説明

画像読取装置

【課題】部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿の画像読取装置本体からの落下及び大判原稿の破損を防止することが可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿の画像を読み取る画像読取装置本体3と、前記画像読取装置本体3の上面に開閉支点を中心として開閉自在に設けられ、前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、前記画像読取装置本体の上面の前記開閉支点側に設けられ、当該画像読取装置本体の上面よりも表面の高さを低く設定した低表面部18と、前記低表面部18に設けられ、前記画像読取装置本体3の上面から原稿が落下するのを防止する原稿落下防止用突部20とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像読取装置に関連する技術としては、例えば、特開平9−5896号公報、特開平10−20416号公報、特許第3650042号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
上記特開平9−5896号公報に係る画像読取装置は、原稿を載置するプラテンガラス、及び該プラテン上の原稿を上方から押さえる開閉可能な原稿押さえ板を有する画像読取装置において、画像読取装置本体の上面にあって、原稿が画像読取装置本体上面から落下するのを防止する原稿落下防止手段が、画像読取装置本体の上面より出入り可能に設けられたものである。
【0004】
また、上記特開平10−20416号公報に係る画像読取装置における原稿落下防止装置は、画像読取装置本体の上面に原稿載置板が設けられており、この原稿載置板を開閉自在に覆う原稿圧着板が前記画像読取装置本体の上面にヒンジ機構により傾動可能に取り付けられている画像読取装置における原稿落下防止装置であって、前記原稿圧着板の開閉に連動して前記画像読取装置本体の上面から出没する原稿落下防止部材を設けるように構成したものである。
【0005】
さらに、上記特許第3650042号公報に係る原稿読取装置は、原稿が載置される原稿載置台と、前記原稿載置台の背面側端部近傍に配設されるとともに、前記原稿載置台を開放または閉塞する原稿カバーを回動自在に支持する原稿カバー支持手段と、前記原稿カバーの背面側端部の支持部に回転自在に支持されるとともに、前記原稿載置台の背面側端部と前記原稿載置台を開放する前記原稿カバーとの間に形成される間隙の少なくとも一部を覆う障害部材と、を備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−5896号公報
【特許文献2】特開平10−20416号公報
【特許文献3】特許第3650042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿の画像読取装置本体からの落下及び大判原稿の破損を防止することが可能な画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置本体と、
前記画像読取装置本体の上面に開閉支点を中心として開閉自在に設けられ、前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記画像読取装置本体の上面の前記開閉支点側に設けられ、当該画像読取装置本体の上面よりも表面の高さを低く設定した低表面部と、
前記低表面部に設けられ、前記画像読取装置本体の上面から原稿が落下するのを防止する原稿落下防止用突部とを備えたことを特徴とする画像読取装置である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置本体と、
前記画像読取装置本体の上面に開閉支点を中心として開閉自在に設けられ、前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記画像読取装置本体の上面の前記開閉支点側に設けられ、当該画像読取装置本体の上面よりも表面の高さを低く設定した低表面部と、
前記低表面部上に予め定められた高さだけ突出した凸形状の原稿落下防止用突部とを備えたことを特徴とする画像読取装置である。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記原稿落下防止用の突部は、前記画像読取装置本体の背面側の最後端に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置である。
【0011】
又、請求項4に記載された発明は、前記原稿落下防止用の突部の高さは、前記画像読取装置本体の上面の高さ以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置である。
【0012】
更に、請求項5に記載された発明は、前記原稿押さえ部材は、前記画像読取装置本体の背面側において互いに離間して配置された2つの開閉部材によって前記画像形成装置本体に開閉自在に取り付けられており、前記低面部は、少なくとも前記2つの開閉部材の間に渡って設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置である。
【0013】
また、請求項6に記載された発明は、前記原稿押さえ部材は、前記画像読取装置本体の背面側において互いに離間して配置された2つの開閉部材によって前記画像形成装置本体に開閉自在に取り付けられており、前記原稿落下防止用の突部は、前記2つの開閉部材の間に渡って設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置である。
