画像形成装置
【課題】画像読取部と画像形成部との間の装置本体の前面側に、ロール紙(シートロール)を着脱する開口部を設けるとともに、ロール紙の両端部に装着される少なくとも一つのフランジ部材と係合ないし嵌合する位置決め案内手段を前記開口部の上下に設けることにより、視認性に優れるとともにロール紙のセット性を向上できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ロール紙4を装置本体1の前面側から挿入し、フランジ受け台5に挿通・セットするための開口部7が、画像読取部2と画像形成部3との間に形成され、開口部7における装置本体1の上下部分に、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6をシート幅方向Yに位置決め・規制し、かつ、ロール紙4をシートロール支持部としてのフランジ受け台5に案内する位置決め案内手段を具備している。
【解決手段】ロール紙4を装置本体1の前面側から挿入し、フランジ受け台5に挿通・セットするための開口部7が、画像読取部2と画像形成部3との間に形成され、開口部7における装置本体1の上下部分に、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6をシート幅方向Yに位置決め・規制し、かつ、ロール紙4をシートロール支持部としてのフランジ受け台5に案内する位置決め案内手段を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から用紙を繰り出しこれに画像形成を行う画像形成装置に関し、詳しくは、インクジェット記録、電子写真方式、印刷等による画像形成等またはそれら複数の機能の組み合わせを含んで構成される画像形成部および画像読取部を備えた画像形成装置において、一対のフランジ部材を介してロール紙をロール紙支持部にセットする際の視認性および操作性を向上した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の用紙が巻回されてなるロール紙から用紙を繰り出し画像形成部に向けて搬送して画像形成を行う画像形成装置が周知である(例えば、特許文献1および2参照)。この種の画像形成装置としては、例えば大型の図面用の、複写機やプリンタ、プロッタ、画像形成装置などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1等に開示されている広幅インクジェットプリンタにおいて、長尺の用紙が巻回されてなるロール紙を支持するロール紙セット部を装置本体の後方上部に配置し、装置本体の前方に画像形成済みの用紙を直線的に排紙するレイアウトを採用したインクジェットプリンタは、下記理由からよく採用される。
【0004】
すなわち、第1に、排紙された紙の取りやすさ、排紙状況の視認性、排紙用のスタッカや自動巻取り装置などの周辺機接続などを考慮して、排紙を手前にしたい点からである。
第2に、搬送パス短縮により、コストダウンを図る点からである。
第3に、キャリッジ周辺におけるジャム発生時の作業視野の確保および作業空間の拡大により、作業性向上を図る点からである。
第4に、ロール紙のセット、排出された紙の取り出しが装置前面から行えることによる作業性向上を図る点からである。
【0005】
また、昨今では市場のニーズを受け、広幅インクジェットプリンタの上に画像読取部を載せた複合機が発売されている。このような広幅インクジェットプリンタの場合、画像読取部を載置・保持するためのスタンド等を利用し、スタンドの内側に既に市場で実績のある広幅インクジェットプリンタを収容して配置する機種がほとんどである。
こういう機種での課題は、特許文献1のプリンタでは上方に障害物がなく問題なかった「マシン上方からのロール紙へのアクセス」ができなくなってしまうことにある。
【0006】
また、ロール紙セット部がプリンタ上部にあるプリンタを、上記スタンドの内側に収容した場合、プリンタが配置された装置本体を、例えばスタンドから手前に引き出すなどして移動させないと、ロール紙セット部にセットされたロール紙の最終のセット位置が装置本体の前面(正面)側から見えないため、最終セット位置の視認性が悪化してしまう。つまり、最終的にロール紙をセットする位置が判らないため、ユーザは例えばしゃがんで装置本体奥のロール紙の最終セット位置を覗き込み、ロール紙を挿入する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、装置本体の上方に配置された画像読取部と、該画像読取部の下方に配置された画像形成部と、画像読取部の下方かつ装置本体の後方に配置されたロール紙支持部とを有する画像形成装置において、画像読取部と画像形成部との間の装置本体の前面側に、ロール紙を着脱する開口部を設けるとともに、ロール紙の両端部に装着される少なくとも一つのフランジ部材と係合ないし嵌合してシート幅方向に位置決め・規制する位置決め案内手段を前記開口部の上下に設けることにより、視認性に優れるとともにロール紙のセット性を向上できる画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、装置本体の上方に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部の下方に配置され、搬送されてくるシートに画像形成を行う画像形成部と、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出す繰り出し方向と直交するシート幅方向における該シートロールの両端部に装着される一対のフランジ部材と、前記画像読取部の下方かつ前記装置本体の後方に配置され、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出し可能に支持するシートロール支持部とを有する画像形成装置において、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に挿通・セットするための開口部が、前記画像読取部と前記画像形成部との間における前記装置本体の前面側に形成され、前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける少なくとも一方の前記フランジ部材を前記シート幅方向に位置決め・規制し、かつ、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に案内する位置決め案内手段を、前記開口部における前記装置本体の上下に具備することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段は、前記フランジ部材装着済みのシートロールの前記シートロール支持部へのセット方向に略連続して具備されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凸形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凸形状と係合する凹形状、または前記フランジ部材を挟み込む形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凹形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凹形状と係合する凸形状、または前記フランジ部材を嵌め込む形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段が、前記装置本体に着脱可能な外装部品に具備されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、前記シートロールから繰り出されるシートの搬送が片側基準で搬送されるよう構成されており、前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける前記少なくとも一方の前記フランジ部材は、前記位置決め案内手段によって前記シート幅方向に位置が不変な基準位置に位置決めされることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像形成部には、前記シート幅方向に移動可能なキャリッジが設けられており、前記位置決め案内手段は、前記開口部から前記シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部に形成されており、前記画像読取部が、前記キャリッジよりも前記装置本体の後方に配置され、かつ、前記画像読取部に配設されている画像読取手段が、前記傾斜面部の上方に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像読取部には、原稿を載置する原稿台が前記装置本体の前面側に配置されており、前記原稿台の前端部は、前記画像形成部における前記装置本体の前面よりも該装置本体の後方に形成されており、前記原稿台の前端部と前記画像形成部における前記装置本体の上面との間であって、前記位置決め案内手段の形成部よりも前記装置本体の前面寄りの前記画像形成部における前記装置本体の上面には、前記フランジ部材装着済みのシートロールの該各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1、2記載の発明によれば、前記構成により、画像読取部を退避させることなく、画像読取部の下方かつ装置本体の後方に配置したシートロール支持部にシートロールをセットすることが可能となる。これにより、設置スペースの省スペース・狭小化、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性の向上および部品点数減によるマシン価格低減が達成できる。
【0017】
請求項3、4記載の発明によれば、前記構成により、位置決め案内手段(例えば位置決め案内部材ないし位置決め案内部)を専用に具備せずに、例えば樹脂などで成形された他の部品に位置決め案内形状を持たせることで、請求項1、2記載の発明と同様の効果を得ることができる。よって部品間で積み上がる公差もなく、より高い位置精度でフランジ部材装着済みのシートロールをシートロール支持部へ案内することが可能となる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、前記構成により、請求項3、4記載の発明の効果に加え、位置決め案内形状を外装部品に持たせることにより、デザイン性を損なうことなく、シートロールのセット性を向上することが可能となる。また、一般的に着脱・取り外し性が良好な外装部品に位置決め案内形状を持たせることで、位置決め案内形状が破損した際のマシン復帰(例えば修理など)が容易になる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、前記構成により、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加え、片側基準の画像形成装置においても、シートロールのセット作業、操作性の向上が図れる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、前記構成により、画像読取部が画像形成部のキャリッジよりも装置本体の後方に配置され、かつ、画像読取部に配設されている画像読取手段が位置決め案内手段の形成された傾斜面部の上方に配置されていることにより、請求項1ないし6の何れか一つに記載の発明の効果に加え、フランジ部材装着済みのシートロールを、画像読取部の原稿台と近い高さで開口部から挿通させて転がし、シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面部で位置決め規制・案内しながら下方のシートロール支持部にセットすることができるので、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性がさらに向上する。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、前記構成により、原稿台の前端部と画像形成部における装置本体の上面との間であって、位置決め案内手段の形成部よりも装置本体の前面寄りの画像形成部における装置本体の上面には、フランジ部材装着済みのシートロールの各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることにより、請求項1ないし7の何れか一つに記載の発明の効果に加え、フランジ部材装着済みのシートロールを開口部に挿通する前に、一時載置部に一時的に載置してから、開口部の上下に形成された位置決め案内手段を経由させて装置本体の後方に転がすことで、シートロール支持部にセットすることができるので、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態を示すインクジェット記録装置全体の外観斜視図である。
