画像読取装置
【課題】 光量の補正に対する時間の大幅な短縮を行うことが可能であり、レンズの特性に依存することなく、照明装置の配光特性を自在に変更可能であるとともに、ダイナミックレンジ低下を改善できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】 複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備し、照明装置による配光特性は主走査方向全域において一様となるようにする。
【解決手段】 複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備し、照明装置による配光特性は主走査方向全域において一様となるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像を読取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などに実装されている縮小光学系を有する画像読取装置では、照明装置に主として蛍光管が用いられている。このような縮小光学系の照明装置により照射した光は原稿に反射され、光学系を介し、一次元イメージセンサ装置などの撮像素子に原稿情報を結像する。このときの配光特性において一例として白色画像を読みと込んだ場合、レンズの収差の影響によって中央部から端部に行くに従い光量が低下する。この特性により、シェーディング補正後のダイナミックレンジが低下するという問題が生じる。
【0003】
これに対して例えば、LED(発光ダイオード)のような光源を主走査方向に複数個1次元配列したものを照明装置として用いた場合、蛍光管と異なり主走査方向の各光源による発光量の変更が可能である。このようにLEDを用いた場合、ダイナミックレンジ低下を抑制するために、発光領域中央部から端部に行くに従い順次段階的に光量を上昇させる方法がある。
【0004】
また、複数の光源の一次元配置を不均一とし、ダイナミックレンジ低下を抑制する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−14618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の光源を主走査方向に一次元配列した照明装置において、一次元配列された各光源による光量の調整を行う場合、調整完了までに多大な時間を必要とする。
【0006】
また、複数の光源の一次元配置間隔を不均一にした場合、レンズの特性毎に最適な配置間隔が異なってしまうために汎用性に欠ける。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光量の補正に対する時間の大幅な短縮を行うことが可能であり、レンズの特性に依存することなく、照明装置の配光特性を自在に変更可能であるとともに、ダイナミックレンジ低下を改善できる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備し、照明装置による配光特性は主走査方向全域において一様となる画像読取装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、光量の補正に対する時間の大幅な短縮を行うことが可能であり、レンズの特性に依存することなく、照明装置の配光特性を自在に変更可能であるとともに、ダイナミックレンジ低下を改善できる画像読取装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、画像読取装置の主要部構成を示す断面図、図2は画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図、図3は照明装置の構成図である。図1において、1は画像読取装置本体である。画像を読取る原稿は、原稿台ガラス6上に原稿記載面を下向きに置かれ、プラテンカバー7を閉めることで原稿台ガラス6に押さえつけられる。原稿は照明装置8により照明光が照射され、原稿からの反射光がミラー9、10、11及び集光レンズ4を介し、複数受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有している一次元イメージセンサ装置5のセンサ面上に結像される。照明装置8とミラー9で構成される第1のキャリッジ2と、ミラー10及びミラー11で構成される第2のキャリッジ3が、光路長を常に一定となるように不図示のキャリッジ駆動モータによって(第1のキャリッジ:第2のキャリッジ)=2:1の速度比で読取タイミング信号に同期し、図中左側から右方向に移動することで原稿上を照明装置8からの照射光が走査する。以上のようにして原稿台ガラス6上に置かれた原稿は、一次元イメージセンサ装置5におけるセンサの主走査画像領域毎に順次読取られ、一次元イメージセンサ装置5により原稿からの反射光である光信号の強度に応じたアナログ信号に光電変換される。
