説明

画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】温度変化があっても、イメージセンサの位置精度を確保するとともに、煩雑な部品組立をなくして生産性を向上させることを可能にした画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置80は、イメージセンサ74を実装した回路基板81と、イメージセンサ74を保持する保持部材84と、イメージセンサ74に光学像を結像させる結像レンズ73を備え、また、この結像レンズ73の光軸Z方向に付勢力を有する第1及び第2弾性部材89、90を備え、保持部材84は、主保持部85と第1保持部86と第2保持部87とを備える。この第1保持部86は、イメージセンサ74の端子側にある端子面部74cの一方を光軸Z方向に当接させる第1センサ当接部86aを備え、第2保持部87は、端子面部74cの他方を光軸方向に当接させる第2センサ当接部87aを備え、第1及び第2弾性部材89、90によりイメージセンサ74が第1及び第2センサ当接部86a、87aに押圧保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を光学的に読み取る画像読取装置及びそれを備える複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やイメージスキャナのように原稿を光学的に読み取る画像読取装置においては、照明ランプによって得られる原稿からの反射光を、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を有するイメージセンサにより電気信号に変換して、原稿を読み取るようになっている。このイメージセンサを画像読取装置に実装する方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、まず、イメージセンサを板状の回路基板に実装し、この回路基板をブラケット等の保持部材にネジ等の締結部材で固着することにより、画像読取装置内に実装する方法が主流となっている。
【0003】
ところで、画像読取装置においては、イメージセンサや回路基板上の実装部品等の発熱、周囲の環境の温度変化によって、内部の温度に変化が生じる。このように装置内部に温度変化が生じた場合、特許文献1に記載されているように、イメージセンサを実装した回路基板が保持部材に固着されていると、基板の回路層や基板の素材自身が収縮または膨張し、部材間の熱膨張係数の相違により回路基板に変形や撓みが生じてしまう。回路基板に変形や撓みが生じると、この変形や撓みに伴い、回路基板に実装されているイメージセンサがレンズの光軸方向に移動する。具体的には、回路基板上の実装部品等の発熱により温度が上昇すると、イメージセンサがレンズから離れる方向に回路基板が変形し、温度が低下すると、イメージセンサがレンズに近づく方向に回路基板が変形する傾向がある。このように回路基板が変形し、イメージセンサの位置が変化してしまうと、原稿からの反射光が正確にイメージセンサ上に結像せず、画質が劣化してしまうという問題が生じてしまう。
【0004】
そこで、特許文献2では、このような回路基板の変形により、イメージセンサがレンズの光軸方向に移動することを防ぐために、回路基板を保持部材に固定保持させて、保持部材の、その固定保持させた反対側の面で、弾性部材によりイメージセンサを光軸方向に付勢し押圧保持する構成としている。
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、保持部材を回路基板とイメージセンサとの間に設ける構成であるために、複雑な組立を行うことになる。つまり、イメージセンサを弾性部材により保持部材に押圧保持して、次に回路基板を保持部材に対面させて、イメージセンサから伸びている端子を回路基板の穴に差し込み、ビス等により回路基板を保持部材に固定して、その後、固定保持されている回路基板より突出しているイメージセンサの端子を導電性のある接着部材により固定している。この構成では、イメージセンサを回路基板に電気的に接続させるために、イメージセンサ、回路基板等の電気部品の中に保持部材を介在させて組み立てることになり、電気部品の実装と機械部品の組立の工程が混在するために、組立実装が複雑になり、また回路基板の回路パターンの配置が制約されるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−294827号公報(段落[0003]、図15)
