説明

画像形成装置

【課題】記録材の種類によらずに光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置Aは、光沢処理手段20により加熱する処理領域における有色トナー像のトナー量が所定量未満の部分にトナー量が該所定量以上となるように透明トナー像を形成するように透明トナー像形成手段が形成する透明トナー像のトナー量を調整する調整手段500と、光沢処理手段20により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が第1の種類の記録材Sに形成される場合と第2の種類の記録材に形成される場合とで上記所定量を変更する透明トナー量変更手段500と、透明トナー量変更手段が上記所定量を変更する場合に処理領域の光沢処理手段による加熱量を変更する加熱量変更手段500と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、又はこれら各機器の機能を備えた複合機などの電子写真方式又は静電記録方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置が広く知られている。白黒の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成を行うものも多く商品化されている。又、画像形成装置が様々な分野で使用されるのに伴い、画質に対するニーズも益々高まっている。
【0003】
画像の品位を向上させる要素の1つとして光沢表現の付与が求められている。具体的には、出力物の面内に光沢の低い部分と高い部分を混在させることや、出力物の画像全面を一様に高光沢に仕上げることが求められている。
【0004】
例えば、文字情報を構成する画像は光沢を低くして読みやすくし、写真やイラストなどの階調画像は光沢を高くして見栄えを良くすることや、階調画像の中でも部分的に光沢が高い部分を形成して強調した表現にするといった用途が考えられる。又、成果物の用途によって全体が低光沢で落ち着きのある表現としたり、全体が高光沢で写真調の表現としたりする用途が考えられる。
【0005】
このようなニーズに対して、特許文献1には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに加えて透明トナーを使用して画像形成する装置が開示されている。この装置は、有色画像の反転領域に透明トナー像を形成することで各画像濃度において均一で光沢差の少ない画像を形成するものである。
【0006】
又、表面を高光沢処理する光沢処理装置として、特許文献2には、次のような装置が開示されている。即ち、形成したトナー像を定着器で定着後、下流の平滑化装置に送って高光沢表面のベルトに記録材を密着させて搬送しつつ、トナー像を加熱して溶融する。ベルトに密着状態で記録材を搬送する過程で冷却装置に通し、トナー像を冷却してから記録材をベルトから剥離させて取り出す。これによってトナー像表面が高光沢表面のベルトの光沢面に倣うことで、平滑性の有る高光沢な面が得られる。記録材をベルトから剥離させる前の過程で冷却装置に通して冷却する意味は、定着ローラにトナーが裏移り(オフセット)して、記録材の表面が粗く凹凸化してしまうのを防ぐためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−200551号公報
【特許文献2】特開平4−362679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されるような技術で高光沢処理する場合に、記録材の種類によっては濃度域全域が均一な高グロスにならない場合があるという課題があった。
【0009】
従来の高温分離定着方式による画像形成装置では、定着後のトナー像は、その光沢度が概ね20°光沢度(JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法)で5〜20程度の低光沢度画像である。有色画像の反転領域に透明トナー像を形成することで、記録材上の有色トナーが無い領域を透明トナーで被覆することにより、画像全域がトナーの光沢度になる。
【0010】
一方、特許文献2に記載されるような冷却分離方式で高グロス処理する場合には、トナー像の表面に凹凸があることによって高光沢表面とトナー像面の密着ムラとなる場合がある。その場合には、高光沢表面と密着した領域は高光沢になり、密着しなかった領域は元の光沢度のままになる。
【0011】
このとき、グロスコート紙のように記録材の表面性が高い場合には、トナー像表面も平滑になるので密着ムラはほとんど起こらない。定着後の20°光沢度が10〜20程度であるのに対して、高光沢処理後に60〜80程度の高光沢が得られる。
【0012】
しかしながら、上質紙のように記録材の平滑度が低い場合には、透明トナー像を形成した後のトナー像の表面にも記録材の表面の凹凸状態が現れる場合がある。そのため、処理後に得られる光沢度はトナー量の増加とともに高くなるため、均一な光沢度になりにくいという課題がある。又、その結果、処理後に得られる光沢度は、密着ムラ領域が多くなるほど低くなることが判った。
【0013】
例えば、上質紙の場合に、定着後の20°光沢度が5程度であるのに対して、高光沢処理後の光沢度はトナー量が少ない(例えば画像濃度100%)領域では30程度、トナー量が多い(画像濃度200%)領域では50程度になり、均一な光沢度になりにくい。
【0014】
又、トナー量の多い領域の光沢度の上がり過ぎを抑えるために、光沢処理の加熱量を小さくすることも考えられる。しかしながら、その場合には、光沢処理をしていない領域(未処理領域)と光沢処理をした領域(光沢処理領域)との光沢差が小さくなってしまい、そもそもの効果が薄れてしまうことがある。
【0015】
従って、本発明の目的は、記録材の種類によらずに光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、有色トナーを用いて記録材に有色トナー像を形成する有色トナー像形成手段と、透明トナーを用いて記録材に透明トナー像を形成する透明トナー像形成手段と、記録材に形成された有色トナー像及び透明トナー像を加熱することで該記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段により有色トナー像及び透明トナー像が定着されている記録材の面に接触して該面を加熱する光沢処理手段と、前記光沢処理手段により加熱する処理領域における有色トナー像のトナー量が所定量未満の部分にトナー量が該所定量以上となるように透明トナー像を形成するように前記透明トナー像形成手段が形成する透明トナー像のトナー量を調整する調整手段と、前記光沢処理手段により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が第1の種類の記録材に形成される場合と第2の種類の記録材に形成される場合とで前記所定量を変更する透明トナー量変更手段と、前記透明トナー量変更手段が前記所定量を変更する場合に前記処理領域の前記光沢処理手段による加熱量を変更する加熱量変更手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録材の種類によらずに光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置が備える光沢処理装置の模式的な断面図である。
【図4】サーマルヘッドの構成の一例を示す模式図である。
【図5】サーマルヘッドの駆動回路の一例の概略図である。
【図6】印刷と表面処理の動作に係る動作手順を説明するための模式図である。
【図7】グロスコート紙を用いた場合の各サンプルの光沢度の測定結果を示すグラフ図である。