【0012】
図2により画像読取時の画像処理動作を説明する。図2において図1と同一構成に該当するものは同一番号を付している。前記イメージセンサ装置5によりアナログ電気信号に光電変換された画像信号は、アナログ処理回路12に入力され、一次元イメージセンサ装置5から出力されるアナログ電気信号を後段のA/D変換器13により適切にデジタル信号へ変換するための前段階の処理が行われる。この前段階のアナログ処理回路12は、具体的には、CDS(相関2重サンプリング)又はサンプルホールド、アナログ増幅回路、オフセット除去などの処理を行う。前記アナログ処理回路12により適正化された画像信号は、A/D変換器13によりデジタル信号に変換され、シェーディング補正回路14へ与えられる。
【0013】
シェーディング補正回路14は、画像信号であるデジタル信号に対し、一次元イメージセンサ装置5による主走査1画素ごとの感度ばらつきや、照明装置8の照明むら(特に主走査方向の照明むら)などを補正して画像処理回路16に与えるものである。
【0014】
ページメモリ15は、読取原稿の画像信号を記憶するものであり、シェーディング補正回路14から出力された画像信号を記憶する。
【0015】
コントロールパネル19は、カラーモードやモノクロモードなどの動作モードや印刷枚数などのユーザによる入力情報などをCPU18に与えるものである。
【0016】
機構系駆動回路21は、第1キャリッジ2、第2キャリッジ3などの副走査方向の移動機構を駆動するものである。
【0017】
照明装置制御回路22は、原稿に照明光を照射する照射装置8の点灯及び消灯を制御するものである。
【0018】
CPU18は、メモリ20に格納されているプログラムやデータに従い、また、メモリ20をワーキングメモリとして用いながら、タイミング発生回路19、コントロールパネル22、機構系駆動回路21、照明装置制御回路22など、画像読取装置1全体を制御する。
【0019】
一次元イメージセンサ装置5、アナログ処理回路12、A/D変換器13、シェーディング補正回路14及びページメモリ15は、CPU18の制御のもと、タイミング発生回路17によりタイミング信号を与えられ同期動作を行う。
【0020】
画像処理回路16は、シェーディング補正回路14から直接与えられた画像信号や、ページメモリ15に一端格納され、ページメモリ15から読みだされた画像信号を、画像読取装置1に接続された外部装置に応じて画像処理するものである。このとき外部装置への画像信号出力は、外部インタフェース回路23を介して行われる。
【0021】
画像読取装置1は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク装置などに代表される記憶装置やパーソナルコンピュータ、プリンタなどといった外部装置と接続されている。ここで、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク装置などに代表される記憶装置は画像読取装置1本体に内蔵されていても良い。
【0022】
例えば、画像読取装置1がイメージスキャナに設けられている場合には、外部のパーソナルコンピュータに与えるように画像信号を処理する。また、例えば画像読取装置1が複写機に搭載されている場合であれば、感光ドラムへの潜像を形成させる光学系を駆動し得るような画像処理が実行される。
【0023】
図4は、上記のように構成された画像読取装置1の画像読取りの動作を示すフローチャートである。原稿台ガラス6上に原稿が置かれ、各種設定がコントロールパネル19より入力される(ST1でYes)と、コントロールパネル19上では、例えば読取解像度、原稿サイズ等の画像読取りに関する設定変更を行う。コントロールパネル19より入力された設定情報はCPU18に与えられ、設定変更情報に応じた設定変更制御信号を各部へ出力する(ST2)。
【0024】
次に、画像読取開始信号がコントロールパネル19より入力されると(ST3でYes)、CPU18は画像読取動作を実行する(ST4)。CPU18は、照明装置制御回路22に照明装置8の点灯信号を出力する。すると、照明装置8が点灯される。そして、機構系駆動回路21により第1キャリッジ2及び第2キャリッジを前記(第1キャリッジ2:第2キャリッジ3)=(2:1)の速度比で動作させ、原稿を走査する。第1キャリッジ2が原稿先端に達すると、CPU18により画像信号出力は外部インタフェース回路23から順次外部装置へ送出される。第1キャリッジ2及び第2キャリッジ3による走査は、コントロールパネル19により設定された原稿サイズまで行う。このとき、機構系駆動に関してステッピングモータなどのパルスモータを使用した場合、原稿サイズをパルス数により管理することで原稿終端までの走査を制御することができる。
【0025】
