説明

痛み評価方法及び痛み評価装置

【課題】痛みを定量的に評価するものである。
【解決手段】痛みを付与した被検者からの生理学的反応として発汗量、血液量及び脈拍変動に基づくLF/HF比を測定、痛みを付与した被検者からの心理学的反応として痛みの段階評価及び痛みの言語評価を測定して、生理学的反応及び心理学的反応SP3A、SP3Bとしての測定データを組み合せて痛み総合評価データSP6、SP7を得るようにしたことにより、被検者の痛みを一段と適正に評価できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は痛み評価方法及び痛み評価装置に関し、例えば美容電気脱毛旋術において与えられる刺激レベルに対する痛みの評価方法を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
脱毛旋術時に被旋術者に与えられる刺激に対する計測手法として、被旋術者の発汗量を測定する手法のものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−143968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された脱毛旋術は、毛を物理的に引き抜く際の痛みを測定することを基本的な考え方としているが、脱毛旋術にはこれ以外に、毛の毛包内に美容脱毛用プローブ(ニードルとも呼ばれている)を挿入し、これを電極として毛包内に高周波電流及び又は直流電流を流すことにより、毛根組織の内部において熱エネルギーに変換して、毛根組織に蛋白質の熱凝固作用を生じさせ、及び又は毛包内にあるNaClを電気分解することによりNaOHを生成してその強アルカリ作用により毛根組織(毛乳頭)を破壊することを基本原理とした美容電気脱毛施術がある。
【0004】
その美容電気脱毛旋術において被旋術者に与える痛みは、美容電気脱毛施術の通電時に発する熱及び又は電気分解によるアルカリ性物質の産生に基づくものと考えられるが、その痛みの強弱には個人差があり、又毛包内に高周波電流を流すことで、電波による影響(ノイズ)が大きいため、生体の電気信号を活用した痛み評価方法として適用できるものが未だ提案されていなかった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、発生した痛みの強弱を高周波電流を流した場合であってもこれを確実に評価できるようにした痛み評価方法及び痛み評価装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、痛みを付与した被検者からの生理学的反応として、発汗量、血流量及び心拍変動解析に基づくLF/HF比、又は少なくともその1つを測定すると共に、痛みを付与した被検者からの心理学的反応として、痛みの段階評価及び痛みの言語評価、又は少なくともその1つを測定してそれぞれ痛み判定値と比較することにより「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値データでなる痛み評価データを生成し、当該生理学的反応及び心理学的反応についての痛み評価データを組み合せて痛みの総合評価データを得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生理学的反応及び心理学的反応としての測定データを組み合せて痛み総合評価データを得るようにしたことにより、被検者が付与された痛みを一段と適正に評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)痛み評価の基本概念
(1−1)痛み付与手順
図1は痛み評価をする際の処理手順を示す。
【0010】
痛み評価処理手順RT0に入ると、まずステップSP1において検者は、痛み付与条件設定手段によって痛み評価システムに痛み付与条件を設定する。
【0011】
例えば、美容電気脱毛旋術をする場合には、検者としての旋術者が被検者としての被旋術者に対して通電方法と通電レベルとを設定する。
【0012】
この設定は、通電方法として、脱毛部位や毛質により高周波電流を通電する方法(これをフラッシュ法と呼ぶ)か、高周波電流及び直流電流を通電する方法(これをブレンド法と呼ぶ)かを選定すると共に、通電レベル(通電電流値と通電秒数)を設定する。
【0013】
続くステップSP2において、検者は痛み付与手段によって被検者に痛みを付与する。
【0014】
このステップにおいて、美容電気脱毛の場合は、検者である旋術者が被検者である被旋術者の毛包にプローブを挿入して通電操作をする。
【0015】
かくして被検者に対して痛みを付与した後、ステップSP3A及びSP3Bに移って、生理学的測定手段及び心理学的測定手段を用いて生理学的及び心理学的測定を行う。
【0016】
ここで美容電気脱毛における痛みの付与は、高周波電流(一般的に13.56〔MHz〕又は27.12〔MHz〕の周波数が用いられている)通電の場合に発する痛みは毛根付近に発生する熱による痛みであり、また直流電流通電の場合に発する痛みは毛包において電気分解によって産生されるアルカリ性物質による痛みである。
【0017】
(1−2)生理学的測定
(1−2−1)発汗量
被検者の指における「発汗量」〔mg/cm/min〕を発汗計により測定する(ステップSP3A1)。
【0018】
(1−2−2)血流量
被検者の指から「血流量」〔ml/min/100g〕を血流計により測定する(ステップSP3A2)。
【0019】
(1−2−3)心拍変動解析に基づくLF/HF比
