説明

発電装置

【課題】発電機に固有のパラメータをメモリに記憶させておく必要性を無くして汎用性を持たせるとともに、発電出力を精確に制御することを可能にした発電装置を提供する。
【解決手段】バッテリ2からインバータ4を通して発電機1の電機子巻線103に制御電圧を印加するようにインバータを制御するインバータ制御手段と、負荷電圧を目標値に近づけるように制御する制御電圧位相制御手段とを備える。制御電圧位相制御手段は、負荷電圧が目標値よりも高いときに制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときには制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときに制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも進んでいるときに制御電圧の位相を遅角させる制御を行うように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流発電機の整流出力で負荷を駆動する発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流発電機の整流出力で負荷を駆動する際には、負荷の両端の電圧(負荷電圧)を目標値に近づけるように発電機の出力を制御する必要がある。例えば、交流発電機の整流出力でバッテリを充電する場合には、バッテリの両端の電圧を、バッテリが過充電にならないように設定された制限値に相当する目標値付近に保つように発電機の出力を制御している。
【0003】
発電機が界磁巻線を有している場合には、界磁電流を制御することにより発電機の出力を制御することができる。しかし、発電機が磁石式交流発電機である場合には、界磁が永久磁石により構成されているため、界磁巻線を有する発電機を制御する場合と同様の方法で発電出力を制御することはできない。
【0004】
そこで本出願人は、先に、特許文献1に示されているように、発電機の負荷側に発電機の整流出力で充電される電圧蓄積手段(バッテリやコンデンサ)がある場合に、磁石式交流発電機の電機子巻線と負荷との間にブリッジタイプの電圧形インバータを設けて、電圧蓄積手段からインバータを通して電機子巻線に所定の位相角を有する制御電圧を印加することにより、負荷電圧を目標値に近づける制御を行うようにした発電装置を提案した。
【0005】
発電機の負荷側に発電機の整流出力で充電される電圧蓄積手段がある場合としては、発電機の出力を整流する整流回路の出力端子間に接続される負荷に対して並列に電圧蓄積手段が接続されている場合と、整流回路の出力端子間に接続される負荷自体が電圧蓄積手段である場合とがある。
【0006】
本出願人が先に提案した発電装置においては、電機子巻線に誘起する交流電圧をインバータ内の帰還ダイオードにより構成される整流回路を通して電圧蓄積手段に印加してこの電圧蓄積手段を充電する。またコントローラによりインバータを制御して、電圧蓄積手段の両端の電圧を、発電機の出力周波数に周波数が等しく、基準位相に対して所定の位相角を有する交流の制御電圧に変換し、この制御電圧を発電機の電機子巻線に印加することにより、負荷電圧を目標値に近づけるように発電機から負荷に供給する電力量を制御する。上記基準位相としては、例えば、電機子巻線と鎖交する磁束の変化を示す磁束波形の位相、または発電機の機械的構成から理論的の求められる発電機の無負荷誘起電圧の位相を用いる。
【0007】
交流発電機において、電機子巻線に鎖交する磁束の変化を示す磁束波形の位相、または発電機の機械的構成から理論的に求められる無負荷誘起電圧の位相を基準位相とし、電機子巻線の誘起電圧と周波数が等しく、基準位相よりも位相が遅れた交流の制御電圧を電機子巻線に印加すると、通常は、電機子巻線と鎖交する磁束を増加させて発電機の出力を増加させることができる。また上記基準位相よりも位相が進んだ制御電圧を電機子巻線に印加すると、通常は、電機子巻線と鎖交する磁束を減少させて発電機の出力を減少させることができる。
【0008】
上記の制御を行なうと、負荷電圧が目標値よりも高いか低いかによって、制御電圧の位相を基準位相に対して進み側または遅れ側に変化させることにより、負荷電圧を目標値に近づける制御を行うことができる。
【0009】
例えば、交流発電機の整流出力によりバッテリを充電する場合には、バッテリの両端の電圧が目標値よりも低いときに制御電圧の位相を遅角させることにより発電機の出力を増大させてバッテリの充電電流を増加させ、バッテリの両端の電圧が目標値よりも高いときに制御電圧の位相を進角させることにより発電機の出力を減少させて充電電流を減少させることができるため、バッテリの充電電圧を目標値付近に保つように制御することができる。
【0010】
しかし、基準位相に対する制御電圧の位相を遅角させれば、常に発電機の出力を増大させることができるわけではなく、制御電圧の位相を遅角させ過ぎると逆に発電機の出力が減少してしまうことがある。
【0011】
例えば、上記のように、バッテリの充電を制御する場合に、ある一定の回転速度で、制御電圧の位相が相電流の位相に対して一定角度だけ遅角した状態でバランスしているとする。この状態でバッテリに接続されている負荷のインピーダンスが低下して負荷が重くなり、バッテリの充電電圧(バッテリの両端の電圧)が下がったとすると、コントローラは、充電電流を大きくすべく、制御電圧の位相を更に遅角させるようにインバータを制御し、これにより充電電流を増加させて、バッテリの充電電圧を目標値に保とうとする。このように制御電圧の位相を遅角させても、なおバッテリの充電電圧が目標値まで上昇しないと、コントローラは制御電圧の位相を更に遅角させようとする。しかしながら、制御電圧の位相を遅らせ過ぎると、制御電圧の位相の遅角に伴って、逆に発電出力が低下していくようになり、発電機の能力を最大限利用することができなくなる。
【0012】
発電機をある回転速度で運転している状態で、発電機の能力を超える電力を負荷が要求した場合に、負荷電圧が目標値よりも下がってしまうのは仕方がないが、この場合でも、発電能力が許す範囲でできるだけ多くの電力を負荷に与えることが好ましい。
【0013】
そこで特許文献2に示された発電装置では、遅角した制御電圧を電機子巻線に印加する直前の負荷電流と印加した直後の負荷電流とを見て、制御電圧の位相を遅角させたにも拘わらず負荷電流が減少している場合に、制御電圧の位相が、発電出力を最大にする遅れ位相(限界遅れ位相)よりも遅れていると判定する手段を設けて、制御電圧の位相が限界遅れ位相よりも更に遅れていると判定されたときに、制御電圧の位相を進角させることにより、発電能力の範囲で最大の負荷電流を流すことができる状態を維持する制御を行なっている。
【0014】
また、ある回転速度で発電機を運転している状態で発電機の出力を最大にすることができる制御電圧の位相を限界遅れ位相として求めておいて、制御電圧の位相がこの限界遅れ位相よりも更に遅れることがないように、制御電圧の位相の遅角量を制限することが考えられる。特許文献2には、発電機の回転速度と、制御電圧の限界遅れ位相との関係を与える限界遅れ位相演算用マップをマイクロプロセッサのメモリに格納しておいて、このマップを検索することにより制御電圧の限界遅れ位相を求め、制御電圧の位相を、マップから求められた限界遅れ位相よりも更に遅れることがないように制御することが開示されている。
【特許文献1】特開平11−046456号公報
【特許文献2】特開2004−173482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、負荷電流は、制御電圧の位相だけに依存して増減するのではなく、発電機の外部に接続される負荷のインピーダンスが変わっても増減する。そのため、特許文献2に示されたように、制御電圧を電機子巻線に印加する直前の負荷電流と、印加した直後の負荷電流とを見て、制御電圧の位相を遅角させたにも拘わらず負荷電流が減少しているときに制御電圧の位相が限界遅れ位相よりも遅れていると判定するようにした場合には、負荷インピーダンスの増大などにより負荷電流が減少した際に、制御電圧の位相が限界遅れ位相を超えたとの誤った判断がされるおそれがあり、発電機の出力の制御を精度よく行うことができないおそれがある。
【0016】
また、各回転速度において発電出力を最大にする制御電圧の位相は、発電機の巻線温度やインバータを構成する半導体素子の温度などによっても変わるので、限界遅れ位相演算用マップを検索することにより求めた制御電圧の限界遅れ位相は、発電機の巻線温度やインバータを構成する半導体素子の温度などのパラメータに対して補正する必要がある。
【0017】
そのため、特許文献2に示されたように、制御電圧の位相を、限界遅れ位相演算用マップから求めた限界遅れ位相よりも更に遅れることがないように制御する場合には、コントローラを構成するマイクロプロセッサのメモリに非常に多くの制御データを格納しておく必要がある上に、演算量が多くなってマイクロプロセッサにかかる負担が大きくなり、マイクロプロセッサとして高性能のものを用いることが必要になる。
【0018】
また特許文献2に示された発電装置では、限界遅れ位相演算用のマップを構成する多くのデータをコントローラのメモリに記憶させておく必要があるだけでなく、発電機の仕様や用途が異なる毎に固有のパラメータをメモリに記憶させておく必要があるため、コントローラに汎用性がなくなるという問題があった。コントローラに汎用性がなくなると発電装置の量産性が悪くなるため、高性能のマイクロプロセッサが必要になることと相俟って、発電装置のコストが高くなるのを避けられない。
【0019】