第1キャリッジ2が原稿終端まで達したとき、CPU18は画像信号出力を外部インタフェース回路23から外部装置に送出する作業を中止し、機構系駆動回路21へ第1キャリッジ2、第2キャリッジ3の走査方向を反転する指示を送信すると同時に、照明制御回路22に照明消灯の指示を送信する。
【0026】
走査方向を反転した第1キャリッジ2、第2キャリッジ3は画像読取時とは逆方向に走査を開始し、図示しない光学位置検出センサによる初期位置検知出力がCPU18に送られるまで動作を継続する(ST5)。CPU18が光学位置検出センサによる初期位置検知信号を受信した場合、機構系駆動回路21へ直ちに第1キャリッジ2及び第2キャリッジ3の動作を停止する信号を送出し、画像読取動作を終了する。この画像読取動作中にコントロールパネル19より再度画像読取開始信号が送出された場合、上記動作を繰り返し実行し、コントロールパネル19より画像読取開始信号が送出されていない場合は、画像読取動作を終了する。
【0027】
次に、図3を参照して照明装置8について詳述する。照明装置8は複数の光源を主走査方向に一次元配列した構成を有する。802は光源であるLED、801はLED802の発光電流設定用の抵抗である。LED802の発光制御は駆動回路804により行われる。各LED802は駆動回路804からの発光信号によりトランジスタ803をONすることで、電源+Vより電流がLED802に入力されLED802が発光する。このとき抵抗801の抵抗値は全てのLED802に同一値が与えられており、更にLED802は全て同一品種を用いている。したがって、照明装置8の配光特性は、発光領域全域において均一である。
【0028】
この第1の実施の形態では、一次元イメージセンサ装置5の出力信号を補正用情報として使用し、LED802の配置によって発光時間を変更することで上記ダイナミックレンジ低下を抑制するものである。
【0029】
先ず、照明装置8内に一次元配列されたLED802による発光時間を1ライン周期全区間にて発光させ、白色画像を一次元イメージセンサ装置5により出力した場合、集光レンズ4の収差特性により図5に示すように、出力信号領域中央部と比較して、出力信号領域の各端部が低くなる特性を得ることができる。
【0030】
この出力特性は、シェーディング補正回路14によりシェーディング補正動作を行うことで改善できるが、中央部と比較して端部のダイナミックレンジが低下してしまう。そこで、一次元イメージセンサ装置5の出力特性をもとに照明装置8内に一次元配列された各LED802の位置による発光時間比率を算出し、一次元イメージセンサ装置5による出力特性をフラットにさせる。このように、一次元イメージセンサ装置5による出力特性をフラットにするための処理について説明する。
【0031】
先ず、前記発光時間比率の算出方法について図6のフローチャートを参照して説明する。先ず、一次元イメージセンサ装置5の受光素子1画素のサイズに対する当該1画素に対応した原稿面との比率からLED802の配置間隔が一次元イメージセンサ装置5の受光素子何画素分であるか、すなわち、LED配置間隔とセンサ画素の画素数の関係を、
【数1】
【0032】
(1)式により算出する(ST11)。ここで、結像率とは、原稿をセンサ面上に結像する際の比率である。この(1)式により得られた結果を基に、例えば、図7のP1、P2、P3、…、PN(P1からPNは各LEDの該当する画素)のように、前記一次元配列された各LED802が該当する受光素子の画素を特定する(ST12)。
【0033】
このように画素を特定した後は、各LED802の該当する画素を基準とした線形補間を行う。図8は、線形補完後の一次元イメージセンサ装置5の出力特性を示す図である。この図8での特性から両端部のLED802のLED発光量平均値を用い、各LED802の発光時間を
【数2】
【0034】
(2)式により算出する(ST13)。図9は(2)式により得られた発光時間で各LED802を発光させた場合のタイミングを示している。図9においては、発光終了タイミングを全LED802で合わせているが、発光開始タイミングを合わせる場所や発光開始及び発光終了体タイミングが各LED802で異なっていても、(2)式で得られた結果を満たしていれば良い。
【0035】
以上のような算出結果により再度一次元イメージセンサ装置5により白色画像を出力した特性は、図10で示すように、出力信号領域の中央部、各端部が略同一の特性を有する画像出力信号となる。
【0036】
したがって、この第1の実施の形態の画像読取装置1によると、従来のLED発光量調整による方法と比較して、上述した(1)式、(2)式を利用することで、配光特性調整時間を大幅に短縮することができ、シェーディング補正時のダイナミックレンジ低下を抑制することができる。また、集光レンズ4による収差特性の違いにも対応することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について述べる。この第2の実施の形態における画像読取装置及び画像読取装置の動作は第1の実施の形態と同様であり、相違点は照明装置における配光特性である。