【図8】上質紙を用いた場合の各サンプルの光沢度の測定結果を示すグラフ図である。
【図9】サーマルヘッドの加熱量制御方法の一例を説明するための説明図である。
【図10】操作部の画面の一例を示す模式図である。
【図11】操作部の画面の一例を示す模式図である。
【図12】操作部の画面の一例を示す模式図である。
【図13】本発明に従う印刷と光沢処理の動作の流れの概略を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0020】
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体的な構成及び動作について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置Aの模式的な断面図である。図2は、画像形成装置Aの機能ブロック図である。
【0022】
本実施形態の画像形成装置Aは、複写機能とプリンタ機能を備えたカラー複合機である。画像形成装置Aは、画像形成装置本体100と、光沢処理装置20とを有している。画像形成装置本体100は、中間転写方式のフルカラー画像形成手段、定着手段などを有している。光沢処理装置20は、画像形成装置本体100に着脱可能なオプションユニットとしてもよいし、画像形成装置本体100と一体としてもよい。
【0023】
1−1.画像形成装置本体
画像形成装置Aは、画像形成装置本体100に、普通紙やコート紙などの記録材(シート)Sに可視像化されたトナー像を形成する画像形成プロセス機器を有する。画像形成装置本体100の上方には画像読取装置300が配置されている。画像読取装置300は、複写する原稿の画像情報を読み取る。画像読取装置300で読み取られた原稿の画像情報は画像処理され、画像処理されたデータに応じて後述する露光ユニット3が制御される。画像読取装置300の側方には操作部400が設けられ、操作者はその操作部400を操作して画像形成モードなど各種の設定や指示を入力する。操作者による選択や指示の情報信号に基づいて、CPU(中央演算処理装置)などで構成されるコントローラ500は、画像形成に関わる各種のプロセス機器、定着器10、そして光沢処理装置20などからなる画像形成装置の全体を統合して制御する。
【0024】
画像形成装置本体100内には、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4、第5の画像形成部(ステーション)PT、PY、PM、PC、PKが設けられている。第1、第2、第3、第4、第5の画像形成部PT、PY、PM、PC、PKは、それぞれT(透明)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を形成する。本実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5の画像形成部PT、PY、PM、PC、PKは水平方向に並設されている。本実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5の画像形成部PT、PY、PM、PC、PKの構成及び動作は、現像剤としてのトナーの色が異なる点を除いては実質的に同一である。従って、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部の要素であることを表す符号の添え字T、Y、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
【0025】
画像形成部Pには、像担持体としてのドラム形状の感光ドラム1が回転自在に軸支されている。感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、画像露光手段としての露光ユニット3、現像手段としての現像器4などのプロセス手段が配置されている。更に、一次転写手段としての一次転写ローラ6、クリーニング手段としてのクリーナ5が設置されている。
【0026】
又、感光ドラム1と接するようにして中間転写体としての中間転写体ベルト71が回転可能に設置されている。中間転写体ベルト71は、従動ローラ72、二次転写対向ローラ73、駆動モータによって駆動される駆動ローラ74の各ローラ間に掛け渡されている。
【0027】
一次転写ローラ6は、中間転写体ベルト71を挟んで感光ドラム1の対向位置に配置されている。一次転写ローラ6は中間転写ベルト71を介して感光ドラム1に押圧され、中間転写ベルト71と感光ドラム1との接触部に一次転写部N1を形成している。従動ローラ72はテンションローラを兼ねており中間転写ベルト71に所要の張力を付与する機能を担っている。二次転写対向ローラ73は、中間転写体ベルト71を挟んで二次転写手段としての二次転写ローラ9に対向して配置されている。二次転写ローラ9は中間転写ベルト71を介して二次転写対向ローラ73に押圧され、二次転写ローラ9と中間転写ベルト71との接触部に二次転写部N2を形成している。二次転写部N2の下流にはクリーニング手段としてのクリーナ75が設置されている。又、二次転写対向ローラ73には、二次転写時に高圧電源から二次転写バイアス電圧が印加される。
【0028】
中間転写体ベルト71の下方には、記録材Sを積載して収容するカセット31が設置されていて、記録材Sを1枚ずつ分離して搬送するためのピックアップローラ32が設置されている。ピックアップローラ32によって繰り出された記録材Sは複数の搬送ローラ対33を経てレジストローラ8に向けて搬送される。レジストローラ8は、中間転写体ベルト71上のトナー像が二次転写部N2に突入するタイミングと、記録材Sが二次転写部N2に突入するタイミングとが合致するように、記録材Sの送出タイミングを制御する機能を担っている。
【0029】
画像形成装置本体100におけるプロセス機器は、いずれもほぼプロセス速度100mm/秒で動作(回転)する。尚、露光ユニット3は感光ドラム1がプロセス速度で回転するのに対応して露光走査速度が設定されている。
【0030】
フルカラー画像形成時を例に、画像形成動作を説明する。先ず、図1において反時計回り方向に回転する感光ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。帯電した感光ドラム1の表面に対して、露光ユニット3から画像信号に応じてレーザ光が照射される。これにより、感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像が現像器4によって現像剤としてのトナーが付着させられることによりトナー像とされる。感光ドラム1に形成されたトナー像は一次転写ローラ6に一次転写バイアスが印加されることによって、中間転写体ベルト71に一次転写される。中間転写ベルト71は、駆動ローラ74によって図1において時計回り方向に回転する。
【0031】
以上の工程が各画像形成部Pごとに行われ、透明、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が互いに重畳されるようにして中間転写体ベルト71上に一次転写される。即ち、各画像形成部Pによって形成された透明、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は中間転写体ベルト71に重ねて転写され、それによってカラー画像が形成される。続いて、二次転写対向ローラ73に二次転写バイアスが印加され、中間転写体ベルト71上のトナー像は二次転写部N2に送り込まれた記録材Sに一括して二次転写される。このようにしてカラー画像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着器10に向けて搬送され、ここでトナー像の定着処理を施される。
【0032】