心電図装置を用いて、そのR波の間隔(RR間隔)の計測に基づいて、心拍変動(Heart Rate Variability;HRV)解析を行い、交感神経成分(LF成分)と副交感神経成分(HF成分)との比である「LF/HF比」を求める(ステップSP3A3)。
【0020】
このLF/HF比は、自律神経機能からの反応を表している。
【0021】
この心電図による自律機能(LF/HF比)の反応は、通電の前後の測定量に基づいて自律神経機能を評価できるので、通電時に生ずる雑音の影響を受けずに測定が可能である。
【0022】
この生理学的測定(発汗量、血流量及び心拍変動解析に基づくLF/HF比の測定)は、いずれも自律神経機能から発生する生理学的量であり、自律神経機能の側面から被検者の刺激に対する反応を測定できる。
【0023】
(1−3)心理学的測定
被検者に付与した刺激に対する反応を、「痛みの段階評価」と「痛みの言語評価」とによって心理学的に評価する。
【0024】
(1−3−1)痛みの段階評価
痛みの段階評価方法のひとつとして、「フェイススケール(FS)」を用いる(ステップSP3B1)。フェイススケール(FS)は、FACE SCALEの略である。図2に示すように、顔の表情で痛みを段階的に表現する図的表示である。
【0025】
フェイススケール(FS)は、被検者が付与された痛みに対する反応として、「0」(全く痛みがなく、幸な気分)、「1」(わずかな痛みがある)、「2」(軽度の痛みがあり、少し痛い)、「3」(中程度の痛みがあり、辛い)、「4」(かなりの痛みがあり、とても辛い)及び「5」(耐えられない程の痛みがある)までの6段階で「段階評価値」を表示しようとするものである。
【0026】
実際上、ステップSP3B1の痛みの段階評価においては、被検者が表現した言葉をその痛みの強度順にレベル「0」から「5」まで6段階の「段階評価値」を、検者が被検者に対する問診結果の測定値として入力手段を使って入力するか、又は被検者が痛みの「段階評価値」を電気信号によって発信して表示させる。例えば、被検者がある痛みの「段階評価値」以上(例えば「4」以上)と認識した時に限り、押しボタン式スイッチにより電気信号を入力することによって表示させるか、又は、「0」〜「5」まで表示された選択スイッチを押すことで痛みの数値を入力表示させる。
【0027】
(1−3−2)痛みの言語評価
痛みの言語評価は、図3に示すように、17項目に亘る、被検者の言語による痛みの反応であって、各反応項目は言語評価項目として、「感覚」、「情動」及び「評価」の3項目、すなわち3つの側面から構成されている(SP3B2)。
【0028】
そして各側面において痛みを表現する言語を強度ごとにレベル「1」から「5」までの5段階の尺度(すなわち「1」点〜「5」点尺度)で表わしている。
【0029】
痛みの言語評価は、検者が被検者に対する問診の結果として得る。
【0030】
当該言語の痛み評価については、痛みの心理学的影響を考慮して、項目間に重み(ウエイト)(例えば、「感覚」:「情動」:「評価」=1:2:4)を設ける。
【0031】
そして各項目評価点(項目点)は、「項目の段階」と「項目の重み」の積で表現すると共に、痛みの言語評価は、その総和(すなわち積和)で表現する。
【0032】
このようにして、言語評価のひとつとして、痛みの質的評価方法を提案した。評価内容は、被検者への問診に対する言語による反応を、痛みの「感覚」、「情動」及び「評価」の3項目から、各項目の痛み強度を5点尺度で評価するものである。
被検者は、問診において複数の項目を回答しても良いとする。
【0033】
「感覚」項目は、痛みを表現するもので、「チクチクする」(又は「キリでもむような」)、「引っ張る痛み」(又は「消えない痛み」)、「熱い」、「刺すような」(又は「突くような」)、「しびれる感じ」(又は「ジーンとする感じ」)及び「やけるような」のように、被検者が感じている痛みの強度を言語によって表現したものであるので、被検者が表現した言葉をその痛みの強度順にレベル「1」点から「5」点まで5段階を割り当てる。
【0034】
この実施の形態の場合、表現した言語が「熱い」又は「しびれる感じ」(又は「ジーンとする感じ」)のときその痛みの強度レベルは「1」点であるとする。
【0035】
また、「チクチクする」(又は「キリでもむような」)のときその痛みの強度レベルは「2」点であるとする。
【0036】
また「刺すような」(又は「突くような」)のときその痛みの強度レベルは「3」点であるとする。
【0037】
また「やけるような」のときその痛みの強度レベルは「4」点であるとする。
【0038】
さらに、「引っ張る痛み」(又は「消えない痛み」)のときその痛みの強度レベルは「5」点であるとする。
【0039】
「情動」項目は、痛みから発生する感情を表現するもので、「怖い」、「不安な」、「死ぬほどつらい」、「恐れおののく」及び「ぞっとするような」のように、被検者が感じている感情を言葉によって表現したものであるので、感情の激しさ順にレベル「2」点から「5」点までの4段階で評価する。
【0040】
この実施の形態の場合、表現した言語が、「ぞっとするような」のときその感情の激しさレベルは「2」点であるとする。
【0041】
また、「怖い」又は「不安な」のときその感情の激しさレベルは「3」点であるとする。
【0042】
また、「恐れおののく」のときその感情の激しさレベルは「4」点であるとする。
【0043】
さらに、「死ぬほどつらい」のときその感情の激しさレベルは「5」点であるとする。
【0044】
さらに「評価」項目は、痛みに基づく意志決定を表現するもので、「強烈な」、「苦しみもだえるような」、「いらいらさせられる」及び「耐え難い」のように、被検者の忍耐の強弱を言葉によって表現したものであるので、忍耐の強さ順に、レベル「2」点から「5」点までの4段階で評価する。
