説明

画面システムおよびスクリーン

【課題】再帰反射性裸眼立体3D表示システムにおけるクロストークアーティファクトを、スクリーンの表面反射を表示領域、すなわちスクリーンが眺められる領域、から離れるよう導く方法を提供し補正すること。
【解決手段】スクリーンを2つに分割し、正反射を表示領域から離れるよう導くためにスクリーンの左側および右側を投影基線に向い、または離れて傾斜させることにより達成する。あるいは、スクリーンは分割されないが、投影線に面するスクリーンの表面に沿って垂直のV型溝が作られる。V型溝の角度は表面反射を表示領域から離れるよう導くが、溝は実質的に小さいのでスクリーンは観察者に平たく見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に裸眼立体三次元(3D)表示に関わり、より具体的には表示窓間のク
ロストークを削減する方法および構造に関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、立体すなわち3D画像は見る者の各々左および右目で左および右の別個の立体画
像を見ることを制御するヘッドギアに補助され作成される。左および右画像の各々は見る
者の目の視角に密接に合致した、多少ずれた視角から同じ場面を表示する。左および右の
別個の画像を各目の通常の視角に密接に合致した視角で見る者の左および右目に伝達する
ことにより、見る者にとって三次元、すなわち3D、表示の錯覚が作り出される。
【0003】
この方法は効果的であるが、必要とされるヘッドギア(頭装着型ディスプレイまたは特
定角度の表示を拒絶する特殊レンズの眼鏡など)のためこの方法は面倒である。ヘッドギ
アの使用に代わる方法の1つは裸眼立体ディスプレイ、すなわち特定視角で見ることによ
ってのみ選ばれた画像を見ることができるように選ばれた画像を特定の視角で表示する特
殊ディスプレイ、を使用することである。これらの特定の視角は通常「表示窓」と呼ばれ
る。
【0004】
裸眼立体ディスプレイは特殊な光導素子を用いてユーザー空間に別個の表示窓を作り出
し、これによりユーザーは眼鏡なしで3D画像を見ることができる。指定された表示窓は
人間の目のサイズよりかなり大きい表示空間を形成するので、ユーザーは目が表示空間内
にある限り自由に頭を動かすことができる。
現在表示窓を実現するために使用される立体化方法は平行遮蔽に基づくディスプレイお
よびレンズに基づくディスプレイを含む(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6831678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平行遮蔽ディスプレイは光遮蔽を用いて表示窓を実現するが、この方法は各ピクセルか
ら放射される光の少量のみが遮蔽窓を通過するのでより暗い画像をもたらす。表示領域の
重なりはクロストークの原因となり、片方の目が他方の目に意図された画像を見ることに
なる。クロストークが著しい場合、立体効果を知覚できないか正しく知覚できなくなる。
また平行遮蔽ディスプレイは小孔を用い、特に表示解像度が高まるにつれ回折の原因とな
り得る。表示解像度が高まるにつれ遮蔽孔サイズが小さくなり、さらに深刻な回折効果の
原因となる。平行遮蔽ディスプレイは元の表示の解像度を表示の数で割るので、n個の表
示を表示すると個々の表示の解像度は元の表示の解像度の1/nになる。平行遮蔽ディス
プレイは各表示が1つの遮蔽窓に結び付いたn個のピクセル列の内1つのピクセル列のみ見
られることからピクセルの暗線で悩む。
【0007】
レンズに基づくディスプレイは平行遮蔽に基づくディスプレイに比べ多少の改良を提供
する。レンズに基づくディスプレイは平行遮蔽に基づくディスプレイの遮蔽スリットに比
べより高い解像度を提供するが、高品質のレンズ状シートを必要とするため一般的に製造
がより難しく高価になる。一般的に、レンズに基づくディスプレイの質はディスプレイに
用いられるレンズ状シートの質に直接関係している。レンズ状シートを表示と位置合わせ
することも相当な努力を要する。レンズに基づくディスプレイは平行遮蔽に基づくディス
プレイに比べ利点を提供するが、レンズに基づくディスプレイも表示窓間のクロストーク
、暗線問題、限られた解像度、および限られた表示窓数に悩まされる。
【0008】
別の解決法は再帰反射性の多表示3Dディスプレイを用いることで、これはプロジェク
ターを用いて複数の表示窓を作り出す。これらのディスプレイはディスプレイの特殊な反
射特性により別個の表示窓を作成する。しかし、これらのディスプレイは通常限られた表
示区域を有し、3D効果が知覚できる区域が限定される。通常の再帰性ディスプレイの制
限は広視野画面ディスプレイに向いていないということである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画面システムは、各々独自の画像を投影するよう構成される複数のプロジェク
ターと、
前面および背面を有するスクリーンであって、前記前面は前記複数のプロジェクターに
面しているスクリーンと、
前記プロジェクターから前記スクリーンへの法線に実質的に沿った区域に定義される表
示領域と、を有する画面システムであって、
前記スクリーンは左面および右面に分割され、前記左面および右面は前記左面を前記右
面に連結する接合部において角度を持ち、前記角度は前記プロジェクターからの独自の画
像の前記左面上および右面上の正反射を前記表示領域から離れるよう導くことを特徴とす
る。
【0010】
また、本発明の画面システムにおいて、前記スクリーンは再帰反射性垂直光拡散スクリ
ーンであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画面システムにおいて、前記スクリーンは片方の表面に再帰反射性材料
層を含むとともに前記片方の表面の反対側の表面に一次元光拡散材料層を含み、
前記一次元光拡散材料層を有する前記表面は、前記前面であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画面システムにおいて、前記左面および右面は、前記プロジェクターか
ら離れるように角度を持ち、
前記接合部は前記プロジェクターに最も近い前記スクリーンの部分であり、前記左面お
よび前記右面は前記接合部を横切る前記プロジェクターに法線となる第2基準線に垂直な
第1基準線に関し第1目標角、θ、を形成し、
前記第1目標角は

未満でなく、
前記複数のプロジェクターは一連の隣接プロジェクターとして配置され、
前記Lは前記一連の隣接プロジェクター内の第1プロジェクターにおける第1レンズから
前記一連の隣接プロジェクター内の最後のプロジェクターにおける最後のレンズまでの物
理的距離により定義される投影基線の長さであり、
前記Zは前記接合部から前記一連の隣接プロジェクターまでの法線距離であることを特
徴とする。
【0013】
また、本発明の画面システムにおいて、

