説明

発電システム

【課題】 系統が復電した後、自立運転時においても利用可能な自立負荷に対して、なるべく早期に系統からの電力供給を可能にする発電システムを提供する。
【解決手段】 外部からエネルギ源の供給を受けて発電する発電機12と、電力負荷62に対して商用電源60から電力が供給される第1状態と、商用電源60からは電力が供給されず発電機12の発電電力が供給される第2状態とを切換可能に構成された接続切換部50と、接続切換部の切換制御を行う制御部18と、を備えてなり、制御部18が、商用電源60を構成する電力系統が停電状態から通電状態に移行した後、系統が停電状態から復帰したことの認識が可能な所定の規定時間以上通電状態が継続していることを検知すると、接続切換部50を第2状態から第1状態に切り換える制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関し、特に、発電機を有すると共に、所定の電力負荷に対して少なくとも商用電源から電力が供給される第1状態と、前記所定の電力負荷に対して前記商用電源からは電力が供給されず前記発電機の発電電力が供給される第2状態とを切換可能に構成された発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量の削減や省エネルギを志向した分散型エネルギシステムの開発が行われており、実用化も進んできている。今後は、一般家庭、集合住宅、オフィス等においても電力消費エリアで発電を行う分散型発電システムの利用が進むものと考えられる。例えば、熱電併給可能なガスエンジンコジェネレーションシステムは、電力のみならず発電時に生ずる熱エネルギについても同時に有効利用できるため、全体的なエネルギ効率を向上させることができる点において注目を集めており、近年では、発電時に生じる熱を有効活用するための制御方法について、開発が行われているところである(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−240016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようなガスエンジンコジェネレーションシステムを初めとする分散型発電システムは、発電時に系統連系して負荷に電力を供給することが想定されている一方、系統の停電時には、一部の負荷に対して発電機のみから電力供給が可能となるように構成されている。このように系統に連系されずに発電機が運転されている状態を「自立運転」という。
【0005】
系統が停電して自立運転状態へ移行した場合、自立運転時においても電力供給が可能な所定の負荷に対してのみ当該発電機から所定の自立定格出力で電力供給が行われる。これは、あらゆる負荷に対して発電機からの電力供給を可能に構成した場合、発電機からの出力のみでは電力を完全に賄うことができない恐れがあることから、自立運転時には、一般的には相対的に重要な負荷に対してのみ電力が供給される構成としていることによる。即ち、自立運転時には、一定の限られた負荷(以下、「自立負荷」という)のみが利用可能となる結果、利用できない負荷が数多く存在するという状況となる。このため、電力需要者にとってみれば、系統の停電が復帰した後、直ちに系統側から電力供給を受けたいという事情がある。
【0006】
一方、電力会社は、系統が停電したことを検知すると、停電原因を特定すべくバンク毎に一時的に送電して当該バンクが正常か否かの判断を行い、順次送電バンクを切り換えるという停電原因(事故区間)特定のための処理を行う。そして、最終的に停電原因となる事故が生じている区間が特定されると、当該事故区間を含まないバンクに対して通常の電力供給が行われる。系統から通常の電力供給が行われるようになると、自立負荷に対して電力が供給されている状態であった電力需要者が、全ての負荷に対して電力供給がされる状態となる。厳密には、自立運転時に分散型電源からの電力供給を受けていない負荷に対しては系統から電力供給され、自立負荷に対しては分散型電源からの電力供給がされる。その後、分散型電源を停止した後、自立負荷に対して系統からの電力供給を行うことで、全ての負荷に対して系統からの電力供給がされる状態となる。更にその後、分散型電源を再び運転させ、系統側と系統連系を行う。
【0007】