【0014】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記原稿落下防止用の突部は、前記画像読取装置本体に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿の落下及び大判原稿の破損を防止することができる。
【0016】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿の落下及び大判原稿の破損を防止することができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、原稿の落下をより一層確実に防止することができる。
【0018】
又、請求項4に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、大判原稿の破損をより一層確実に防止することができる。
【0019】
更に、請求項5に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、原稿押さえ部材を画像読取装置本体に開閉自在に取り付ける2つの開閉部材の間において、原稿の落下をより一層確実に防止できる。
【0020】
また、請求項6に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、原稿押さえ部材を画像読取装置本体に開閉自在に取り付ける2つの開閉部材の間から原稿が落下するのを防止することができる。
【0021】
さらに、請求項7に記載された発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、部品点数の増加を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の自動原稿搬送装置を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を画像形成装置に適用した場合において自動原稿搬送装置を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を画像形成装置に適用した場合において自動原稿搬送装置を装着した状態を示す外観斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を画像形成装置に適用した場合において自動原稿搬送装置を開いた状態を示す外観斜視図である。
【図5】自動原稿搬送装置の開閉部材を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の自動原稿搬送装置を取り外した状態を示す要部の側面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の自動原稿搬送装置を装着した状態を示す要部の側面図である。
【図8】この発明の実施の形態1の変形例に係る画像読取装置の自動原稿搬送装置を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【図9】自動原稿搬送装置を開閉した状態を示す要部構成図である。
【図10】原稿落下防止用の突部の設置位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像読取装置の要部を示す斜視構成図である。
【0025】
図1において、1は画像読取装置を示すものであり、この画像読取装置1は、例えば、他の装置から独立した装置として構成されるが、これに限らず、図2に示すように、図示しない画像形成装置の上部に当該画像形成装置を操作する操作ボタンや表示パネルなどを備えた操作パネル2と共に一体的に構成されたり、あるいは画像形成装置の上部に空間を介して離間した状態で配置されるように構成しても良い。
【0026】
この画像読取装置1は、図1に示すように、画像読取装置本体3を備えており、当該画像読取装置本体3は、板金や一部合成樹脂等からなる材料によって、予め定められた高さを有する偏平な直方体状に形成されているとともに、当該画像読取装置本体3の上面4は、平面状に形成されている。この画像読取装置本体3は、図2に示すように、操作パネル2が装着される側を前面側、当該操作パネル2と反対側が背面側とし、画像読取装置1の背面側は、通常、オフィスの壁側などに近付けた状態で配置される。
【0027】
画像読取装置本体3の上面4には、図1に示すように、透明なプラテンガラス6が配置されており、このプラテンガラス6は、画像を読み取る原稿5を設置するための原稿設置面を形成している。上記プラテンガラス6は、画像読取装置本体3の上面4と同一平面を形成するように配置されるか、又は画像読取装置本体3の上面4よりも予め定められた高さだけ低く配置されている。このプラテンガラス6は、画像読取装置1で読取可能な原稿5の最大サイズに対応した大きさに設定されている。
【0028】
また、上記プラテンガラス6は、原稿5の互いに交差する2辺5a、5bを基準にして位置合わせ(所謂「コーナーレジ」)を行うように設定されており、図1中の左奥側の角部7を基準として原稿5の画像面(読取面)を下にして設置するように構成されている。また、プラテンガラス6の原稿5の基準となる2辺5a、5bに対応した位置には、原稿5を押し当てることにより位置決めする位置決め部材8、9が、プラテンガラス6の表面から予め定められた微小な高さだけ突出した状態で設けられている。
