像が形成される。
【0022】
感光ドラム1は、一次転写手段としての一次転写ローラ7と圧接されて、一次転写ニップT1を形成する。一次転写ニップT1では、感光ドラム1上のトナー像が、一次転写ローラ7より印加される電圧によって、給紙カセット(図示せず)より画像形成装置内に給紙、搬送される転写材Pに転写される。
【0023】
未定着トナー像を載せた転写材Pは、定着手段10に到達し、加熱・加圧されて永久定着像を得、さらに搬送されて画像形成装置外に排出される。
【0024】
一方、トナー像の一次転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング手段を構成する弾性ブレードであるドラムクリーニングブレード11により表面を清掃された後、次の画像形成工程に備える。
【0025】
次に、本実施例の特徴について、図2をも参照して具体的に説明する。図2は、感光ドラム1、ドラムクリーニングブレード11等の一側の構成を示しているが、他側も対称配置にて同様の構成とされる。
【0026】
本実施例は、感光ドラム1表面の、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eが摺擦する位置であって、かつ、感光ドラム1の周方向の少なくとも一箇所に、振動部材101を具備することを特徴とする。振動部材101は、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eに振動を与える。
【0027】
図1、図2において、感光ドラム1は、不図示の駆動手段によって矢印方向に回転移動する。感光ドラム1の周辺には、図1に示すように、帯電手段2、露光手段3、現像手段4、転写手段7などが配置されているが、図2では省略されている。
【0028】
感光ドラム1の転写手段7の回転方向下流には、感光ドラム1のクリーニング手段としてのドラムクリーニングブレード11が配置される。ドラムクリーニングブレード11としては、例えば、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料をブレード状に成型したもの、所謂、弾性ブレードが使用できる。ドラムクリーニングブレード11は、一側の縁部(一辺)11Aを金属板金などからなる支持部材11aによって支持される。他側の縁部(他辺)のエッジ部11Bは、感光ドラム1の回転方向と直交するように当接してクリーニング部位を形成する。そして、このクリーニング部位11Bが、感光ドラム1の回転移動によって感光ドラム1の表面と摺擦して不要なトナーを掻き取るように構成されている。
【0029】
ドラムクリーニングブレード11の一側端部11eには、ポリウレタンフォームなどからなるシール材11bが配置される。なお、シール材11bとしては、感光ドラム1と当接するクリーニングブレード11の面に、高密度ポリエチレン、フェルト、人工スエードなどを貼着したものでもよい。
【0030】
なお、本実施例では、クリーニング部位11Bの重力方向下方に、搬送スクリュー11cを配置した。搬送スクリュー11cは、不図示の駆動手段によって矢印方向に回転し、トナーをトナー回収部(図示せず)に回収するべく搬送する。
【0031】
本実施例の特徴である振動部材101は、感光ドラム1の表面であって、かつ、感光ドラム1の回転によってドラムクリーニングブレード11の側端部11eと摺擦する位置に具備される。
【0032】
振動部材101は、その厚みによって、ドラムクリーニングブレード11の側端部の摺擦方向に段差を設ける。ドラムクリーニングブレード11の側端部11eは、感光ドラム1が周回する度に振動部材101に接触し、段差によって振動する。
【0033】
この振動は、クリーニング部位11Bに堆積するトナーのうちの、感光ドラム1とドラムクリーニングブレード11の当接部に沿ってクリーニング部位11Bの側端部方向(y1方向)に移動するトナーTに対して作用する。そして、このトナーTに対して、ドラムクリーニングブレード11から搬送スクリュー11c方向(x方向)への移動を促す。これによって、クリーニング部位11Bの側端部11eに到達するトナーの量を低減して、トナーの漏出を抑制することができる。
【0034】
振動部材101の構成は、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eに対して振動を与えられる厚みを有するべきである。しかしながら、振動部材101が厚すぎると、ドラムクリーニングブレード11と接触する際に感光ドラム1より剥離されてしまう恐れがある。従って、振動部材101の厚みとしては、30〜100μm程度のものが好ましい。また、感光ドラム1と密着させるための粘着材を有するものが好ましい。
【0035】