【0038】
この配光特性は、図11に示すように、発光領域中央部よりも各端部が発光量の高い特性を有している。すなわち、図3で示した照明装置8のLED802及び抵抗801において端部から中央部に向かうに従い、順次段階的に発光量を高くするように抵抗801の抵抗値を構成している。
【0039】
このような配光特性を持つ場合の一次元イメージセンサ装置5の画像信号出力は、図12に示すように、出力信号領域、全域で略フラットな特性を得ることが可能であり、さらに第1の実施の形態で説明したように、各LED802の発光時間の変更を実施することにより、更なるダイナミックレンジ低下の抑制を実現することができる。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について述べる。この第3の実施の形態は、第2の実施の形態に示すような光量の発光位置による変更に加え、照明装置に配光特性の異なるLEDを配置したものである。
【0041】
図13は、LEDの発光特性の品種による違いの一例を示したものである。図13は、発光量が最も高い角度を100パーセントとして角度による発光量の違いを示した特性表である。特性(a)は、発光角度0度よりも45度近辺が最も発光量が高いLEDを、特性(b)は発光角度0度が最も発光量が高く、指向性が非常に強いLED、特性(c)は特性(b)と略同等の発光特性だが、指向性が特性(b)より弱いLEDを示している。これらの組み合わせにより照明装置の配光特性を不均一にすることで、一次元イメージセンサ装置5の出力特性を均一化することができる。
【0042】
なお、第1から第3の実施の形態の画像読取装置は、カラー画像読取装置及びモノクロ画像読取装置のいずれにも適用可能である。
【0043】
また、照明装置に一次元配列されたLEDを1列で構成した場合で記述しているが、本構成が照明装置内部で複数存在する場合にも適用可能である。
【0044】
さらに、コントロールパネル19による画像読取動作開始指示毎に実施することで、当該画像読取装置1の本体内の環境変化による集光レンズ4、一次元イメージセンサ5の特性変化に対応した配光特性を与えることができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を変形できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の主要部の構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態における画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態における照明装置の構成図。
【図4】同実施の形態における画像読取装置の動作を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態における照明装置の各光源の発光時間を一定にした場合における白色画像読取時の一次元イメージセンサ装置の出力特性を示す図。
【図6】同実施の形態における処理を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態における出力特性補正処理時における光源と受光素子の位置関係を示す図。
【図8】同実施の形態における出力特性線形補間を行った際の特性図。
【図9】同実施の形態における各光源の発光時間を示すタイミングチャート。
【図10】同実施の形態における効果を示した特性図。
【図11】本発明の第2の実施の形態における照明装置の配光特性を示す図。
【図12】同実施の形態における一次元イメージセンサ装置の出力特性図。
【図13】本発明の第3の実施の形態における光源の特性図。
【符号の説明】
【0047】
1…画像読取装置,2…第1のキャリッジ,3…第2のキャリッジ,4…集光レンズ,5…一次元イメージセンサ装置,8…照明装置,9,10,11…ミラー,18…CPU,20…メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像を読取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などに実装されている縮小光学系を有する画像読取装置では、照明装置に主として蛍光管が用いられている。このような縮小光学系の照明装置により照射した光は原稿に反射され、光学系を介し、一次元イメージセンサ装置などの撮像素子に原稿情報を結像する。このときの配光特性において一例として白色画像を読みと込んだ場合、レンズの収差の影響によって中央部から端部に行くに従い光量が低下する。この特性により、シェーディング補正後のダイナミックレンジが低下するという問題が生じる。
【0003】