【特許文献2】特開2002−171387号公報(段落[0021]−[0029]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、温度変化があっても、イメージセンサの位置精度を確保するとともに、煩雑な部品組立をなくして生産性を向上させることを可能にした画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、イメージセンサを備えた回路基板と、前記イメージセンサを保持する保持部材と、前記イメージセンサに光学像を結像させる結像レンズを備えた画像読取装置において、前記結像レンズの光軸方向に付勢力を有する第1及び第2弾性部材を備え、前記保持部材は、主保持部と第1保持部と第2保持部とを備えて、前記第1保持部は、前記イメージセンサの端子側にある端子面部の一方を光軸方向に当接させる第1センサ当接部を備え、前記第2保持部は、前記端子面部の他方を光軸方向に当接させる第2センサ当接部を備え、前記第1及び第2弾性部材により前記イメージセンサが前記第1及び第2センサ当接部に押圧保持されることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサが第1及び第2センサ当接部に当接した状態を維持しているために、イメージセンサが光軸方向へ移動するおそれがない。
【0010】
また、この構成によれば、回路基板に実装されたイメージセンサを主保持部、第1保持部及び第2保持部を備えた保持部材に当接させ、第1及び第2弾性部材により保持部材に押圧保持させるように組み立てるために、電気部品の実装と機械部品の組立を別工程で行うことになり、また、回路基板の回路パターンの配置が制約されるおそれがない。
【0011】
また、請求項2の発明において、前記イメージセンサは、長手方向に画素を配列する撮像素子を備え、前記第1及び第2センサ当接部は、前記イメージセンサの長手方向の両端側を当接させることを特徴としている。この構成によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサの長手方向に撓むことが抑制されるために、各画素において光軸方向に位置ズレを起こすおそれがない。
【0012】
また、請求項3の発明において、前記主保持部は、前記イメージセンサが前記結像レンズに対面可能な開口を備え、前記第1保持部は、前記主保持部の前記開口の近傍で前記結像レンズに面する表面部に固定保持され、前記第2保持部は、前記主保持部の前記開口の近傍で裏面部に固定保持され、前記イメージセンサは、前記第1及び第2保持部に設けた前記第1及び第2センサ当接部に押圧保持されることを特徴する。この構成によれば、イメージセンサを保持部材に取り付ける際に、回路基板に実装されたイメージセンサを、主保持部の裏面部から開口に挿入し、イメージセンサの一方を第2保持部に保持させ、次に、第1保持部を、主保持部の表面部側から開口に挿入し、主保持部に固定保持して、固定保持した第1保持部にイメージセンサの他方を保持させる。
【0013】
また、請求項4の発明において、前記イメージセンサは、光軸方向と垂直な方向に付勢力を有する第3弾性部材により、前記保持部材に設けた第3センサ当接部に光軸と垂直な方向に押圧保持されることを特徴としている。この構成によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサが結像面上で位置ズレを起こすおそれがない。
【0014】
また、請求項5の発明において、前記第3弾性部材は、前記第1弾性部材または前記第2弾性部材に兼用されることを特徴としている。この構成によれば、弾性部材の部品点数が減る。
【0015】
また、本発明は、上記の構成の画像読取装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサが第1及び第2センサ当接部に当接した状態を維持しているために、イメージセンサが光軸方向へ移動するおそれがないので、結像レンズの光学像が正確にイメージセンサ上に結像する。
【0017】
また、請求項1に記載の発明によれば、回路基板に実装されたイメージセンサを主保持部、第1保部及び第2保持部を備えた保持部材に当接させ、第1及び第2弾性部材により保持部材に押圧保持させるように組み立てるために、電気部品の実装と機械部品の組立を別工程で行うことになり、複雑な組立工程になるおそれがない。また、回路基板の回路パターンの配置が制約されるおそれがない。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサの長手方向に撓むことが抑制されるために、各画素において光軸方向に位置ズレを起こすおそれがないので、結像レンズの光学像が正確にイメージセンサ上に結像する。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、イメージセンサを保持部材に取り付ける際に、回路基板に実装されたイメージセンサを、主保持部の裏面部から開口に挿入し、イメージセンサの一方を第2保持部に保持させ、次に、第1保持部を、主保持部の表面部側から開口に挿入し、主保持部に固定保持して、固定保持した第1保持部にイメージセンサの他方を保持させることになる。このため、開口より大きな外形の回路基板にイメージセンサを実装しても、イメージセンサを保持部材に簡単に組み立てることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサが結像面上で位置ズレを起こすおそれがないので、イメージセンサの位置精度を確保することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、第3弾性部材は、第1弾性部材または前記第2弾性部材に兼用されることより、部品点数が減り、生産コストを削減することができる。
