説明

発光ユニット及び該発光ユニットを備える情報標示体

【課題】発光基板と制御基板との接続作業を容易にすることでコストを抑えることができ、しかも、発光基板と制御基板との間の領域を含む全体を所謂防湿コーティング処理することで、耐久性を向上させることができる発光ユニット及び発光ユニットを備える情報標示体を提供する。
【解決手段】一方の面31aに発光体311が実装される発光基板31と、一方の面32aに前記発光体311の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板32とを備え、前記発光基板31の他方の面31b又は前記制御基板32の他方の面32bの何れか一方には、雄接続体9が実装されており、何れか他方には、前記雄接続体9に嵌合可能な雌接続体8が実装されており、発光基板31と制御基板32とは、前記雄接続体9と雌接続体8とが嵌合することによって、電気的且つ機械的に接続されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLED等の発光体を備える発光ユニット、及び該発光ユニットを備える情報標示体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばLED等の発光体を備える発光ユニットとしては、一方の面に発光体が実装される発光基板と、一方の面に前記発光体の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板とを備え、発光基板と制御基板とは、金属製の導電部材(例えば、ピンヘッダー等)を両基板の他方の面間に跨るようにはんだ実装することによって、電気的且つ機械的に接続されたものが知られている。
【0003】
かかる発光ユニットは、例えば道路情報等を標示するための情報標示体として利用される場合がある。この場合、外気に含まれる湿気や温度差による結露等によって発光ユニットが錆びたり腐食したり或いは短絡したりするのを防止するため、当該湿気や結露等にかかる水分の付着を防止する所謂防湿コーティング処理が発光ユニットに施される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発光ユニットにあっては、発光基板と制御基板とを接続するに際して、前記導電部材を両基板の他方の面間にはんだ実装するため、作業が煩雑で製造に時間がかかりコストが高くなる。
【0005】
また、発光基板と制御基板とを前記導電部材を介して電気的且つ機械的に接続した後に、所謂防湿コーティング処理を施すため、発光基板と制御基板との間の領域を十分にコーティングすることができず、従って耐久性が悪くなる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みてなされ、発光基板と制御基板との接続作業を容易にすることでコストを抑えることができ、しかも、発光基板と制御基板との間の領域を含む全体を所謂防湿コーティング処理することで、耐久性を向上させることができる発光ユニット及び発光ユニットを備える情報標示体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る発光ユニットは、一方の面に発光体が実装される発光基板と、一方の面に前記発光体の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板とを備え、前記発光基板の他方の面又は前記制御基板の他方の面の何れか一方には、雄接続体が実装されており、何れか他方には、前記雄接続体に嵌合可能な雌接続体が実装されており、発光基板と制御基板とは、前記雄接続体と雌接続体とが嵌合することによって、電気的且つ機械的に接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
該構成の発光ユニットにあっては、発光基板の他方の面又は制御基板の他方の面の何れか一方に雄接続体が、何れか他方に雌接続体が各々実装されており、前記雄接続体と雌接続体とは嵌合可能となっているので、雄接続体と雌接続体とを嵌合すれば、はんだ実装作業を要さずに発光基板と制御基板とを電気的且つ機械的に接続することができる。
【0009】
また、発光基板と制御基板とをそれぞれ別個に所謂防湿コーティング処理してそれぞれの基板の一方の面及び他方の面をコーティングした後に、雄接続体と雌接続体とを嵌合して発光基板と制御基板とを電気的且つ機械的に接続することができるので、発光基板と制御基板との間の領域を含む全体をコーティングすることができる。
【0010】
