説明

画像表示装置

【課題】 画像とともに表示させる設定情報の視認性を向上させ、操作性に優れた画像表示装置を提供する。
【解決手段】 デジタルカメラのLCDモニタ40においては、画像とともにメニュー項目が表示される。撮影モード又は再生モードが選択されているときに、メニュー項目の表示が指示されると、被写体の輪郭が不明確な画像であるぼかし画像48が表示される。このため、被写体の輪郭が明確な通常画像とともにメニュー項目が表示される場合に比べて、メニュー項目の視認性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、ユーザが撮影等のために設定する設定情報を画像とともに表示可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ等の画像表示が可能な装置においては、画像とともに、撮影等のための設定情報が表示される(例えば特許文献1参照)。そしてユーザは、画像とともに画面上に表示された設定情報の中から、所定のメニュー項目等を選択する。この場合、ユーザが新たに設定したメニュー項目に応じて画像が直ちに切換わるため、所望の画像が得られるか否かが、撮影等に先立って容易に確認できる。
【特許文献1】特開2002―297278号公報(段落[0034]〜[0054]、図4〜12参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デジタルカメラ等の画像を表示可能な装置において、例えば、非常に複雑な模様等を含む表示画像に重ねてメニュー項目が表示された場合など、表示される画像によってはメニュー項目を示す文字や数字が視認しにくいことがある。この場合、メニュー項目の選択、設定は困難になり、デジタルカメラ等の操作性が低下する。
【0004】
本発明は、画像とともに表示させる設定情報の視認性を向上させ、操作性に優れた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像表示装置は、画像を表示する画像表示手段と、画像とともに、ユーザがパラメータを選択するためのメニュー項目を表示するメニュー項目表示手段と、メニュー項目が表示されるときに、画像をぼかして表示するように画像表示手段を制御する画像制御手段とを備える。
【0006】
画像制御手段は、画像を示す画像データを処理することにより画像をぼかすことが好ましい。画像表示手段は、画像を例えば静止画像として表示する。また、画像表示手段は、画像を例えばスルー画像として表示する。この場合、画像表示装置は、例えば、被写体の画像を形成するために被写体からの光を受光する撮影レンズをさらに有し、画像制御手段が、撮影レンズのレンズ位置を合焦位置からずらすことにより、画像をぼかす。
【0007】
メニュー項目表示手段は、例えば、多数の表示領域に渡ってメニュー項目を表示する。
【0008】
本発明のデジタルカメラは、先述の画像表示装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像とともに表示させる設定情報の視認性を向上させ、操作性に優れた画像表示装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、第1の実施形態におけるデジタルカメラのブロック図である。
【0011】
デジタルカメラ10には、全体を制御する制御回路20、LCDモニタ40等が設けられている。制御回路20には、メニューボタン12、測光スイッチ(SWS)13、レリーズスイッチ(SWR)14等が接続されており、ユーザの操作に応じた所定の信号が制御回路20に送信される。
【0012】
デジタルカメラ10の表面にはモードダイヤル(図示せず)が設けられている。このモードダイヤルが所定の回転位置に定められることにより、被写体を撮影する撮影モード、撮影画像を再生する再生モード等に対応した信号が制御回路20に送られる。このように、モードダイヤルの操作によって所望のモードが選択、設定される。
【0013】
メニューボタン12が押下されると、制御回路20の制御によってLCDモニタ40上にメニュー画面が表示される。ユーザは、メニュー画面に含まれる、撮影、もしくは画像再生等のための様々なメニュー項目ごとに定められたパラメータを選択することができる。メニュー項目には、例えば、記録サイズ(画像の解像度)、画質、ホワイトバランス等が含まれる。そして、選択されたパラメータに応じた信号が制御回路20に送られることにより、所望のパラメータが被写体の撮影、もしくは画像の再生に使用される。なおパラメータには、ユーザが選択可能な数値に加え、予め設定されている選択可能な複数のモードが含まれる。