【図2】図1の簡略的な側面図である。
【図3】(a)、(b)は、フランジタイプのロール紙セット手順を説明する図である。
【図4】第1の実施形態における位置決め案内手段およびロール紙のセット動作を説明する簡略的な側面図である。
【図5】図4における位置決め案内手段およびロール紙の挿入軌跡を説明する要部の簡略的な側面図である。
【図6】(a)〜(e)は、第1の実施形態における位置決め案内手段の嵌合例を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、第1の実施形態における図6とは別の位置決め案内手段の嵌合例を示す断面図である。
【図8】変形例1におけるフランジタイプの用紙サイズ毎形態および規制位置を説明する図である。
【図9】(a)〜(c)は、変形例2におけるスプールタイプのロール紙セット手順を説明する図である。
【図10】変形例2におけるスプールタイプの用紙サイズ毎形態および規制位置を説明する図である。
【図11】変形例3の特徴部分を説明する簡略的な側面図である。
【図12】変形例4のインクジェット記録装置全体の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施形態を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について、その全体構成とともに要部の動作を説明する。図1は、インクジェット記録装置の全体構成を示す外観斜視図、図2は、同装置の概略的な側面図である。
【0025】
図1および図2に示すインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置である。両図において、上下方向Zに直交する前後方向Xにおいて、両図における装置本体1の左側が前面(正面)側であり、右側が後(奥)側である。上下方向Zおよび前後方向Xに直交する方向が主走査方向Y(図1参照)であり、シート幅方向に相当する。
【0026】
装置本体1の内部には、画像形成部3、ロール紙収容部8、画像形成部3の下方に配置された用紙吸引搬送部9などが配置されている。装置本体1の上部には、画像読取装置である画像読取部2が配置されている。装置本体1の前面側であって、画像読取部2と画像形成部3との間には、ロール紙収容部8にロール紙4を供給すべく挿入するための開口部7が形成されている。
【0027】
画像読取部2は、原稿(図示せず)の画像を読み取る機能・構成を有する。画像読取部2は、装置本体1の前面から後側に向けて画像読取位置へ原稿を搬送すべく原稿(図示せず)をセットする原稿台11と、画像読取位置へ原稿を搬送する原稿搬送手段としての原稿給送ローラ12と、画像読取位置に配置され原稿の画像を読み取る画像読取手段としての密着イメージセンサ14と、画像読み取り終了後の原稿を排出する原稿排出手段としての原稿排出ローラ15と、排出された原稿を積載する図示しない原稿排出台とを有する。
【0028】
原稿台11上に載置された原稿(図示せず)は原稿給送ローラ12により1枚ずつ原稿搬送路13に給送される。原稿給送ローラ12により給送されてきた原稿(図示せず)は原稿搬送路13の画像読取位置に配置された密着イメージセンサ14によりその画像が読み取られ、この画像の読み取り終了後に、原稿排出ローラ15により上記図示しない原稿排出台に排出される。
密着イメージセンサ14は、全体として主走査方向Y(図1参照、以下、「シート幅方向Y」ともいう)に長い形状をしており、原稿を照明する光源およびイメージセンサを有している。密着イメージセンサ14の上記光源で原稿搬送路13において原稿を照明し、該原稿からの反射光をレンズアレイなどを通して上記イメージセンサ上に結像させて、光電変換を行うことにより画像信号を出力する。また、密着イメージセンサ14の上方近傍に設けられ原稿搬送路13を構成するコンタクトガラス(図示せず)に対向して、原稿を押圧する白色基準板を兼ねる圧板17が設けられている。
【0029】
画像形成部3は、搬送されてくるシート状記録媒体(以下、単に「シート」という)としての用紙10に画像形成を行う機能・構成を有する。画像形成部3に対応した装置本体1の内部には、図1に示すように、ガイドロッド18およびガイドレール19が図示しない側板に掛け渡され、これらのガイドロッド18およびガイドレール19にキャリッジ20が主走査方向Yに摺動可能に保持されている。
【0030】
キャリッジ20には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドである液体記録ヘッド(図示せず)が搭載されている。各液体記録ヘッドには、図示しないが、各液体記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが一体的に備えられている。各液体記録ヘッドからの液滴の吐出方向は、装置本体1における下方向としている。
【0031】
キャリッジ20を主走査方向Yに移動走査する主走査機構は、主走査方向Yの一方側(図において左斜め上方)に配置された駆動モータ21と、この駆動モータ21の出力軸に連結され駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、主走査方向Yの他方側(図において右斜め下方)に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に巻き掛けられたベルト部材24とを備えている。従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22から離れる方向にテンションが掛けられている。ベルト部材24は、キャリッジ20の背面側に設けられたベルト固定部にその一部分が固定保持されていることで、キャリッジ20を主走査方向Yに牽引するようになっている。
【0032】
キャリッジ20の主走査方向Yに沿ってキャリッジ20の主走査位置を検知するためのエンコーダシート(図示せず)が配置され、キャリッジ20に設けられたエンコーダセンサ(図示せず)によって、上記エンコーダシートが読み取られる。このキャリッジ20における主走査領域のうち、記録領域ではロール紙収容部8に収納・セットされたロール紙4から後述するように繰り出され搬送されてきた用紙10が、キャリッジ20の移動方向である主走査方向Yと直交する副走査方向(図1の前後方向Xのうちの前方向Xaである)に間欠的に搬送される。
【0033】
また、主走査領域のうちの一方の端部側領域(図1において右斜め下方側)には、キャリッジ20内の各液体記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構25が配置されている。さらに、主走査方向Yのキャリッジ移動領域外または上記主走査領域のうちの他方の端部側領域には、各液体記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ26が装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0034】
図1において、画像形成部3の図中矢印で示す出口前方には、用紙10を所定の長さに切断するシート切断手段としてのカッタ27が配置されている。このカッタ27は、例えば、複数のプーリ(そのうちの1つのプーリは駆動モータに連結されている)間に掛け渡されたワイヤに固定され、駆動モータによりプーリを介してワイヤが主走査方向Yに移動することで用紙を所定の長さに切断する公知のものからなる。
【0035】
本実施形態では、ロール紙給紙方式としてフランジタイプを採用している。なお、本発明は、フランジタイプに限らず、後述するスプールタイプも採用可能である。
ロール紙収容部8には、長尺の用紙(シート)が巻回されてなるシートロールとしてのロール紙4から用紙10を繰り出し可能に支持するシートロール支持部としてのフランジ受け台5が配置されている。
【0036】
図1および図2に示すように、フランジ受け台5にはフランジ部材(以下、単に「フランジ」ともいう)6を介してロール紙4がセットされているが、幅方向のサイズや紙種(シート種類)が異なるロール紙をセット可能である。幅方向のサイズとしては、後述する図8および図10に例示するサイズや、例えばA0やその他様々なサイズが、紙種としては光沢紙や普通紙等も用いられる。
【0037】
図3に示すように、ロール紙4は、通常、厚紙などを材料として構成された芯管としての紙管4aの外周面に、長尺の用紙が巻き付けられて形成されている。なお、図3を始めとして後述する図8、図9等を含め、図の簡明化を図るため、ロール紙4部分を省略して紙管4aを誇張して図示し、これにロール紙の符号「4」を付する場合のあることを付記しておく。
【0038】
図3を参照して、ロール紙4の両端部にフランジ6を装着・セットする手順を説明する。フランジタイプは、図3(a)に示すように、紙管4aを芯に持つロール紙4の両端部にフランジ6を挿入・装着し、図3(b)に示すようにロール紙4に対してフランジセット完了状態にしてから、シートロール支持部としてのフランジ受け台5にセットする方式である。このとき、重要なのは各フランジ6をロール紙4に対して真っ直ぐ、かつ、端部に突き当たるまで挿入することである。
紙管4aのサイズには、例えば2インチと3インチとがあり、サイズ毎に専用のフランジを用意してセットする場合と、挿入する先端の小径部の外径を可変としたサイズ切替フランジを用意してセットする場合とがある。
【0039】
ロール紙4がフランジ6を介してフランジ受け台5に載置・セットされた際には、フランジ受け台5の内部に設けられた図示しない支持コロがフランジ6の外周と当接することによって回転可能に、すなわちロール紙4からの用紙が繰り出し可能となり、用紙10が給送される。この際、ロール紙4の回転中心位置の芯出しが自動的に行われることとなる。
【0040】
上述した構成を有するインクジェット記録装置全体の動作を説明する。図1および図2において、図3を参照して説明したように、ロール紙4に対するフランジ6の装着・セット操作等によって、フランジ受け台5にはフランジ6を介してロール紙4がセットされ、図2に示す搬送ローラ33からはロール紙4の用紙10の先端がセットされているものとする。
【0041】
ユーザによって、画像読取部2の原稿台11に画像形成すべき原稿(図示せず)がセットされるとともに、画像読取部2近傍の装置本体1に配設された図示しない操作部のキー操作などが行われることで、各種の画像形成条件、例えばカラー色の選択、画像形成枚数などが設定される。これらの信号がインクジェット記録装置の制御部(図示せず)に入力されると、インクジェット記録装置が作動する。すなわち、画像読取部2では上述した原稿画像の読み取りが行われて、密着イメージセンサ14から画像信号が出力される。
【0042】
そして、図示しないモータ等の駆動手段の起動により、搬送手段としての搬送ローラ33が回転されることで、フランジ受け台5上に載置されたフランジ6が用紙繰り出し方向に回転し、ロール紙4から用紙10が給送される。搬送ローラ33から給送された用紙10は、装置本体1の後方から前方に向けて、レジスト・搬送手段としてのレジストローラ(駆動ローラ)34、レジスト加圧ローラ(従動ローラ)35により、用紙(シート)搬送路を搬送されて画像形成部3のインクジェット記録領域へ搬送される。すると、図1および図2において、キャリッジ20が主走査方向Yに移動し、用紙10を間欠的に送りながら、液体記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙10上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙10は、カッタ27が主走査方向Yに移動することにより、所定の長さにカットされ、装置正面側に配置される図示しない排紙トレイへ排出される。