【0029】
なお、プラテンガラス6としては、上記のものに限らず、原稿5の一辺に沿った方向の中央部を基準にして位置合わせ(所謂「センターレジ」)を行うように設定されたものであっても勿論良い。
【0030】
さらに、上記画像読取装置本体3の上面4には、プラテンガラス6の一側(図中、左側)に、後述する自動原稿搬送装置11によって搬送される原稿5の画像を読み取るための細長い矩形状の第2のプラテンガラス10が配置されている。
【0031】
また、上記画像読取装置本体3の内部には、図示していないが、原稿5の画像を照明するための光源や、原稿5からの反射光像を画像読取素子へと導くミラー及び結像レンズ、あるいはこれらの光源やミラーを駆動する駆動系などの部品が収容されている。
【0032】
一方、上記画像読取装置1には、図3及び図4に示すように、画像読取装置本体3の背面側に、原稿5を押さえる原稿押さえ部材としての自動原稿搬送装置11が開閉自在に設けられている。この自動原稿搬送装置11は、図4に示すように、その下面12のプラテンガラス6に対応した領域に白色の弾性部材が装着されており、画像読取装置本体3のプラテンガラス6上に載せられた異なるサイズの原稿5を上方から押さえて、プラテンガラス6上に固定するための原稿押さえ部材としての機能を果たしている。上記自動原稿搬送装置11は、図3に示すように、原稿収容台13上に収容された図示しない原稿を1枚ずつ分離した状態で搬送し、原稿が図1に示す第2のプラテンガラス10上を通過する間に、当該原稿の画像を自動的に読み取るためのものである。なお、画像の読み取りが終了した原稿は、自動原稿搬送装置11の原稿収容台13の下方に設けられた原稿排出台14上に排出される。
【0033】
上記自動原稿搬送装置11は、図5に示すように、画像読取装置本体3の背面側の端部近くに設けられた開閉支点としての支点軸15aを有する開閉部材15を介して開閉自在に画像読取装置本体2に取り付けられている。また、上記画像読取装置本体3には、図1及び図5に示すように、開閉部材15の下方に円柱形状に突出した状態で設けられた装着部16を挿入するための挿入孔17が設けれており、自動原稿搬送装置11は、図2及び図4に示すように、開閉部材15の装着部16を画像読取装置本体3の挿入孔17に対して抜き差しすることによって、画像読取装置本体3に着脱自在となっている。上記挿入孔17は、図1に示すように、画像読取装置本体2の上面4の背面側に、当該画像読取装置本体3の奥行き方向と交差する幅方向に沿った両端部の近くに、互いに予め定められた距離だけ離間した状態でそれぞれ1つずつ合計2つ設けられている。
【0034】
そして、上記画像読取装置1は、図1及び図2に示すように、設計図や地図、あるいはポスターなどのように、プラテンガラス6よりも大きな図示しない大判原稿の画像の一部を読み取る際などに、自動原稿搬送装置11を画像読取装置本体3から取り外して画像読取装置本体3の上面4を開放し、この開放された画像読取装置本体4の上面4にプラテンガラス6から周囲にはみ出した状態で大判原稿を広げ、この大判原稿の画像を画像読取装置本体3にて読み取るようになっている。
【0035】
なお、上記原稿押さえ部材としては、上述した自動原稿搬送装置11からなるものに限定されず、通常のプラテンカバーとしての下面に白色の弾性部材が装着された図示しない原稿押さえカバーを用いても良いことは勿論である。
【0036】
ところで、この実施の形態では、図1及び図6に示すように、上記画像読取装置本体3の上面4が背面側の全面にわたって同一平面状には形成されておらず、画像読取装置本体3の上面4は、その開閉支軸15a側としての背面側の予め定められた幅Wの領域が、画像読取装置本体3の背面側の端部にまでわたって、当該画像読取装置本体3の上面4よりも予め定められた高さhだけ表面が低い低面部18となっている。
【0037】
なお、図示例では、図1及び図6に示すように、画像読取装置本体3の上面4のうち、2つの挿入孔17の画像読取装置本体3における幅方向外側に位置する上面4は、当該画像読取装置本体2の背面側に向けて徐々に低くなるような傾斜面19となっている。
【0038】
上記低面部18は、例えば、図1に示すように、画像読取装置本体上面4の背面側であって、2つの挿入孔17の間に位置し、且つ当該挿入孔17の中心部に位置する端縁4aよりも背面側に位置する幅の広い領域にわたって設けられている。なお、上記挿入孔17の前面側に位置する端縁4bよりも背面側の領域も、低面部18と同一平面状に形成されている。このように、上記低面部18は、図1に示すように、少なくとも2つの挿入孔17の間にわたって連続するように設けられている。また、上記低面部18の表面は、図6に示すように、例えば、画像読取装置本体3の上面4よりも高さh=約2.5mm程度低くなるように設定されているが、これに限定されるものではなく、他の値に設定しても勿論良い。
【0039】
さらに、上記低面部18の背面側、図示例では低面部18の背面側の最後端には、図1及び図6、図7に示すように、原稿5の落下を防止する落下防止用の突部20が上向きに突出した状態で設けられている。この落下防止用の突部20は、予め定められた幅及び高さを有する断面矩形状又は上端面の角部が湾曲した断面矩形状に形成されており、図1に示すように、画像読取装置本体3の奥行き方向と交差する幅方向に沿って、2つの開閉部材15が取り付けられる挿入孔17の間に連続した突起形状に設けられている。この実施の形態では、図6に示すように、落下防止用の突部20が画像読取装置本体3の上面4と等しい高さに設定されている。ただし、これに限定されるものではなく、落下防止用の突部20の高さは、画像読取装置本体3の上面4よりも低く設定しても良い。上記落下防止用の突部20は、例えば、画像読取装置本体3の背面側の上端面を覆う合成樹脂等からなる上面カバー21に一体的に形成されており、当該上面カバー21の表面が低面部18を形成している。