なお発電装置の使用目的から発電機の巻線温度の範囲を予測して、予測した温度範囲であれば、巻線温度がいかなる値をとっても、制御電圧の位相が限界遅れ位相よりも遅れることがないように、限界遅れ位相を充分な余裕を持たせて、進み側に固定値として設定しておくことも考えられるが、このようにした場合には、発電機の能力を充分に活用することができなくなるという問題が生じる。
【0020】
本発明の目的は、制御電圧の限界遅れ位相を演算するためのマップや、発電機に固有のパラメータをメモリに記憶させておく必要性を無くして、コントローラに汎用性を持たせるとともに、負荷電圧を目標値に近づけるための制御を正確かつ簡単に行うことができるようにして、特に高性能なマイクロプロセッサを用いなくても、発電出力の制御を高い精度で行なうことができるようにした発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、n相(nは1以上の整数)の電機子巻線を有する交流電圧を出力する交流発電機と、n相ブリッジ接続されたスイッチ素子と各スイッチ素子に逆並列接続された帰還ダイオードとを備えて交流端子側が交流発電機の出力端子に接続され、直流側端子間に負荷と電圧蓄積手段とが並列に接続されたn相の電圧形インバータと、電圧蓄積手段の両端の電圧をインバータにより交流発電機の出力電圧と周波数が等しく、予め定めた基準位相に対して所定の位相角を有する交流波形の制御電圧に変換して該制御電圧を交流発電機の電機子巻線に印加するようにインバータを制御するコントローラとを備えた発電装置を対象とする。本発明が対象とする発電装置では、コントローラが、電圧蓄積手段及び負荷の両端の電圧を負荷電圧として該負荷電圧を目標値に近づけるように制御電圧の位相を制御する制御電圧位相制御手段を備えている。
【0022】
本発明においては、コントローラが、交流発電機の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段とを備え、制御電圧位相制御手段は、負荷電圧を目標値に近づけるべく、負荷電圧が目標値よりも高いときに制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときには制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときには制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された前記相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも進んでいるときには制御電圧の位相を遅角させる制御を行うように構成されている。
【0023】
交流発電機がいかなる速度で回転している場合であっても、また発電機の巻線温度やインバータのスイッチ素子の温度がいかなる場合であっても、発電機から負荷に与えられる電力が最大になるのは、相電圧の位相が同じ相の相電流の位相に一致する状態にあるとき(負荷の力率が1であるとき)である。従って、負荷電圧が目標値よりも低いときに、発電機の能力を最大限利用することができない状態が生じるのを防ぐためには、負荷電圧が目標値より低い状態にあるときに、相電圧の位相を同じ相の相電流の位相にほぼ一致させるように制御電圧の位相を制御すればよい。
【0024】
そのため、本発明においては、負荷電圧を目標値に近づけるべく、負荷電圧が目標値よりも高いときに制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときには制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときには制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも進んでいるときには制御電圧の位相を遅角させる制御を行うように制御電圧位相制御手段を構成する。
【0025】
このような制御を行なえば、負荷が増大して負荷電圧が目標値に達することができない状態になったときに、発電機の回転速度、電機子巻線の温度、インバータのスイッチ素子の温度、及び発電機に固有なパラメータの如何に関わりなく、発電機の能力の範囲で最大の電力を負荷に与える状態を維持するように、制御電圧の位相を簡単に制御することができる。
【0026】
本発明によれば、発電機の回転速度と制御電圧の限界遅れ位相との関係を与えるマップを検索したり、マップを検索することにより求めた制御電圧の限界遅れ位相を電機子巻線の温度やインバータのスイッチ素子の温度などに対して補正する演算を行う必要がないため、多くの演算処理を行うことなく、負荷電圧を目標電圧に近づけるための制御を行うことができ、制御を簡単にすることができる。
【0027】
更に本発明によれば、演算処理量を少なくすることができるため、特に高性能なマイクロプロセッサを用いなくても制御を的確に行わせることができる。またコントローラのメモリに、限界遅れ位相演算用マップを記憶させたり、使用する発電機に固有のパラメータを記憶させたりする必要性をなくして、コントローラに汎用性を持たせ、量産性を高めることができるため、高性能のマイクロプロセッサを用いる必要がなくなることと相俟って、発電装置のコストの低減を図ることができる。
【0028】
本発明の好ましい態様では、上記制御電圧位相制御手段を、負荷電圧が目標値を超えているときに制御電圧の位相を第1の角度だけ進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときに制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときに制御電圧の位相を第2の角度だけ進角させ、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧が同じ相の相電流よりも進んでいるときに制御電圧の位相を第3の角度だけ遅角させる制御を行うように構成する。
【0029】
本発明の他の好ましい態様では、コントローラに、交流発電機の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段と、負荷電圧が目標値よりも低いときに相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段による検出結果から同じ相の相電圧と相電流の位相差を検出する位相差検出手段と、位相差検出手段により検出された位相差を設定された判定値と比較して検出された位相差が判定値以下であるか否かを判定する位相差判定手段とが設けられる。この場合、制御電圧位相制御手段は、負荷電圧が目標値を超えているときに制御電圧の位相を第1の角度だけ進角させ、負荷電圧が目標値に等しいとき及び負荷電圧が目標値未満で位相差が判定値以下であるときに制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値未満で位相差が判定値を超え、かつ相電圧が相電流よりも遅れているときに制御電圧の位相を第2の角度だけ進角させ、負荷電圧が目標値未満で位相差が判定値を超え、かつ相電圧が相電流よりも進んでいるときには制御電圧の位相角を第3の角度だけ遅角させる制御を行うように構成される。
【0030】
負荷電圧が目標値未満のときに、相電圧の位相が相電流の位相よりも遅れているか進んでいるかの判定が行なわれたときに直ちに制御電圧の位相を進角させたり遅角させたりすると、制御電圧の位相を進角させる状態と遅角させる状態とが短い周期で交互に繰り返されるため、発電出力の細かい変動(ハンチング)が生じるおそれがある。これに対し、上記のように、負荷電圧が目標値未満であるときに、位相差が判定値を超えているか否かを判定して、位相差が判定値を超えているときにのみ、制御電圧の位相を進角または遅角させる制御をおこなわせると、発電出力が細かく変動するのを防いで、発電出力の制御を安定に行なわせることができる。
【0031】
相電流と相電圧の位相差は、相電圧の零クロス点が検出されるタイミングと相電流の零クロス点が検出されるタイミングとの時間差で表現してもよく、相電圧の零クロス点と相電流の零クロス点との間の角度で表現してもよい。相電流と相電圧の位相差を時間差で表す場合には、角度で表した相電流と相電圧の位相差が一定である場合でも、両者の位相差は回転速度によって異なる値を示す。この場合、相電流と相電圧の位相差と比較する上記判定値は、回転速度に応じて決定するのが好ましい。相電流と相電圧の位相差を角度で表す場合には、上記判定値を予め設定した固定値とすることができる。
【0032】
上記第1の角度は固定値としても良いが、負荷電圧を目標値に近づける制御を、オーバシュートを生じさせることなく迅速に行なわせるためには、上記第1の角度を負荷電圧と目標値との偏差に応じて決定するのが好ましい。即ち上記第1の角度を、負荷電圧と目標値との偏差が大きい場合ほど大きい値とし、該偏差が小さくなっていくに従って小さくしていくようにするのが好ましい。
【0033】
上記第2の角度は、固定値であってもよく、相電圧と相電流の位相差に応じて決定される角度であってもよい。相電圧と相電流の位相差が大きい場合ほど第2の角度を大きくし、相電圧と相電流との位相差が小さい場合ほど第2の角度を小さくするようにすると、負荷電圧の脈動を少なくして安定な制御を行なわせることができる。
【0034】
同様に、上記第3の角度も、固定値としてもよく、相電圧と相電流の位相差に応じて決定される角度としてもよい。相電圧と相電流の位相差が大きい場合ほど第3の角度を大きくし、相電圧と相電流との位相差が小さい場合ほど第3の角度を小さくするようにすると、負荷電圧の脈動を少なくして安定な制御を行なわせることができる。
【0035】
本発明は、特に上記交流発電機として、界磁の制御を行なうことができない磁石式交流発電機を用いる場合に有用であるが、界磁巻線を有する励磁式交流発電機を用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0036】