画像情報(画像データ)としては、画像読取部2で読み取られる原稿画像によるものに限らず、画像形成装置(インクジェット記録装置)に通信可能に接続されたパソコン等のコンピュータから送信されるものであってよいことは無論である。
【0043】
図1〜図7を参照して、本実施形態の特徴部分を説明する。
図1、図2および図4に示すように、本実施形態では、フランジ装着済みのロール紙4を装置本体1の前面側から挿入し、フランジ受け台5に挿通・セットするための開口部7が、画像読取部2と画像形成部3との間に形成されている。
【0044】
図2、図4および図5に示すように、本実施形態では、開口部7における装置本体1の上下部分に、フランジ装着済みのロール紙4(以下、判別が可能な限り単に「ロール紙4」ともいう)における少なくとも一方のフランジ6をシート幅方向Yに位置決め・規制し、かつ、ロール紙4をシートロール支持部としてのフランジ受け台5に案内する位置決め案内手段を具備している。
【0045】
具体的には、画像読取部2の下端部1a(開口部7付近における装置本体1の上部分に相当)および画像形成部3が収容されているプリンタ部の筐体上部1b(開口部7付近における装置本体1の下部分に相当)とには、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6を案内する、上記位置決め案内手段を構成するガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cが設けられている。
ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cは、図中実線で示されているとおり、ロール紙4のセット方向に連続して形成されている。
【0046】
ガイド部30b,31bは、図2、図4および図5等に示すように、画像読取部2の下端部1aおよび画像形成部3の筐体上部1bにおける、装置本体1の正面(前面)から背面(後面)にかけて下方へ傾斜した傾斜面部に形成されている。従って、ガイド部30b,31bが形成された上記傾斜面部を通過したロール紙4は、開口部7の入り口における画像読取部2の下端部1aおよび画像形成部3の筐体上部1bに形成、すなわちガイド部入口に形成されたガイド部30a,31aよりも下方に位置する領域、すなわちガイド部30c,31cに位置することが可能になる。よって、図2において、ロール紙4の下部と画像形成部3とが図の左右方向に略同じ高さ位置を占めることで、ロール紙4の上端位置が下方に位置することになるので装置本体1の高さを抑えることができる。その結果、画像読取部2の原稿挿入位置の高さ(原稿台11の上面高さ)を抑えることができ、原稿挿入の操作性を犠牲にすることはない。
【0047】
ロール紙4を下方に位置させることができたのは、図2に示すように、画像読取部2を画像形成部3のキャリッジ20よりも装置本体1の後方に配置し、密着イメージセンサ14を上記傾斜面部のガイド部30b,31bの上方に配置したことによる。従って、装置本体1の正面側の原稿台11の下部には、原稿を搬送するための搬送手段がないことから、ロール紙4をガイドするために原稿台11の下部を図2に示すように薄くすることができるため、ロール紙4の開口部7からの挿入を原稿台11と近い高さ位置での挿入・セットが可能となる(請求項7参照)。
【0048】
また、原稿台11の前端部は、画像形成部3のプリンタ部本体前面よりも装置本体1の後方に形成されている。これにより、図4および図5に示すように、ユーザ37がロール紙4を挿入するときに、ガイド部入口に形成されたガイド部30a,31aよりも装置本体1の前面寄りに形成された一時載置部としてのプリンタ部前方上面32に一時載置してからガイド部30a,31aを経由させて、装置本体1の後方に転がすことでロール紙4をフランジ受け台5にセットすることができる(請求項8参照)。その際、プリンタ部前方上面32は、ロール紙4を一時載置したときに、ロール紙4が前後方向に転がらないような適宜の形状または材質としてもよい。図4において、符号36は、床面を示す。
【0049】
また、本実施形態では、開口部7における装置本体1の上下部分に具備された位置決め案内手段が、図5に太矢印で示すロール紙4のセット方向に略連続して形成されている点、および画像読取部2の下端部1aに形成された各ガイド部30a,30b,30cおよびプリンタ部の筐体上部1bに形成された各ガイド部31a,31b,31cの図5中破線で囲んで示す部分(フランジ・本体位置決め規制部)には、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する凹部28,29が形成されている点を特徴としている。
このように、フランジ6の凸形状と係合する凹部28,29とが、上下組みの各ガイド部30a,31a、30b,31b、30c、31cにおける図5中破線の囲み部分に部分的に形成されていることにより、フランジ6を転がすときの案内しやすさが増すため、ユーザの操作性も向上する。
【0050】
上述したとおり、位置決め案内手段は、各ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cと、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する凹部28,29とから構成されている。
【0051】
図6を参照して、各ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cの形状と、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する装置本体1側の凹形状をなす凹部28,29との各種組み合わせ係合形状例(以下、「嵌合例」という)とについて説明する。図6(a)は、最も一般的な嵌合例の一つである。
【0052】
図6(b)は、凹部28,29側におけるシート幅方向Yの凹部幅を大きく形成するとともに、これに合わせてフランジ6側におけるシート幅方向Yのフランジ幅を大きく形成することでシート幅方向Yの位置決めを行い、かつ、フランジ6におけるシート幅方向Yの中央部に形成した凹部にヘリカルギヤ38を設け駆動伝達を行う嵌合例である。同図において、39は、装置本体1側に配設され、ヘリカルギヤ38と噛み合うフランジ駆動ギヤを示す。このようなヘリカルギヤ(はすば歯車)の噛み合いでは、フランジ6に固着されたヘリカルギヤ38に対してスラスト方向(シート幅方向Y)に力が作用するが、凹部28,29形状とフランジ6の凸形状との嵌合によって、スラスト方向(シート幅方向Y)への移動を規制することができる利点がある。
【0053】
図6(c)は、凹部28,29形状とフランジ6の凸形状とが同じ向きに段差状をなして嵌合する、見方を変えれば嵌め込む構成の嵌合例を示す。図6(d)は、凹部28,29に形成された異なる向きの段差がフランジ6の凸形状と嵌合する嵌合例を示す。図6(e)は、図6(d)の変形例で、図6(d)と比較してフランジ6の外周中央部に凸形状を形成した点のみ相違する。
【0054】
図7を参照して、図6に示した嵌合例とは逆の関係、すなわち装置本体1側の下端部1aおよび筐体上部1bが凸形状であるとき、フランジ6側外周が下端部1a、筐体上部1bの凸形状と接触・係合する凹形状、またはフランジ6自体を挟み込む形状である場合の嵌合例について説明する。
図7(a)は、下端部1aの下方向、筐体上部1b上方向にそれぞれ突出し、シート幅方向Yに形成された一対のリブ40,41が、フランジ6自体を挟み込む形状の嵌合例である。ここでは、上記各一対のリブ40,41も凸形状の一つとしてみなしている。なお、各リブ40,41の突出先端部におけるフランジ6の外周と接触する内側には、フランジ6を嵌入し易くする傾斜面(テーパー)が形成されている。
【0055】
図7(b)は、下端部1a、筐体上部1bに形成された凸形状42,43とフランジ6側に形成された凹形状との嵌合例である。図7(c)は、図7(b)の変形例で、図7(b)と比較して、下端部1a、筐体上部1b側の凸形状42,43がシート幅方向Yに2箇所形成されて嵌合する点のみ相違する。
図7(d)は、図7(a)の変形例で、図7(a)と比較して、各一対のリブ40,41に代えて、各一対のリブ44,45でフランジ6自体を挟み込むように嵌合するとともに、一対のリブ44間、一対のリブ45間に形成された複数の各リブ46,47先端面でフランジ6の外周段差部の上下方向Zの位置決めを行う点のみ相違する。
【0056】
図6(a)〜図6(e)の嵌合例に限らず、装置本体1側に形成された凹部28,29が、フランジ6の外周自体を嵌め込むような嵌合例であってもよく、位置決めの要求精度、フランジ6をガイドする機能などとの関係で上記嵌合例以外に種々の嵌合例が想定されることは無論である。
同様に、図7(a)〜図7(d)の嵌合例に限らず、位置決めの要求精度、フランジ6をガイドする機能などとの関係で上記嵌合例以外に種々の嵌合例が想定されることは無論である。
【0057】
図6(a)〜図6(e)、図7(a)〜図7(d)の嵌合例において、位置決め案内手段(例えば位置決め案内部材ないし位置決め案内部)を専用に具備せずに、例えば樹脂などで成形された他の部品に位置決め案内形状を持たせ、下端部1a、筐体上部1bに取り付けることも可能である。このような位置決め案内手段の嵌合構成によれば、部品間で積み上がる公差も少なく、より高い位置精度でロール紙4をフランジ受け台5へ案内することが可能となる。
【0058】
図6(a)〜図6(e)、図7(a)〜図7(d)の嵌合例におけるシート幅方向Yの隙間(クリアランス)や上下方向Zの隙間の設定をどの程度の寸法にするかは、位置決めの要求精度に応じて適宜行う設計事項に属するが、例えば、開口部7近傍のガイド部30a,31aの嵌合のクリアランス・形状についてはフランジ6の案内機能が主である点から大きく設定し、フランジ受け台5(シートロール支持部)5に近づくにしたがって、特にシート幅方向Yの位置決め・規制機能が主となる点から漸次小さく設定することなどが考えられる。
【0059】
次に、図4および図5を参照して、ロール紙4を開口部7に挿入してからフランジ受け台5にセットするまでのユーザ37による操作を含む動作を簡単に説明する。図4に示すように、ユーザ37はロール紙4を開口部7に挿入するときに、プリンタ部前方上面32にフランジ6部分を、適宜一時載置する。その後、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6を、各ガイド部30a,31a、30b,31b、30c,31cおよびその嵌合部を経由させて装置本体1の後方に転がすことで、少なくとも一方のフランジ6が位置決め・規制されるので、図5に示すようにロール紙4を装置本体1奥側のフランジ受け台5に位置決めしてセットすることができる。なお、図5において、符号48は、フランジ受け台5に配設されロール紙4のフランジ6を載置させてロール紙4から用紙を繰り出すための支持コロを示す。
【0060】
このように、本実施形態では、ユーザ37にとって画像読取部2が死角にあっても、シートロール支持部としてのフランジ受け台5に正確に位置決めしながらセットすることが可能である。
本実施形態によれば、上記した構成および動作により、上記発明の効果の欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0061】
(変形例1)
図8を参照して、図1〜図7に示した第1の実施形態の変形例1を説明する。変形例1は、第1の実施形態と比較して、インクジェット記録装置がシート幅方向の用紙(シート)サイズに応じて、ロール紙4から繰り出される用紙の搬送が片側基準(端部基準)で搬送されるように構成されている点、フランジ装着済みのロール紙4における一方のフランジ6a(以下、「基準側フランジ6a」という)は、上記位置決め案内手段によってシート幅方向Yに位置が不変な基準位置に位置決めされる点が主に相違する。変形例1は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
【0062】