自立運転時は、自立負荷に対して分散型電源から自立定格出力で電力が供給される。そして、系統が復電した後においても、この自立負荷に対しては、系統側に接続を切り換えるまでは引き続き分散型電源から電力が供給される。自立運転は、あくまで非常時においても重要な負荷に対して必要な電力を供給することを目的とするための運転であるため、その出力も自立定格出力に限定されている。従って、自立運転時には自立負荷の急激な増加には対応できない。更に、系統が復電しているにも拘らず、引き続き分散型電源のみから自立負荷に対して電力供給がされている状態というのは、ガスエンジンコジェネレーションシステムのように燃料ガスを発電時に消費する分散型電源の場合には、無駄にエネルギ源を消費することにもなりかねない。このような観点から、系統が復電すれば、自立負荷に対してもなるべく早期に系統からの電力供給を行う必要性がある。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑み、系統が復電した後、自立運転時においても利用可能な自立負荷に対して、なるべく早期に系統からの電力供給を可能にする発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る発電システムは、外部からエネルギ源の供給を受けて発電する発電機と、所定の電力負荷に対して商用電源から電力が供給される第1状態と、前記所定の電力負荷に対して前記商用電源からは電力が供給されず前記発電機の発電電力が供給される第2状態とを切換可能に構成された接続切換部と、前記接続切換部の切換制御を行う制御部と、を備えてなり、前記制御部が、前記商用電源を構成する電力系統が停電状態から通電状態に移行した後、前記電力系統が前記停電状態から復帰したことの認識が可能な所定の規定時間以上前記通電状態が継続していることを検知すると、前記接続切換部を前記第2状態から前記第1状態に切り換える制御を行うことを第1の特徴とする。
【0010】
通常、電力需要者の負荷に接続されている系統が通電したことをもって直ちに系統が通常の状態に復電したと捉えることができないという事情がある。これは、停電原因(事故区間)特定のためにバンク毎に一時的な通電を行うため、事故区間が特定されるまでは、一時的な通電をもって当該電力需要者の負荷に接続している系統が完全に復電していると認識することができないためである。このため、系統の通電を確認した後、直ちに前記所定の電力負荷(自立負荷)に対して系統からの電力供給に切り換えた場合、再度系統の通電が停止する可能性がある。この場合、自立負荷に対して系統からの電力供給が停止し、再び発電機からの電力供給を行う必要性が生じる。
【0011】
系統連系可能な発電機を備えるシステムにおいて、負荷に対して系統からの電力供給がなく発電機からの電力供給がされている状態から、当該負荷に対して系統から電力が供給される状態に切り換える場合、接続切換前又は後において発電機の運転を停止させることとなる。その後、再び自立運転を行うとなれば、再度発電機を起動させた後に当該発電機から前記自立負荷に対して電力供給を行うこととなる。つまり、系統が完全に復電したと判断して、電力供給源を発電機側から系統側に切り換えたにも拘らず、実際には系統が完全に復電したわけではなく、再度直ちに系統の通電状態が停止したことで発電機からの電力供給が必要になるとすれば、停止させた発電機を直ちに再度運転させる必要が生じる。このように発電機の頻繁な停止/運転制御を余儀なくされ、この結果電力源の余力がなくなり、起動が行えなくなるという問題も生じ得る。
【0012】
本発明に係る発電システムの上記第1の特徴構成によれば、通電状態が規定時間継続していることを検知することで、系統が停電状態から通常の電力供給状態に完全に復帰したことを認識することができる。このため、その後に再度直ちに系統の通電が停止するという事態が生じる可能性が極めて低いため、かかる状態を認識した後に、接続切換部を第1状態に切り換えることで、前記所定の電力負荷(自立負荷)に対しても系統側から電力供給を安定して行うことができる。これにより、自立負荷に対して発電機から電力供給が行われるという状態から、系統復電後、できるだけ早期に、前記自立負荷に対して通常の系統からの電力供給が行われる状態に復帰させることができる。これによって急激な自立負荷の増加にも対応が可能となると共に、更に、発電機が必要以上にエネルギ源を消費するという事態を避けることもできる。
【0013】
ここで、前記所定の規定時間として、電力会社の約款等において系統連系技術要件として定められている、系統通電後分散型発電を系統連系するまでに待機すべき時間(再連系阻止時間)を採用しても良い。前記再連系阻止時間は、技術的安全性の観点から定められたものであり、停電した系統の通電状態が確認された後、再連系阻止時間が経過すれば、当該系統は正常な通電状態に復帰(復電)したことが確認できるため、その後に系統連系を行っても系統側に支障はないことを電力会社側が保証しているとみなすことができる。即ち、系統の通電状態が確認された後、再連系阻止時間が経過した後に、第1状態に切り換えて自立負荷を系統側に接続することで、その後に再度直ちに系統の通電が停止するという事態が生じる可能性が極めて低く、且つ、系統復電後、できるだけ早期に、前記自立負荷に対して通常の系統からの電力供給が行われる状態に復帰させることができる。