【0022】
また、請求項6記載の発明によると、画像形成装置において、上記の画像読取装置を備えるようにすれば、温度変化があっても、イメージセンサの位置精度を確保するとともに、煩雑な部品組立をなくして生産性を向上させることを可能にした画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置を示す断面図である。画像形成装置100は、装置本体の下部に配設された給紙部1と、この給紙部1の右方および上方に配設された用紙搬送部2と、この用紙搬送部2の上方に配設された画像形成部3と、この画像形成部3よりも用紙搬送方向下流側に配設された定着部4と、これらの画像形成部3および定着部4の上方に配設された画像読取部5と、この画像読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを備えている。なお、画像読取部5は、本発明の画像読取装置の一例である。
【0025】
給紙部1は、装置本体に対して挿脱自在に装着された給紙カセット11に積層載置された用紙の束を、円弧外周部を有する給紙ローラ12の回転動作によって給紙カセット11の出口側(図1では右側)に送り出すとともに、各給紙カセット11の右端上部に設けられた捌き部13によって捌くことにより、最上位置の用紙から1枚ずつ確実に用紙搬送部2に給紙するようになっている。
【0026】
用紙搬送部2は、給紙部1から給紙された用紙を、搬送ローラ対21およびレジストローラ対22によって画像形成部3に向けて搬送し、さらに、画像形成部3から定着部4において画像形成が施された用紙を排出ローラ対23によって排出トレイ24上に排出するようになっている。
【0027】
画像形成部3は、電子写真プロセスによって、用紙に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配設される帯電ユニット32、露光ユニット33、現像ユニット34、転写ユニット35、クリーナ36および除電ユニット37とを備えている。
【0028】
帯電ユニット32は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備え、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム31の表面に所定電位を与えるものである。露光ユニット33は、後述する画像読取部5によって読み取られた原稿の画像データに基づいてレーザ発光器から出力されるレーザ光を、ポリゴンミラーおよび反射鏡を介して感光体ドラム31に照射することにより、感光体ドラム31表面の電位を選択的に減衰させて、この感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成するものである。現像ユニット34は、上記静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム31の表面にトナー像を形成するものである。転写ユニット35は、感光体ドラム31の表面のトナー像を用紙に転写するものである。クリーナ36は、転写後の感光体ドラム31の表面に残留しているトナーを除去するものである。除電ユニット37は、感光体ドラム31の表面の残留電荷を除去するものである。
【0029】
定着部4は、画像形成部3においてトナー像が転写された用紙を、加熱ローラ41と加圧ローラ42とによって挟んで加熱し、用紙上にトナー像を定着させるものである。
【0030】
原稿給送部6は、コピー(複写)開始の指示入力などに応答して、原稿トレイ61上に載置された原稿を自動的に1枚ずつ搬送するとともに、原稿の露光走査後に原稿排出トレイ(図示略)上へ排出させる、いわゆるシートスルータイプの原稿読み取りを行うものである。
【0031】
画像読取部5は、原稿給送部6によって移送される原稿やコンタクトガラス上に載置された原稿に光を照射して、その反射光を電気信号に変換することにより原稿の画像情報を読み取るとともに、その原稿画像に対応する画像データを生成するものである。
【0032】
図2は、画像形成装置の画像読取部を示す概略断面図である。画像読取部5は、原稿Pを載置させるコンタクトガラス8と、原稿Pの画像情報を読み取り、読み取った原稿Pの画像から画像データを生成するスキャナ部7等で構成される。
【0033】
