説明

発光機能を有する押ボタンスイッチ

【課題】発光機能を有する押釦スイッチの高さを低くし、薄型にすることである。
【解決手段】着色半透明の押釦1と、押釦の裏面側に固着された光拡散板2と、押釦を押動可能に保持したケース3と、光拡散板と対向する表面に発光体4が表面実装され、裏面に発光素子5aと受光素子5bとが所定間隔で対向して配設されたフォトインタラプタ5を備えてケースに固着された配線基板6と、押釦を押動することによってフォトインタラプタの発光素子と受光素子との間の光が遮光または投光されるように設けた遮光部材7と、遮光部材と共に押釦が押し戻されるスプリング8と、によって構成され、押釦と遮光部材は、配線基板を、押釦の移動方向にその両側から挟むように連結して配設されており、フォトインタラプタの発光素子と受光素子との間に光を投光させることによって、または光を遮光することによって、発光体を発光させるようにした発光機能を有する押釦スイッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンスイッチの前面が、押ボタンスイッチに接続された電気回路の動作時あるいは非動作時に発光する、発光機能を有する押ボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略円筒形のケースと、この略円筒形のケースの一端に嵌挿され、このケースの他端方向に沿って所定距離にわたり摺動自在であり、かつ、透光性を有する材料からなるボタンと、このボタンとともに移動して前記ボタンの押圧をスイッチ機構に伝達する可動板と、前記ボタンおよび可動板を前記ケースの一端方向に付勢するコイルばねと、このコイルばねを支持するとともに、照光機構および前記スイッチ機構とを備えた基板と、前記ケースの他端に係合され、前記基板を固定支持する底部カバーとを備えたことを特徴とする照光型押しボタンスイッチが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−173725公報(要約参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示された照光型押しボタンスイッチは、前記透光性を有するボタンから底部カバーまでの間隔(厚さ)が大きくなる問題があった。
そこで、本発明は、各構成部材がワンタッチで組み立て可能になっており、かつ、表面に発光体が表面実装され、裏面に発光部と受光部とを対向させたフォトインタラプタが取り付けられた配線基板を、その表裏から跨ぐように、表側の半透明着色面の裏面側に光拡散板を有する押しボタンが配設され、裏面側にフォトインタラプタの発光部と受光部の間の光を、遮光または投光させる遮光部材が配設されたものが、前記配線基板の表面側および裏面側に連動移動して、スイッチのON/OFF時に、半透明着色面が発光するようにした薄型の、光機能を有する押しボタンスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、着色半透明の押ボタン(1)と、この押ボタン(1)の裏面側に固着された光拡散板(2)と、前記押ボタン(1)を押動可能に保持したケース(3)と、前記光拡散板(2)と対向する表面に発光体(4)が表面実装され、裏面に発光素子(5a)と受光素子(5b)とが所定間隔で対向して配設されたフォトインタラプタ(5)を備え、前記ケース(3)に固着された配線基板(6)と、前記押ボタン(1)を押動することによって前記フォトインタラプタ(5)の発光素子(5a)と受光素子(5b)との間の光が遮光または投光されるように設けた遮光部材(7)と、この遮光部材(7)と共に前記押ボタン(1)が押し戻されるスプリング(8)と、によって構成され、前記押ボタン(1)と遮光部材(7)は、前記配線基板(6)を、押ボタン(1)の移動方向にその両側から挟むように連結して配設されており、前記フォトインタラプタ(5)の発光素子(5a)と受光素子(5b)との間に光を投光させることによって、または光を遮光することによって、前記発光体(4)を発光させるようにしたことを特徴とする発光機能を有する押ボタンスイッチとしたものである。
【0005】
また、請求項2に係る発明は、前記押ボタン(1)は、合成樹脂製で、半透明着色面(1a)と筒状部(1b)とで形成され、この筒状部(1b)には、前記半透明着色面(1a)の内側近傍に光拡散板(2)が係止される段部(1c)と、前記遮光部材(7)に形成した係合爪(7a)が係合する係合孔(1d)とが形成され、前記遮光部材(7)は、合成樹脂製で、その中央部に遮光部(7b)が形成され、四隅に、前記押ボタン(1)の筒状部(1b)に形成した係合孔(1d)に係合する係合爪(7a)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押ボタンスイッチとしたものである。