【0014】
また、本発明の画面システムにおいて、前記左面および右面は前記プロジェクターに向
かうように角度を持ち、
前記接合部は前記プロジェクターに最も遠い前記スクリーンの部分であり、前記左面お
よび前記右面は前記接合部を横切る前記プロジェクターに法線となる第2基準線に垂直な
第1基準線に関し第2目標角、φ、を形成し、
前記第2目標角は

未満でなく、
前記複数のプロジェクターは一連の隣接プロジェクターとして配置され、
前記Lは前記一連の隣接プロジェクター内の第1プロジェクターにおける第1レンズから
前記一連の隣接プロジェクター内の最後のプロジェクターにおける最後のレンズまでの物
理的距離により定義される投影基線の長さであり、
前記Zは前記接合部から前記一連の隣接プロジェクターまでの法線距離であり、
前記Wは前記接合部に対し左面の遠端から前記接合部に対し右面の遠端までの長さであ
ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画面システムにおいて、

【0016】
また、本発明の画面システムにおいて、前記左面および前記右面は等しい幅であること
を特徴とする。
【0017】
また、本発明の画面システムにおいて、前記スクリーンは半分に分割され前記左面およ
び前記右面を形成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の画面システムにおいて、前記複数のプロジェクターは、隣接プロジェク
ターが隣接する段にあるよう複数の段に配置され、
前記隣接する段における前記隣接プロジェクターのレンズ口径は各前記プロジェクター
の口径の第1エッジが前記隣接プロジェクターの反対側のエッジと位置合わせされるよう
にオフセットされることを特徴とする。
【0019】
一方、本発明のスクリーンは、背面および前面を有する基板であって、前記前面は垂直
方向に一連のV型溝を有する基板と、
前記基板の背面上の再帰反射性材料層と、
前記基板の前記V型溝内を含む前面上の一次元光拡散材料であって、それにより前記一
次元光拡散材料は前記基板の前記V型溝をたどるV型溝を形成する一次元光拡散材料と、
を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のスクリーンにおいて、前記基板は透明であることを特徴とする。
また、本発明のスクリーンにおいて、前記一次元光拡散材料は垂直光拡散材料であるこ
とを特徴とする。
また、本発明のスクリーンにおいて、前記一連のV型溝は互いに隣接して配列され、各
溝が次の溝と境を接することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のスクリーンにおいて、前記V型溝は前記基板の幅全体にかかることを特
徴とする。
また、本発明のスクリーンにおいて、前記V型溝は前記基板の垂直の長さ全体に延びる
ことを特徴とする。
また、本発明のスクリーンにおいて、各前記V型溝の2つの対面パネルは互いに90度の
角度を形成することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のスクリーンにおいて、前記基板の背面は実質的に平たいことを特徴とす
る。
また、本発明の画面システムは、上記のスクリーンと、前記基板の前面に面する複数の
プロジェクターであって、前記複数のプロジェクター内の各プロジェクターは独自の画像
を投影するよう構成される複数のプロジェクターとを有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の画面システムにおいて、前記プロジェクターから前記基板の前面への法
線に実質的に沿った区域に定義される表示領域をさらに有し、
各前記V型溝の2つの対面パネルは互いに角度を形成し、前記角度は前記プロジェクタ
ーからの独自の画像の前記対面パネルにおける正反射を前記表示領域から離れるように導
くことを特徴とする。
【0024】
一方、本発明の画面システムは、各々独自の画像を投影するよう構成される複数のプロ
ジェクターと、
前面および背面を有し、前記前面が前記複数のプロジェクターに面しているスクリーン
と、を有し、
前記複数のプロジェクターは、隣接プロジェクターが隣接する段にあるよう複数の段に
配置され、
前記隣接する段における前記隣接プロジェクターのレンズ口径は各プロジェクターの口
径の第1エッジが前記隣接プロジェクターの反対側のエッジと位置合わせされるようにオ
フセットされることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の画面システムにおいて、前記プロジェクターはジグザグ配置で2段に配
列される画面システム。
また、本発明の画面システムにおいて、前記プロジェクターは2つより多い段に配列さ
れることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】光拡散スクリーンの作用を示す図である。
【図2】再帰反射性スクリーンの作用を示す図である。
【図3】本発明による再帰反射性垂直光拡散スクリーンの作用を示す図である。
【図4】本発明による再帰反射性垂直光拡散スクリーンを有する表示システムを示す図である。
【図5】2台のカメラを用いて2つの多少異なる視角から共通場面の2つの画像を撮ることにより被写体の立体画像を作り出すシステムを示す図である。
【図6】2台のプロジェクターを用いて各々左目画像および右目画像を再帰反射性垂直光拡散スクリーンに投影する、本発明による再帰反射性垂直光拡散表示システムの例を表す図である。
【図7】対応する左目カメラおよび右目カメラから左目画像および右目画像を投影する複数のプロジェクターペアを組み合わせることにより作り出される複数の立体表示窓を示す図である。
【図8】多視表示区域を作り出すのに適した本発明の代替実施形態を示す図である。
【図9】本発明による多視、立体視、および/または平面視システムが再帰反射性垂直光拡散スクリーンとプロジェクターのセットを含み得ることを示す図である。
【図10】表示窓間クロストークの3つの主要な原因を示す図である。
【図11】グラフの半値全幅(FWHM)領域を示す図である。
【図12】光拡散角がFWHM位置で定義されること、および隣接表示窓間のガウスエネルギー漏洩を示す図である。
【図13】2つの層、または列にジグザグ構成で配列されることにより密接にまとめられたプロジェクター配列の一例を示す図である。
【図14】表面反射クロストーク効果に対応するために左側および右側に沿って傾けたスクリーンの第1例を示す図である。
【図15】表面反射クロストーク効果に対応するために左側および右側に沿って傾けたスクリーンの第2例を示す図である。
【図16】スクリーンの前面に垂直V型溝が切り込まれ正反射を投影基線から離れて反射させる、表面反射クロストーク効果に対応する実施形態を示す図である。
【図17】マルチプロジェクターの表示システムを示す図である。
【図18】演算システムの例のブロック図を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
現時点の好ましい実施形態は再帰反射性垂直光拡散スクリーンを利用する。このような
スクリーンは通常2つの層:一次元(1D)光拡散材料(これは一方向に小さな拡散角お
よび別方向に大きな拡散角を有する)の第1層、および再帰反射性材料(これは光線を各
々の入射角に反射する)の第2層、で構成される。
【0028】
図1に関し、第1層100は光拡散材料110からなる。光拡散材料110を通過する入射光線105
は水平方向に小さな角度115で拡散され、垂直方向に大きな角度120で拡散される。これに
より拡散光窓125が作り出される。この種の拡散スクリーンは垂直光拡散スクリーンと呼
ぶことができる。
【0029】
図2に関し、再帰反射性光拡散スクリーンは再帰反射性材料205を含む。光線210または2
20などの入射光線が再帰反射性材料205に当たると、その入射角と同じ、またはほとんど
同じ、角度で反射される。例えば、入射光線210は入射光線210の方向(すなわち入射角)
に沿って反射される再帰反射光線215を有する。同様に入射光線220は入射光線220の方向
(すなわち入射角)に沿って反射される再帰反射光線225を有する。
【0030】
図3に関し、再帰反射性垂直光拡散スクリーン305は一次元光拡散材料310と再帰反射性
材料315の組み合わせで形成されることが好ましい。一次元光拡散材料の例はカリフォル
ニア州トーランス市のLuminit LLC 製のLight Shaping Diffusers (LSD(○付きR)
)である。光形成拡散材料は60°×1°の拡散角を有することができるが、当業者であれ
ば他の拡散角を用い得ることを理解しよう。再帰反射性材料315は垂直方向に60°の拡散
角および水平方向に1°の拡散角を有することが好ましい。再帰反射性材料の例としてミ
ネソタ州セントポール市にある3M Corporation 製の3M(登録商標)TM Scotchlite(登
録商標)TM Reflective Material、またはコネチカット州ニューブリテン市にあるReflex
ite Americas 製の金属化背面を有するP66 およびAC1000 などの光電制御製品がある。
【0031】
図3に描かれるように、本発明によるシステム300において、再帰反射性垂直光拡散スク
リーン305に向けられた光線320は一次元光拡散材料310を通過し、再帰反射性材料315によ
りその入射方向325に沿って(または実質的にその入射方向に沿って)反射される。一次
元光拡散材料310は再帰反射光を水平方向330に少量および垂直方向335に大量拡散する。
【0032】
図4に関し、本発明による基本的な表示システム400は再帰反射性光拡散スクリーン405
およびプロジェクター410を含む。再帰反射性垂直光拡散スクリーン405は表示画面として
使用される。プロジェクター410から放射された光線415はプロジェクター410は再帰反射
され、プロジェクター410と重なり合う表示窓425を作り出す。スクリーン405は反射光が
垂直方向に大きな拡散角で、また水平方向に小さな拡散角で拡散されるように構成される
。垂直拡散効果のため、表示窓は投影レンズの口径と中心を合わせた垂直のスリット(ま
たは表示窓)425である。表示窓425の幅はスクリーン405の水平拡散角、プロジェクター4
10からスクリーン405への距離、および投影レンズの口径サイズの関数である。表示窓425
の幅は次の計算により判定することができる。
【0033】

