画像読取装置
【課題】原稿の両面を読み取り可能な画像読取装置において、原稿に照射される光量を調整すること。
【解決手段】画像読取装置1では、搬送経路22を挟んで配置されるCIS30及びCIS40が、逆側のCISが有する光源から照射される光の影響を受ける位置に配置されている。そして、矢印37に示す搬送方向における原稿Gの先端と後端の少なくとも一方が位置P2と位置P3との間に存在する第1状態Z1では、原稿Gの先端が位置P3よりも下流側に位置し、原稿Gの後端がP2よりも上流側に位置する第2状態Z2よりも、光源31、41から照射される光量を減らすように制御する。
【解決手段】画像読取装置1では、搬送経路22を挟んで配置されるCIS30及びCIS40が、逆側のCISが有する光源から照射される光の影響を受ける位置に配置されている。そして、矢印37に示す搬送方向における原稿Gの先端と後端の少なくとも一方が位置P2と位置P3との間に存在する第1状態Z1では、原稿Gの先端が位置P3よりも下流側に位置し、原稿Gの後端がP2よりも上流側に位置する第2状態Z2よりも、光源31、41から照射される光量を減らすように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置において、原稿に照射される光量を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送経路を搬送される原稿の両面を読み取る画像読取装置が知られている。例えば、搬送経路の上流側に載置され原稿の一方の面を読み取る読取部と、搬送経路の下流側に載置され原稿の他方の面を読み取る読取部が、搬送経路を介して逆側に配置されていることがある(例えば、特許文献1)。この装置では、一方の読取部の光源から照射された光が、他方の読取部の受光素子によって受光されることがある。そのため、原稿の両面を読み取る際に、一方の読取部の光源から照射された光が、他方の読取部の読取結果に影響を及ぼし、読取結果にムラが生じることがあった。
【0003】
従来技術では、原稿の両面を読み取る際に、両読取部の読み取りが完全に終了するまで、両読取部の光源からの光の照射を維持する。これによって、搬送経路上流側の読取部の読み取りが終わった際に、搬送経路下流側の読取部の読み取りを実行しているにも関わらず上流側読取部の光源からの光の照射を停止する場合と異なり、読取部が原稿を読み取る期間に亘って両光源から照射される光量を一定に維持することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−254340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、搬送経路上流側の読取部の読み取りが終わった後、搬送経路下流側の読取部の読み取りを実行している場合、原稿は搬送経路下流側の読取部を覆っている一方、搬送経路上流側の読取部を覆っていないことから、搬送経路上流側の読取部の光源から照射された光は、搬送経路下流側の読取部の受光素子によって受光されることとなる。この結果、両読取部が読み取りを実行しており、原稿が両読取部を覆っている場合に比べて、搬送経路下流側の読取部の受光素子が受光する光量が増加してしまい、読取結果にムラが生じてしまうことを防止することができない。同様の問題が、搬送経路上流側の読取部の読み取りを実行しており、搬送経路下流側の読取部の読み取りを開始していない場合における搬送経路上流側の読取部の受光素子についても発生する。
【0006】
本明細書では、原稿の両面を読み取り可能な画像読取装置において、原稿に照射される光量を調整する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像読取装置は、原稿を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送経路に沿って一方の側に設置され、前記原稿の一方の面に対して光を照射する第1光源と、前記原稿の一方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第1受光素子と、を有する第1読取部と、前記第1読取部より前記搬送経路上の下流側に位置し、前記搬送経路に沿って他方の側に設置され、前記原稿の他方の面に対して光を照射する第2光源と、前記原稿の他方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第2受光素子と、を有する第2読取部と、を備え、前記第1受光素子と前記第2受光素子の少なくとも一方が、他の光源が照射する光の影響を受ける位置に配置され、更に、前記原稿の両面を読み取る場合は、前記第1光源と第2光源の両方を点灯させ、前記搬送経路に沿う方向における前記原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在する第1状態では、前記原稿の先端が前記第2読取部よりも下流側に位置し、前記原稿の後端が前記第1読取部よりも上流側に位置する第2状態よりも、前記第1光源及び第2光源から照射される光量を減らすように前記第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、を備える。
【0008】
また、上記の画像読取装置では、前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整された光量であり、前記第2状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整された光量である構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像読取装置では、前記第1受光素子及び第2受光素子は、各々最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記白部材で反射された光を受光しており、各状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子における前記読取素子の受光量の最大値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている構成としても良い。
【0010】
また、上記の画像読取装置では、前記第1受光素子及び第2受光素子は、最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記原稿で反射された光を受光しており、前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、前記第1受光素子及び第2受光素子における前記読取素子の受光量の平均値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によって開示される画像読取装置では、原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在し、第1読取部と第2読取部の少なくとも一方の光源から照射される光が原稿で覆われていない第1状態における第1光源及び第2光源の光量を、原稿の先端と後端のいずれもが第1読取部と第2読取部との間に存在せず、第1読取部と第2読取部のいずれの光源から照射される光が原稿で覆われている第2状態における第1光源及び第2光源の光量よりも減らすように制御する。この画像読取装置によれば、第1読取部と第2読取部が搬送経路に沿って逆側に配置され、原稿で覆われていない読取部の光源から照射される光が、逆側に配置された読取部の受光素子で受光される場合であっても、第1状態と第2状態において受光素子が受光する光量に差が生じることを抑制することができ、読取画像信号にムラが発生することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像読取装置1の斜視図
【図2】画像読取装置1の概略的な断面図
【図3】読取部24の構造を説明するための図
【図4】画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図5】読取処理を示すフローチャート
【図6】光量調整処理を示すフローチャート
【図7】第2状態Z2における光量調整処理を示すフローチャート
【図8】実施形態1の第1状態Z1における光量調整処理を示すフローチャート
【図9】第1状態Z1を示す図
【図10】第2状態Z2を示す図
【図11】第1状態Z1及び第2状態Z2における光源31、41の点灯時間Tを示す図
【図12】実施形態2の第1状態Z1における光量調整処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図11を用いて説明する。
【0014】
1.画像読取装置の機械的構成
図1は、本実施形態の画像読取装置1の外観を示す斜視図であり、図2は画像読取装置1の概略的な内部構成図である。以下の説明では、紙面左側を装置前端側とし、紙面右側を装置後端側として説明を行う。画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4と、を含む。本実施形態の画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数の原稿Gを排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿Gを本体部3に含まれる読取部24(図2参照)を用いて読み取るシートフィードスキャナである。なお、原稿Gは、シートの一例であり、紙やOHPシートなどでもよい。
【0015】
給紙トレイ2は、前側が下方に傾斜した状態で、本体部3の後側に設けられている。給紙トレイ2の左右の両端部には、ガイド7A、7Bが左右方向に移動可能に設けられている。画像読取装置1では、ユーザによりガイド7A、7Bが押し広げられ、又は押し狭められることにより、ガイド7A、7Bの間の距離が原稿Gの幅と等しく調整され、給紙トレイ2のガイド7A、7Bの間に原稿Gが載置される。
【0016】
