発電電動機とこれを用いた電動車両
【課題】発電電動機の固定子周方向に亘って電機子巻線をバランス良く冷却させること。
【解決手段】ハウジング18の内径側に固設された固定子1と、軸受5で回転自在に支承された回転子130と、固定子鉄心110のティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、軸受5を介在して設けられたブラケット200には、冷却油の流れる通路201,202と、通路と連通して電機子巻線の巻線端部に対向する位置に冷却油を噴出する噴射孔204と、が設けられ、シャフト6の軸方向の両側に配されたブラケット200の噴射孔204から電機子巻線の巻線端部に向けて冷却油が噴出され、複数の噴射孔204からの油の流量分布は、シャフト6の高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定されること。ブラケット200に設けた噴射孔204の配設ピッチは、ブラケット200の垂直方向上部で密であり、シャフト6の高さ位置になるにしたがって次第に疎であること。
【解決手段】ハウジング18の内径側に固設された固定子1と、軸受5で回転自在に支承された回転子130と、固定子鉄心110のティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、軸受5を介在して設けられたブラケット200には、冷却油の流れる通路201,202と、通路と連通して電機子巻線の巻線端部に対向する位置に冷却油を噴出する噴射孔204と、が設けられ、シャフト6の軸方向の両側に配されたブラケット200の噴射孔204から電機子巻線の巻線端部に向けて冷却油が噴出され、複数の噴射孔204からの油の流量分布は、シャフト6の高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定されること。ブラケット200に設けた噴射孔204の配設ピッチは、ブラケット200の垂直方向上部で密であり、シャフト6の高さ位置になるにしたがって次第に疎であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界磁用の永久磁石を回転子に備えている発電電動機に関し、特に、高温環境下で駆動される電動車両用永久磁石式発電電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石式回転電機は、高残留磁束密度磁石の発展に伴い性能が飛躍的に向上し、あらゆる局面で採用されている。特に、昨今の環境規制の観点から、産業用、家電用電動機については高エネルギー効率が訴求されており永久磁石式電動機の適用比率が極めて高い傾向にある。
【0003】
また、車両用電動機においては、エンジンやトランスミッションに対する補助動力源として高効率なシステム構成が可能なため、永久磁石同期電動機の適用比率が高く、必須コンポーネントに位置付けられている。
【0004】
一方、建設機械車両においても環境配慮型への転換要求が厳しく、電動化による低燃費化が至上命題となっている。ここで、建設機械車両、とりわけ油圧ショベル用電動機は、発電電動機としてエンジン及び油圧ポンプの補助動力、及び車両内部に配設される全ての電機コンポーネントの電力供給を担う必要がある上、エンジンと油圧ポンプとの狭小空間に設置される構成から、必然的に小型化設計並びに高出力密度化設計(単位体積当たりの出力を高くする設計)にならざるを得ない。さらに、エンジンおよび油圧ポンプからの伝熱により、高温環境下で高出力運転されるため、冷却構成に配慮する必要がある。
【0005】
油圧ショベルに代表される建設機械車両に対して、冷却構成に配慮した発電電動機のコンセプトとしては、永久磁石式の同期機とすることで高効率で発熱量が少ない形で構成し得る。しかしながら、エンジンと油圧ポンプ間の狭小空間で、両者からの伝熱の影響を受けやすい環境下で駆動するためには、さらなる冷却手段の適用が必須となる。
【0006】
そこで、発電電動機を強制冷却する手段、特に油による直接冷却が最も好適であり、発電電動機に対して直接油冷する従来構造として、例えば特許文献1に提案がなされている。この特許文献1によれば、強制循環させた冷却油を、モータを保持するブラケットに設けた通油路を介してスロット中心部、即ちモータ巻線間に噴射させる構成としており、モータ軸方向に沿って巻線を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−57261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されている従来技術では、冷却油の噴出孔が軸方向において片側にしか存在せず、噴射した冷却油を巻線間に軸方向通流する構造であることから、巻線温度の軸方向分布にバラツキが生じる可能性がある。
【0009】
また、巻線間(スロット中心)に冷却油を噴射した場合、巻線の占積率が高いモータでは巻線が冷却路の障害となるため、軸方向への冷却油通流が制限を受け、各巻線毎の温度分布、つまり周方向の温度分布にもバラツキが生じ、局所加熱を起こす懸念もある。
