説明

発電機能を備えた建設機械

【課題】発電機能を備えた建設機械のスイングシステムを提供すること。
【解決手段】本発明は、走行可能な下部走行体と、下部走行体の上部に搭載され、作業装置が備えられた上部旋回体と、下部走行体に固定されているスイングリングギアと、上部旋回体に固定され、スイングリングギアに組み合わされて回転運動をするスイングリングギアカバーと、スイングリングギアとスイングリングギアカバーの何れか一方に設けられる永久磁石と、スイングリングギアとスイングリングギアカバーの他方に設けられる誘導コイルを含み、スイングリングギアカバーの回転運動に応じて誘導コイルから誘導電流が発生することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関するものであり、さらに詳細には、上部旋回体の回転運動を利用して誘導電流を発生させる、発電機能を備えた建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の建設機械は、下部走行体と上部旋回体を含み、下部走行体の上に上部旋回体が旋回可能に装着されている。上部旋回体には作業装置が取り付けられている。
【0003】
下部走行体と上部旋回体を旋回可能に連結するための旋回装置は、油圧スイングシステムにより具現化される。
【0004】
図1に示したように従来の油圧スイングシステムは、油圧ポンプから供給される油量により回転運動をすることになる。しかし、従来の油圧スイングシステムは、単なる回転運動だけを行えるものであって、回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置は持っていなかった。これにより、停止時に発生する多くの運動エネルギーは、熱及び摩擦で無駄になる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した問題を解決するために案出されたもので、上部旋回体の回転運動を用いて誘導コイルから誘導電流が発生するようにしてエネルギーの効率性を向上させることにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による建設機械は、走行可能な下部走行体と、下部走行体の上部に搭載され、作業装置が備えられた上部旋回体と、下部走行体に取り付けられているスイングリングギアと、上部旋回体に固定され、スイングリングギアに組み合わされて回転運動をするスイングリングギアカバーと、スイングリングギアとスイングリングギアカバーの何れか一方に設けられる永久磁石と、スイングリングギアとスイングリングギアカバーの何れか他方に設けられる誘導コイルとを含み、スイングリングギアカバーの回転運動に応じて誘導コイルから誘導電流が発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前記した本発明によれば、第一に、上部旋回体の回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。第二に、変換された電気エネルギーを別途のエネルギー貯蔵装置に貯蔵することが可能なので、効率よくエネルギーを利用することができる。最後に、制御部を通じて誘導電流の発生を制御できるので、無駄になる回転運動エネルギーのみを電気エネルギーに変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来の建設機械に対する斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による建設機械に対するブロック図である。
【図3】図2に示した建設機械の誘導コイルに対する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例について添付図面を参照として説明する。この過程で、図に示す線の太さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性と便宜性のため、誇張して図示することも可能である。
【0010】
また、後述する用語などは、本発明における機能を考慮したうえで定義した用語として、これらは使用者や運用者の意図または慣例によって異なる。したがって、このような用語に対する定義は、本明細書全体の内容を基に下されるべきである。
【0011】
さらに、下記の実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎず、本発明の明細書全般に亘った技術思想に含まれ、請求範囲の構成要素において均等物として交換可能な構成要素を含む実施例は、本発明の権利範囲に含まれる。
【0012】
図1は、従来の建設機械に対する斜視図であり、図2は、本発明の一実施例による建設機械に対するブロック図であり、図3は、図2に示した建設機械の誘導コイルに対する断面図である。
【0013】
本発明の望ましい実施例による、発電機能が備えられた建設機械は、走行可能な下部走行体と、前記下部走行体の上部に搭載され、作業装置が備えられた上部旋回体と、前記下部走行体に取り付けられているスイングリングギア10と、前記上部旋回体に固定され、前記スイングリング10と組み合わされて回転運動をするスイングリングギアカバー20と、前記スイングリングギア10とスイングリングギアカバー20の何れか一方に設けられる永久磁石11と、スイングリングギア10とスイングリングギアカバー20の何れか他方に設けられる誘導コイル21を含んでなり、前記スイングリングギアカバー20の回転運動によって誘導コイル21から誘導電流が発生する。