これに対して例えば、LED(発光ダイオード)のような光源を主走査方向に複数個1次元配列したものを照明装置として用いた場合、蛍光管と異なり主走査方向の各光源による発光量の変更が可能である。このようにLEDを用いた場合、ダイナミックレンジ低下を抑制するために、発光領域中央部から端部に行くに従い順次段階的に光量を上昇させる方法がある。
【0004】
また、複数の光源の一次元配置を不均一とし、ダイナミックレンジ低下を抑制する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−14618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の光源を主走査方向に一次元配列した照明装置において、一次元配列された各光源による光量の調整を行う場合、調整完了までに多大な時間を必要とする。
【0006】
また、複数の光源の一次元配置間隔を不均一にした場合、レンズの特性毎に最適な配置間隔が異なってしまうために汎用性に欠ける。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光量の補正に対する時間の大幅な短縮を行うことが可能であり、レンズの特性に依存することなく、照明装置の配光特性を自在に変更可能であるとともに、ダイナミックレンジ低下を改善できる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備し、照明装置による配光特性は主走査方向全域において一様となる画像読取装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、光量の補正に対する時間の大幅な短縮を行うことが可能であり、レンズの特性に依存することなく、照明装置の配光特性を自在に変更可能であるとともに、ダイナミックレンジ低下を改善できる画像読取装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、画像読取装置の主要部構成を示す断面図、図2は画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図、図3は照明装置の構成図である。図1において、1は画像読取装置本体である。画像を読取る原稿は、原稿台ガラス6上に原稿記載面を下向きに置かれ、プラテンカバー7を閉めることで原稿台ガラス6に押さえつけられる。原稿は照明装置8により照明光が照射され、原稿からの反射光がミラー9、10、11及び集光レンズ4を介し、複数受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有している一次元イメージセンサ装置5のセンサ面上に結像される。照明装置8とミラー9で構成される第1のキャリッジ2と、ミラー10及びミラー11で構成される第2のキャリッジ3が、光路長を常に一定となるように不図示のキャリッジ駆動モータによって(第1のキャリッジ:第2のキャリッジ)=2:1の速度比で読取タイミング信号に同期し、図中左側から右方向に移動することで原稿上を照明装置8からの照射光が走査する。以上のようにして原稿台ガラス6上に置かれた原稿は、一次元イメージセンサ装置5におけるセンサの主走査画像領域毎に順次読取られ、一次元イメージセンサ装置5により原稿からの反射光である光信号の強度に応じたアナログ信号に光電変換される。
【0012】
図2により画像読取時の画像処理動作を説明する。図2において図1と同一構成に該当するものは同一番号を付している。前記イメージセンサ装置5によりアナログ電気信号に光電変換された画像信号は、アナログ処理回路12に入力され、一次元イメージセンサ装置5から出力されるアナログ電気信号を後段のA/D変換器13により適切にデジタル信号へ変換するための前段階の処理が行われる。この前段階のアナログ処理回路12は、具体的には、CDS(相関2重サンプリング)又はサンプルホールド、アナログ増幅回路、オフセット除去などの処理を行う。前記アナログ処理回路12により適正化された画像信号は、A/D変換器13によりデジタル信号に変換され、シェーディング補正回路14へ与えられる。
【0013】
シェーディング補正回路14は、画像信号であるデジタル信号に対し、一次元イメージセンサ装置5による主走査1画素ごとの感度ばらつきや、照明装置8の照明むら(特に主走査方向の照明むら)などを補正して画像処理回路16に与えるものである。
【0014】
ページメモリ15は、読取原稿の画像信号を記憶するものであり、シェーディング補正回路14から出力された画像信号を記憶する。
【0015】
コントロールパネル19は、カラーモードやモノクロモードなどの動作モードや印刷枚数などのユーザによる入力情報などをCPU18に与えるものである。
【0016】
機構系駆動回路21は、第1キャリッジ2、第2キャリッジ3などの副走査方向の移動機構を駆動するものである。
【0017】
照明装置制御回路22は、原稿に照明光を照射する照射装置8の点灯及び消灯を制御するものである。
【0018】