本実施例では、振動部材101として片面に粘着材を有する厚み50μmのポリイミド材質のシールを8mm×8mmにカットしたものを用いた。また、振動部材101は、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eから3mmの領域で接触するように配置し、感光ドラム1の表面に固定した。また、本実施例では、振動部材101は、感光ドラム1の周方向の一箇所に配置した。
【0036】
ここで、クリーニング部位側端部11eからのトナー漏出に対する振動部材101の効果を確認するために、振動部材101の有無で比較試験を行なった。なお、本試験では、図2におけるシール材11bを取り外した状態とし、クリーニング部位の側端部11eより落下するトナーの量を測定し、トナーの漏出量として比較した。なお、ここで言うクリーニング部位11Bの側端部11eより落下するトナーTとは、図7にても示したように、y2方向に落下するトナーである。
【0037】
シール材11bを取り外した理由は、シール材11bはトナーを吸収し易く、本試験において、トナーの落下量を正確に測定するためには取り外した方が好ましいためである。更に、本試験では、トナーの落下量を正確に測定するために、クリーニング部位11Bの側端部11eから落下するトナーを受けとる不図示の受け皿を配置し、受け皿に落下したトナーの量を測定した。
【0038】
なお、本比較試験は、汎用の画像形成装置を用いて、50mm/secのプロセススピードで、感光ドラム1の表面に、600dpiで10dotの横線を190dotの間隔で20分印字し続けた。なお、感光ドラム1の長手方向の印字領域は、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eから12mmの位置までとした。
【0039】
表1に、比較試験の結果を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1に示すように、振動部材101を具備することによって、クリーニング部位11Bの側端部11eより落下するトナーの量は大幅に低減した。
【0042】
なお、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eを観察すると、振動部材101がドラムクリーニングブレード11の側端部11eと接触する際に、ドラムクリーニングブレード11の側端部11eが振動する様子がみられた。さらに、感光ドラム1とドラムクリーニングブレード11の当接部に沿ってクリーニング部位11Bの側端部11e方向に移動しているトナーTの一部が、クリーニング部位11Bの側端部11eに到達する前に、前記振動によって搬送スクリュー11c方向(x方向)に落下する様子がみられた。
【0043】
以上により、振動部材101を具備することは、クリーニング部位側端部11eからのトナー落下量の低減に効果があることが分かった。すなわち、クリーニング部位側端部11eからのトナー漏出の抑制に効果があることが分かった。
【0044】
なお、本実施例では、上記振動部材101を感光ドラム周方向の一箇所に具備するものとしたが、複数箇所に具備してもよい。
【0045】
実施例2
実施例1では、感光ドラム表面の不要なトナーを除去するドラムクリーニングブレード11において、ドラムクリーニングブレード側端部11eからのトナーの漏出を抑制する構成を説明した。一方、本発明は、無端ベルト表面の不要なトナー像を除去するベルトクリーニングブレードにおいても、クリーニング部位側端部のトナー漏出を抑制する構成として、適用することができる。
【0046】
先ず、本実施例2における画像形成装置の全体構成について説明する。図3は、本実施例の画像形成装置の全体概略図である。なお、図3の画像形成装置は、タンデム方式で、かつ、中間転写方式のカラー画像形成装置である。
【0047】
図3に示すように、画像形成装置100は、第一の像担持体としての感光ドラム1a〜1dが並列配置される。感光ドラム1a〜1dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーにそれぞれ対応している。感光ドラム1a〜1dの周囲には、回転周面を取り巻くように、プロセス手段である、帯電手段としての帯電ローラ2a〜2d、露光手段としてのスキャナ3a〜3d、現像手段としての現像ローラ4a〜4dが設けられる。感光ドラム1a〜1dはそれぞれ矢印方向に回転移動し、それによって感光ドラム1a〜1dの表面はそれぞれ前記各プロセス手段を周回して、各色に対応したトナー像を静電的に保持する。
【0048】
本実施例の画像形成装置100は、第二の像担持体としての中間転写ベルト5を具備する。中間転写ベルト5は無端ベルトであって、張架部材である、駆動ローラ6a及び張架ローラ6b〜6dにより、内側から張架されている。なお、駆動ローラ6aは不図示の駆動手段によって矢印方向に回転し、それによって中間転写ベルト5は矢印方向に従動して回転移動する。
【0049】