【0014】
又、本発明に係る発電システムは、上記第1の特徴構成に加えて、前記電力系統が停電状態か通電状態かを判定する系統通電検知部を備え、前記系統通電検知部が、前記電力系統が停電状態から通電状態に変化したとき、及び通電状態から停電状態に変化したときに当該状態変化を示す信号を前記制御部に送信することを第2の特徴とする。
【0015】
本発明に係る発電システムの上記第2の特徴構成によれば、制御部が自動的に系統の通電/停電状態を認識することができる。このため、制御部は、系統通電検知部から、電力系統が停電状態から通電状態に変化した旨の信号を取得後、前記所定の規定時間が経過するまで再度系統通電検知部からの状態変化信号を取得しないことを条件に、接続切換部を第2状態から第1状態に切り換える制御を行うことで、系統復電後、できるだけ早期に、自立負荷に対して通常の系統からの電力供給が行われる状態に自動復帰させることができる。
【0016】
又、本発明に係る発電システムは、上記第1又は第2の特徴構成に加えて、前記制御部が、前記接続切換部を前記第2状態から前記第1状態に切り換えた後、前記電力系統から解列されていた前記発電機を当該電力系統に系統連系する制御を行うことを第3の特徴とする。
【0017】
本発明に係る発電システムの上記第3の特徴構成によれば、通電状態が前記所定の期間以上継続していることを検知した後に、接続切換部を第1状態に切り換えているため、その後であれば、電力系統が停電状態から復帰しているとみなすことができる。このため、接続切換部の接続状態の切り換え後、制御部が発電機を系統連系する制御を行っても、系統側に技術的な悪影響を与えることがない。これにより、停電した系統が復電した後、できるだけ早期に系統連系状態に自動的に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、系統が復電した後、自立運転時においても利用可能な自立負荷に対して、なるべく早期に系統からの電力供給を可能にする発電システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下において、本発明に係る発電システム(以下、適宜「本発明システム」という)の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明システムの概略構成を示すブロック図である。又、図2は、本発明システム1の排熱回収及び給湯及び暖房負荷に対する熱供給に係るシステム構成を示すブロック図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、本発明システム1は、外部から燃料供給を受けて発電する発電ユニット10と、発電ユニット10の運転時に発生する排熱を回収して給湯負荷70と暖房端末71に供給する排熱利用給湯暖房ユニット20を備えて構成される。
【0022】
図1に示すように、発電ユニット10は、都市ガスを燃料として作動するガスエンジン11、ガスエンジン11によって駆動される発電機12、発電機12の発電電力を所定の電気方式の出力電圧と周波数の交流電力に変換する電力変換部13、発電ユニット10の運転並びに出力制御を行う制御部18、及び、ガスエンジン11の排熱との熱交換により冷却水を加熱して排熱利用給湯暖房ユニット20側に供給する熱交換器19を備えて構成されている。排熱利用給湯暖房ユニット20には、熱交換器19で回収された排熱を利用する排熱利用部20aが設けられており、熱交換器19と排熱利用部20aの間に、排熱回収冷却液循環配管22と、排熱回収冷却液循環配管22内の冷却液を循環させる循環ポンプ(電動冷却液ポンプ)33が備えられ、熱交換器19で回収された排熱が排熱利用部20aに伝達される構成となっている。
【0023】
又、電力変換部13は、発電機12の出力端の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ14と、コンバータ14から出力される直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ15とを備える。尚、コンバータ14、インバータ15は、何れも双方向に電圧変換可能な構成とする。
【0024】
又、図2に示すように、排熱利用給湯暖房ユニット20は、貯湯タンク21、排熱回収冷却液循環配管22、温水循環配管23、排熱回収熱交換器24、給湯出力配管25、暖房出力循環配管26、暖房熱交換器27、給水配管28、暖房端末循環配管29、暖房端末分岐配管30、補助熱源31、及び制御部32を備えて構成される。又、各配管には、必要に応じて、循環ポンプ33〜35、開閉弁36、三方弁37、三方弁38、逆止弁、圧力調整弁、温度センサ、圧力センサ、流量計等が介装されている。