【0010】
本発明の目的は、建設機械車両に適用される発電電動機であることを勘案して、高温環境下の狭小で制限された空間に配置された発電電動機の冷却効果を高めるとともに小型化・高出力密度化を達成させ、特に、発電電動機の固定子周方向に亘って電機子巻線をバランス良く冷却させる冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
ハウジングの内径側に固設された固定子と、前記固定子の内周側に対向配置されて軸受で回転自在に支承された回転子と、固定子鉄心のスロットに隣接したティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、前記軸受を介在して設けられたブラケットには、冷却媒体の流れる通路と、前記通路と連通して前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に前記冷却媒体を噴出する噴射孔と、が設けられ、前記シャフトの軸方向の両側に配された前記ブラケットの噴射孔から前記電機子巻線の巻線端部に向けて前記冷却媒体が噴出され、前記複数の噴射孔からの前記冷却媒体の流量分布は、前記シャフトの高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定される構成とする。
【0012】
また、前記発電電動機において、前記ブラケットに設けた噴射孔の配設ピッチは、前記ブラケットの垂直方向上部で密であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に疎であること。さらに、前記ブラケットに設けた噴射孔の孔径は、前記ブラケットの垂直方向上部で大であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に小であること。さらに、前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数は、前記ブラケットの垂直方向上部で多く、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少ないこと。さらに、前記発電電動機と、前記発電電動機のシャフトと連結する内燃機関部をもつエンジンと、前記発電電動機のシャフトと連結し前記エンジンと反対側に設置される油圧機構部をもつ油圧ポンプと、を備えた電動車両。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電電動機の電機子巻線を固定子周方向に亘ってバランス良く冷却することができ、冷却効果を高めることができる。また、発電電動機を油圧ショベル等の電動車両に適用した場合、高温環境で狭小空間に配置される条件下で必要とされる冷却効果を一層高めとともに小型化・高出力密度化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。
【図2】第1の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。
【図3】第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の位置との関係を示す断面図である。
【図4】第1の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと補助油溜め部の軸垂直方向の断面図であり、図1のA−A’断面矢視図である。
【図5】第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の孔径との関係を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の数及び孔径との関係を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。
【図9】第4の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジング内の冷却水路を示す軸方向の断面図である。
【図11】第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと冷却水路の軸垂直方向の断面図であり、図10のB−B’断面矢視図である。
【図12】本発明の第6の実施例に係る発電電動機における補助油溜め部の構造を示す軸方向の断面図である。
【図13】本発明の第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルの外観を示す見取図である。
【図14】第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルが傾斜地で作業する状況を表す図である。