スキャナ部7は、このスキャナ部7の上部に配設された第1移動キャリッジ71と、第1移動キャリッジ71の左方に配設された第2移動キャリッジ72と、スキャナ部7の下部の適所に配設された撮像ユニット80等で構成される。
【0034】
第1移動キャリッジ71および第2移動キャリッジ72は、走査機構部(図示略)に接続されており、この走査機構部が所定の速度で図2示す矢印方向(左右方向)に移動することにより、コンタクトガラス8上に載置された原稿Pの全面を走査し、原稿全面の画像情報を読み取ることが可能なようになっている。
【0035】
第1移動キャリッジ71は、走査機構部に接続された枠体75と、コンタクトガラス8上に載置された原稿Pに光を照射する露光ランプ等の光源76と、コンタクトガラス8からの光を第2移動キャリッジ72に向けて反射する反射ミラー78とを含んでいる。
【0036】
第2移動キャリッジ72は、上下方向に対向して配設された一対の反射ミラー72a、72bを備えており、第1移動キャリッジ71の反射ミラー78からの光を反射ミラー72a、72bで順次反射させて撮像ユニット80へと導く。
【0037】
撮像ユニット80は、結像レンズ73と、結像レンズ73の右方に配設されたイメージセンサ74等で構成される。
【0038】
結像レンズ73は、第2移動キャリッジ72の反射ミラー72bを介して入射した原稿Pからの反射光を結像させるために、複数のレンズを有しており、撮像ユニット80の所定の位置に固定される。
【0039】
イメージセンサ74は、結像レンズ73の光軸Z上に長手方向(図2では紙面奥行き方向)に配列されたCCD等の撮像素子を有し、結像レンズ73により撮像素子上に結像された原稿Pの光学像を電気信号に変換する。
【0040】
以上のように構成された画像読取部5では、光源76によって光がコンタクトガラス8に照射され、コンタクトガラス8上の原稿Pからの反射光が第1移動キャリッジ71の反射ミラー78で反射され、その反射光が第2移動キャリッジ72の反射ミラー72a、72bで順次反射され、結像レンズ73を介して原稿Pの光学像がイメージセンサ74上に結像される。これにより、原稿Pの一部が読み取られる。そして、第1移動キャリッジ71および第2移動キャリッジ72が所定の速度で移動することにより、原稿Pの全面を走査し、原稿P全面が読み取られて、読取画像が形成される。
【0041】
次に、撮像ユニット80を詳細に説明する。図3は、撮像ユニットを示す斜視図である。
【0042】
図3に示すように、撮像ユニット80は、原稿Pからの反射光を結像させる結像レンズ73と、原稿Pの画像を読み取るイメージセンサ74と、イメージセンサ74を実装した回路基板81と、イメージセンサ74を保持する保持部材84と、保持部材84を保持するブラケット78を備えている。
【0043】
結像レンズ73は、複数のレンズと、それらのレンズを固定保持する鏡枠を備え、L字状の金属板で形成されたレンズブラケット78aに固着される。このレンズブラケット78aは、基台78bの所定の位置に固定され、レンズブラケット78aの立壁部には開口が設けられて(図示略)、結像レンズ73からの光がイメージセンサ74で受光されるようになっている。
【0044】
保持部材84は、回路基板81に実装されたイメージセンサ74を保持する。また、保持部材84は、その上方で2個のネジ95により、金属板で形成されたセンサブラケット78cに固定保持されている。このセンサブラケット78cは、結像レンズ73とイメージセンサ74が結像関係になるように、基台78bの所定の位置に固定される。なお、センサブラケット78cには、イメージセンサ74より大きい矩形の開口78c1が設けられて、結像レンズ73からの光がイメージセンサ74で受光されるようになっている。
【0045】
イメージセンサ74の保持構成を詳細に説明する。図4は、イメージセンサを保持部材に取り付けた状態を示す結像レンズ側から見た斜視図であり、図5は、図4に示すX方向における側面図である。
【0046】
図5に示すように、回路基板81は、例えば板状の樹脂材料で形成されている。回路基板81上には、銅箔を用いて形成された回路パターンが設けられており、イメージセンサ74がこの回路基板81の略中央で回路パターン上に実装され、またイメージセンサ74を駆動するための電子部品がこの回路パターン上に実装されている。
【0047】
イメージセンサ74は、CCD等の撮像素子の画素が長手方向Xに配設されたラインセンサを備え、例えば、セラミック材または合成樹脂からなるパッケージにより覆われて、受光面部74bと、端子面部74cと、その両側の側面部74d、74eにより、外形を略矩形に構成している。受光面部74bは、結像レンズ73に面し、結像レンズ73から撮像素子に至る光を入射させる。端子面部74cは、電気信号を出力し、またCCDを駆動するための駆動信号を受取るための複数の端子74aが回路基板81側に延びている。これらの端子74aが回路基板81に半田付けされることにより、イメージセンサ74が回路基板81に実装される。ここで、各端子74aが回路基板81に半田付けされるときに、イメージセンサ74と回路基板81との間に隙間dが形成される。この隙間dに、後述する第1及び第2保持部86、87の第1及び第2センサ当接部86a、87aが延在して、イメージセンサ74が第1及び第2センサ当接部86a、87aに当接する。