【0006】
また、請求項3に係る発明は、前記遮光部材(7)の係合爪(7a)は、前記ケース(3)に固定された配線基板(6)を跨ぐように前記押ボタン(1)の側に延び、前記押ボタン(1)の係合孔(1d)に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押ボタンスイッチとしたものである。
【0007】
また、請求項4に係る発明は、前記スプリング(8)は、前記遮光部材(7)と合成樹脂製のケース(3)の合成樹脂製の底蓋(9)との間に縮設され、前記底蓋(9)に形成した係合爪(9a)が前記ケース(3)に形成した係合孔(3a)に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押ボタンスイッチとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
発光機能を有する押ボタンスイッチは、請求項1に係る発明のように構成することによって、発光機能を有する押ボタンスイッチの高さを低くし、薄型にすることができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明のように構成することによって、前記押ボタンと遮光部材とを、ワンタッチで連結して配設することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明のように構成することによって、前記押ボタンと遮光部材は、前記配線基板を、押ボタンの移動方向にその両側から挟むようにワンタッチで連結して配設することができる。
【0011】
また、請求項4に係る発明のように構成することによって、前記遮光部材とケースの底蓋との間に、前記スプリングをワンタッチで縮設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの第1の実施の形態を示す縦断面図、図2は同縦断斜視図、図3は同分解斜視図、図4は押ボタンスイッチを組み立てた状態の斜視図、図5の(a)は後記する遮光部材を押ボタンスイッチに組み立てる前の下方から見た斜視図で、(b)は組み立てた状態の同斜視図、図6の(a)は後記するスプリングを嵌合して底蓋を押ボタンスイッチに嵌合する前の斜視図で、(b)は底蓋を嵌合した状態の同斜視図であり、これらの図面および適宜図7以下の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に係る発光機能を有する押ボタンスイッチは、図1乃至図3に示すように、例えば、赤色に着色した着色半透明の押ボタン1の裏面側の筒状部1bの段部1cに光拡散板2が固着されている。また、押ボタン1を押動可能に保持したケース3に配線基板6が固定されている。この配線基板6には、前記光拡散板2と対向する表面に、脚の無い発光体4が表面実装され、裏面に発光素子5aと受光素子5bとが所定間隔で対向して配設されたフォトインタラプタ5が取り付けられている。また、前記押ボタン1を押動することによって、これと連動して、前記フォトインタラプタ5の発光素子5aと受光素子5bとの間の光を遮光または投光し得る遮光部7bを有する遮光部材7が設けられている。また、この遮光部材7と共に前記押ボタン1を押し戻すスプリング8が、この遮光部材7と底蓋9との間に縮設されている。
【0014】
そして、前記押ボタン1と遮光部材7は、前記配線基板6を、押ボタン1の移動方向にその両側から挟むように連結して配設されており、前記フォトインタラプタ5の発光素子5aと受光素子5bとの間に光を投光することによって、または光を遮断することによって、前記発光体4を発光させるように、または発光体4の発光を消すようにしたものである。
【0015】
図1、図2および図9に示すように、前記半透明着色面1aを有する押ボタン1の筒状部1bに形成した段部1cに、前記光拡散板2を係合させて固着されている。図9の(a)は光拡散板2を押ボタン1の筒状部1bに係合させる前の状態を下方から見た斜視図で、(b)は光拡散板2を押ボタン1の筒状部1bに係合させた状態の斜視図である。
【0016】