【0034】
大きな拡散角を有する利点は表示窓が垂直に拡張されることであることが特筆される。
垂直に拡張された表示窓なしだと、表示窓425は投影レンズと一致してしまい、それによ
り個人が表示窓425内で反射画像を見ることができなくなる可能性がある。表示窓を垂直
方向に拡張することにより、ユーザーはプロジェクター410の上または下の位置から見て
表示窓425における画像を見ることができる。さらに反射画像は表示窓425内で引き伸ばさ
れたり歪んだりして見えないことが特筆される。表示窓425は、それ以外は不透明な表面
において見る者がスクリーン405を全体として見ることができるスリット、または開口、
の役割を果たす。表示窓425は隠し塀においてスクリーン405全体が見える板間の開口にた
とえることができる。
【0035】
図5に関し、2台のカメラ11および13を用いて2つの多少異なる視角から共通の場面の2つ
の各々の画像を作ることにより被写体15の立体画像を作り出すことができる。言い換えれ
ば、カメラ11および13を互いに隣接して人間の目の間の離れ具合に類似した距離で配置す
ることにより、カメラ11および13は人間の左目および右目により個々に見た画像を作り出
すことができる。人間の目の離れ具合は通常52mmから78mmの範囲内にある。従って、
カメラ11および13の取り込みレンズ間に52mmから78mmの距離を置くことにより立体
表示を作ることができる。
【0036】
本例において、カメラ11および13を用いて共通被写体、すなわちサッカーボール15、の
各々の画像が作り出される。カメラ11および13は静止画カメラまたは動画カメラ(すなわ
ちビデオカメラ)であって良いことが理解されよう。カメラ11および13はさらに単一の3
Dカメラ枠内に具現されても良い。
【0037】
次に2台のプロジェクター17および19を用い画像21をスクリーン23に投影することによ
り立体画像21を作り出すことができる。本例において、プロジェクター17はカメラ13によ
り作り出された左目の画像を投影し、プロジェクター19はカメラ11により作り出された右
目の画像を投影する。
【0038】
残る対処すべき問題はプロジェクター17により投影される画像が見る者の右目ではなく
左目で知覚されることをどのように確保し、プロジェクター19により投影される画像が見
る者の左目ではなく右目で知覚されることをどのように確保するかである。現時点で好ま
しい実施形態において、これはスクリーン23を再帰反射性垂直光各線スクリーンにして、
再帰反射性垂直光拡散表示システムを作成することにより達成される。
【0039】
図6に関し、図5に類似した要素は類似した参照記号を有し、本発明による再帰反射性垂
直光拡散表示システムの例は2台のプロジェクター17および19を用いて各々左目画像およ
び右目画像を再帰反射性垂直光拡散スクリーン23に投影する。スクリーン23の再帰反射性
特性のため、プロジェクター17により実現された左目画像はプロジェクター17に向けて反
射され第1表示窓27を作り出す。同様に、プロジェクター19により実現された右目画像は
プロジェクター19に向けて反射され第2表示窓29を作り出す。
【0040】
表示窓27および29の各々は各々スクリーン23の全体にかかる平面視画像を実現するが、
合わせて見ると、以下に説明するようにスクリーン23の全体にかかる立体画像を実現する
ことができることが理解されよう。逆に、1台のみのプロジェクターが使用され、または
すべてのプロジェクターが同じ画像を投影した場合、各表示窓は同じ平面視画像を有する
ので1つの平面視画像が実現されることになる。
【0041】
上記に説明したように、見る者、すなわち観察者、の目の間の間隔は通常52mmから78
mmの範囲にある。立体効果を作り出すことが望まれる場合、プロジェクター17および19
の投影レンズが52mm未満離して配置される(あるいは52mmから78mmの範囲に配置さ
れる)ことがさらに好ましい。プロジェクター17および19の投影レンズを52mm未満離し
た間隔にすることにより、観察者の左目が第1表示窓27内にあり、プロジェクター17によ
り作り出された左目画像を見るとすると、観察者の右目は第2表示窓29内にあり、プロジ
ェクター19により作り出された右目画像を見る可能性が高くなる。このように、立体表示
窓31は2台の隣接プロジェクター17/19からの2つの平面視表示窓27/29を組み合わせるこ
とにより作り出される。
【0042】
図7に関し、図5および6の要素に類似した要素は類似した参照記号を有し上記に説明さ
れ、対応する左目カメラ13および右目カメラ11からの左目画像および右目画像を投影する
複数のプロジェクターペア17a/19aから17c/19cを組み合わせることにより立体表示窓31
aから31cが作り出される。本例において、3つのプロジェクターペアを用いて3つの隣接立
体表示窓31a‐31cが作り出され、それにより3つの立体表示窓にかかる立体表示領域が作
り出される。しかし、さらに多くのプロジェクターを用いてより多数の立体表示窓を作り
出すことができ、このより多数の立体表示窓が互いに隣接して作り出された場合、よりお
おきな立体表示領域を作り出すことができる。
【0043】
さらに、カメラ13または11の1台が取り除かれ、残りの唯一のカメラから同じ画像が6台
のプロジェクター17a‐17cおよび19a‐19cすべてに供給された場合、6個の個別的な隣接
平面視表示窓が作り出されることになることが理解されよう。これは6台のプロジェクタ
ーすべてにかかる大型平面視表示領域をもたらすことになる。
【0044】
図8は多視表示区域を作り出すのに適した本発明の代替実施形態を示す。この場合、複
数のカメラ33a‐33eを用いて5つの表示窓が作り出され、各々5つの別個の視角からの別個
の画像を有する。本例は5台のカメラしか使わずビデオ録画(または写真撮影)された被
写体15の幅にわたるが、より多数のカメラを用いてさらに幅のある被写体にわたるなり、
同じ被写体のより微細な視角画像(すなわちより狭い表示窓)を作り出し得ることが理解
されよう。次にカメラ33a‐33eの各々からの画像をカメラ33a‐33eと類似した配列に置か
れた対応プロジェクター37a‐37eで投影することにより多視表示画像35が作り出される。
これは5つの別個の視角を有する5つの平面視表示窓を作り出し、観察者がプロジェクター
37aからプロジェクター37eの全長を歩いたとすると、5つの別個の視角各々から多視表示
画像35を見て被写体15の横を通り過ぎる感じになる。
【0045】
望まれる場合、隣接する表示窓の幅を観察者の目の間隔より大きくなるよう増やし(例
えば隣接するプロジェクターのレンズ間の間隔を増やすことにより)観察者が同じ表示窓
を両方の目で見ることが好ましいかもしれない。この場合、観察者は異なる視角から被写
体15の複数の平面視画像を知覚することになる。あるいは隣接する表示窓の幅を観察者の
