説明

画像形成装置

【課題】定着装置内の加熱手段を加熱することなく、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きを検知可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置12での用紙Pの搬送障害を検知する用紙検知センサ17と、定着装置12の第1加熱ローラ21の非通紙領域及び通紙領域の表面温度を検知する第1及び第2温度検知センサ26a、26bと、が設けられ、制御部35は、用紙検知センサ17が搬送障害を検知したとき、第1加熱ローラ21の回転及び加熱を緊急停止し、緊急停止後における第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇し、且つ第2温度検知センサ26bの第2検知温度が低下したとき、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生したと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、ファクシミリ或いはプリンタ等の、未定着トナー画像を担持した用紙を挿入して、未定着トナーを加熱、溶融し、用紙に定着する定着装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、ニップを形成するローラ対の少なくとも一方のローラ(加熱ローラ)に熱源を内蔵させて加熱手段とし、この熱源によって加熱されたローラ対のニップ部に未定着トナー画像を担持した用紙(記録媒体)を挿通することによって用紙にトナーを定着する熱ローラ定着方式が用いられている。
【0003】
また、熱ローラ定着方式としては、定着ローラと加熱ローラとに無端状の定着ベルトを架け渡して加熱手段を構成し、加熱ローラの熱源により定着ベルトを発熱させ、定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラとのニップ部で未定着トナー画像を用紙に定着させる方式も用いられている。
【0004】
例えば上記した熱ローラ定着方式においては、加熱ローラからのトナーの離形性を向上させるために、加熱ローラの表層にはフッ素系のコーティングやチューブが設けられている。さらに、加熱ローラからの用紙の剥離を目的として、加熱ローラの下流側に分離部材が設けられている。
【0005】
しかし、加熱ローラに対する用紙の付着が強くなると、用紙が分離部材で剥離されずに加熱ローラに対して巻き付くおそれがある。特に、薄紙や再生紙を含有したリサイクル紙等、紙のコシが小さな用紙を用いた場合、加熱ローラに対する巻き付きが生じ易い。かかる巻き付きが生じると用紙の除去は容易ではなく、ユーザで対応出来ない場合は、サービスマンを呼ぶ必要がある。また、ユーザが巻き付きに気づかない場合、加熱ローラは用紙を巻き込んだまま加熱され、巻き付いた用紙が熱せられると安全防災上の問題となるおそれがある。
【0006】
そこで、このような巻き付きの発生を検知する方法が提案されている。例えば特許文献1には、定着部材(加熱ローラ)の通紙範囲内及び通紙範囲外の表面温度をそれぞれ検出する第1及び第2温度検出手段を設け、熱源により定着部材を加熱し、定着部材の表面温度が所定の設定温度に達した際の第1及び第2温度検出手段の検出温度の差を基準値と比較して用紙(記録媒体)の巻き付きを検知し、巻き付きが発生している場合には熱源への通電(加熱)を停止することにより、巻き付きジャムや用紙ジャムを容易且つ確実に検知すると共に、用紙ジャムの再発を防止する方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、加熱部材(加熱ローラ)上に記録材(記録媒体)が無い場合と有る場合との非接触温度検知手段の出力状態を比較して記録材の巻き付きを判断することにより、用紙ジャムに迅速に対応できると共に、残紙を確実に検知して残紙に起因する発炎等のトラブルを回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−156868号公報
【特許文献2】特開2002−296953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1では、不定形サイズの用紙や、サイズ幅が異なる用紙が混載された状態で印字が行われる場合には、通紙領域と非通紙領域の温度差を正確に検知できないおそれがある。また、特許文献2では、予め測定した正常値と検出値とを比較しているが、測定時が異なれば入力電圧等の電源事情、周辺温度や加圧ローラの温度等が相違し、加熱ローラの昇温曲線が変わるため、検知精度が低下するおそれもある。
【0010】
さらに、特許文献1及び2において、巻き付きを検知するために熱源をONして加熱ローラを加熱する必要があるため、加熱ローラに記録媒体が巻き付いたまま電源をONすると、用紙が熱せられて、紙焦げにより発煙や異臭が発生するおそれがある。また、かかる巻き付きの問題は、定着ベルトを用いた場合であっても同様に生じ得る。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、定着装置内の加熱手段を加熱することなく、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きを検知可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体を搬送するための搬送路と、回転可能な加熱手段と該加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段とを有し、前記搬送路を搬送される記録媒体を、前記加熱手段が所定方向に回転しながら前記ニップ部に挿通させて記録媒体にトナー像を定着する定着装置と、前記加熱手段の表面における記録媒体の非通過領域の温度を検知する第1の温度検知手段と、通過領域の温度を検知する第2の温度検知手段と、前記第1及び第2の温度検知手段による第1及び第2の検知温度に基づいて、定着時における前記加熱手段の表面を所定の定着温度に制御可能な制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記搬送路には、前記定着装置での記録媒体の搬送障害を検知する搬送障害検知手段が設けられ、前記制御手段は、前記搬送障害検知手段が前記搬送障害を検知したとき、前記加熱手段の加熱及び回転の停止を実行し、前記停止後における前記第1及び第2の検知温度の前記定着時に対する変化の相違に基づいて、前記加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの発生の有無を判断することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、前記制御手段が、前記停止時から所定時間経過後、前記定着時に対して前記第1の検知温度が上昇し、且つ前記第2の検知温度が低下したとき、前記巻き付きが発生したと判断することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、前記所定時間は、前記停止時から前記第1の検知温度の上昇がピークに到達するまでの間で設定されることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、前記第2の温度検知手段は、前記加熱手段に巻き付いた記録媒体を挟んで前記通過領域の温度を検知可能な位置に配置されることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、表示手段が設けられ、前記制御手段が、前記巻き付きが発生したと判断したとき、前記巻き付きの発生を前記表示手段に表示することを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、前記制御手段が、前記巻き付きが発生したと判断したとき、前記加熱手段を前記定着時とは逆方向に回転させることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、前記加熱手段は、内部に第1の熱源を有する第1の加熱ローラであることを