【図15】第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルにおけるエンジン室の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る発電電動機及びこれを用いた電動車両について、以下に示す実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例に係る発電電動機について、図1〜図5を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。図2は第1の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。図3は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の位置との関係を示す断面図である。図4は第1の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと補助油溜め部の軸垂直方向の断面図であり、図1のA−A’断面矢視図である。図5は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。
【0017】
図1において、回転子130は、シャフト6上に設けられた回転子鉄心131の内部に、複数の磁石挿入孔132とその内部に設けられた永久磁石133を配置して構成している。ここで、永久磁石133は、希土類を主成分とする平板の焼結磁石である。また、ブラケット200(200A,200Bからなる)には軸受5A,5Bが固設され、軸受5A,5Bにシャフト6が回転自在に支承されていて、回転子130は軸受5A,5Bに回転自在に支持される。
【0018】
図1及び図3において、固定子1は、固定子鉄心110に設けられた多数の固定子スロット111を設けている(本実施例では12個)。スロット111内には、U相コイル、V相コイル、W相コイル各々の相に対応した電機子巻線14を埋設しており、複数本の絶縁された銅素線(図示せず)を束状にして一本のコイルを形成しており、このコイルを少なくとも1ターン以上巻装している。また、電機子巻線14はスロット111に隣接するティース112を取り囲むように集中巻に巻回されており、巻線の脱落を防止するためにティース112の内周側端部に磁極片113を設けている。磁極片113間にはスロット開口部114が設けられており、このスロット114から銅素線を挿入することで電機子巻線14を形成する。
【0019】
図1及び図4において、固定子1は、円筒状のハウジング18の内周側に焼嵌めまたは圧入により固設している。また、ハウジング18には、主油溜め部7と中央部分に設けられた細孔16を介して連通する補助油溜め部8(8A,8Bからなる)が、固定子鉄心110の外周側で且つ軸方向外側に2箇所設けられており、冷却油10で満たされている。ここで、冷却油10の油面は、回転子130の外径に接する程度が望ましいが、それ以下でも構成可能である。
【0020】
図1及び図2及び図3において、ブラケット200には、垂直方向上部に設けた通油路201と連通した通油溝202が同心円状に設けられている。また、油噴射孔204を設けたリング203が、通油溝202に蓋をするように固定される。ここで、リング203に設けられた油噴射孔204は、ティース112と等ピッチに配置され、電機子巻線14(詳しく云えば、巻線端部:コイルエンド)と対向するように設けており、ブラケット200の垂直方向上部で密(本実施例では5個)、水平方向で疎(本実施例では0個)となるように構成している。なお、油噴出孔204はリング203に限らず、ブラケット200に設けてもよい。さらに、図3の例示に限らず、電機子巻線14の巻線端部が多数存在する場合には、垂直方向上部において巻線端部毎に噴射孔204を設け、それより下部では2つの巻線端部毎に噴射孔204を設け、さらにシャフト6と同レベルの高さでは3つの巻線端部毎に噴射孔204を設けてもよい。
【0021】
換言すると、両側のブラケット200Aと200Bから電機子巻線14の巻線端部に向けて、複数の噴射孔204から冷却油10を噴出する冷却油の流量分布は、シャフト6の高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定されるのである。本実施例ではこの設定の手法を噴射孔204の数で規定している。なお、上述した冷却油の流量分布の設定手法は他の実施例においても共通している。
【0022】
ここで、図3に図示する構成例では、リング203の水平部分に加えてリング203の下方部分にも油噴出孔204は設けられていない。詳細は後述するが、リング203の水平部分並びに下方部分に対応する電機子巻線は、上方部分の油噴射孔204から噴射した冷却油が流下してくることで冷却されることになる。
【0023】
また、油配管300は、補助油溜め部8A,8Bとオイルポンプ301間と、オイルポンプ301とオイルクーラ302間と、オイルクーラ302とブラケット200に設けた通油路201間とをそれぞれ連結している。このように連結することで、補助油溜め部8A,8Bに貯蔵された冷却油10を、オイルポンプ301にて汲み上げ、オイルクーラ302で冷却した後に、通油路201A,202Bへと循環できる。ここで、通油路201A,201Bは、通油溝202A,202B、リング203A,203Bに設けた油噴射孔204A,204Bと連通しているため、電機子巻線14に軸方向の両側から噴射させることができる。