感光ドラム1a〜1dはそれぞれ、中間転写ベルト5を介して、対をなす一次転写手段としての一次転写ローラ7a〜7dと圧接されて、一次転写ニップT1a〜T1dを形成する。一次転写ニップT1a〜T1dでは、一次転写ローラ7a〜7dより印加される電圧によって、感光ドラム1a〜1d上のトナーが中間転写ベルト5表面に順次転写される。フルカラー画像形成装置においては、複数の色の異なるトナー像を中間転写ベルト5の表面で重ね合わせることで、カラー画像を形成する。
【0050】
二次転写手段としての二次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を介して張架ローラ6aと圧接されて二次転写ニップT2を形成する。
【0051】
一方、転写材Pは、給紙カセット9より画像形成装置内に給紙、搬送される。転写材Pは、中間転写ベルト5表面のカラートナー像と同期して二次転写ニップT2に導入される。
【0052】
二次転写ニップT2において、中間転写ベルト5表面のカラートナー像は、二次転写ローラ8より印加される電圧によって、中間転写ベルト5から転写材Pへと二次転写される。
【0053】
未定着カラー像を載せた転写材Pは、定着手段10に到達し、加熱・加圧されて永久定着像を得、さらに搬送されて画像形成装置外に排出される。
【0054】
一方、トナー像の一次転写を終えた感光ドラム1a〜1dの表面は、ドラムクリーニングブレード11a〜11dによりそれぞれ表面を清掃された後、次の画像形成工程に備える。また、二次転写されずに中間転写ベルト5表面に残留したトナーは、クリーニング手段としてのベルトクリーニングブレード12よって回収される。
【0055】
次に、本実施例の特徴について、図3、図4を参照して具体的に説明する。図4は、感光ドラム1、ドラムクリーニングブレード12等の一側の構成を示しているが、他側も対称配置にて同様の構成とされる。
【0056】
本実施例は、中間転写ベルト5表面の、ベルトクリーニングブレード12の側端部12eが摺擦する位置であって、かつ、中間転写ベルト5の周方向の少なくとも一箇所に、振動部材501を具備することを特徴とする。振動部材501は、ベルトクリーニングブレード12の側端部12eに振動を与える。
【0057】
図4は、本実施例の画像形成装置における、中間転写ベルト5及びベルトクリーニングブレード12の一方の側端部12eの周辺を示す斜視図である。
【0058】
図4において、ベルトクリーニングブレード12は、例えばウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料をブレード状に成型したものが使用できる。ベルトクリーニングブレード12は、一辺12Aを金属板金などからなる支持部材12aによって支持される。もう一辺のエッジ部12Bは、中間転写ベルト5を介して張架ローラ6bと圧接され、中間転写ベルト5の回転方向と直交するように当接してクリーニング部位を形成している。そして、このクリーニング部位12Bは、中間転写ベルト5の回転移動によって中間転写ベルト5の表面と摺擦して不要なトナーを掻き取るように構成されている。
【0059】
ベルトクリーニングブレード12の側端部12eには、ポリウレタンフォームなどからなるシール材12bが配置される。なお、シール材12bとしては、ブレード12の中間転写ベルト5と当接する面に、高密度ポリエチレン、フェルト、人工スエードなどを貼着してもよい。
【0060】
なお、本実施例では、実施例1と同様に、クリーニング部位12Bの重力方向下方に、搬送スクリュー12cを配置した。搬送スクリュー12cは不図示の駆動手段によって矢印方向に回転し、トナーをトナー回収部(図示せず)に回収するべく搬送する。
【0061】
本実施例の特徴である振動部材501は、中間転写ベルト5の表面であって、かつ、中間転写ベルト5の回転によってベルトクリーニングブレード12の側端部12eと摺擦する位置に具備される。
【0062】
振動部材501としては、片面に粘着材を有する厚み50μmのポリイミド材質のシールを8mm×8mmにカットしたものを用いた。また、振動部材501は、ベルトクリーニングブレード12の側端部から3mmの領域で接触するように配置し、中間転写ベルト5の表面に固定した。また、本実施例では、振動部材501は、中間転写ベルト5の周方向の一箇所に配置した。
【0063】
振動部材501は、その厚みによって、ベルトクリーニングブレード12の側端部12eの摺擦方向に段差を設ける。ベルトクリーニングブレード12の側端部12eは中間転写ベルト5が周回するたびに振動部材501に接触し、段差によって振動する。
【0064】
この振動は、クリーニング部位12Bに堆積するトナーTのうちの、中間転写ベルト5とベルトクリーニングブレード12の当接部に沿ってクリーニング部位12Bの側端部方向(y1方向)に移動するトナーに対して作用する。即ち、この振動は、クリーニング部位12Bの側端部方向(y1方向)に移動するトナーに対して、ベルトクリーニングブレード12から搬送スクリュー12c方向(x方向)への移動を促す。これによって、クリーニング部位12Bの側端部12eに到達するトナーの量を低減して、トナーの漏出を抑制することができる。