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、前記加熱手段は、内部に第2の熱源を有する第2の加熱ローラと、定着ローラと、前記第2の加熱ローラ及び前記定着ローラに張架されて回転可能な定着ベルトと、から構成され、前記加圧手段は、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに当接して前記ニップ部を形成することを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、前記加圧手段は、加圧ローラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の構成によれば、搬送路に、定着装置での記録媒体の搬送障害を検知する搬送障害検知手段を設け、制御手段が、搬送障害検知手段が搬送障害を検知したとき、加熱手段の加熱及び回転の停止を実行し、停止後における第1及び第2の検知温度の定着時に対する変化の相違に基づいて、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの発生の有無を判断することにより、定着装置内の加熱手段を加熱することなく加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの有無を判断できる。
【0022】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、制御手段が、停止時から所定時間経過後、定着時に対して第1の検知温度が上昇し、且つ第2の検知温度が低下したとき、巻き付きが発生したと判断することにより、第1及び第2の検知温度の定着時に対する変化の相違がより明確となるため、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの有無を、より確実に判断できる。
【0023】
本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、所定時間を、停止時から第1の検知温度の上昇がピークに到達するまでの間で設定することにより、第1及び第2の検知温度の定着時に対する変化の相違が早期に明確となるため、記録媒体の巻き付きの有無を、より短時間且つ確実に判断できる。
【0024】
本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の画像形成装置において、第2の温度検知手段を、加熱手段に巻き付いた記録媒体を挟んで通過領域の温度を検知可能な位置に配置することにより、第2の温度検知手段による温度検知精度を高めることができる。
【0025】
本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の画像形成装置において、表示手段を設け、制御手段が、巻き付きが発生したと判断したとき、巻き付きの発生を表示手段に表示することにより、ユーザに対して巻き付きの発生を確実に知らせることができるため、ユーザが巻き付いた記録媒体を取り出す作業に素早く着手でき、作業性を向上させることができる。
【0026】
本発明の第6の構成によれば、上記第1〜第5のいずれかの構成の画像形成装置において、制御手段が、巻き付きが発生したと判断したとき、加熱手段を定着時とは逆方向に回転させることにより、記録媒体の後端を、定着装置よりも記録媒体の搬送方向上流側に突出させることができるため、ユーザが巻き付いた記録媒体を取り出し易くなり、作業性を向上させることができる。
【0027】
本発明の第7の構成によれば、上記第1〜第6のいずれかの構成の画像形成装置において、加熱手段を、内部に第1の熱源を有する第1の加熱ローラとすることにより、全表面が曲面から成り、巻き付きが生じやすい加熱ローラに対する記録媒体の巻き付きの有無を判断できるため、効果的である。
【0028】
本発明の第8の構成によれば、上記第1〜第6のいずれかの構成の画像形成装置において、加熱手段を、内部に第2の熱源を有する第2の加熱ローラと、定着ローラと、第2の加熱ローラ及び定着ローラに張架されて回転可能な定着ベルトと、から構成し、加圧手段が、定着ベルトを介して定着ローラに当接してニップ部を形成することにより、回転軌跡において平らな部分と曲率部分とが並存する定着ベルトを用いても、該定着ベルトに対する記録媒体の巻き付きの有無を判断できるため、効果的である。
【0029】
本発明の第9の構成によれば、上記第1〜第8のいずれかの構成の画像形成装置において、加圧手段を加圧ローラとすることにより、加熱手段の損傷や回転に及ぼす影響を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図
【図2】は、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置を示す模型的断面図
【図3】は、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置における第1及び第2温度検知センサの配置を示す模型的斜視図
【図4】は、本実施形態に係る画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図
【図5】は、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生していないときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を模式的に示す図
【図6】は、第1加熱ローラに用紙が巻き付いた状態を示す模型的断面図
【図7】は、図6のA方向から見た平面図
【図8】は、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生したときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を模式的に示す図
【図9】は、本実施形態に係る画像形成装置の制御手順の一例を示すフローチャート
【図10】は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置を示す模型的断面図
【図11】は、本実施形態の画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生したときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を示すグラフ
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。この画像形成装置(例えばプリンタ)100は、画像形成部2、給紙機構10、搬送部(搬送路)11、定着装置12、及び排紙部13等から構成されている。画像形成部2は、感光体ドラム3、帯電ユニット4、露光ユニット(レーザスキャンユニット)5、現像ユニット6、クリーニング装置7、トナーコンテナ8、転写ローラ9を備えている。
【0032】
感光体ドラム3は、例えばアルミドラムにアモルファスシリコン層(a−Si)や有機感光層(OPC)等の感光層が積層されたものであり、帯電ユニット4により表面を帯電させ、後述する露光ユニット5からのレーザビームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。
【0033】
帯電ユニット(帯電チャージャ)4は、放電(例えばコロナ放電)することによって、感光体ドラム3の表面を帯電させるものであり、露光ユニット(LSU)5は、画像データに基づいて、光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体ドラム3に照射し、感光体ドラム3表面に静電潜像を形成させるものである。なお、画像データは例えば、不図示のパーソナルコンピュータから送信される。
【0034】
現像ユニット6は、感光体ドラム3の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成させるものである。現像ユニット6に収容されている現像剤としては、例えばスチレンアクリル系の磁性1成分から構成される1成分現像剤や、トナー成分とキャリアとから構成される2成分現像剤等が挙げられ、現像ユニット6内部のトナーが不足するとトナーコンテナ8からトナーが供給される。また、転写ローラ9は、感光体ドラム3表面に形成されたトナー像を乱さずに搬送部11を搬送されてくる用紙(記録媒体)P上に移行(転写)させるものである。