また、図1および図2に示すように、前記押ボタン1は合成樹脂製のケース3に押動可能に設けられている。また、ケース3の載置面3b(図3、図7参照)に前記配線基板6が固着されている。図3および図7の(a)は、ケース3の載置面3bに配線基板6を固着する前の状態を示す斜視図であり、この配線基板6は、前記載置面3bに形成された位置決め突起3cで位置決めされて載置され、ネジ孔3dにネジ10を締め付けて固定される。この配線基板6の前記光拡散板2と対向する表面に脚の無い発光体4(この実施の形態では発光ダイオード)が表面実装され、裏面に発光素子5aと受光素子5bとが所定間隔で対向して配設されたフォトインタラプタ5(図1および図2参照)が取り付けられている。このフォトインタラプタ5は、前記ケース3の載置面3bに穿設された貫通孔3e(図1、図2、図3、図7の(a)参照)から図において下方に挿通されている。前記のように、配線基板6に発光体4を表面実装することにより、押ボタン1に有する光拡散板2と配線基板6との間を狭くし、その結果として、発光機能を有する押ボタンスイッチの高さを低くし、薄型にすることができる。
【0017】
図7の(a)はケース3の載置面3bに配線基板6を取り付ける前の斜視図で、同(b)は取り付けた状態の斜視図であり、同(c)は取り付けた状態の下方から見た斜視図である。図8の(a)はケース3の載置面3bに配線基板6をネジ10で固定する前の斜視図で、同(b)はネジ止め固定した状態の斜視図である。
【0018】
図10に示すように、前記フォトインタラプタ5の発光素子5aと受光素子5bとの間の光を、遮光または投光させる合成樹脂製の遮光部材7が形成されている。この遮光部材7は、その平面部7cの四隅に係合爪7aが形成されており、この係合爪7aが、図3、図5、および図11に示すように、前記配線基板6を図において下方から跨ぐように前記押ボタン1の側に伸びて配設され、この係合爪7aが前記押ボタン1の筒状部1bに形成した係合孔1d(図3および図9参照)に合成樹脂の弾性によってワンタッチで係合されるようになっている。図3および図5の(a)は前記係合爪7aが係合孔1dに係合する前の状態を示す。
【0019】
図11の(a)は前記係合爪7aが配線基板6を下方から跨ぐように前記押ボタン1の側に伸びる途中の状態を、同(b)は係合爪7aが配線基板6を下方から跨ぐように伸びた状態を示す。そして、この図11の(b)に示す状態で、押ボタン1を上方から嵌合すると、前記のように、前記係合爪7aが前記押ボタン1の筒状部1bに形成した係合孔1dにワンタッチで係合される。また、係合爪7aは、その先端部が鉤状になっており、これが係合孔1dにワンタッチで係合した後は、容易に外れないようになっている。
【0020】
また、図10に示すように、前記遮光部材7の平面部7cの中央部に、下方へ突出した遮光部7bが形成されている。この遮光部7bは上方へ突出して形成してもよい。また、前記平面部7cの中間部の両側に、前記光拡散板2に当接する当接柱7dが形成されている。したがって、前記押ボタン1と遮光部材7とを係合した場合に、前記光拡散板2が、がたつかないように、押ボタン1と遮光部材7とが一体に組み立てられる。
【0021】
図6の(a)に示すように、遮光部材7の図において上面にスプリング8を嵌合し、さらに、合成樹脂製の底蓋9の係合爪9aがケース3に形成した係合孔3aに弾性によってワンタッチで係合すると、図4で上方から見た斜視図および図6の(b)で下方から見た斜視図で示すように、発光機能を有する押ボタンスイッチを組み立てることができる。前記係合爪9aは、その先端部が鉤状になっており、これが前記ケース3に形成した係合孔3aにワンタッチで係合した後は容易に外れないようになっている。
【0022】
なお、図1ないし図5、図7および図8に示す、符号11は前記のように構成した押ボタンスイッチを図示しない電気回路に接続するためのコネクタである。
【0023】
図12〜図15は、本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの第2の実施の形態を示すもので、図12は斜視図、図13は平面図、図14は正面図、図15は分解斜視図であり、前記第1の実施の形態と相違する点は、第1の実施の形態における押ボタン1の平面形状が楕円であるのに対し、第2の実施の形態の押ボタン1′の平面形状は半楕円である点が相違する。その他の構造は同じであるので、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの縦断面図である。
【図2】本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの縦断斜視図である。
【図3】本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの分解斜視図である。
【図4】本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの組立状態の斜視図である。
【図5】(a)は遮光部材を組み立てる前の下方から見た斜視図で、(b)は組み立てた状態の同斜視図である。
【図6】(a)はスプリングを嵌合して底蓋を嵌合する前の斜視図で、(b)は底蓋を嵌合した状態の同斜視図である。