本発明に係わる発電装置で用いる相電圧位相検出手段は、交流発電機の電機子巻線の少なくとも1つの相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成することができる。
【0037】
上記基準位相は相電圧の零クロス点の位相を特定する際の基準とするものであるので、任意に定めた一定の位相でよい。例えば、発電機のロータの磁極の極性を検出して検出している磁束の極性がS極であるときとN極であるときとで異なるレベルを示す矩形波状の位置検出信号を出力するホールセンサを設けて、該ホールセンサが出力する矩形波信号の立ち上がりの位相または立ち下がりの位相を上記基準位相として用いることができる。また発電機のロータの一定の回転角度位置でパルス信号を発生するパルス信号発生器を設けて、このパルス信号発生器がパルス信号を発生する位相を基準位相とすることもできる。
【0038】
負荷側からインバータを通して発電機に制御電圧を印加する制御を行なった場合、発電機の相電圧の位相は、インバータから印加される制御電圧の位相と一致しているので、上記相電圧位相検出手段は、コントローラがオン状態にするインバータのスイッチ素子の組合せを切り換えるタイミング(各相の相電圧の各零クロス点を決定するタイミング)から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成することができる。
【0039】
上記相電圧位相検出手段は、交流発電機の電機子巻線の少なくとも1つの線間電圧の零クロス点を検出する線間相電圧零クロス点検出手段と、該線間相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を演算して検出する相電圧零クロス点検出手段と、相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されていてもよい。
【0040】
上記相電圧位相検出手段は、交流発電機の電機子巻線の出力端子とインバータの直流側のいずれかの端子との間の電圧の零クロス点を検出する零クロス点検出手段と、該零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されていてもよい。
【0041】
また上記相電流位相検出手段は、交流発電機の少なくとも1つの相の相電流の零クロス点を検出する相電流零クロス点検出手段と、該相電流零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電流位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電流の位相角とするように構成されていてもよい。
【0042】
上記相電流零クロス点検出手段は、インバータを構成するブリッジ回路の少なくとも1つの辺を流れる電流を少なくとも1つの相電流として検出して、該少なくとも1つの相の相電流の零クロス点を検出するように構成されている。
【発明の効果】
【0043】
本発明においては、発電機の相電圧の位相と相電流の位相とを監視して、負荷電圧が目標値よりも低い状態になったときに、相電圧の位相を同じ相の相電流の位相にほぼ一致させるように制御電圧の位相を制御するため、発電機の回転速度、電機子巻線の温度、インバータのスイッチ素子の温度などの発電装置に固有なパラメータの如何に関わりなく、発電能力の範囲内で発電機から負荷に与えられる電力が最大になる状態を維持しつつ、負荷電圧を目標値に近づけるための制御を行うことができる。
【0044】
本発明によれば、発電機の回転速度と制御電圧の限界遅れ位相との関係を与えるマップを検索したり、マップを検索することにより求めた制御電圧の限界遅れ位相を電機子巻線の温度やインバータのスイッチ素子の温度などに対して補正する演算を行ったりすることなく、負荷電圧を目標値に近づけるための制御を行うことができるため、制御を簡単にすることができる。
【0045】
更に本発明によれば、演算処理量を少なくすることができるため、特に高性能なマイクロプロセッサを用いなくても制御を的確に行わせることができる。またコントローラのメモリに、限界遅れ位相演算用マップを記憶させたり、発電装置に固有のパラメータを記憶させたりする必要性をなくして、コントローラに汎用性を持たせ、量産性を高めることができるため、高性能のマイクロプロセッサを用いる必要がなくなることと相俟って、発電装置のコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係わる発電装置の好ましい実施形態の構成を示した回路図である。同図において1はエンジンにより駆動される磁石式交流発電機、2は電圧蓄積手段であり、かつ発電機の負荷でもあるバッテリ、3は電圧蓄積手段2の両端に接続された外部負荷、4は磁石式交流発電機1と電圧蓄積手段2との間に設けられたブリッジタイプの電圧形インバータ、5はインバータを制御するコントローラ、6は磁石式交流発電機1の相電流を検出する電流検出器、7は磁石式交流発電機1の相電圧を検出する電圧検出回路、8はインバータ4の直流側端子間に接続されたコンデンサである。
【0047】
図示の磁石式交流発電機1は、エンジンのクランク軸に取り付けられたロータ1Aと、エンジンのケースなどに固定されたステータ1Bとからなっている。ロータ1Aは鉄等の強磁性材料によりカップ状に形成されたロータヨーク101の周壁部の内周に取付けられた永久磁石m1及びm2とを備えて、永久磁石m1及びm2により界磁を構成した周知のものである。図示してないが、ロータヨーク101の底壁部の中央にボスが設けられ、このボスがエンジンのクランク軸に取り付けられている。
【0048】
ステータ1Bは、ロータ1Aの磁極に対向する磁極部を有する電機子鉄心102と、この電機子鉄心に巻回された電機子巻線103とからなっている。電機子巻線103はスター結線された三つの相巻線Lu,Lv及びLwを有し、相巻線LuないしLwのそれぞれの中性点と反対側の端部からそれぞれ三相の出力端子1uないし1wが導出されている。
【0049】
本実施形態では、エンジンを始動する際に磁石式交流発電機をブラシレスモータとして動作させてクランキングを行なわせるため、ステータ1B側に、電機子巻線LuないしLwのそれぞれに対して、ロータの磁極の極性を検出して回転子の回転角度位置の情報を得る周知のホールセンサhu,hv及びhwが設けられ、これらのホールセンサがそれぞれ出力する位置検出信号Hu,Hv及びHwがマイクロプロセッサを備えたコントローラ5に入力されている。位置検出信号HuないしHwは、検出している磁極の極性が変わる毎に低レベルから高レベルに、または高レベルから低レベルにレベルが変化する矩形波状の信号である。
【0050】
インバータ4は、3相ブリッジ接続されたスイッチ素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy及びQzと、これらのスイッチ素子にそれぞれ逆並列接続された帰還ダイオードDu,Dv,Dw,Dx,Dy及びDzとを備えた周知の3相ブリッジタイプの電圧形インバータである。電圧形インバータ4を構成するブリッジ回路の各辺を構成するスイッチ素子は、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBTのように自己ターンオフ能力(駆動信号が与えられているときにオン状態になるが駆動信号が除去されるとターンオフする能力)を有するものであればよい。
【0051】
図示の例では、各スイッチ素子がMOSFETからなり、各スイッチ素子を構成するMOSFETのドレインソース間に形成された寄生ダイオードが帰還ダイオードとして用いられている。スイッチ素子QuないしQw及びQxないしQzをそれぞれ構成するMOSFETは、コントローラ5からそれぞれのゲートに駆動信号U,V,W及びX,Y,Zが与えられている間オン状態を保持し、これらの駆動信号が除去されたときにターンオフする。
【0052】
図示のインバータ4においては、ブリッジの上辺を構成するスイッチ素子QuないしQwをそれぞれ構成するMOSFETのソースと、ブリッジの下辺を構成するスイッチ素子QxないしQzをそれぞれ構成するMOSFETのドレインとが相互に接続されて、スイッチ素子QuないしQwを構成するMOSFETのソースとスイッチ素子QxないしQzを構成するMOSFETのドレインとの接続点からそれぞれ三相の交流側端子4uないし4wが引き出されている。またスイッチ素子QuないしQwをそれぞれ構成するMOSFETのドレインが共通接続されるとともに、スイッチ素子QxないしQzをそれぞれ構成するMOSFETのソースが共通接続され、スイッチ素子QuないしQwをそれぞれ構成するMOSFETのドレインの共通接続点及びスイッチ素子QxないしQzをそれぞれ構成するMOSFETのソースの共通接続点からそれぞれプラス側及びマイナス側の直流側端子4a及び4bが引き出されている。インバータ4の三相の交流側端子4uないし4wはそれぞれ磁石式交流発電機1の電機子巻線102の三相の出力端子1uないし1wに接続され、プラス側及びマイナス側の直流側端子4a及び4bはそれぞれバッテリ2のプラス側端子及びマイナス側端子に接続されている。
【0053】
コントローラ5は、エンジンを始動する際に、エンジンを始動させる方向にロータ1Aを回転させるべく、ホールセンサhuないしhwから得られる位置検出信号HuないしHwに応じて(ロータの回転角度位置に応じて)電機子巻線LuないしLwの励磁パターンを決定して、バッテリ2からインバータ4を通して、励磁すべき電機子巻線に励磁電流を流すように、インバータ4を構成するスイッチ素子QuないしQwのいずれかとQxないしQzのいずれかとに駆動信号(スイッチ素子をオン状態にするためにスイッチ素子の制御端子に与える信号)を与える。エンジンの始動時には、このようにして磁石式交流発電機1をブラシレスモータとして駆動することにより、エンジンのクランク軸を回転させる。