図2に示すように、本体部3の内部には、給紙トレイ2の前端から排紙トレイ4の後端まで延びる搬送経路22が設けられており、この搬送経路22の周辺に、ピックアップローラ20と、分離パッド21と、フィードローラ23と、読取部24と、排出ローラ25と、フロントセンサ26と、リヤセンサ27とが設けられている。
【0017】
ピックアップローラ20は、給紙トレイ2の前側に配置され、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された1または複数枚の原稿Gを本体部3の内部へと引き込む。分離パッド21は、ピックアップローラ20に対向するように配置され、摩擦力により、複数枚の原稿Gを1枚ずつ分離する。これにより、原稿Gが1枚ずつ本体部3の内部へと搬送される。
【0018】
フィードローラ23は、ピックアップローラ20等よりも搬送経路22の下流側に設けられ、図示しないモータにより駆動されるとともに、本体部3の内部へと引き込まれた原稿Gを搬送経路22に沿って搬送する。読取部24は、フィードローラ23よりも搬送経路22の下流側に設けられ、フィードローラ23によって搬送経路22に沿って搬送される原稿Gを読み取る。
【0019】
排出ローラ25は、読取部24よりも搬送経路22の下流側に設けられ、読取部24にて画像読取処理がされた原稿Gを排紙トレイ4に送り出す。排出トレイ24は、前側が下方に傾斜した状態で、本体部3の前側に設けられ、排出ローラ25により送り出された原稿Gが積層される。つまり、ピックアップローラ20とフィードローラ23と排出ローラ25とによって、給紙トレイ2に載置された原稿Gを搬送経路22に沿って搬送する搬送部28が形成されている。搬送部28では、ピックアップローラ20とフィードローラ23と排出ローラ25とが、図示しない共通のモータにより連動して回転して原稿Gを搬送している。
【0020】
フロントセンサ26は、給紙トレイ2の前端側に設けられ、給紙トレイ2上に配置されている原稿Gの有無を検知し、その検知結果に応じた検知信号SG1を出力する。リヤセンサ27は、フィードローラ23よりも搬送経路22の下流側に設けられ、搬送経路22の位置P1(図3参照)における原稿Gの有無を検知し、その検知結果に応じた検知信号SG2を出力する。なお、フロントセンサ26及びリヤセンサ27は、例えば、圧力センサなどの接触式センサでも、光学センサや磁気センサなどの非接触式センサでもよい。
【0021】
図3は読取部24の概略的な構成図である。読取部24は、リヤセンサ27よりも搬送経路22の下流側に設けられ、搬送経路22を挟んで対向して配置された一対のCIS30、40を含んで構成される。一対のCIS30、40は、搬送経路22を挟んで配置されているとともに、お互いに相対移動不能に設けられている。図3に示すように、CIS(第1読取部の一例)30は、搬送経路22に沿って下側(一方の側の一例)に配置されており、プラテンガラス34の表面34A側を通過する原稿Gの表面(一方の面の一例)の画像を読み取る。CIS(第2読取部の一例)40は、図3に矢印37で示す搬送方向においてCIS30より搬送経路22上の下流側に位置している。CIS40は、搬送経路22に沿って上側(他方の側の一例)に配置されており、プラテンガラス44の表面44A側を通過する原稿Gの裏面(他方の面の一例)の画像を読み取る。
【0022】
CIS30は、上記プラテンガラス34の他、光源(第1光源の一例)31と、受光部(第1受光素子の一例)32、ロッドレンズアレイ36がキャリッジ35に搭載された構成とされている。光源31は、発光ダイオードなどを備えて構成され、受光部32は、図示しない複数の受光素子が図3の紙面垂直方向に直線状に配列されて構成されている。なお、CIS40の構造はCIS30の構造と基本的に同じものであり、重複した説明を省略する。プラテンガラス34の裏面34Bには、CIS40の受光部(第2受光素子の一例)42に対向する位置に白基準板33が配置されており、プラテンガラス44の裏面44Bには、CIS30の受光部32に対向する位置に白基準板33が配置されている。
【0023】
光源31は、プラテンガラス34を介して搬送経路22を搬送される原稿G、または、CIS40の白基準板43に光L1を照射する。受光部32は、キャリッジ35内において光源31より下流側に配置されており、搬送経路22において位置P1よりも下流側に設けられた位置P2における原稿G、または、CIS40の白基準板43から反射される反射光L2(図3では、原稿Gからの反射光)を受光する。
【0024】
また、光源41(第2光源の一例)は、プラテンガラス44を介して搬送経路22を搬送される原稿G、または、CIS30の白基準板33に光L3を照射する。受光部42は、キャリッジ45内において光源41より下流側に配置されており、搬送経路22において位置P2よりも下流側に設けられた位置P3における原稿G、または、CIS40の白基準板43から反射される反射光L4(図3では、原稿Gからの反射光)を受光する。
【0025】
搬送経路22を搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P2に存在しない場合、光源31から照射される光L1は、白基準板43に照射されるとともに、その一部がプラテンガラス44を介して受光部42に受光される。また、搬送経路22を搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P3に存在しない場合、光源41から照射される光L3は、白基準板33に照射されるとともに、その一部がプラテンガラス34を介して受光部32に受光される。つまり、読取部24において、受光部42は、光源31が照射する光L1の影響を受ける位置に配置されているということができ、受光部32は、光源41が照射する光L3の影響を受ける位置に配置されているということができる。
【0026】
白基準板33及び白基準板43は、白基準板に限らず灰色基準板などでもよく、また、図3に示すようにプラテンガラス34,44の裏面34B、44Bに配置される構成以外に、例えばプラテンガラス34,44に埋設された構成としても良い。図3に示すように、CIS30は、CIS40が有する白基準板43を用いてシェーディング補正等に必要な白基準データを取得し、CIS40は、CIS30が有する白基準板33を用いてシェーディング補正等に必要な白基準データを取得する。
【0027】
また、図1に示すように、本体部3には、この他に、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、ユーザからの操作指令等を受け付ける操作部5や、発光ダイオード等からなり、画像読取装置1の状況を表示する表示部6を含む。
【0028】
2.画像読取装置の電気的構成
図4は、画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4に示すように、画像読取装置1は、画像読取装置1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)11、ROM12、RAM13を備え、これらにバス14を介してデバイス制御部15、アナログフロントエンド(以下、AFE)16、駆動回路17、CIS30、40、搬送部28、操作部5、表示部6、フロントセンサ26、リヤセンサ27などが接続されている。
【0029】
ROM12には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU11は、ROM12から読み出したプログラムに従って、光源制御部50等として機能し、各部の制御を行う。駆動回路17は、図示されないモータを駆動し、搬送部28に含まれる各種ローラを駆動する。
【0030】
デバイス制御部15は、CIS30、40に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、光源31、41の点灯/消灯、及び点灯時間Tを制御する信号をCIS30、40に送信する。CIS30、40は、デバイス制御部15から信号を受け取ると、光源31、41を点灯し、点灯時間Tに亘って光源31、41を発光させる。その際、CIS30、40は、CPU11からの命令に基づいて、搬送経路22に沿って搬送される原稿G、または、白基準板33、43から反射される反射光を受光部32、42にて受光し、受光部32、42が受光した受光量に応じたアナログ信号である読取電圧(読取画像信号の一例)をAFE16に出力する。CIS30、40は、受光部32、42の各受光素子を用いて反射光を受光し、各受光素子が受光した受光量に応じた読取電圧を順次、AFE16に出力する。
【0031】
AFE16は、CIS30、40に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、CIS30、40から出力される読取電圧をデジタル信号である階調値(読取画像信号の別例)に変換するA/D変換回路を有している。AFE16は、予め定められた入力レンジ及び分解能(例えば、8ビットであるならば0から255の階調)を有している。AFE16は、CIS30、40から出力された読取電圧を8ビット(0〜255)の階調値にA/D変換を行う。そして、AFE16によってA/D変換された階調値は、バス14を介してRAM13に記憶される。これによって、CIS30、40の各受光素子を用いて読み取られた読取データである階調値がRAM13に記憶される。
【0032】
3.読取処理
次に、図5ないし図11を参照して、読取部24を用いて原稿Gを読み取る場合の、CPU11における処理について説明する。
【0033】
図5は、CPU11が所定のプログラムに従って実行する実施形態1のフローチャートを示す。CPU11は、フロントセンサ26によって画像読取装置1の給紙トレイ2に原稿Gが載置されたことが確認され、操作部5を介して原稿Gの両面を読み取る読取指示が入力されると、処理を開始する。CPU11は、処理を開始すると、まず、光源31、41の光量調整処理を実行する(S2)。
【0034】
