説明

画像表示システム、画像送信システム

【課題】利用者が画像を入力するタブレット等(表示パネル部)とは別体のプロジェクタ等に、利用者から指示があった場合にのみ入力画像を表示する画像表示システムを提供する。
【解決手段】磁気表示パネル10と位置座標検出装置20とが一体重畳されたタブレット1と、タブレット1で入力された画像をデータ化する画像作成部(位置座標検出装置20)と、画像作成部で作成された画像を記憶する記憶部21と、指示スイッチ11から画像表示指示が入力された場合に、記憶部21に記憶された画像を展開し、ディスプレイ5に表示する画像展開部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット等の画像入力手段と、当該画像入力手段に入力された画像を表示する画像表示手段とを備えた磁気表示パネルや液晶表示パネル等の表示パネルと、当該表示パネルに入力された画像を外部のプロジェクタ等に表示する画像表示システムに関する。また、本発明は、表示パネルに入力された画像をデータ化して外部装置へ送信する画像送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以上のような画像表示システムは種々提案されており、例えば、ハニカム状に形成された多数の小室内に粘性液体と共に充填された磁性粉を磁石ペンにより吸引して文字や図形等を表示させる磁気画板表示部(表示パネル部)と、この磁気画像表示部の上部又は下部に配設されて磁石ペンの押圧位置を検知し座標信号を出力する透明な座標入力シートとを設けた磁気画板が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
【特許文献1】実開昭64−31700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来提案されてきた画像表示システムは、表示パネル部(タブレット部)に入力された画像を常時外部の画像表示部に表示するものであった。したがって、画像エンジン(画像表示部)は常時入力画像を展開してプロジェクタ等に表示しなければならず、多大な演算を強いられる。
【0004】
また、従来提案されてきた画像表示システムでは、当然、利用者は、表示パネル部を用いて作成中の画像を他の利用者に提示してしまうことになってしまう。したがって、表示パネル部を用いて完成した画像のみを外部の表示部に表示するということができなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、利用者が画像を入力するタブレット等(表示パネル部)とは別体のプロジェクタ等に、利用者から指示があった場合にのみ入力画像を表示する画像表示システムを提供することを課題とする。
【0006】
本発明は、利用者が入力した画像を、利用者から指示があった場合にのみデータ化し、外部装置へ送信する画像送信システムを提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示システムは、下記構成要件を具備する。
(1)表示パネル部:画像入力手段と画像表示手段とを有し、画像表示手段には画像入力部に入力された画像が表示される。
(2)位置座標検出部:各座標における情報を検出し、記憶部に記憶する。
(3)記憶部:位置座標検出装置で検出された各座標の情報を記憶する
(4)画像作成部:利用者から指示があった場合に、記憶部に記憶された各座標の情報に基づき画像データを作成する。
(5)画像表示部:画像作成部から入力された画像データを、表示パネル部とは別個の表示部に表示する。
【0008】
上記画像システムは、利用者から指示があった場合にのみ表示パネル部とは別体であるプロジェクタ等に画像を表示させることが可能となる。
したがって、利用者は、画像入力手段を用いて画像を完成させてから画像表示部に画像を表示させることが可能となる。
また、画像表示部は、記憶部に表示された情報を常時展開して表示する必要がなくなり、利用者から指示があった場合にのみ情報を展開し、当該データを表示し続ければよくなる。そのため、画像入力手段で入力された画像をリアルタイムで画像表示部に画像表示する場合に比べて画像表示部の処理能力(CPU能力・メモリ容量等)を低くすることができる。
【0009】
上記表示パネル部は、例えば、表示面が平面形状の表示パネル内部に少なくとも分散媒及び増稠剤を有する粘性液体と、当該粘性液体中に分散させた有色の微小磁石又は微小磁石粉を収容し、表示面に磁石が接近したときに、当該磁石の表示面に近い部分の極性に応じた表示が行われる構成等が採用された磁気表示パネルが好適に採用される。そして、位置座標検出部は、スタイラスペンのペン先と表示パネル部の表示面との接触位置の座標を検出し、検出した接触位置に関する情報を記憶部に記憶し、画像作成部は、当該接触位置に関する情報に基づいて表示パネル部に入力された画像をデータ化する手段が好適に採用される。
【0010】