【0045】
この実施の形態の場合、表現した言葉が「いらいらさせられる」のときその忍耐の強さのレベルは「2」点であるとする。
【0046】
また、「強烈な」のときその忍耐の強さのレベルは「3」点であるとする。
【0047】
また、「耐え難い」のときその忍耐の強さのレベルは「4」点であるとする。
【0048】
さらに、「苦しみもだえるような」のときその忍耐の強さのレベルは「5」点であるとする。
【0049】
この言語評価については、痛みの生体への影響を考慮して、項目間に重みを設ける。例えば、「感覚」:「情動」:「評価」=1:2:4とすることもできる。各項目について被検者は複数回答する場合がある。この場合は、各項目の段階レベルは最高値を用いることとする。
【0050】
かくして例えば「感覚」の段階がレベル「4」点であり、「情動」の段階がレベル「2」点であり、「評価」の段階がレベル「1」の場合の痛み点は、上記に例示した重みの場合は、(「感覚」=1×4)+(「情動」=2×2)+(「評価」=4×1)=12〔点〕となり、これを「言語評価」の痛み点とする。
【0051】
かくして「言語評価」による痛み点の満点は、(「感覚」=1×5)+(「情動」=2×5)+(「評価」=4×5)=35〔点〕で、「言語評価」は、この満点までの点数として評価する。
【0052】
かかるステップSP3Aにおける生理学的測定及びステップSP3Bにおける心理学的測定によって得た測定量は、ステップSP4において記録手段に記録する。
【0053】
(1−4)痛み判定値の設定及び評価
この記録情報は、次のステップSP5において痛み判定値を設定した後、ステップSP6において測定量と痛み判定値と比較することにより痛み評価をする。
【0054】
このステップSP5及びSP6の処理は、生理学的量(発汗量、血流量、心拍変動解析に基づくLF/HF比)と心理学的量とは、被検者が刺激レベルの変化に対して線形には反応しないことを確認したことに基づいて、被検者の反応を線形的に評価して定量化することはできないと考え、刺激レベルに対する反応(すなわち「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値評価)を問題とし、これにより刺激による階段状の反応を、痛み判定値を超えたか否かによって評価する。
【0055】
(1−4−1)痛みの段階評価
痛みの段階評価のひとつの方法であるフェイススケール(FS)による段階評価は、「0」段階から「5」段階までの6段階(図2)について、段階評価の値が痛み判定値「d」(例えばフェイススケール「4」)以上のとき、「痛み反応1」と評価し、痛み判定値「d」未満のとき「痛み反応2」と評価する。
【0056】
(1−4−2)痛みの言語評価
痛みの言語評価について、言語評価の値が痛み判定値「e」(例えば積和値が20)以上のとき「痛み反応1」と評価し、痛み判定値「e」未満のとき「痛み反応2」と評価する。
【0057】
(1−4−3)発汗量
発汗量は、痛みがあれば増加するので、痛み判定値「a」以上であるとき「痛み反応1」と評価し、痛み判定値「a」未満のとき「痛み反応2」と評価する。
【0058】
(1−4−4)血流量
血流量は、痛みがあれば減少する傾向にあるので、痛み判定値「b」以下であるとき「痛み反応1」と評価し、痛み判定値「b」を超えるとき「痛み反応2」と評価する。
【0059】
(1−4−5)心拍変動解析に基づくLF/HF比
心拍変動は、痛みがあれば大きくなる傾向にあるから、心拍変動解析に基づくLF/HF比が痛み判定値「c」以上のとき「痛み反応1」と評価し、痛み判定値「c」未満のとき「痛み反応2」と評価する。
【0060】
(1−5)痛みの総合評価
かくしてステップSP5及びSP6の処理によって「心理学的評価」を痛み判定値「d」及び「e」に基づいて評価すると共に、「生理学的評価」を痛み判定値「a」、「b」、及び「c」を基準として痛みの評価をした後、次のステップSP7において、図4、又は図5、又は図6に示す手法で、当該生理学的測定結果及び心理学的測定結果から痛みの総合評価をして検者に表示する。
【0061】
(1−5−1)項目加算方式
「項目加算方式」は、図4に示す痛みの判定評価表について、「痛み反応1」と評価された項目について「○」印を記入する。
【0062】
この痛みの判定評価表は、評価項目欄の項目、「A 発汗」、「B 血流」、「C 心電図(LF/HF)」、「D 痛みの段階評価」及び「E 痛みの言語評価」について、それぞれ痛み判定値「a」、「b」、「c」、「d」及び「e」を表示すると共に、反応欄として「痛み反応1」及び「痛み反応2」欄を設け、「痛み反応1」があった評価項目に「○」印を記入し、当該「○」印の個数Y及び回答内容によって痛みの強さを表示する。
【0063】
かくして、6つの評価項目について、「○」印がない(すなわち「痛み反応1」項目がない)場合の最低点「0」点から、すべての評価項目に「○」印が記入された場合の最高点「5」点までの、6段階評価をすることができる。
【0064】
かくして加算された反応個数Yが痛みの総合評価表示として痛みの量を表すペインスケール(Pain Scale)になる。このペインスケールは痛み段階尺度(Pain Stage Scale)を用いて表しており、これをPSSによって表すこととする。
【0065】
(1−5−2)生理学的反応・心理学的反応積算方式
図5は、生理学的反応と心理学的反応の積から痛み段階尺度PSSを表したもので、図6の痛み判定評価表に基づいて、「痛みの心理評価及び言語評価」を7段階尺度で評価する。
【0066】
図5において、「痛み反応1」を「○」で表わすと共に、「痛み反応2」を「×」で表す。