本実施形態の画像読取装置1では、図9または図10に示すように、原稿Gを読み取る際に、搬送経路22に沿って搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P2、P3の一方のみに存在する状態、すなわち、矢印37で示す原稿Gの搬送方向の先端と後端の少なくとも一方が位置P2、P3の間に存在する第1状態(図9参照)Z1と、搬送経路22の位置P2、P3の両方に存在する状態、すなわち、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3よりも下流側に位置し、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2よりも上流側に位置する第2状態(図10参照)Z2とで切り換わる。そのため、本実施形態では、第1状態Z1と第2状態Z2のそれぞれの状態において光源31、41の光量が調整される。
【0035】
図6に示すように、光量調整処理において、CPU11は、まず、光源31のみの点灯における光源31の光量を調整する(S32)。この調整は、光源41を消灯させ、光源31を点灯させた状態で行われ、光源31のみの点灯における光源31の点灯時間T1が決定される。
【0036】
図7に示すように、光源31の光量調整処理において、CPU11は、まず基準時間KT単位で短縮/延長が可能な光源31の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定する(S42)。CPU11は、設定された点灯時間Tにおいて光源31を点灯させ、受光部32の各受光素子を用いて白基準板43を1ライン読み取り、受光素子毎に白基準データを取得する(S44)。CPU11は、取得された白基準データをAFE15により階調値に変換し、各受光素子の階調値のうち、その階調値が最も大きくなる最大階調値WKmaxをAFE15の最大階調値(最大受光量の一例、8ビットの場合、255)Kmaxと比較する(S46)。
【0037】
CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S46でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S48)、S44からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S46でNO)、当該点灯時間Tを光源31のみの点灯における光源31の点灯時間T1としてRAM13に記憶し(S50)、当該処理を終了する。
【0038】
次に、CPU11は、光源41のみの点灯における光源41の光量を調整する(S34)。この調整は、光源31を消灯させ、光源41を点灯させた状態で行われる。なお、光源41のみの点灯における光源41の光量調整処理は、光源31のみの点灯における光源31の光量調整処理と基本的に同じ処理であり、重複した説明を省略する。この調整により、光源41のみの点灯における光源41の点灯時間T2がRAM13に記憶される。
【0039】
次に、CPU11は、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の光量を調整する(S32)。この調整は、光源31及び光源41を同時に点灯させた状態、つまり、光源31及び光源41を同一の点灯時間Tで点灯させた状態で行われ、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の点灯時間T3が決定される。
【0040】
図8に示すように、光量調整処理において、CPU11は、まず光源31、41の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定する(S52)。CPU11は、設定された点灯時間Tにおいて光源31及び光源41を点灯させ、受光部32の各受光素子を用いて白基準板43を1ライン読み取り、受光素子毎に白基準データを取得する(S54)。CPU11は、取得された白基準データをAFE16により階調値に変換し、最大階調値WKmaxを最大階調値Kmaxと比較する(S56)。
【0041】
CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S56でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S58)、S54からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S56でNO)、当該点灯時間Tを光源31及び光源41の同時点灯における光源31の点灯時間T3としてRAM13に記憶し(S60)、当該処理を終了する。
【0042】
次に、CPU11は、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の光量を調整する(S38)。この調整は、光源31及び光源41を同時に点灯させた状態で、つまり、光源31及び光源41を同一の点灯時間Tで点灯させた状態で行われる。なお、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の光量調整処理は、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の光量調整処理と基本的に同じ処理であり、重複した説明を省略する。この調整により、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の点灯時間T4がRAM13に記憶される。なお、光源同時点灯時の調整は、各T3、T4が決まってから再調整することで実読取時の光量に合わせ込む。
【0043】
光源31、41の光量調整処理が終了すると、CPU11は、駆動回路17を用いて搬送部28を駆動し、給紙トレイ2に載置された原稿Gの搬送を開始する(S4)。CPU11は、原稿Gの搬送開始後、リヤセンサ27を用いて搬送経路22を搬送される原稿Gの位置を確認し、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達するのを待機する(S6でNO)。
【0044】
CPU11は、図3に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達すると(S6でYES)、光源31、41を点灯させる。図11に示すように、CPU11は、光源31、41を点灯させる際、1ライン周期TSで点灯と消灯を繰り返す。CPU11は、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達すると、光源31及び光源41を1ライン周期TSのうち点灯時間T3に亘って発光させる。
【0045】
CPU11は、図9に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P2に到達し、搬送経路22を搬送される原稿Gが第1状態Z1となると、CIS30による原稿Gの読み取りを開始する。なお、原稿Gの搬送方向の先端が位置P2に到達したか否かは、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達後、搬送経路22を搬送される原稿Gの搬送速度と、及び搬送経路22における位置P1と位置P2の間の距離とによって決定される搬送時間が経過したか否かによって判断される。原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達する場合も同様であり、原稿Gの搬送方向の後端が位置P1に到達後、位置P2、P3に到達する場合も同様である。
【0046】
また、CPU11は、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達するのを待機する(S10でNO)。CPU11は、図10に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達し(S10でYES)、搬送経路22を搬送される原稿Gが第1状態Z1から第2状態Z2に切り換わると、光源31、41の点灯時間Tを変更する。CPU11は、第2状態Z2において、光源31を点灯時間T1に亘って発光させるとともに、光源41を点灯時間T2に亘って発光させる(S12)。また、CPU11は、CIS40による原稿Gの読み取りを開始する。
【0047】
CPU11は、第2状態Z2において、CIS30、40を用いて原稿Gの両面を読み取る。また、CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2に到達するのを待機する(S14でNO)。CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2に到達し(S14でYES)、搬送経路22を搬送される原稿Gが第2状態Z2から再び第1状態Z1に切り換わると、光源31、41の点灯時間Tを変更する。CPU11は、第1状態Z1において、光源31及び光源41を点灯時間T4に亘って発光させる(S16)。また、CPU11は、CIS30による原稿Gの読み取りを終了する。
【0048】
次に、CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P3に到達するのを待機する(S18でNO)。CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P3に到達すると(S18でYES)、光源31、41を消灯させる(S20)。また、CPU11は、CIS40による原稿Gの読み取りを終了し、読取部24による原稿Gの読み取りを終了する。CPU11は、原稿Gを排紙トレイ4に排紙後、駆動回路17を用いて搬送部28を停止し(S22)、読取処理を終了する。