【0035】
クリーニング装置7は、トナー像がシートに転写された後に、感光体ドラム3の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去するものであり、感光体ドラム3の長手方向に線接触する摺擦ローラやクリーニングブレード等(不図示)から構成される。給紙機構10は、画像(トナー像)が印刷される用紙Pを収容するとともに、給紙機構10から排紙部13までの用紙Pの通路である搬送部11に用紙Pを給送するものである。
【0036】
定着装置12は、ハウジング12a内で用紙Pに転写されたトナー像を安定な永久像とするものであり、熱や圧力等のエネルギーを付与することにより、粉体状態のトナー像を溶融させて用紙Pに定着する。定着装置12の詳細は、後述する。排紙部13は、定着装置12を経た用紙P、すなわち永久像が印刷された用紙Pを収容するものである。
【0037】
そして、予め入力された画像データに基づいて露光ユニット5が感光体ドラム3上にレーザビームを発することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム3表面に形成する。その後、現像ユニット6により静電潜像にトナーを付着させるとともに(トナー像を形成させるとともに)、転写ローラ9により用紙P上にそのトナー像が転写される。次に、定着装置12によりトナー像の転写された用紙Pに熱及び圧力を加え、永久像とさせるようになっている。
【0038】
また、搬送部11において定着装置12の下流側近傍には、例えばアクチュエータから構成される用紙検知センサ(搬送障害検知手段)17が設けられており、用紙検知センサ17は用紙Pの通過を検知して後述する制御部35に出力信号を送信する。用紙検知センサ17が、予め設定されたタイミングで用紙Pの通過を検知しない場合には、用紙Pが定着装置12を下流側へと通過しておらず、定着装置12内でジャムや紙詰まり等の搬送障害を検知し、かかる検知結果が制御部35に送信される。なお、用紙検知センサ17は、定着装置12の上流側に設けることも、上流側及び下流側に設けることもできる。
【0039】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置を示す模型的断面図であり、図3は、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置における第1及び第2温度検知センサの配置を示す模型的斜視図である。なお、図2及び図3では、ハウジング12aを省略して示した。定着装置12のハウジング12a(図1参照)内には、主には、第1加熱ローラ(第1の加熱ローラ、加熱手段)21と、加圧ローラ23と、が備えられている。
【0040】
第1加熱ローラ21は、例えば熱伝導性に優れたAl(アルミニウム)、Fe(鉄)、SUS(ステンレス)等から形成された芯金上に、シリコンゴム等から成る弾性層が形成されており、この弾性層の表面はフッ素樹脂等の離形性に優れた樹脂で覆われている。また、芯金としては、温度増加や低下等の温度変化が生じ易い低熱容量のものが好ましく、芯金の厚みが小さい方が好ましい。かかる芯金の厚みは、0.2mm〜1.5mmとすることができる。また、芯金の厚みを小さくすることにより、ウォーミングアップ時間の短縮を図ることもできる。
【0041】
ここでは、第1加熱ローラ21の芯金を、外径26mm、厚さ1mmのアルミニウム製の芯金、弾性層を、厚さ0.3mmのシリコンゴム層とし、かかるシリコンゴム層の表面にPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)層を設けた。芯金の内部には、ハロゲンヒーター等の第1熱源(第1の熱源)21aが設けられている。第1加熱ローラ21は、モータ等から成る駆動装置51(図4参照)によって正逆回転可能に駆動されるようになっており、定着時には、用紙Pを搬送方向下流側(白抜き矢印方向)に搬送するよう、図の時計回りに回転する。また、その周速度が用紙Pの搬送速度と同じになるように回転する。
【0042】
加圧ローラ23は、例えばステンレスから形成された芯金上に、シリコンゴム等から成る弾性層が形成され、この弾性層の表面がフッ素樹脂等の離形性に優れた樹脂で覆われている。この加圧ローラ23が、第1加熱ローラ21と当接することで、トナーTが担持された用紙Pを挿通させるニップ部を形成する。また、加圧ローラ23は、第1加熱ローラ21と当接することにより、第1加熱ローラ21の回転に従って回転する。ここでは、加圧ローラ23を、ステンレス製の芯金とシリコンゴム層の弾性層とから形成し、ローラの外径を25mmとした。
【0043】
なお、加圧ローラ23の芯金の内部には、第1加熱ローラ21と同様に、ハロゲンヒーター等の熱源を設けることもできる。また、本実施形態では加圧ローラ23を用いたため、第1加熱ローラ21の損傷や回転に及ぼす影響を減らすことができるが、加圧手段としては、その他、例えば、固定部材やベルト状部材等であってもよく、本実施形態に特に限定されるものではない。
【0044】
第1加熱ローラ21の外周面には、第1加熱ローラ21の表面温度を検知するための第1温度検知センサ(第1の温度検知手段)26a、第2温度検知センサ(第2の温度検知手段)26bが設けられている。第1温度検知センサ26aは、接触式のサーミスタから成り、第1加熱ローラ21の長手方向両端部において用紙Pの非通紙領域(非通過領域)に当接し、該非通紙領域の表面温度を検知する。
【0045】
第2温度検知センサ26bは、非接触式のサーミスタから成り、第1加熱ローラ21の長手方向略中央部において用紙Pの通紙領域(通過領域)と対向する位置に、第1加熱ローラ21に巻き付いた用紙Pが通過できるように第1加熱ローラ21の表面と所定の間隔を隔てて設けられている。これにより、第2温度検知センサ26bは、該通紙領域の表面温度を検知する。これら第1温度検知センサ26aによる第1検知温度、及び第2温度検知センサ26bによる第2検知温度は、後述する制御部35へと送られ、この検知結果に基づいて制御部35は、第1加熱ローラ21の第1熱源21aへの通電をON/OFFし、定着温度を予め設定された温度となるように調節する。
【0046】
第1加熱ローラ21と加圧ローラ23とのニップ部に対し用紙Pの搬送方向下流側(図2の左側)には、第1加熱ローラ21に隣接して分離部材27が設けられている。分離部材27は、略Lの字状の板状部材から成り、L字の略中央部は定着装置12のハウジング12a(図1参照)に回転可能に支持されている。また、分離部材27の下流側の端部は、引張りバネ29により下流側に付勢され、かかる付勢力により分離部材27が回転して上流側(図の右側)の端部が第1加熱ローラ21表面に近接している。
【0047】
ここでは、分離部材27と第1加熱ローラ21との間に、0.3mmの隙間を形成した。かかる分離部材27が用紙Pの先端を第1加熱ローラ21から引き剥がすことにより、用紙Pを第1加熱ローラ21から分離することができる。なお、分離部材27と第1加熱ローラ21との間の隙間は、用紙Pを第1加熱ローラ21から分離可能であれば特に限定されず、分離部材27を第1加熱ローラ21表面に当接させることもできる。
【0048】
このように、通常の印字時には、分離部材27によって第1加熱ローラ21から用紙Pが分離することにより、第2温度検知センサ26bと第1加熱ローラ21の表面との間には用紙Pが介在せず、第2温度検知センサ26bが第1加熱ローラ21の通紙領域における表面温度を適切に検知するようになっている。
【0049】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図である。図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部2、定着装置12、用紙検知センサ17、画像入力部32、AD変換部33、記憶部34、制御部35、操作パネル(表示手段)36を含む構成である。
【0050】