この構成を採用すれば、画像表示手段に画像を表示させるのに、CPU等を用いて演算を行う必要がない。したがって、本画像表示システムは、利用者から画像を入力される際、スタイラスペンが画像入力手段に接している位置座標を検出し、記憶するだけでよく、利用者から指示のあった場合にのみ画像表示部へ画像を表示するために演算すればよくなるため、本システムに必要とされる処理能力を極めて低いものにできる。
【0011】
また、画像作成部によってはペン(ペン先)の位置座標を検出できない、少なくとも先端部が磁石になっているペン(以下、非スタイラスペンと表記する。)を用いて画像入力手段に入力された画像は、画像表示手段には表示されても画像表示部には表示されない。すなわち、利用者は、磁石を用いて手元のタブレット(画像表示手段)に情報を入力すれば、その情報は、当該タブレットのみに表示され、これに接続されたプロジェクタには表示されることはない。つまり、手元の画像表示パネル部に描いた画像と、画像表示部に表示させる画像とを異なるものとすることができる。したがって、表示パネル部に、利用者のみが用いるメモ書き等を記載したり、利用者以外の者には見せたくない画像/見せる必要のない画像を描いたりすることなどが可能となる。
【0012】
なお、表示パネル部は、好適には、画像入力手段と画像表示手段とが一体積層された液晶表示パネルや磁性表示パネル等のタブレットとされるが、別体であってもよい。
【0013】
上記画像表示システムは、下記構成要素を備えていてもよい。
(6)画像形成部:画像形成装置と接続し、当該画像形成装置に画像を形成させる手段。利用者から指示があった場合に、画像作成部に画像データを作成させ、作成された画像データを画像形成装置に出力させる。
【0014】
以上の構成を採用すれば、利用者から指示があった場合にのみプリンタ等の画像形成装置に画像を形成させることができるとともに、利用者から指示があった場合にのみ当該画像形成装置用にデータを展開したりデータを送信すればよくなる。
【0015】
上記画像表示システムは、下記構成要素を備えていてもよい。
(7)画像送信部:外部装置と接続し、当該外部装置へ画像データを送信する通信部。利用者から指示があった場合に、画像作成部に画像データを作成させ、作成された画像データを外部装置へ送信する。
【0016】
以上の構成を採用すれば、利用者から指示があった場合にのみ、外部のパーソナルコンピュータ等の外部装置に画像を送信することが可能となる。つまり、利用者から指示がない場合は、画像をデータ化する必要がなく、当然送信処理を行う必要もなくなる。したがって、前記同様、当該システムに必要とされる処理能力は、常時外部装置へ画像を送信するシステムに比べて極めて低いものにすることができる。また、利用者が外部装置へ送信したい画像のみを送信することが可能となる。
【0017】
本発明に係る画像送信システムは、下記構成要素を具備する。
(8)表示パネル部:画像入力手段と画像表示手段とを有し、画像表示手段には画像入力部に入力された画像が表示される。
(9)位置座標検出部:各座標における情報を検出し、記憶部に記憶する。
(10)記憶部:位置座標検出装置で検出された各座標の情報を記憶する。
(11)画像作成部:利用者から指示があった場合に、記憶部に記憶された各座標の情報に基づき画像データを作成する。
(12)画像送信部:外部装置と接続し、画像作成部から入力された画像データを当該外部装置へ送信する。
【0018】
以上の画像送信システムによれば、利用者が指示した場合にのみ画像データを作成し、外部装置へ送信するため、前記画像表示システム同様に低い処理能力でも実現可能であり、また、利用者が望む画像のみを送信することが可能となる。
【0019】
上記構成においては、表示パネル部における画像表示手段として磁気表示パネルが好適に採用される。磁気表示パネルは表示を行うに際して電力を消費しないため、システムの消費電力を少なくすることができ、また、描画に演算を必要としないため、システムに要求される処理能力を極めて低くすることもできる。さらに、磁気表示パネルに表示する画像と外部装置へ送信する画像(画像データ)とを異なるものにすることも可能となる。
【0020】
上記構成において、前記画像表示システムと同様に、画像形成装置に画像データを画像形成させるための画像形成部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記説明からも明らかなように、本発明によれば、利用者が画像を入力するタブレット等(表示パネル部)とは別体のプロジェクタ等に、利用者から指示があった場合にのみ入力画像を表示する画像表示システムを提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、利用者から指示があった場合にのみ、タブレット等に入力された画像を外部装置へ送信するためにデータ化し、データ化した画像を外部装置へ送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像表示システムを、図面を用いながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
はじめに、本発明に係る第1の画像表示システムの構成について説明する。
