説明

画像記録装置及び画像記録方法

【課題】 銀塩感光材料の有する潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現し、画像記録の生産性への影響を最小限にできる画像記録装置及び画像記録方法を提供する。
【解決手段】 この画像記録方法は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光し、この露光により画像を記録した銀塩感光材料を現像処理するものであって、銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定し、銀塩感光材料へ記録するときの画素における所定の色の画素数bをカウントし、全画像を構成する画素数aをカウントし、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の値以上である場合、露光後から現像処理までの時間を制御して潜像安定化処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で画像を露光することで画像を記録した銀塩感光材料を現像処理する画像記録装置及び画像記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にカラー印刷物を作成する際には、原稿フィルムの段階で色校正を行うことが要求される場合があり、このような場合には、C(シアン)版、M(マゼンタ)版、Y(イエロー)版、及び、K(ブラック)版に色分解された各色分解網原稿フィルムを使って校正物(カラープルーフ)を作成し、本番の印刷版を作成する前に、原稿フィルムのレイアウトや色、更に、文字等に関する誤りの有無検査を含む最終印刷物の仕上がり品質を確認している。
【0003】
近年においては、DTP(Desk Top Publishing)等の普及により、スキャナから入力した画像をコンピュータのソフトウェア上で画像編集、ページ面付けする作業が一般化し、フルデジタルでの編集も珍しくなくなってきている。
【0004】
このような工程では、更なる効率化を目指して、ページ編集済みの画像データをフィルムに直接出力するイメージセッタ出力や、印刷版に直接出力するCTP(Computer To Plate)出力、更には、印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像出力するCTC(Computer To Cylinder)が行われている。
【0005】
この場合、校正確認のためだけにフィルム出力や印刷版出力を行う必要があり、最終的な印刷物作成と同等若しくはそれ以上の手間や時間、更にフィルムや印刷版の無駄が発生する問題がある。このため、特に、このようなコンピュータによるフルデジタルの画像作成、編集を行う工程では、カラープルーフの作成は、DDCP(Direct Digital Color Proof)やDCP(Digital Color Proof)と呼ばれるデジタル画像データを直接出力してカラー画像を得るシステムが求められている。
【0006】
このようなDDCPは、コンピュータ上で加工されたデジタル画像データからイメージセッタなどで製版用フィルム上に記録したり、CTPで直接印刷版を作成する最終的な印刷作業を行ったり、CTCで印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像記録を行ったり等する前に、コンピュータ上で加工されたデジタル画像を直接出力して印刷仕上がり品質を再現するカラープルーフを作成し、その絵柄、色調、文章、文字等の確認作業を行えるようにしたものである。
【0007】
また、このような製版・印刷工程における校正のプロセスでは、
(1)作業現場内部のミスの確認用である内校、
(2)発注主、デザイナへの仕上がり確認用に提出される外校、
(3)印刷機の機長に対して、最終印刷物の見本として提供される印刷見本、
の主として3つの用途向けにプルーフが作成され、使用される。
【0008】
上記校正プロセスの内の、内校及び一部の外校用途においては、納期短縮、コスト削減等のニーズから、網点画像が再現できない校正材料を使用したDDCP、即ち、昇華転写方式やインクジェット、電子写真等の出力物を主として、体裁確認用のプルーフとして使用するケースがあるが、ハイライト部の再現性や細かいディテール、更に、印刷時のモアレと呼ばれる網画像の不適切な干渉縞発生の有無等の品質確認や、印刷見本として使用するプルーフ用途には、やはり印刷網点を忠実に再現するプルーフ出力が望まれているのが実状である。
【0009】
このようなニーズを満足するDDCPとしては、ハイパワーヒートモードレーザを用いて感光材料に画像露光を行い、印刷本紙に転写するタイプのものがある。しかし、このような高品質の網点を再現できるシステムでは、装置及び感光材料のコストが高くなる欠点があった。
【0010】
これに対し、近年、低コストで網点画像の確認ができる銀塩カラー感光材料を利用したDDCPが普及し始めている。銀塩カラー感光材料を利用した方式は、例えば、R、G、Bの波長の異なる複数の光を組み合わせて合成された光点で、例えば、C、M、Yの各発色層にて構成される感光材料を露光し、C、M、Yの各ドットを発色させて網点カラー画像を形成するものである。
【0011】
以上のような銀塩感光材料を利用した画像記録装置では、画像露光直後から現像処理を開始するまでには一定の時間が必要であり、有限時間が存在する。一方、銀塩感光材料は、画像を露光した状態で現像処理を行わずに潜像の状態で放置した後に現像処理を行った場合と、画像を露光した直後に現像処理を行った場合とでは、仕上がりの発色濃度に差が生じる性質があり、時間経過により発色濃度が低下する傾向を示す潜像退行特性の銀塩感光材料と、時間経過により発色濃度が上昇する傾向を示す潜像進行特性の銀塩感光材料とがある。かかる潜像退行特性及び潜像進行特性を総称して潜像特性と称する。この潜像特性は、露光直後の変動が大きく、所定時間経過後は、ほぼ安定することが知られている。
【0012】
銀塩感光材料の有する潜像特性を考慮し、安定した画像を得る画像記録装置としては、下記特許文献1に記載された画像記録装置があるが、記録画像のプロファイルとは無関係に安定化処理が実行されるため、装置の処理能力を充分引き出すことができないという問題があった。