図8に、フランジタイプにおける、用紙の搬送基準が片側基準である場合の、用紙サイズ毎の形態と位置決め・規制位置の一例を示す。図示したように、例えば、ロール紙4の用紙サイズが3種類のサイズに異なっていても、用紙の搬送基準が片側基準であれば基準側フランジ6aのシート幅方向Yの位置は変わらない。従って、シート幅方向Yの位置が不変の基準側フランジ6aおよびこれと対応した装置本体1側に、上記位置決め案内手段を設けることで、ロール紙4のセット性を改善することが可能である。
【0063】
基準側フランジ6aと反対側の非基準側フランジ6bは、ロール紙4の用紙サイズに応じてシート幅方向Yに移動可能で位置が異なるため、画像読取部2や画像形成部3側の装置本体1(第1の実施形態では下端部1a、筐体上部1bに相当)に、シート幅方向Yに位置固定の上記位置決め案内手段を設けることができない。なお、フランジタイプにおいては、基準側フランジ6aがセットされるフランジ受け台は、シート幅方向Yに位置が固定されており、非基準側フランジ6bがセットされるフランジ受け台は、ロール紙4の用紙サイズに応じてシート幅方向Yにスライド・移動可能に構成されている。
本変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、片側基準のインクジェット記録装置においても、ロール紙4のセット作業、操作性の向上が図れる。
【0064】
(変形例2)
図9および図10を参照して、図8に示した変形例1の変形例2を説明する。変形例2は、変形例1のフランジタイプに代えて、スプールタイプを用いる点が主に相違する。変形例2は、前記相違点以外は変形例1と同様である。
まず、図9を参照して、スプールタイプのロール紙セット手順を説明する。スプールタイプは、図9(a)に示すように、紙管4aを芯に持つロール紙4の紙管4aの一端部側から、スプールフランジ55aを固着されたスプール軸54を挿入した後(図9(b)参照)、図9(c)に示すようにスプールフランジ55a、反対側のスプールフランジ55bを紙管4aの両端部に挿入してフランジセット完了状態にしてから、シートロール支持部(図示せず)にセットする方式である。スプールタイプは、フランジタイプと比べ、最初にスプール軸54を挿す手順が追加されるため、ロール紙4交換の手順は増える傾向にある。
【0065】
図10に、スプールタイプにおける、用紙の搬送基準が片側基準(端部基準)である場合の、用紙サイズ毎の形態と位置決め・規制位置の一例を示す。図示したように、例えば、ロール紙4の用紙サイズが3種類のサイズに異なっていても、用紙の搬送基準が片側基準であれば基準側スプールフランジ55aのシート幅方向Yの位置は変わらない。従って、シート幅方向Yの位置が不変の基準側スプールフランジ55aおよびこれと対応した装置本体1側に上記位置決め案内手段を設けることで、ロール紙4のセット性を改善することが可能となる。
【0066】
スプール軸54は、インクジェット記録装置で使用される最大用紙サイズ幅(最大通紙幅)より長く、その両端部を、装置本体1側に設けられるシートロール支持部としての図10中破線で示す切欠部56に落とし込むことで、ロール紙4がセットされる。スプール軸54とこれに固着される基準側スプールフランジ55aとの位置関係を固定することで、マシンに対するロール紙4軸方向の位置決めが可能である。
【0067】
基準側スプールフランジ55aと反対側の非基準側スプールフランジ55bは、ロール紙4の用紙サイズに応じてスプール軸54を介してシート幅方向Yに移動可能で位置が異なるため、画像読取部2や画像形成部3側の装置本体1(第1の実施形態では下端部1a、筐体上部1bに相当)に、シート幅方向Yに位置固定の上記位置決め案内手段を設けることはできない。また、フランジタイプと大きく異なる点は、用紙サイズが異なっても、スプール軸54の両端部を受ける位置(通常、この位置に上記切欠部が配置される)は不変である点である。
本変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、片側基準のインクジェット記録装置においても、ロール紙4のセット作業、操作性の向上が図れる。
【0068】
(変形例3)
図11を参照して、第1の実施形態の変形例3を説明する。変形例3は、第1の実施形態と比較して、装置本体1に着脱可能な外装部品としての読取部カバー57に各ガイド部30a,30b,30cおよび嵌合形状としての凹部28を設けた点、装置本体1に着脱可能な外装部品としての印字部上カバー58に各ガイド部31a,31b,31cおよび嵌合形状としての凹部29を設けた点が主に相違する。変形例3は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
もちろん、上下の読取部カバーおよび印字部上カバーが一体の外装部品で形成されている場合は、その一体カバーに上記位置決め案内手段(各ガイド部および位置決め・規制形状)を具備することも考えられる。
【0069】
(変形例4)
図12を参照して、第1の実施形態の変形例4を説明する。図1に示した第1の実施形態のインクジェット記録装置では、画像読取部2と、画像形成部3を含んだプリンタ本体とが一体の構成を説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、図12に示すように、画像読取部2をスタンド100上に載置し、スタンド100の内側にプリンタ本体を収容する形態でもよい。変形例4は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
【0070】
スタンド100は、床面36と接触し装置本体1の後方から前方へ延設する脚部100aと、脚部100aから上方に起立する起立部100bと、起立部100bから前方へ延設し、画像読取部2を載置する載置面を有する載置部100cとで構成されている。
ロール紙(図示せず)を装置本体1の正面(前面)から背面側にセット可能なプリンタ本体には、後方にロール紙をガイドするガイド部30c(図2に示す第1の実施形態のガイド部30cと同じ)が設けられているが、画像形成部3の上方にはロール紙をガイドするガイド部に相当する部材はない。
そこで、本変形例では、プリンタ本体のガイド部30cへロール紙をガイドできるように載置部100cにガイド部101a,101b(図2に示す第1の実施形態のガイド部30a,30bに相当する)を設けたことを特徴としている。そして、本変形例においても、図6や図7に示したような嵌合例を適用可能としたものである。
【0071】
上記構成により、スタンドタイプの複合機などにおいても、ロール紙を正面から背面方向へセットすることが容易になる。なお、プリンタ本体の正面側上面は、プリンタとして使用することを想定しているため、フランジ6の下面をガイドする形状がないことがある。その場合、図6や図7に示したような嵌合例におけるフランジ6の下端をガイドするガイド部材をプリンタ上面に覆い被せて固定すれば、フランジ6の上下を位置決め・規制しながらシートロール支持部(図2に示す第1の実施形態ではフランジ受け台5)へ案内することが可能である。
【0072】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
例えば、図1に示した画像読取部2、画像形成部3、装置本体1のフランジ受け台5、これらの構成部品や部材は、上述したものに限らず、それらと均等な全ての公知のものに置き換えてもよい。一例を挙げると、画像形成部3は、シリアル型インクジェット記録装置に限定されず、ライン型インクジェット記録装置や電子写真方式による画像形成装置等またはそれら複数の機能を組み合わせた装置でもよい。
図1に示したインクジェット記録装置に限らず、画像読取部2に加えて、装置本体1の上部の正面側に操作部としての操作パネルを設けた画像形成装置であってもよい。また、画像読取部2が配設されていない、例えば専らコンピュータ等の外部入力データやコンパクトディスク等の各種記憶媒体に記録されているデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 装置本体
2 画像読取部
3 画像形成部
4 ロール紙(シートロール)
5 フランジ受け台(シートロール支持部)
6 フランジ(フランジ部材)
7 開口部
8 ロール紙収容部
10 用紙(シート)
11 原稿台(原稿載置台)
14 密着イメージセンサ(画像読取手段)
20 キャリッジ
28,29 凹部(位置決め案内手段を構成)
30a,30b,30c ガイド部(位置決め案内手段を構成)
31a,31b,31c ガイド部(位置決め案内手段を構成)
32 プリンタ部前方上面(一時載置部)
36 床面
37 ユーザ
100 スタンド
X 前後方向、副走査方向
Y 主走査方向、シート幅方向
Z 上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2007−261086号公報
【特許文献2】特開2007−261754号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から用紙を繰り出しこれに画像形成を行う画像形成装置に関し、詳しくは、インクジェット記録、電子写真方式、印刷等による画像形成等またはそれら複数の機能の組み合わせを含んで構成される画像形成部および画像読取部を備えた画像形成装置において、一対のフランジ部材を介してロール紙をロール紙支持部にセットする際の視認性および操作性を向上した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の用紙が巻回されてなるロール紙から用紙を繰り出し画像形成部に向けて搬送して画像形成を行う画像形成装置が周知である(例えば、特許文献1および2参照)。この種の画像形成装置としては、例えば大型の図面用の、複写機やプリンタ、プロッタ、画像形成装置などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1等に開示されている広幅インクジェットプリンタにおいて、長尺の用紙が巻回されてなるロール紙を支持するロール紙セット部を装置本体の後方上部に配置し、装置本体の前方に画像形成済みの用紙を直線的に排紙するレイアウトを採用したインクジェットプリンタは、下記理由からよく採用される。
【0004】
すなわち、第1に、排紙された紙の取りやすさ、排紙状況の視認性、排紙用のスタッカや自動巻取り装置などの周辺機接続などを考慮して、排紙を手前にしたい点からである。
第2に、搬送パス短縮により、コストダウンを図る点からである。
第3に、キャリッジ周辺におけるジャム発生時の作業視野の確保および作業空間の拡大により、作業性向上を図る点からである。
第4に、ロール紙のセット、排出された紙の取り出しが装置前面から行えることによる作業性向上を図る点からである。
【0005】
また、昨今では市場のニーズを受け、広幅インクジェットプリンタの上に画像読取部を載せた複合機が発売されている。このような広幅インクジェットプリンタの場合、画像読取部を載置・保持するためのスタンド等を利用し、スタンドの内側に既に市場で実績のある広幅インクジェットプリンタを収容して配置する機種がほとんどである。
こういう機種での課題は、特許文献1のプリンタでは上方に障害物がなく問題なかった「マシン上方からのロール紙へのアクセス」ができなくなってしまうことにある。
【0006】