画像入力部32は、画像形成装置100が複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部(図示せず)であり、画像形成装置100が図1に示すようなプリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部32より入力された画像信号は制御部35に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、AD変換部33においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部34内の画像メモリ40に送出される。
【0051】
画像形成部2は、感光体ドラム3、帯電ユニット4、露光ユニット5、現像ユニット6、転写ローラ9等から構成され、AD変換部33において変換され画像メモリ40に記憶された画像データをもとに感光体ドラム3上に静電潜像を形成する。感光体ドラム3、転写ローラ9等はメインモータ(図示せず)により回転駆動され、制御部35はメインモータに制御信号を送信して感光体ドラム3や転写ローラ9の回転及び停止を制御する。
【0052】
記憶部34は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部32において入力され、AD変換部33においてデジタル変換された画像信号を記憶し、制御部35に送出する。RAM41及びROM42は、制御部35の画像処理プログラムや処理内容等を記憶する。また、記憶部34には、画像形成部2における画像形成を制御するためのプラグラムや、用紙Pの搬送を制御するためのプログラムや、第1加熱ローラ21の表面温度を所定の定着温度に維持するために第1熱源21aへの通電を制御するプログラムや、用紙検知センサ17による搬送障害検知に必要なパラメータや、後述する監視時間Tmや、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの検知温度と第1加熱ローラ21への用紙Pの巻き付きの発生とを関連付けたパラメータ等も記憶されている。
【0053】
制御部35は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部32、画像形成部2、定着装置12、用紙Pの搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部32から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光ユニット5は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム3上に潜像を形成する。さらに制御部35は、設定されたプログラムに従って画像入力部32、帯電ユニット4、露光ユニット5、現像ユニット6等の画像形成装置各部の制御も行う。
【0054】
さらに制御部35は、用紙検知センサ17から、定着装置12での用紙Pの搬送障害が発生したことを示す出力信号を受信し、第1加熱ローラ21の回転及び第1熱源21aへの通電を停止する(緊急停止)機能を有している。このとき、制御部は、画像形成部2の駆動や、搬送部11での用紙Pの搬送も停止する。また、制御部35は、緊急停止からの時間経過を測定し、監視時間Tmが経過したか否かを判断する機能や、緊急停止から監視時間Tm経過後の第1及び第2温度検知センサ26a、26bの検知温度を受信し、記憶部34に記憶されたパラメータに基づいて第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きの発生の有無を判断する機能を有している。また、制御部35は、用紙Pの巻き付きが発生していないときには搬送障害が発生した旨、巻き付きが発生しているときにはその旨を操作パネル36に表示する機能や、巻き付きが発生しているときには第1加熱ローラ21を定着時とは逆方向に回転させる機能を有している。
【0055】
操作パネル36は、画像形成装置100が複写機の場合には、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷サイズ等、印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置100がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部34にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。また、画像形成装置100が図1に示すプリンタの場合には、操作パネル36は、パーソナルコンピュータ(不図示)上に表示される入力部から構成されている。また、操作パネル36は、制御部35からの信号を受信し、緊急停止時において、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していないときには搬送障害が発生した旨、巻き付きが発生しているときにはその旨を表示する。
【0056】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の巻き付き検知について説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生していないときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を模式的に示す図であり、図6は、第1加熱ローラに用紙が巻き付いた状態を示す模型的断面図であり、図7は、図6のA方向から見た平面図であり、図8は、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生したときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を模式的に示す図である。図1〜図4と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0057】
まず、上記の通り、通常の印字中には第1及び第2温度検知センサ26a、26bの検知温度に基づいて第1加熱ローラ21の第1熱源21aに対する通電をON/OFFすることにより、定着温度が略一定となるように制御されている。また、搬送部11において定着装置12の下流側近傍に設けられた用紙検知センサ17が、定着装置12でジャムや紙詰まり等の搬送障害の発生を検知するようになっている。なお、かかる搬送障害には、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きによって生じた搬送障害も含まれる。
【0058】
そして、用紙検知センサ17が定着装置12での用紙Pの搬送障害を検知すると、かかる検知結果が制御部35に送信され、検知結果を受信した制御部35は、強制的に、定着装置12における第1加熱ローラ21の回転及び第1熱源21aに対する通電(加熱)を停止する(緊急停止)。このとき、制御部35は、用紙Pの搬送や画像形成部2の駆動等も停止する。
【0059】
このように定着装置12で用紙Pの搬送障害が発生した場合には、第1加熱ローラ21の加熱は停止するが、同時に第1加熱ローラ21の回転も停止するため、第1加熱ローラ21の表面に発生した熱は加圧ローラ23や用紙Pとの接触によって奪われない。このため、第1加熱ローラ21表面に熱が溜まり続け、その表面温度は、第1加熱ローラ21の加熱停止後もしばらく上昇を続ける。従って、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していなければ、図5に示すように、緊急停止後の第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度は共に、定着時よりも上昇する(図の右上向き矢印参照)。
【0060】
その後、第1加熱ローラ21表面に溜まった熱が空気中に放出されると、その表面温度が低下する。従って、図5に示すように、第1及び第2温度検知センサ26a、26bにおける第1及び第2検知温度は、印字中(定着時)には略一定であるが、緊急停止(図に破線で示す)後には、時間経過と共に一旦検知温度が上昇した後、低下する。
【0061】