【0014】
レリーズボタン(図示せず)が半押しされると、測光スイッチ13がオン状態になる。撮影モードにおいて測光スイッチ13がオン状態になると、測距処理部(図示せず)による測距動作が行われる。こうして得られた測距データは、制御回路20に送信される。制御回路20は、測距データに基づき、撮影レンズ30のレンズ位置を調整して合焦させるようにレンズ駆動回路42を制御する。
【0015】
レリーズスイッチ14は、レリーズボタンを全押しすることによりオン状態になる。レリーズスイッチ14がオン状態になると、制御回路20からの制御信号に基づいて、絞り駆動回路(図示せず)が絞り31を所定量だけ開き、シャッタ(図示せず)が所定の開度まで所定時間だけ開放される。そして撮影レンズ30を介して入射する被写体からの反射光により、CCD32が露光される。
【0016】
露光されたCCD32においては、被写体像を示す画像信号が生成される。生成されたアナログの画像信号は、アナログ信号処理回路34において増幅され、A/D変換された後に画像信号処理回路36に送られる。画像信号には、画像信号処理回路36においてさらに所定の処理が施され、生成された画像データが、SDRAM38において一時的に記録された後、メモリカード46に記録される。
【0017】
撮影モード、もしくは再生モードが設定されていた場合に、メニューボタン12が押下されてメニュー項目の表示が指示されると、以下に示すように、メニュー項目とともに被写体の輪郭がぼかされた画像であるぼかし画像がLCDモニタ40に表示される。
【0018】
すなわち、撮影モードが選択されていたときには、画像データは、SDRAM38から画信号像処理回路36に送られ、後述する処理により処理済画像データとしてLCDモニタ40に送られる。この結果、処理済画像データによるぼかし画像が表示される。一方、再生モードが選択されていたときには、メモリカード46から画像データが読み出され、撮影モード時と同様の処理によって得られた処理済画像データがLCDモニタ40に送られ、ぼかし画像が表示される。
【0019】
なお、ぼかし画像とは、通常は撮影範囲の中央付近に位置することの多い、ピントのあっている主な被写体の輪郭すらもぼけている画像をいう。またここでは、被写体像を含まずにメニュー項目のみを表示する画面をメニュー画面とし、被写体像とともに表示されるメニュー項目と区別する。そして、撮影モード又は再生モードにおいて、メニュー項目の表示指示がないときには、合焦された通常の被写体像がLCDモニタ40上に表示される。
【0020】
図2は、画像信号処理回路36におけるぼかし画像の生成を示す図である。図3は、ぼかし画像を例示する図である。
【0021】
撮影モードにおいてメニュー項目の表示が指示されたとき、画像データBDは、画像信号処理回路36において、以下のように処理される。まず、SDRAM38に一時的に格納された画像データBDは、画素補間、ガンマ補正等により、色データ(RGB)である第1の色データCD1、第2の色データCD2に変換される。第1および第2の色データCD1、CD2は、いわゆるR:G:B=4:4:4の形式に従った画像データであり、それぞれのデータに対応する画像の画素数は、画像データBDの画像の画素数に等しい。
【0022】
第1の色データCD1は、所定のYCマトリクスによって第1の輝度データY(α)と色差データCb、Crとに変換される。同様に、第2の色データCD2は、第2の輝度データY(β)と色差データCb’、Cr’とに変換される。色差データCb’、Cr’は、使用されないため、直ちに消去される。
【0023】
輝度データY(α)と色差データCb、Crは、いわゆるY:Cb:Cr=4:2:2の形式に従った画像データであり、第1の輝度データY(α)の画像の画素数は、画像データBDの画像の画素数に等しく、色差データCb、Crの画像の画素数は、画像データBDの画像の画素数の半分である。第2の輝度データY(β)と色差データCb’、Cr’についても同様である。
【0024】
第2の輝度データY(β)は、LPF処理により第3の輝度データY’(β)に変換される。このため、第3の輝度データY’(β)による画像は、被写体の輪郭が不明確な画像である。一方、LPF処理が施されない第1の輝度データY(α)および色差データCb、Crに対応する各画像は、原画像のままであり、被写体の輪郭が明確な画像である。
【0025】
変換された第3の輝度データY’(β)と、第1の輝度データY(α)とは加算され、輝度データY(α+β)と色差データCb、Crにより形成される処理済画像データTDが得られる。
【0026】