また、ロール紙セット部がプリンタ上部にあるプリンタを、上記スタンドの内側に収容した場合、プリンタが配置された装置本体を、例えばスタンドから手前に引き出すなどして移動させないと、ロール紙セット部にセットされたロール紙の最終のセット位置が装置本体の前面(正面)側から見えないため、最終セット位置の視認性が悪化してしまう。つまり、最終的にロール紙をセットする位置が判らないため、ユーザは例えばしゃがんで装置本体奥のロール紙の最終セット位置を覗き込み、ロール紙を挿入する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、装置本体の上方に配置された画像読取部と、該画像読取部の下方に配置された画像形成部と、画像読取部の下方かつ装置本体の後方に配置されたロール紙支持部とを有する画像形成装置において、画像読取部と画像形成部との間の装置本体の前面側に、ロール紙を着脱する開口部を設けるとともに、ロール紙の両端部に装着される少なくとも一つのフランジ部材と係合ないし嵌合してシート幅方向に位置決め・規制する位置決め案内手段を前記開口部の上下に設けることにより、視認性に優れるとともにロール紙のセット性を向上できる画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、装置本体の上方に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部の下方に配置され、搬送されてくるシートに画像形成を行う画像形成部と、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出す繰り出し方向と直交するシート幅方向における該シートロールの両端部に装着される一対のフランジ部材と、前記画像読取部の下方かつ前記装置本体の後方に配置され、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出し可能に支持するシートロール支持部とを有する画像形成装置において、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に挿通・セットするための開口部が、前記画像読取部と前記画像形成部との間における前記装置本体の前面側に形成され、前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける少なくとも一方の前記フランジ部材を前記シート幅方向に位置決め・規制し、かつ、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に案内する位置決め案内手段を、前記開口部における前記装置本体の上下に具備することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段は、前記フランジ部材装着済みのシートロールの前記シートロール支持部へのセット方向に略連続して具備されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凸形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凸形状と係合する凹形状、または前記フランジ部材を挟み込む形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凹形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凹形状と係合する凸形状、または前記フランジ部材を嵌め込む形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記位置決め案内手段が、前記装置本体に着脱可能な外装部品に具備されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、前記シートロールから繰り出されるシートの搬送が片側基準で搬送されるよう構成されており、前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける前記少なくとも一方の前記フランジ部材は、前記位置決め案内手段によって前記シート幅方向に位置が不変な基準位置に位置決めされることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像形成部には、前記シート幅方向に移動可能なキャリッジが設けられており、前記位置決め案内手段は、前記開口部から前記シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部に形成されており、前記画像読取部が、前記キャリッジよりも前記装置本体の後方に配置され、かつ、前記画像読取部に配設されている画像読取手段が、前記傾斜面部の上方に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記画像読取部には、原稿を載置する原稿台が前記装置本体の前面側に配置されており、前記原稿台の前端部は、前記画像形成部における前記装置本体の前面よりも該装置本体の後方に形成されており、前記原稿台の前端部と前記画像形成部における前記装置本体の上面との間であって、前記位置決め案内手段の形成部よりも前記装置本体の前面寄りの前記画像形成部における前記装置本体の上面には、前記フランジ部材装着済みのシートロールの該各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1、2記載の発明によれば、前記構成により、画像読取部を退避させることなく、画像読取部の下方かつ装置本体の後方に配置したシートロール支持部にシートロールをセットすることが可能となる。これにより、設置スペースの省スペース・狭小化、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性の向上および部品点数減によるマシン価格低減が達成できる。
【0017】
請求項3、4記載の発明によれば、前記構成により、位置決め案内手段(例えば位置決め案内部材ないし位置決め案内部)を専用に具備せずに、例えば樹脂などで成形された他の部品に位置決め案内形状を持たせることで、請求項1、2記載の発明と同様の効果を得ることができる。よって部品間で積み上がる公差もなく、より高い位置精度でフランジ部材装着済みのシートロールをシートロール支持部へ案内することが可能となる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、前記構成により、請求項3、4記載の発明の効果に加え、位置決め案内形状を外装部品に持たせることにより、デザイン性を損なうことなく、シートロールのセット性を向上することが可能となる。また、一般的に着脱・取り外し性が良好な外装部品に位置決め案内形状を持たせることで、位置決め案内形状が破損した際のマシン復帰(例えば修理など)が容易になる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、前記構成により、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加え、片側基準の画像形成装置においても、シートロールのセット作業、操作性の向上が図れる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、前記構成により、画像読取部が画像形成部のキャリッジよりも装置本体の後方に配置され、かつ、画像読取部に配設されている画像読取手段が位置決め案内手段の形成された傾斜面部の上方に配置されていることにより、請求項1ないし6の何れか一つに記載の発明の効果に加え、フランジ部材装着済みのシートロールを、画像読取部の原稿台と近い高さで開口部から挿通させて転がし、シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面部で位置決め規制・案内しながら下方のシートロール支持部にセットすることができるので、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性がさらに向上する。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、前記構成により、原稿台の前端部と画像形成部における装置本体の上面との間であって、位置決め案内手段の形成部よりも装置本体の前面寄りの画像形成部における装置本体の上面には、フランジ部材装着済みのシートロールの各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることにより、請求項1ないし7の何れか一つに記載の発明の効果に加え、フランジ部材装着済みのシートロールを開口部に挿通する前に、一時載置部に一時的に載置してから、開口部の上下に形成された位置決め案内手段を経由させて装置本体の後方に転がすことで、シートロール支持部にセットすることができるので、視認性に優れたシートロールのセット作業、操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態を示すインクジェット記録装置全体の外観斜視図である。
【図2】図1の簡略的な側面図である。
【図3】(a)、(b)は、フランジタイプのロール紙セット手順を説明する図である。
【図4】第1の実施形態における位置決め案内手段およびロール紙のセット動作を説明する簡略的な側面図である。
【図5】図4における位置決め案内手段およびロール紙の挿入軌跡を説明する要部の簡略的な側面図である。
【図6】(a)〜(e)は、第1の実施形態における位置決め案内手段の嵌合例を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、第1の実施形態における図6とは別の位置決め案内手段の嵌合例を示す断面図である。
【図8】変形例1におけるフランジタイプの用紙サイズ毎形態および規制位置を説明する図である。
【図9】(a)〜(c)は、変形例2におけるスプールタイプのロール紙セット手順を説明する図である。
【図10】変形例2におけるスプールタイプの用紙サイズ毎形態および規制位置を説明する図である。
【図11】変形例3の特徴部分を説明する簡略的な側面図である。
【図12】変形例4のインクジェット記録装置全体の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施形態を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について、その全体構成とともに要部の動作を説明する。図1は、インクジェット記録装置の全体構成を示す外観斜視図、図2は、同装置の概略的な側面図である。
【0025】
図1および図2に示すインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置である。両図において、上下方向Zに直交する前後方向Xにおいて、両図における装置本体1の左側が前面(正面)側であり、右側が後(奥)側である。上下方向Zおよび前後方向Xに直交する方向が主走査方向Y(図1参照)であり、シート幅方向に相当する。
【0026】
装置本体1の内部には、画像形成部3、ロール紙収容部8、画像形成部3の下方に配置された用紙吸引搬送部9などが配置されている。装置本体1の上部には、画像読取装置である画像読取部2が配置されている。装置本体1の前面側であって、画像読取部2と画像形成部3との間には、ロール紙収容部8にロール紙4を供給すべく挿入するための開口部7が形成されている。
【0027】
画像読取部2は、原稿(図示せず)の画像を読み取る機能・構成を有する。画像読取部2は、装置本体1の前面から後側に向けて画像読取位置へ原稿を搬送すべく原稿(図示せず)をセットする原稿台11と、画像読取位置へ原稿を搬送する原稿搬送手段としての原稿給送ローラ12と、画像読取位置に配置され原稿の画像を読み取る画像読取手段としての密着イメージセンサ14と、画像読み取り終了後の原稿を排出する原稿排出手段としての原稿排出ローラ15と、排出された原稿を積載する図示しない原稿排出台とを有する。
【0028】
原稿台11上に載置された原稿(図示せず)は原稿給送ローラ12により1枚ずつ原稿搬送路13に給送される。原稿給送ローラ12により給送されてきた原稿(図示せず)は原稿搬送路13の画像読取位置に配置された密着イメージセンサ14によりその画像が読み取られ、この画像の読み取り終了後に、原稿排出ローラ15により上記図示しない原稿排出台に排出される。
密着イメージセンサ14は、全体として主走査方向Y(図1参照、以下、「シート幅方向Y」ともいう)に長い形状をしており、原稿を照明する光源およびイメージセンサを有している。密着イメージセンサ14の上記光源で原稿搬送路13において原稿を照明し、該原稿からの反射光をレンズアレイなどを通して上記イメージセンサ上に結像させて、光電変換を行うことにより画像信号を出力する。また、密着イメージセンサ14の上方近傍に設けられ原稿搬送路13を構成するコンタクトガラス(図示せず)に対向して、原稿を押圧する白色基準板を兼ねる圧板17が設けられている。
【0029】
画像形成部3は、搬送されてくるシート状記録媒体(以下、単に「シート」という)としての用紙10に画像形成を行う機能・構成を有する。画像形成部3に対応した装置本体1の内部には、図1に示すように、ガイドロッド18およびガイドレール19が図示しない側板に掛け渡され、これらのガイドロッド18およびガイドレール19にキャリッジ20が主走査方向Yに摺動可能に保持されている。