【特許文献1】特開2004−224523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、銀塩感光材料の有する潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現し、画像記録の生産性への影響を最小限にできる画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による第1の画像記録装置は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定する構成色判定手段と、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントする第1のカウント手段と、全画像を構成する画素数をカウントする第2のカウント手段と、を具備し、前記所定の色の画素が含まれていると判定され、前記第1のカウント手段がカウントした画素数と、前記第2のカウント手段がカウントした画素数との比率が所定の値以上である場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする画像記録装置。
る。
【0015】
第1の画像記録装置によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上であるときに、潜像が安定するまでのカウント時間に基づいて現像処理までの時間を制御するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色についての画素率b/aが所定比率以上であるために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【0016】
本発明による第2の画像記録装置は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定する構成色判定手段と、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントする第1のカウント手段と、全画像を構成する画素数をカウントする第2のカウント手段と、を具備し、前記所定の色の画素が含まれていると判定され、前記第1のカウント手段がカウントした画素数と、前記第2のカウント手段がカウントした画素数との比率が所定の値以上であり、かつ、前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下である場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする。
【0017】
第2の画像記録装置によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上でありかつその所定の色を記録する露光光量が所定値以下であるときに、潜像が安定するまでのカウント時間に基づいて現像処理までの時間を制御するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色についての画素率b/aが所定比率以上でありかつその色を記録する露光光量が所定値以下であるために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【0018】
本発明による第3の画像記録装置は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記網点画像データが所定の網%以下の網データを含んでいるか否かを判定する網%判定手段と、を具備し、前記網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれている場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする。
【0019】
第3の画像記録装置によれば、網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれているときに、潜像が安定するまでのカウント時間に基づいて現像処理までの時間を制御するので、銀塩感光材料の潜像特性が網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれているために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【0020】
本発明による第4の画像記録装置は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記網点画像データの内の所定の色版データが所定の網%以下の網データを含んでいるか否かを判定する所定色網%判定手段と、を具備し、前記網点画像データの所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれている場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする。
【0021】
第4の画像記録装置によれば、網点画像データの所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれているときに、潜像が安定するまでのカウント時間に基づいて現像処理までの時間を制御するので、銀塩感光材料の潜像特性が網点画像データに所定の色について所定の網%以下の網データが含まれているために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【0022】
上記第1乃至第4の画像記録装置において前記カウント時間が所定時間に達すると、前記排紙搬送手段を制御し前記露光済の銀塩感光材料を前記現像装置に搬送し現像処理を行うように構成できる。
【0023】
また、前記排紙搬送手段による前記露光部から前記現像装置までの搬送時間と所定の潜像安定時間とに基づいて前記潜像安定化タイマ手段におけるカウント時間を設定することで、画像記録のサイクルタイムへの影響を最低限にできる。
【0024】
本発明による第1の画像記録方法は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光し、前記露光により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する画像記録方法であって、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定するステップと、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数bをカウントするステップと、全画像を構成する画素数aをカウントするステップと、前記カウントした所定の色の画素数bと前記カウントした全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の値以上である場合、前記露光後から前記現像処理までの時間を制御して潜像安定化処理を行うステップと、を含むすることを特徴とする。
【0025】