【0049】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の画像読取装置1では、CIS30とCIS40が搬送経路22を挟んでお互いにずれた位置に設けられており、CIS30が原稿を読み取る位置P2と、CIS40が原稿を読み取る位置P3が、搬送経路22の異なる位置に設定されている。そのため、CIS30が位置P2において原稿Gを読み取る際、つまり原稿Gが位置P2に存在する際に、原稿Gが位置P3に存在しない第1状態Z1と、原稿Gが位置P3に存在する第2状態Z2の2つの状態が発生し得る。
【0050】
原稿Gが位置P3に存在する第2状態Z2では、光源41から照射される光が原稿Gによって遮られる。その一方、原稿Gが位置P3に存在しない第1状態Z1では、光源41から照射される光が原稿Gによって遮られず、光源41から照射された光の一部がCIS30の受光部32で受光される。そのため、第1状態Z1と第2状態Z2で、光源31から照射される光量が等しいとすると、第1状態Z1において受光部32で受光される光量が第2状態Z2において受光部32で受光される光量よりも増加してしまい、第1状態Z1と第2状態Z2の切り換わりに応じてCIS30によって読み取られる読取データにムラが発生してしまう。
【0051】
図11に、画像読取装置1の第1状態Z1及び第2状態Z2における光源31、41の点灯時間Tを比較して示す。本実施形態では、第1状態Z1、すなわち光源31及び光源41から同時に点灯される場合の光源31の点灯時間T3が、第2状態Z2、すなわち光源31のみから点灯される場合の光源31の点灯時間T1よりも短くなるように調整する。つまり、第1状態Z1で光源31から照射される光量が、第2状態Z2で光源31から照射される光量よりも少なくなるように調整する。同様に、第1状態Z1で光源41から照射される光量が、第2状態Z2で光源41から照射される光量よりも少なくなるように調整する。これによって、第1状態と第2状態において受光部32、42が受光する光量に差が生じることが抑制され、読取データにムラが発生することを抑制することができる。
【0052】
(2)本実施形態の画像読取装置1では、第1状態Z1における光源31の点灯時間T3を、光源31、41を同時に点灯させた状態で調整し、第2状態Z2における光源31の点灯時間T1を、光源31を点灯し、光源41を消灯した状態で調整する。つまり、この画像読取装置1では、第1状態Z1では、光源31、41から照射される光が受光部32、42で受光されることから、第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整する。また、第2状態Z2では、光源41から照射される光が受光部32で受光されず、光源31から照射される光が受光部42で受光されないことから、第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整する。そのため、搬送経路22を搬送される原稿Gの状態に応じた光の照射状態を考慮して、各状態における光源31、41の光量を調整することができる。
【0053】
<実施形態2>
実施形態2を、図12を用いて説明する。本実施形態では、第1状態Z1における光源31、41の点灯時間Tの光量調整処理が、実施形態1と異なる。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0054】
1.光量調整処理
図12に示すように、第1状態Z1における光源31の光量調整処理において、CPU11は、光源31、41の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定し(S52)、受光部32の各受光素子を用いて白基準データを取得する(S54)。CPU11は、取得された白基準データをAFE15により階調値に変換し、各受光素子の階調値を平均した平均階調値WKaveを最大階調値Kmaxと比較する(S62)。
【0055】
CPU11は、白基準階調データの平均階調値WKaveがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S62でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S58)、S54からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの平均階調値WKaveがAFE15の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S62でNO)、当該点灯時間Tを第1状態Z1における光源31の点灯時間T3としてRAM13に記憶し(S60)、当該処理を終了する。なお、第1状態Z1における光源41の点灯時間T4の調整も同様である。また、白基準階調データの平均階調値WKaveは、必ずしも全データに対して行う必要はない。
【0056】
2.本実施形態の効果
本実施形態の画像読取装置1では、第1状態Z1において光源31、41から照射される光量を、受光部32、42の各受光素子が受光した受光量の平均値に基づいて調整する。この画像読取装置によれば、搬送経路22の逆側に配置されたCISの光源から照射される光による影響を考慮しつつ、原稿Gを読み取った際に受光素子が受光する光量の平均値が各受光部32、42においてオーバーフローすることを抑制することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。原稿Gを読み取る画像読取機能を有し、その他にプリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の少なくとも1つの機能を有する複合機であっても良い。
【0058】
(2)上記実施形態では、読取部24の一対のCIS30,40が搬送経路22を挟んで互いにずれた位置に設けられている。しかし、一対のCIS30,40が、搬送経路22の搬送方向において対向する位置に配置されていても良い。例えば、CIS30において、受光部32が光源31より上流側に配置されており、CIS40において、受光部42が光源41より下流側に配置されている場合、一対のCIS30,40が、搬送経路22の搬送方向において対向する位置に配置されていても、CIS30が原稿を読み取る位置P2と、CIS40が原稿を読み取る位置P3を搬送経路22の異なる位置に設定することができる。このようにCIS30,40を配置することで、読取部24を小型化して形成することができる。
【0059】
(3)上記実施形態では、ASIC10は、1つのCPU11を備え、その1つのCPU11により画像読取処理が実行される構成であった。しかし、複数のCPU11により画像読取処理が実行される構成でもよい。例えばデバイス制御処理、画像処理、駆動処理を別々のCPU11に実行させる構成でもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、CIS30、40の搬送経路22側に載置される透過部材を、プラテンガラス34、44を用いて説明したが、その材質は特に限定されず、透過率の比較的高いプラスチック等でも良い。
【0061】
(5)上記実施形態では、読取部24が一対のCIS30,40を含んで構成される例を用いて説明を行ったが、CIS30,40は読取部24を構成する読取デバイスの一例である。読取デバイスは、CCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を含んで構成されていても良い。
【符号の説明】
【0062】
1:画像読取装置、10:ASIC、11:CPU、15:デバイス制御部、16:AFE、17:駆動回路、22:搬送経路、24:読取部、28:搬送部、30、40:CIS、31、41:光源、32、42:受光部、33、43:白基準板、34、44:プラテンガラス、50:光源制御部、G:原稿、T:点灯時間、Z1:第1状態、Z2:第2状態
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置において、原稿に照射される光量を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送経路を搬送される原稿の両面を読み取る画像読取装置が知られている。例えば、搬送経路の上流側に載置され原稿の一方の面を読み取る読取部と、搬送経路の下流側に載置され原稿の他方の面を読み取る読取部が、搬送経路を介して逆側に配置されていることがある(例えば、特許文献1)。この装置では、一方の読取部の光源から照射された光が、他方の読取部の受光素子によって受光されることがある。そのため、原稿の両面を読み取る際に、一方の読取部の光源から照射された光が、他方の読取部の読取結果に影響を及ぼし、読取結果にムラが生じることがあった。
【0003】
従来技術では、原稿の両面を読み取る際に、両読取部の読み取りが完全に終了するまで、両読取部の光源からの光の照射を維持する。これによって、搬送経路上流側の読取部の読み取りが終わった際に、搬送経路下流側の読取部の読み取りを実行しているにも関わらず上流側読取部の光源からの光の照射を停止する場合と異なり、読取部が原稿を読み取る期間に亘って両光源から照射される光量を一定に維持することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−254340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、搬送経路上流側の読取部の読み取りが終わった後、搬送経路下流側の読取部の読み取りを実行している場合、原稿は搬送経路下流側の読取部を覆っている一方、搬送経路上流側の読取部を覆っていないことから、搬送経路上流側の読取部の光源から照射された光は、搬送経路下流側の読取部の受光素子によって受光されることとなる。この結果、両読取部が読み取りを実行しており、原稿が両読取部を覆っている場合に比べて、搬送経路下流側の読取部の受光素子が受光する光量が増加してしまい、読取結果にムラが生じてしまうことを防止することができない。同様の問題が、搬送経路上流側の読取部の読み取りを実行しており、搬送経路下流側の読取部の読み取りを開始していない場合における搬送経路上流側の読取部の受光素子についても発生する。