【0054】
コントローラ5はまた、磁石式交流発電機1からバッテリ2及び負荷3に電力を供給する際に、インバータ4のブリッジの上辺を構成するスイッチ素子QuないしQw及び下辺を構成するスイッチ素子QxないしQzを所定のタイミングで、交流電圧の1周期のうちの180度に相当する期間の間オン状態にするように制御することにより、バッテリ2の両端の電圧を、磁石式交流発電機の出力と周波数が等しい階段状波形の対称三相交流電圧Vcu,Vcv及びVcwに変換して、これらの交流電圧をインバータ4から電機子巻線103に制御電圧として印加する。図2には三相の制御電圧のうち、U相の制御電圧Vcuの波形が示されている。バッテリ2からインバータ4を通して発電機の電機子巻線103に制御電圧を印加すると、電機子巻線103の相電圧の位相及び波形は、制御電圧の位相及び波形と同じになる。従って、図示の制御電圧Vcuは、磁石式交流発電機1のU相の相電圧Vuの波形でもある。
【0055】
図示のインバータ4においては、帰還ダイオードDuないしDw及びDxないしDzにより三相ダイオードブリッジ全波整流回路が構成され、磁石式交流発電機1の交流出力がこの整流回路により整流されてバッテリ2に供給される。各帰還ダイオードはまた、バッテリ2から電機子巻線102に交流制御電圧を印加した際に、電機子巻線103の力率が1でないことにより発生する無効電力をバッテリ2側に帰還させるためにも用いられる。
【0056】
なお、図示の例では、電気角で180度毎に極性が交番する矩形波状の電圧を制御電圧として用いたが、制御電圧の波形はこのような波形に限定されるものではなく、180度毎に極性が交番する交流波形であればよい。例えば、電気角で180度毎に極性が交番する正弦波や、正弦波に高調波をプラスしたひずみ波形の制御電圧を用いるようにしてもよい。
【0057】
電流検出器6としては、ホール効果を利用した非接触形の電流センサ、変流器、シャント抵抗器などを用いることができるが、図示の例では、電流検出器6として非接触形の電流センサが用いられている。本実施形態では、U相の相電流を検出するように電流検出器6が設けられていて、電流検出器6からコントローラ5に、U相の相電流Iuに比例した電流検出信号Siuが与えられるようになっている。
【0058】
電圧検出回路7は、三相星形結線されて非中性点側の端子が磁石式交流発電機1の三相の出力端子1uないし1wにそれぞれ接続された抵抗器RuないしRwと、U相の抵抗器Ruの両端の電圧が入力された増幅器Auとからなっている。この例では、抵抗器RuないしRwの中性点を電機子巻線LuないしLwの仮想中性点として、抵抗器Ruの両端の電圧をU相の相電圧として検出する。抵抗器Ruの両端の電圧は、増幅器Auを通して、相電圧検出信号Svuとしてコントローラ5に入力されている。コントローラ5にはまた、バッテリ2の両端の電圧に比例した出力電圧検出信号Svoが入力されている。
【0059】
なお図示の例では、発電機1の出力端子1u,1v,1w間にスター結線された抵抗器を接続して仮想中性点を作ることにより、相電圧を検出しているが、発電機1の出力端子1u,1v,1w間から検出した線間電圧から演算により相電圧を求めるようにしてもよく、電機子巻線103の中性点から端子を引き出して、出力端子1u,1v,1wの少なくとも一つと中性点から引き出した端子との間から相電圧を検出するようにしてもよい。
【0060】
コントローラ5には、磁石式交流発電機1を駆動するエンジンを制御する各種の制御手段の他に、バッテリ2及び負荷3の両端の電圧を目標値に近づけるように制御電圧の位相を制御する制御電圧位相制御手段が設けられている。
【0061】
図1に示された発電装置において、バッテリ2からインバータ4を通して電機子コイル103に印加する三相交流波形の制御電圧VcuないしVcwの位相を進角させると、発電機1からバッテリ2及び負荷3に与える電力を減少させることができ、バッテリ2からインバータ4を通して電機子コイル103に印加する制御電圧VcuないしVcwの位相を遅角させると、発電機1からバッテリ2及び負荷3に与える電力を増加させることができる。
【0062】
従って、エンジンが始動した後、バッテリ2の両端の電圧が目標値を超えたときに、バッテリ2からインバータ4を通して電機子コイル103に印加する制御電圧VuないしVwの位相を進角させ、バッテリの両端の電圧が目標値にほぼ等しいときには該制御電圧VuないしVwの位相をそのまま維持し、バッテリ2の両端の電圧が目標値を下回ったときに該制御電圧VuないしVwの位相を遅角させる制御を行なうことにより、バッテリの両端の電圧を目標値付近に保つことができる。
【0063】
しかし、コントローラ5に上記のような制御のみを行なわせた場合には、前述したように、制御電圧の位相が限界遅れ位相よりも更に遅れると、制御電圧の遅角に伴って発電機の出力がかえって減少してしまう状態が生じる。
【0064】
例えば、発電機をある一定の回転速度で運転している状態で、図2(A)に示すように、相電圧Vuの位相が相電流Iuの位相に対して一定角度だけ進角した状態でバランスしているとする。このときバッテリ2には、図2(B)に示す波形の充電電流Icが流れる。図2(B)に斜線を施した部分は、U相の相電圧によりバッテリに流れる充電電流を示しており、U相の相電流Iuのうち充電電流として使われる有効分を示している。
【0065】
なお図2(A)、(C)及び(E)においては、U相の制御電圧Vcuと相電流Iuとの関係のみが示されているが、実際には三相の制御電圧が電機子巻線103に印加されるのはもちろんである。
【0066】
図2(A)の状態でバッテリに接続されている負荷3のインピーダンスが低下して発電機の負荷が重くなり、バッテリ2の充電電圧(バッテリの両端の電圧)が下がったとする。ここで充電電流を大きくすべく、制御電圧VcuないしVcwの位相を遅角させていくと、図2(C)に示すように、制御電圧Vcuの位相が相電流の位相Iuに等しくなる。このときバッテリに流れる充電電流の波形は図2(D)のように、負荷の力率が1である場合の三相全波整流波形になり、発電機1は、その発電能力の範囲で、最大の有効電力を負荷2,3に与える。
【0067】
従来の制御装置では、図2(C),(D)の状態でもなお発電機1からバッテリ2及び負荷3に与えられる出力が不足したときに、制御電圧VcuないしVcwの位相を更に遅角させる。図2(C),(D)の状態で制御電圧VcuないしVcwの位相を更に遅角させると、図2(E)に示すように、制御電圧Vcuが相電流Iuよりも遅れた状態(相電流が相電圧よりも進んだ状態)になる。このときバッテリに流れる充電電流の波形は図2(F)に示すようになり、相電流Iuのうち有効に使われる部分は図に斜線を施して示した部分のみとなる。このように、制御電圧が相電流の位相よりも遅れた状態になるまで制御電圧の遅角量が増大すると、制御電圧の位相の遅角に伴って、逆に発電出力が低下していくようになり、発電機の能力を最大限利用することができない状態になる。負荷電圧が目標値に達しない状態では、発電機の能力を最大限利用することができる状態を維持する必要がある。
【0068】
発電機の能力を最大限利用するためには、相電圧の位相が相電流の位相に一致した状態を維持する必要がある。そこで、本発明においては、コントローラ5に、交流発電機1の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段を設けて、負荷電圧を目標値に近づけるべく、負荷電圧が目標値よりも高いときに制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときには制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときには制御電圧の位相を進角させ、負荷電圧が目標値よりも低く、検出された相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも進んでいるときには制御電圧の位相を遅角させる制御を行うように制御電圧位相制御手段を構成する。
【0069】
図3は本実施形態で用いるコントローラ5の構成のうち、交流発電機1を制御する部分の第1の構成例を概略的に示したもので、同図に示された各手段はマイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより構成される。図3において、501は負荷電圧(バッテリ2及び負荷3の両端の電圧)を検出する負荷電圧検出手段、502はバッテリ2からインバータ4を通して発電機の電機子巻線に印加する制御電圧の位相角を決定する位相角決定手段、503は位相角決定手段502により決定された位相角を有する制御電圧をインバータ4から発生させるようにインバータ4を制御するインバータ制御手段である。
【0070】
負荷電圧検出手段501は、バッテリ2の両端の電圧を図示しない分圧回路とA/D変換器とを通してマイクロプロセッサに取り込むことにより負荷電圧を検出するように構成されている。
【0071】
また504は交流発電機1の少なくとも一相の相電圧または少なくとも一つの線間電圧を検出する電圧検出手段で、本実施形態で用いる電圧検出手段504は、電圧検出回路7からA/D変換器を通して与えられるU相の相電圧Vuの検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングして記憶するように構成されている。
【0072】