【0030】
キャリッジ20には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドである液体記録ヘッド(図示せず)が搭載されている。各液体記録ヘッドには、図示しないが、各液体記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが一体的に備えられている。各液体記録ヘッドからの液滴の吐出方向は、装置本体1における下方向としている。
【0031】
キャリッジ20を主走査方向Yに移動走査する主走査機構は、主走査方向Yの一方側(図において左斜め上方)に配置された駆動モータ21と、この駆動モータ21の出力軸に連結され駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、主走査方向Yの他方側(図において右斜め下方)に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に巻き掛けられたベルト部材24とを備えている。従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22から離れる方向にテンションが掛けられている。ベルト部材24は、キャリッジ20の背面側に設けられたベルト固定部にその一部分が固定保持されていることで、キャリッジ20を主走査方向Yに牽引するようになっている。
【0032】
キャリッジ20の主走査方向Yに沿ってキャリッジ20の主走査位置を検知するためのエンコーダシート(図示せず)が配置され、キャリッジ20に設けられたエンコーダセンサ(図示せず)によって、上記エンコーダシートが読み取られる。このキャリッジ20における主走査領域のうち、記録領域ではロール紙収容部8に収納・セットされたロール紙4から後述するように繰り出され搬送されてきた用紙10が、キャリッジ20の移動方向である主走査方向Yと直交する副走査方向(図1の前後方向Xのうちの前方向Xaである)に間欠的に搬送される。
【0033】
また、主走査領域のうちの一方の端部側領域(図1において右斜め下方側)には、キャリッジ20内の各液体記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構25が配置されている。さらに、主走査方向Yのキャリッジ移動領域外または上記主走査領域のうちの他方の端部側領域には、各液体記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ26が装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0034】
図1において、画像形成部3の図中矢印で示す出口前方には、用紙10を所定の長さに切断するシート切断手段としてのカッタ27が配置されている。このカッタ27は、例えば、複数のプーリ(そのうちの1つのプーリは駆動モータに連結されている)間に掛け渡されたワイヤに固定され、駆動モータによりプーリを介してワイヤが主走査方向Yに移動することで用紙を所定の長さに切断する公知のものからなる。
【0035】
本実施形態では、ロール紙給紙方式としてフランジタイプを採用している。なお、本発明は、フランジタイプに限らず、後述するスプールタイプも採用可能である。
ロール紙収容部8には、長尺の用紙(シート)が巻回されてなるシートロールとしてのロール紙4から用紙10を繰り出し可能に支持するシートロール支持部としてのフランジ受け台5が配置されている。
【0036】
図1および図2に示すように、フランジ受け台5にはフランジ部材(以下、単に「フランジ」ともいう)6を介してロール紙4がセットされているが、幅方向のサイズや紙種(シート種類)が異なるロール紙をセット可能である。幅方向のサイズとしては、後述する図8および図10に例示するサイズや、例えばA0やその他様々なサイズが、紙種としては光沢紙や普通紙等も用いられる。
【0037】
図3に示すように、ロール紙4は、通常、厚紙などを材料として構成された芯管としての紙管4aの外周面に、長尺の用紙が巻き付けられて形成されている。なお、図3を始めとして後述する図8、図9等を含め、図の簡明化を図るため、ロール紙4部分を省略して紙管4aを誇張して図示し、これにロール紙の符号「4」を付する場合のあることを付記しておく。
【0038】
図3を参照して、ロール紙4の両端部にフランジ6を装着・セットする手順を説明する。フランジタイプは、図3(a)に示すように、紙管4aを芯に持つロール紙4の両端部にフランジ6を挿入・装着し、図3(b)に示すようにロール紙4に対してフランジセット完了状態にしてから、シートロール支持部としてのフランジ受け台5にセットする方式である。このとき、重要なのは各フランジ6をロール紙4に対して真っ直ぐ、かつ、端部に突き当たるまで挿入することである。
紙管4aのサイズには、例えば2インチと3インチとがあり、サイズ毎に専用のフランジを用意してセットする場合と、挿入する先端の小径部の外径を可変としたサイズ切替フランジを用意してセットする場合とがある。
【0039】
ロール紙4がフランジ6を介してフランジ受け台5に載置・セットされた際には、フランジ受け台5の内部に設けられた図示しない支持コロがフランジ6の外周と当接することによって回転可能に、すなわちロール紙4からの用紙が繰り出し可能となり、用紙10が給送される。この際、ロール紙4の回転中心位置の芯出しが自動的に行われることとなる。
【0040】
上述した構成を有するインクジェット記録装置全体の動作を説明する。図1および図2において、図3を参照して説明したように、ロール紙4に対するフランジ6の装着・セット操作等によって、フランジ受け台5にはフランジ6を介してロール紙4がセットされ、図2に示す搬送ローラ33からはロール紙4の用紙10の先端がセットされているものとする。
【0041】
ユーザによって、画像読取部2の原稿台11に画像形成すべき原稿(図示せず)がセットされるとともに、画像読取部2近傍の装置本体1に配設された図示しない操作部のキー操作などが行われることで、各種の画像形成条件、例えばカラー色の選択、画像形成枚数などが設定される。これらの信号がインクジェット記録装置の制御部(図示せず)に入力されると、インクジェット記録装置が作動する。すなわち、画像読取部2では上述した原稿画像の読み取りが行われて、密着イメージセンサ14から画像信号が出力される。
【0042】
そして、図示しないモータ等の駆動手段の起動により、搬送手段としての搬送ローラ33が回転されることで、フランジ受け台5上に載置されたフランジ6が用紙繰り出し方向に回転し、ロール紙4から用紙10が給送される。搬送ローラ33から給送された用紙10は、装置本体1の後方から前方に向けて、レジスト・搬送手段としてのレジストローラ(駆動ローラ)34、レジスト加圧ローラ(従動ローラ)35により、用紙(シート)搬送路を搬送されて画像形成部3のインクジェット記録領域へ搬送される。すると、図1および図2において、キャリッジ20が主走査方向Yに移動し、用紙10を間欠的に送りながら、液体記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙10上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙10は、カッタ27が主走査方向Yに移動することにより、所定の長さにカットされ、装置正面側に配置される図示しない排紙トレイへ排出される。
画像情報(画像データ)としては、画像読取部2で読み取られる原稿画像によるものに限らず、画像形成装置(インクジェット記録装置)に通信可能に接続されたパソコン等のコンピュータから送信されるものであってよいことは無論である。
【0043】
図1〜図7を参照して、本実施形態の特徴部分を説明する。
図1、図2および図4に示すように、本実施形態では、フランジ装着済みのロール紙4を装置本体1の前面側から挿入し、フランジ受け台5に挿通・セットするための開口部7が、画像読取部2と画像形成部3との間に形成されている。
【0044】
図2、図4および図5に示すように、本実施形態では、開口部7における装置本体1の上下部分に、フランジ装着済みのロール紙4(以下、判別が可能な限り単に「ロール紙4」ともいう)における少なくとも一方のフランジ6をシート幅方向Yに位置決め・規制し、かつ、ロール紙4をシートロール支持部としてのフランジ受け台5に案内する位置決め案内手段を具備している。
【0045】
具体的には、画像読取部2の下端部1a(開口部7付近における装置本体1の上部分に相当)および画像形成部3が収容されているプリンタ部の筐体上部1b(開口部7付近における装置本体1の下部分に相当)とには、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6を案内する、上記位置決め案内手段を構成するガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cが設けられている。
ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cは、図中実線で示されているとおり、ロール紙4のセット方向に連続して形成されている。
【0046】
ガイド部30b,31bは、図2、図4および図5等に示すように、画像読取部2の下端部1aおよび画像形成部3の筐体上部1bにおける、装置本体1の正面(前面)から背面(後面)にかけて下方へ傾斜した傾斜面部に形成されている。従って、ガイド部30b,31bが形成された上記傾斜面部を通過したロール紙4は、開口部7の入り口における画像読取部2の下端部1aおよび画像形成部3の筐体上部1bに形成、すなわちガイド部入口に形成されたガイド部30a,31aよりも下方に位置する領域、すなわちガイド部30c,31cに位置することが可能になる。よって、図2において、ロール紙4の下部と画像形成部3とが図の左右方向に略同じ高さ位置を占めることで、ロール紙4の上端位置が下方に位置することになるので装置本体1の高さを抑えることができる。その結果、画像読取部2の原稿挿入位置の高さ(原稿台11の上面高さ)を抑えることができ、原稿挿入の操作性を犠牲にすることはない。
【0047】
ロール紙4を下方に位置させることができたのは、図2に示すように、画像読取部2を画像形成部3のキャリッジ20よりも装置本体1の後方に配置し、密着イメージセンサ14を上記傾斜面部のガイド部30b,31bの上方に配置したことによる。従って、装置本体1の正面側の原稿台11の下部には、原稿を搬送するための搬送手段がないことから、ロール紙4をガイドするために原稿台11の下部を図2に示すように薄くすることができるため、ロール紙4の開口部7からの挿入を原稿台11と近い高さ位置での挿入・セットが可能となる(請求項7参照)。
【0048】
また、原稿台11の前端部は、画像形成部3のプリンタ部本体前面よりも装置本体1の後方に形成されている。これにより、図4および図5に示すように、ユーザ37がロール紙4を挿入するときに、ガイド部入口に形成されたガイド部30a,31aよりも装置本体1の前面寄りに形成された一時載置部としてのプリンタ部前方上面32に一時載置してからガイド部30a,31aを経由させて、装置本体1の後方に転がすことでロール紙4をフランジ受け台5にセットすることができる(請求項8参照)。その際、プリンタ部前方上面32は、ロール紙4を一時載置したときに、ロール紙4が前後方向に転がらないような適宜の形状または材質としてもよい。図4において、符号36は、床面を示す。
【0049】
また、本実施形態では、開口部7における装置本体1の上下部分に具備された位置決め案内手段が、図5に太矢印で示すロール紙4のセット方向に略連続して形成されている点、および画像読取部2の下端部1aに形成された各ガイド部30a,30b,30cおよびプリンタ部の筐体上部1bに形成された各ガイド部31a,31b,31cの図5中破線で囲んで示す部分(フランジ・本体位置決め規制部)には、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する凹部28,29が形成されている点を特徴としている。
このように、フランジ6の凸形状と係合する凹部28,29とが、上下組みの各ガイド部30a,31a、30b,31b、30c、31cにおける図5中破線の囲み部分に部分的に形成されていることにより、フランジ6を転がすときの案内しやすさが増すため、ユーザの操作性も向上する。