本実施形態では、トナーとして、有色トナーとしてのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色材と樹脂とで主に構成される有色トナーと、色材を含まない樹脂主体の透明トナーとを用いた。本実施形態では、有色トナーは、樹脂と顔料とを主成分とする微粉体であり、又透明トナーは顔料を含まない樹脂を主成分とする微粉体である。本実施形態では、トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂を用いた。又、透明トナーとしては、光透過性が高く、着色剤が実質的に入らない樹脂から成る、実質的に無色であり、少なくとも可視光を実質的に散乱することなく良く透過する粒子を好適に用いることができる。但し、透明トナーは、定着後に上述のように実質的に無色透明となるものであれば好適に用いることができ、定着前には無色透明でなくてもよく、例えば集合したときに白色に見えるようなものであっても構わない。
【0033】
定着器10について更に説明する。図1に示すように、記録材Sの搬送方向において二次転写部N2の下流側に、定着器10が配置されている。
【0034】
定着器10は、定着ローラ11、加圧ローラ12を備える。定着ローラ11と加圧ローラ12とは、互いに圧接して定着ニップ部を形成する。定着ローラ11と加圧ローラ12と間の加圧力は総圧50kgとされている。定着ローラ11は、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)など金属製の中空芯金上に弾性層としてのゴム層、トナー離型層としてのフッ素樹脂層が積層された積層体として構成され、中空芯金の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが設置されている。加熱源としては、例えば電磁誘導加熱を利用したIH方式なども使用可能である。定着ローラ11は、駆動ギア列を介して駆動モータに接続されていて、この駆動モータから出力された回転動力によって回転する。加圧ローラ12は、定着ローラ11と同じく中空芯金上に弾性層としてのゴム層、トナー離型層としてのフッ素樹脂層を積層した積層体であり、中空芯金の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが設置されている。この加熱源には上記電磁誘導加熱を使ったIH方式も利用可能である。加圧ローラ12は、定着ローラ11に従動して回転する。
【0035】
定着ローラ11と加圧ローラ12の表面近傍には、それぞれの温度を検出する検出手段としてのサーミスタが装着されている。定着ローラ11と加圧ローラ12の内部のハロゲンヒータへの通電オン/オフなどは上記サーミスタから出力された温度検出信号に基づいてコントローラ500で制御される。本実施形態の場合、定着ローラ11の定着温度は150℃に、加圧ローラ12の定着温度は100℃にそれぞれ設定され、かかる定着温度を維持すべくコントローラ500の制御で温調される。
【0036】
定着器10では、二次転写部N2から搬送されてきた記録材S上のトナー像を定着ニップ部にて加熱及び加圧することによって定着させ、定着工程の処理を行う。
【0037】
定着器10の定着ニップ部から送り出される記録材Sの温度、つまり記録材Sがローラ表面から剥がれ始める「記録材剥離温度」は、例えば約90〜110℃の高温度に維持されている。即ち、本実施形態の定着器10は、記録材Sが定着ニップ部を通過し終えた直後、高温度を保持したままで定着器10から記録材Sが離間し始める「高温剥離方式」である。
【0038】
尚、本実施形態の定着器10は定着ローラ11と加圧ローラ12によるローラ対で構成したものを説明したが、定着側と加圧側の少なくともいずれか一方をローラ部材で他方をエンドレス状のベルトで構成できる。
【0039】
1−2.光沢処理装置
図1に示すように、記録材Sの搬送路に沿って定着器10の下流側には、表面処理手段としての光沢処理手段である光沢処理装置20が配置されている。
【0040】
操作者の操作によって、記録材Sに所要の高光沢画像を出力するために光沢モードが選択されると、その光沢モード指示信号に基づいてコントローラ500から作動信号が出力されて、光沢処理装置20に送信される。光沢処理装置20の作動オンに同期して、高温状態で定着器10を出た記録材Sは、光沢処理装置20に向かって搬送される。本実施形態では、光沢処理装置20は、搬送されてきた記録材Sを冷却し、記録材Sの画像面を平滑化させて画像の高光沢化を図る冷却剥離方式として構成されており、表面処理工程として光沢処理工程を実行する。
【0041】
光沢処理装置20は、サーマルヘッド21、高光沢表面を有するフィルム23、フィルム23との間でニップ部を形成するプラテンローラ22、冷却分離部材(以下、単に「分離部材」ともいう。)25などを配置して構成されている。
【0042】
更に説明すると、図3は、光沢処理装置20の模式的な断面図である。本実施形態では、光沢処理装置20は、画像形成装置本体100によって熱溶融性のトナーで画像が形成された記録材Sを被処理媒体として、その表面の表面性状を制御する処理(表面処理)として光沢を付与する光沢処理を行う。光沢処理装置20は、記録材Sの搬送経路を挟んで対向して配置される、加熱手段としての接触型の局所加熱装置であるサーマルヘッド21と、支持部材としてのローラ型のプラテンであるプラテンローラ22と、を有する。プラテンローラ22は、サーマルヘッド21が後述するフィルム23及び記録材Sを介して押圧される際の下支えとなると共に、記録材Sを搬送する。サーマルヘッド21は、後述する処理領域情報に応じて選択的に発熱する。
【0043】
光沢処理装置20は更に、サーマルヘッド21によって記録材Sに押圧されると共に選択的に加熱されるフィルム23と、フィルム23の供給手段としての供給軸26と、フィルム23の巻き取り手段としての巻き取り軸27と、を有する。巻き取り軸27は、駆動源としての巻き取り軸駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。巻き取り軸駆動モータは、フィルム23を供給軸23から巻き取り軸27に巻き取る方向に巻き取り軸27を回転駆動することができる。このとき、供給軸26は、フィルム23を巻き取り軸27へと供給する方向に回転可能とされる。尚、供給軸26を上記方向とは逆方向に回転させる方向に付勢してフィルム23のたるみを防止するための付勢手段を設けてもよい。
【0044】
ここで、フィルム23の記録材Sに接触する側の面を表面、その反対側の面を裏面とする。又、記録材Sのフィルム23が接触する側の面を表面、その反対側であるプラテンローラ22に接触する側の面を裏面とする。
【0045】
光沢処理装置20は更に、フィルム23の裏面側に接触するように設けられた、テンションローラ24と分離部材(分離ローラ)25とを有する。供給軸26、巻き取り軸27、プラテンローラ22、テンションローラ24及び分離部材25の回転軸線方向は略平行である。フィルム23は、供給軸26から引き出され、テンションローラ24の外周の一部に掛け回されて、サーマルヘッド21とプラテンローラ22とによる押圧部(ニップ)である処理部Gに案内される。そして、フィルム23は、処理部Gを通過して、分離部材25の外周の一部に掛け回されて、巻き取り軸27に案内され、巻き取り軸27によって巻き取られる。このフィルム23の搬送方向を順方向とする。フィルム23の搬送方向は、供給軸26、巻き取り軸27、プラテンローラ22、テンションローラ24及び分離部材25の回転軸線方向と略直交する。記録材Sの光沢処理を行うとき、処理部Gにおけるフィルム23と記録材Sの搬送方向は同方向である。テンションローラ24は、フィルム23のテンションを調節する。分離部材25は、サーマルヘッド21によって加熱され押圧されたフィルム23と記録材Sとを分離する。テンションローラ24、分離部材25は、フィルム23の搬送に伴って回転する。