【0067】
この結果、求めるペインスケールは痛み段階尺度S0からS6までの何れかになる。
【0068】
ここで、上述の図4の項目加算方式は、生理学的反応と心理学的反応の各項目の反応を合計したもので、生理学的反応と心理学的反応の区別をしていないのに対して、図5の生理学的反応・心理学的反応積算方式は、生理学的反応と心理学的反応とを区別して、痛みの段階尺度(PSS)を生理学的反応と心理学的反応の発生順序を考慮して決める。
【0069】
S0は両反応が無い場合、S1は生理学的反応のみの場合(発汗か血流いずれか反応)、S2は生理学的反応のみの場合(発汗か血流の両方反応)、S3は心理反応のみの場合、S4は生理学的反応(但し、心電図反応なし)と心理学的反応の両方がある場合、S5は生理学的反応(但し、心電図反応もある)と心理学的反応の両方がある場合、S6はすべての評価項目に反応がある場合である。
【0070】
図5における痛みの心理学的評価と言語評価は、「無反応」段階S0から、「精神性」段階S1〜S2、「感覚性」段階S3、「情動性」段階S4〜S5及び「評価性」段階S6までの5段階の痛みの質的反応を生理学的反応及び心理学的反応の積から求める。
【0071】
各段階の痛み段階尺度(PSS) S0〜S6は、図6に示すように、刺激(美容電気脱毛の場合通電電流)に対する反応の痛みの質的反応を強度で表している。
【0072】
すなわち、評価項目「ABCDE」について、反応が「×××××」であれば、刺激の有無何れの場合も生理学的反応と心理学的反応がない段階、すなわち無反応の段階S0であり、これは痛みの反応が最低段階にあることを意味している。
【0073】
また、評価項目「ABCDE」について、反応が「○××××」からこれに近似する「×○×××」の段階S1を得て「○○×××」の段階S2の反応が得られると、その質的反応は、通電が無いのに測定した生理学的項目の一部が反応している段階で、「精神性痛み反応」であることを表している。
【0074】
また、反応が「××××○」やこれに近似する「×××○×」や「×××○○」の段階S3の場合は、通電により測定した生理学的項目の全てに反応がないが、心理学的反応がある段階であって、その質的反応は「感覚性痛み反応」であることを表している。
【0075】
また、反応が「○×××○」からこれに近似する「×○×○×」、「○××○○」、「×○×○○」の段階S4を得て「○×○○○」や「×○○○○」の段階S5であれば、これは通電により測定した生理学的項目の一部に反応が起こり、かつ心理学的反応として感覚以外に情動性(不安、恐怖など)の痛みに発展する状態で、その質的反応は「情動性痛み反応」であることを表している。
【0076】
さらに、反応が「○○○○○」である段階S6になると、通電により測定した生理学的項目の全てに反応が起こり、心理学的反応として、感覚や情動を超え、評価(「やめたい」)に発展した状態で、その質的反応は「評価性痛み反応」であることを表わしており、この段階S6は最高段階になる。
【0077】
このように痛み段階尺度PSSは、最低段階S0から最高段階S6までの7段階に亘る質的反応を評価することができる。
【0078】
例えば評価項目「A 発汗」、「C 心電図(LF/HF)」、「D 痛みの段階評価」及び「E 痛みの言語評価」の4項目が痛み反応1に「○」の反応があったため、反応が「○×○○○」であれば、そのときの痛み段階尺度PSSは痛み段階S5の段階にあり、従って刺激による痛みが感覚以外に情動(不安、恐怖など)の痛みに発展している場合の質的内容を表している、と評価することができる。
【0079】
(1−6)生理学的反応・心理学的反応積算方式(簡便型)
図7は生理学的反応・心理学的反応積算方式(簡便型)による痛みの総合評価を示す。
【0080】
この評価方式は、図5の生理学的反応・心理学的反応積算方式を簡便化したもので、生理学的評価項目A〜Cと心理学的評価項目D〜Eについての反応を、その傾向を表す質的反応を含んだ5段階の評価をするものである。
【0081】
生理学的評価項目は「A 発汗」又は「B 血流」の何れか一方の反応を用い、また心理学的評価項目は「D 痛みの段階評価」及び「E 痛みの言語評価」の何れか一方の反応を採用する。
【0082】
かくして「A 発汗」又は「B 血流」、「C 心電図(LF/HF)」、「D 痛みの段階評価」又は「E 痛みの言語評価」の評価項目について、「×××」の反応が得られたとき、その痛み段階尺度PSSを「無反応」S0段階と評価する。
【0083】
また「○××」の反応が得られたとき、その痛み段階尺度PSSをS1段階とすると共に、その質的反応は「精神性痛み反応」であるとする。
【0084】
また「××○」の反応が得られたとき、その痛み段階尺度PSSをS3段階とすると共に、その質的反応は「感覚性痛み反応」であるとする。
【0085】
また「××○」の反応が得られたとき、痛み段階尺度PSSをS4段階とすると共に、その質的反応は「情動性痛み反応」であるとする。
【0086】
さらに「○○○」の反応が得られたとき、痛み段階尺度PSSをS6段階とすると共に、その質的反応は「評価性痛み反応」とする。
【0087】
かくしてS0、S1、S3、S4及びS6の5段階の痛み段階尺度PSSによって求めるペインスケールが得られる。
【0088】
例えば「B 血流」、「C 心電図(LF/HF)」及び「E 痛みの言語評価」の3項目について、痛み段階の反応が「○○○」であるとき、総合評価の痛み段階尺度PSSはS6段階と評価される。
【0089】
かくして図7の構成によれば、一段と簡易な生理学的反応と心理学的反応とを積算することにより、痛みの質的反応評価を簡便に行うことができる。