CPU18は、メモリ20に格納されているプログラムやデータに従い、また、メモリ20をワーキングメモリとして用いながら、タイミング発生回路19、コントロールパネル22、機構系駆動回路21、照明装置制御回路22など、画像読取装置1全体を制御する。
【0019】
一次元イメージセンサ装置5、アナログ処理回路12、A/D変換器13、シェーディング補正回路14及びページメモリ15は、CPU18の制御のもと、タイミング発生回路17によりタイミング信号を与えられ同期動作を行う。
【0020】
画像処理回路16は、シェーディング補正回路14から直接与えられた画像信号や、ページメモリ15に一端格納され、ページメモリ15から読みだされた画像信号を、画像読取装置1に接続された外部装置に応じて画像処理するものである。このとき外部装置への画像信号出力は、外部インタフェース回路23を介して行われる。
【0021】
画像読取装置1は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク装置などに代表される記憶装置やパーソナルコンピュータ、プリンタなどといった外部装置と接続されている。ここで、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク装置などに代表される記憶装置は画像読取装置1本体に内蔵されていても良い。
【0022】
例えば、画像読取装置1がイメージスキャナに設けられている場合には、外部のパーソナルコンピュータに与えるように画像信号を処理する。また、例えば画像読取装置1が複写機に搭載されている場合であれば、感光ドラムへの潜像を形成させる光学系を駆動し得るような画像処理が実行される。
【0023】
図4は、上記のように構成された画像読取装置1の画像読取りの動作を示すフローチャートである。原稿台ガラス6上に原稿が置かれ、各種設定がコントロールパネル19より入力される(ST1でYes)と、コントロールパネル19上では、例えば読取解像度、原稿サイズ等の画像読取りに関する設定変更を行う。コントロールパネル19より入力された設定情報はCPU18に与えられ、設定変更情報に応じた設定変更制御信号を各部へ出力する(ST2)。
【0024】
次に、画像読取開始信号がコントロールパネル19より入力されると(ST3でYes)、CPU18は画像読取動作を実行する(ST4)。CPU18は、照明装置制御回路22に照明装置8の点灯信号を出力する。すると、照明装置8が点灯される。そして、機構系駆動回路21により第1キャリッジ2及び第2キャリッジを前記(第1キャリッジ2:第2キャリッジ3)=(2:1)の速度比で動作させ、原稿を走査する。第1キャリッジ2が原稿先端に達すると、CPU18により画像信号出力は外部インタフェース回路23から順次外部装置へ送出される。第1キャリッジ2及び第2キャリッジ3による走査は、コントロールパネル19により設定された原稿サイズまで行う。このとき、機構系駆動に関してステッピングモータなどのパルスモータを使用した場合、原稿サイズをパルス数により管理することで原稿終端までの走査を制御することができる。
【0025】
第1キャリッジ2が原稿終端まで達したとき、CPU18は画像信号出力を外部インタフェース回路23から外部装置に送出する作業を中止し、機構系駆動回路21へ第1キャリッジ2、第2キャリッジ3の走査方向を反転する指示を送信すると同時に、照明制御回路22に照明消灯の指示を送信する。
【0026】
走査方向を反転した第1キャリッジ2、第2キャリッジ3は画像読取時とは逆方向に走査を開始し、図示しない光学位置検出センサによる初期位置検知出力がCPU18に送られるまで動作を継続する(ST5)。CPU18が光学位置検出センサによる初期位置検知信号を受信した場合、機構系駆動回路21へ直ちに第1キャリッジ2及び第2キャリッジ3の動作を停止する信号を送出し、画像読取動作を終了する。この画像読取動作中にコントロールパネル19より再度画像読取開始信号が送出された場合、上記動作を繰り返し実行し、コントロールパネル19より画像読取開始信号が送出されていない場合は、画像読取動作を終了する。
【0027】
次に、図3を参照して照明装置8について詳述する。照明装置8は複数の光源を主走査方向に一次元配列した構成を有する。802は光源であるLED、801はLED802の発光電流設定用の抵抗である。LED802の発光制御は駆動回路804により行われる。各LED802は駆動回路804からの発光信号によりトランジスタ803をONすることで、電源+Vより電流がLED802に入力されLED802が発光する。このとき抵抗801の抵抗値は全てのLED802に同一値が与えられており、更にLED802は全て同一品種を用いている。したがって、照明装置8の配光特性は、発光領域全域において均一である。
【0028】
この第1の実施の形態では、一次元イメージセンサ装置5の出力信号を補正用情報として使用し、LED802の配置によって発光時間を変更することで上記ダイナミックレンジ低下を抑制するものである。