また、本発明に係る情報標示体は、内部に収納部を有する情報標示本体と、前記収納部に収納され発光体を有する発光ユニットとを備え、前記発光ユニットは、一方の面に発光体が実装される発光基板と、一方の面に前記発光体の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板とを備え、前記発光基板の他方の面には、雄接続体又は雌接続体が実装されており、前記制御基板の他方の面には、前記雄接続体又は雌接続体に嵌合可能な雌接続体又は雄接続体が実装されており、発光基板と制御基板とは、前記雄接続体と雌接続体とが嵌合することによって、電気的且つ機械的に接続されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に係る発光ユニット及び情報標示体にあっては、発光基板の他方の面又は制御基板の他方の面の何れか一方に雄接続体が、何れか他方に雌接続体が各々実装されており、前記雄接続体と雌接続体とは嵌合可能となっているので、発光基板と制御基板とをそれぞれ別個に所謂防湿コーティング処理してそれぞれの基板の一方及び他方の面をコーティングした後に、雄接続体と雌接続体とを嵌合して発光基板と制御基板とを電気的且つ機械的に接続することができる結果、発光基板と制御基板との接続作業を容易にしてコストを抑えることができ、しかも、発光基板と制御基板との間の領域を含む全体を所謂防湿コーティング処理することができて耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る発光ユニット及び該発光ユニットを備える情報標示体の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(A)及び(B)に、本実施形態における情報標示体1が示されている。該情報標示体1は、例えば、通行人等に対し道路交通情報や注意喚起等の様々な標示をすべく、道路に立設された支柱(図示しない)に取り付けられるものである。
【0013】
この情報標示体1は、内部に収納部7を有する情報標示本体2と、該情報標示本体2の収納部7に収納可能に構成される発光ユニット3とを備える。情報標示本体2は、図1(B)に示すように、前面が開口した本体部4と、該本体部4の開口を開閉する蓋部5とを備える。
【0014】
本体部4は、例えばアルミニウム合金で構成されており、矩形状に構成される枠体41と、該枠体41の後面を閉塞する閉塞板42とを備えてなる。従って、本体部4は、その前面側が開口されており、後面側が閉塞されている。また、本体部4には、前記収納部7と外部とを連通する換気孔43が設けられている。具体的には、換気孔43は、枠体41に設けられており、外部と収納部7とを枠体41の内部を介して連通している。
【0015】
蓋部5は、例えばアルミニウム合金にて矩形状に構成される枠体51と、該枠体51の前面側を閉塞する例えばポリカーボネイト樹脂からなる窓板52とを備えてなる。従って、蓋部5は、その前面側が閉塞されており、後面側が開口している。かかる蓋部5は、その枠体51が本体部4の枠体41にヒンジ6を介して回動可能に取り付けられており、該ヒンジ6を中心に回動することによって本体部4の開口を閉塞する。尚、本体部4と蓋部5とで囲まれる領域(即ち、情報標示本体2の内部)が収納部7となっている。また、蓋部5の縦及び横の長さは、本体部4の縦及び横の長さよりも若干大きくなっている。
【0016】
発光ユニット3は、図2に示すように、一方の面31aに発光体311が実装される発光基板31と、一方の面32aに前記発光体311の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板32とを備え、発光基板31と制御基板32とが各々の他方の面31b,32b同士を対向させて電気的且つ機械的に接続されるように構成されている。この発光ユニット3は、図1(B)に示すように、情報標示本体2の収納部7に収納可能に構成されており、本実施形態では、蓋部5の枠体51の内側に取り付けられるように構成されている。従って、発光ユニット3は蓋部5の回動に伴って回動する。より詳細には、発光ユニット3は、枠体51で囲まれる領域に対応した大きさとなっており、前記領域全体に亘るように枠体51の内側に取り付けられる。尚、本実施形態においては、図2に示すように、発光基板31は4枚用意されており、それぞれの一方の面31aが面一となるように隣接させた状態で、各々が1枚の制御基板32に接続される。
【0017】
図3に示すように、発光基板31の一方の面としての実装面31aには、複数の発光体311が実装されている。具体的には、複数の発光体311としての複数のLED311が、それぞれの照射方向が前記実装面31aに対して垂直且つ外向きとなるように、実装面31aにはんだ実装されている。尚、LED311の個数及び配置は、必要に応じて適宜決定することができる。
【0018】
また、発光基板31の他方の面としての接続面31bには、雌接続体8が実装されている。本実施形態では、接続面31bには、コネクタを構成する凹部材としてのソケット8が所定の配置にて複数はんだ実装されて立設されている。
【0019】
尚、LED311及びソケット8のはんだ実装は、手はんだにて行うこともできるが、はんだ付け用の機械によって自動で行う方が高効率で好ましい。また、ソケット8の個数及び配置については、電気通信配線や機械的強度等に応じて適宜決定することができる。