【0090】
(1−7)総合評価の結果処理
図1のステップSP7において痛みの総合評価及び当該総合評価結果を得た後、検者は次のステップSP8において、付与した刺激が被検者にとって不都合か否かの判断をする。
【0091】
ここで、検者が不都合であると判断したとき、検者は、ステップSP9において痛み付与条件を変更することにより、被検者に対する不都合を改善するような処理をして上述のステップSP2に戻る。
【0092】
かくして、新たに設定し直した痛み付与条件について、ステップSP2−SP3A及びSP3B−SP4−SP5−SP6−SP7−SP8−SP9の処理ループを繰り返す。
【0093】
やがてステップSP8において、被検者にとって不都合ではないとの判断結果が得られたとき、検者はステップSP10において、当該ステップSP7における痛みの総合評価を記録装置に記録することによりデータバンク化処理をした後、ステップSP11において当該痛み評価処理手順を終了する。
【0094】
図1の痛み評価処理手順RT0によれば、被検者に付与した痛みに対する反応を、生理学的測定として、発汗量、血流量及び心電図による心拍変動解析に基づくLF/HF比を測定すると共に、心理学的測定として、痛みの段階評価及び 痛みの言語評価を測定することにより、被検者の反応を生理学的側面及び心理学的側面から把握する。
【0095】
かくして被検者の痛み反応を一段と適切に把握することができる。
【0096】
これに加えて、当該測定結果を、各測定項目、すなわち発汗量、血流量及びLF/HF比、並びに痛みの段階評価及び痛みの言語評価ごとに設定した痛み判定値との比較によって、「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値化データを得ることにより、各測定項目が多値の反応をもっているにもかかわらず、2値化データとして定量化した。
【0097】
かくして各測定項目を、共通に、「痛み反応1」及び「痛み反応2」の2値化データに揃えることにより、被検者の痛み反応が線形変化しないことに注目して、痛み反応を非線形変化するものとして各項目を評価したことにより、痛み反応から痛みの総合評価ができる条件を整理することができた。
【0098】
その結果、図4の項目加算方式のように、「痛み反応1」の個数を単純に加算することにより、被検者の痛み量を総合評価することができる。
【0099】
また、図5及び図6の生理学的反応・心理学的反応積算方式のように、全ての項目の「痛み反応1」データを積算して(掛け合わせる)痛み段階尺度(PSS)を求めることにより、痛み量のみならず、痛みの質的評価(痛みの「精神性」、「感覚性」、「情動性」及び「評価性」)まで、総合評価することができる。
【0100】
さらに、図7の生理学的反応・心理学的反応積算方式(簡便型)のように、生理学的評価項目及び心理学的評価項目の一部についての反応を積算することにより、一段と簡便に痛みの総合評価をすることができる。
【0101】
(2)実施例
上述の痛み評価方法は、図8に示す美容電気脱毛痛み評価装置1に適用できる。
【0102】
美容電気脱毛装置2は、対極導子3を被検者である被旋術者に握らせた状態で、検者である旋術者が被旋術者の旋術部位の毛包に対してプローブホルダ4の先端に設けられた美容電気脱毛用プローブ5を挿入して動作スイッチ6をオン動作させることにより毛包内に高周波電流及び又は直流電流を通電することにより、毛根組織(毛乳頭)を破壊することで脱毛処理がなされる。
【0103】
かかる美容電気脱毛装置2について美容電気脱毛痛み評価装置1は美容電気脱毛用プローブ5から電流を通電する際に被旋術者に生じた痛み(熱ないし毛包におけるアルカリ性物質の産生による痛み)を評価して、通電量を制御できるようにする。
【0104】
美容電気脱毛痛み評価装置1は被旋術者の指に装着した発汗検出装置11から被旋術者の発汗量信号S1を測定データ入力部21に入力する(上述の痛み評価処理手順RT0(図1)のステップSP3A1に対応する)。
【0105】
また被旋術者の指に装着した血流検出装置12から血流量信号S2を得て測定データ入力部21に入力する(ステップSP3A2に対応する)。
【0106】
さらに被旋術者の手首と足との間に接続された心電図装置13から交感神経成分(LF成分)と副交感成分(HF成分)の比でなる心拍変動比LF/HF信号S3を測定データ入力部21に入力する(ステップSP3A3に対応する)。
【0107】
測定データ入力部21は発汗量検出信号S1、血流量検出信号S2及び心拍変動比LF/HF信号をバッファ記録した後、痛み項目判定部22に入力する(ステップSP4に対応する)。
【0108】
また美容電気脱毛痛み評価装置1は、痛みの段階評価検出装置14を有し、旋術者が通電を受けている被旋術者に対して問診して、図2の6段階のフェイススケール「0」〜「5」のうちの1つを聴き取り入力を操作する又は被施術者が痛みの「段階評価値」を電気信号によって発信して表示させる。例えば、被施術者がある痛みの「段階評価値」以上(例えば「4」以上)と認識した時に限り、電気信号により押しボタン式スイッチを入力することによって表示する又は「0」〜「5」まで表示された選択スイッチを押すことで痛みの数値が入力表示された検出信号S4を痛み項目判定部22に入力する(ステップSP3B1に対応する)。
【0109】
さらに美容電気脱毛痛み評価装置1は、痛みの言語評価検出装置15を有し、旋術者が通電を受けている被旋術者に対して問診して、図3に示すような17項目の言語反応の1つを聴き取って入力手段を操作することにより、痛みの言語評価検出信号S5を痛み項目判定部22の重みづけ回路22Aに入力する(ステップSP3B2に対応する)。