【0048】
図4、図5に示すように、保持部材84は、主保持部85と、第1保持部86及び第2保持部87を備える。
【0049】
図4に示すように、主保持部85は、金属板に略逆L字形状に曲げ加工等の板金加工を施して形成される部材であり、その曲げ部の両端側で2個の孔85gにネジ95(図3参照)を挿入して、センサブラケット78cに固定保持される。この主保持部85の立壁部には、イメージセンサ74を導く開口85bが主保持部85の略中央に設けられ、上下に広がった開口85c、85dが開口85bから長手方向Xの両側に延びて設けられている

【0050】
開口85cの近傍では、第1保持部86が主保持部85に固定保持され、第1弾性部材89がイメージセンサ74を押圧する。
【0051】
図5に示すように、主保持部85の表面部85dは結像レンズ73に面して、その裏面部85eは回路基板81に面する。第1保持部86は、その一端が主保持部85の表面部85dに延びる曲げ部を有し、その他端がその裏面部85eに延びる曲げ部を有する金属板で形成される。一端の曲げ部86bが表面部85dに当接しネジ等で固定保持されて、他端の曲げ部86aが第1センサ当接部として、イメージセンサ74の端子面部74cを当接させる。尚、第1保持部86は、金属に替えて、剛性を備えるプラスチックで形成してもよい。
【0052】
第1弾性部材89は、V字形状をした板状のバネである。その一端が第1保持部86上に重ねられて当接し、主保持部85にネジ等で固定保持される。その他端の付勢力を有する弾性部89aが、イメージセンサ74の受光面部74bと側面部74eの角に当接して、イメージセンサ74を光軸Z方向と長手方向Xに押し付けることにより、イメージセンサ74は、第1センサ当接部86aに押圧保持され、また、後述する第3センサ保持部87fに長手方向Xに押圧保持される。
【0053】
また、図4に示すように、開口85dの近傍では、第2保持部87が主保持部85に固定保持され、第2弾性部材90がイメージセンサ74を押圧する。
【0054】
図5に示すように、第2保持部87は、互いに反対方向に延びる曲げ部を有する金属板で形成される。一方の曲げ部87bが主保持部85の裏面部85eに当接しカシメ等で固定保持されて、他方の曲げ部87aが第2センサ当接部として、イメージセンサ74の端子面部74cを当接させる。曲げ部87a、87bの間の平坦部87fが第3センサ当接部として、イメージセンサ74の側面部74dを当接させる。尚、第2保持部87は、金属に替えて、剛性を備えるプラスチックで形成してもよい。また、第3センサ当接部は、第2保持部87の平坦部87fで構成したが、これに限らず、開口85dを形成する主保持部85の一端をイメージセンサ74の側面部74d側に向けて折り曲げて、その折曲げ部にイメージセンサ74の側面部74dを当接させるように構成してもよい。
【0055】
第2弾性部材90は、一端を平坦にし、他端を円形状にした板状のバネである。その一端が主保持部85の表面部85dにネジ等で固定保持される。その他端の付勢力を有する弾性部90aが、イメージセンサ74の受光面部74bに当接して、イメージセンサ74を光軸Z方向に押し付けることにより、イメージセンサ74は、第2センサ当接部87aに押圧保持される。
【0056】
また、図4に示すように、開口85bの下側には、2個の屈曲部が第3センサ当接部85fとして形成され、2個の第3弾性部材91がイメージセンサ74を押圧する。
【0057】
各第3弾性部材91は、一端を平坦にし、その下方の他端を円形状にした板状のバネである。その一端が主保持部85にネジ等により固定保持される。その他端の付勢力を有する弾性部91aが、イメージセンサ74の側面部74fに当接して、イメージセンサ74を下方に押し付けることにより、イメージセンサ74は、第3センサ当接部85fに押圧保持される。
【0058】
回路基板81に実装されたイメージセンサ74を保持部材84に取り付ける際には、図5に示すように、まず、イメージセンサ74を、主保持部85の裏面部85eから開口85bに挿入し、主保持部85に固着された第2保持部87の第2センサ当接部87a及び第3センサ当接部87fと、主保持部85の第3センサ当接部85f(図4参照)に当接させる。次に、第1保持部86を、主保持部85の表面部85d側から開口85cに挿入し、第1保持部86の第1センサ当接部86aをイメージセンサ74の端子面部74cを当接させ、曲げ部86bをネジにより主保持部85に固定保持させる。これにより、イメージセンサ74は、第1、第2及び第3センサ当接部86a、87a、85f、87fに当接したことになる。次に、第1弾性部材89、第2弾性部材90、各第3弾性部材91を、順次イメージセンサ74に当接させて、ネジにより主保持部85に固定保持させると、イメージセンサ74が第1、第2及び第3センサ保持部86a、87a、85f、87fに押圧保持される。