【0014】
建設機械は、下部走行体と、前記下部走行体の上に搭載され、駆動手段の駆動時に左側または右側の方向に旋回する上部旋回体を含む。下部走行体に対する上部旋回体の回転運動は油圧スイングシステムにより具現化される。
【0015】
図1に示すように、本発明のスイングシステムも、従来のスイングシステムと同じくスイングリングギア10とスイングリングギアカバー20を含んでなる。
【0016】
スイングリングギアカバー20は、上部旋回体に取り付けられているので、スイングリングギアカバー20が回転すると、上部旋回体も共に回転することになる。その反面、スイングリングギア10は、下部走行体に固定されていて、スイング動作時に回転しない。
【0017】
前記スイングリングギア10とスイングリングギアカバー20の何れか一方に永久磁石11が設けられ、何れか他方に誘導コイル21が設けられている。図2に示すように、スイングリングギア10に永久磁石11が形成され、スイングリングギアカバー20に誘導コイル21が形成されていてもよい。もちろん、スイングリングギア10に誘導コイル21が、スイングリングギアカバー20に永久磁石11が形成されていてもよい。
【0018】
図2に示すように、スイングリングギアカバー20に収容されている誘導コイル21が回転運動をすれば、ファラデーの法則に準じて誘導コイル21に誘導電流が発生することになる。
【0019】
本発明の望ましい実施例による発電機能を備えた建設機械において、前記誘導コイル21は、永久磁石11の設けられたスイングリングギア10又はスイングリングギアカバー20に向かって放射状に多数個備えられた磁性体突起22に巻き付けられて形成される。
【0020】
図3に示すように、スイングリングギアカバー20に多数個の磁性体突起22があるが、永久磁石11の設けられたスイングリングギア10の方向に放射状に形成されている。もちろん、スイングリングギアカバー20に永久磁石11が、スイングリングギア10に誘導コイル21が形成された場合は、外側方向に向かって放射状に磁性体突起22が形成されることも可能である。
【0021】
図3に示すように、スイングリングギアカバー20に形成された多数個の磁性体突起22に誘導コイル21が巻き付けられる。この誘導コイル21が回転運動をすれば、誘導コイル21に誘導電流が発生し、誘導電流は、ファラデーの法則に基づいてコイルの巻付け回数及びコイルが巻き付けられた磁性体の断面積に比例し、下記のように関係式を式(1)に示す。
【0022】
【数1】


上記式で、Nは、誘導コイル21の巻付け回数、Aは誘導コイル21が巻き付けられた磁性体突起22の断面積である。よって、発電量は、誘導コイル21の巻付け回数及び磁性体突起22の断面積を適宜に調節することによって変化可能である。
【0023】
図3に示すように、誘導コイル21をスター結線(Star connection)の方式で連結することが可能である。つまり、各コイルの一端を中心点に接続し、他端中から三本を引き出したものから電圧を利用するといった結線方式であって、線間の電圧は、各相電圧の二倍になる。スター結線は、線間電圧が高いため、低速回転の時に高い電圧が発生する長所がある。
【0024】
本発明の望ましい実施例による、発電機能を備えた建設機械において、上部旋回体に取り付けられ、油圧ポンプから供給された作動油の流入と流出を用いて回転できる油圧スイングモータ30、及び前記油圧スイングモータ30により回転されるピニオンギア31をさらに含んでなり、前記ピニオンギア31が前記スイングギア10と噛み合って回動することによって、前記上部旋回体が回転される。
【0025】
図1に示すように、油圧スイングモータ30が回転すると、油圧スイングモータ30の下側のピニオンギア31が共に回転を行う。油圧スイングモータ30は、油圧ポンプから供給された作動油により回転することになる。
【0026】
前記油圧スイングモータ30は、上部旋回体に固定した状態で前記ピニオン31を回転させる。ピニオンギア31は、スイングリングギア10と噛み合って回動することによって、上部旋回体が回転する。つまり、ピニオンギア31が時計方向に回転すると、ピニオンギア31とスイングリングギア10が噛み合い、スイングリングギアカバー20を回転させ、これにより前記スイングリングギアカバー20に固定されている上部旋回体が回転することになる。
【0027】
本発明の望ましい実施例による、発電機能を備えた建設機械において、前記スイングモータ30内の油圧を感知し、電気信号を出力する圧力センサー70と、前記上部旋回体をスイング動作状態やスイング停止状態に操作する操作レバー50と、前記圧力センサー70及び操作レバー50の信号を受けて、前記スイングモータ30が減速状態であると判断した場合、前記誘導コイル21から誘導電流を発生させるようにする制御部40と、前記制御部40と誘導コイル21との間に形成され、誘導電流の発生を希望する場合は短絡され、誘導電流の発生を希望しない場合は開放されるようになっている制御スイッチ41とをさらに含んでなる。
【0028】
図2に示すように、本発明は、圧力センサー70、操作レバー50、制御部40、制御スイッチ41を含んでなる。
【0029】