【0046】
光沢処理装置20は更に、記録材Sの搬送方向において処理部Gの上流側に、処理を行う前に記録材Sの姿勢を整える、互いに押圧されたローラ対であるレジストローラ対28を有する。レジストローラ対28は、駆動源としてのレジストローラ駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。レジストローラ対28は、記録材Sの斜行を補正した後、その記録材Sを処理部Gに搬送する。記録材Sは、回転が停止されているレジストローラ対28の接触部(ニップ)にその搬送方向の先端が突き当たることで斜行が補正される。
【0047】
光沢処理装置20は更に、記録材Sの搬送方向において処理部Gの下流側に、互いに押圧されたローラ対である搬送ローラ対29を有する。搬送ローラ対29は、処理後の記録材Sを光沢処理装置20の外部の排出トレイ(或いは後処理工程)へと搬送する。
【0048】
更に、光沢処理装置20には、記録材Sの搬送方向においてレジストローラ対28の下流側、且つ、テンションローラ24の上流側に、記録材Sの有無を検知する記録材センサDが設けられている。記録材センサDにより、搬送中の記録材Sを検知することができる。
【0049】
本実施形態では、記録媒体Sは画像形成装置本体100から光沢処理装置20の内部に一枚ずつ搬送される。記録媒体Sは、レジストローラ対28の位置まで搬送され、斜行補正されるために一旦停止する。その後、レジストローラ対28が駆動されて、記録材Sの搬送が再開されると、記録材Sの搬送方向の先端が記録材センサDによって検知される。そして、記録材Sが記録材センサDを通過するタイミングに合わせて、サーマルヘッド21を駆動するタイミングが制御される。記録材Sは、発熱抵抗体を直線的に並べたサーマルヘッド21とプラテンローラ22とでニップが形成されている処理部Gに搬送される。処理部Gにおいては、記録材Sの搬送経路を挟んで、プラテンローラ22と、処理領域情報に応じて選択的に発熱するサーマルヘッド21とが対向している。そして、サーマルヘッド21の下方にはフィルム23、更にその下方に記録材Sが搬送される。フィルム23は、サーマルヘッド21とプラテンローラ22により、記録材Sと共に挟持されて搬送される。サーマルヘッド23は、発熱抵抗体を処理領域情報により決定された加熱パターンにより選択的に加熱可能であり、フィルム23と記録材Sをプラテンローラ22との間に挟持して搬送しながら、記録材S上のトナー像を再溶融させる。記録材Sの搬送方向においてサーマルヘッド21の下流側の分離部材25により形成される分離部において、フィルム23は記録材Sから分離される。この時、記録材Sは十分に冷却されているため、記録材Sの表面のトナー像は、フィルム23の表面性が転写された状態で固化し、記録材Sの表面に所望の光沢を付与することができる。
【0050】
巻き取り軸27は、記録材Sの搬送に伴って搬送されるフィルム23を巻き取り、同時に分離部でフィルム23と記録材Sを分離するために必要なテンションを発生させている。尚、サーマルヘッド21は、通常時はプラテンローラ22から離間した状態で待機させることができる。そして、サーマルヘッド21を、記録材Sの処理領域の開始位置が処理部Gに到達するタイミングに合わせてプラテンローラ22に押圧し、処理領域の終了位置が処理部Gを通過した後にプラテンローラ22から離間ささせることができる。この場合、巻き取り軸27は、サーマルヘッド21がプラテンローラ22に押圧されると駆動され、離間されると停止するようにすることができる。
【0051】
光沢処理が施された後の記録材Sは、搬送ローラ対29によって光沢処理装置20の外部の排出トレイへと排出される。
【0052】
本実施形態の光沢処理装置20によれば、記録材Sの上半分といった写真領域の処理はもちろん、見出し文字や、印刷内容に合わせて任意の形や領域について部分的に光沢処理を行うことができる。
【0053】
次に、フィルム(転写フィルム)23について説明する。フィルム23の本体を形成する基材にはポリイミドなどの熱硬化性樹脂やPETなどの耐熱性樹脂、金属などを使用できる。基材上にトナー離型層としてシリコーン樹脂層が形成されている。
【0054】
フィルム23は供給軸26に所望の長さ巻き取られて蓄えられており、必要に応じて巻き取り軸27により巻き取ることにより、処理部Gに供給される。フィルム23は、記録材Sの表面を局所的に加熱するために、薄い可撓性材料で構成することが望まれる。この観点から、フィルム23の厚さは40μm以下が望ましい。フィルム23の厚さは、光沢処理の観点からは2μmまで薄くすることが可能であるが、強度の観点からは4μm以上が好ましい。更に、光沢処理において、写真調の写像性に優れた表面性得るために、フィルム23はある程度の剛度を持つことが有効であり、下記のような材質においては8μm以上が好ましい。又、材質については、サーマルヘッド21に対する耐熱性が必要である。ポリイミドなど200度を超える耐熱性を有する材質が望ましい。しかし、加熱履歴は残るが、PET(ポリエチレンテレフタラート)など一般的な樹脂フィルムも使用可能である。
【0055】
具体的なフィルムとして、次のフィルムのいずれかを用いた。
(1)PETフィルム 厚さ8μm
(2)PETフィルム+離型コーティング 厚さ9μm
【0056】
上記(2)のフィルム23において、その表層(記録材Sに接触する面)には、離型コーティングを施してある。この機能層は、低表面エネルギーのコーティング層であり、フィルム23と記録材Sの表層の樹脂の離型性を向上するために施している。フィルム23の表面の形状を記録材Sの表面に転写するにあたっては、フィルム23の形状を如何に正確に転写するかという観点から、スムーズに離型することが望ましい。これらの組成としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いることができる。又、形成方法については、本例ではコーティングを用いているが、形成方法については、コーティングに限ることはなく、あくまで転写すべき表面性を形成できることが重要となる。本例では、写真用の平滑な面を作るため、ベースフィルムにコーティングにより平滑面を作成している。
【0057】
又、上記(1)、(2)のフィルム23のいずれの裏面(サーマルヘッド21と摺動する面)にも、スティック防止層を設けている。サーマルヘッド21との機械的摩擦を低減するために施している。上述の離型コーティングに近い特性が要求されるため、具体的には、離型層と同様のフッ素樹脂、シリコーン樹脂などによるコーティングが有効である。
【0058】
フィルム23は、その表面形状(表面性状)を記録材Sに転写するため、高光沢の平滑フィルムであれば、高光沢な写真調の光沢表面に処理することが可能になる。又、逆に、サンドブラストなどによるマットフィルムを使用するか或いは特定の形状を施したフィルムを使えば、その形状の反転形状を記録材Sに転写することが可能である。例えば、絹目や和紙や、エンボス紙に有るような様々な風合いの形状を転写することが可能である。又、幾何学模様を施すことも可能であり、格子など様々な風合いを転写することが可能である。又、更に1μmからサブμmオーダーの幾何学構造を作ることによりホログラム色を呈する表面を転写することが可能である。本実施形態の光沢処理装置20は、部分的に処理が可能であるため、これらのフィルム23から種類の異なるフィルム23を複数備えて、必要な場所にのみさまざまな形状やホログラム色を処理することが可能である。
【0059】