【0110】
重みづけ回路22Aは、痛みの言語評価検出信号の内容が「感覚」、「情動」及び「評価」について5点尺度で反応情報が入力されるのに対して、痛みの心理学的影響を考慮した重み(例えば、「感覚」:「情動」:「評価」=1:2:4の重み)を乗算してその乗算結果を痛みの言語評価検出情報として出力する。
【0111】
かくして痛み項目判定部22には、美容電気脱毛用プローブ5から被検者に通電された電流レベルについての被旋術者の痛みについての反応として、発汗量、血流量、心拍変動比LF/HF、痛みの段階的評価及び重みづけ演算された痛みの言語評価情報が取り込まれる(ステップSP4に対応する)。
【0112】
この実施の形態の場合、美容電気脱毛装置2には、通電電流設定部25から被旋術者に対する刺激条件となる通電電流値を設定するための通電電流設定信号S10が与えられ、この通電電流設定信号S10によって設定された通電電流を美容電気脱毛用プローブ5から被旋術者に付与される(ステップSP1及びSP2に対応する)。
【0113】
痛み項目判定部22には、痛み判定値入力部26から、発汗量に対する痛み判定値「a」、血流量に対する痛み判定値「b」、心拍変動比LF/HFに対する痛み判定値「c」、痛みの段階的評価に対する痛み判定値「d」及び重みづけ回路22Aによって重みづけされた痛みの言語評価に対する痛み判定値「e」が入力され(上述の痛み評価処理手順RT0のステップSP5に対応する)、これにより測定量と痛み判定値とを比較することにより痛み評価を行う(痛み評価処理手順RT0のステップSP6に対応する)。
【0114】
かくして痛み項目判定部22において被旋術者に対して刺激条件として与えられた電流値に対する生理学的測定値である発汗量、血流量及び心拍変動比LF/FHに対する痛み判定値a、b、cとの比較結果が痛み総合評価部27に送出されると共に、心理学的測定量である痛みの段階的評価値及び痛みの言語評価値と痛み判定値d及びeとの比較結果が痛み総合評価部27に入力される。
【0115】
痛み総合評価部27は評価方式選択部28において選択された総合評価方式に基づいて痛み総合評価を行う(痛み評価処理手順RT0のステップSP7に対応する)。
【0116】
評価方式選択部28は、総合評価方式として図4の項目加算方式、又は図5及び図6の生理学的反応・心理学的反応積算方式、又は図7の生理学的反応・心理学的反応積算方式(簡便型)のいずれかを指定する評価方式選択信号S11を痛み総合評価部27に与える。
【0117】
痛み総合評価部27は、これに応じて図4、又は図5、又は図7の痛み判定評価表に従って「痛み反応1」の個数Y又は痛み段階尺度PSSを算出すると共に、これを表示部29(ディスプレイ、プリンタなどである)において表示することにより旋術者が被旋術者に生じた痛みの総合判定結果を確認できるようにする。
【0118】
痛み総合評価部27は当該総合評価結果に基づいて、その痛み段階尺度PSSが被検者にとって不都合か否かの判定をする(痛み評価処理手順RT0のステップSP8に対応する)。
【0119】
かくしてこの美容電気脱毛痛み評価装置1においても、痛み評価処理手順RT0を実行し、痛み総合評価部27は、ステップSP7における痛みの総合評価・表示処理が終了すると、次のステップSP8において当該痛みの総合評価が被検者にとって不都合か否かの判断をし、不都合であるとの判断結果が得られたときステップSP9に移って当該痛み付与条件を変更した後、上述のステップSP2に戻って当該新たな痛み付与条件の下に痛み評価処理を繰り返すようにする。
【0120】
すなわち、痛み総合評価部27は当該痛み総合評価結果に基づいて、これが被旋術者に対して不都合であるか否かの判断をし、不都合である場合には通電電流設定変更部30に対して通電電流値変更指令信号S12を与え、これにより通電電流設定変更部30が通電電流変更制御信号S13を美容電気脱毛装置2に与える。
【0121】
このとき美容電気脱毛装置2は美容電気脱毛用プローブ5から被旋術者に付与する刺激としての通電電流値を適正な値に変更する(痛み評価処理手順RT0のステップSP8−SP9−SP2のループに対応する)。
【0122】
これに対して痛み総合評価部27は、痛み総合評価結果が妥当であるときには、当該痛み評価結果を表す評価データを評価データ蓄積部31に蓄積することにより、データバンクに登録する(痛み評価処理手順RT0のステップSP8−SP10−SP11のループに対応する)。
【0123】
以上の構成によれば、美容電気脱毛装置2によって被旋術者に対する美容電気脱毛旋術を行う前に、美容電気脱毛痛み評価装置1によって、被旋術者が通電電流による痛みについて生理学的かつ心理学的な反応をしたことを、定量的な値として把握することにより、妥当か否かを合理的に判断することができる。
【0124】
これにより被旋術者に対する通電電流や通電方法の変更などを適応的に変更できることにより、被旋術者に対して一段と痛みが少ない、優しくかつ安全性の高い美容電気脱毛旋術を行うことができる。
【0125】
またこれにより所定の旋術時間内に従来よりも続けて多数の毛包に対する脱毛旋術を行うことができることにより、被旋術者及び旋術者共に一段と実効性の大きい脱毛旋術を行うことができる。
【0126】
(3)他の実施例
(3−1)他の身体外部からの痛覚刺激への適用
図1について上述した本発明による痛み評価処理手順RT0は、他の身体外部からの痛覚刺激、例えば鍼、薬物、圧力、振動などによる痛み評価をする場合にも適用できる。
【0127】
(3−1−1)鍼による通電では、長時間の旋術が行われ、痛みを敏感に感じる被旋術者にとっては、痛みそのものよりも不安と離脱感を強く受ける。