目の間隔より小さくして観察者がすべての隣接表示窓の全長を横切ると立体視覚を知覚す
るようにできる。
【0046】
図9に関し、本発明による多視表示、立体表示、および/または平面視表示システム500
は再帰反射性垂直光拡散スクリーン505およびプロジェクターのセット510A‐Fを含むこ
とができる。図9は6台のプロジェクターを描くがより多くのまたはより少ない数のプロ
ジェクターを用い得ることが特筆される。再帰反射性垂直光拡散スクリーン505は図4に関
して説明されたのと同様の形で表示画面として使用される。すなわち、プロジェクター51
0A‐Fのいずれかから放射された光線515は光線の起源となる同じプロジェクターに反射
され同じプロジェクターと重なる表示窓を作り出す。例えば、プロジェクター510Aからの
光線はスクリーン505により反射・拡散され表示窓525Aを形成する。この結果は表示シス
テム500における各プロジェクターについて同じで、各プロジェクター510A‐Fは各々対
応表示窓525A‐Fを生成する。従って、さらにプロジェクターを追加するとこのような
表示窓がさらに多く作り出される。
【0047】
図9に描かれた表示システムは6つの別個の表示窓を生成した。各表示窓は対応プロジ
ェクターからの画像を表示する。複数の観点から取り込まれた画像のセットを表示するこ
とにより、ユーザーはこれらの表示窓または表示スリットを通して3Dを見ることができ
る。例えば、ユーザーが1つの表示窓において片方の目で1つの画像を見、別の表示窓でユ
ーザーの他方の目で別の観点の画像を見た場合、ユーザーは3D画像を知覚する。いくつ
かの実施形態において、表示窓の幅を充分に狭くし、両眼が同じ表示窓を同時に見ること
ができないのでユーザーが平面視(すなわち単眼)画像を知覚しないようにすることがで
きる。
【0048】
当業者であれば、図9に描かれる種類の表示システムにはいくつかの利点があることを
理解しよう。まず、画像が明るい。一次元の光拡散のため、ユーザーは一般的な拡散スク
リーンの画像よりはるかに明るい画像を見ることになる。
【0049】
第2に、表示スクリーンは異なる形状に構成することができる。材料の再帰反射性特性
のため、スクリーンの形は普通の平面状、円筒形、球形、または殆ど任意の不規則な形な
ど、任意の形状であって良い。これらの形の変化は再帰反射性スクリーンの再集光特性に
影響を与えない。
【0050】
第3に、表示システムは容易に拡大縮小できる。例えば、単により多くのプロジェクタ
ーを加えることにより、さらに多くの表示窓を生成することができる。
【0051】
第4に、表示システムは今までの解決法のような解像度の制限がない。すべての画像が
同じスクリーンに投影されるものの、各画像は指定表示窓からのみ見られる。従って解像
度はプロジェクターの解像度と同じように高くなり得る。
【0052】
第5に、表示システムは杭垣効果、すなわち隣接表示窓間の暗い垂直線、がない。ユー
ザーは各表示窓において単一のプロジェクターから1つの完全な解像度の画像を近くする
ので、画像に杭垣効果がない。
【0053】
第6に、図8の多視表示システムがプロジェクター毎に1つの別個の視角で実施された場
合、表示システムは画像反転効果がない。代替システムにおいて、反転効果はユーザーが
表示域を横切って頭を動かし左目で右目画像を知覚し右目で左目画像を知覚する場合に生
じる。図8のシステムは特定立体ペアの画像を有した繰り返される表示域がないので、画
像反転問題がない。逆に、各表示窓は透視図画像を表示し、画像の任意のペアが3D表示
を形成する。例えば、表示窓は透視図画像の連続を有することができ、任意の2つの画像
が3D表示を形成する。この方法を用いると、観察者は隣接表示窓から覗く必要がないの
で表示窓は任意に小さくできる。隣接する表示窓の集まりは1つの表示の連続パノラマを
作り出すので、任意の2つの表示窓が正しい視角の組み合わせを作り出し正しい立体表示
を作り出す。
【0054】
最後に、表示システムは無数の表示窓を有し得る可能性を秘める。表示システムは理論
的に無数の表示窓を生成することができるものの、生成できる表示窓の数は拡散材料の水
平拡散角、プロジェクターからスクリーンへの距離、およびプロジェクターのサイズに依
存する。
【0055】
上述のように、現時点で好ましい実施形態は図4に示すように、投影モジュールおよび
特殊スクリーンを含む再帰反射性表示システムである。投影モジュールは2台のプロジェ
クター(図5および6に示すように)、または複数のプロジェクター(図7‐9に示すように
)を含み、特殊スクリーンに立体3D内容(すなわち立体表示)または多視3D内容(す
なわち多視表示)を投影することが好ましい。
【0056】
特殊スクリーンは再帰反射性垂直光拡散スクリーン(RVLDS)と呼ばれ、光の集光およ
び指向性比較拡散の特殊な特性を有する。集光特性のために、スクリーンは1台のみのプ
ロジェクターを用いる場合プロジェクターの位置に1つの視点(すなわち表示窓)を、ま
た複数のプロジェクターを用いる場合複数の視点(すなわち表示窓)を形成できる。指向
性比較拡散特性のために、光は垂直方向に大きな拡散角で、および水平方向に小さな拡散
角で拡散される。
【0057】
この指向性光拡散の結果、スクリーンにより形成される視点は垂直および水平方向双方
に拡張され、投影レンズの口径を中心として垂直矩形表示窓になる。表示窓の幅はスクリ
ーンの水平拡散角、プロジェクターからスクリーンへの距離、および投影レンズの口径サ
イズの関数である。
【0058】
以下の考察は現時点で好ましい3D表示システムに基づく分析である。しかしこれらの
結果は他の表示窓3Dシステムを含み上述の表示窓に基づく他のシステムにも適用できる
。具体的に、本分析は隣接表示窓間のクロストークを削減する方法に取り組んでいる。
【0059】
表示窓の中におけるクロストークは画質の低下および3D知覚への影響において重要な
役割を果たす。実験から、出願者たちはクロストークに関し3つの主要な原因を特定し、
図10に示すように、以下に特定される。
(a) ガウス拡散による隣接表示窓間のエネルギー漏洩。
(b) 拡散器および再帰反射性材料の前面反射。
(c) 再帰反射性材料の前面反射。
【0060】
上記に説明したように、再帰反射性垂直光拡散スクリーン305は一次元光拡散材料の層3
10および再帰反射性材料の層315を含む。本例において、3つの表示窓VW1、VW2、およ
びVW3がクロストークに直面しているのが図示され、表示窓VW1とVW2との間および
表示窓VW2とVW3との間の重なり合いで示される。以下の考察において、上記に記載さ
れるクロストークの3つ原因はタイプ(a)、タイプ(b)、およびタイプ(c)と特定され
る。
【0061】
過去において、タイプ(a)クロストークについて提案される1つの解決法は3層スクリ