本実施形態では、フィルム23のサイズは、その搬送方向と略直交する方向の幅が320mm〜350mm程度のものを使用し、サーマルヘッド21の同方向の幅も同等の幅を持つものを使用する。これにより、A3サイズ程度までの様々なサイズの記録材Sに対応することが可能である。又、本実施形態では、フィルム23は、その表面が平滑で、記録材Sに光沢を付与するためのものであるものとする。又、本実施形態では、フィルム23は、熱可塑性フィルムから成り、その薄さから、一度使用すると、加熱部分にしわが発生し、再利用することはできない。
【0060】
次に、サーマルヘッド21の基本構成及び基本仕様について説明する。図4は、特に、サーマルヘッド21の発熱体の構成の概略図を示す。サーマルヘッド21は、アルミナなどを用いた基板211に印刷されたグレーズ212(保温層)上にコモン(共通)電極213a、リード(個別)電極213bを形成すると共に、これらの各電極の上面に発熱抵抗体215を形成して構成されている。更に、上記基板211、保温層212、各電極213a、213b及び発熱抵抗体215の上面に、保護膜214(オーバーコート層)が形成されている。又、サーマルヘッド21には、発熱体に選択的に電力を印加して発熱させるための駆動回路220(図5)が接続されている。更に、サーマルヘッド21には、記録材Sに熱を与えた後の余分な熱を放熱させる放熱板などの部材が設けられている。サーマルヘッド21は、記録材Sの搬送方向と略直交する方向に沿って直線状に配列された複数の発熱体(加熱部)を有し、その配列方向において異なる領域を選択的に加熱することでフィルム23を介して記録材Sの面を加熱することができる。
【0061】
本実施形態で使用したサーマルヘッド21は、発熱体密度300dpi、記録密度(処理密度)300dpi、駆動電圧30V、発熱体平均抵抗値5000Ωである。しかし、サーマルヘッド21の構成や仕様は、本実施形態のものに限定されるものではない。
【0062】
図5は、一般的なサーマルヘッド21の駆動回路220の概略図を示す。アルミナ基板上には、1ライン分の発熱抵抗体が設けられ、その両サイドに電極が配線されている。又、1ライン分のデータ(処理領域情報)を転送し保持するレジスタ群を含むドライバICが、同一アルミナ基板上或いは別個の配線基板上に設けられている。
【0063】
ここで、光沢処理における加熱量とは、加熱手段であるサーマルヘッド21がトナー像面を加熱する量のことを指す。加熱量を小さくすることは、サーマルヘッド21に与えるデータを間引くことで可能である。例えば、記録材Sの処理スピード(プロセス速度)よりも十分に速い周期のパルス信号を与えてサーマルヘッド21を駆動する方法がある。図9に示すように、数ミリ秒〜数百ナノ秒の周期のパルスでヘッドに信号を送る際に1周期内でのON時間を変えることでサーマルヘッド21の加熱量を変えることができる。データを間引く別の方法として、サーマルヘッド21に与える画像信号を間引くことでも、加熱量を小さくすることが可能である。例えば、1ライン分のヘッド全てにONデータを与えるのに対して、1ドットおきにOFFにすれば加熱量を50%にすることができる。或いは、サーマルヘッド21の駆動電圧を小さくすることでも、加熱量を下げることが可能である。
【0064】
次に、プラテンローラ22について説明する。プラテンローラ22は、軸(芯金)22aの周りに、硬質ゴムなどの摩擦係数の高い部材から成る弾性層22bをローラ状に形成した弾性ローラである。本実施形態では、軸22aの周りにシリコーンゴムから成る弾性層22bをローラ状に形成した耐熱性のゴムローラである。プラテンローラ22は、軸22aにより光沢処理装置20の装置本体に回動可能に取り付けられている。そして、この軸22aを介してプラテンローラ22を駆動源としてのプラテンローラ駆動モータ(図示せず)により回転駆動することにより、記録材Sとフィルム23とが搬送される。本実施形態では、記録材Sの搬送速度は、プラテンローラ22の回転速度によって決定され、サーマルヘッド21へ送られるデータ(処理領域情報)は、このプラテンローラ22の回転速度に基づいて形成される。本実施形態では、表面処理時に、処理部Gにおいて記録材Sとフィルム23は略等速度で同方向に搬送される。
【0065】
次に、フィルム23から記録材Sが分離される分離部について更に説明する。本実施形態では、分離部材(分離ローラ)25は、フィルム23の冷却機能と曲率によるフィルム23からの記録材Sの分離機能の2つの役目を担っている。本実施形態では、分離部材25は、SUSなどの金属により構成し、分離曲率(本例では曲率半径で1mm)を十分小さい値に設定することにより、記録材Sとフィルム23とを確実に離型できるようにした。尚、分離部材はローラ状の部材に限定されるものではなく、例えば本実施例のものと同様の分離曲率をもってフィルム23に接触するように形成され配置された板状の部材などとしてもよい。
【0066】
又、分離部は、分離部の温度上昇を抑えるため冷却機構(図示せず)が設けられていることが望ましい。冷却機構としては、空冷機構を設けたり、冷却フィンを取り付けたりすることなどが有効である。
【0067】
又、分離部の温度は、複数箇所に設けられた温度検知手段としてのサーミスタ抵抗により監視し、冷却目標温度T1℃以下になるよう、ファンや、印字動作を制御する。冷却目標温度は、記録材S上の色材或いはオーバーコート材などの、記録材Sの表層の樹脂(熱可塑性樹脂)のTgに合わせることが望ましい。Tgと溶融開始点のずれを考慮すると、Tg+15℃程度以下に設定することが好ましく、Tg以下に設定するのが更に好ましい。又、色材層には樹脂や着色材以外にWaxなどの成分を含む表層材質もある。この場合、Waxの融点以下に設定することが好ましい。記録材質が定まらない場合は室温程度に十分低い温度に設定することが好ましい。例えば30〜50℃程度が良好である。
【0068】
2.画像データ処理
図2を参照して、画像形成装置Aは、受信手段としてのネットワークI/F501、格納手段(記憶手段)としてのHDD502、制御手段としての制御装置(コントローラ)500、操作部400などを有している。
【0069】
ネットワークI/F501は、外部装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)から転送されたデータファイル(画像データ)を受信する。HDD502は、ネットワークI/F501で受信した画像データや画像読取装置300で読み込まれた画像データを一時的に保存しておく記憶装置である。又、HDD502は、予め画像データを格納している。この画像データには、少なくとも有色トナー像の一部が覆われるように所定の透明トナー像を記録材Sに形成するためものがある。
【0070】
コントローラ500は、HDD502に格納された画像データに応じてトナー像を形成する複数の画像形成モードの中から選択されたモードを実行可能となっている。操作者は、必要に応じて、操作部400やパーソナルコンピュータ上のプリンタドライバにより画像形成モードを指定し、HDD502に保存された画像データを選択してプリント出力することができる。
【0071】
操作部400は、操作画面を表示する表示部、表示部に画像形成モードの実行を指示する指示部を有している。図11は、操作部400に表示される記録材Sの種類を選択する画面の一例である。画像形成装置Aの各カセット31に収容される記録材Sの種類を予め指定しておくことができる。
【0072】
本実施形態の画像形成装置Aの動作は、コントローラ500により統括的に制御される。コントローラ500は、操作部400やパーソナルコンピュータなどの外部装置400から送られてくる処理命令に基づいて、画像形成装置Aの画像形成装置本体100及び光沢処理装置20の各部の動作を制御する。コントローラ500は、演算処理装置であるCPUなどを有しており、内蔵する記憶手段、HDD502或いは後述する作業用の記憶手段としての画像メモリ503に格納されたプログラムやデータに従って制御を実行する。処理命令は、対応する領域が処理部Gを通過するタイミングに合わせてサーマルヘッド21を選択的に発熱させるための処理領域情報(光沢画像データ)を含む。サーマルヘッド21は、その処理領域情報に基づき記録材Sの所定位置に対応して発熱して、記録材Sの光沢処理を行なう。