第1の画像記録方法によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上であるときに、露光後から現像処理までの時間を制御することで潜像安定処理を行うので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色についての画素率b/aが所定比率以上であるために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【0026】
本発明による第2の画像記録方法は、銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光し、前記露光により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する画像記録方法であって、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定するステップと、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントするステップと、全画像を構成する画素数をカウントするステップと、前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下であるか否かを判定するステップと、前記カウントした所定の色の画素数と前記カウントした全画像を構成する画素数との比率が所定の値以上であり、かつ、前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下である場合、前記露光後から前記現像処理までの時間を制御して潜像安定化処理を行うステップと、を含むすることを特徴とする。
【0027】
第2の画像記録方法によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上でありかつその所定の色を記録する露光光量が所定値以下であるときに、露光後から現像処理までの時間を制御することで潜像安定処理を行うので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色についての画素率b/aが所定比率以上でありかつその色を記録する露光光量が所定値以下であるために安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、しかも、現像処理までの時間を必要最小限の時間にできるので、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の画像記録装置及び画像記録方法によれば、銀塩感光材料の有する潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現でき、画像記録の生産性への影響を最小限にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による画像記録装置全体の外観を示す斜視図である。図2は図1の画像記録装置の内部を正面側から見た図である。図3は図2の画像記録装置のドラム及び光学ユニットを上部から見た要部平面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態による画像記録装置1は、銀塩感光材料に露光し画像を形成する露光ユニット11と、露光された銀塩感光材料を現像する現像ユニット21と、を備える。
【0031】
露光ユニット11は、前面からメンテナンスできるように開閉可能な前面パネル5と、各種情報の表示とタッチパネルからなり装置全体の操作のために入力可能な表示部2と、内部にロール状に巻かれたシート状銀塩感光材料である感光紙を収容したカートリッジ13を給紙カバー3,4の開放後に装填可能な装填部12,12’と、を備える。図1では装填部12,12’にカートリッジ13を装填する前、装填した後の状態を示している。
【0032】
現像ユニット21は、メンテナンスのために開閉可能な上面パネル6と、前面には、現像処理液等の補充等のために開閉可能に設けられた補給パネル7と、を備える。
【0033】
図2のように、画像記録装置1の露光ユニット11は、装填部12,12’に装填されたカートリッジ13から感光紙を給送する搬送ローラ対40,41,42等からなる給送部14と、給送部14から給送された感光紙Sを外周面に真空吸引し保持しながら主走査のために回転方向Rに回転するドラム10と、ドラム10上の感光紙に対しLED光やレーザ光等の光ビームを露光し感光紙に潜像を形成する光学ユニット16と、光学ユニット16を副走査のために副走査方向(図2の紙面垂直方向)に搬送する副走査部17と、画像記録後のドラム10上の感光紙を剥離する剥離部材15と、を備える。露光後の感光紙は出口19及び接続部19aを通して現像ユニット21へと搬送される。
【0034】
図2の画像記録装置1は、更に、搬送ローラ対42の下流側に配置されドラム10に向けて送られる感光紙の搬送に従い従動回転する従動ローラ43と、感光紙をドラム10との間で搬送する従動ローラ31と、ドラム10上から剥離部材15で剥離された感光紙をドラム10と従動ローラ31とで搬送するときに感光紙をガイドするガイド部材18と、ガイド部材18を通して送られてきた感光紙を出口19へと更に搬送する搬送ローラ対32と、搬送ローラ対32に達した感光紙をアキュームするためのアキュームレート部30と、搬送ローラ対32の下流側近傍に配置された感光紙の先端を検出する光反射型の検出センサ33と、を備える。
【0035】
搬送ローラ対42の下流側近傍に配置された比較的幅狭の従動ローラ43は感光紙の移動とともに従動回転し、この従動ローラ43と同軸にロータリエンコーダ58が連結されている。このロータリエンコーダ58が従動ローラ43とともに回転し回転量を測定することで搬送ローラ対42を通過してドラム10に巻き付けられた感光紙の長さを求めることができる。また、下流側の搬送ローラ対32は、ワンウェイクラッチ構造を有し、感光紙の下流側への送り出し方向への回転が自在となっている。
【0036】
また、図2の搬送ローラ対40,41の下流側近傍には感光紙を切断するカット部10aがそれぞれ配置されており、各カット部10aはモータ(図示省略)により回転駆動されるロータリカッタを有し、上述の感光紙の長さ測定に基づいて感光紙を所定長さに切断する。
【0037】
また、露光済みの感光紙をアキュームレート部30でいったんアキュームし搬送を停止する場合、搬送ローラ対32に達した感光紙の先端を検出センサ33で検出すると、搬送ローラ対32を駆動する搬送ローラ対用モータ61(図4)が止まって感光紙の搬送が停止するとともに、アキューム用モータ62(図4)が作動し図2の破線のようにガイド部材18が回動し開放され、アキュームレート部30が搬送ローラ対32の下方に形成されるようになっている。
【0038】