【0006】
本明細書では、原稿の両面を読み取り可能な画像読取装置において、原稿に照射される光量を調整する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像読取装置は、原稿を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送経路に沿って一方の側に設置され、前記原稿の一方の面に対して光を照射する第1光源と、前記原稿の一方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第1受光素子と、を有する第1読取部と、前記第1読取部より前記搬送経路上の下流側に位置し、前記搬送経路に沿って他方の側に設置され、前記原稿の他方の面に対して光を照射する第2光源と、前記原稿の他方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第2受光素子と、を有する第2読取部と、を備え、前記第1受光素子と前記第2受光素子の少なくとも一方が、他の光源が照射する光の影響を受ける位置に配置され、更に、前記原稿の両面を読み取る場合は、前記第1光源と第2光源の両方を点灯させ、前記搬送経路に沿う方向における前記原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在する第1状態では、前記原稿の先端が前記第2読取部よりも下流側に位置し、前記原稿の後端が前記第1読取部よりも上流側に位置する第2状態よりも、前記第1光源及び第2光源から照射される光量を減らすように前記第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、を備える。
【0008】
また、上記の画像読取装置では、前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整された光量であり、前記第2状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整された光量である構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像読取装置では、前記第1受光素子及び第2受光素子は、各々最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記白部材で反射された光を受光しており、各状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子における前記読取素子の受光量の最大値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている構成としても良い。
【0010】
また、上記の画像読取装置では、前記第1受光素子及び第2受光素子は、最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記原稿で反射された光を受光しており、前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、前記第1受光素子及び第2受光素子における前記読取素子の受光量の平均値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によって開示される画像読取装置では、原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在し、第1読取部と第2読取部の少なくとも一方の光源から照射される光が原稿で覆われていない第1状態における第1光源及び第2光源の光量を、原稿の先端と後端のいずれもが第1読取部と第2読取部との間に存在せず、第1読取部と第2読取部のいずれの光源から照射される光が原稿で覆われている第2状態における第1光源及び第2光源の光量よりも減らすように制御する。この画像読取装置によれば、第1読取部と第2読取部が搬送経路に沿って逆側に配置され、原稿で覆われていない読取部の光源から照射される光が、逆側に配置された読取部の受光素子で受光される場合であっても、第1状態と第2状態において受光素子が受光する光量に差が生じることを抑制することができ、読取画像信号にムラが発生することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像読取装置1の斜視図
【図2】画像読取装置1の概略的な断面図
【図3】読取部24の構造を説明するための図
【図4】画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図5】読取処理を示すフローチャート
【図6】光量調整処理を示すフローチャート
【図7】第2状態Z2における光量調整処理を示すフローチャート
【図8】実施形態1の第1状態Z1における光量調整処理を示すフローチャート
【図9】第1状態Z1を示す図
【図10】第2状態Z2を示す図
【図11】第1状態Z1及び第2状態Z2における光源31、41の点灯時間Tを示す図
【図12】実施形態2の第1状態Z1における光量調整処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図11を用いて説明する。
【0014】
1.画像読取装置の機械的構成
図1は、本実施形態の画像読取装置1の外観を示す斜視図であり、図2は画像読取装置1の概略的な内部構成図である。以下の説明では、紙面左側を装置前端側とし、紙面右側を装置後端側として説明を行う。画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4と、を含む。本実施形態の画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数の原稿Gを排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿Gを本体部3に含まれる読取部24(図2参照)を用いて読み取るシートフィードスキャナである。なお、原稿Gは、シートの一例であり、紙やOHPシートなどでもよい。
【0015】
給紙トレイ2は、前側が下方に傾斜した状態で、本体部3の後側に設けられている。給紙トレイ2の左右の両端部には、ガイド7A、7Bが左右方向に移動可能に設けられている。画像読取装置1では、ユーザによりガイド7A、7Bが押し広げられ、又は押し狭められることにより、ガイド7A、7Bの間の距離が原稿Gの幅と等しく調整され、給紙トレイ2のガイド7A、7Bの間に原稿Gが載置される。
【0016】
図2に示すように、本体部3の内部には、給紙トレイ2の前端から排紙トレイ4の後端まで延びる搬送経路22が設けられており、この搬送経路22の周辺に、ピックアップローラ20と、分離パッド21と、フィードローラ23と、読取部24と、排出ローラ25と、フロントセンサ26と、リヤセンサ27とが設けられている。
【0017】
ピックアップローラ20は、給紙トレイ2の前側に配置され、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された1または複数枚の原稿Gを本体部3の内部へと引き込む。分離パッド21は、ピックアップローラ20に対向するように配置され、摩擦力により、複数枚の原稿Gを1枚ずつ分離する。これにより、原稿Gが1枚ずつ本体部3の内部へと搬送される。
【0018】
フィードローラ23は、ピックアップローラ20等よりも搬送経路22の下流側に設けられ、図示しないモータにより駆動されるとともに、本体部3の内部へと引き込まれた原稿Gを搬送経路22に沿って搬送する。読取部24は、フィードローラ23よりも搬送経路22の下流側に設けられ、フィードローラ23によって搬送経路22に沿って搬送される原稿Gを読み取る。
【0019】
排出ローラ25は、読取部24よりも搬送経路22の下流側に設けられ、読取部24にて画像読取処理がされた原稿Gを排紙トレイ4に送り出す。排出トレイ24は、前側が下方に傾斜した状態で、本体部3の前側に設けられ、排出ローラ25により送り出された原稿Gが積層される。つまり、ピックアップローラ20とフィードローラ23と排出ローラ25とによって、給紙トレイ2に載置された原稿Gを搬送経路22に沿って搬送する搬送部28が形成されている。搬送部28では、ピックアップローラ20とフィードローラ23と排出ローラ25とが、図示しない共通のモータにより連動して回転して原稿Gを搬送している。
【0020】
フロントセンサ26は、給紙トレイ2の前端側に設けられ、給紙トレイ2上に配置されている原稿Gの有無を検知し、その検知結果に応じた検知信号SG1を出力する。リヤセンサ27は、フィードローラ23よりも搬送経路22の下流側に設けられ、搬送経路22の位置P1(図3参照)における原稿Gの有無を検知し、その検知結果に応じた検知信号SG2を出力する。なお、フロントセンサ26及びリヤセンサ27は、例えば、圧力センサなどの接触式センサでも、光学センサや磁気センサなどの非接触式センサでもよい。
【0021】
図3は読取部24の概略的な構成図である。読取部24は、リヤセンサ27よりも搬送経路22の下流側に設けられ、搬送経路22を挟んで対向して配置された一対のCIS30、40を含んで構成される。一対のCIS30、40は、搬送経路22を挟んで配置されているとともに、お互いに相対移動不能に設けられている。図3に示すように、CIS(第1読取部の一例)30は、搬送経路22に沿って下側(一方の側の一例)に配置されており、プラテンガラス34の表面34A側を通過する原稿Gの表面(一方の面の一例)の画像を読み取る。CIS(第2読取部の一例)40は、図3に矢印37で示す搬送方向においてCIS30より搬送経路22上の下流側に位置している。CIS40は、搬送経路22に沿って上側(他方の側の一例)に配置されており、プラテンガラス44の表面44A側を通過する原稿Gの裏面(他方の面の一例)の画像を読み取る。
【0022】