【0020】
また、LED311及びソケット8が実装された発光基板31は、その実装面31a側及び接続面31b側を含む全体が所謂防湿コーティング処理されている。ここで、防湿コーティング処理とは、被処理体が湿気や水滴等の水分によって錆びたり腐食したりしないように、被処理体に湿気や水滴等の水分が付着し難くなるようにする処理をいう。具体的には、防湿コーティング処理は、溶剤に防湿剤を混合した防湿液を被処理体に塗布する処理をいう。
【0021】
図4に示すように、制御基板32の一方の面としての実装面32aには、前記発光体311の点灯を制御するための電子部品321〜329が実装されている。具体的には、前記実装面32aには、例えば電源用コネクタ321、表示信号入力用コネクタ322、表示信号出力用コネクタ323、表示データ入力用コネクタ324、JTAG用コネクタ325、照度センサ326、プログラム切替スイッチ327、標示パターン切替スイッチ328、夜輝度切替スイッチ329等がはんだ実装されている。
【0022】
また、制御基板32の他方の面としての接続面32bには、前記雌接続体8に接続可能な雄接続体9が実装されている。具体的には、接続面32bには、前記ソケット8との間で電気通信的且つ機械的接続をなすためのコネクタの凸部材としてのプラグ9が前記ソケット8の配置に対応した配置にて複数はんだ実装されて立設されている。本実施形態においては、上述のように、4枚の発光基板31が1枚の制御基板32に接続されるので、制御基板32には、全ての発光基板31各々のソケット8に対応する位置にプラグ9がそれぞれ配置されている。
【0023】
尚、各種電子部品321〜329及びプラグ9のはんだ実装は、手はんだにて行うこともできるが、公知のはんだ付け用の機械によって自動で行う方が高効率で好ましい。また、プラグ9の個数及び配置については、前記ソケット8の個数及び配置に対応して適宜決定する。
【0024】
また、電子部品321〜329及びプラグ9が実装された制御基板32は、その実装面32a側及び接続面32b側を含む全体がそれぞれ防湿コーティング処理されている。
【0025】
かかる発光基板31と制御基板32とは、互いの接続面31b,32b同士を対向させた状態で電気通信的且つ機械的に接続される。具体的には、発光基板31と制御基板32とは、図2に示すように、発光基板31の各ソケット8に制御基板32の各プラグ9を嵌め込むことによって、両基板31,32間に所定幅の隙間を形成するように機械的に接続され、且つ、制御基板32から発光基板31へLED311の点灯信号がわたるように電気通信的に接続される。尚、本実施形態においては、発光基板31と制御基板32との間の隙間にスペーサ10が設けられており、該スペーサ10に各基板31,32をネジ止めしている。これにより、両基板31,32の間の隙間が確保されると共にソケット8やプラグ9に不用意に力がかからず、更に、両基板31,32間の接続を強固なものとすることができる。
【0026】
次に、発光体311ユニットの製造方法について説明する。
まず、発光基板31の実装面31aにLED311を、接続面31bにソケット8をそれぞれ実装する。また、制御基板32の実装面32aに各種電子部品321〜329を、接続面32bにプラグ9をそれぞれ実装する。そして、LED311及びソケット8が実装された発光基板31と、各種電子部品321〜329及びプラグ9が実装された制御基板32とを、それぞれ別個に防湿コーティング処理する。そして、発光基板31の防湿コーティング処理と制御基板32の防湿コーティング処理とをした後に、ソケット8とプラグ9とを嵌合させて発光基板31と制御基板32とを電気通信的且つ機械的に接続する。
【0027】
以上のような構成の発光ユニット3及び該発光ユニット3を備える情報標示体1にあっては、発光基板31の接続面31bに雌接続体8としてのソケット8が実装され、制御基板32の接続面32bに雄接続体9としてのプラグ9が実装されており、ソケット8とプラグ9とを互いに嵌合させて両基板31,32を電気通信的且つ機械的に接続可能に構成されているので、かかるソケット8とプラグ9とを嵌合すれば、はんだ実装作業を要さずに発光基板31と制御基板32とを電気通信的且つ機械的に接続することができる。故に、発光基板31と制御基板32との接続作業が容易となってコストを抑えることができる。
【0028】
また、LED311及びソケット8が実装された発光基板31と、電子部品321〜329及びプラグ9が実装された制御基板32とを、互いに接続する前に、それぞれ個別に防湿コーティング処理するので、発光基板31の実装面31a側だけでなく接続面31b側も十分にコーティングすることができ、制御基板32の実装面32a側だけでなく接続面32b側も十分にコーティングすることができる。従って、発光基板31と制御基板32とを接続した状態の発光ユニット3の外面側だけでなく両基板31,32の間の隙間についても十分にコーティングすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0029】