【0025】
貯湯タンク21は、発電ユニット10の排熱回収により加熱された温水を貯湯することで、回収した排熱を蓄熱可能に構成され、更に、内部に介装された温度センサや水位センサ等の貯湯量検出手段(不図示)によって貯湯量を検出可能に構成されている。又、貯湯タンク21の底部には、貯湯タンク21から給湯負荷70に温水が供給された場合に、上水道等の給水源(不図示)から貯湯タンク21内に給水補充するための給水配管28が接続されている。
【0026】
排熱回収冷却液循環配管22は、発電ユニット10内の熱交換器19と排熱回収熱交換器24間を連絡する往路と復路を構成する循環回路である。排熱回収熱交換器24は、排熱回収冷却液循環配管22内を循環する排熱回収冷却液であるジャケット冷却水と温水循環配管23内を循環する温水の間の熱交換を行う熱交換器であり、1次側に排熱回収冷却液循環配管22が接続し、2次側に温水循環配管23が接続する。温水循環配管23は、貯湯タンク21の下部から取り出した温水を、排熱回収熱交換器24で加熱して、貯湯タンク21の上部に戻して循環させる循環回路である。
【0027】
以上の構成によって、排熱回収冷却液循環配管22内のジャケット冷却水を循環ポンプ33で循環させ、温水循環配管23内の温水を循環ポンプ34で循環させることによって、熱交換器19において発電ユニット10内の排熱を回収して冷却水を加熱し、更に、排熱回収熱交換器24において加熱された冷却水の熱を回収して温水循環配管23を循環する温水を加熱して貯湯タンク21に供給することができる。つまり、回収された発電ユニット10の排熱が、貯湯タンク21に蓄熱されることになる。
【0028】
更に、排熱利用給湯暖房ユニット20は、温水循環配管23の途中にガス等を燃料とする給湯器等の補助熱源31が介装されており、発電ユニット10から回収した排熱では熱量が不足する場合に、その不足熱量を補充可能となっている。
【0029】
給湯出力配管25は、風呂の浴槽やシャワ、台所や洗面所の給湯栓等の給湯負荷70に対して給湯出力するための配管で、必要に応じて下流側で上水道からの給水と混合して給湯される。
【0030】
暖房出力循環配管26は、温水循環配管23の下流側の貯湯タンク21の上部付近の上部分岐点と、温水循環配管23の上流側の貯湯タンク21の下部付近の下部分岐点との間を、暖房熱交換器27を介して接続する配管で、温水循環配管23と暖房出力循環配管26により途中に排熱回収熱交換器24と暖房熱交換器27の2つの熱交換器を配した循環回路が構成される。暖房熱交換器27は、暖房出力循環配管26内を循環する温水と暖房端末循環配管29内を循環する熱媒体(温水)の間の熱交換を行う熱交換器であり、1次側に暖房出力循環配管26が接続し、2次側に暖房端末循環配管29が接続する。暖房端末循環配管29は、暖房熱交換器27と、床暖房配管や浴室暖房乾燥機等の暖房端末71間を連絡する往路と復路を構成する循環回路である。
【0031】
以上の構成によって、温水循環配管23と暖房出力循環配管26内の温水を循環ポンプ34で循環させ、暖房端末循環配管29内の熱媒体(温水)を循環ポンプ35で循環させることで、排熱回収熱交換器24で加熱された高温水により、暖房熱交換器27において、暖房端末循環配管29内を循環する熱媒体を加熱して暖房端末71に供給することができる。つまり、回収された発電ユニット10の排熱が、暖房端末71で消費され、有効利用されることになる。
【0032】
又、排熱回収冷却液循環配管22の往路と復路の夫々に三方弁37、38を介装し、又、暖房端末循環配管29の復路の途中に開閉弁36を介装し、暖房端末分岐配管30を、三方弁37と開閉弁36の上流側の間と、三方弁38と開閉弁36の下流側の間に夫々配している。これにより、発電ユニット10内の熱交換器19において排熱回収して加熱された冷却水を熱媒体として暖房端末循環配管29に直接供給可能となるため、温水循環配管23と暖房出力循環配管26を経由する場合に比べて高効率で、発電ユニット10の排熱が回収され暖房端末71に供給可能となる。
【0033】
再び図1に戻り、発電ユニット10は一般家庭用に単相3線式正弦波出力の100V/200Vを出力する。又、発電ユニット10の端子10aは、発電ユニット10の定常運転時には発電電力の出力端子として機能し、同ユニット10の起動時にはガスエンジン11の始動用電源の供給を外部から受けるための入力端子として機能する。又、発電ユニット10の起動時は、発電機12がガスエンジン11のスタータモータとして機能し、外部から入力される交流電圧を、電力変換部13を介して発電機12に供給し、発電機12の回転運動によりガスエンジン11の始動を行うように構成されている。