図2の現像ユニット21は、露光ユニット11から送られた露光済みの感光紙について湿式現像を行い感光紙の潜像を可視化するもので、感光紙の現像処理を行う現像部23と、定着処理を行う定着部24と、安定処理を行う安定部25と、乾燥処理を行う乾燥部26と、乾燥された感光紙を搬送ローラ対27a等で外部に排出する排出部27と、画像が可視化され排出された感光紙を集積する集積部28と、を備える。
【0039】
図3のように、画像記録装置1のドラム10は、回転軸部14’の回転軸14a及び回転軸部18’の回転軸15aが軸受33a、33bを介して支持台34a、34bに回転可能に軸支されている。ドラム10の一方の回転軸15aには、駆動プーリ35aが設けられ、この駆動プーリ35aはドラム駆動用パルスモータM6の出力プーリ35bとベルト36により連結され、ドラム駆動用パルスモータM6の駆動によりドラム10が回転する。また、ドラム10の回転軸15aには、ロータリーエンコーダ37が設けられ、回転のためのパルス信号を出力してドラムの回転に同期した画素クロック制御に用いる。
【0040】
ドラム10の他方の回転軸14aは吸引ブロアP1に連結されている。ドラム10の表面には吸着孔31cが回転軸方向に直線状に延びて多数形成されており、吸引ブロアP1の駆動によりドラム10の内部が減圧されて感光紙がドラム10の表面に吸着される。
【0041】
光学ユニット16は、副走査部17によりドラム軸と平行に移動可能に構成され、デジタル画像信号を受けてドラム10に吸着された感光紙に光ビームで露光して画像の書き込みを行う。図3に示すように、光学ユニット16には、3波長の光源、例えばB、G、R用の光源としてLEDユニット320、LEDユニット321、LEDユニット322が配置されている。各LEDユニット320,321,322からの光ビームは、ミラー325、326、327を介して、集光レンズ331からドラム10上の感光紙に画像を露光する。露光シャッタ332は露光ソレノイド333により開閉することで、露光開始/終了時に光路の開閉を行なう。
【0042】
光学ユニット16は、移動ベルト340に固定され、一対のガイドレール341、342に案内されてドラム軸と平行方向に移動可能に設けられている。移動ベルト340は一対のプーリ343、344に掛け渡され、一方のプーリ344は副走査モータM7の出力軸345に連結され、副走査モータM7の駆動により光学ユニット16がドラム軸と平行に移動する。
【0043】
図3に示すように、吸引ブロアP1は空気吸引ポンプにより吸引連結管51を通してドラム10内を吸引し、露光ユニット11による露光開始前にドラム10内を負圧にし感光紙を外周面に吸着する。また、感光紙をドラム10の周囲に巻き付けて搬送するときに吸引ブロアP1を作動させ感光紙を吸引する。
【0044】
図4に図1〜図3の画像記録装置1の露光ユニット11における画像データの流れ及び画像記録装置1の制御系のブロック図を示す。
【0045】
図4に示すように、図1〜図3の画像記録装置1は、例えばカラープルーフを作成するために外部の画像処理装置であるRIP(Raster Image Processor)49でラスターデータから網点画像データを作成し、この網点画像データがRIP49から露光ユニット11に転送されるようになっている。
【0046】
露光ユニット11は、図4のように、外部のRIP49からの網点画像データが入力する画像データI/F部52と、画像データI/F部52からの網点画像データをいったん記憶し随時出力するハードディスク記憶装置等からなるデータバッファ53と、データバッファ53からのYMCKの網点画像データに対する光源駆動値を対応づけて感光紙に対する露光のための露光光量を設定する露光ルックアップテーブル(露光LUT)54と、露光ルックアップテーブル54からの露光データのデジタル信号をアナログ信号に変換するB、G、Rの各LEDユニット320〜322に対応した複数のD/A変換部55a,55b,55cと、D/A変換部55a〜55cからの各アナログ信号により各LEDユニット320〜322の各LEDを直接にアナログ変調しドライブする複数のドライバ56a,56b,56cと、を備える。
【0047】
画像記録装置1の制御系は、図4のように、中央演算処理装置(CPU)から構成される制御部50を備え、制御部50は、検出センサ33等からの各信号が入力し、画像データI/F部52、データバッファ53、露光ルックアップテーブル54、表示部2、搬送ローラ対用モータ61,アキューム用モータ62及び他の装置部分を制御する。
【0048】
図4の制御系は、更に、露光済の感光紙に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントするためのタイマ63と、記録画像を構成する画素に所定の色の画素が含まれているか否か等の判定を行う色判定部64と、画像記録のときの所定の色についての露光光量が所定値以下となる画素が含まれているか否かを判定する露光光量判定部65と、網点画像データが所定の網%以下の網データを含んでいるか否かを判定する網%判定部66と、感光紙へ記録するときの画素における所定の色の画素数bを網点画像データに基づいてカウントする第1のカウント部67と、全画像を構成する画素数aを網点画像データに基づいてカウントする第2のカウント部68と、を備え、各部63乃至68を制御部50が制御するようになっている。
【0049】
色判定部64,露光光量判定部65及び網%判定部66は、図4のデータバッファ53からの網点画像データに基づいて、それぞれの判定を実行できる。即ち、色判定部64は、網点画像データの中の色指定データに基づいて所定の色が含まれているか否かを判定するとともに、第1のカウント部67と第2のカウント部68でカウントした所定の色の画素数bと全画素数aとの画素率b/aが所定値以上であるか否かを判定する。露光光量判定部65は、露光LUT54で設定された露光光量データに基づいて所定の色の露光光量が所定値以下となる画素が含まれているか否かを判定する。
【0050】
また、網%判定部66は、網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれているか否かを次のようにして判定する。即ち、網点画像データにおいて網点境界の外エッジ画素を検出し、外エッジとされた注目画素を中心にし、9×9や14×14等のn×n(nは整数)のマスクフィルタを用いて各升目において画素がオンかオフかをカウントすることで、オンの画素のカウント数に基づいて網%(網点面積率)を算出してから、この算出結果により所定の網%以下の網データがあるか否かを判定する。
【0051】
なお、網点は階調画像の濃淡を網点面積の大小で表現するものであり、網%(網点面積率)は単位面積当たりに占める網点の面積の比率をパーセントで表し、この網点面積率で色の濃淡の度合いを示すことができる。
【0052】