CIS30は、上記プラテンガラス34の他、光源(第1光源の一例)31と、受光部(第1受光素子の一例)32、ロッドレンズアレイ36がキャリッジ35に搭載された構成とされている。光源31は、発光ダイオードなどを備えて構成され、受光部32は、図示しない複数の受光素子が図3の紙面垂直方向に直線状に配列されて構成されている。なお、CIS40の構造はCIS30の構造と基本的に同じものであり、重複した説明を省略する。プラテンガラス34の裏面34Bには、CIS40の受光部(第2受光素子の一例)42に対向する位置に白基準板33が配置されており、プラテンガラス44の裏面44Bには、CIS30の受光部32に対向する位置に白基準板33が配置されている。
【0023】
光源31は、プラテンガラス34を介して搬送経路22を搬送される原稿G、または、CIS40の白基準板43に光L1を照射する。受光部32は、キャリッジ35内において光源31より下流側に配置されており、搬送経路22において位置P1よりも下流側に設けられた位置P2における原稿G、または、CIS40の白基準板43から反射される反射光L2(図3では、原稿Gからの反射光)を受光する。
【0024】
また、光源41(第2光源の一例)は、プラテンガラス44を介して搬送経路22を搬送される原稿G、または、CIS30の白基準板33に光L3を照射する。受光部42は、キャリッジ45内において光源41より下流側に配置されており、搬送経路22において位置P2よりも下流側に設けられた位置P3における原稿G、または、CIS40の白基準板43から反射される反射光L4(図3では、原稿Gからの反射光)を受光する。
【0025】
搬送経路22を搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P2に存在しない場合、光源31から照射される光L1は、白基準板43に照射されるとともに、その一部がプラテンガラス44を介して受光部42に受光される。また、搬送経路22を搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P3に存在しない場合、光源41から照射される光L3は、白基準板33に照射されるとともに、その一部がプラテンガラス34を介して受光部32に受光される。つまり、読取部24において、受光部42は、光源31が照射する光L1の影響を受ける位置に配置されているということができ、受光部32は、光源41が照射する光L3の影響を受ける位置に配置されているということができる。
【0026】
白基準板33及び白基準板43は、白基準板に限らず灰色基準板などでもよく、また、図3に示すようにプラテンガラス34,44の裏面34B、44Bに配置される構成以外に、例えばプラテンガラス34,44に埋設された構成としても良い。図3に示すように、CIS30は、CIS40が有する白基準板43を用いてシェーディング補正等に必要な白基準データを取得し、CIS40は、CIS30が有する白基準板33を用いてシェーディング補正等に必要な白基準データを取得する。
【0027】
また、図1に示すように、本体部3には、この他に、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、ユーザからの操作指令等を受け付ける操作部5や、発光ダイオード等からなり、画像読取装置1の状況を表示する表示部6を含む。
【0028】
2.画像読取装置の電気的構成
図4は、画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図4に示すように、画像読取装置1は、画像読取装置1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)11、ROM12、RAM13を備え、これらにバス14を介してデバイス制御部15、アナログフロントエンド(以下、AFE)16、駆動回路17、CIS30、40、搬送部28、操作部5、表示部6、フロントセンサ26、リヤセンサ27などが接続されている。
【0029】
ROM12には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU11は、ROM12から読み出したプログラムに従って、光源制御部50等として機能し、各部の制御を行う。駆動回路17は、図示されないモータを駆動し、搬送部28に含まれる各種ローラを駆動する。
【0030】
デバイス制御部15は、CIS30、40に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、光源31、41の点灯/消灯、及び点灯時間Tを制御する信号をCIS30、40に送信する。CIS30、40は、デバイス制御部15から信号を受け取ると、光源31、41を点灯し、点灯時間Tに亘って光源31、41を発光させる。その際、CIS30、40は、CPU11からの命令に基づいて、搬送経路22に沿って搬送される原稿G、または、白基準板33、43から反射される反射光を受光部32、42にて受光し、受光部32、42が受光した受光量に応じたアナログ信号である読取電圧(読取画像信号の一例)をAFE16に出力する。CIS30、40は、受光部32、42の各受光素子を用いて反射光を受光し、各受光素子が受光した受光量に応じた読取電圧を順次、AFE16に出力する。
【0031】
AFE16は、CIS30、40に各々接続されており、CPU11からの命令に基づいて、CIS30、40から出力される読取電圧をデジタル信号である階調値(読取画像信号の別例)に変換するA/D変換回路を有している。AFE16は、予め定められた入力レンジ及び分解能(例えば、8ビットであるならば0から255の階調)を有している。AFE16は、CIS30、40から出力された読取電圧を8ビット(0〜255)の階調値にA/D変換を行う。そして、AFE16によってA/D変換された階調値は、バス14を介してRAM13に記憶される。これによって、CIS30、40の各受光素子を用いて読み取られた読取データである階調値がRAM13に記憶される。
【0032】
3.読取処理
次に、図5ないし図11を参照して、読取部24を用いて原稿Gを読み取る場合の、CPU11における処理について説明する。
【0033】
図5は、CPU11が所定のプログラムに従って実行する実施形態1のフローチャートを示す。CPU11は、フロントセンサ26によって画像読取装置1の給紙トレイ2に原稿Gが載置されたことが確認され、操作部5を介して原稿Gの両面を読み取る読取指示が入力されると、処理を開始する。CPU11は、処理を開始すると、まず、光源31、41の光量調整処理を実行する(S2)。
【0034】
本実施形態の画像読取装置1では、図9または図10に示すように、原稿Gを読み取る際に、搬送経路22に沿って搬送される原稿Gが、搬送経路22の位置P2、P3の一方のみに存在する状態、すなわち、矢印37で示す原稿Gの搬送方向の先端と後端の少なくとも一方が位置P2、P3の間に存在する第1状態(図9参照)Z1と、搬送経路22の位置P2、P3の両方に存在する状態、すなわち、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3よりも下流側に位置し、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2よりも上流側に位置する第2状態(図10参照)Z2とで切り換わる。そのため、本実施形態では、第1状態Z1と第2状態Z2のそれぞれの状態において光源31、41の光量が調整される。
【0035】
図6に示すように、光量調整処理において、CPU11は、まず、光源31のみの点灯における光源31の光量を調整する(S32)。この調整は、光源41を消灯させ、光源31を点灯させた状態で行われ、光源31のみの点灯における光源31の点灯時間T1が決定される。
【0036】
図7に示すように、光源31の光量調整処理において、CPU11は、まず基準時間KT単位で短縮/延長が可能な光源31の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定する(S42)。CPU11は、設定された点灯時間Tにおいて光源31を点灯させ、受光部32の各受光素子を用いて白基準板43を1ライン読み取り、受光素子毎に白基準データを取得する(S44)。CPU11は、取得された白基準データをAFE15により階調値に変換し、各受光素子の階調値のうち、その階調値が最も大きくなる最大階調値WKmaxをAFE15の最大階調値(最大受光量の一例、8ビットの場合、255)Kmaxと比較する(S46)。
【0037】
CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S46でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S48)、S44からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S46でNO)、当該点灯時間Tを光源31のみの点灯における光源31の点灯時間T1としてRAM13に記憶し(S50)、当該処理を終了する。
【0038】
次に、CPU11は、光源41のみの点灯における光源41の光量を調整する(S34)。この調整は、光源31を消灯させ、光源41を点灯させた状態で行われる。なお、光源41のみの点灯における光源41の光量調整処理は、光源31のみの点灯における光源31の光量調整処理と基本的に同じ処理であり、重複した説明を省略する。この調整により、光源41のみの点灯における光源41の点灯時間T2がRAM13に記憶される。
【0039】
次に、CPU11は、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の光量を調整する(S32)。この調整は、光源31及び光源41を同時に点灯させた状態、つまり、光源31及び光源41を同一の点灯時間Tで点灯させた状態で行われ、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の点灯時間T3が決定される。