ーンを用いることで、タイプ(c)について提案される1つの解決法は拡散層と再帰反射性
層との間の空気の空間を維持することである。続く項において、タイプ(a)クロストー
クに対する別の解決方およびタイプ(b)クロストークの1つの解決法が考察される。
【0062】
タイプ(a)クロストークは隣接表示窓間におけるガウス拡散によって引き起こされる
。表示窓において光はガウス分布に従い分布されることが先に示されている。すなわち、
表示窓の幅は図11に示すように半値全幅(FWHM)で定義できる。Fmaxは最大光強
度を特定し、点X1とX2は光強度が最大の半分である位置を示す。点X1とX2はさら
に表示窓の横のエッジを示す。
【0063】
光拡散角はFWHM位置において定義されるので、図12に示すように隣接表示窓にいく
ばくかのエネルギー漏洩がある。その結果、各表示窓内(例えば表示窓1の中)で観察者
は現在の表示窓(すなわち表示窓1)を作り出したプロジェクターの画像を見、さらに隣
接プロジェクター(すなわち表示窓2などの隣接表示窓)からのゴーストを見る。ゴース
トは画像のコントラストを相当減らし観察者の3D知覚に影響を与え得る。
【0064】
ゴーストを削減する1つの簡単な方法は2つの隣接表示窓間の間隔を増やし漏洩エネルギ
ーの量を削減することである。しかしこの方法は隣接表示窓間に暗い帯、または線、を導
入し、観察者が同時に複数の表示窓を通して覗くためにスクリーンの後ろまたは前に立っ
た場合モザイクされた画像に悪影響を与えることになる。従ってこの方法は連続表示窓を
形成しようとするシステムには最適の解決法ではない。
【0065】
レンズを用いて拡散光線の焦点を合わせ直すことによりタイプ(a)クロストークを削
減する方法が以前に開示されているが、この方法においてレンズは拡散材料の前に配置さ
れ、これは表示窓にさらなるクロストークを導入する可能性がある。従ってこの方法は高
度の光学的品質および高価なレンズを必要とし、これらはスクリーンのコストを劇的に増
加させる。
【0066】
この問題に対する別の解決法は小さな拡散角を有するスクリーン材料を用いることであ
る。拡散角が小さくなるにつれ、ガウスの輪郭はより鮮明になり、隣接表示窓へのエネル
ギー漏洩が少なくなる。理想的にはゼロの水平拡散角が望ましい。現在の最新技術で拡散
角は0.2度まで小さくでき、プロジェクターがスクリーンからあまり遠くない場合クロ
ストークをかなり削減することができる。拡散角を削減することの1つの副次的な悪影響
は表示窓の幅がより狭くなり、観察者のために現在の視野を維持するためには追加プロジ
ェクターの必要性が生じることである。
【0067】
例えば、拡散角が約0.2度とすると、表示窓の幅は非常に狭くなり得、大きな拡散角
のスクリーンを用いる場合と同様の投影基線を達成するために3‐6倍のプロジェクターを
必要とする可能性がある。これは表示窓の幅が主にレンズ口径のサイズにより決められ、
これは携帯プロジェクターの場合数ミリのみ、または大型オフィス用プロジェクターの場
合10から20mmであり得る。さらに表示窓が非常に狭い場合プロジェクターは連続表示窓
を達成すべく密接にまとめるために小さな形状因子を有する必要がある。
【0068】
図13は複数の段または列に配置されることにより密接にまとめられたプロジェクター配
置の一例を示す。各プロジェクターのレンズ口径の幅は表示窓を定義する。プロジェクタ
ーは、隣接段における隣接プロジェクターのレンズ口径がオフセットされ、各プロジェク
ターの口径の第1エッジがその隣接プロジェクターにおける口径の反対のエッジと位置合
わせされるよう複数の段において配置される。3つ以上の段を用いることができるが、本
例においてプロジェクターはジグザグの形で2つの段、または列、に配置される。より幅
の広い投影基線を形成するのにより少数のプロジェクターを必要とするので大きなレンズ
口径が好ましく、段毎により少数のプロジェクターが必要であることからプロジェクター
をより大型にできる。
【0069】
図13は3層スクリーンにおいて、または小さな拡散角(すなわち水平拡散が無視できる
ような拡散角)を有する拡散スクリーンを通して大口径レンズにより作り出された表示窓
を示す。当然、拡散角が小さい場合大口径のプロジェクターが望まれる。大口径は大きな
投影基線を維持するのにより少数のプロジェクターを必要とすることを意味する。
【0070】
次に拡散器および再帰反射性材料の前面反射によるタイプ(b)クロストークに取り組
むのに好ましい方法を呈示する。
図10に示すように、再帰反射性垂直光拡散スクリーン305は拡散器(一次元光拡散材料3
10を片方の表面に有するプラスチック基板Sからなる)および拡散器の反対側に再帰反射
性材料315を含む。一次元光拡散材料310および再帰反射性材料315の表面でプロジェクタ
ーからの入射光は部分的に正反射される。この正反射がタイプクロストーク(b)、すな
わち表面反射クロストーク、の原因で、スクリーンの白い垂直線として現れる。出願者た
ちは表面反射される光が少量のみである場合でも観察者はスクリーン上で強烈な白い垂直
線を見得ることを見出している。
【0071】
この表面反射クロストーク問題の簡単な解決法は拡散器および再帰反射性材料双方の表
面に反射防止塗膜を加えることが合理的と思われるかもしれない。しかし、現在の最新技
術の反射防止塗膜技術は表面反射を削減するのみで除去することはできず、従ってこの種
のクロストークを除去することはできない。
【0072】
事実、出願者たちは拡散器の一次元光拡散材料310が既に反射防止特性を有しているこ
とを見出している。この塗膜側がプロジェクターに面するようにすると、さらに反射防止
塗膜を加えなくても光の8%のみが反射される。さらに反射防止塗膜が加えられた場合、
反射光は5%または3%まで削減され、これはわずかな改善で表面反射問題は観察者により
まだ知覚できる。
【0073】
タイプ(b)表面反射クロストークをさらに削減、または除去、するために、図14に示
すようにスクリーンを折ることができる。この方法について、スクリーン305の左半分側3
05aおよび右半分側305bは傾斜され、プロジェクター基線から離れて傾斜するV型スクリ
ーンを形成する。傾斜スクリーンはプロジェクターの列Pからの光を離れるように反射し
、投影基線から知覚できない。スクリーンを傾斜させることにより、表面反射は表示窓を
通して覗く観察者から離れる。本例の場合、スクリーンの左半分側305aによるプロジェク
ターPの正反射は横にそれて示されもはやプロジェクターの左半分の視野内にない。同様
に、スクリーンの右半分側305aによるプロジェクターPの正反射は横にそれて示されもは
やプロジェクターの右半分の視野内にない。
【0074】
スクリーンの傾斜角は投影基線の幅L(すなわち隣接プロジェクターPの長さ)および
投影基線からスクリーン305の水平回転軸PTへの垂直距離Zに依存する。傾斜角θは次
によって与えられる。