【0040】
なお、上記落下防止用の突部20は、必ずしも、2つの開閉部材15の間に一連に連なるように設ける必要はなく、幅手方向に沿って複数に分割して設けても良い。また、上記落下防止用の突部20は、図8に示すように、2つの開閉部材15の間において、原稿5を設置する際の基準7となる側にのみ予め定められた長さにわたって設けても良い。この場合には、落下防止用の突部20の長さが短くて済む分だけ、当該落下防止用の突部20に接触して大判原稿が破損する虞れをより一層防止することができる。
【0041】
この落下防止用の突部20は、例えば、図9に示すように、自動原稿搬送装置11を開くことにより、画像読取装置本体3のプラテンガラス6上に載せた原稿5を取り出す際などに、自動原稿搬送装置11を開く動作に伴って、原稿5が自動原稿搬送装置11とともに持ち上げられた後、自動原稿搬送装置11の原稿押圧面12から剥離して落下し、自動原稿搬送装置11と画像読取装置本体2との隙間Gから当該画像読取装置本体3の背面側へ移動する原稿5の先端が、当該落下防止用の突部20に衝突することにより、原稿5が落下するのを防止するためのものである。
【0042】
その際、上記落下防止用の突部20が設けられている低面部18は、図6及び図9に示すように、画像読取装置本体3の上面4よりも低く設定されているため、自動原稿搬送装置11と画像読取装置本体2との隙間Gを通過した原稿5の先端部は、低面部18の表面に沿って移動し、その先端が落下防止用の突部20に衝突することで落下が防止される。
【0043】
上記落下防止用の突部20は、図6に示すように、必ずしも、低面部18の背面側の最後端に設ける必要はなく、低面部18の背面側であれば、最後端よりも手前側など任意の位置に設けても良い。また、上記落下防止用の突部20を低面部18の背面側の最後端に設けた場合には、原稿5の先端部を落下防止用突部20の手前側に位置する低面部18の表面に沿って確実に移動させることができ、当該低面部18の表面から突出した落下防止用突部20の高さを有効に利用して、原稿の落下をより一層確実に防止することができる。
【0044】
ただし、上記低面部18の背面側は、図10に示すように、自動原稿搬送装置11や図示しない原稿押さえカバーを開閉する際に、自動原稿搬送装置11等の背面側の部位が回転して移動する領域であるため、当該自動原稿搬送装置11の背面側の部位と落下防止用の突部20とが互いに干渉しないのは勿論のこと、自動原稿搬送装置11を脱着する際などに誤って作業者が指を自動原稿搬送装置11の背面側に回した場合であっても、作業者の指が自動原稿搬送装置11と落下防止用の突部20との間に挟まれることがないように留意する必要がある。
【0045】
具体的には、図10に示すように、自動原稿搬送装置11の開閉領域の背面側であって、自動原稿搬送装置11の開放時(開放角度は、例えば60度)に、作業者の指が挟み込まれない空間(例えば、15mm程度の間隔)を確保する必要がある。このような要求を画像読取装置本体3の上面4と同一の表面上で満足するためには、落下防止用の突部20を自動原稿搬送装置11の背面側の角部から約30mm(=15mm/sin30°)以上離れた位置に設ける必要があり、画像読取装置本体3の上面4の背面側に十分な長さを必要とし、画像読取装置本体3が大型化する虞れがある。
【0046】
これに対して、落下防止用の突部20を画像読取装置本体2の上面4と同一の表面上ではなく、画像読取装置本体2の上面4よりも低い低面部18に設け、しかも当該落下防止用の突部20の高さを画像読取装置本体2の上面4以下に設定することによって、落下防止用の突部20を設ける位置の制約がなくなり、画像読取装置本体2が大型化することなく、落下防止用の突部20によって原稿5の落下を防止することが可能となる。
【0047】
上記落下防止用の突部20は、原稿5の落下防止という観点からは、画像読取装置本体2の上面4よりも高く突出させても良いが、当該落下防止用の突部20の高さが画像読取装置本体2の上面4を越えると、画像読取装置本体2の上面4に大判原稿を設置した際に、当該大判原稿の一部が落下防止用の突部20に突き当たって破損する虞れが生じるため、落下防止用の突部20の高さは、画像読取装置本体2の上面4以下に設定することが望ましい。
【0048】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像読取装置では、次のようにして、部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿が落下するのを防止することができるとともに、大判の原稿が破損するのを防止することが可能となる。
【0049】
すなわち、この実施の形態に係る画像読取装置1では、当該画像読取装置1によって原稿5の画像を読み取る際に、図4に示すように、自動原稿搬送装置11を開いた状態で、画像読取装置本体2のプラテンガラス6上の予め定められた位置に原稿5を設置した後、図3に示すように、自動原稿搬送装置11を閉じて原稿5をプラテンガラス6上に固定する。
【0050】
その後、上記画像読取装置1では、図3に示すように、操作パネル2に設けられた画像読取動作の開始ボタンを操作することにより、プラテンガラス6上に設置した原稿5の画像を、図示していないが、画像読取装置本体2の内部に配置された原稿照明用の光源やミラー、あるいは結像レンズ等を介して、画像読取素子上に走査露光することによって、当該画像読取素子にて読み取るようになっている。