【0073】
3.画像形成動作と光沢処理動作
次に、本実施形態の画像形成装置Aによる印刷と光沢処理の動作の流れについて更に詳しく説明する。
【0074】
前述のように、従来、記録材Sの種類によらずに光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることは難しかった。
【0075】
そこで、本実施形態では、平滑度の低い記録材Sに対してはトナー量の少ない有色画像領域に形成する透明トナー像の量を多くして且つ光沢処理領域の光沢処理における加熱量を下げる。これにより、光沢処理領域においては均一高光沢であり、且つ、光沢処理領域と未処理領域との光沢差を発生させることができる。一方、平滑度の高い記録材に対しては、有色トナー量の少ない領域に形成する透明トナーの量を少なくして光沢処理することで、均一高光沢と光沢処理領域と未処理領域との光沢差が得られる。つまり、本実施形態によれば、記録材の種類によらずに、光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることが可能となる。以下、更に詳しく説明する。
【0076】
図13は、本実施形態の画像形成装置Aによる印刷と光沢処理の動作の流れの概略を示すフローチャートを示す。図6は、本実施形態の画像形成装置Aによる印刷と光沢処理の動作の手順を模式的に示しており、(a1)、(b)は、画像形成に用いる画像データの一例を示す。この例では、有色画像を形成するための画像データである画像版(a1)と、指定領域を光沢処理するための画像データである光沢版(b)との2つの画像データを用いる。
【0077】
先ず、操作者の指定により画像データとして画像版(a1)、光沢版(b)がHDD502に保存される(S1)。入力源は、パーソナルコンピュータからプリンタドライバを介して送信された画像データや原稿読取装置300から読み込んだスキャン画像である。
【0078】
図10に示すような印刷モードを指定するための画面が、操作部400にて表示するように用意されている。操作者が操作部400によりこの印刷モードを指定するための画面を呼び出すと、該画面が表示される(S2)。本実施形態では、この画面には、印刷のみを実行する「印刷」と、印刷後に光沢処理を実行する「印刷と光沢処理」のモード選択キーとが設けられている。操作者がどちらかを選択すると(S3)、コントローラ500は指定された印刷モードで画像形成装置を動作させる(S4〜S6、又はS7〜S14)。
【0079】
操作者によって「印刷と光沢処理」の設定が選択されると、コントローラ500は、図12に示すように、次のような画面を操作部400に表示する(S7)。即ち、HDD502内に格納された印刷用の画像データを指定する文書ファイルと、光沢処理の処理領域を指定する画像ファイルのリストとを表示する画面である。ここで操作者が出力したい画像データを選択すると、コントローラ500は画像データを画像メモリ503に読み込む(S8)。
【0080】
次に、コントローラ500は、光沢版(b)の画像データの描画領域においてトナー像が形成されない領域を求める。即ち、光沢版(b)の画像データの描画領域のうち、画像版(a1)のデータが無い領域に相当する画像データを生成し、透明トナー像形成版(c1)とする。このとき、コントローラ500は、記録材Sの情報を取得して(S9)、記録材Sの平滑度が200秒以上か否かを判断する(S10)。記録材Sの平滑度が200秒以上であれば、透明トナーの形成量を基準量の70%とし(S11)、記録材Sの平滑度が200秒未満であれば透明トナーの形成量を基準量の100%とする(S15)。
【0081】
尚、上記記録材Sの平滑度、基準量については、実施例及び比較例を参照して後述して更に詳しく説明する。
【0082】
次に、コントローラ500は、生成した画像データをもとに、画像形成装置本体100において、画像版(a1)に対応した有色画像(a2又はa3)と、透明トナー像形成版(c1)に対応した透明トナー像(c2又はc3)とを形成させる(S12、S16)。
【0083】
図6の(a2)は、記録材Sの平滑度が200秒以上である場合の記録材S上に形成された有色トナー像の断面方向の概念図である。又、図6の(a3)は記録材Sの平滑度が200秒未満である場合の記録材S上に形成された有色トナー像の断面方向の概念図である。一方、図6の(c2)は、記録材Sの平滑度が200秒以上である場合に、透明トナーの形成量を基準量の70%とした場合の記録材S上に形成された透明トナー像の断面方向の概念図である。又、図6の(c3)は、記録材Sの平滑度が200秒未満である場合に、透明トナーの形成量を基準量の100%とした場合の記録材S上に形成された透明トナー像の断面方向の概念図である。そして、記録材Sの平滑度が200秒以上、200秒未満の場合における、記録材S上に形成されたトナー像の概念図は、それぞれ図6の(d2)、(d3)の状態になる。
【0084】
尚、上述のようにしてトナー像が形成された記録材Sは、定着器10で定着処理を受けた後に、光沢処理装置20へと受け渡される。
【0085】
次に、コントローラ500は、記録材Sの平滑度が200秒以上の場合には光沢処理装置20による加熱量を100%に設定し(S13)、記録材Sの平滑度が200秒未満の場合には加熱量を60%に設定する(S17)。
【0086】
そして、コントローラ500は、光沢処理装置20にて、画像が定着された記録材Sに対し、光沢版(b)に対応した領域(光沢処理領域)を、記録材Sの平滑度が200秒以上、200秒未満の場合のそれぞれに対応して設定された条件で加熱させる(S14)。
【0087】
尚、上述のようにして光沢処理装置20において加熱された記録材Sは、冷却分離された後に、光沢処理装置20の機外に排出される。
【0088】
4.出力画像と光沢度の評価
本実施形態では、記録材S上に形成されるトナー像の単位面積あたりのトナー量を0.55mg/cm2に調整した状態の画像データ量(階調レベル)を、基準のトナー量(100%)とした。この画像データ量は、記録材Sを被覆するトナー像の単位面積当たりのトナー量(トナー載り量)に対応する。
【0089】
そして、有色トナーの画像データ量を0%(トナー無し)〜200%(2色分)まで変更した階調画像を形成して、得られた出力物の光沢度を測定して評価した。ここでは、光沢度として、JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法により20°光沢度を測定した。測定には、日本電色工業株式会社製ハンディ型光沢計PG−1Mを使用した。JIS Z 8741によると、光沢度の表記中%記号は省略できるので、ここでは省略して表記する。
【0090】
4−1.サンプル
記録材Sとして、グロスコート紙である王子製紙製 SA金藤+(商品名)の157g/m2を用いて、以下のサンプルを製作した。この記録材Sの平滑度は652秒であった。
【0091】
尚、平滑度の測定は、JIS P 8119 紙パルプ試験方法によって行った。測定には、熊谷理機工業製ベック平滑度試験機を使用した。
【0092】
サンプル1(比較例1):有色トナーのみで画像を形成した
サンプル2(比較例2):サンプル1を光沢処理した
サンプル3(実施例1):有色トナーと透明トナーによって画像を形成し、光沢処理した
【0093】
上記3つのサンプルの結果を、図7、表1に示す。
【0094】
次に、記録材Sとして、上質紙であるキヤノン CS−814(商品名)を用いて、以下のサンプルを製作した。この記録材Sの平滑度は48秒であった。