【0029】
先ず、照明装置8内に一次元配列されたLED802による発光時間を1ライン周期全区間にて発光させ、白色画像を一次元イメージセンサ装置5により出力した場合、集光レンズ4の収差特性により図5に示すように、出力信号領域中央部と比較して、出力信号領域の各端部が低くなる特性を得ることができる。
【0030】
この出力特性は、シェーディング補正回路14によりシェーディング補正動作を行うことで改善できるが、中央部と比較して端部のダイナミックレンジが低下してしまう。そこで、一次元イメージセンサ装置5の出力特性をもとに照明装置8内に一次元配列された各LED802の位置による発光時間比率を算出し、一次元イメージセンサ装置5による出力特性をフラットにさせる。このように、一次元イメージセンサ装置5による出力特性をフラットにするための処理について説明する。
【0031】
先ず、前記発光時間比率の算出方法について図6のフローチャートを参照して説明する。先ず、一次元イメージセンサ装置5の受光素子1画素のサイズに対する当該1画素に対応した原稿面との比率からLED802の配置間隔が一次元イメージセンサ装置5の受光素子何画素分であるか、すなわち、LED配置間隔とセンサ画素の画素数の関係を、
【数1】
【0032】
(1)式により算出する(ST11)。ここで、結像率とは、原稿をセンサ面上に結像する際の比率である。この(1)式により得られた結果を基に、例えば、図7のP1、P2、P3、…、PN(P1からPNは各LEDの該当する画素)のように、前記一次元配列された各LED802が該当する受光素子の画素を特定する(ST12)。
【0033】
このように画素を特定した後は、各LED802の該当する画素を基準とした線形補間を行う。図8は、線形補完後の一次元イメージセンサ装置5の出力特性を示す図である。この図8での特性から両端部のLED802のLED発光量平均値を用い、各LED802の発光時間を
【数2】
【0034】
(2)式により算出する(ST13)。図9は(2)式により得られた発光時間で各LED802を発光させた場合のタイミングを示している。図9においては、発光終了タイミングを全LED802で合わせているが、発光開始タイミングを合わせる場所や発光開始及び発光終了体タイミングが各LED802で異なっていても、(2)式で得られた結果を満たしていれば良い。
【0035】
以上のような算出結果により再度一次元イメージセンサ装置5により白色画像を出力した特性は、図10で示すように、出力信号領域の中央部、各端部が略同一の特性を有する画像出力信号となる。
【0036】
したがって、この第1の実施の形態の画像読取装置1によると、従来のLED発光量調整による方法と比較して、上述した(1)式、(2)式を利用することで、配光特性調整時間を大幅に短縮することができ、シェーディング補正時のダイナミックレンジ低下を抑制することができる。また、集光レンズ4による収差特性の違いにも対応することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について述べる。この第2の実施の形態における画像読取装置及び画像読取装置の動作は第1の実施の形態と同様であり、相違点は照明装置における配光特性である。
【0038】
この配光特性は、図11に示すように、発光領域中央部よりも各端部が発光量の高い特性を有している。すなわち、図3で示した照明装置8のLED802及び抵抗801において端部から中央部に向かうに従い、順次段階的に発光量を高くするように抵抗801の抵抗値を構成している。
【0039】
このような配光特性を持つ場合の一次元イメージセンサ装置5の画像信号出力は、図12に示すように、出力信号領域、全域で略フラットな特性を得ることが可能であり、さらに第1の実施の形態で説明したように、各LED802の発光時間の変更を実施することにより、更なるダイナミックレンジ低下の抑制を実現することができる。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について述べる。この第3の実施の形態は、第2の実施の形態に示すような光量の発光位置による変更に加え、照明装置に配光特性の異なるLEDを配置したものである。
【0041】
図13は、LEDの発光特性の品種による違いの一例を示したものである。図13は、発光量が最も高い角度を100パーセントとして角度による発光量の違いを示した特性表である。特性(a)は、発光角度0度よりも45度近辺が最も発光量が高いLEDを、特性(b)は発光角度0度が最も発光量が高く、指向性が非常に強いLED、特性(c)は特性(b)と略同等の発光特性だが、指向性が特性(b)より弱いLEDを示している。これらの組み合わせにより照明装置の配光特性を不均一にすることで、一次元イメージセンサ装置5の出力特性を均一化することができる。