505は、電圧検出手段504により検出された相電圧Vuのデジタル変換値を順次比較する等の処理を行なうことにより相電圧Vuの零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段、506は相電圧零クロス点検出手段504により検出された相電圧Vuの零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する(ある基準位相に対して相電圧の位相角を求める)相電圧位相角演算手段である。本実施形態では、位相角を基準位相との間の角度としてではなく、基準位相を与えるタイミングからの経過時間(時間データ)の形で演算する。
【0073】
相電圧の零クロス点としては、相電圧が負の半波から正の半波に切り替わる際の零クロス点(この零クロス点を零位相の零クロス点と呼ぶ。)と、正の半波から負の半波に切り替わる際の零クロス点(この零クロス点をπ位相の零クロス点と呼ぶ。)とがある。零位相の零クロス点及びπ位相の零クロス点の双方を検出して相電圧の位相を監視すれば、相電圧の位相を高精度で検出して制御をより高精度で行なうことができるが、通常は、一方の零クロス点の位相のみを検出するだけで十分である。本実施形態では、零位相の零クロス点のみを検出している。
【0074】
本実施形態で用いる相電圧位相角演算手段506は、図4に示すように、ホールセンサhuが出力する位置検出信号Huの立ち上がりのタイミングtuoを基準位相として、この基準位相を与えるタイミングtuoから相電圧Vuの零クロス点が検出されるタイミングtvuoまでの時間T1を相電圧Vuの位相角を与える時間データとして検出する。
【0075】
507は、交流発電機1の少なくとも一相の相電流を検出する電流検出手段で、本実施形態で用いる電流検出手段507は、電流検出器6からA/D変換器を通して与えられるU相の相電流Iuの検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングして記憶するように構成されている。
【0076】
508は、電流検出手段507により検出された相電流のデジタル値を順次比較していく等の処理を行なうことにより該相電流の零クロス点を検出する相電流零クロス点検出手段、509は相電流零クロス点検出手段508により検出された相電流Iuの零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する(相電圧の位相を求める際の基準位相と同じ基準位相に対して相電流の位相角を求める)相電流位相角演算手段である。
【0077】
図5は発電機1の電機子巻線に流れる三相の相電流Iu,Iv及びIwの波形を示している。相電流についても、負の半波から正の半波に移行する際の零クロス点(零位相の零クロス点)と正の半波から負の半波に移行する際の零クロス点(π位相の零クロス点)とがあり、制御を特に高い精度で行なうことが要求される場合には、零位相の零クロス点及びπ位相の零クロス点の双方を検出することが好ましく、より多くの相の相電流の零クロス点を検出することが好ましいが、通常は1相の相電流の1つの零クロス点を検出すれば充分である。本実施形態では、U相の相電流の零位相の零クロス点のみを検出している。
【0078】
本発明においては、交流発電機1の少なくとも一相の相電圧と相電流の位相差を求めて、各相の相電圧が相電流よりも進まないように制御するが、電圧検出手段504及び電流検出手段507は、必ずしも制御の際に位相差を求める(着目する)相の相電圧及び相電流を検出する必要はない。例えば、制御の際に位相差を求める相電圧及び相電流とは異なる相の相電圧及び相電流を検出するように電圧検出手段504及び電流検出手段507を構成しても、両者の検出出力の位相差から制御の際に着目する相の相電圧及び相電流の位相差を推定することができる。また電圧検出手段504及び電流検出手段507がそれぞれ異なる相の相電圧及び相電流を検出するようにした場合でも、両検出手段の検出出力の零クロス点から求めた位相差から、制御の際に着目する相(上記の実施形態ではU相)の相電圧と相電流との位相差を求めることができる。例えば、U相の相電圧が相電流よりも進まないように制御する場合に,V相の相電圧とW相の相電流との位相差からU相の相電圧と相電流との位相差を演算で求めるようにすることができる。また例えば、WV相間の線間電圧及びU相の相電流をそれぞれ検出するように電圧検出手段504及び電流検出手段507を設けて、両検出手段の検出出力の零クロス点から求めた位相差からU相の相電圧とU相の相電流との位相差を演算で求めるようにすることもできる。
【0079】
本実施形態で用いる相電流位相角演算手段509は、図4に示したように、ホールセンサhuが出力する位置検出信号Huの立ち上がりのタイミングtuoを基準位相として、この基準位相を与えるタイミングtuoから相電流Iuの零クロス点が検出されるタイミングtiuoまでの時間T2を相電流Iuの位相角を与える時間データとして検出する。
【0080】
510は、相電圧位相角演算手段506により演算された相電圧の位相角と相電流位相角演算手段509により演算された同じ相の相電流の位相角との差を検出する位相差検出手段である。本実施形態で用いる位相差検出手段は、図4に示したように、U相の相電流の位相角を与える時間データT2と、U相の相電圧の位相角を与える時間データT1との差T2−T1を相電流と相電圧との位相差を与える位相差時間データT3として演算する。制御電圧の位相が相電流の位相よりも進んでいるときには位相差時間データT3が正(T3>0)となり、制御電圧の位相が相電流の位相に等しいときには位相差時間データT3が零(T3=0)となる。また制御電圧の位相が相電流の位相よりも遅れているとき、即ち相電流の位相が相電圧の位相よりも進んでいるときに位相差時間データT3が負(T3<0)となる。
【0081】
位相差検出手段510により検出された相電圧と相電流との位相差は、負荷電圧検出手段501により検出された負荷電圧と、負荷電圧の目標値とともに位相角決定手段502に与えられる。位相角決定手段502は、負荷電圧が目標値を超えているときに制御電圧の位相を第1の角度Δθ1だけ進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときに制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときに制御電圧の位相を第2の角度Δθ2だけ進角させ、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧が同じ相の相電流よりも進んでいるときに制御電圧の位相を第3の角度Δθ3だけ遅角させるように制御電圧の位相を決定する。
【0082】
上記第1の角度Δθ1は固定値でもよく、負荷電圧と該電圧の目標値との偏差に応じて決定される角度であってもよい。
【0083】
また第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3も固定値であってもよく、相電圧と相電流の位相差に応じて決定される角度であってもよい。
【0084】
本実施形態では、図3に示された電圧検出手段504と、相電圧零クロス点検出手段505と、相電圧位相角演算手段506とにより、相電圧位相検出手段が構成され、電流検出手段507と、相電流零クロス点検出手段508と、相電流位相角演算手段509とにより、相電流位相検出手段が構成されている。また位相差検出手段510と位相角決定手段502と、インバータ制御手段503とにより、制御電圧位相制御手段が構成される。
【0085】
本実施形態の制御電圧位相制御手段は、負荷電圧が目標値を超えているときに制御電圧の位相を第1の角度Δθ1だけ進角させ、負荷電圧が目標値に等しいときに制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときに制御電圧の位相を第2の角度Δθ2だけ進角させ、負荷電圧が目標値未満で、かつ相電圧が同じ相の相電流よりも進んでいるときに制御電圧の位相を第3の角度Δθ3だけ遅角させる制御を行う。
【0086】
上記のような制御を行なうと、負荷電圧が目標値に達しない状態になったときに、相電圧の位相が同じ相の相電流の位相にほぼ等しくなるように制御電圧の位相が制御される。このとき負荷の力率は1の状態に保たれるため、発電機1は、その回転速度により決まる発電能力の範囲で、最大の電力を負荷に与えることになり、その能力をフルに活してバッテリを充電したり負荷を駆動したりすることになる。
【0087】
また上記のような制御を行なうと、負荷電圧が目標値よりも低くなったときに、発電機の回転速度、電機子巻線の温度、インバータのスイッチ素子の温度などの発電装置に固有のパラメータの如何に関わりなく、相電圧の位相を相電流の位相にほぼ一致させる制御を正確に行うことができる。従って、発電機の回転速度と制御電圧の限界遅れ位相との関係を与えるマップを検索したり、マップを検索することにより求めた制御電圧の限界遅れ位相を電機子巻線の温度やインバータのスイッチ素子の温度などに対して補正する演算を行ったりすることなく、負荷電圧を目標値に近づけるための制御を簡単に行なうことができる。
【0088】
更に上記のような制御を行なうと、演算処理量を少なくすることができるため、コントローラ5に設けるマイクロプロセッサとして特に高性能なマイクロプロセッサを用いなくても制御を的確に行わせることができる。またコントローラのメモリに、限界遅れ位相演算用マップを記憶させたり、発電装置に固有のパラメータを記憶させたりする必要性をなくして、コントローラに汎用性を持たせ、量産性を高めることができるため、高性能のマイクロプロセッサを用いる必要がなくなることと相俟って、発電装置のコストの低減を図ることができる。
【0089】