[構成]
図1は、本発明に係る画像表示システムの構成を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この画像表示システムは、表示パネル部としてのタブレット1、記憶部21、画像作成部としての画像展開部3、及び、画像表示部としてのディスプレイエンジン4で構成されている。
【0025】
タブレット1は、磁気表示パネル(画像表示手段)10と位置座標検出装置(画像入力手段)20と指示スイッチ11とを備える。位置座標検出装置20は記憶部21と接続されている。記憶部21は画像展開部(画像表示部)3と接続している。画像展開部3は、タブレット1に設けられた、利用者からの画像表示指示を入力される指示スイッチ11とも接続している。また、磁気表示パネル10とは別個の、画像データを表示するプロジェクタ5とディスプレイエンジン4を介して接続している。
【0026】
図2は、磁気表示パネル10と位置座標検出装置20の構成をより詳細に説明するための図である。図2に示すように、磁気表示パネル10の表示面10aとは反対側の面に電磁誘導方式の位置座標検出装置20が設けられている。
【0027】
タブレット1は、表示面10a側に磁気表示パネル80が設けられ、当該パネルの反表示面側に位置座標検出装置20が設けられている。
磁気表示パネル10は、裏板102に複数のハニカムセル103を構成する隔壁104を固着して形成された液体収容室105の表示面10a側に、透明な表示板106を隔壁104に固着して一体としてある。液体収容室105中にS極とN極を有する表示用磁性体108を分散した降伏値を有する分散液体109が収容されている。表示用磁性体108は、S極側表示部分を緑色に着色し、N極側表面部分を白色に着色してある。
【0028】
図2に示すように、位置座標検出装置20は、表示面10aを基準とした平面方向における一方向(X方向と表記する。)にNX本(NXは正の整数。)のX軸センサーコイル20X−1...NXと、X方向とは異なる方向(一般に直交する方向、Y方向と表記する。)にNY本(NYは正の整数。)のY軸センサーコイル20Y−1...NYが設けられている。各センサーコイルには、交流の電流を流すための回路200が接続されている。回路200は、例えば、電源エンジン201、送受信切替スイッチ202、受信アンプ203で構成されている。
【0029】
図3は、スタイラスペン12の構成を説明するための断面図である。図3に示すように、スタイラスペン12は、外筒122の先端部が縮径されて案内穴122aが形成され、案内穴122aを介して芯部材123が遊挿されている。
芯部材123の先端側はS極に磁化されている。芯部材123の他端側には、ほぼ筒状のフェライトコア124が配設されており、フェライトコア124の外周面にはコイル125が巻回されている。コイル125は図示しないコンデンサに接続されLC共振回路を形成している。芯部材123は、フェライトコア124の内部に接触することなく挿通されており、基端部側(非先端部側、他端部側)に芯ホルダ126が嵌合されている。芯ホルダ126は、スイッチケース129の内部に、適当に遊びをもって収容されており、感圧センサー127に当接している。感圧センサー127は、芯部材123の表示面128aへの当接量・押圧力を検出するためのスイッチであり、公知の部材・回路が採用される。なお、回路・配線は図示しないが、公知の回線・配線を適宜採用できる。
次に、磁気表示パネル10に画像が描画される機構と、位置座標検出装置20が画像データを作成する機構について説明する。
【0030】
[描画機構・画像データ作成機構]
スタイラスペン12を用いて情報を入力する場合、スタイラスペン12を、すなわち芯部材123の先端をタブレット1の表示面10aに接触させる。
先端部がS極である芯部材123が表示面10aに接触することで、表示板106が緑色(S極側表示部分)の表示状態で、表示用磁性体108の白色(N極側表示部分)が表示板106側に配置される。したがって、背景が緑色(S極側表面部分)の表面板106側に、白(N極側表面部分)の点(画像)が書かれた状態となる。
【0031】
位置座標検出装置20は、回路200が各センサーコイル20X−1〜20X−NXに順次交流の電流を流す。そのため、表示面10aに磁界が生じるため、スタイラスペン12が表示面10aに接近・接触すると、ペンのコイル125との相互誘導作用(電磁誘導)によりペンのLC共振回路が共振して誘導電流が流れ、コンデンサに電気がたまる。回路200は電流を流すのを止めると、コンデンサに蓄えられた電気を源としてペン側のコイル125に電流が流れ磁界が発生する。スタイラスペン12のペン先に発生した磁界の影響を受け、ペンの下にあるX軸センサーコイル、Y軸センサーコイルに誘導電流が流れる。位置座標検出装置20は、この誘導電流が流れたセンサーコイルから、表示面10aにおけるペン先の位置座標(X座標、Y座標)を割り出す。感圧センサー127を用いて割り出したスタイラスペン12の表示面10aへの押圧力と、表示面10aにおけるスタイラスペン12の存在位置(位置座標)とを用い、当該位置座標における画像(点)の大きさを決定する。一般には、押圧力に応じた大きさに画像を設定する。つまり、スタイラスペン12が表示面10aに押圧されているという感圧センサー127を用いて割り出した情報と、電磁誘導の原理を用いて割り出した芯部材123の先端部が存する位置座標とを用い、スタイラスペン12が表示面10aに当接している場合にその当接位置の位置座標を割り出す。位置座標検出装置20から割り出された各画素のデータは記憶部21に記憶される。