【0050】
上述したとおり、位置決め案内手段は、各ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cと、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する凹部28,29とから構成されている。
【0051】
図6を参照して、各ガイド部30a,30b,30c,31a,31b,31cの形状と、凸形状をなすフランジ6の外周と接触・係合する装置本体1側の凹形状をなす凹部28,29との各種組み合わせ係合形状例(以下、「嵌合例」という)とについて説明する。図6(a)は、最も一般的な嵌合例の一つである。
【0052】
図6(b)は、凹部28,29側におけるシート幅方向Yの凹部幅を大きく形成するとともに、これに合わせてフランジ6側におけるシート幅方向Yのフランジ幅を大きく形成することでシート幅方向Yの位置決めを行い、かつ、フランジ6におけるシート幅方向Yの中央部に形成した凹部にヘリカルギヤ38を設け駆動伝達を行う嵌合例である。同図において、39は、装置本体1側に配設され、ヘリカルギヤ38と噛み合うフランジ駆動ギヤを示す。このようなヘリカルギヤ(はすば歯車)の噛み合いでは、フランジ6に固着されたヘリカルギヤ38に対してスラスト方向(シート幅方向Y)に力が作用するが、凹部28,29形状とフランジ6の凸形状との嵌合によって、スラスト方向(シート幅方向Y)への移動を規制することができる利点がある。
【0053】
図6(c)は、凹部28,29形状とフランジ6の凸形状とが同じ向きに段差状をなして嵌合する、見方を変えれば嵌め込む構成の嵌合例を示す。図6(d)は、凹部28,29に形成された異なる向きの段差がフランジ6の凸形状と嵌合する嵌合例を示す。図6(e)は、図6(d)の変形例で、図6(d)と比較してフランジ6の外周中央部に凸形状を形成した点のみ相違する。
【0054】
図7を参照して、図6に示した嵌合例とは逆の関係、すなわち装置本体1側の下端部1aおよび筐体上部1bが凸形状であるとき、フランジ6側外周が下端部1a、筐体上部1bの凸形状と接触・係合する凹形状、またはフランジ6自体を挟み込む形状である場合の嵌合例について説明する。
図7(a)は、下端部1aの下方向、筐体上部1b上方向にそれぞれ突出し、シート幅方向Yに形成された一対のリブ40,41が、フランジ6自体を挟み込む形状の嵌合例である。ここでは、上記各一対のリブ40,41も凸形状の一つとしてみなしている。なお、各リブ40,41の突出先端部におけるフランジ6の外周と接触する内側には、フランジ6を嵌入し易くする傾斜面(テーパー)が形成されている。
【0055】
図7(b)は、下端部1a、筐体上部1bに形成された凸形状42,43とフランジ6側に形成された凹形状との嵌合例である。図7(c)は、図7(b)の変形例で、図7(b)と比較して、下端部1a、筐体上部1b側の凸形状42,43がシート幅方向Yに2箇所形成されて嵌合する点のみ相違する。
図7(d)は、図7(a)の変形例で、図7(a)と比較して、各一対のリブ40,41に代えて、各一対のリブ44,45でフランジ6自体を挟み込むように嵌合するとともに、一対のリブ44間、一対のリブ45間に形成された複数の各リブ46,47先端面でフランジ6の外周段差部の上下方向Zの位置決めを行う点のみ相違する。
【0056】
図6(a)〜図6(e)の嵌合例に限らず、装置本体1側に形成された凹部28,29が、フランジ6の外周自体を嵌め込むような嵌合例であってもよく、位置決めの要求精度、フランジ6をガイドする機能などとの関係で上記嵌合例以外に種々の嵌合例が想定されることは無論である。
同様に、図7(a)〜図7(d)の嵌合例に限らず、位置決めの要求精度、フランジ6をガイドする機能などとの関係で上記嵌合例以外に種々の嵌合例が想定されることは無論である。
【0057】
図6(a)〜図6(e)、図7(a)〜図7(d)の嵌合例において、位置決め案内手段(例えば位置決め案内部材ないし位置決め案内部)を専用に具備せずに、例えば樹脂などで成形された他の部品に位置決め案内形状を持たせ、下端部1a、筐体上部1bに取り付けることも可能である。このような位置決め案内手段の嵌合構成によれば、部品間で積み上がる公差も少なく、より高い位置精度でロール紙4をフランジ受け台5へ案内することが可能となる。
【0058】
図6(a)〜図6(e)、図7(a)〜図7(d)の嵌合例におけるシート幅方向Yの隙間(クリアランス)や上下方向Zの隙間の設定をどの程度の寸法にするかは、位置決めの要求精度に応じて適宜行う設計事項に属するが、例えば、開口部7近傍のガイド部30a,31aの嵌合のクリアランス・形状についてはフランジ6の案内機能が主である点から大きく設定し、フランジ受け台5(シートロール支持部)5に近づくにしたがって、特にシート幅方向Yの位置決め・規制機能が主となる点から漸次小さく設定することなどが考えられる。
【0059】
次に、図4および図5を参照して、ロール紙4を開口部7に挿入してからフランジ受け台5にセットするまでのユーザ37による操作を含む動作を簡単に説明する。図4に示すように、ユーザ37はロール紙4を開口部7に挿入するときに、プリンタ部前方上面32にフランジ6部分を、適宜一時載置する。その後、ロール紙4における少なくとも一方のフランジ6を、各ガイド部30a,31a、30b,31b、30c,31cおよびその嵌合部を経由させて装置本体1の後方に転がすことで、少なくとも一方のフランジ6が位置決め・規制されるので、図5に示すようにロール紙4を装置本体1奥側のフランジ受け台5に位置決めしてセットすることができる。なお、図5において、符号48は、フランジ受け台5に配設されロール紙4のフランジ6を載置させてロール紙4から用紙を繰り出すための支持コロを示す。
【0060】
このように、本実施形態では、ユーザ37にとって画像読取部2が死角にあっても、シートロール支持部としてのフランジ受け台5に正確に位置決めしながらセットすることが可能である。
本実施形態によれば、上記した構成および動作により、上記発明の効果の欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0061】
(変形例1)
図8を参照して、図1〜図7に示した第1の実施形態の変形例1を説明する。変形例1は、第1の実施形態と比較して、インクジェット記録装置がシート幅方向の用紙(シート)サイズに応じて、ロール紙4から繰り出される用紙の搬送が片側基準(端部基準)で搬送されるように構成されている点、フランジ装着済みのロール紙4における一方のフランジ6a(以下、「基準側フランジ6a」という)は、上記位置決め案内手段によってシート幅方向Yに位置が不変な基準位置に位置決めされる点が主に相違する。変形例1は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
【0062】
図8に、フランジタイプにおける、用紙の搬送基準が片側基準である場合の、用紙サイズ毎の形態と位置決め・規制位置の一例を示す。図示したように、例えば、ロール紙4の用紙サイズが3種類のサイズに異なっていても、用紙の搬送基準が片側基準であれば基準側フランジ6aのシート幅方向Yの位置は変わらない。従って、シート幅方向Yの位置が不変の基準側フランジ6aおよびこれと対応した装置本体1側に、上記位置決め案内手段を設けることで、ロール紙4のセット性を改善することが可能である。
【0063】
基準側フランジ6aと反対側の非基準側フランジ6bは、ロール紙4の用紙サイズに応じてシート幅方向Yに移動可能で位置が異なるため、画像読取部2や画像形成部3側の装置本体1(第1の実施形態では下端部1a、筐体上部1bに相当)に、シート幅方向Yに位置固定の上記位置決め案内手段を設けることができない。なお、フランジタイプにおいては、基準側フランジ6aがセットされるフランジ受け台は、シート幅方向Yに位置が固定されており、非基準側フランジ6bがセットされるフランジ受け台は、ロール紙4の用紙サイズに応じてシート幅方向Yにスライド・移動可能に構成されている。
本変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、片側基準のインクジェット記録装置においても、ロール紙4のセット作業、操作性の向上が図れる。
【0064】
(変形例2)
図9および図10を参照して、図8に示した変形例1の変形例2を説明する。変形例2は、変形例1のフランジタイプに代えて、スプールタイプを用いる点が主に相違する。変形例2は、前記相違点以外は変形例1と同様である。
まず、図9を参照して、スプールタイプのロール紙セット手順を説明する。スプールタイプは、図9(a)に示すように、紙管4aを芯に持つロール紙4の紙管4aの一端部側から、スプールフランジ55aを固着されたスプール軸54を挿入した後(図9(b)参照)、図9(c)に示すようにスプールフランジ55a、反対側のスプールフランジ55bを紙管4aの両端部に挿入してフランジセット完了状態にしてから、シートロール支持部(図示せず)にセットする方式である。スプールタイプは、フランジタイプと比べ、最初にスプール軸54を挿す手順が追加されるため、ロール紙4交換の手順は増える傾向にある。
【0065】
図10に、スプールタイプにおける、用紙の搬送基準が片側基準(端部基準)である場合の、用紙サイズ毎の形態と位置決め・規制位置の一例を示す。図示したように、例えば、ロール紙4の用紙サイズが3種類のサイズに異なっていても、用紙の搬送基準が片側基準であれば基準側スプールフランジ55aのシート幅方向Yの位置は変わらない。従って、シート幅方向Yの位置が不変の基準側スプールフランジ55aおよびこれと対応した装置本体1側に上記位置決め案内手段を設けることで、ロール紙4のセット性を改善することが可能となる。
【0066】
スプール軸54は、インクジェット記録装置で使用される最大用紙サイズ幅(最大通紙幅)より長く、その両端部を、装置本体1側に設けられるシートロール支持部としての図10中破線で示す切欠部56に落とし込むことで、ロール紙4がセットされる。スプール軸54とこれに固着される基準側スプールフランジ55aとの位置関係を固定することで、マシンに対するロール紙4軸方向の位置決めが可能である。
【0067】
基準側スプールフランジ55aと反対側の非基準側スプールフランジ55bは、ロール紙4の用紙サイズに応じてスプール軸54を介してシート幅方向Yに移動可能で位置が異なるため、画像読取部2や画像形成部3側の装置本体1(第1の実施形態では下端部1a、筐体上部1bに相当)に、シート幅方向Yに位置固定の上記位置決め案内手段を設けることはできない。また、フランジタイプと大きく異なる点は、用紙サイズが異なっても、スプール軸54の両端部を受ける位置(通常、この位置に上記切欠部が配置される)は不変である点である。
本変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、片側基準のインクジェット記録装置においても、ロール紙4のセット作業、操作性の向上が図れる。
【0068】
(変形例3)
図11を参照して、第1の実施形態の変形例3を説明する。変形例3は、第1の実施形態と比較して、装置本体1に着脱可能な外装部品としての読取部カバー57に各ガイド部30a,30b,30cおよび嵌合形状としての凹部28を設けた点、装置本体1に着脱可能な外装部品としての印字部上カバー58に各ガイド部31a,31b,31cおよび嵌合形状としての凹部29を設けた点が主に相違する。変形例3は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
もちろん、上下の読取部カバーおよび印字部上カバーが一体の外装部品で形成されている場合は、その一体カバーに上記位置決め案内手段(各ガイド部および位置決め・規制形状)を具備することも考えられる。
【0069】
(変形例4)
図12を参照して、第1の実施形態の変形例4を説明する。図1に示した第1の実施形態のインクジェット記録装置では、画像読取部2と、画像形成部3を含んだプリンタ本体とが一体の構成を説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、図12に示すように、画像読取部2をスタンド100上に載置し、スタンド100の内側にプリンタ本体を収容する形態でもよい。変形例4は、前記相違点以外は第1の実施形態と同様である。