図7は、磁石式交流発電機1からバッテリ2及び負荷3に電力を供給する際に、コントローラ5内のマイクロプロセッサが実行する制御電圧位相制御タスクのアルゴリズムを示したフローチャートである。マイクロプロセッサは、相電圧及び相電流の零クロス点が検出される毎に相電圧及び相電流の基準位相に対する位相角を与える時間データT1及びT2を演算し、これらの時間データをメモリに記憶させる。新たに演算した相電圧及び相電流の位相角を与える時間データT1及びT2は、相電圧及び相電流の位相角を与える時間データT1及びT2が次に演算されるまでの間メモリに記憶させておく。
【0090】
図7に示した制御電圧位相制御タスクは、発電機1の回転に同期して、制御電圧の位相角を決定するタイミングとして予め定めたタイミングが検出される毎に実行してもよく、発電機1の回転とは非同期で、一定の時間間隔で実行してもよい。
【0091】
図7のタスクが開始されると、先ずステップS1で現在の負荷電圧(負荷の両端の電圧、この例ではバッテリ2及び外部負荷3の両端の電圧)Voを読み込み、ステップS2で読み込んだ負荷電圧が目標値よりも低いか否かを判定する。この判定の結果、負荷電圧が目標値よりも低くないと判定された場合には、ステップS3に進んで負荷電圧が目標値よりも高いか否かを判定する。その結果、負荷電圧が目標値よりも高いと判定されたときには、ステップS4に進んで制御電圧の位相を第1の角度Δθ1だけ進角させてこのタスクを終了する。
【0092】
第1の角度Δθ1(時間データ)は、予め設定した固定値でもよく、負荷電圧と目標値との偏差の大きさに応じて決定した値でもよい。負荷電圧と目標値との偏差ΔVの大きさに応じて第1の角度を決定する場合、負荷電圧を目標値に速やかに収束させるため、該偏差が大きい場合ほど第1の角度Δθ1を大きくするように第1の角度Δθ1を与える時間データを設定するのが好ましい。負荷電圧と目標値との偏差ΔVに応じて第1の角度Δθ1を決定する場合、該第1の角度Δθ1の決定は、偏差ΔVと第1の角度Δθ1との間の関係を与える実験式を用いて行なってもよく、偏差ΔVと第1の角度Δθ1との間の関係を与える簡単な二次元マップを用いて行なってもよい。
【0093】
ステップS3で負荷電圧が目標値よりも高くない(負荷電圧が目標値に等しい)と判定されたときには、以後何もしないで(制御電圧の位相を現在の位相に保持して)このタスクを終了する。
【0094】
ステップS2で負荷電圧が目標値よりも低いと判定されたときには、ステップS5に進んで、相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を与える時間データT1の最新の値を読み込み、ステップS6で相電流の零クロス点の基準位相に対する位相角を与える時間データT2の最新の値を読み込む。そして相電圧の位相角を与える時間データT1と相電流の位相角を与える時間データT2との差T3=T2−T1を演算し、ステップS7でT3が負であるか否か(相電流が相電圧に対して進んでいるか否か)を判定する。その結果相電流の位相が相電圧の位相よりも進んでいると判定されたときにはステップS8に進んで制御電圧の位相を第2の角度Δθ2だけ進角させてこのタスクを終了する。またステップS7で相電流の位相が相電圧の位相よりも進んではいない(相電流の位相が相電圧の位相よりも遅れている)と判定されたときには、ステップS9に進んで制御電圧の位相を第3の角度Δθ3だけ遅角させてこのタスクを終了する。
【0095】
上記第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3は、予め設定した固定値でもよく、相電圧と相電流の位相差に応じて決定してもよい。第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3を相電圧と相電流の位相差に応じて決定する場合、該第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3の決定は、実験式を用いて行なってもよく、マップを用いて行なってもよい。
【0096】
上記の制御を行なった場合、負荷電圧が目標値よりも低い状態で、図6(A)に示すように相電圧の位相が相電流の位相よりも進角している場合には、ステップS9で制御電圧の位相を遅角させて相電圧の位相を遅らせるため、相電圧の位相は、図6(E)に示すように相電流の位相に一致する方向にシフトさせられる。この制御により図6(C)に示すように制御電圧の位相が相電流の位相よりも遅れる状態になったときには、ステップS8で制御電圧の位相を進角させて、相電圧の位相を進角させるため、相電圧の位相は図6(E)に示すように相電流の位相に一致する方向にシフトさせられる。負荷電圧が目標値よりも低い状態では、これらの制御が繰り返されることにより、相電圧の位相が相電流の位相にほぼ一致するように制御される。従って、負荷3のインピーダンスが下がって、負荷電流が大きくなり、負荷電圧が目標値に達することできなくなったときには、常に、相電圧の位相が相電流の位相にほぼ一致するように制御して、発電機1から負荷に、その発電能力の範囲で最大の電力を与えることができる。
【0097】
また図6(E)に示すように、発電機1からバッテリ及び外部負荷に最大の電力が与えられる状態でバランスしているときに、発電機の電機子巻線の温度が上昇してその抵抗値が増大すると、制御電圧の位相が同じであれば、相電圧に対して相対的に相電流の位相が進んで、図6(C)に示したように相電流の位相が相電圧の位相に対して進んだ状態になり、発電機から負荷に与えられる電力が減少するが、本発明では、このとき図7のステップS8を実行して制御電圧の位相を進角させるので、電機子巻線の温度を検出することなく、相電圧の位相を相電流の位相に一致させる制御を行わせて発電機1からバッテリ及び外部負荷に最大の電力が与えられる図6(E)の状態に戻すことができる。
【0098】
図8は、本発明の他の実施形態において、マイクロプロセッサにより構成する制御電圧位相制御手段の構成を概略的に示したもので、この実施形態では、発電機の回転速度を検出する回転速度検出手段511と、位相差検出手段510により検出された相電圧と相電流の位相差と比較する判定値を回転速度に応じて決定する判定値決定手段512と、位相差検出手段510により検出された相電圧と相電流の位相差を判定値と比較する比較手段513とが設けられ、位相角決定手段502には、回転速度511により検出された回転速度と、比較手段513による比較結果と、位相差検出手段により検出された位相差とが与えられている。その他の点は、図3に示した例と同様に構成されている。
【0099】
本実施形態の位相角決定手段502は、負荷電圧(バッテリ2及び負荷3の両端の電圧)が目標値を超えているときに制御電圧の位相を第1の角度Δθ1だけ進角させ、負荷電圧が目標値に等しいとき及び負荷電圧が目標値未満で相電圧と相電流の位相差が判定値以下であるときに制御電圧の位相を現在の位相に保持し、負荷電圧が目標値未満で相電圧と相電流の位相差が判定値を超え、かつ相電圧が相電流よりも遅れているときに制御電圧の位相を第2の角度Δθ2だけ進角させ、負荷電圧が目標値未満で相電圧と相電流の位相差が判定値を超え、かつ相電圧が相電流よりも進んでいるときには制御電圧の位相を第3の角度Δθ3だけ遅角させる制御を行うように制御電圧の位相角を決定する。
【0100】
位相角決定手段502により決定された位相角は、インバータ制御手段503に与えられる。インバータ制御手段503は、バッテリ2の電圧を、電機子巻線103の誘起電圧と周波数が等しく、位相角決定手段により決定された位相角を有する三相交流波形の制御電圧に変換するようにインバータ4のスイッチ素子を制御する。
【0101】
図3に示した実施形態のように、負荷電圧が目標値未満の状態で、相電圧の位相が相電流の位相よりも遅れているか進んでいるかの判定が行なわれたときに直ちに制御電圧の位相を進角させたり遅角させたりすると、制御電圧の位相を進角させる状態と遅角させる状態とが短い周期で交互に繰り返され、発電出力の細かい変動が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態のように、負荷電圧が目標値未満であるときに、相電圧と相電流の位相差が判定値を超えているか否かを判定して、位相差が判定値を超えているときにのみ、制御電圧の位相を進角させたり遅角させたりすると、発電出力が細かく変動するのを防いで、発電出力の制御を安定に行なわせることができる。
【0102】
図8に示した各手段を構成するためにマイクロプロセッサに実行させる制御電圧位相制御タスクのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図9に示した。図9に示した制御電圧位相制御タスクは、発電機1の回転に同期して、制御電圧の位相角を決定するタイミングとして予め定めたタイミングが検出される毎に実行してもよく、発電機1の回転とは非同期で、一定の時間間隔で実行してもよい。
【0103】
図8のタスクが開始されると、先ずステップS11で現在の負荷電圧(バッテリ2及び外部負荷3の両端の電圧)Voを読み込み、ステップS12で読み込んだ負荷電圧が目標値よりも低いか否かを判定する。この判定の結果、負荷電圧が目標値よりも低くないと判定された場合には、ステップS13に進んで負荷電圧が目標値よりも高いか否かを判定する。その結果、負荷電圧が目標電圧よりも高いと判定されたときには、ステップS14に進んで制御電圧の位相を第1の角度Δθ1だけ進角させてこのタスクを終了する。
【0104】