処理済画像データTDの輝度データY(α+β)は、LPF処理が施された第3の輝度データY’(β)と、LPF処理が施されていない第1の輝度データY(α)とから成るので、処理済画像データTDによる画像は、被写体の輪郭が不明確な画像と、輪郭が明確な画像との合成画像である。従って、図3に例示するように、被写体の輪郭が完全に失われてはいない、処理済画像データTDによるぼかし画像48がLCDモニタ40に表示される。
【0027】
なお、再生モードにおいても、上記撮影モード時と同様にメニュー項目の表示が指示されたとき、メモリカード46より読み出された画像データに対し、画像信号処理回路36において、輝度データが上述のように処理されて、ぼかし画像48とメニュー項目とが表示される。
【0028】
このように、記録サイズ、画質、明るさ、ホワイトバランス等のメニュー項目が、被写体の輪郭がさほど明確でないぼかし画像48にスーパーインポーズして表示される。なおメニュー項目は、図3に例示するように、文字、数字、記号等を含み、建物を含む被写体画像と混在するように表示される。すなわち、メニュー項目は、LCDモニタ40の隅などに設けられた特定かつ少数の限定された表示領域に表示されるのではなく、LCDモニタ40の広い範囲に渡って、不特定かつ多くの細かい表示領域において表示される。このため、ぼかし画像48とともに表示されると、メニュー項目の視認性が向上する。
【0029】
一方、撮影モード又は再生モードにおいて、メニュー項目の表示が指示されないとき、またはメニュー表示の終了後には、ぼかし画像は生成されず、画像データBDに基づく被写体像がLCDモニタ40上に表示される。このため、このとき表示される通常画像においては、被写体の輪郭は明確である。
【0030】
図4は、撮影モードにおいて、スルー画像としてのぼかし画像と通常画像とを切換えて表示するスルー画像表示ルーチンを示すフローチャートである。
【0031】
スルー画像表示ルーチンは、撮影モードが選択されると開始する。ステップS101では、被写体の輪郭が明確な通常画像が、スルー画像としてLCDモニタ40上に表示される。ステップS102では、メニュー項目の表示が指示されたか否かが判断され、メニュー項目の表示が指示されたと判断されると、ステップS103に進む。ステップS103では、被写体がぼかし画像として表示されるとともに、メニュー項目がぼかし画像にスーパーインポーズされて表示され、ステップS104に進む。
【0032】
ステップS104では、所望のメニュー項目についてパラメータが選択、設定されてステップS105に進む。ステップS105では、最後のパラメータの設定から所定の時間が経過したことにより、パラメータ設定が終了したか否かが判断される。そして、パラメータ設定が終了したと判断されると、ステップS106に進み、パラメータ設定が終了していないと判断されると、ステップS104に戻る。ステップS106では、LCDモニタ40上の表示画像が、ぼかし画像から通常画像に切換えられるとともに、メニュー項目の表示が終了し、ステップS101に戻る。
【0033】
図5は、再生モードにおいて、静止画像としてのぼかし画像と通常画像とを切換えて表示する静止画像表示ルーチンを示すフローチャートである。
【0034】
静止画像表示ルーチンは、再生モードが選択されると開始する。ステップS201においては、メモリカード46に記憶されていた画像の再生が指示され、ステップS202に進む。ステップS202では、被写体の輪郭が明確な通常画像が、静止画像としてLCDモニタ40上に表示される。ステップS203では、メニュー項目の表示が指示されたか否かが判断される。メニュー項目の表示が指示されたと判断されると、ステップS204に進む。ステップS204では、被写体がぼかし画像として表示されるとともに、メニュー項目がぼかし画像にスーパーインポーズされて表示され、ステップS205に進む。
【0035】
ステップS205では、所定のパラメータが設定され、ステップS206に進む。ステップS206では、先述のスルー画像表示ルーチンと同様に、パラメータ設定が終了したか否かが判断される。そして、パラメータ設定が終了したと判断されると、ステップS207に進む。ステップS207では、LCDモニタ40上に表示される静止画像が、ぼかし画像から通常画像に切換えられるとともに、メニュー項目の表示が終了し、ステップS202に戻る。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、様々なメニュー項目がぼかし画像とともに表示されることにより、メニュー項目の視認性が向上する。さらに、ぼかし画像における被写体の輪郭が完全に失われてはいないことから、メニュー項目と被写体とを同時に認識しながらのフレーミング動作が可能になる。