【0059】
上記のようにイメージセンサ74が保持部材84に取り付けられると、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサ74が第1、第2センサ保持部86a、87aに当接した状態を維持しているために、イメージセンサ74が光軸Z方向へ移動するおそれがない。また、イメージセンサ74が第3センサ保持部85f、87fに当接した状態を維持しているために、イメージセンサ74が結像面上で位置ズレを起こすおそれがない。
【0060】
上記実施形態によれば、画像読取装置80は、イメージセンサ74を実装した回路基板81と、イメージセンサ74を保持する保持部材84と、イメージセンサ74に光学像を結像させる結像レンズ73を備え、また、この結像レンズ73の光軸Z方向に付勢力を有する第1及び第2弾性部材89、90を備え、保持部材84は、主保持部85と第1保持部86と第2保持部87とを備える。この第1保持部86は、イメージセンサ74の端子側にある端子面部74cの一方を光軸Z方向に当接させる第1センサ当接部86aを備え、第2保持部87は、端子面部74cの他方を光軸方向に当接させる第2センサ当接部87aを備え、第1及び第2弾性部材89、90によりイメージセンサ74が第1及び第2センサ当接部86a、87aに押圧保持される。
【0061】
この構成によれば、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサ74が第1及び第2センサ当接部86a、87aに当接した状態を維持しているために、イメージセンサ74が光軸Z方向へ移動するおそれがないので、結像レンズ73の光学像が正確にイメージセンサ74上に結像する。
【0062】
また、この構成によれば、回路基板81に実装されたイメージセンサ74を主保持部85、第1保持部86及び第2保持部87を備えた保持部材84に当接させ、第1及び第2弾性部材89、90により保持部材84に押圧保持させるように組み立てるために、電気部品の実装と機械部品の組立を別工程で行うことになり、複雑な組立工程になるおそれがない。また、回路基板81の回路パターンの配置が制約されるおそれがない。
【0063】
また、上記実施形態によれば、イメージセンサ74は、長手方向Xに画素を配列する撮像素子を備え、第1及び第2保持部86、87は、イメージセンサ74の端子面部74cにおける長手方向Xの両端側を当接させることによって、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサ74の長手方向に撓むことが抑制されるために、各画素において光軸Z方向に位置ズレを起こすおそれがないので、結像レンズ73の光学像が正確にイメージセンサ74上に結像する。
【0064】
また、上記実施形態によれば、主保持部85は、イメージセンサ74が結像レンズ73に対面可能な開口85bを備え、第1保持部86は、主保持部85の開口85bの近傍で結像レンズ73に面する表面部85dに固定保持され、第2保持部87は、主保持部85の開口85bの近傍で裏面部85eに固定保持され、イメージセンサ74は、第1及び第2保持部86、87に設けた第1及び第2センサ当接部86a、87aに押圧保持される。このことにより、イメージセンサ74を保持部材84に取り付ける際に、回路基板81に実装されたイメージセンサ74を、主保持部85の裏面部85eから開口85bに挿入し、イメージセンサ74の一方を第2保持部87に保持させ、次に、第1保持部86を、主保持部85の表面部85d側から開口85cに挿入し、主保持部85に固定保持して、固定保持した第1保持部86にイメージセンサ74の他方を保持させることになる。このため、開口85bの開口より大きな外形の回路基板81にイメージセンサ74を実装しても、イメージセンサ74を保持部材84に簡単に組み立てることができる。
【0065】
また、上記実施形態によれば、イメージセンサ74は、光軸Z方向と垂直な方向に付勢力を有する第3弾性部材91により、保持部材84に設けられた第3センサ当接部85f、87fに光軸と垂直な方向に押圧保持されることにより、装置の温度環境が変化して、部材の膨張、収縮があっても、イメージセンサ74が結像面上で位置ズレを起こすおそれがないので、イメージセンサ74の位置精度を確保することができる。
【0066】
また、上記実施形態によれば、長手方向Xに付勢力を有する第3弾性部材は、第1弾性部材89に兼用されることより、部品点数が減り、生産コストを削減することができる。
【0067】