しかし、用紙Pの先端に余白が少ない場合等、トナーによる用紙Pと第1加熱ローラ21表面との付着力が強い場合には、用紙Pが、第1加熱ローラ21に付着したまま、分離部材27の付勢力に抗してこれを通過し、図6及び図7に示すように用紙Pの巻き付きが発生する場合がある。かかる巻き付き発生時にも、用紙検知センサ17は用紙Pの通過を検知しないため、定着装置12内で搬送障害が発生したと検知し、かかる検知結果を受信した制御部35は、緊急停止を実行する。
【0062】
このように用紙Pの巻き付き発生による緊急停止が実行された場合、図7に示すように、第1温度検知センサ26aは、第1加熱ローラ21表面の非通紙領域の温度を検知するため、用紙Pに邪魔されることなくその表面温度を検知できる。しかし、第2温度検知センサ26bは、通紙領域に配置されており、該センサと第1加熱ローラ21との間に介在する用紙P(図7のハッチング領域参照)が断熱材となって第1加熱ローラ21からの温度伝達が遮蔽されるため、第1加熱ローラ21の表面温度を十分に検知することができない。
【0063】
その結果、図8に示すように、緊急停止(緊急停止時を破線で示す)後、第1温度検知センサ26aの第1検知温度は印字中(定着時)よりも上昇するのに対し(右上向き矢印参照)、第2温度検知センサ26bの第2検知温度は印字中(定着時)よりも低下する(右下向き矢印参照)。
【0064】
そこで、本発明では、用紙検知センサ17が搬送障害を検知したとき、制御部35が緊急停止を実行し、緊急停止後における第1温度検知センサ26aの第1検知温度の定着時に対する変化と、第2温度検知センサ26bの第2検知温度の定着時に対する変化と、の相違に基づいて、第1加熱ローラ21に対する巻き付きの有無を判断することとした。
【0065】
また、本実施形態では、緊急停止後の第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇(変化)し、且つ第2温度検知センサ26bの第2検知温度が低下(変化)したとき、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していると判断することとした。これにより、緊急停止後において、第1検知温度では定着時に対する上昇、第2検知温度では定着時に対する下降と、両者の変化の相違がより明確となる。
【0066】
また、緊急停止時から、第1検知温度がピークに達する時間Thが経過するまでの間の所定の監視時間Tm経過後に、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの検知温度を比較することとした。すなわち、緊急停止時から監視時間Tm経過後に、第1温度検知センサ26aの検知温度が定着時よりも上昇し、第2温度検知センサ26bの検知温度が定着時よりも低下していれば、第1加熱ローラ21に対して巻き付きが発生していると判断することとした。これにより、緊急停止後、第1検知温度が上昇を続けている間に、第2検知温度との相違を比較することができる。
【0067】
また、用紙Pの巻き付きが発生した場合には、第1加熱ローラ21を定着時とは逆方向(図6の反時計回り)に回転させることとした。これにより、巻き付いた用紙Pの後端を定着装置12よりも用紙Pの搬送方向上流側に突出させることができ、ユーザは用紙Pの後端を容易に確認し、掴むことができる。
【0068】
また、用紙Pの巻き付きが発生したとき、制御部35は、巻き付きの発生を操作パネル36に表示することとした。これにより、ユーザに対し、用紙Pの巻き付きが発生したことを確実に知らせることができる。かかる表示を確認したユーザは、定着装置12と対向して配置された装置本体のカバー(不図示)を開けて、巻き付いた用紙Pを取り除くことができる。
【0069】
一方、用紙Pの巻き付きが発生していない場合には、搬送障害が発生した旨を操作パネル36に表示することとした。これにより、ユーザに対し、搬送障害が発生していることを確実に知らせることができる。また、その搬送障害が用紙Pの巻き付きによって生じたものではないことを知らせることができる。また、かかる表示を確認したユーザは、上記カバーを開けて、搬送障害の原因となった用紙Pを取り除くことができる。
【0070】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。図4を参照しながら図9のステップに従い本制御について説明する。
【0071】
先ず、画像形成装置100の電源がONされ、用紙サイズ、印刷枚数、印刷倍率等の印刷条件がユーザによる操作パネル36或いはパーソナルコンピュータからの入力操作により手動設定され、用紙サイズが入力操作により手動設定若しくは原稿読み取り動作により自動設定された後、スタートボタンONにより印刷開始指示(印刷信号)が入力されると(スタート)、用紙検知センサ17による用紙Pの搬送障害の検知が開始されると共に(ステップS1)、第1及び第2温度検知センサ26a、26bによる第1加熱ローラ21表面の温度検知が開始され(ステップS2)、印字が開始される(ステップS3)。
【0072】
印字中に、用紙検知センサ17により定着装置12での搬送障害が検知されると、制御部35は、画像形成部2の駆動、搬送部11での用紙Pの搬送と共に、定着装置12における第1加熱ローラ21の回転及び加熱を停止する、緊急停止を行う(ステップS4)。このとき、第1及び第2温度検知センサ26a、26bは、第1加熱ローラ21表面の温度検知を続けており、制御部35は、緊急停止から監視時間Tmが経過したか否かを判断する(ステップS5)。
【0073】
監視時間Tmが経過していなければ、Tmが経過するまでステップS5で待機する。一方、監視時間Tmが経過していれば、第2温度検知センサ26bの第2検知温度が定着時よりも低下しているか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6で第2検知温度が低下していれば、次に制御部35は、第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇しているか否かを判断する(ステップS7)。
【0074】
ステップS7で第1検知温度が上昇していれば、制御部35は、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していると判断し(ステップS8)、第1加熱ローラ21を定着時とは逆方向に回転させて、第1加熱ローラ21に巻き付いた用紙Pの後端を、定着装置12の上流側に突出するように送り出す(ステップS9)。かかる逆回転後、制御部35が、操作パネル36に巻き付きが発生した旨を表示した後(ステップS10)、終了する。かかる表示を確認したユーザは、巻き付いた用紙Pを除去した後、再び印字を開始することができる。
【0075】
一方、ステップS6で第2温度検知センサ26bの第2検知温度が低下していない場合、及び、ステップS7で第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇していない場合には、制御部35は、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していないと判断し(ステップS11)、操作パネル36に搬送障害が発生した旨の表示をした後(ステップS12)、終了する。かかる表示を確認したユーザは、搬送障害の原因となった用紙Pを除去した後、再び印字を開始することができる。
【0076】
このように、本実施形態では、緊急停止後の第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度の定着時に対する変化の相違に基づいて第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きの有無を判断したため、第1加熱ローラ21を加熱することなく、用紙Pの第1加熱ローラ21に対する巻き付きの発生を検知することができる。これにより、用紙Pが加熱されないため、用紙Pからの発火を防止することができ、防災上安全となる。
【0077】