【0034】
制御部18はマイクロコンピュータ等を用いて構成され、発電ユニット10の定常運転時の出力制御や起動時のガスエンジン11の始動制御、並びに接続切換部50の切換制御を行う。又、排熱利用給湯暖房ユニット20の制御部32からの制御信号を取得可能に構成されており、かかる信号に基づいてガスエンジン11及び発電機12の制御が可能な構成である。制御部18の詳細な説明は後述する。
【0035】
発電ユニット10の発電電力は、商用電源60(単相3線式100V/200V)と系統連系して、電力負荷61、62に電力供給可能に構成されている。具体的には、商用電源60と発電ユニット10は、第1分電盤40と第2分電盤41を介して相互に接続する構成である。第1分電盤40には、商用電源60の停電時(系統停電時)に使用不可となる電力負荷61が接続し、第2分電盤41には、系統停電時においても使用可能となる電力負荷62が接続する。又、電力負荷61と排熱利用給湯暖房ユニット20の制御部32は、系統停電時には、発電ユニット10の自立運転によって電力供給される自立運転時電力負荷となる。
【0036】
第1分電盤40には、単相3線式電力線(1φ3W)の両端に主幹ブレーカ42とブレーカ43が設けられ、その途中に複数の分岐ブレーカ44と2つの変流器45が設けられている。主幹ブレーカ42側に商用電源60が接続し、ブレーカ43側に第2分電盤41が接続し、各分岐ブレーカ44に電力負荷61が接続する。変流器45は、発電ユニット10から商用電源60に向けた逆潮流並びに系統の停電を検出し、検出信号を制御部18に送信する。更に、変流器45は、系統が一旦停電した後、再度通電された場合にも、その旨の信号を制御部18に送信する。即ち、変流器45は、系統の通電/停電状態を検知する系統通電検知部を兼ねている。以下では、系統の通電/停電状態を検知する機能に着目する場合において、変流器45を適宜「系統通電検知部45」と称する。
【0037】
第2分電盤41には、2つのスイッチ47、48と複数の分岐ブレーカ46が設けられている。スイッチ47はオンオフスイッチ(開閉スイッチ)で、1次側が単相3線式電力線(1φ3W)を介して第1分電盤40のブレーカ43に接続し、2次側が単相3線式電力線(1φ3W)を介して発電ユニット10の系統正常時に使用する端子10aに接続している。スイッチ48は2入力切替スイッチで、一方の入力端が単相2線式電力線(1φ2W)を介してスイッチ47の1次側と接続し、他方の入力端が単相2線式電力線(1φ2W)を介して発電ユニット10の系統停電時に使用する端子10bに接続し、出力端が単相2線式電力線(1φ2W)を介して各分岐ブレーカ46と接続する。発電ユニット10は、系統正常時には、端子10aから単相3線式100V/200Vを出力し、系統停電時には、端子10bから単相2線式100Vを出力する。
【0038】
尚、端子10aと10bの接続切換を行うためのスイッチ51及び52、並びに、前記スイッチ47及び48を含めて接続切換部50と称し、接続切換部50内の各スイッチが、制御部18からの制御信号を受けて切換制御される構成である。制御部18は、マイクロコンピュータ等を用いて構成され、発電ユニット10の定常運転時の出力制御や、系統正常時及び系統停電時における接続切換部50の切換制御、及びガスエンジン11の始動制御等を行う。
【0039】
系統正常時には、スイッチ47はオン状態(閉状態)となり商用電源60と発電ユニット10の端子10aが接続して系統連系され、スイッチ48は負荷62側が商用電源60側に接続し、スイッチ47の1次側、つまり、商用電源60と発電ユニット10の端子10aが分岐ブレーカ46と接続する。これに対し、系統停電時には、スイッチ47はオフ状態(開状態)となり商用電源60と発電ユニット10の間の接続が遮断され、スイッチ48は負荷62側が発電ユニット10側に接続し、発電ユニット10の端子10bが分岐ブレーカ46と接続する。
【0040】
又、本発明システム1は、系統停電時に発電ユニット10を強制的に運転させるための操作スイッチ49を備える。かかる操作スイッチ49が利用者によって操作されると、強制運転信号が操作スイッチ49から発電ユニット10の制御部18に入力され、制御部18は、強制運転信号に応じて接続切換部50の切換制御を行う。
【0041】
以下、図3及び図4を参照して、制御部18の制御内容について説明する。制御部18は、上述のように、接続切換部50の切換制御を行う。図3は、図1に示す本発明システムを一部簡素化して図示したものである。又、図4は、制御部18の有する機能の内、接続切換部50の切り換え制御を作動させるための構成要素を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、制御部18は、状態信号入力受付部90、記憶部91、制御内容決定部92、及び制御信号出力部93を備える。