【0095】
サンプル4(比較例3):有色トナーのみで画像を形成した
サンプル5(比較例4):サンプル4を光沢処理した
サンプル6(比較例5):有色トナーと透明トナーによって画像を形成し、光沢処理した
サンプル7(実施例2):サンプル6よりも光沢処理の加熱量を小さくした
【0096】
上記4つのサンプルの結果を、図8、表1に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
表1には、各サンプルの階調画像内での最大光沢度と最小光沢度の差を記載した。表1において、光沢差が10未満となったものを評価○(良好)とした。又、表1には、未処理部と処理部の光沢差を記載した。表1において、光沢差が10以上となったものを評価○(良好)とした。
【0099】
ここで、サンプル1(比較例1)とサンプル4(比較例3)は、透明トナーを使わずに、定着器10で定着された出力物である。又、サンプル2(比較例2)は、サンプル1(比較例1)を光沢処理したものである。又、サンプル5(比較例4)は、サンプル4(比較例3)を光沢処理したものである。
【0100】
サンプル3(実施例1)は、記録材Sの平滑度が200秒以上である。従って、有色トナーによる記録材Sの表面の被覆率(即ち、単位面積あたりのトナー量)が70%未満の領域を透明トナーで被覆するように、透明トナー量を基準量の70%として、透明トナー像を形成した。このようにして形成した画像を定着したサンプルを光沢処理した。図6においてサンプル3を説明すると、次の通りである。即ち、画像版(a1)を用いて有色トナー像(a2)を形成する。又、画像版(a1)と光沢版(b)から生成される透明トナー像形成版(c1)を用いて透明トナー像(c2)を形成する。記録材S上に、これら有色トナーと透明トナーによる画像(d2)を形成する。そして、この出力物を光沢処理する。このとき、光沢処理の加熱量は、図9(a)に示すように、サーマルヘッド21に与える加熱データのパルスデューティを100%としたものである。又、光沢版(b)の画像データの描画領域全域をON、非描画領域をOFFとして、サーマルヘッド21を駆動させた。
【0101】
又、サンプル7(実施例2)は、記録材Sの平滑度が200秒未満であるため、サンプル(実施例1)よりも透明トナーの量を多くしたものである。即ち、有色トナーによる記録材Sの表面の被覆率(即ち、単位面積あたりのトナー量)が100%未満の領域を透明トナーで被覆するように、透明トナー量を基準量の100%として、透明トナー像を形成した。このようにして形成した画像を定着したサンプルを光沢処理した。図6においてサンプル7を説明すると、次の通りである。即ち、画像版(a1)を用いて有色トナー像(a3)を形成する。又、画像版(a1)と光沢版(b)から生成される透明トナー像形成版(c1)を用いて透明トナー像(c3)を形成する。記録材S上に、これら有色トナーと透明トナーによる画像(d3)を形成する。そして、この出力物を光沢処理する。このとき、光沢処理条件を、記録材Sの平滑度が200秒以上の場合であるサンプル3とは変えた。即ち、サンプル7では、光沢処理の加熱量は、図9(b)に示すように、サーマルヘッド21に与える加熱データのパルスデューティを60%とすることで、光沢処理の加熱量をサンプル3の場合よりも小さくなるようにした。これによって、光沢版(b)の画像データの描画領域は60%の間引きされた加熱信号とし、非描画領域はOFFとして、サーマルヘッド21を駆動した。
【0102】
尚、サンプル6(比較例5)は、サンプル7(実施例2)と同様の方法で出力した定着画像を、光沢処理条件を変えて製作した。即ち、サンプル7では、光沢処理の加熱量は、図9(a)に示すように、サーマルヘッド21に与える加熱データのデューティを100%としたものである。
【0103】
4−2.サンプルの評価結果
サンプル1(比較例1)、サンプル4(比較例3)はいずれも階調画像内での最大光沢度が低い結果となった。
【0104】
サンプル2(比較例2)、サンプル5(比較例4)はいずれも最大光沢度が高くなったが、トナー量の少ない低濃度部の光沢度が低いために、階調画像内の光沢度差を表す最大値と最小値の差は大きくなった。
【0105】
サンプル3(実施例1)は、最大光沢度63.3であり、階調画像内の光沢度差は8.3であった。又、未処理領域に対する光沢処理領域の光沢差は+44以上(処理領域の方が高い)となった。これは、記録材Sの平滑度が十分に高い場合には、少ないトナー量(この場合には70%)であっても記録材Sの表面に形成されたトナー像面が平滑になるからである。トナー像面が平滑であれば、光沢処理におけるトナー像面とフィルム23との密着性が良くなり、得られる光沢度が高くなるからである。
【0106】
サンプル6(比較例5)は、未処理領域に対する光沢処理領域の光沢差は+24以上となった。又、最大光沢度44.0であった。しかしながら、階調画像内の光沢度差は18.0となり、階調による光沢差が大きくなってしまった。グロスコート紙を用いたサンプル3(実施例1)と異なり、透明トナーで被覆しているにも拘わらず有色トナーの画像データ量に応じて光沢度が高くなる結果となった。これは、記録材Sの平滑度が低い場合には、100%のトナー量であっても記録材Sの表面に形成されたトナー像面に凹凸が現れているからである。即ち、トナー像面が平滑でない場合、トナー量が少ないと光沢処理におけるトナー像面とフィルム23との密着性が悪くなり、得られる光沢度が低くなる。一方、トナー量が100%以上の画像では、トナー量の増加に連れてトナー像面の凹凸は解消する傾向になるため、トナー像面とフィルム23との密着性が良くなって、光沢が上がる。
【0107】
サンプル7(実施例2)は、最大光沢度26.7であり、階調画像内の光沢度差は9.7であった。又、未処理領域に対する光沢処理領域の光沢差は+14以上となった。これは、サンプル6と比較してサーマルヘッド21の加熱量を小さくすることにより、トナー量の多い領域での光沢度の上昇を抑えることができたからである。サンプル6と比較して、階調画像内での光沢差を小さくすることができた。同時に未処理部に対しての光沢差も確保することができた。
【0108】
尚、光沢度差は、概ね10以下であれば違和感の無い画像と感じられ、10以上であれば光沢差があると感じられる。
【0109】
以上の結果から、サンプル3(実施例1)では、透明トナー像を形成して、最低トナー量を70%以上とすることで、光沢度が高く、階調画像内での光沢差が小さい、均一高光沢画像を得ることができた。又、サンプル3(実施例1)では、使用する透明トナー量を少なく抑えることができた。一方、サンプル7(実施例2)では、最低トナー量を100%以上とすることで、平滑度の低い記録材Sの凹凸を少なくすることができた。更に、サンプル7(実施例2)では、光沢処理装置20における加熱量を小さくすることで、トナー量の多い領域の光沢度の上がり過ぎを抑え、均一高光沢画像を得ることができた。又、サンプル7(実施例2)において、未処理部と光沢処理領域との光沢差を確保することができた。
【0110】
5.記録材に関する情報の取得
画像形成装置Aが記録材Sに関する情報を取得する手段としては、操作部400のユーザーインターフェースから記録材Sの種類を入力或いは選択する方法を採用することができる。例えば、グロスコート紙、マットコート紙、上質紙などの記録材Sの種類を指定するか、或いは銘柄を指定する方法が考えられる。指定された記録材Sの平滑度に関する情報をHDD502に予め格納しておけばよい。又、直接記録材Sの表面性に関する情報を入力或いは選択するようにしてもよい。
【0111】
尚、本実施形態では、記録材Sの表面性情報として平滑度を例に挙げたが、表面粗さ(Rz)など、トナー像面とフィルムとの密着に影響する他の値で代用することも可能である。