また、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度を単純に比較するだけで巻き付きの有無を判断できるため、用紙Pの巻き付きの発生を簡単に検知できる。また、予め設定した基準値等と比較しないため、電源事情(入力電源)の相違や、加圧ローラ23の温度や、定着装置12周辺温度等の環境要因に影響されることなく、巻き付きの発生を検知できる。さらに、不定形サイズやサイズ幅が異なる用紙Pが混載された場合等であっても、用紙Pの種類やサイズに影響にもされることなく、用紙Pの巻き付きを検知できる。
【0078】
また、本実施形態では、緊急停止後の第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇し、且つ第2温度検知センサ26bの第2検知温度が低下したとき、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きが発生していると判断したため、第1及び第2検知温度の定着時に対する変化の相違がより明確となり、より確実に用紙Pの巻き付きの有無を判断することができる。
【0079】
しかし、緊急停止後の第1及び第2検知温度における定着時からの変化の相違に基づいて用紙Pの巻き付きの発生の有無を判断可能であれば、その判断方法は特に限定されず、用紙Pの種類、定着温度や環境条件等に応じて、予備実験等により適宜設定することができる。例えばその他、緊急停止後、第1温度検知センサ26aの検知温度が定着時から上昇し、且つ第2温度検知センサ26bの検知温度が定着時と略同じ温度の場合に用紙Pの巻き付きが発生したと判断することもできる。
【0080】
また、本実施形態では、緊急停止時からの監視時間Tmを、緊急停止後、第1温度検知センサ26aの第1検知温度がピークに達する時間Thまでの間で設定したため、緊急停止後、第1検知温度が上昇を続けている間に、第2検知温度との相違を比較することができる。これにより、早期に両者の定着時に対する変化の相違がより明確となり、より短時間且つ確実に用紙Pの巻き付きの発生の有無を判断することができる。しかし、かかる監視時間Tmは、第1及び第2検知温度の定着時に対する変化の相違を判断可能であれば特に限定されず、予備実験等により適宜設定することができる。
【0081】
また、本実施形態では、第2温度検知センサ26bを第1加熱ローラ21に巻き付いた用紙Pを挟んで第1加熱ローラ21の通紙領域の表面温度を検知可能な位置に配置したため、第2温度検知センサ26bの温度検知精度を高めることができる。また、第1及び第2温度検知センサ26a、26bを第1加熱ローラ21の幅方向(回転方向に対し垂直方向)に沿って配置したため、非通紙領域及び通紙領域の表面温度を、より精度良く検知することができる。
【0082】
しかし、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの配置は、印字時の第1加熱ローラ21の表面温度を検知して所定の定着温度に制御を可能にすると共に、第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きを検知可能な位置であれば特に限定されるものではなく、トナーの種類、第1加熱ローラ21の離型層の材質や曲率、その他装置構成等に応じて適宜設定することができる。
【0083】
なお、分離部材27を擦り抜けた用紙Pが第1加熱ローラ21に付着して該ローラと共に回転すると、用紙Pの先端が、第1加熱ローラ21の回転方向に対し加圧ローラ23とのニップ部から下流側に移動する程、用紙Pが反り返って湾曲するため、用紙Pが途中で第1加熱ローラ21から剥がれるおそれもある。
【0084】
従って、かかる観点を考慮して、第1加熱ローラ21表面の曲率や、巻き付いた用紙Pのコシの強さ等に応じて、第2温度検知センサ26bの配置を設定することもでき、例えば第1加熱ローラ21の回転方向に対し分離部材27の下流側近傍に配置することもできる。これにより、用紙Pの巻き付き発生の有無を、より確実に判断することができる。
【0085】
また、第1温度検知センサ26aと、第2温度検知センサ26bとは、第1加熱ローラ21の幅方向に沿って配置する必要はなく、両者を第1加熱ローラ21の回転方向に対し異なる位置に配置することもできる。また、本実施形態では、このような第1加熱ローラ21を用いたため、全表面が曲面から成り、巻き付きが生じやすい第1加熱ローラ21に対する用紙Pの巻き付きの発生の有無を判断できるため、効果的である。
【0086】
また、本実施形態では、用紙Pの巻き付きが発生したとき、第1加熱ローラ21を定着時とは逆方向に回転させたため、巻き付いた用紙Pの後端が定着装置12よりも用紙Pの搬送方向上流側に突出し、ユーザは用紙Pの後端を容易に確認し、掴むことができる。これにより、ユーザが巻き付いた用紙Pを取り出し易くなり、作業性を向上させることができる。
【0087】
かかる逆回転に要する時間は、巻き付いた用紙Pの後端が定着装置12のハウジング12aから上流側に突出し、ユーザが用紙Pの後端を確認し、該後端を掴んで引き抜くことが可能であれば特に限定されず、定着(印字)している用紙Pの搬送方向長さに応じて適宜設定することができる。
【0088】
また、ユーザにおける巻き付いた用紙Pの後端に対する確認し易さ、取り出し易さ等を考慮すれば、用紙Pの後端が、定着装置12から10cm〜20cm程度垂れ下がった状態になるまで第1加熱ローラ21を逆回転させることが好ましい。なお、第1加熱ローラ21を逆回転させる構成は、本発明の必須構成要素ではなく、逆回転させない構成とすることもできる。
【0089】
また、本実施形態では、用紙Pの巻き付きが発生したとき、制御部35が、巻き付きの発生を操作パネル36に表示することとしたため、ユーザに対し、用紙Pの巻き付きが発生したことを確実に知らせることがでる。これにより、ユーザが巻き付いた用紙Pを取り出す作業に素早く着手でき、作業性を向上させることができる。なお、かかる表示は、第1加熱ローラ21の逆回転と同時に行うことも、逆回転とは前後して行うこともできる。
【0090】
また、本実施形態では、用紙Pの巻き付きが発生していない場合には、搬送障害が発生した旨を操作パネル36に表示したため、ユーザに対し、搬送障害が発生していることを確実に知らせると共に、その搬送障害が用紙Pの巻き付きによって生じたものではないことを知らせることができ、搬送障害の原因究明の一助とすることが可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、第1加熱ローラ21と加圧ローラ23とを有する定着装置12を用いたが、本発明に係る画像形成装置に用いられる定着装置は、かかる定着装置12に特に限定されるものではない。
【0092】
図10は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる定着装置を示す模型的断面図である。図2と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。本実施形態に係る画像形成装置100は、図1の画像形成装置100において、図10に示す定着装置12を備えている。
【0093】
図10に示すように、定着装置12には、定着ローラ41と、第2加熱ローラ(第2の加熱ローラ)43と、定着ベルト45と、加圧ローラ23と、が設けられている。定着ローラ41は、例えば、アルミニウムからなる円筒形状の芯金上に、シリコンゴム等から成る弾性層が形成されている。ここでは、定着ローラ41を、ステンレス製の芯金とスポンジ状のシリコンゴム層の弾性層とから形成し、ローラ外径を32mmとした。
【0094】
定着ローラ41は、駆動装置51(図4参照)によって正逆回転可能に駆動されるようになっており、定着時には、用紙Pを搬送方向下流側(白抜き矢印方向)に搬送するよう、図の時計回りに回転する。また、その周速度が用紙Pの搬送速度と同じになるように回転する。かかる定着ローラ41の回転により、後述する定着ベルト45及び第2加熱ローラ43が回転する。
【0095】
第2加熱ローラ43は、例えば熱伝導性に優れたAl(アルミニウム)、Fe(鉄)、SUS(ステンレス)等から形成された芯金から構成されている。また、芯金としては、温度増加や低下等の温度変化が生じ易い低熱容量のものが好ましく、芯金の厚みが小さい方が好ましい。かかる芯金の厚みは、0.2mm〜1.5mmとすることができる。
【0096】