【0037】
以下に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、デジタルカメラ10は、第1の実施形態と同一の構成要素を備えているものの、以下に示すように、第1の実施形態とは異なる手法により、スルー画像としてのぼかし画像が生成される。
【0038】
撮影モードが選択されているときに、メニュー項目の表示を指示する信号が制御回路20に送られると、制御回路20は、撮影レンズ30の位置を合焦位置から所定量だけずらすように、レンズ駆動回路42を制御する。この結果、得られた画像データに処理を施すことなしに、ぼかし画像が生成される。なおこのとき、ぼかし画像の生成のための駆動量を少なくするために、撮影レンズ30は、近距離側に所定量だけ駆動されることが好ましい。ぼかし画像は、第1の実施形態と同様に、メニュー項目とともにLCDモニタ40上に表示される。なお、メニュー項目の表示が終了すると、レンズ駆動前のレンズ位置に撮影レンズ30を戻す処理を行う。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、撮影レンズ30の駆動制御により、スルー画像としてのぼかし画像を得ることができる。
【0040】
いずれの実施形態においても、メニュー項目が表示される場合、被写体はぼかし画像として表示されるが、LCDモニタ40の表示画面に占めるメニュー項目の大きさに応じて通常画像を表示させても良い。この場合、制御回路20によってメニュー項目が所定の大きさよりも小さいと判断されたときには、通常画像が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態におけるデジタルカメラのブロック図である。
【図2】画像信号処理回路におけるぼかし画像の生成を示す図である。
【図3】ぼかし画像を例示する図である。
【図4】スルー画像としてのぼかし画像と通常画像とを切換えて表示する、スルー画像表示ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】静止画像としてのぼかし画像と通常画像とを切換えて表示する、静止画像表示ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
10 デジタルカメラ
20 制御回路(画像制御手段)
30 撮影レンズ
36 画像信号処理回路(画像制御手段)
38 SDRAM(画像制御手段)
40 LCDモニタ(画像表示手段・メニュー項目表示手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示手段と、
前記画像とともに、ユーザがパラメータを選択するためのメニュー項目を表示するメニュー項目表示手段と、
前記メニュー項目が表示されるときに、前記画像をぼかして表示するように前記画像表示手段を制御する画像制御手段と
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記画像制御手段が、前記画像を示す画像データを処理することにより前記画像をぼかすことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像表示手段が、前記画像を静止画像として表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像表示手段が、前記画像をスルー画像として表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
被写体の画像を形成するために前記被写体からの光を受光する撮影レンズをさらに有し、
前記画像制御手段が、前記撮影レンズのレンズ位置を合焦位置からずらすことにより、前記画像をぼかすことを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記メニュー項目表示手段が、多数の表示領域に渡って前記メニュー項目を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像表示装置を備えることを特徴とするデジタルカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−333045(P2006−333045A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153450(P2005−153450)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】