【0051】
その後、原稿5の画像読取動作が終了した後に、図4に示すように、再度、自動原稿搬送装置11を開いて、プラテンガラス6上に置かれた原稿5を取り出す操作が行われる。
【0052】
このとき、従来の画像読取装置では、自動原稿搬送装置11や原稿押さえカバーを急激に開いた場合など、当該自動原稿搬送装置11を開放する動作に伴って、原稿5が自動原稿搬送装置11と共にプラテンガラス6上から持ち上げられた後に、自動原稿搬送装置11の原稿押圧面12から落下し、自動原稿搬送装置11と画像読取装置本体2との隙間Gから、当該画像読取装置本体2の背面側などに原稿5が落下する虞れがあった。
【0053】
ところが、この実施の形態では、図1及び図9に示すように、画像読取装置本体3の背面側に位置する低面部18上に原稿落下防止用の突部20が設けられているため、自動原稿搬送装置11と画像読取装置本体2との隙間Gを通過した原稿5の先端部は、低面部18の表面に沿って移動し、画像読取装置本体3の背面側に設けられた原稿落下防止用の突部20に突き当たって止まり、画像読取装置本体3の背面側に落下することが防止される。
【0054】
また、この実施の形態では、図1及び図9に示すように、原稿落下防止用の突部20が画像読取装置本体2の上面4と同一面に設けられているのではなく、当該画像読取装置本体2の上面4よりも低く設定された低表面部18に、画像読取装置本体2の上面4以下の高さに設けられている。
【0055】
そのため、上記画像読取装置1において、図1及び図2に示すように、設計図や地図、あるいはポスターなどの大判原稿の画像を読み取る際などに、自動原稿搬送装置11を画像読取装置本体3から取り外して画像読取装置本体2の上面4を開放し、この開放された画像読取装置本体3の上面4にプラテンガラス6から周囲にはみ出した状態で大判原稿を広げても、原稿落下防止用の突部16は、画像読取装置本体3の上面4よりも上方に突出することがないので、大判原稿を画像読取装置本体3の上面4に広げて作業者が手で押さえた場合などであっても、大判原稿が原稿落下防止用の突部20に突き当たって破損したりすることがない。
【0056】
このように、上記実施の形態に係る画像読取装置1では、原稿落下防止用の突部20を出没させる複雑な機構などを設ける必要がなく、部品点数の増加に伴う装置コストの増大を抑えつつ、原稿が落下するのを防止することができるとともに、大判原稿が破損したりするのを防止することができる。
【符号の説明】
【0057】
1:画像読取装置、3:画像読取装置本体、4:上面、18:低面部、20:原稿落下防止用の突部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取装置本体と、
前記画像読取装置本体の上面に開閉支点を中心として開閉自在に設けられ、前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記画像読取装置本体の上面の前記開閉支点側に設けられ、当該画像読取装置本体の上面よりも表面の高さを低く設定した低表面部と、
前記低表面部に設けられ、前記画像読取装置本体の上面から原稿が落下するのを防止する原稿落下防止用突部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿の画像を読み取る画像読取装置本体と、
前記画像読取装置本体の上面に開閉支点を中心として開閉自在に設けられ、前記原稿を押さえる原稿押さえ部材と、
前記画像読取装置本体の上面の前記開閉支点側に設けられ、当該画像読取装置本体の上面よりも表面の高さを低く設定した低表面部と、
前記低表面部上に予め定められた高さだけ突出した凸形状の原稿落下防止用突部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿落下防止用突部は、前記画像読取装置本体の前記開閉支点側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿落下防止用突部の高さは、前記画像読取装置本体の上面の高さ以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿押さえ部材は、前記画像読取装置本体の前記開閉支点側において互いに離間して配置された2つの支持部材によって前記画像形成装置本体に開閉自在に取り付けられており、前記低表面部は、少なくとも前記2つの支持部材の間に渡って設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿押さえ部材は、前記画像読取装置本体の前記開閉支点側において互いに離間して配置された2つの支持部材によって前記画像形成装置本体に開閉自在に取り付けられており、前記原稿落下防止用突部は、前記2つの支持部材の間に渡って設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記原稿落下防止用突部は、前記画像読取装置本体に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−69947(P2011−69947A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220174(P2009−220174)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】