更に、発光ユニット3は、前記蓋部5の枠体51の内側に取り付けられ、本体部4には、換気孔43が設けられているので、制御基板32の実装面32a側、即ち、発光基板31及び制御基板32を介してLED311とは反対側にて収納部7内の換気を行なうことができる。よって、外部から収納部7へ入ってきた外気に含まれる塵等がLED311に付着し難い。
【0030】
また更に、発光ユニット3は、前記枠体51で囲まれる領域に対応した大きさであり、前記領域全体に亘るように枠体51の内側に取り付けられているので、LED311への塵等の付着を効果的に抑制することができる。
【0031】
尚、本実施形態においては、発光基板31の接続面31bに雌接続体8としてのソケット8が実装され、制御基板32の接続面32bに雄接続体9としてのプラグ9が実装されている場合について説明したが、これに限らず、発光基板31の接続面31bにプラグ9が実装され、制御基板32の接続面32bにソケット8が実装されている場合であってもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、4枚の発光基板31を1枚の制御基板32に接続する場合について説明したが、これに限らず、1枚の発光基板31を1枚の制御基板32に接続する場合であってもよい。また、制御基板32を複数枚用いることもできる。
【0033】
更に、本実施形態においては、情報標示本体2が本体部4に蓋部5を回動可能に取り付けることによって構成される場合について説明したが、これに限らず、蓋部5を、本体部4の前面開口を閉塞するように本体部4に取付固定する場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る情報標示体の一実施形態を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は(A)のA−A線断面拡大図。
【図2】本発明に係る発光ユニットの一実施形態を示す正面図、側面図、及び背面図。
【図3】同発光ユニットの発光基板を示す正面図、側面図、及び背面図。
【図4】同発光ユニットの制御基板を示す正面図、側面図、及び背面図。
【符号の説明】
【0035】
1…情報標示体、2…情報標示本体、3…発光ユニット、4…本体部、5…蓋部、6…ヒンジ、7…収納部、8…雌接続体(ソケット)、9…雄接続体(プラグ)、10…スペーサ、31…発光基板、31a…発光基板の一方の面(実装面)、31b…発光基板の他方の面(接続面)、32…制御基板、32a…制御基板の一方の面(実装面)、32b…制御基板の他方の面(接続面)、41…本体部の枠体、42…閉塞板、43…換気孔、51…蓋部の枠体、52…窓板、311…発光体、321…電源用コネクタ、322…表示信号入力用コネクタ、323…表示信号出力用コネクタ、324…表示データ入力用コネクタ、325…JTAG用コネクタ、326…照度センサ、327…プログラム切替スイッチ、328…標示パターン切替スイッチ、329…夜輝度切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に発光体が実装される発光基板と、一方の面に前記発光体の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板とを備え、
前記発光基板の他方の面又は前記制御基板の他方の面の何れか一方には、雄接続体が実装されており、何れか他方には、前記雄接続体に嵌合可能な雌接続体が実装されており、発光基板と制御基板とは、前記雄接続体と雌接続体とが嵌合することによって、電気的且つ機械的に接続されるように構成されていることを特徴とする発光ユニット。
【請求項2】
内部に収納部を有する情報標示本体と、前記収納部に収納され発光体を有する発光ユニットとを備え、前記発光ユニットは、一方の面に発光体が実装される発光基板と、一方の面に前記発光体の点灯を制御するための電子部品が実装される制御基板とを備え、
前記発光基板の他方の面又は前記制御基板の他方の面の何れか一方には、雄接続体が実装されており、何れか他方には、前記雄接続体に嵌合可能な雌接続体が実装されており、発光基板と制御基板とは、前記雄接続体と雌接続体とが嵌合することによって、電気的且つ機械的に接続されるように構成されていることを特徴とする情報標示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−86569(P2009−86569A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259474(P2007−259474)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】