【0075】
スクリーンは図15(図14に類似した要素はすべて類似した参照記号を有し、上記に説明
される)に示すように反対の方向に、プロジェクターPに向かって、傾斜することもでき
る。この場合、傾斜角θはさらに左半分側305aの端から右半分側305bの端までの長さWに
関係する。この場合の傾斜角φは次により与えられる。

【0076】
当然2つ目の例はより大きな傾斜角を必要とし、従って1つ目の例が我々の設定には好ま
しいかもしれない。
式1および2に示されるように、表面反射が投影基線の垂直視野を避けさせなければなら
ないのでスクリーンの傾斜角θおよびφは投影基線の長さLが増加するにつれ大きくなる
。しかし多くの用途において、回転軸PTにおいて投影基線に向かいまたはそこから離れ
るよう傾斜するものより薄型(すなわち奥行きの小さい)で平たいスクリーンが好ましい

【0077】
図16に好ましい実施形態が示され、図10、14、および15に類似した要素のすべては類似
した参照記号を有し、上記に説明される。この方法において、スクリーン305はここでも
基板(材料基板)Sで始まる。材料基板Sの裏の面は再帰反射性材料315の層を有し、材
料基板Sの表の面は多数のV型で垂直な溝が切り込まれ、小さな傾斜面を有する微細構造
を形成する。V型で垂直な溝は投影基線の法線方向に対し45度と定義される傾斜角βを形
成することが好ましい。つまり、各V型溝の面するパネルは互いに90度の角度を形成する
、すなわち接合部において直角を形成する。
【0078】
上述のように、水平拡散は実践上可能な限り小さいことが好ましい。この場合、各プロ
ジェクターの表面反射は光が由来するプロジェクターと同じプロジェクターに反射され得
るので、隣接プロジェクター間のクロストークは除去される。
これらの小さな傾斜面の表面は一次元(好ましくは垂直)光拡散材料310で塗布される
。微細構造は観察者から見るとスクリーンが平たく見えるように、実践上可能な限り小さ
な対面パネルで作られる。
【0079】
図17は本発明による、少なくとも1つの再帰反射性垂直光拡散スクリーン1605を有する
マルチプロジェクター表示システム1600を示す。システムは再帰反射性光拡散スクリーン
1605および複数のプロジェクター1610Aから1610xを有してなる。描かれたシステム1600に
おいて、プロジェクター1610A‐1610xは演算システム1620に制御されることができる。演
算システムは透視画像のセットを記憶するデータストア1630を含み、またはそれに通信上
接続されることができる。演算システム1620は透視表示をプロジェクター1610A‐1610x経
由のスクリーン1605上の表示を調整して多視表示を生成する。
【0080】
本発明はデータを処理し得る任意の命令実行/演算装置またはシステムにおいて実施で
きることが特筆され、これには汎用コンピューターおよびデータまたは画像処理用などの
特定コンピューターが含まれるがこれらに限定されない。本発明はさらに他の演算装置お
よびシステムで実施され得る。さらに、本発明の態様はソフトウェア、ハードウェア、フ
ァームウェア、またはこれらの組み合わせを含み、広範囲な形で実施することができる。
例えば、本発明の様々な態様を実施する機能は個々の論理部品、1つ以上の特定用途向け
集積回路(ASIC)、および/またはプログラム制御プロセッサーを含み広範囲な形で実装
される部品により実施することができる。これらの部品が実装される形は本発明に肝要で
はないことが特筆される。
【0081】
図18は本発明の実施形態で実施し得る命令実行/演算装置1700の実施形態の機能的ブロ
ック図を描く。図18に示すように、プロセッサー1702がソフトウェア命令を実行し、他の
システム・コンポーネントとやりとりする。一実施形態において、プロセッサー1702は(
限定ではなく例として)AMD(登録商標)プロセッサー、INTEL(登録商標)プロセッサー
、SUN MICROSYSTEMS(登録商標)プロセッサー、またはPOWERPC(登録商標)対応CPUなど
の汎用プロセッサーであることができ、またはプロセッサーは特定用途向けの1つまたは
複数のプロセッサーであることができる。
【0082】
プロセッサー1702に連結された記憶装置1704はデータおよびソフトウェア・プログラム
の長期的記憶を提供する。記憶装置1704はハードディスク・ドライブおよび/または磁気
もしくは光媒体(例、ディスケット、テープ、コンパクトディスク、DVD、等々)のドラ
イブまたはソリッドステート記憶装置などデータを記憶できる別の装置であって良い。
【0083】
記憶装置1704はプロセッサー1702で使用するプログラム、命令、および/またはデータ
を収納することができる。一実施形態において、記憶装置1704に記憶されそこからロード
されるプログラムまたは命令はメモリー1706にロードされ、プロセッサー1702により実行
される。一実施形態において、記憶装置1704はプロセッサー1702でオペレーティングシス
テムを実施するプログラムまたは命令を収納する。実施形態において、考えられるオペレ
ーティングシステムはUNIX(登録商標)、AIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Micros
oft(登録商標) Windows(登録商標)、およびApple(登録商標) MAC(Macinto
sh(登録商標)) OSが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、オペ
レーティングシステムは演算システム1700上で実行し、システムの稼動を制御する。望ま
れる場合、記憶装置1704は図17のデータストア1630として実施することができる。
【0084】
プロセッサー1702に連結されるアドレス可能なメモリー1706はデータおよびプロセッサ
ー1702により実行されるソフトウェア命令を記憶するのに使用することができる。メモリ
ー1706は例えばファームウェア、読み取り専用メモリー(ROM)、フラッシュメモリー、
不揮発性ランダムアクセスメモリー(NVRAM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、また
はこれらの任意の組み合わせであって良い。一実施形態において、メモリー1706は別途サ
ービス、ユーティリティー、コンポーネント、またはモジュールとして知られるソフトウ
ェア・オブジェクトをいくつか記憶している。当業者であれば、さらに記憶1704およびメ
モリー1706は同じ品目で双方の立場で機能し得ることを理解しよう。一実施形態において
、1つ以上のソフトウェアコンポーネントまたはモジュールはメモリー1704、1706に記憶
されプロセッサー1702により実行され得る。
【0085】
一実施形態において、演算システム1700は他の装置、他のネットワーク、または双方と
通信する能力を提供する。演算システム1700は1つ以上のネットワークインターフェイス
またはアダプター1712、1714を含み、演算システム1700を他のネットワークおよび装置と
通信上連結することができる。例えば、演算システム1700はネットワークインターフェイ
ス1712、通信ポート1714、または双方、を含むことができ、これらの各々はプロセッサー
1702に通信上連結され、演算システム1700を他のコンピューターシステム、ネットワーク
、および装置に連結するために使用することができる。
【0086】
一実施形態において、演算システム1700はプロセッサー1702に連結されグラフィックス
およびテキストの表示を容易にする1つ以上の出力装置1708を含むことができる。出力装
置1708はプロジェクター、ディスプレイ、LCD画面、CRTモニター、プリンター、タ
ッチ画面、または情報を表示する他の装置を含むことができるが、これらに限定されない