また、上記実施形態によると、画像形成装置100において、上記の画像読取装置80を備えるようにすれば、温度変化があっても、イメージセンサ74の位置精度を確保するとともに、煩雑な部品組立をなくして生産性を向上させることを可能にした画像形成装置100を提供することができる。
【0068】
尚、上記第実施形態では、保持部材84は、主保持部85、第1保持部86及び第2保持部87を別部材で構成したが、本発明はこれに限らず、開口85bの開口が主保持部85の上側または下側に開放されている構成ならば、主保持部85、第1保持部86及び第2保持部87を一体で構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1弾性部材89が長手方向Xに付勢力を有する第3弾性部材を兼用する構成を示したが、本発明はこれに限らず、第2弾性部材90が第3弾性部材を兼用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、原稿を光学的に読み取る画像読取装置及びそれを備える複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置を示す断面図である。
【図2】は、本発明の実施形態である画像形成装置の画像読取部を示す概略断面図である。
【図3】は、本発明の実施形態である画像読取部の撮像ユニットを示す斜視図である。
【図4】は、本発明の実施形態である画像読取部の保持部材にイメージセンサを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】は、本発明の実施形態である画像読取部の保持部材にイメージセンサを取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0072】
5 画像読取部(画像読取装置)
73 結像レンズ
74 イメージセンサ
74a 端子
74b 受光面部
74c 端子面部
74d、74e、74f 側面部
78 ブラケット
80 撮像ユニット
81 回路基板
84 保持部材
85 主保持部
85b、85c、85d 開口
85d 表面部
85e 裏面部
85f、87f 第3センサ当接部
86 第1保持部
86a 第1センサ当接部
87 第2保持部
87a 第2センサ当接部
89 第1弾性部材
89a、90a、91a 弾性部
90 第2弾性部材
91 第3弾性部材
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサを備えた回路基板と、前記イメージセンサを保持する保持部材と、前記イメージセンサに光学像を結像させる結像レンズを備えた画像読取装置おいて、結像レンズの光軸方向に付勢力を有する第1及び第2弾性部材を備え、前記保持部材は、主保持部と第1保持部と第2保持部とを備えて、
前記第1保持部は、前記イメージセンサの端子側である端子面部の一方を光軸方向に当接させる第1センサ当接部を備え、前記第2保持部は、前記端子面部の他方を光軸方向に当接させる第2センサ当接部を備え、前記第1及び第2弾性部材により前記イメージセンサが前記第1及び第2センサ当接部に押圧保持されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記イメージセンサは、長手方向に画素を配列する撮像素子を備え、前記第1及び第2センサ当接部は、前記イメージセンサの長手方向の両端側を当接させることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記主保持部は、前記イメージセンサが前記結像レンズに対面可能な開口を備え、前記第1保持部は、前記主保持部の前記開口の近傍で前記結像レンズに面する表面部に固定保持され、前記第2保持部は、前記主保持部の前記開口の近傍で裏面部に固定保持され、前記イメージセンサは、前記第1及び第2保持部に設けた前記第1及び第2センサ当接部に押圧保持されることを特徴とする請求項1または請求項2に画像読取装置。
【請求項4】
前記イメージセンサは、光軸方向と垂直な方向に付勢力を有する第3弾性部材により、前記保持部材に設けた第3センサ当接部に光軸と垂直な方向に押圧保持されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第3弾性部材は、前記第1弾性部材または前記第2弾性部材に兼用されることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像読取装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−94959(P2009−94959A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265676(P2007−265676)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】