【0112】
又、記録材Sの表面性に関する情報を取得する手段としては、画像形成装置Aに記録材Sの表面性を検知する検知手段を設けても良い。この場合、検知手段によって取得された記録材Sの表面性情報を元に、形成すべき透明トナーの必要量とサーマルヘッド21の加熱量の値をテーブルとしてHDD502に予め格納しておけばよい。
【0113】
又、透明トナー像のトナー量は、上述の実施形態のものに限定されるものではなく、トナーの種類や画像形成プロセスによって記録材Sの表面を被覆できるように最適化すればよい。又、加熱量の変更量も、所望の光沢度の均一性が得られるように適宜設定することができる。更に、記録材Sの表面性に係る閾値は、光沢度の均一性と光沢差の低下を抑制する必要が生じる表面性との関係で、適宜設定することができる。当然、透明トナー像のトナー量と光沢処理装置により加熱量は、複数段階に変化させることができる。
【0114】
このように、本実施形態の画像形成装置Aは、有色トナーを用いて記録材Sに有色トナー像を形成する有色トナー像形成手段を有する。本実施形態では、第2、第3、第4、第5の画像形成部PY、PM、PC、PK、中間転写ベルト71、二次転写ローラ9、二次転写対向ローラ73などによって、有色トナー像形成手段が構成される。又、本実施形態の画像形成装置Aは、透明トナーを用いて記録材に透明トナー像を形成する透明トナー像形成手段を有する。本実施形態では、第1の画像形成部PT、中間転写ベルト71、二次転写ローラ9、二次転写対向ローラ73などによって、透明トナー像形成手段が構成される。又、本実施形態の画像形成装置Aは、記録材Sに形成された有色トナー像及び透明トナー像を加熱することで該記録材Sに定着させる定着手段(定着器)10を有する。又、本実施形態の画像形成装置Sは、定着手段10により有色トナー像及び透明トナー像が定着されている記録材Sの面に接触して該面を加熱する光沢処理手段(光沢処理装置)20を有する。
【0115】
そして、本実施形態では、画像形成装置Aは、次のような調整手段を有する。即ち、調整手段は、光沢処理手段20により加熱する処理領域における有色トナー像のトナー量が所定量未満の部分にトナー量が該所定量以上となるように透明トナー像を形成するように透明トナー像形成手段が形成する透明トナー像のトナー量を調整する。尚、調整手段は、上記部分において、トナー量が上記所定量以上且つ画像形成装置Aで設定される最大トナー量以下の範囲となるように透明トナー像を形成するように透明トナー像形成手段が形成する透明トナー像のトナー量を調整する。又、本実施形態では、画像形成装置Aは、光沢処理手段20により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が第1の種類の記録材Sに形成される場合と第2の種類の記録材Sに形成される場合とで上記所定量を変更する透明トナー量変更手段を有する。更に、本実施形態の画像形成装置Aは、透明トナー量変更手段が上記所定量を変更する場合に処理領域の光沢処理手段による加熱量を変更する加熱量変更手段を有する。本実施例では、上記調整手段、透明トナー量変更手段、加熱量変更手段の機能は、コントローラ500が有する。より詳細には、本実施形態では、第1の種類の記録材Sと第2の種類の記録材Sとは表面性が異なる。そして、第1、第2の種類のうち表面性がより粗い種類の記録材Sに光沢処理手段20により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が形成される場合に、透明トナー量変更手段は所定量をより多くするように変更する。又、この場合に、加熱量変更手段は加熱量をより少なくするように変更する。
【0116】
本実施形態では、光沢処理手段20は、有色トナー像及び透明トナー像が定着されている記録材Sの面に接触するフィルム23を有する。又、この光沢処理手段20は、該記録材Sの該面にフィルム23を介して押圧されて該記録材Sの該面を加熱する加熱部材21を有する。又、この光沢処理手段20は、加熱部材21で加熱された記録材Sを冷却する冷却手段25を有する。そして、加熱部材21で加熱された記録材Sは冷却手段25で冷却された後にフィルム23から分離される。又、本実施形態では、加熱部材21は複数の発熱体が配列されて構成されており、加熱量変更手段は、発熱体への通電を制御することにより処理領域の加熱量を変更することができる。
【0117】
以上、本実施形態によれば、記録材の種類によらずに光沢処理領域における均一光沢化と、光沢処理領域と未処理領域との光沢差とを両立させることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 露光ユニット
4 現像器
5 クリーナ
6 一次転写ローラ
8 レジストローラ
9 二次転写ローラ
10 定着器
20 光沢処理装置
300 画像読取装置
400 操作部
500 コントローラ
A 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色トナーを用いて記録材に有色トナー像を形成する有色トナー像形成手段と、
透明トナーを用いて記録材に透明トナー像を形成する透明トナー像形成手段と、
記録材に形成された有色トナー像及び透明トナー像を加熱することで該記録材に定着させる定着手段と、
前記定着手段により有色トナー像及び透明トナー像が定着されている記録材の面に接触して該面を加熱する光沢処理手段と、
前記光沢処理手段により加熱する処理領域における有色トナー像のトナー量が所定量未満の部分にトナー量が該所定量以上となるように透明トナー像を形成するように前記透明トナー像形成手段が形成する透明トナー像のトナー量を調整する調整手段と、
前記光沢処理手段により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が第1の種類の記録材に形成される場合と第2の種類の記録材に形成される場合とで前記所定量を変更する透明トナー量変更手段と、
前記透明トナー量変更手段が前記所定量を変更する場合に前記処理領域の前記光沢処理手段による加熱量を変更する加熱量変更手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の種類の記録材と前記第2の種類の記録材とは表面性が異なり、前記第1、第2の種類のうち表面性がより粗い種類の記録材に前記光沢処理手段により加熱される有色トナー像及び透明トナー像が形成される場合に、前記透明トナー量変更手段は前記所定量をより多くするように変更し、前記加熱量変更手段は前記加熱量をより少なくするように変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光沢処理手段は、有色トナー像及び透明トナー像が定着されている記録材の面に接触するフィルムと、該記録材の該面に前記フィルムを介して押圧されて該記録材の該面を加熱する加熱部材と、前記加熱部材で加熱された記録材を冷却する冷却手段と、を有し、前記加熱部材で加熱された記録材は前記冷却手段で冷却された後に前記フィルムから分離されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱部材は複数の発熱体が配列されて構成されており、前記加熱量変更手段は、前記発熱体への通電を制御することにより前記処理領域の加熱量を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24888(P2013−24888A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156038(P2011−156038)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】