【図7】(a)はケースに配線基板を取り付ける前の斜視図で、(b)は取り付けた状態の斜視図であり、(c)は取り付けた状態の下方から見た斜視図である。
【図8】(a)はケースに配線基板をネジ止め固定する前の斜視図で、(b)はネジ止め固定した状態の斜視図である。
【図9】(a)は押ボタンに光拡散板を取り付ける前の斜視図で、(b)は取り付けた後の斜視図である。
【図10】遮光部材を上方から見た斜視図である。
【図11】(a)は遮光部材が配線基板の下方からそれを跨ぐように嵌合する途中を示す斜視図であり、(b)は嵌合した状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の発光機能を有する押ボタンスイッチの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図13】同第2の実施の形態を示す平面図である。
【図14】同第2の実施の形態を示す正面図である。
【図15】同第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 押ボタン
1′ 押ボタン
1a 半透明着色面
1b 筒状部
1c 段部
1d 係合孔
2 光拡散板
3 ケース
3a 係合孔
3b 載置面
3c 位置決め突起
3e 貫通孔
3d ネジ孔
4 発光体
5 フォトインタラプタ
5a 発光素子
5b 受光素子
6 配線基板
7 遮光部材
7a 係合爪
7b 遮光部
7c 平面部
7d 当接柱
8 スプリング
9 底蓋
9a 係合爪
10 ネジ
11 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色半透明の押釦(1)と、
この押釦(1)の裏面側に固着された光拡散板(2)と、
前記押釦(1)を押動可能に保持したケース(3)と、
前記光拡散板(2)と対向する表面に発光体(4)が表面実装され、裏面に発光素子(5a)と受光素子(5b)とが所定間隔で対向して配設されたフォトインタラプタ(5)
を備えて前記ケース(3)に固着された配線基板(6)と、
前記押釦(1)を押動することによって前記フォトインタラプタ(5)の発光素子(5a)と受光素子(5b)との間の光が遮光または投光されるように設けた遮光部材(7)と、
この遮光部材(7)と共に前記押釦(1)が押し戻されるスプリング(8)と、によって構成され、
前記押釦(1)と遮光部材(7)は、前記配線基板(6)を、押釦(1)の移動方向にその両側から挟むように連結して配設されており、
前記フォトインタラプタ(5)の発光素子(5a)と受光素子(5b)との間に光を投光させることによって、または光を遮光することによって、前記発光体(4)を発光させるようにしたことを特徴とする発光機能を有する押釦スイッチ。
【請求項2】
前記押釦(1)は、合成樹脂製で、半透明着色面(1a)と筒状部(1b)とで形成され、この筒状部(1b)には、前記半透明着色面(1a)の内側近傍に光拡散板(2)が係止される段部(1c)と、前記遮光部材(7)に形成した係合爪(7a)が係合する係合孔(1d)とが形成され、
前記遮光部材(7)は、合成樹脂製で、その中央部に遮光部(7b)が形成され、四隅に、前記押釦(1)の筒状部(1b)に形成した係合孔(1d)に係合する係合爪(7a)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押釦スイッチ。
【請求項3】
前記遮光部材(7)の係合爪(7a)は、前記ケース(3)に固定された配線基板(6)を跨ぐように前記押釦(1)の側に延び、前記押釦(1)の係合孔(1d)に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押釦スイッチ。
【請求項4】
前記スプリング(8)は、前記遮光部材(7)と合成樹脂製のケース(3)の合成樹脂製の底蓋(9)との間に縮設され、前記底蓋(9)に形成した係合爪(9a)が前記ケース(3)に形成した係合孔(3a)に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光機能を有する押釦スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−103142(P2007−103142A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290772(P2005−290772)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000114271)ミヤマ電器株式会社 (5)
【Fターム(参考)】