制御部50は、各判定結果に基づいて所定の潜像安定時間が必要か否かを判断し、所定の潜像安定時間が必要な場合、タイマ63を作動させ、例えば、露光済みの感光紙の搬送を搬送ローラ対32で止めて待機させ、所定時間が経過したら、露光済みの感光紙を現像ユニット21に向けて搬送させるように制御する。この場合、所定の潜像安定時間が必要か否かの判断は、感光紙に対する露光動作の終了時点で完了しており、所定の潜像安定時間が必要な場合、タイマ63が露光動作が終了すると直ちに時間のカウントを開始するようになっている。
【0053】
所定の潜像安定時間の確保は次のように制御して実現できる。即ち、画像記録装置1の通常の動作において光学ユニット16における露光動作の終了時点から、その露光済み感光紙をドラム10上から剥離部材15で剥離しガイド部材18を通して搬送ローラ対32で搬送し、出口19及び接続部19aを通して現像ユニット21に送り、露光済み感光紙が現像部23に達するまでの通常搬送時間をxとし、所定の潜像安定時間をyとすると、露光光量が所定値以下であることや予定濃度が所定値以下であること等の特定の条件では、必要な潜像安定時間yが通常搬送時間xを越えて長くなる。
【0054】
上述のように、通常搬送時間x<潜像安定時間yであるので、その時間差z(=y−z)の間だけ、露光済みの感光紙を、例えば搬送ローラ対32で止めて待機させる。そして、作動中のタイマ63が上記時間差zをカウントしたら、搬送ローラ対32で搬送を再開し、露光済みの感光紙を現像ユニット21の現像部23へと送る。
【0055】
上述のようにして、露光済みの感光紙の搬送を制御することで、所定の潜像安定時間yを確実に確保しながら、必要最小限の時間(z)だけ待機すればよいので、潜像安定を図りつつ画像記録の生産性をさほど低下させずに済む。
【0056】
また、色判定部64、露光光量判定部65及び網%判定部66における各判定基準となる所定の色、所定値、所定の網%、更に、画素率b/aについての判定基準となる所定比率は、それぞれ予め制御部50に設定することができ、その変更も可能である。また、通常搬送時間x及び所定の潜像安定時間yも、予め制御部50に設定でき、その変更が可能である。
【0057】
また、網%判定部66は、各色版の画像データの中の所定の色版データについて網%を算出してから、この算出結果により所定の色版データに所定の網%以下の網データがあるか否かを判定するように構成してもよく、どの色版データを判定対象とするかは、予め制御部50に設定でき、その変更が可能である。
【0058】
次に、図1〜図4の画像記録装置1の第1乃至第4の動作についてそれぞれ図5乃至図8、及び図9の各フローチャートを参照して説明する。
【0059】
〈第1の動作〉
【0060】
図5の第1の動作は図4の色判定部64,第1及び第2のカウント部67,68を用いるものである。図5のように、まず、図4の外部のRIP49から網点画像データが入力すると(S01)、装填部12または12’から感光紙を搬送ローラ対40〜42等でドラム10に向けて給紙搬送し(S02)、カット部10aで所定長さに切断した感光紙をドラム10に巻き付け吸引ブロアP1を作動させて吸引により保持する。
【0061】
次に、光学ユニット16を副走査方向Hに副走査しドラム10を主走査方向(回転方向R)に回転させることで、ドラム10上の感光紙に対し光学ユニット16の各LED320〜322からの光ビームで画像を露光する(S03)。この露光動作により、入力した網点画像データに基づいて画像記録が行われ、感光紙に潜像が形成される。
【0062】
一方、色判定部64における判定について図9のフローチャートを参照して説明すると、画像データが入力したか否かを判断し(S12)、入力したとき、画像データの色版データに基づいて記録する画素に所定色の画素が含まれているか否かを判定し(S04)、所定色の画素が含まれている場合、その所定色の画素数bをカウントし(S05)、全画像の画素数aをカウントする(S06)。なお、所定色が含まれていないときは、所定色の画素数のカウントをゼロにする(S13)。
【0063】
次に、図5に戻り、所定の色の画素数bと全画素数aとの画素率b/aが所定の比率以上であるか否かを判断し(S07)、所定の比率以上である場合、タイマ63が上述のステップS03の露光が終了した後、直ちに作動し時間をカウントする(S08)。
【0064】
次に、露光済みの感光紙をドラム10から剥離部材15で剥離し、従動ローラ31とドラム10の回転でガイド部材18を通して搬送し、更に搬送ローラ対32により搬送するようにして現像ユニット21に向けて排紙搬送を行う(S09)。そして、タイマ63がカウントアップするか否かを判断する(S10)。この場合、タイマ63のカウントアップ以前に露光済みの感光紙が搬送ローラ対32に達し、感光紙の先端を検出センサ33が検出すると、搬送ローラ対用モータ61が止まり、搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が停止し、タイマ63がカウントアップするまで待つ。なお、このとき、図2の破線で示すように、露光済みの感光紙S1は、アキューム用モータ62が駆動しガイド部材18が開放して形成されたアキュームレート部30に垂れ下がるようにして蓄積される。
【0065】
次に、タイマ63の時間カウント(時間差zに相当する時間)が終了しカウントアップすると、モータ61が駆動して搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が再開され、露光済みの感光紙を搬送ローラ対32により出口19から接続部19aを通して現像ユニット21の現像部23へと搬送する(S11)。そして、現像部23,定着部24,安定部25、乾燥部26で現像処理等を順々に行ってから(S14)、排出部27を通して外部へ排出し集積部28へ出力する(S15)。
【0066】
なお、ステップS07で画素率b/aが所定の比率以下と判断した場合は、露光済みの感光紙を通常どおり現像ユニット21に向け排紙搬送する(S16)。
【0067】
以上のように、図5の第1の動作によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上であるときに、露光後から現像処理開始までの時間が通常搬送時間xに時間差zだけ加えて現像処理開始までの時間を遅らせて所定の潜像安定時間yとなるように露光済みの感光紙を搬送するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色の画素率b/aが所定比率以上であるために濃度低下等が起こり安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現できる。
【0068】