演算システム1700はさらに出力装置1708における情報または画像の表示を補助するグラ
フィックスアダプター(図示せず)を含み得る。
【0087】
プロセッサー1702に通信できるよう連結される1つ以上の入力装置1710を用いてユーザ
ー入力を円滑にすることができる。入力装置1710はマウス、トラックボール、またはタッ
チ・パッドなどのポインター装置を含むことができるが、これらに限定されず、さらにデ
ータまたは命令を演算システム1700に入力するためにキーボードまたはキーパッドを含む
ことができる。
【0088】
一実施形態において、演算システム1700は通信ポート1714、ネットワークインターフェ
イス1712、メモリー1704/1706に記憶されるデータ、または入力装置1710を通して、スキ
ャナー、コピー機、ファクシミリ機、または他の演算装置から入力を受信することができ
る。
【0089】
当業者であれば、本発明の実施にいずれの演算システムも肝要ではないことを理解しよ
う。当業者であればさらに上述の構成要素のいくつかはサブ・モジュールに物理的および
/または機能的に分けられ、または組み合わせられることを理解しよう。
【0090】
本発明の実施形態はさらに各種コンピューター実施の操作を行なうためのコンピュータ
ーコードを有するコンピューター読み取り可能な媒体を有するコンピューター製品に関わ
ることができることが特筆される。媒体およびコンピューターコードは本発明の目的のた
めに特別に設計され構築されたものでも良く、または該当技術の当事者に知られ、利用可
能な種類のものであっても良い。
【0091】
コンピューター読み取り可能な媒体の例は:ハードディスク、フロッピー(登録商標)
ディスク、および磁気テープなどの磁気媒体;CD‐ROMおよびホログラフィー装置な
どの光媒体;光磁気媒体;ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル
論理装置(PLD)、フラッシュメモリー装置、およびROMやRAM装置など、プログ
ラムコードを記憶し、または記憶して実行するよう特別に構成されるハードウェア装置;
を含むがこれらに限定されない。コンピューターコードの例はコンパイラーにより作成さ
れるような機械コード、およびインタープリターを用いてコンピューターにより実行され
るより高位レベルのコードを含むファイルを含む。
【0092】
本発明の実施形態は全体としてまたは一部コンピューターにより実行されるプログラム
モジュールにある機械実行可能な命令として実施することができる。プログラムモジュー
ルの例はライブラリー、プログラム、ルーチン、オブジェクト、コンポーネント、および
データ構造を含む。分散演算環境において、プログラムモジュールは物理的にローカル、
遠隔、または双方の環境に所在することができる。
【0093】
発明はいくつかの具体的な実施形態に関連して説明されたが、当業者には多数の代替、
修正、および変形が前述の説明に照らし明らかであることが明白である。従って、本明細
書に説明される発明は添付クレームの精神および範囲内に入るこのような代替、修正、用
途、および変形すべてを包括することが意図される。
【符号の説明】
【0094】
205 再帰反射性材料
210 入射光線
215 再帰反射光線
220 入射光線
225 再帰反射光線
330 水平方向
335 垂直方向
415 光線
1600 マルチプロジェクター表示システム
1605 スクリーン
1610 プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々独自の画像を投影するよう構成される複数のプロジェクターと、
前面および背面を有するスクリーンであって、前記前面は前記複数のプロジェクターに
面しているスクリーンと、
前記プロジェクターから前記スクリーンへの法線に実質的に沿った区域に定義される表
示領域と、を有する画面システムであって、
前記スクリーンは左面および右面に分割され、前記左面および右面は前記左面を前記右
面に連結する接合部において角度を持ち、前記角度は前記プロジェクターからの独自の画
像の前記左面上および右面上の正反射を前記表示領域から離れるよう導く画面システム。
【請求項2】
前記スクリーンは再帰反射性垂直光拡散スクリーンである請求項1に記載の画面システ
ム。
【請求項3】
前記スクリーンは片方の表面に再帰反射性材料層を含むとともに前記片方の表面の反対
側の表面に一次元光拡散材料層を含み、
前記一次元光拡散材料層を有する前記表面は、前記前面である請求項1に記載の画面シ
ステム。
【請求項4】
前記左面および右面は、前記プロジェクターから離れるように角度を持ち、
前記接合部は前記プロジェクターに最も近い前記スクリーンの部分であり、前記左面お
よび前記右面は前記接合部を横切る前記プロジェクターに法線となる第2基準線に垂直な
第1基準線に関し第1目標角、θ、を形成し、
前記第1目標角は