第1の角度Δθ1(時間データ)は、予め設定した固定値でもよく、負荷電圧と目標値との偏差の大きさに応じて決定した値でもよい。負荷電圧と目標値との偏差ΔVの大きさに応じて第1の角度を決定する場合、該偏差が大きい場合ほど第1の角度Δθ1を大きくするように該第1の角度Δθ1を与える時間データを設定する。第1の角度Δθ1の決定は、偏差ΔVと第1の角度Δθ1との間の関係を与える実験式を用いて行なってもよく、偏差ΔVと第1の角度Δθ1との間の関係を与える簡単な二次元マップを用いて行なってもよい。
【0105】
ステップS13で負荷電圧が目標電圧よりも高くない(負荷電圧が目標電圧に等しい)と判定されたときには、以後何もしないで(制御電圧の位相を現在の位相に保持して)このタスクを終了する。
【0106】
ステップS12で負荷電圧が目標値よりも低いと判定されたときには、ステップS15に進んで、相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を与える時間データT1の最新の値と、相電流の零クロス点の基準位相に対する位相角を与える時間データT2の最新の値とを読み込み、相電圧の位相角を与える時間データT1と相電流の位相角を与える時間データT2との差を与える位相差時間データT3=T2−T1を演算する。次いで、ステップS16で位相差時間データT3の絶対値が判定値以下であるか否かを判定する。その結果、位相差時間データT3の絶対値が判定値以下であると判定されたときには、以後何もしないでこのタスクを終了する。
【0107】
図9のステップ16で位相差時間データT3の絶対値が判定値を超えていると判定されたときには、ステップS17に進んで、位相差時間データT3が負であるか否か(相電流が相電圧に対して進んでいるか否か)を判定する。その結果、位相差時間データT3が負である(相電流の位相が相電圧の位相よりも進んでいる)と判定されたときには、ステップS18に進んで制御電圧の位相を第2の角度Δθ2だけ進角させてこのタスクを終了する。またステップS17で位相差時間データT3が負でない(相電流の位相が相電圧の位相よりも遅れている)と判定されたときには、ステップS19に進んで制御電圧の位相を第3の角度Δθ3だけ遅角させてこのタスクを終了する。
【0108】
前記の実施形と同様に、上記第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3は、予め設定した固定値でもよく、相電圧と相電流の位相差に応じて決定してもよい。第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3を相電圧と相電流の位相差に応じて決定する場合、該第2の角度Δθ2及び第3の角度Δθ3の決定は、実験式を用いて行なってもよく、マップを用いて行なってもよい。
【0109】
また判定値ΔTは、固定値であってもよく、交流発電機の回転速度に応じて決定されてもよい。相電圧と相電流の位相差を時間データで表す場合には、位相角が同じであっても、位相差を表す時間データは回転速度に応て変化するため、上記判定値ΔTは、交流発電機の回転速度に応じて決定する。
【0110】
上記の実施形態では、交流発電機1の電機子巻線103の少なくとも1つの相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とにより相電圧位相検出手段を構成して、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成したが、本発明で用いる相電圧位相検出手段は、上記の例に限定されない。
【0111】
例えば、相電圧の位相は制御電圧の位相に等しいので、コントローラがオン状態にするインバータのスイッチ素子の組合せを切り換えるタイミングから少なくとも1つの相の制御電圧の零クロス点を検出する制御相電圧零クロス点検出手段と、該制御相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように相電圧位相検出手段を構成してもよい。
【0112】
相電圧位相検出手段はまた、交流発電機1の電機子巻線103の少なくとも1つの線間電圧の零クロス点を検出する線間相電圧零クロス点検出手段と、該線間相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成してもよい。
【0113】
相電圧位相検出手段はまた、交流発電機1の電機子巻線の出力端子(1u〜1w)の少なくとも一つとインバータ4の直流側の端子(4a,4b)のいずれかとの間の電圧の零クロス点を検出する零クロス点検出手段と、該零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されていてもよい。
【0114】
また上記の実施形態では、交流発電機1の出力端子につながる配線を通して流れる相電流を検出するように電流検出手段507を設けて、この電流検出手段により検出された相電流の零クロス点を相電流零クロス点検出手段508で検出するようにしたが、インバータ4を構成するブリッジ回路の少なくとも1つの辺を流れる電流を少なくとも1つの相電流として検出するように電流検出手段507を設けて、この電流検出手段が検出した相電流の零クロス点を相電流零クロス点検出手段508により検出するようにしてもよい。
【0115】
上記の実施形態においては、1つの相(上記の例ではU相)の相電圧と一つの相の相電流とを検出して、これらの相電圧及び相電流の位相差を位相差検出手段510により検出するようにしたが、制御をより高い精度で行わせるために、複数相の相電流と相電圧とを検出して、複数相の相電流と相電圧との位相差の平均値を位相差検出手段510で演算するようにしてもよい。
【0116】
上記の実施形態では、図4に示したように、ホールセンサが出力する位置検出信号Huの立ち上がりのタイミングを基準位相を与えるタイミングとして、このタイミングから相電圧の零クロス点までの時間T1及び相電流の零クロス点までの時間T2をタイマで計測することにより、相電圧の位相及び相電流の位相を求めて、これらの時間の差をとることにより相電圧と相電流の位相差を与える時間データを得るようにしたが、本発明はこのような方法により相電圧と相電流の位相差を求める場合に限定されない。
【0117】
例えば、相電圧の零クロス点が検出された時にマイクロプロセッサが実行しているプログラムに割り込みをかけてタイマをスタートさせ、相電流の零クロス点が検出されたときにマイクロプロセッサが実行しているプログラムに割り込みをかけて該タイマの計測値を読み取ることにより、相電圧と相電流の位相差を与える時間データを求めるようにすることもできる。このようにすれば、ホールセンサは不要になる。
【0118】
上記の実施形態では、発電機の負荷側に電圧蓄積手段としてのバッテリ2が設けられているが負荷側にバッテリが設けられない場合には、インバータの直流側端子4a,4b間に接続されたコンデンサ8を電圧蓄積手段として用いて、このコンデンサ8からインバータ4を通して発電機1に制御電圧を印加するように構成することができる。上記の実施形態のように、負荷側にバッテリが設けられている場合、コンデンサ8は省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は本発明に係わる発電装置の好ましい実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図2は、発電機の負荷側に設けられたバッテリからインバータを通して発電機の電機子コイルに印加する制御電圧の位相を、バッテリ電圧の低下に伴って遅角させる制御を行った場合の、発電機の相電圧及び相電流の位相の変化と、バッテリに流れる充電電流の波形とを示した波形図である。
【図3】本発明の実施形態において用いる制御電圧位相制御手段の一構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施形態において、相電圧及び相電流の位相を特定する方法を説明するための波形図である。
【図5】図1の発電装置において電機子巻線を流れる三相の相電流の波形を示した波形図である。
【図6】本発明の実施形態の動作を説明するために用いる発電機の相電圧、相電流及びバッテリの充電電流の波形図である。
【図7】図3の制御電圧位相制御手段を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるタスクのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態において用いる制御電圧位相制御手段の他の構成例を示したブロック図である。
【図9】図8の制御電圧位相制御手段を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるタスクのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
1 交流発電機
103 電機子巻線
Lu,Lv,Lw 相巻線
Vu,Vv,Vw 相電圧
Vcu,Vcv,Vcw 制御電圧
2 バッテリ
3 外部負荷
4 インバータ
5 コントローラ
6 電流検出器
7 電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n相(nは1以上の整数)の電機子巻線を有する交流電圧を出力する交流発電機と、n相ブリッジ接続されたスイッチ素子と各スイッチ素子に逆並列接続された帰還ダイオードとを備えて交流端子側が前記交流発電機の出力端子に接続され、直流側端子間に負荷と電圧蓄積手段とが並列に接続されたn相の電圧形インバータと、前記電圧蓄積手段の両端の電圧を前記インバータにより前記交流発電機の出力電圧と周波数が等しく、予め定めた基準位相に対して所定の位相角を有する交流波形の制御電圧に変換して該制御電圧を前記交流発電機の電機子巻線に印加するように前記インバータを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記電圧蓄積手段及び負荷の両端の電圧を負荷電圧として該負荷電圧を目標値に近づけるように前記制御電圧の位相を制御する制御電圧位相制御手段を備えている発電装置であって、