なお、記録される画像に含まれる所定の色とは、その色を含むために潜像特性が安定しないものであり、使用する銀塩感光材料にもよるが、例えば、薄い青色等の比較的薄い色や特色の蛍光色やバックグラウンドの色等があるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
〈第2の動作〉
【0070】
図6の第2の動作は図4の色判定部64,露光光量判定部65,第1及び第2のカウント部67,68を用いるものである。図6のように、まず、図4の外部のRIP49から網点画像データが入力すると(S21)、装填部12または12’から感光紙を搬送ローラ対40〜42等でドラム10に向けて給紙搬送し(S22)、カット部10aで所定長さに切断した感光紙をドラム10に巻き付け吸引ブロアP1を作動させて吸引により保持する。
【0071】
次に、光学ユニット16を副走査方向Hに副走査しドラム10を主走査方向(回転方向R)に回転させることで、ドラム10上の感光紙に対し光学ユニット16の各LED320〜322からの光ビームで画像を露光する(S23)。この露光動作により、入力した網点画像データに基づいて画像記録が行われ、感光紙に潜像が形成される。
【0072】
一方、色判定部64で第1の動作の場合の図9と同様にして各判定を行う。そして、所定の色の画素数bと全画素数aとの画素率b/aが所定の比率以上であるか否かを判断し(S24)、所定の比率以上である場合、その所定の色の露光光量が所定値以下であるか否かを判断し(S25)、所定値以下である場合、タイマ63が上述のステップS23の露光が終了した後、直ちに作動し時間をカウントする(S26)。
【0073】
次に、露光済みの感光紙をドラム10から剥離部材15で剥離し、従動ローラ31とドラム10の回転でガイド部材18を通して搬送し、更に搬送ローラ対32により搬送するようにして現像ユニット21に向けて排紙搬送を行う(S27)。そして、タイマ63がカウントアップするか否かを判断する(S28)。この場合、タイマ63のカウントアップ以前に露光済みの感光紙が搬送ローラ対32に達し、感光紙の先端を検出センサ33が検出すると、搬送ローラ対用モータ61が止まり、搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が停止し、タイマ63がカウントアップするまで待つ。なお、このとき、図2の破線で示すように、露光済みの感光紙S1は、アキューム用モータ62が駆動しガイド部材18が開放して形成されたアキュームレート部30に垂れ下がるようにして蓄積される。
【0074】
次に、タイマ63の時間カウント(時間差zに相当する時間)が終了しカウントアップすると、モータ61が駆動して搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が再開され、露光済みの感光紙を搬送ローラ対32により出口19から接続部19aを通して現像ユニット21の現像部23へと搬送する(S29)。そして、現像部23,定着部24,安定部25、乾燥部26で現像処理等を順々に行ってから(S30)、排出部27を通して外部へ排出し集積部28へ出力する(S31)。
【0075】
なお、ステップS24で画素率b/aが所定の比率以下と判断した場合、及び、ステップS25で所定の色の露光光量が所定値以下でないと判断した場合には、露光済みの感光紙を通常どおり現像ユニット21に向けて搬送する(S32)。
【0076】
以上のように、図6の第2の動作によれば、所定の色の画素数bと全画像を構成する画素数aとの比率b/aが所定の比率以上でありかつその所定の色の露光光量が所定値以下であるときに、露光後から現像処理開始までの時間が通常搬送時間xに時間差zだけ加えて現像処理開始までの時間を遅らせて所定の潜像安定時間yとなるように露光済みの感光紙を搬送するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色の画素率b/aが所定比率以上でありかつその所定の色の露光光量が所定値以下であるために濃度低下等が起こり安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現できる。
【0077】
〈第3の動作〉
【0078】
図7の第3の動作は図4の網%判定部66を用いるものである。まず、図4の外部のRIP49から網点画像データが入力すると(S41)、装填部12または12’から感光紙を搬送ローラ対40〜42等でドラム10に向けて搬送し(S42)、カット部10aで所定長さに切断した感光紙をドラム10に巻き付け吸引ブロアP1を作動させて吸引により保持する。
【0079】
次に、光学ユニット16を副走査方向Hに副走査しドラム10を主走査方向(回転方向R)に回転させることで、ドラム10上の感光紙に対し光学ユニット16の各LED320〜322からの光ビームで露光する(S43)。この露光動作により、入力した網点画像データに基づいて画像記録が行われ、感光紙に潜像が形成される。
【0080】
一方、網%判定部66は網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれているか否かを判定し(S44)、所定の網%以下の網データが含まれている場合、タイマ63が上述のステップS43の露光が終了した後、直ちに作動し時間をカウントする(S45)。
【0081】
次に、露光済みの感光紙をドラム10から剥離部材15で剥離し、従動ローラ31とドラム10の回転でガイド部材18を通して搬送し、搬送ローラ対32に達し、その先端を検出センサ33が検出すると、搬送ローラ対用モータ61が止まり、搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が停止する(S46)。なお、このとき、図2の破線で示すように、露光済みの感光紙S1は、アキューム用モータ62が駆動しガイド部材18が開放して形成されたアキュームレート部30に垂れ下がるようにして蓄積される。
【0082】
次に、タイマ63の時間カウント(時間差zに相当する時間)が終了すると、モータ61が駆動して搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が再開される(S47)。これにより、露光済みの感光紙を搬送ローラ対32により出口19から接続部19aを通して現像ユニット21に搬送し、現像部23,定着部24,安定部25、乾燥部26で現像処理等を順々に行ってから(S49)、排出部27を通して外部へ排出し集積部28へ出力する(S50)。
【0083】
なお、ステップS44で所定の網%以下の網データが含まれていないと判断した場合は、露光済みの感光紙を通常どおり搬送する(S48)。
【0084】