【0070】
スタンド100は、床面36と接触し装置本体1の後方から前方へ延設する脚部100aと、脚部100aから上方に起立する起立部100bと、起立部100bから前方へ延設し、画像読取部2を載置する載置面を有する載置部100cとで構成されている。
ロール紙(図示せず)を装置本体1の正面(前面)から背面側にセット可能なプリンタ本体には、後方にロール紙をガイドするガイド部30c(図2に示す第1の実施形態のガイド部30cと同じ)が設けられているが、画像形成部3の上方にはロール紙をガイドするガイド部に相当する部材はない。
そこで、本変形例では、プリンタ本体のガイド部30cへロール紙をガイドできるように載置部100cにガイド部101a,101b(図2に示す第1の実施形態のガイド部30a,30bに相当する)を設けたことを特徴としている。そして、本変形例においても、図6や図7に示したような嵌合例を適用可能としたものである。
【0071】
上記構成により、スタンドタイプの複合機などにおいても、ロール紙を正面から背面方向へセットすることが容易になる。なお、プリンタ本体の正面側上面は、プリンタとして使用することを想定しているため、フランジ6の下面をガイドする形状がないことがある。その場合、図6や図7に示したような嵌合例におけるフランジ6の下端をガイドするガイド部材をプリンタ上面に覆い被せて固定すれば、フランジ6の上下を位置決め・規制しながらシートロール支持部(図2に示す第1の実施形態ではフランジ受け台5)へ案内することが可能である。
【0072】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
例えば、図1に示した画像読取部2、画像形成部3、装置本体1のフランジ受け台5、これらの構成部品や部材は、上述したものに限らず、それらと均等な全ての公知のものに置き換えてもよい。一例を挙げると、画像形成部3は、シリアル型インクジェット記録装置に限定されず、ライン型インクジェット記録装置や電子写真方式による画像形成装置等またはそれら複数の機能を組み合わせた装置でもよい。
図1に示したインクジェット記録装置に限らず、画像読取部2に加えて、装置本体1の上部の正面側に操作部としての操作パネルを設けた画像形成装置であってもよい。また、画像読取部2が配設されていない、例えば専らコンピュータ等の外部入力データやコンパクトディスク等の各種記憶媒体に記録されているデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 装置本体
2 画像読取部
3 画像形成部
4 ロール紙(シートロール)
5 フランジ受け台(シートロール支持部)
6 フランジ(フランジ部材)
7 開口部
8 ロール紙収容部
10 用紙(シート)
11 原稿台(原稿載置台)
14 密着イメージセンサ(画像読取手段)
20 キャリッジ
28,29 凹部(位置決め案内手段を構成)
30a,30b,30c ガイド部(位置決め案内手段を構成)
31a,31b,31c ガイド部(位置決め案内手段を構成)
32 プリンタ部前方上面(一時載置部)
36 床面
37 ユーザ
100 スタンド
X 前後方向、副走査方向
Y 主走査方向、シート幅方向
Z 上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2007−261086号公報
【特許文献2】特開2007−261754号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上方に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の下方に配置され、搬送されてくるシートに画像形成を行う画像形成部と、
長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出す繰り出し方向と直交するシート幅方向における該シートロールの両端部に装着される一対のフランジ部材と、
前記画像読取部の下方かつ前記装置本体の後方に配置され、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出し可能に支持するシートロール支持部と、
を有する画像形成装置において、
前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に挿通・セットするための開口部が、前記画像読取部と前記画像形成部との間における前記装置本体の前面側に形成され、
前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける少なくとも一方の前記フランジ部材を前記シート幅方向に位置決め規制し、かつ、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に案内する位置決め案内手段を、前記開口部における前記装置本体の上下に具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段は、前記フランジ部材装着済みのシートロールの前記シートロール支持部へのセット方向に略連続して具備されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凸形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凸形状と係合する凹形状、または前記フランジ部材を挟み込む形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凹形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凹形状と係合する凸形状、または前記フランジ部材を嵌め込む形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段が、前記装置本体に着脱可能な外装部品に具備されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、前記シートロールから繰り出されるシートの搬送が片側基準で搬送されるよう構成されており、
前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける前記少なくとも一方の前記フランジ部材は、前記位置決め案内手段によって前記シート幅方向に位置が不変な基準位置に位置決めされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部には、前記シート幅方向に移動可能なキャリッジが設けられており、
前記位置決め案内手段は、前記開口部から前記シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部に形成されており、
前記画像読取部が、前記キャリッジよりも前記装置本体の後方に配置され、かつ、前記画像読取部に配設されている画像読取手段が、前記傾斜面部の上方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像読取部には、原稿を載置する原稿台が前記装置本体の前面側に配置されており、
前記原稿台の前端部は、前記画像形成部における前記装置本体の前面よりも該装置本体の後方に形成されており、
前記原稿台の前端部と前記画像形成部における前記装置本体の上面との間であって、前記位置決め案内手段の形成部よりも前記装置本体の前面寄りの前記画像形成部における前記装置本体の上面には、前記フランジ部材装着済みのシートロールの該各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
装置本体の上方に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の下方に配置され、搬送されてくるシートに画像形成を行う画像形成部と、
長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出す繰り出し方向と直交するシート幅方向における該シートロールの両端部に装着される一対のフランジ部材と、
前記画像読取部の下方かつ前記装置本体の後方に配置され、長尺のシートが巻回されてなるシートロールから該シートを前記画像形成部に向けて繰り出し可能に支持するシートロール支持部と、
を有する画像形成装置において、
前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に挿通・セットするための開口部が、前記画像読取部と前記画像形成部との間における前記装置本体の前面側に形成され、
前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける少なくとも一方の前記フランジ部材を前記シート幅方向に位置決め規制し、かつ、前記フランジ部材装着済みのシートロールを前記シートロール支持部に案内する位置決め案内手段を、前記開口部における前記装置本体の上下に具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段は、前記フランジ部材装着済みのシートロールの前記シートロール支持部へのセット方向に略連続して具備されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凸形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凸形状と係合する凹形状、または前記フランジ部材を挟み込む形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段の位置決め形状は、前記装置本体側が凹形状であるとき、前記フランジ部材側が前記凹形状と係合する凸形状、または前記フランジ部材を嵌め込む形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記位置決め案内手段が、前記装置本体に着脱可能な外装部品に具備されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、前記シートロールから繰り出されるシートの搬送が片側基準で搬送されるよう構成されており、
前記フランジ部材装着済みのシートロールにおける前記少なくとも一方の前記フランジ部材は、前記位置決め案内手段によって前記シート幅方向に位置が不変な基準位置に位置決めされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部には、前記シート幅方向に移動可能なキャリッジが設けられており、
前記位置決め案内手段は、前記開口部から前記シートロール支持部に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部に形成されており、
前記画像読取部が、前記キャリッジよりも前記装置本体の後方に配置され、かつ、前記画像読取部に配設されている画像読取手段が、前記傾斜面部の上方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像読取部には、原稿を載置する原稿台が前記装置本体の前面側に配置されており、
前記原稿台の前端部は、前記画像形成部における前記装置本体の前面よりも該装置本体の後方に形成されており、
前記原稿台の前端部と前記画像形成部における前記装置本体の上面との間であって、前記位置決め案内手段の形成部よりも前記装置本体の前面寄りの前記画像形成部における前記装置本体の上面には、前記フランジ部材装着済みのシートロールの該各フランジ部材を一時的に載置する一時載置部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−178026(P2011−178026A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44483(P2010−44483)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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