【0040】
図8に示すように、光量調整処理において、CPU11は、まず光源31、41の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定する(S52)。CPU11は、設定された点灯時間Tにおいて光源31及び光源41を点灯させ、受光部32の各受光素子を用いて白基準板43を1ライン読み取り、受光素子毎に白基準データを取得する(S54)。CPU11は、取得された白基準データをAFE16により階調値に変換し、最大階調値WKmaxを最大階調値Kmaxと比較する(S56)。
【0041】
CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S56でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S58)、S54からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの最大階調値WKmaxがAFE16の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S56でNO)、当該点灯時間Tを光源31及び光源41の同時点灯における光源31の点灯時間T3としてRAM13に記憶し(S60)、当該処理を終了する。
【0042】
次に、CPU11は、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の光量を調整する(S38)。この調整は、光源31及び光源41を同時に点灯させた状態で、つまり、光源31及び光源41を同一の点灯時間Tで点灯させた状態で行われる。なお、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の光量調整処理は、光源31及び光源41の同時点灯における光源31の光量調整処理と基本的に同じ処理であり、重複した説明を省略する。この調整により、光源31及び光源41の同時点灯における光源41の点灯時間T4がRAM13に記憶される。なお、光源同時点灯時の調整は、各T3、T4が決まってから再調整することで実読取時の光量に合わせ込む。
【0043】
光源31、41の光量調整処理が終了すると、CPU11は、駆動回路17を用いて搬送部28を駆動し、給紙トレイ2に載置された原稿Gの搬送を開始する(S4)。CPU11は、原稿Gの搬送開始後、リヤセンサ27を用いて搬送経路22を搬送される原稿Gの位置を確認し、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達するのを待機する(S6でNO)。
【0044】
CPU11は、図3に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達すると(S6でYES)、光源31、41を点灯させる。図11に示すように、CPU11は、光源31、41を点灯させる際、1ライン周期TSで点灯と消灯を繰り返す。CPU11は、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達すると、光源31及び光源41を1ライン周期TSのうち点灯時間T3に亘って発光させる。
【0045】
CPU11は、図9に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P2に到達し、搬送経路22を搬送される原稿Gが第1状態Z1となると、CIS30による原稿Gの読み取りを開始する。なお、原稿Gの搬送方向の先端が位置P2に到達したか否かは、原稿Gの搬送方向の先端が位置P1に到達後、搬送経路22を搬送される原稿Gの搬送速度と、及び搬送経路22における位置P1と位置P2の間の距離とによって決定される搬送時間が経過したか否かによって判断される。原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達する場合も同様であり、原稿Gの搬送方向の後端が位置P1に到達後、位置P2、P3に到達する場合も同様である。
【0046】
また、CPU11は、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達するのを待機する(S10でNO)。CPU11は、図10に示すように、原稿Gの搬送方向の先端が位置P3に到達し(S10でYES)、搬送経路22を搬送される原稿Gが第1状態Z1から第2状態Z2に切り換わると、光源31、41の点灯時間Tを変更する。CPU11は、第2状態Z2において、光源31を点灯時間T1に亘って発光させるとともに、光源41を点灯時間T2に亘って発光させる(S12)。また、CPU11は、CIS40による原稿Gの読み取りを開始する。
【0047】
CPU11は、第2状態Z2において、CIS30、40を用いて原稿Gの両面を読み取る。また、CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2に到達するのを待機する(S14でNO)。CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P2に到達し(S14でYES)、搬送経路22を搬送される原稿Gが第2状態Z2から再び第1状態Z1に切り換わると、光源31、41の点灯時間Tを変更する。CPU11は、第1状態Z1において、光源31及び光源41を点灯時間T4に亘って発光させる(S16)。また、CPU11は、CIS30による原稿Gの読み取りを終了する。
【0048】
次に、CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P3に到達するのを待機する(S18でNO)。CPU11は、原稿Gの搬送方向の後端が位置P3に到達すると(S18でYES)、光源31、41を消灯させる(S20)。また、CPU11は、CIS40による原稿Gの読み取りを終了し、読取部24による原稿Gの読み取りを終了する。CPU11は、原稿Gを排紙トレイ4に排紙後、駆動回路17を用いて搬送部28を停止し(S22)、読取処理を終了する。
【0049】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の画像読取装置1では、CIS30とCIS40が搬送経路22を挟んでお互いにずれた位置に設けられており、CIS30が原稿を読み取る位置P2と、CIS40が原稿を読み取る位置P3が、搬送経路22の異なる位置に設定されている。そのため、CIS30が位置P2において原稿Gを読み取る際、つまり原稿Gが位置P2に存在する際に、原稿Gが位置P3に存在しない第1状態Z1と、原稿Gが位置P3に存在する第2状態Z2の2つの状態が発生し得る。
【0050】
原稿Gが位置P3に存在する第2状態Z2では、光源41から照射される光が原稿Gによって遮られる。その一方、原稿Gが位置P3に存在しない第1状態Z1では、光源41から照射される光が原稿Gによって遮られず、光源41から照射された光の一部がCIS30の受光部32で受光される。そのため、第1状態Z1と第2状態Z2で、光源31から照射される光量が等しいとすると、第1状態Z1において受光部32で受光される光量が第2状態Z2において受光部32で受光される光量よりも増加してしまい、第1状態Z1と第2状態Z2の切り換わりに応じてCIS30によって読み取られる読取データにムラが発生してしまう。
【0051】
図11に、画像読取装置1の第1状態Z1及び第2状態Z2における光源31、41の点灯時間Tを比較して示す。本実施形態では、第1状態Z1、すなわち光源31及び光源41から同時に点灯される場合の光源31の点灯時間T3が、第2状態Z2、すなわち光源31のみから点灯される場合の光源31の点灯時間T1よりも短くなるように調整する。つまり、第1状態Z1で光源31から照射される光量が、第2状態Z2で光源31から照射される光量よりも少なくなるように調整する。同様に、第1状態Z1で光源41から照射される光量が、第2状態Z2で光源41から照射される光量よりも少なくなるように調整する。これによって、第1状態と第2状態において受光部32、42が受光する光量に差が生じることが抑制され、読取データにムラが発生することを抑制することができる。
【0052】
(2)本実施形態の画像読取装置1では、第1状態Z1における光源31の点灯時間T3を、光源31、41を同時に点灯させた状態で調整し、第2状態Z2における光源31の点灯時間T1を、光源31を点灯し、光源41を消灯した状態で調整する。つまり、この画像読取装置1では、第1状態Z1では、光源31、41から照射される光が受光部32、42で受光されることから、第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整する。また、第2状態Z2では、光源41から照射される光が受光部32で受光されず、光源31から照射される光が受光部42で受光されないことから、第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整する。そのため、搬送経路22を搬送される原稿Gの状態に応じた光の照射状態を考慮して、各状態における光源31、41の光量を調整することができる。
【0053】
<実施形態2>
実施形態2を、図12を用いて説明する。本実施形態では、第1状態Z1における光源31、41の点灯時間Tの光量調整処理が、実施形態1と異なる。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0054】
1.光量調整処理
図12に示すように、第1状態Z1における光源31の光量調整処理において、CPU11は、光源31、41の点灯時間Tを、最大時間Tmaxに設定し(S52)、受光部32の各受光素子を用いて白基準データを取得する(S54)。CPU11は、取得された白基準データをAFE15により階調値に変換し、各受光素子の階調値を平均した平均階調値WKaveを最大階調値Kmaxと比較する(S62)。
【0055】