前記コントローラは、前記交流発電機の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段を備え、
前記制御電圧位相制御手段は、前記負荷電圧を前記目標値に近づけるべく、前記負荷電圧が目標値よりも高いときに前記制御電圧の位相を進角させ、前記負荷電圧が目標値に等しいときには前記制御電圧の位相を現在の位相に保持し、前記負荷電圧が目標値よりも低く、検出された前記相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときには前記制御電圧の位相を進角させ、前記負荷電圧が目標値よりも低く、検出された前記相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも進んでいるときには前記制御電圧の位相を遅角させる制御を行うように構成されていること、
を特徴とする発電装置。
【請求項2】
n相(nは1以上の整数)の電機子巻線を有する交流電圧を出力する交流発電機と、n相ブリッジ接続されたスイッチ素子と各スイッチ素子に逆並列接続された帰還ダイオードとを備えて交流端子側が前記交流発電機の出力端子に接続され、直流側端子間に負荷と電圧蓄積手段とが並列に接続されたn相の電圧形インバータと、前記電圧蓄積手段の両端の電圧を前記インバータにより前記交流発電機の出力電圧と周波数が等しく、予め定めた基準位相に対して所定の位相角を有する交流波形の制御電圧に変換して該制御電圧を前記交流発電機の電機子巻線に印加するように前記インバータを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記電圧蓄積手段及び負荷の両端の電圧を負荷電圧として該負荷電圧を目標値に近づけるように前記制御電圧の位相を制御する制御電圧位相制御手段を備えている発電装置であって、
前記コントローラは、前記交流発電機の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段とを備え、
前記制御電圧位相制御手段は、前記負荷電圧が前記目標値を超えているときには前記制御電圧の位相を第1の角度だけ進角させ、前記負荷電圧が前記目標値に等しいときに前記制御電圧の位相を現在の位相に保持し、前記負荷電圧が前記目標値未満で、かつ前記相電圧の位相が同じ相の相電流の位相よりも遅れているときに前記制御電圧の位相を第2の角度だけ進角させ、前記負荷電圧が前記目標値未満で、かつ前記相電圧が同じ相の相電流よりも進んでいるときに前記制御電圧の位相を第3の角度だけ遅角させる制御を行うように構成されている発電装置。
【請求項3】
n相(nは1以上の整数)の電機子巻線を有する交流電圧を出力する交流発電機と、n相ブリッジ接続されたスイッチ素子と各スイッチ素子に逆並列接続された帰還ダイオードとを備えて交流端子側が前記交流発電機の出力端子に接続され、直流側端子間に負荷と電圧蓄積手段とが並列に接続されたn相の電圧形インバータと、前記電圧蓄積手段の両端の電圧を前記インバータにより前記交流発電機の出力電圧と周波数が等しく、予め定めた基準位相に対して所定の位相角を有する交流波形のの制御電圧に変換して該制御電圧を前記交流発電機の電機子巻線に印加するように前記インバータを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記電圧蓄積手段及び負荷の両端の電圧を負荷電圧として該負荷電圧を目標値に近づけるように前記制御電圧の位相を制御する制御電圧位相制御手段を備えている発電装置であって、
前記コントローラは、前記交流発電機の相電圧の位相及び相電流の位相をそれぞれ検出する相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段と、前記負荷電圧が前記目標値よりも低いときに前記相電圧位相検出手段及び相電流位相検出手段による検出結果から同じ相の相電圧と相電流の位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段により検出された位相差を設定された判定値と比較して検出された位相差が判定値以下であるか否かを判定する位相差判定手段とを備え、
前記制御電圧位相制御手段は、前記負荷電圧が前記目標値を超えているときに前記制御電圧の位相を第1の角度だけ進角させ、前記負荷電圧が前記目標値に等しいとき及び前記負荷電圧が前記目標値未満で前記位相差が前記判定値以下であるときに前記制御電圧の位相を現在の位相に保持し、前記負荷電圧が前記目標値未満で前記位相差が判定値を超え、かつ前記相電圧が相電流よりも遅れているときに前記制御電圧の位相を第2の角度だけ進角させ、前記負荷電圧が前記目標値未満で前記位相差が前記判定値を超え、かつ前記相電圧が相電流よりも進んでいるときには前記制御電圧の位相を第3の角度だけ遅角させる制御を行うように構成されている発電装置。
【請求項4】
前記判定値は固定値である請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記判定値は前記交流発電機の回転速度に応じて決定される請求項3に記載の発電装置。
【請求項6】
前記第1の角度は固定値である請求項2,3,4または5に記載の発電装置。
【請求項7】
前記第1の角度は前記負荷電圧と前記目標値との偏差に応じて決定される角度である請求項2,3,4または5に記載の発電装置。
【請求項8】
前記第2の角度及び第3の角度は固定値である請求項2ないし7のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項9】
前記第2の角度及び第3の角度は前記相電圧と相電流の位相差に応じて決定される角度である請求項2ないし7のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項10】
前記交流発電機は磁石式交流発電機または界磁巻線を有する励磁式交流発電機である請求項1ないし9のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項11】
前記相電圧位相検出手段は、前記交流発電機の電機子巻線の少なくとも1つの相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されている請求項1ないし10のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項12】
前記相電圧位相検出手段は、前記コントローラがオン状態にするインバータのスイッチ素子の組合せを切り換えるタイミングから少なくとも1つの相の制御電圧の零クロス点を検出する制御相電圧零クロス点検出手段と、該制御相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されている請求項1ないし10のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項13】
前記相電圧位相検出手段は、前記交流発電機の電機子巻線の少なくとも1つの線間電圧の零クロス点を検出する線間相電圧零クロス点検出手段と、該線間相電圧零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されている請求項1ないし10のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項14】
前記相電圧位相検出手段は、前記交流発電機の電機子巻線の出力端子と前記インバータの直流側のいずれかの端子との間の電圧の零クロス点を検出する零クロス点検出手段と、該零クロス点検出手段が検出した零クロス点から少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点を検出する相電圧零クロス点検出手段と、該相電圧零クロス点検出手段により検出された少なくとも1つの相の相電圧の零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電圧位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電圧の位相角とするように構成されている請求項1ないし10のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項15】
前記相電流位相検出手段は、前記交流発電機の少なくとも1つの相の相電流の零クロス点を検出する相電流零クロス点検出手段と、該相電流零クロス点検出手段が検出した零クロス点の基準位相に対する位相角を演算する相電流位相角演算手段とを備えて、演算された位相角を少なくとも1つの相の相電流の位相角とするように構成されている請求項1ないし11のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項16】
前記相電流零クロス点検出手段は、インバータを構成するブリッジ回路の少なくとも1つの辺を流れる電流を少なくとも1つの相電流として検出して、該少なくとも1つの相の相電流の零クロス点を検出するように構成されている請求項15に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−100624(P2009−100624A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272388(P2007−272388)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】