【0128】
そこで本発明による痛み評価処理手順RT0を用いれば、旋術者側よりも被旋術者側に立った旋術を行うことができる。
【0129】
また安全性の観点からも被旋術者にとって一段と有効な痛みツールとなる。
【0130】
(3−1−2)注入や服用などにより身体に外部から薬物を与える方法は多く実用されているが、痛みの心理学的かつ生理学的に、総合的な痛み評価方法が従来存在していないので、本発明による痛み評価処理手順RT0を適用すれば、患者に多大な利益をもたらす。
【0131】
例えば歯科治療への応用、癌患者への薬物利用への応用、運動後の薬物利用への痛み評価の適用など、医療や健康などへの効果が期待できる。
【0132】
この応用例としては、個人に適した薬物の取り込み方法(オーダメイドインテイク)への確立が可能となる。
【0133】
(3−1−3)圧力による痛みの評価への適用
短時間の打撃により受ける圧力、長時間にわたって受ける機械的圧力など、圧力により発生する痛みの評価は、痛みの認知という心理学的な評価がもっぱらなされてきたが、本発明による痛み評価処理手順RT0を適用すれば、「段階尺度」によって痛みを定量的に評価ができる。
【0134】
その結果、身体外部から付与される圧力レベルや、振動レベルを評価することができるので、圧力を受ける人に快適な振動レベルを付与することができる。
【0135】
この応用は、入浴や起床を容易にするベッドや、個人の感性に適した椅子への応用や、肩や腰を揉む機器への応用が可能である。
【0136】
(3−2)身体内で発生する痛みへの適用
内臓や神経において、痛み物質(例えばブラジキニンなど)により発生した頭痛、腹痛、筋肉痛などを経験するが、それらの痛みの評価は主観的評価がされてきた。
【0137】
かかる評価をする際に、本発明を適用すれば、より正確に痛みの段階評価が行われることにより本人と医療従事者とが痛みの程度を互いに共通認識として把握することができる。
【0138】
この共通認識を応用すれば、痛みへの対処法を適格に実施できることにより、薬物、リハビリ、運動量などのケアを効果的に実施できる。
【0139】
(3−3)痛み評価の多面的利用
痛みは、労働、運動、リクリエーションなど多くの場面で日常的に発生する。
【0140】
痛みが発生した場合に、客観的に評価する方法として本発明を適用すれば、労働や健康へのケアが適格かつ無理なく実施できる。
【0141】
また近年急速に発展してきた市場にエステ産業や癒し産業があるが、エステでは脱毛や美顔のために通電やレーザー光照射などによる痛みが発生する。
【0142】
癒し産業では、ロボットが利用されるようになり、介護ペット、ペットロボットなどに代表される機器や器具が市販されているが、これらは使用を誤ると身体に苦痛を発生させる。
【0143】
機器や器具により痛みが発生した場合に、本発明を適用することにより、痛みの定量的評価を適確に行うようにすれば、迅速な機器や器具の改善を行うと共に、事故に発展するケースを未然に防止できる。
【0144】
(4)変形例
(4−1)図1の痛み評価処理手順RT0においては、ステップSP5の痛み判定値設定処理の際に、1つの痛み判定値を設定するようにしたが、これに代え、2以上の痛み判定値を用いるようにしてもよい。
【0145】
(4−2)図8の実施例においては、心電図装置13を用いて心拍変動解析に基づく交感神経成分(LF成分)と副交感神経成分(HF成分)との比を算出するようにしたが、これに代え、被旋術者の指から脈波を検出する脈波検出装置を用いて脈波を検出し、当該検出結果を用いて心拍変動解析を行うようにしてもよい。
【0146】
(4−3)図8の美容電気脱毛痛み評価装置1において、痛みの言語評価検出装置15を用いて、旋術者が被旋術者に問診した結果得られる言語反応を旋術者が入力手段を用いて入力するようにしたが、これに代え、音声入力装置を用いて被旋術者が直接言語入力をすることにより痛みの言語評価検出信号を得るようにしてもよい。
【0147】
(4−4)図8の美容電気脱毛痛み評価装置1においては、痛み総合評価部27から得られる痛み総合評価信号S12に基づいて通電電流設定変更部30を介して通電電流変更制御信号S13を得るようにしたが、これに代え、痛み総合評価部27の痛み総合評価結果が表示部29に表示されたとき、旋術者が目視確認して当該旋術者の判断に従って、手動入力手段を用いて、通電電流制御信号S13を入力するようにしてもよい。
【0148】
(4−5)上述の実施の形態及び実施例においては、生理学的評価項目として、「発汗量」、「血流量」及び「心拍変動解析」に基づくLF/HF比を適用した場合について述べたが、例えば「脳内電位反応」などのように、痛みに反応する他の生体情報の項目を用いるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0149】
身体に生ずる痛みを定量的評価をする場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の一実施の形態による痛み評価処理手順を示すフローチャートである。
【図2】痛みの段階評価「フェイススケール(FS)」の説明に供する略線図である。
【図3】痛みの言語評価の説明に供する図表である。
【図4】項目加算方式による痛みの判定評価の説明に供する図表である。
【図5】生理学的反応・心理学的反応積算方式による痛みの判定評価の説明に供する図表である。
【図6】図5の質的反応の説明に供する図表である。
【図7】生理学的反応・心理学的反応積算方式(簡便型)の痛みの判定評価の説明に供する図表である。