【0042】
なお、第1から第3の実施の形態の画像読取装置は、カラー画像読取装置及びモノクロ画像読取装置のいずれにも適用可能である。
【0043】
また、照明装置に一次元配列されたLEDを1列で構成した場合で記述しているが、本構成が照明装置内部で複数存在する場合にも適用可能である。
【0044】
さらに、コントロールパネル19による画像読取動作開始指示毎に実施することで、当該画像読取装置1の本体内の環境変化による集光レンズ4、一次元イメージセンサ5の特性変化に対応した配光特性を与えることができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を変形できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像読取装置の主要部の構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態における画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態における照明装置の構成図。
【図4】同実施の形態における画像読取装置の動作を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態における照明装置の各光源の発光時間を一定にした場合における白色画像読取時の一次元イメージセンサ装置の出力特性を示す図。
【図6】同実施の形態における処理を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態における出力特性補正処理時における光源と受光素子の位置関係を示す図。
【図8】同実施の形態における出力特性線形補間を行った際の特性図。
【図9】同実施の形態における各光源の発光時間を示すタイミングチャート。
【図10】同実施の形態における効果を示した特性図。
【図11】本発明の第2の実施の形態における照明装置の配光特性を示す図。
【図12】同実施の形態における一次元イメージセンサ装置の出力特性図。
【図13】本発明の第3の実施の形態における光源の特性図。
【符号の説明】
【0047】
1…画像読取装置,2…第1のキャリッジ,3…第2のキャリッジ,4…集光レンズ,5…一次元イメージセンサ装置,8…照明装置,9,10,11…ミラー,18…CPU,20…メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備する画像読取装置において、
前記照明装置による配光特性は、前記主走査方向全域において一様となることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備する画像読取装置において、
前記照明装置により前記一次元イメージセンサ装置に与えられた配光特性は、前記主走査方向全域において均一な特性を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の光源の発光時間がそれぞれ可変であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記複数の光源の発光特性がそれぞれ異なることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項1】
複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備する画像読取装置において、
前記照明装置による配光特性は、前記主走査方向全域において一様となることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
複数の光源を一次元配列した照明装置と、原稿からの反射光を光電変換する複数の受光素子を主走査方向に配列した受光素子アレイを有する一次元イメージセンサ装置とを具備する画像読取装置において、
前記照明装置により前記一次元イメージセンサ装置に与えられた配光特性は、前記主走査方向全域において均一な特性を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の光源の発光時間がそれぞれ可変であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記複数の光源の発光特性がそれぞれ異なることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−246137(P2006−246137A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60400(P2005−60400)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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