次に、本画像表示システムがディスプレイ5に画像を表示する処理を、図4のフローチャートを用いて説明し、併せて、図5のフローチャートを用いて画像を消去する処理を説明する。
【0032】
[画像表示処理・画像消去処理]
図4に示すように、位置座標検出装置20は、スタイラスペン12の芯部材123がタブレット1の表示面10aに接触しているか、上記したようにして検出する(ステップS100)。芯部材123が表示面10aに当接している場合(ステップS100/YES)、当接位置の座標を記憶部21に記憶する(ステップS101)。位置座標検出装置20は、この処理を繰り返し(ステップS102/NO)、表示面10aにおける各位置(座標)の画像の有無を記録していく。
【0033】
画像展開部3は、指示スイッチ11から、ディスプレイ5に画像を表示するよう指示が入力された場合(ステップS102/YES)、記憶部に記憶されたデータから画像データを作成する(ステップS103)。ディスプレイエンジン4は、この画像データをディスプレイ5に表示する(ステップS104)。
【0034】
一方、磁気表示パネル10は、ステップS100〜ステップS102において、スタイラスペン12が当接した位置に、前記したように画像を形成していく。磁気表示パネル10は、利用者からの指示の有無に関わらず画像を表示することから、ディスプレイ5における表示とはリニアにはリンクしない。
【0035】
図5に示すように、画像展開部3は、指示スイッチ11から画像消去の指示が入力されると(ステップS200/YES)、ディスプレイエンジン4にディスプレイ5への表示を終了させる(ステップS201)。また、記憶部21に記憶されたデータを消去する(ステップS202)。これによって、新しい画像の入力の受付を行うことが可能となる。
【0036】
[作用・効果]
以上の説明から明らかなように、上記画像表示システムによれば、利用者から指示があった場合にのみ表示パネル部とは別体であるプロジェクタ等に画像を表示させることが可能となる。
したがって、利用者は、画像入力手段を用いて画像を完成させてからディスプレイに画像を表示させることが可能となる。
また、画像表示部は、記憶部に表示された情報を常時展開して表示する必要がなくなり、利用者から指示があった場合にのみ情報を展開し、当該データを表示し続ければよくなる。そのため、画像入力手段で入力された画像をリアルタイムでディスプレイに画像表示する場合に比べて画像表示部の処理能力(CPU能力・メモリ容量等)を低くすることができる。
【0037】
また、画像表示手段として磁気表示パネルを採用しているため、当該パネルに表示を行うに際してCPU等を用いた演算を行う必要がない。したがって、本画像表示システムは、利用者から画像を入力される際、スタイラスペンが画像入力手段に接している位置座標を検出し、記憶するだけでよく、利用者から指示のあった場合にのみ画像表示部へ画像を表示するために演算すればよくなるため、本システムに必要とされる処理能力を極めて低いものにできる。
【0038】
また、位置座標検出装置がペン(ペン先)の位置座標を検出できない、少なくとも先端部が磁石になっているペンを用いて入力された画像は、磁気表示パネルには表示されても記憶部には記憶されず、ディスプレイに表示されることはない。すなわち、LC共振回路を有していない磁石ペンを用いて入力された画像は、磁気表示パネルには表示されても、ディスプレイに表示されることはない。そのため、利用者は、磁石を用いて手元のタブレット(画像表示手段)に情報を入力すれば、その情報は、当該タブレットのみに表示され、これに接続されたプロジェクタには表示されることはない。つまり、手元の画像表示パネル部に描いた画像と、画像表示部に表示させる画像とを異なるものとすることができる。したがって、表示パネル部に、利用者のみが用いるメモ書き等を記載したり、利用者以外の者には見せたくない画像/見せる必要のない画像を描いたりすることができる。
【実施例2】
【0039】
本実施の形態に係る第2の画像表示システムを、図6及び図7を用いて説明する。なお、第1の画像表示システムと同等の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0040】
図6に示すように、この画像表示システムには、画像展開部3に、プリンタ7と接続する、画像形成部としてのプリンタエンジン6が設けられている。プリンタエンジン6は、画像展開部3により作成された画像データをプリンタエンジン7に印刷させるための処理・通信を行う機構である。
【0041】