以上のように、図7の第3の動作によれば、網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれているとき、露光後から現像処理開始までの時間が通常搬送時間xに時間差zだけ加えて現像処理開始までの時間を遅らせて所定の潜像安定時間yとなるように露光済みの感光紙を搬送するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の網%以下の網データが含まれているために濃度低下等が起こり安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現できる。
【0085】
〈第4の動作〉
【0086】
図8の第4の動作は図4の網%判定部66を用い、各色版の画像データの中の所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれているかを判定するものである。
【0087】
まず、図4の外部のRIP49から網点画像データが入力すると(S51)、装填部12または12’から感光紙を搬送ローラ対40〜42等でドラム10に向けて搬送し(S52)、カット部10aで所定長さに切断した感光紙をドラム10に巻き付け吸引ブロアP1を作動させて吸引により保持する。
【0088】
次に、光学ユニット16を副走査方向Hに副走査しドラム10を主走査方向(回転方向R)に回転させることで、ドラム10上の感光紙に対し光学ユニット16の各LED320〜322からの光ビームで露光する(S53)。この露光動作により、入力した網点画像データに基づいて画像記録が行われ、感光紙に潜像が形成される。
【0089】
一方、網%判定部66は網点画像データの所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれているか否かを判定し(S54)、所定の網%以下の網データが含まれている場合、タイマ63が上述のステップS53の露光が終了した後、直ちに作動し時間をカウントする(S55)。
【0090】
次に、露光済みの感光紙をドラム10から剥離部材15で剥離し、従動ローラ31とドラム10の回転でガイド部材18を通して搬送し、搬送ローラ対32に達し、その先端を検出センサ33が検出すると、搬送ローラ対用モータ61が止まり、搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が停止する(S56)。なお、このとき、図2の破線で示すように、露光済みの感光紙S1は、アキューム用モータ62が駆動しガイド部材18が開放して形成されたアキュームレート部30に垂れ下がるようにして蓄積される。
【0091】
次に、タイマ63の時間カウント(時間差zに相当する時間)が終了すると、モータ61が駆動して搬送ローラ対32による露光済みの感光紙の搬送が再開される(S57)。これにより、露光済みの感光紙を搬送ローラ対32により出口19から接続部19aを通して現像ユニット21に搬送し、現像部23,定着部24,安定部25、乾燥部26で現像処理等を順々に行ってから(S59)、排出部27を通して外部へ排出し集積部28へ出力する(S60)。
【0092】
なお、ステップS54で所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれていないと判断した場合は、露光済みの感光紙を通常どおり搬送する(S58)。
【0093】
以上のように、図8の第4の動作によれば、所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれているとき、露光後から現像処理開始までの時間が通常搬送時間xに時間差zだけ加えて現像処理開始までの時間を遅らせて所定の潜像安定時間yとなるように露光済みの感光紙を搬送するので、銀塩感光材料の潜像特性が所定の色について所定の網%以下の網データが含まれているために濃度低下等が起こり安定しない場合、潜像特性をキャンセルして発色の安定した高品質のハードコピーを実現できる。
【0094】
以上のように、本実施の形態の画像記録装置1の第1乃至第4の動作によれば、銀塩感光材料の潜像特性に起因する発色濃度の不安定さを解消し、安定した発色の画像を得ることができる。
【0095】
また、従動ローラ31,ドラム10,搬送ローラ対32等の排紙搬送手段による露光済みの感光紙のドラム10から現像ユニット21の現像部23までの通常の搬送時間xと、最短の潜像安定時間yとに基づいてタイマ63にカウント時間(時間差z=y−x)を設定することで、サイクルタイムへの影響を最低限にできるので、画像記録の生産性の低下を最小限にできる。
【0096】
なお、銀塩感光材料の潜像特性の影響が顕著に現れる画像の順次配置記録方式であっても潜像特性による影響を解消し、面内画像の均一性を保つことが可能である。
【0097】
また、本実施の形態による画像記録装置1は、特に、RIP(ラスター・イメージ・プロセッサ)や網点変換処理装置で処理された網点画像データに基づき、波長の異なる複数光源によって銀塩感光材料を感光させることで、印刷物の仕上がりを事前に確認するためのカラープルーフを作成するカラープルーフ作成装置に適用して好適なものである。
【0098】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図5乃至図10では、所定の潜像安定時間yを確保するため、露光済みの感光紙の搬送を搬送ローラ対32で止めて待機させるようにしたが、本発明はこれに限定されず、他の手段で潜像安定時間を確保するようにしてもよく、例えば、露光済みの感光紙をドラム10に巻き付けたままの状態で待機してもよく、また、搬送ローラ対32の回転速度を低下させ搬送ローラ対32による搬送速度を遅くするようにしてもよい。
【0099】
また、本明細書では、説明の便宜上、本実施の形態の画像記録装置1が図4のように色判定部64,露光光量判定部65,網%判定部66,第1のカウント部67及び第2のカウント部68を備え、図5〜図8の第1〜第4の動作をいずれも実施可能なように説明したが、各部64乃至68の内で第1〜第4の各動作で用いることのないものは省略してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本実施の形態による画像記録装置全体の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の画像記録装置の内部を正面側から見た図である。
【図3】図2の画像記録装置のドラム及び光学ユニットを上部から見た要部平面図である。
【図4】図1〜図3の画像記録装置1の露光ユニット11における画像データの流れ及び画像記録装置1の制御系を示すブロック図である。