【0024】
図5は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。図5は、本実施例の温度分布を比較例の温度分布と対比させて図解しており、比較例の冷却方法における最大温度を100%として、基準化して図示している。ここで、比較例の冷却方法は、リング203に設けた噴射孔204を等間隔で全周に配した場合である。
【0025】
図5から分かるように、比較例の冷却方法の場合、電機子巻線での温度分布の差異が最大で約90%程度生じており、特に電機子巻線周方向位置での0°(ブラケット200の垂直方向最上部に相当)と90°,270°(ブラケット200の水平方向に相当)との差異が顕著であることが分かった。この原因を分析すると、油噴射孔204での圧力分布は、上方部のみに噴射孔のある本実施例に対して、比較例では全周に噴射孔が存在することで上方部の噴射孔で低くなり(本実施例では固定子の下半分に噴射孔がないので上方部の噴射孔の圧力分布は高くなる)、噴射流量が低減するため、0°近傍では温度が高くなること、また、水平方向では、噴射孔からの冷却油に加え、垂直方向上部から流下される冷却油での相乗した冷却がなされているためであると考えられる。
【0026】
本実施例では、発電電動機12を前述した構成とした結果、図5の実線に示すように、周方向の温度分布の差異は大きく減少し、概ね均一な温度分布となっている。この理由を説明すると、リング203に設けた噴射孔204は、ティース112と等ピッチに、かつ電機子巻線14と対向するように設けると共に、ブラケット200の垂直方向上部で密、水平方向で疎となるように構成しているため、垂直方向上部の電機子巻線14に直接に(発熱体であるコイルエンドを直接冷却)、冷却油を集中的に且つ大量に噴射でき、電機子巻線周方向位置での0°付近の温度を低減できる。
【0027】
また、水平方向(周方向位置90°,270°付近)には噴射孔204を配していないため、垂直方向上部から流下してくる冷却油のみでの冷却となり、結果として周方向に均一な冷却がなされるのである。ここで、上述した効果は、リング203は軸方向両側に配しているので(図1に示す左右両側に配置された油噴射孔204Aと204Bとを参照)、軸方向両側で同様に得られることは言うまでも無い。
【0028】
さらに、本実施例では、噴射させる冷却油の流量は上方部では多くなるが側方部では僅少にしたので、全体流量として最低限に抑えることが出来るため、オイルポンプ301の動力を低減でき、駆動システムの省エネルギー化に貢献できるメリットがある。
【0029】
また、本実施例の他の特徴としては、循環させる冷却油10を、補助油溜め部8から汲み上げている点にある。すなわち、冷却油10を貯蔵する油溜め部が、細孔16で連通された主油溜め部7と、補助油溜め部8とで構成されており、油配管300を補助油溜め部8に挿入しているので、電動建設機械(図示せず)が傾斜地で作業をし、主油溜め部7の油面が傾いたとしても、安定して冷却油10を循環させることが可能となる。さらに説明すると、本実施例に係る発電電動機を搭載した油圧ショベル又はホイールローダ(以下、油圧ショベルで代表させる)が前後左右に傾いた場合にも、冷却油循環が可能なように、補助油溜め部8の中央部分に細孔16(小径の通路)を設ける。細孔16を設けることで油圧ショベルが傾斜しても、補助油溜めん部8内に空気が入り込まないようにしている。換言すると、発電電動機が傾斜しても、補助油溜め部8に空気が入り込まないような高さと位置に細孔16を設けている。
【0030】
なお、本実施例に係る発電電動機と油圧ショベルとの関係については、図13〜図15の説明で詳述することとする。因みに、図15において、発電電動機50は、内燃機関部512とフライホイール511からなるエンジン51と、ギア521と油圧機構部522とで形成される油圧ポンプ52と、の間の制限された狭小な空間に設置されるものであって、油圧ポンプ52を駆動するに必要な動力をエンジン51と併せて補助する電動機としての機能と、エンジン51の機械的出力を電気的出力に変換し、他の電気機器(図示せず)への電力供給を賄う発電機としての機能とを担うものである。
【0031】
以上の説明により、図1〜図5に示す発電電動機構成とすることで、固定子に巻かれた電機子巻線を固定子周方向でバランス良く冷却でき、冷却効果の高い電動建設機械用発電電動機の冷却構成を提供できる。
【実施例2】
【0032】
本発明の第2の実施例に係る発電電動機について図6を参照しながら以下説明する。図6は第2の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の孔径との関係を示す断面図である。図6において、図3と同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0033】