図7は、プリンタ7に印刷を行わせる処理を説明するためのフローチャートである。なお、ステップS100〜S302/NOは図4におけるステップS100〜S102/NOと同等である。すなわち、利用者から指示があるまでは(ステップS302/NO)、位置座標検出装置20が、スタイラスペン12のペン先が表示面10aに当接した位置を記憶する(ステップS101)だけでよい。
【0042】
利用者から印刷指示があった場合(ステップS302/YES)、画像展開部3は、記憶部に格納された情報に基づき画像データを作成する(ステップS303)。プリンタエンジン6は、画像展開部3で作成された画像データを取り込み、必要に応じて所定の処理を行った後、プリンタ7へ画像データを送信し、プリンタ7に印刷を行わせる(ステップS304)。
【実施例3】
【0043】
図8、図9を用いて、本実施の形態に係る画像送信システムを説明する。なお、上記画像表示システムと同等の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図8に示すように、この画像送信システムは、ディスプレイエンジン4の代わりに画像送信部としての送信部8が画像展開部3に接続している。送信部8は、例えばネットワーク回線等を介して外部装置、例えばパーソナルコンピュータ(PC)9と接続している。
【0045】
図9は、PC9に画像データを送信する処理を説明するためのフローチャートである。なお、ステップS100〜S402/NOは図4におけるステップS100〜S102/NOと同等である。
【0046】
利用者から印刷指示があった場合(ステップS402/YES)、画像展開部3は、記憶部に格納された情報に基づき画像データを作成する(ステップS403)。送信部8は、この画像データ8をPC9へ転送するために、所定のプロトコルに従い画像データを処理等し、PC9へ転送する。
【0047】
上記システムによれば、利用者が指示した場合にのみ画像データを作成・転送する処理を行えばよいため、当該システムに求められる処理能力を低くすることができると共に、利用者が意図する画像のみを外部装置へ送信することが可能となる。
【0048】
[別例]
上記説明は本発明の好適な実施形態を示したものであり、本発明は上記説明に拘泥して解釈されるものでない。例えば、以下のように変形することも当然に可能である。
【0049】
・上記例では、画像表示手段として磁気表示パネルを例に挙げたが、液晶表示パネル等、他の表示パネルを採用することも当然にできる。
【0050】
・画像入力手段と画像表示手段とが一体重畳されたタブレットを例に挙げたが、重畳されていなかったり、別体であったりしてもよい。
【0051】
・スタイラスペン10とは別に、芯部材123の先端部がN極であり、コイル125の巻き方向が逆のスタイラスペンを用意すればいわゆるイレイザーとして機能させることが可能となる。磁気表示パネル10へは磁性が反対の芯部材が当接されるため、白(N極側表示部分)の点は緑(S極側表示部分)表示になる。また、コイル125の巻き方向が異なるため、位置座標検出装置20は、スタイラスペン12とは異なるペンが表示面10aに当接していることを検知することができる。したがって、当該ペンが当接した位置の画像を消去すればイレイザーになる。
【0052】
・磁気表示パネル10の分散媒109に表示用磁性体108とは異なる色のものを用いたり、異なる色の材料を分散等し、地色を表示用磁性体108の色(本例では緑と白)以外にすれば磁気表示パネルに二色表示することが可能となる。この場合、スタイラスペン12の芯部材123の先端部の磁性に対応してコイル125の巻き方向を変え、位置座標検出装置20が当該コイル125の巻き方向に応じて位置座標の色情報を出力すれば、位置座標検出装置20の出力画像も3値の画像データにすることができる。
この構成を採用する場合、位置座標検出装置20の磁気表示パネル128と接する面とは反対側の面に表示用磁性体108を吸引する一括消去用のN極とS極を備えた磁石が移動可能にし、磁気表示パネル10の表示を初期状態に戻せるようにするとよい。また、磁気表示パネル10における画面表示の消去に連動して、位置座標検出装置20の出力画像も初期化してもよい。
【0053】
・上記例においては磁気表示パネル10の裏面側に位置座標検出装置20を配置したが、位置座標検出装置20を磁気表示パネル10の表面側に配置してもよい。この場合、磁気表示パネル10の表示が視認できるようにするため、位置座標検出装置20は透明又は半透明である必要がある。
【0054】
・スタイラスペンの存在位置の検出方法としては、感圧センサーを用いた他の検出方法(超音波を用いた検出方法や赤外線を用いた検出方法など)も採用することができる。
【0055】
・位置座標検出装置を用いた画像作成においては、表示する色を利用者に指定・宣言させた上で画像を取り込むようにしてもよい。このようにすれば、位置座標検出装置で作成される画像データは上記した以上の色データ等を含むものにすることができる。
【0056】