【0043】
状態信号入力受付部90は、商用電源60を構成する電力系統(以下では、適宜「系統60」と記載する)の通電/停電状態を示す状態信号を受け付ける。具体的には、系統通電検知部45が系統60の通電状態を検知し、通電状態から停電状態に変化したとき、及び停電状態から通電状態に変化したときに、系統通電検知部45が当該状態信号を制御部18に送信し、制御部18の状態信号入力受付部90がこの信号を取得する。そして、状態信号入力受付部90は、取得した状態信号に係る情報を制御内容決定部92に送信する。
【0044】
図3(a)は、系統連系がされている場合の接続切換部50の接続状態を示している。図3(a)では、負荷61及び負荷62(自立負荷)の両方に系統60から電力供給がされており、更に、発電機12からの発電電力がスイッチ51、47を介して系統60に対して系統連系されている。
【0045】
図3(a)の状態から、系統60が停電になった場合について説明する。このとき、系統60側から系統通電検知部45に接続されたバスを流れる電流が検知できなくなるため、系統通電検知部45は、系統60が通電状態から停電状態に変化したことを認識し、当該変化に係る情報を制御部18に送信する。そして、制御部18の状態信号入力受付部90は、この信号を取得し、取得した状態信号に係る情報を制御内容決定部92に送信する。
【0046】
制御内容決定部92は、状態信号入力受付部90からの信号を取得すると、系統60が通電状態から停電状態に変化したときの切換制御に係る情報を記憶部91から読み出し、制御信号出力部93から接続切換部50に対して出力する。
【0047】
記憶部91は、状態毎の接続切換部50への制御内容に関する情報、及び後述する規定時間に関する情報が記録されている。系統60が通電状態から停電状態に変化したため、制御内容決定部92は、当該状態における切換制御に関する情報を記憶部91から読み出す。具体的には、発電機12と系統60とを切り離した上で、自立負荷62に対して発電機12からの発電電力を供給すべく、スイッチ51、47を開放し、スイッチ52を接続し、スイッチ48を発電ユニット10側に切り換える旨の制御内容に関する情報を読み出す。そして、かかる情報を制御信号出力部93から接続切換部50に対して出力する。
【0048】
接続切換部50は、制御部18から前記の情報を取得すると、取得した情報に基づいて切換制御を行う。これによって、図3(b)に示す接続状態となる。このとき、負荷61に対しては電力供給が行われず、負荷62に対して発電機12から電力供給が行われる。
【0049】
その後、系統60が停電状態から通電状態に変化すると、系統通電検知部45は、系統60が通電状態になったことを検知し、その旨の信号を制御部18に送信する。制御部18の状態信号入力受付部90は、この信号を取得し、系統60が停電状態から通電状態に変化した旨の情報を制御内容決定部92に送信する。
【0050】
制御内容決定部92は、記憶部91から規定時間に関する情報を読み出すと共に、この規定時間に亘って一時的に待機する。そして、前記規定時間が経過するまで、新たに状態信号入力受付部90が系統通電検知部45からの状態変化に関する情報を取得しなかった場合には、系統60が停電状態から通電状態に復旧したと判断する。そして、制御内容決定部92は、系統60が通電状態から停電状態に変化したときの切換制御に係る情報を記憶部91から読み出し、制御信号出力部93から接続切換部50に対して出力する。具体的には、スイッチ48を系統60側に切り換え、スイッチ52を開放することで、自立負荷62に対する電力供給源を発電機12から系統60に切り換える旨の制御内容に関する情報を制御内容決定部92が記憶部91から読み出し、当該情報を制御信号出力部93が接続切換部50に対して出力する。
【0051】
接続切換部50は、制御部18から前記情報を取得すると、取得した情報に基づいて切換制御を行う。これによって、図3(c)に示す接続状態となる。このとき、負荷61及び62の双方に対して、系統60から電力供給が行われる。尚、負荷62の電力供給源を系統60側に切り換えるに際し、発電機12を停止させる。
【0052】
一方、規定時間が経過するまでの間に、新たに状態信号入力受付部90が系統通電検知部45からの状態変化に関する情報を取得した場合は、制御内容決定部92は、再度系統通電検知部45からの状態変化に関する情報を取得するまで待機する。規定時間経過までに、系統通電検知部45から状態変化に関する情報が送信されたということは、再び系統60が停電状態にあることを示している。従って、かかる場合には、再度系統60が通電された後、規定時間以上通電状態が確認されるまで、停電時における接続状態を継続する。