【図8】本発明の一実施例である美容電気脱毛痛み評価装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0151】
1……美容電気脱毛痛み評価装置、2……美容電気脱毛装置、3……対極導子、4……プローブホルダ、5……美容電気脱毛用プローブ、6……動作スイッチ、11……発汗検出装置、12……血流検出装置、13……心電図装置、14……痛みの段階評価検出装置、15……痛みの言語評価検出装置、21……測定データ入力部、22……痛み項目判定部、22A……重みづけ回路、25……通電電流設定部、26……痛み判定値入力部、27……痛み総合評価部、28……評価方式選択部、29……表示部、30……通電電流設定変更部、31……評価データ蓄積部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛みを付与した被検者からの生理学的反応として、発汗量、血流量及び脈拍変動解析に基づくLF/HF比を測定すると共に、上記痛みを付与した被検者からの心理学的反応として、痛みの段階評価及び痛みの言語評価を測定する測定ステップと、
上記生理学的反応及び上記心理学的反応についての上記測定の結果をそれぞれ痛み判定値と比較することによりそれぞれ「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値データでなる痛み評価データを生成する痛み評価ステップと、
上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データに基づいて痛みの総合評価データを生成する痛み総合評価ステップと
を具えることを特徴とする痛み評価方法。
【請求項2】
痛みを付与した被検者からの生理学的反応として、発汗量、血流量及び心拍変動解析に基づくLF/HF比の少なくともいずれか1つを測定結果とすると共に、上記痛みを付与した被検者からの心理学的反応として、痛みの段階評価及び痛みの言語評価の少なくともいずれか1つを測定結果とする測定ステップと、
上記生理学的反応及び上記心理学的反応についての上記測定結果をそれぞれ痛み判定値と比較することによりそれぞれ「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値データでなる痛み評価データを生成する痛み評価ステップと、
上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データに基づいて痛みの総合評価データを生成する痛み総合評価ステップと
を具えることを特徴とする痛み評価方法。
【請求項3】
上記痛み総合評価ステップにおいて、上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データの内容を組み合せることにより、痛み段階の質的内容を評価する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の痛み評価方法。
【請求項4】
美容電気脱毛のための電流を通電した被検者からの生理学的反応として、発汗量、血流量及び心拍変動解析に基づくLF/HF比を測定すると共に、上記痛みを付与した被検者からの心理学的反応として、痛みの段階評価及び痛みの言語評価を測定する測定手段と、
上記生理学的反応及び上記心理学的反応についての上記測定の結果をそれぞれ痛み判定値と比較することによりそれぞれ「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値データでなる痛み評価データを生成する痛み評価手段と、
上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データに基づいて痛みの総合評価データを生成する痛み総合評価手段と
を具えることを特徴とする美容電気脱毛痛み評価装置。
【請求項5】
美容電気脱毛のための電流を通電した被検者からの生理学的反応として、発汗量、血流量及び心拍変動解析に基づくLF/HF比の少なくともいずれか1つを測定結果とすると共に、上記痛みを付与した被検者からの心理学的反応として、痛みの段階評価及び痛みの言語評価の少なくともいずれか1つを測定結果とする測定手段と、
上記生理学的反応及び上記心理学的反応についての上記測定結果をそれぞれ痛み判定値と比較することによりそれぞれ「痛み反応1」又は「痛み反応2」の2値データでなる痛み評価データを生成する痛み評価手段と、
上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データに基づいて痛みの総合評価データを生成する痛み総合評価手段と
を具えることを特徴とする美容電気脱毛痛み評価装置。
【請求項6】
上記痛み総合評価手段において、上記生理学的反応についての痛み評価データ及び上記心理学的反応についての痛み評価データの内容を組み合せることにより、痛み段階の質的内容を評価する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の美容電気脱毛痛み評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−261779(P2009−261779A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117333(P2008−117333)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【出願人】(000105707)TBCグループ株式会社 (8)
【出願人】(803000045)株式会社キャンパスクリエイト (41)
【Fターム(参考)】