【0065】
なお、本実施例では、上記振動部材501を、中間転写ベルト周方向の一箇所に具備するものとしたが、複数箇所に具備してもよい。
【0066】
また、実施例2で説明した振動部材501には、中間転写方式のカラー画像形成装置における中間転写ベルトの周方向の位置を検知するための基準マークとしての役割を兼ねさせてもよい。
【0067】
基準マークを設けることにより、中間転写ベルトの周長の変動などに起因する中間転写ベルト上のトナー像と紙の位置ずれによる画像不良を抑制することができる。具体的には、中間転写ベルト上に具備された基準マークの周回時間を検知することによって中間転写ベルトの周長を検知し、その結果に応じてトナー像の印字位置を補正する。このような方法は、特開2001−215857号公報などで提案され、広く実施されている。
【0068】
図5を用いて説明する。図5は、実施例2の別の形態に係る画像形成装置の全体概略図である。図3に示す実施例2の画像形成装置と対応する部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
例えば図5において、張架ローラ6dが、加圧手段13によって加圧されて中間転写ベルト5にテンションを与えるテンション部材としての役割を兼ねるものとする。ここで、中間転写ベルト5の周長が変動すると、二次転写ローラ8と感光ドラム1a〜1dそれぞれとの中間転写ベルト5上における距離が変動し、位置ずれによる画像不良が発生してしまう。
【0070】
そこで本実施例では、中間転写ベルト5の表面には基準マークを兼ねる振動部材502を具備することを特徴とする。
【0071】
また、画像形成装置100は、基準マークを兼ねる振動部材502が周回する位置に、検知手段としての光学センサー14を具備する。本実施例では、光学センサー14は、クリーニングブレード12が中間転写ベルト5を介して圧接された張架ローラ6bの下流側に配置された張架ローラ6cに対向する位置に配置されている。
【0072】
光学センサー14は、発光素子と受光素子とを有する。光学センサー14の発光素子は基準マークを兼ねた振動部材502が周回する位置を照射し、受光素子は、発光素子から発光され、中間転写ベルト5若しくは基準マークを兼ねた振動部材502から反射される光を受光する。光学センサー14は、光学的に基準マークを兼ねた振動部材502を中間転写ベルト5と区別し、一度、基準マークを兼ねる振動部材502が検知されてから、次に検知されるまでの時間差を測定する。これにより、中間転写ベルト5が1回転する時間を検知し、この時間から周長を算出する。
【0073】
ここで、振動部材502が基準マークを兼ねるためには、中間転写ベルト5と異なる光反射性を有するべきである。そこで、例えば中間転写ベルト5がポリイミド樹脂などからなる黒色ベルトであるとすれば、基準マークとして白色の部材などを用いればよい。
【0074】
本実施例では、基準マークを兼ねる振動部材502として、片面に粘着材を有する厚み50μmの白色のPEN材質のシールを8mm×8mmにカットしたものを用いた。また、ベルトクリーニングブレード12の側端部12eから3mmの領域で接触するように配置し、中間転写ベルト5の表面に固定した。
【0075】
以上の構成にすることで、振動部材に中間転写ベルトの周方向の位置を検知するための基準マークとしての役割を兼ねさせることができる。
【0076】
実施例3
実施例2では、中間転写ベルト5の表面に先述の振動部材501、502を具備する構成としたが、図6、図7に示すように、中間転写ベルト5の裏面に具備する構成としてもよい。
【0077】
図6、図7は、本実施例3の画像形成装置における、中間転写ベルト5及びベルトクリーニングブレード12の一方の側端部12eの側面図である。前記した図3、図4に示す装置と対応する部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
本実施例の特徴は、振動部材503を、中間転写ベルト5の裏面の、中間転写ベルト5を介してベルトクリーニンブレード12の側端部12eと張架ローラ6bとで挟持される位置に具備することにある。
【0079】
振動部材503としては、実施例2で説明した振動部材501若しくは振動部材502と同様のものを使用することができる。
【0080】
以上の構成を用いても、実施例2と同様に、ベルトクリーニングブレード11の側端部に振動を与えることで、ベルトクリーニングブレード11の側端部からのトナーの漏出を抑制することができる。
【0081】
なお、上記振動部材503は、中間転写ベルト周方向に複数箇所に具備してもよい。
【0082】
実施例4
上記実施例2、3では、中間転写方式の画像形成装置に関して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