【0053】
図3(c)の状態になった後、制御部18は、発電機12を起動させた後、スイッチ51、47を接続する制御信号を接続切換部50に送信する。これにより、発電機12の発電電力が系統連系され、図3(a)の状態に戻る。
【0054】
つまり、本発明システム1では、系統60が停電状態になり、負荷62に対して発電機12からの発電電力が供給される状態となった後、系統60が通電状態であることが確認されても、この系統60の通電状態が規定時間持続していることが確認されるまでの間、負荷62に対しては引き続き発電機12からの電力が供給される。そして、系統60の通電状態が規定時間持続していることが確認されると、系統60が完全に復電していると認識され、負荷62の接続先(電力供給源)を発電機12側から系統60側に切り換える制御が行われる。
【0055】
一般的に、電力需要者の負荷に接続されている系統が通電したことをもって直ちに系統が通常の状態に復電したと捉えることができないという事情がある。これは、停電原因(事故区間)特定のためにバンク毎に一時的な通電を行うため、事故区間が特定されるまでは、一時的な通電をもって当該電力需要者の負荷に接続している系統が完全に復電していると認識することができないためである。
【0056】
このため、停電状態にあった系統60の通電を確認した後、直ちに負荷62に対して系統60からの電力供給に切り換えた場合、再度系統60の通電が停止する可能性がある。この場合、負荷62に対して系統60からの電力供給が停止し、再び発電機12からの電力供給を行う必要性が生じる。上述したように、負荷62に対する接続先を発電機12から系統60側に切り換えると、発電機12を停止させる必要が生じる。このため、一旦系統60側に切り換えた後、短い時間の間に系統60の通電が再び停止すると、停止させた発電機12を直ちに運転させる必要が生じる。
【0057】
本発明システム1によれば、停電状態にあった系統60の通電が確認された後、所定の規定時間この通電状態が持続していることが確認された後に、負荷62を系統60側に切り換える制御を行うため、完全に復電された系統60から負荷62に電力が供給される状態であり、その後短い時間間隔の間に再び系統60が停電状態になる可能性が極めて低い。これにより、直ちに発電機12を起動させて自立運転を行うことを余儀なくされるということがない。
【0058】
ここで、前記所定の規定時間としては、電力会社の約款等において系統連系技術要件として定められている、系統通電後分散型発電を系統連系するまでに待機すべき時間(再連系阻止時間)を採用することができる。この再連系阻止時間とは、技術的安全性の観点から定められたものであり、停電した系統の通電状態が確認された後、再連系阻止時間が経過すれば、当該系統は正常な通電状態に復帰(復電)したことが確認できるため、その後に系統連系を行っても系統側に支障はないことを電力会社側が保証しているとみなすことができる。即ち、系統60の通電状態が確認された後、再連系阻止時間が経過した後に、負荷62を系統60側に切り換えることで、その後に再度直ちに系統60の通電が停止するという事態が生じる可能性が極めて低く、且つ、系統60の復電後、できるだけ早期に、負荷62に対して発電機12からではなく通常の系統60からの電力供給が行われる状態に復帰させることができる。
【0059】
尚、停電状態にあった系統60の通電が確認された後、この通電状態が規定時間持続するかどうかを判断するために、制御内容決定部92は時間計測可能なカウンタ機能やタイマ機能を搭載しているものとして良い。
【0060】
又、上述の実施形態では、制御内容決定部92が、停電状態にあった系統60の通電が確認された後、新たに状態信号入力受付部90が系統通電検知部45からの状態変化に関する情報を取得しないことをもって、系統60の通電状態が規定時間持続していることを認識する構成とした。これに替えて、停電状態にあった系統60の通電が確認された後、規定時間経過後に制御部18から系統通電検知部45に対して系統60の通電状態を確認するための信号を送信し、系統通電検知部45がその時点の系統60の通電状態に関する情報を制御部18に送信するものとしても良い。又、系統通電検知部45が、系統60が停電状態から通電状態に変化したことを検知した場合には、規定時間が経過するまで通電状態が維持された場合であっても、規定時間経過後に系統60が通電状態であることを示す信号を確認のために制御部18に送信する構成としても良い。
【0061】