CPU11は、白基準階調データの平均階調値WKaveがAFE16の最大階調値Kmax以上である場合(S62でYES)、点灯時間Tを基準時間KTだけ短縮し(S58)、S54からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、白基準階調データの平均階調値WKaveがAFE15の最大階調値Kmaxよりも小さい場合(S62でNO)、当該点灯時間Tを第1状態Z1における光源31の点灯時間T3としてRAM13に記憶し(S60)、当該処理を終了する。なお、第1状態Z1における光源41の点灯時間T4の調整も同様である。また、白基準階調データの平均階調値WKaveは、必ずしも全データに対して行う必要はない。
【0056】
2.本実施形態の効果
本実施形態の画像読取装置1では、第1状態Z1において光源31、41から照射される光量を、受光部32、42の各受光素子が受光した受光量の平均値に基づいて調整する。この画像読取装置によれば、搬送経路22の逆側に配置されたCISの光源から照射される光による影響を考慮しつつ、原稿Gを読み取った際に受光素子が受光する光量の平均値が各受光部32、42においてオーバーフローすることを抑制することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。原稿Gを読み取る画像読取機能を有し、その他にプリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の少なくとも1つの機能を有する複合機であっても良い。
【0058】
(2)上記実施形態では、読取部24の一対のCIS30,40が搬送経路22を挟んで互いにずれた位置に設けられている。しかし、一対のCIS30,40が、搬送経路22の搬送方向において対向する位置に配置されていても良い。例えば、CIS30において、受光部32が光源31より上流側に配置されており、CIS40において、受光部42が光源41より下流側に配置されている場合、一対のCIS30,40が、搬送経路22の搬送方向において対向する位置に配置されていても、CIS30が原稿を読み取る位置P2と、CIS40が原稿を読み取る位置P3を搬送経路22の異なる位置に設定することができる。このようにCIS30,40を配置することで、読取部24を小型化して形成することができる。
【0059】
(3)上記実施形態では、ASIC10は、1つのCPU11を備え、その1つのCPU11により画像読取処理が実行される構成であった。しかし、複数のCPU11により画像読取処理が実行される構成でもよい。例えばデバイス制御処理、画像処理、駆動処理を別々のCPU11に実行させる構成でもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、CIS30、40の搬送経路22側に載置される透過部材を、プラテンガラス34、44を用いて説明したが、その材質は特に限定されず、透過率の比較的高いプラスチック等でも良い。
【0061】
(5)上記実施形態では、読取部24が一対のCIS30,40を含んで構成される例を用いて説明を行ったが、CIS30,40は読取部24を構成する読取デバイスの一例である。読取デバイスは、CCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を含んで構成されていても良い。
【符号の説明】
【0062】
1:画像読取装置、10:ASIC、11:CPU、15:デバイス制御部、16:AFE、17:駆動回路、22:搬送経路、24:読取部、28:搬送部、30、40:CIS、31、41:光源、32、42:受光部、33、43:白基準板、34、44:プラテンガラス、50:光源制御部、G:原稿、T:点灯時間、Z1:第1状態、Z2:第2状態
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路に沿って一方の側に設置され、前記原稿の一方の面に対して光を照射する第1光源と、前記原稿の一方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第1受光素子と、を有する第1読取部と、
前記第1読取部より前記搬送経路上の下流側に位置し、前記搬送経路に沿って他方の側に設置され、前記原稿の他方の面に対して光を照射する第2光源と、前記原稿の他方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第2受光素子と、を有する第2読取部と、
を備え、
前記第1受光素子と前記第2受光素子の少なくとも一方が、他の光源が照射する光の影響を受ける位置に配置され、
更に、
前記原稿の両面を読み取る場合は、前記第1光源と第2光源の両方を点灯させ、前記搬送経路に沿う方向における前記原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在する第1状態では、前記原稿の先端が前記第2読取部よりも下流側に位置し、前記原稿の後端が前記第1読取部よりも上流側に位置する第2状態よりも、前記第1光源及び第2光源から照射される光量を減らすように前記第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整された光量であり、
前記第2状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整された光量である画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記第1受光素子及び第2受光素子は、各々最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記白部材で反射された光を受光しており、
各状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子における前記読取素子の受光量の最大値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている画像読取装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記第1受光素子及び第2受光素子は、最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記原稿で反射された光を受光しており、
前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、前記第1受光素子及び第2受光素子における前記読取素子の受光量の平均値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている画像読取装置。
【請求項1】
原稿を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路に沿って一方の側に設置され、前記原稿の一方の面に対して光を照射する第1光源と、前記原稿の一方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第1受光素子と、を有する第1読取部と、
前記第1読取部より前記搬送経路上の下流側に位置し、前記搬送経路に沿って他方の側に設置され、前記原稿の他方の面に対して光を照射する第2光源と、前記原稿の他方の面で反射された光を受光して読取画像信号を出力する第2受光素子と、を有する第2読取部と、
を備え、
前記第1受光素子と前記第2受光素子の少なくとも一方が、他の光源が照射する光の影響を受ける位置に配置され、
更に、
前記原稿の両面を読み取る場合は、前記第1光源と第2光源の両方を点灯させ、前記搬送経路に沿う方向における前記原稿の先端と後端の少なくとも一方が第1読取部と第2読取部との間に存在する第1状態では、前記原稿の先端が前記第2読取部よりも下流側に位置し、前記原稿の後端が前記第1読取部よりも上流側に位置する第2状態よりも、前記第1光源及び第2光源から照射される光量を減らすように前記第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を同時に点灯させて調整された光量であり、
前記第2状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子に対向する位置に配置された白部材に対して、前記第1光源と第2光源を別々に点灯させて調整された光量である画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記第1受光素子及び第2受光素子は、各々最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記白部材で反射された光を受光しており、
各状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、各受光素子における前記読取素子の受光量の最大値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている画像読取装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記第1受光素子及び第2受光素子は、最大受光量が設定されているとともに、各々複数個の読取素子を有し、各読取素子を用いて前記原稿で反射された光を受光しており、
前記第1状態において前記第1光源及び前記第2光源から照射される光量は、前記第1受光素子及び第2受光素子における前記読取素子の受光量の平均値が前記最大受光量を超えない範囲において、最も大きくなる光量に調整されている画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−249241(P2012−249241A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121695(P2011−121695)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]