・第1の画像表示システムや第2の画像表示システムに、外部装置への画像データ送信手段(画像送信システム)を組み合わせることなども当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態に係る画像表示システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に係る画像表示システムの磁気表示パネル及び位置座標検出装置を説明するための図である。
【図3】図1に係る磁気表示パネルに情報を入力するためのスタイラスペンを説明するための断面図である。
【図4】図1に係る画像表示システムの動作を説明するための第1のフローチャートである。
【図5】図1に係る画像表示システムの動作を説明するための第2のフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る第2の画像表示システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図2に係る画像表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る画像転送システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図9】図8に係る画像表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1:タブレット
10:磁気表示パネル
11:指示スイッチ
12:スタイラスペン
20:位置座標検出装置
21:記憶部
3:画像展開部
4:ディスプレイエンジン
5:ディスプレイ
6:プリンタエンジン
7:プリンタ
8:送信部
9:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像入力手段と画像表示手段とを有し、画像表示手段には画像入力部に入力された画像が表示される表示パネル部と、
各座標における情報を検出する位置座標検出部と、
位置座標検出装置で検出された各座標の情報を記憶する記憶部と、
利用者から指示があった場合に、記憶部に記憶された各座標の情報に基づき画像データを作成する画像作成部と、
画像作成部から入力された画像データを、表示パネル部とは別個の表示部に表示する画像表示部と、を備えた画像表示システム。
【請求項2】
表示パネル部は磁気表示パネルであり、
位置座標検出部は、スタイラスペンのペン先と表示パネル部の表示面との接触位置の座標を検出し、検出した接触位置に関する情報を記憶部に記憶し、
画像作成部は、当該接触位置に関する情報に基づいて表示パネル部に入力された画像をデータ化する手段である、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
画像表示システムは、さらに、画像形成装置と接続し、当該画像形成装置に画像を形成させる画像形成部を備え、
画像形成部は、利用者から指示があった場合に、画像作成部に画像データを作成させ、作成された画像データを画像形成装置に出力させる、請求項1又は2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
画像表示システムは、さらに、外部装置と接続し、当該外部装置へ画像データを送信する画像送信部をさらに備え、
画像送信部は、利用者から指示があった場合に、画像作成部に画像データを作成させ、作成された画像データを外部装置へ送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
画像入力手段と画像表示手段とを有し、画像表示手段には画像入力部に入力された画像が表示される表示パネル部と、
各座標における情報を検出する位置座標検出部と、
位置座標検出装置で検出された各座標の情報を記憶する記憶部と、
利用者から指示があった場合に、記憶部に記憶された各座標の情報に基づき画像データを作成する画像作成部と、
外部装置と接続し、画像作成部から入力された画像データを当該外部装置へ送信する画像送信部と、を備えた画像送信システム。
【請求項6】
表示パネル部は磁気表示パネルであり、
位置座標検出部は、スタイラスペンのペン先と表示パネル部の表示面との接触位置の座標を検出し、検出した接触位置に関する情報を記憶部に記憶し、
画像作成部は、当該接触位置に関する情報に基づいて表示パネル部に入力された画像をデータ化する手段である、請求項5に記載の画像送信システム。
【請求項7】
画像表示システムは、さらに、画像形成装置と接続し、当該画像形成装置に画像を形成させる画像形成部を備え、
画像形成部は、利用者から指示があった場合に、画像作成部に画像データを作成させ、作成された画像データを画像形成装置に出力させる、請求項5又は6に記載の画像送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−283614(P2008−283614A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127880(P2007−127880)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】