以上説明したように、本発明システムの特徴は、系統60が停電状態から通電状態に移行した後、通電状態が規定時間継続したことを検知するまで自立負荷62に対する供給源を系統60側に切り換えずに、発電機12からの電力供給を行い、更に通電状態が規定時間継続したことが確認されると、自立負荷62に対して系統60側から電力供給を行う点にある。上記実施形態では、熱電併給可能なシステムを例に挙げて説明をしたが、上記特徴を有する構成であれば、発電ユニット10のみを有し排熱利用給湯暖房ユニット20を備えない発電システムであっても実現可能であることは言うまでもない。
【0062】
又、上記実施形態では、ガスエンジン発電システムを例に挙げたが、発電ユニット10の発電方法についても上記実施形態に限定されるものではない。即ち、マイクロガスタービン発電、燃料電池、太陽光発電等他の発電システムにおいても適用可能である。尚、燃料電池、太陽光発電等、直流電力を発電するシステムの場合は、電力変換部13において、交流電圧から直流電圧に変換するコンバータ14は不要であり、発電電圧を直接インバータ15で交流電圧に変換するものとすれば良い。
【0063】
又、上述の実施形態では、変流器45が系統の通電/停電状態を検知する系統通電検知部を兼ねるものとして説明したが、変流器45とは別に系統通電検知部を備えるものとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る発電システムの概略構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る発電システム排熱回収及び給湯及び暖房負荷に対する熱供給に係るシステム構成例を示すブロック図
【図3】本発明に係る発電システムについて、接続関係を重視して図示した簡略構成図
【図4】本発明に係る発電システムの発電ユニットが備える制御部の構成要素の内、切り換え制御を作動させるための構成要素を示すブロック図
【符号の説明】
【0065】
1: 本発明に係る発電システム
10: 発電ユニット
11: ガスエンジン
12: 発電機
13: 電力変換器
14: コンバータ
15: インバータ
18: 制御部
19: 熱交換器
20: 排熱利用給湯暖房ユニット
21: 貯湯タンク
22: 排熱回収冷却循環配管
23: 温水循環配管
24: 排熱回収熱交換器
25: 給湯出力配管
26: 暖房出力循環配管
27: 暖房熱交換器
28: 給水配管
29: 暖房端末循環配管
30: 暖房端末分岐配管
31: 補助熱源
32: 制御部
33、34、35: 循環ポンプ
36: 開閉弁
37: 三方弁
38: 三方弁
40: 第1分電盤
41: 第2分電盤
42: 主幹ブレーカ
43: ブレーカ
44: ブレーカ
45: 変流器(系統通電検知部)
46: 分岐ブレーカ
47、48: スイッチ
50: 接続切換部
51、52: スイッチ
60: 商用電源
61: 電力負荷
62: 電力負荷
70: 給湯負荷
71: 暖房端末
90: 状態信号入力受付部
91: 記憶部
92: 制御内容決定部
93: 制御信号出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からエネルギ源の供給を受けて発電する発電機と、
所定の電力負荷に対して商用電源から電力が供給される第1状態と、前記所定の電力負荷に対して前記商用電源からは電力が供給されず前記発電機の発電電力が供給される第2状態とを切換可能に構成された接続切換部と、
前記接続切換部の切換制御を行う制御部と、を備えてなり、
前記制御部が、
前記商用電源を構成する電力系統が停電状態から通電状態に移行した後、前記電力系統が前記停電状態から復帰したことの認識が可能な所定の規定時間以上前記通電状態が継続していることを検知すると、前記接続切換部を前記第2状態から前記第1状態に切り換える制御を行うことを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記電力系統が停電状態か通電状態かを判定する系統通電検知部を備え、
前記系統通電検知部が、前記電力系統が停電状態から通電状態に変化したとき、及び通電状態から停電状態に変化したときに当該状態変化を示す信号を前記制御部に送信することを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記接続切換部を前記第2状態から前記第1状態に切り換えた後、前記電力系統から解列されていた前記発電機を当該電力系統に系統連系する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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