ここでは、第2加熱ローラ43を、外径21.5mm、厚み0.7mmのアルミニウム製の芯金とした。すなわち、第2加熱ローラ43の外径は、定着ローラ41の外径よりも小さく形成されている。芯金の内部には、ハロゲンヒーター等の第2熱源(第2の熱源)43aが設けられている。また、第2加熱ローラ43は、定着ローラ41が回転すると、後述する定着ベルト45から回転駆動力を受けて回転するようになっている。
【0097】
定着ベルト45は、無端状のベルトであって、例えば、圧延したNi(ニッケル)、SUS(ステンレス)等の金属基体表面上に、シリコンゴム、フッ素樹脂等からなる弾性層が形成されており、この弾性層の表面はフッ素樹脂等の離形性に優れた樹脂で覆われている。ここでは、定着ベルト45を、外径55mmのNi基体上に、厚さ0.3mmのシリコンゴム層を形成し、かかるシリコンゴム層の表面にPFA層を設けた。
【0098】
定着ベルト45は、定着ローラ41と第2加熱ローラ43との間に巻き掛けられ(加熱手段)、所定の張力が与えられており、定着ローラ41の回転と共に回転する。また、加圧ローラ23が、定着ベルト45を挟んで定着ローラ41と当接することで、用紙Pを挿通させるニップ部を形成する。なお、ここでは、加圧ローラ23を、ステンレス製の芯金とシリコンゴム層の弾性層とから形成し、ローラの外径を35mmとした。
【0099】
また、定着ベルト45の第2加熱ローラ43と接触する部分のうちベルト回動方向中央部よりも上流側近傍には、第1及び第2温度検知センサ26a、26bが設けられ、第1温度検知センサ26aは、定着ベルト45表面のベルト幅方向両端部において用紙Pの非通紙領域に当接し、第2温度検知センサ26bは、ベルト幅方向略中央部において用紙Pの通紙領域と対向する位置に所定の間隔を隔てて配置されている。
【0100】
また、分離部材27は、定着ローラ41と加圧ローラ23とのニップ部に対し用紙Pの搬送方向下流側(図の左側)に、定着ベルト45に隣接して設けられ、上記第1実施形態と同様、下流側の端部が引張りバネ29により付勢されることにより、上流側の端部が定着ベルト45表面に近接しており、これにより、定着ベルト45から用紙Pを分離することができるようになっている。ここでは、分離部材27と定着ベルト45との間に、上記と同様、0.3mmの隙間を形成した。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0101】
そして、用紙検知センサ17(図1参照)により定着装置12での搬送障害が検知されると、制御部35(図4参照)は、上記第1実施形態と同様に、搬送部11での用紙Pの搬送や画像形成部2の駆動等を停止すると同時に、定着装置12における定着ローラ41の回転及び第2加熱ローラ43の第2熱源43aへの通電(加熱)を停止する(緊急停止)。
【0102】
このとき、図10に示すように、定着ベルト45に対する用紙Pの巻き付きが発生していると、上記第1実施形態と同様に、緊急停止後の第1温度検知センサ26aでは第1検知温度が上昇し、第2温度検知センサ26bでは、定着ベルト45表面との間に介在する用紙Pが断熱材となって、定着ベルト45からの温度伝達が遮蔽されるため、第2検知温度が低下する。
【0103】
この様子を、図11に基づいて詳しく説明する。図11は、本実施形態の画像形成装置において、定着装置内で巻き付きが発生したときの、緊急停止による第1及び第2温度検知センサによる検知温度の時間推移を示すグラフである。なお、図11では、印字1枚目で定着ベルト45に巻き付きが発生したときの第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度の推移を示している。
【0104】
このため、上記した図8とは異なり、印字時において第2温度検知センサ26bの第2検知温度の方が第1温度検知センサ26aの第1検知温度よりも高くなっている。かかる場合であっても、印字枚数が増えるにつれて第1検知温度の方が第2検知温度よりも高くなり、図8と同様の挙動を示す。
【0105】
図11に示すように、印字開始前、制御部35(図4参照)により、定着ベルト45の表面は、通紙領域が略160℃となるように定着温度が制御されている。このとき、非通紙領域は略180℃となっている。また、図11において印字開始時を0msecとする。定着装置12での印字(定着)が開始されると(図中一点鎖線で示す)、加圧ローラ23や用紙Pとの当接により定着ベルト45表面の熱が奪われるため、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの検知温度は、一時的に低下するが、その後、制御部35による制御により、印字中に上記定着温度まで戻る。
【0106】
そして、印字1枚目の定着時であって印字開始から略24500msec経過後、定着ベルト45に対する用紙Pの巻き付きが発生し、用紙検知センサ17により定着装置12での搬送障害の発生が検知されると、制御部35は、緊急停止を実行する(図中破線で示す)。
【0107】
緊急停止後、第1温度検知センサ26aの第1検知温度が、緊急停止時から略8500msec(印字開始から略33000msec)まで上昇(図の右上向き矢印参照)を続けた後、かかる略8500msecから略39000msec(印字開始から略63500msec)までは最高温度(ピーク)を示す。すなわち、第1検知温度がピークに達する時間Thは、緊急停止時から略8500msecとなる。その後、第1検知温度が低下するものの、図11に示す時間内では、いずれの時点においても印字時(定着時)よりも第1検知温度は高かった。
【0108】
一方、第2温度検知センサ26bでは、緊急停止後、第2検知温度が低下する(図の右下向き矢印参照)。なお、緊急停止時から略8000msec〜略9000msec(印字開始から略32500msec〜略43500msec)において一旦温度が上昇するも、図11に示す時間内では、いずれの時点においても印字時よりも第2検知温度は低かった。
【0109】
この結果、定着ベルト45に対する用紙Pの巻き付きが発生し、これにより用紙検知センサ17が搬送障害を検知し、制御部35が緊急停止を行うと、緊急停止後、第1温度検知センサ26aの第1検知温度が上昇し、且つ第2温度検知センサ26bの第2検知温度が低下した。
【0110】
また、緊急停止時から第1温度検知センサ26aの第1検知温度がピークに達する時間Th(略8500msec)が経過するまでの間で、監視時間Tmを設定し、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度を比較することにより、より短時間且つ確実に定着ローラ41に対する用紙Pの巻き付きの発生を検知できることがわかった。かかる監視時間Tmは、図11より、例えば3000msecとすることができる。
【0111】
このように、本実施形態においても、緊急停止後、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの第1及び第2検知温度の定着時に対する変化の相違に基づいて、定着ベルト45に対する用紙Pの巻き付きの発生の有無を判断することができる。また、かかる巻き付きを検知した場合、上記第1実施形態と同様、定着ベルト45を印字中(定着時)とは逆回転させることにより、用紙Pの搬送方向(図10の白抜き矢印方向)に対し、用紙Pの後端を定着装置12(図1参照)の上流側に突出させることができる。
【0112】
また、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、第1及び第2温度検知センサ26a、26bの配置は、用紙Pの巻き付きの発生の有無を検知可能であれば特に限定されない。但し、本実施形態では、定着ローラ41及び第2加熱ローラ43に定着ベルト45を張架したため、定着温度を精度良く制御するという観点から、第2温度検知センサ26bを、定着ベルト45のうち第2加熱ローラ43との当接部分と対向する位置に配置することが好ましい。
【0113】
また、分離部材27を擦り抜けた用紙Pは、定着ベルト45の回転方向(図10の時計回り方向)に対し定着ローラ41の下流側且つ第2加熱ローラ43の上流側(図10の左側)においては、定着ベルト45の略平らな部分に付着しているため、定着ベルト45から比較的剥がれ難い。しかし、定着ベルト45と第2加熱ローラ43との当接部分に到達すると、第2加熱ローラ43の方が定着ローラ41よりも外径が小さく、すなわち曲率が大きいため、用紙Pは定着ベルト45から剥がれ易くなる。