未満でなく、
前記複数のプロジェクターは一連の隣接プロジェクターとして配置され、
前記Lは前記一連の隣接プロジェクター内の第1プロジェクターにおける第1レンズから
前記一連の隣接プロジェクター内の最後のプロジェクターにおける最後のレンズまでの物
理的距離により定義される投影基線の長さであり、
前記Zは前記接合部から前記一連の隣接プロジェクターまでの法線距離である請求項1
に記載の画面システム。
【請求項5】

【請求項6】
前記左面および右面は前記プロジェクターに向かうように角度を持ち、
前記接合部は前記プロジェクターに最も遠い前記スクリーンの部分であり、前記左面お
よび前記右面は前記接合部を横切る前記プロジェクターに法線となる第2基準線に垂直な
第1基準線に関し第2目標角、φ、を形成し、
前記第2目標角は

未満でなく、
前記複数のプロジェクターは一連の隣接プロジェクターとして配置され、
前記L は前記一連の隣接プロジェクター内の第1プロジェクターにおける第1レンズから
前記一連の隣接プロジェクター内の最後のプロジェクターにおける最後のレンズまでの物
理的距離により定義される投影基線の長さであり、
前記Zは前記接合部から前記一連の隣接プロジェクターまでの法線距離であり、
前記Wは前記接合部に対し左面の遠端から前記接合部に対し右面の遠端までの長さであ
る請求項1に記載の画面システム。
【請求項7】

【請求項8】
前記左面および前記右面は等しい幅である請求項6に記載の画面システム。
【請求項9】
前記スクリーンは半分に分割され前記左面および前記右面を形成する請求項8に記載の
画面システム。
【請求項10】
前記複数のプロジェクターは、隣接プロジェクターが隣接する段にあるよう複数の段に
配置され、
前記隣接する段における前記隣接プロジェクターのレンズ口径は各前記プロジェクター
の口径の第1エッジが前記隣接プロジェクターの反対側のエッジと位置合わせされるよう
にオフセットされる請求項1に記載の画面システム。
【請求項11】
背面および前面を有する基板であって、前記前面は垂直方向に一連のV型溝を有する基
板と、
前記基板の背面上の再帰反射性材料層と、
前記基板の前記V型溝内を含む前面上の一次元光拡散材料であって、それにより前記一
次元光拡散材料は前記基板の前記V型溝をたどるV型溝を形成する一次元光拡散材料と、
を有するスクリーン。
【請求項12】
前記基板は透明である請求項11に記載のスクリーン。
【請求項13】
前記一次元光拡散材料は垂直光拡散材料である請求項11に記載のスクリーン。
【請求項14】
前記一連のV型溝は互いに隣接して配列され、各溝が次の溝と境を接する請求項11に
記載のスクリーン。
【請求項15】
前記V型溝は前記基板の幅全体にかかる請求項14に記載のスクリーン。
【請求項16】
前記V型溝は前記基板の垂直の長さ全体に延びる請求項11に記載のスクリーン。
【請求項17】
各前記V型溝の2つの対面パネルは互いに90度の角度を形成する請求項11に記載のス
クリーン。
【請求項18】
前記基板の背面は実質的に平たい請求項11に記載のスクリーン。
【請求項19】
請求項11に記載のスクリーンと、
前記基板の前面に面する複数のプロジェクターであって、前記複数のプロジェクター内
の各プロジェクターは独自の画像を投影するよう構成される複数のプロジェクターと、を
有する画面システム。
【請求項20】
前記プロジェクターから前記基板の前面への法線に実質的に沿った区域に定義される表
示領域をさらに有し、
各前記V型溝の2つの対面パネルは互いに角度を形成し、前記角度は前記プロジェクタ
ーからの独自の画像の前記対面パネルにおける正反射を前記表示領域から離れるように導
く請求項19に記載の画面システム。
【請求項21】
各々独自の画像を投影するよう構成される複数のプロジェクターと、
前面および背面を有し、前記前面が前記複数のプロジェクターに面しているスクリーン
と、を有し、
前記複数のプロジェクターは、隣接プロジェクターが隣接する段にあるよう複数の段に
配置され、
前記隣接する段における前記隣接プロジェクターのレンズ口径は各プロジェクターの口
径の第1エッジが前記隣接プロジェクターの反対側のエッジと位置合わせされるようにオ
フセットされる画面システム。
【請求項22】
前記プロジェクターはジグザグ配置で2段に配列される請求項21に記載される画面シ
ステム。
【請求項23】
前記プロジェクターは2つより多い段に配列される請求項21に記載される画面システ
ム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197674(P2011−197674A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57664(P2011−57664)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】