圧力センサー70は、スイングモータ30内の油圧を感知するセンサーであり、操作レバー50は、スイングシステムを操作するものである。
【0030】
制御部40は、圧力センサー70と操作レバー50の出力信号を通じてスイングモータ30が加速状態であるか、減速状態であるかを判断し、スイングモータ30が減速状態である場合だけ、誘導コイル21から誘導電流を発生させるようにする。制御部40がない場合は、スイングモータ30が加速状態でも誘導コイル21から誘導電流を発生できるため、スイングシステムが無理な作動をすることになる。
【0031】
制御スイッチ41は、前記制御部40と誘導コイル21との間に形成され、誘導電流の発生を希望する場合は短絡され、誘導電流の発生を希望しない場合は開放されるので、使用者が、制御スイッチ41を通じて誘導電流の発生を希望する場合だけ、電気エネルギーが発生するように構成することができる。
【0032】
本発明の望ましい実施例による、発電機能を備えた建設機械において、前記誘導コイル21から発生した誘導電流を集電し、電気エネルギーとして貯蔵するエネルギー貯蔵装置60をさらに含んでなる。
【0033】
図2に示すように、本発明は、エネルギー貯蔵装置60を含んでなる。エネルギー貯蔵装置60としては蓄電池を用いるが、蓄電池の種類としては、乾電池、バッテリー、水素電池などが挙げられる。
【0034】
本発明の望ましい実施例による、発電機能を備えた建設機械において、前記エネルギー貯蔵装置60と制御部40との間に形成され、誘導電流の貯蔵を希望する場合に短絡され、誘導電流の貯蔵を希望しない場合は開放される選択スイッチ42をさらに含んでなる。
【0035】
図2に示すように、選択スイッチ42は、前記制御部40とエネルギー貯蔵装置60との間に形成され、誘導電流の貯蔵を希望する場合に短絡され、誘導電流の貯蔵を希望しない場合に開放されるので、使用者が選択スイッチ42を通じて誘導電流の貯蔵を希望する場合だけ電気エネルギーが貯蔵されるようにすることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 スイングリングギア
11 永久磁石
20 スイングリングギアカバー
21 誘導コイル
22 磁性体突起
30 スイングモータ
31 ピニオンギア
40 制御部(power electronic controller)
41 制御スイッチ
42 選択スイッチ
50 操作レバー
60 エネルギー貯蔵装置
70 圧力センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械において、
走行可能な下部走行体と、
前記下部走行体の上部に搭載され、作業装置が備えられた上部旋回体と、
前記下部走行体に固定されているスイングリングギアと、
前記上部旋回体に固定され、前記スイングリングギアに組み合わされて回転運動をするスイングリングギアカバーと、
前記スイングリングギアとスイングリングギアカバーの何れか一方に設けられる永久磁石と、
前記スイングリングギアとスイングリングギアカバーの何れか他方に設けられる誘導コイルを含み、
前記スイングリングギアカバーの回転運動に応じて前記誘導コイルから誘導電流が発生することを特徴とする、発電機能を備えた建設機械。
【請求項2】
前記誘導コイルは、前記永久磁石が設けられたスイングリングギアまたはスイングリングギアカバーに向かって放射状に多数個備えられた磁性体突起に巻き付けられて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の発電機能を備えた建設機械。
【請求項3】
前記上部旋回体に固定され、油圧ポンプから供給された作動油の流入と流出を利用して回転可能な油圧スイングモータ、及び
前記油圧スイングモータにより回転するピニオンギアをさらに含んでなり、
前記ピニオンギアが前記スイングリングギアと噛み合って回動することによって前記上部旋回体が回転することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発電機能を備えた建設機械。
【請求項4】
前記スイングモータ内の油圧を感知し、電気信号を出力する圧力センサーと、
前記上部旋回体をスイング動作状態やスイング停止状態に操作する操作レバーと、
前記圧力センサー及び操作レバーの信号を受け、前記スイングモータが減速状態にあると判断した場合、前記誘導コイルから誘導電流を発生させるようにする制御部と、
前記制御部と誘導コイルとの間に形成され、誘導電流の発生を希望する場合は短絡され、誘導電流の発生を希望しない場合は開放される、制御スイッチをさらに含む、請求項3に記載の発電機能を備えた建設機械。
【請求項5】
前記誘導コイルから発生した誘導電流を集電して電気エネルギーとして貯蔵するエネルギー貯蔵装置をさらに含んでなる、請求項4に記載の発電機能を備えた建設機械。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵装置と制御部との間に形成され、誘導電流の貯蔵を希望する場合に短絡され、誘導電流の貯蔵を希望しない場合は開放される選択スイッチをさらに含んでなる、請求項5に記載の発電機能を備えた建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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