【0114】
従って、かかる観点を考慮すれば、定着ベルト45を用いる場合には、本実施形態に示すように、第2温度検知センサ26bの配置を、定着ベルト45における第2加熱ローラ43との当接部分のうち定着ベルト45の回転方向中央部よりも上流側と対向するように配置することが好ましい。また、当該当接部分のうち定着ベルト45の回転方向上流側端部近傍と対向する位置に配置することが、さらに好ましい。
【0115】
また、本実施形態では、このように定着ベルト45を用いたため、回転軌跡において平らな部分と曲率部分とが並存する定着ベルト45を用いても、該定着ベルト45に対する用紙Pの巻き付きの有無を判断することができるため、効果的である。
【0116】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、第1温度検知センサ26aとして接触式のサーミスタを用いたが、第1温度検知センサ26aを非接触式のサーミスタとすることもできる。また、上記実施形態では、分離部材27を設けたため、用紙Pの巻き付き検知がより効果的となるが、用紙Pの第1加熱ローラ21または定着ベルト45への付着し易さに応じて分離部材27を設けない構成とすることもできる。
【0117】
また、本発明が適用できる画像形成装置は、カラー用、モノクロ用の如何を問わず、デジタル複写機や、アナログ複写機、レーザビームプリンタなど、種々の画像形成装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、搬送路に、定着装置での記録媒体の搬送障害を検知する搬送障害検知手段を設け、制御手段が、搬送障害検知手段が搬送障害を検知したとき、加熱手段の加熱及び回転の停止を実行し、停止後の第1及び第2の検知温度の定着時に対する変化の相違に基づいて、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの発生の有無を判断するものである。
【0119】
これにより、定着装置内の加熱手段を加熱することなく加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの発生を検知できるため、防災上、より安全な装置構成となり、作業者の防災対策に対する負担を軽減することができる。また、停止時から所定時間経過後、定着時に対して第1の検知温度が上昇し、且つ第2の検知温度が低下したとき、巻き付きが発生したと判断することにより、加熱手段に対する記録媒体の巻き付きを、より確実に検知でき、所定時間を、停止時から定着時に対する第1の検知温度の上昇がピークに到達するまでの間で設定することにより、記録媒体の巻き付きを、より短時間且つ確実に検知できる。
【0120】
また、第2の温度検知手段を、加熱手段に巻き付いた記録媒体を挟んで通過領域の表面温度を検知可能な位置に配置することにより、第2の温度検知手段による温度検知精度を高めることができる。また、表示手段を設け、制御手段が、巻き付きが発生したと判断したとき、巻き付きの発生を表示手段に表示することにより、ユーザの作業性を向上させることができる。また、制御手段が、巻き付きが発生したと判断したとき、加熱手段を定着時とは逆方向に回転させることにより、ユーザの作業性を向上させることができる。
【0121】
また、加熱手段を、内部に第1の熱源を有する第1の加熱ローラとすることにより、効果的となる。また、加熱手段を、内部に第2の熱源を有する第2の加熱ローラと、定着ローラと、第2の加熱ローラ及び定着ローラに張架されて回転可能な定着ベルトと、から構成し、加圧手段が、定着ベルトを介して定着ローラに当接してニップ部を形成することにより、効果的となる。また、加圧手段を加圧ローラとすることにより、加熱手段の損傷や回転に及ぼす影響を減らすことができる。
【符号の説明】
【0122】
11 搬送部(搬送路)
12 定着装置
17 用紙検知センサ(搬送障害検知手段)
21 第1加熱ローラ(第1の加熱ローラ、加熱手段)
21a 第1熱源(第1の熱源)
23 加圧ローラ(加圧手段)
26a 第1温度検知センサ(第1の温度検知手段)
26b 第2温度検知センサ(第2の温度検知手段)
27 分離部材
29 引張りバネ
34 記憶部
35 制御部(制御手段)
36 操作パネル(表示手段)
41 定着ローラ(加熱手段)
43 第2加熱ローラ(第2の加熱ローラ、加熱手段)
43a 第2熱源(第2の熱源)
45 定着ベルト(加熱手段)
51 駆動装置
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送するための搬送路と、
回転可能な加熱手段と該加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段とを有し、前記搬送路を搬送される記録媒体を、前記加熱手段が所定方向に回転しながら前記ニップ部に挿通させて記録媒体にトナー像を定着する定着装置と、
前記加熱手段の表面における記録媒体の非通過領域の温度を検知する第1の温度検知手段と、通過領域の温度を検知する第2の温度検知手段と、
前記第1及び第2の温度検知手段による第1及び第2の検知温度に基づいて、定着時における前記加熱手段の表面を所定の定着温度に制御可能な制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記搬送路には、前記定着装置での記録媒体の搬送障害を検知する搬送障害検知手段が設けられ、
前記制御手段は、前記搬送障害検知手段が前記搬送障害を検知したとき、前記加熱手段の加熱及び回転の停止を実行し、前記停止後における前記第1及び第2の検知温度の前記定着時に対する変化の相違に基づいて、前記加熱手段に対する記録媒体の巻き付きの発生の有無を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記停止時から所定時間経過後、前記定着時に対して前記第1の検知温度が上昇し、且つ前記第2の検知温度が低下したとき、前記巻き付きが発生したと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定時間は、前記停止時から前記第1の検知温度の上昇がピークに到達するまでの間で設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の温度検知手段は、前記加熱手段に巻き付いた記録媒体を挟んで前記通過領域の温度を検知可能な位置に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
表示手段が設けられ、前記制御手段が、前記巻き付きが発生したと判断したとき、前記巻き付きの発生を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記巻き付きが発生したと判断したとき、前記加熱手段を前記定着時とは逆方向に回転させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、内部に第1の熱源を有する第1の加熱ローラであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、内部に第2の熱源を有する第2の加熱ローラと、定着ローラと、前記第2の加熱ローラ及び前記定着ローラに張架されて回転可能な定着ベルトと、から構成され、
前記加圧手段は、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに当接して前記ニップ部を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記加圧手段は、加圧ローラであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−69984(P2011−69984A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220827(P2009−220827)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】