【図5】図1〜図4の画像記録装置の第1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図4の画像記録装置の第2の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1〜図4の画像記録装置の第3の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図1〜図4の画像記録装置の第4の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図5,図6における色判定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 画像記録装置
10 ドラム
11 露光ユニット(露光装置)
16 光学ユニット(露光部)
17 副走査部(露光部)
21 現像ユニット(現像装置)
23 現像部
30 アキュームレート部
31 従動ローラ
32 搬送ローラ対
33 検出センサ
50 制御部
54 露光ルックアップテーブル、露光LUT
63 タイマ(潜像安定化タイマ手段)
64 色判定部
65 露光光量判定部
66 網%判定部
67 第1のカウント部
68 第2のカウント部
320,321,322 LEDユニット(複数の光源)
S 感光紙、銀塩感光材料
S1 露光済みの感光紙、露光済みの銀塩感光材料
b/a 画素率


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、
前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定する構成色判定手段と、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントする第1のカウント手段と、全画像を構成する画素数をカウントする第2のカウント手段と、を具備し、
前記所定の色の画素が含まれていると判定され、前記第1のカウント手段がカウントした画素数と、前記第2のカウント手段がカウントした画素数との比率が所定の値以上である場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、
前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定する構成色判定手段と、前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントする第1のカウント手段と、全画像を構成する画素数をカウントする第2のカウント手段と、を具備し、
前記所定の色の画素が含まれていると判定され、前記第1のカウント手段がカウントした画素数と、前記第2のカウント手段がカウントした画素数との比率が所定の値以上であり、かつ、前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下である場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、
前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記網点画像データが所定の網%以下の網データを含んでいるか否かを判定する網%判定手段と、を具備し、
前記網点画像データに所定の網%以下の網データが含まれている場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光する露光装置と、前記露光装置により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する現像装置と、を含む画像記録装置であって、
前記露光装置は、前記銀塩感光材料に露光し画像を記録する露光部と、前記露光部から露光済みの前記銀塩感光材料を前記現像装置に搬送する排紙搬送手段と、前記露光済の銀塩感光材料に形成された潜像が安定するまでの時間をカウントする潜像安定化タイマ手段と、前記網点画像データの内の所定の色版データが所定の網%以下の網データを含んでいるか否かを判定する所定色網%判定手段と、を具備し、
前記網点画像データの所定の色版データに所定の網%以下の網データが含まれている場合に、前記潜像安定化タイマ手段で時間をカウントし、そのカウント時間に基づいて前記現像装置における現像処理までの時間を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
前記カウント時間が所定時間に達すると、前記排紙搬送手段を制御し前記露光済の銀塩感光材料を前記現像装置に搬送し現像処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記排紙搬送手段による前記露光部から前記現像装置までの搬送時間と所定の潜像安定時間とに基づいて前記潜像安定化タイマ手段におけるカウント時間を設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光し、前記露光により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する画像記録方法であって、
前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定するステップと、
前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントするステップと、
全画像を構成する画素数をカウントするステップと、
前記カウントした所定の色の画素数と前記カウントした全画像を構成する画素数との比率が所定の値以上である場合、前記露光後から前記現像処理までの時間を制御して潜像安定化処理を行うステップと、を含むことを特徴とする画像記録方法。
【請求項8】
銀塩感光材料に所定の波長の光源で多数の画素からなる画像を露光し、前記露光により画像を記録した前記銀塩感光材料を現像処理する画像記録方法であって、
前記銀塩感光材料に記録する画素に所定の色の画素が含まれているか否かを判定するステップと、
前記銀塩感光材料へ記録するときの画素における前記所定の色の画素数をカウントするステップと、
全画像を構成する画素数をカウントするステップと、
前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下であるか否かを判定するステップと、
前記カウントした所定の色の画素数と前記カウントした全画像を構成する画素数との比率が所定の値以上であり、かつ、前記所定の色を記録する露光光量が所定値以下である場合、前記露光後から前記現像処理までの時間を制御して潜像安定化処理を行うステップと、を含むすることを特徴とする画像記録方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−154613(P2006−154613A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348318(P2004−348318)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】