本発明は、例えば、図8に示すような、転写材担持体5Aにて搬送される転写材Pに対して、それぞれ感光体ドラム1a〜1dの表面に形成されたトナー画像が順次直接転写されてカラー画像が記録される直接転写方式のカラー画像形成装置とすることもできる。
【0084】
つまり、この実施例において、カラー画像形成装置100は、先の実施例2、3と同様に、像担持体としての感光ドラム1a〜1dが並列配置される。感光ドラム1a〜1dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーにそれぞれ対応している。感光ドラム1a〜1dの周囲には、回転周面を取り巻くように、プロセス手段である、帯電手段としての帯電ローラ2a〜2d、露光手段としてのスキャナ3a〜3d、現像手段としての現像ローラ4a〜4dが設けられる。感光ドラム1a〜1dはそれぞれ矢印方向に回転移動し、それによって感光ドラム1a〜1dの表面はそれぞれ前記各プロセス手段を周回して、各色に対応したトナー像を静電的に保持する。
【0085】
ただ、上述のように、本実施例の画像形成装置100は、実施例2、3と異なり、中間転写ベルト5の代わりに、転写材Pを搬送する、無端ベルトとされる転写材担持体、即ち、搬送ベルト5Aが配置されている。搬送ベルト5Aは、張架部材としての張架ローラ6a、6b、6c、6cに張架され、矢印方向に回転移動される。搬送ベルト5Aにて搬送される転写材Pに対して、それぞれ感光体ドラム1a〜1dの表面に形成されたトナー画像が順次直接転写される。
【0086】
その他の、本実施例の画像形成装置100の構成、及び、ベルトクリーニングブレード12の構成は、実施例2、3と同様とされる。従って、実施例2、3で説明したと同じ構成及び機能をなす部材には、同じ参照番号を付し、実施例2、3の説明を援用し、ここでの詳細な説明は省略する。
【0087】
斯かる直接転写方式のカラー画像形成装置においても、実施例2、3と同様に構成することにより、同様の作用効果を達成し得る。
【符号の説明】
【0088】
1(1a、1b、1c、1d) 感光ドラム(像担持体)
5 中間転写ベルト(中間転写体)
5A 搬送ベルト(転写材担持体)
11 ドラムクリーニングブレード
12 ベルトクリーニングブレード
11a、12a 支持部材
11b、12b シール材
101、501、502、503 振動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転移動し、表面にトナー像を担持する像担持体と、弾性ブレードからなるクリーニング手段とを具備し、前記クリーニング手段は、前記像担持体の表面に圧接されて、前記像担持体の回転移動によって摺擦することで前記像担持体の表面の不要なトナーを除去する画像形成装置において、
前記像担持体は、前記クリーニング手段の側端部が摺擦する位置であって、かつ、前記像担持体の周方向の少なくとも一箇所に、前記クリーニング手段の側端部に振動を与える振動部材を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は感光ドラムであって、前記感光ドラムの表面に前記振動部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
回転移動し、表面にトナー像又は転写材を担持する無端ベルトと、前記無端ベルトを内側より張架する張架部材と、弾性ブレードからなるクリーニング手段とを具備し、前記クリーニング手段は、前記無端ベルトを介して前記張架部材に圧接されて、前記無端ベルトの回転移動によって摺擦することで前記無端ベルトの表面の不要なトナーを除去する画像形成装置において、
前記無端ベルトの表面又は裏面であって、前記無端ベルトを介して前記クリーニン手段の側端部と前記張架部材とで挟持される位置で、かつ、前記無端ベルトの周方向の少なくとも一箇所に、前記クリーニング手段の側端部に振動を与える振動部材を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記振動部材は、前記無端ベルトの周方向の位置を検知するための基準マークを兼ねることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記振動部材は、前記クリーニング手段の摺擦方向に対して段差を設け、前記段差によって前記クリーニング手段の側端部を振動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−128315(P2011−128315A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285797(P2009−285797)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】