第2の実施例が図3に示す第1の実施例と異なる点は、リング203に設けた油噴射孔204の孔径が、垂直方向上部で大、水平方向で小、垂直方向下部で小となるように、全周に設けられている点にある。第2の実施例は、換言すると、ブラケット200に設けた噴射孔204の孔径を、ブラケット200の垂直方向上部で大にし、シャフト6の高さ位置になるにしたがって次第に小にする例である。
【0034】
図6の図示例では、リング203の水平方向及び垂直方向下部に小孔を設け、これらの小孔からの油による冷却とともに、垂直方向上部から流下される冷却油による冷却とによって、垂直方向上部に対向する電機子巻線14と同等の冷却効果が得られる。図6において、リング203の最下部には小孔を設けていないが、図6に示す構成は、本実施例で云う全周に孔径の異なる油噴射孔を設けるという技術思想の範囲内に属する。
【実施例3】
【0035】
本発明の第3の実施例に係る発電電動機について図7を参照しながら以下説明する。図7は第3の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の数及び孔径との関係を示す断面図である。図7において、図3と同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0036】
第3の実施例が図3に示す第1の実施例と異なる点は、リング203に設けた油噴射孔204の数が垂直方向上部で多数設け、水平方向で少なくしていると共に、油噴射孔204の孔径を、垂直方向上部で大、水平方向で小となるように設けられている点にある。
【0037】
なお、図7の図示例は、噴射孔の数が多い場合は噴射孔の孔径を大きくし、噴射孔の数が少ない場合は噴射孔の孔径を小さくするものであるが、これに限らず、孔径の大小を限定せずに、電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数を、ブラケットの垂直方向上部で多くし、シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少なくする構成例でもよい。
【0038】
図7に示す構成によれば、図3と同様の効果が得られるとともに、特に、垂直方向上部の冷却効果を更に高めることができる。
【実施例4】
【0039】
本発明の第4の実施例に係る発電電動機について図8と図9を参照しながら以下説明する。図8は本発明の第4の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図であり、図9は第4の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。図8及び図9において、図1及び図2に示す同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0040】
図8及び図9に示す第4の実施例が図1及び図2に示す第1の実施例と異なる点は、ブラケット200に設けた通油溝202と、リング203を、垂直方向上部から水平方向にかけて円弧状となるように構成し、加えて、主油溜め部7に貯蔵された冷却油10の油面を、固定子1の内径までに設定(図9を参照)している点にある。
【0041】
図8及び図9に示すように構成すれば、垂直方向上部における電機子巻線14の冷却効果は図1及び図2と同様に得られる。垂直方向下部での冷却は、主油溜め部7の油と、上方から流下してきた油とによって冷却する構成となるので、オイルポンプ301の循環圧力をより小さくできるため、駆動システムの消費エネルギーをより低減することが可能となる。
【実施例5】
【0042】
本発明の第5の実施例に係る発電電動機について図10及び図11を参照しながら以下説明する。図10は本発明の第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジング内の冷却水路を示す軸方向の断面図であり、図11は第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと冷却水路の軸垂直方向の断面図であり、図10のB−B’断面矢視図である。図10及び図11において、図1と同一構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0043】
第5の実施例が図1に示す第1の実施例と異なる点は、ハウジング18に冷却水路9設けた点にある。ここで、冷却水路9は、ハウジング18の周方向に環状経路を形成していて、外部のウォータポンプ401で水が循環され、ウォータクーラ402で水が冷やされて、循環経路を形成している。
【0044】
第5の実施例における冷却水路9は、固定子鉄心110の外径側に配設けられているため、固定子鉄心110にて発生した鉄損を冷却できるとともに、電機子巻線14にて生じた銅損も固定子鉄心110を介して間接的に冷却できる。また、ハウジング18底部においては、補助油溜め部8に貯蔵された冷却油10の冷却にも寄与できる。
【0045】
換言すると、冷却水路9の冷却水は、固定子1と冷却油10を間接冷却できるので、発電電動機の効率向上や、オイルポンプ301で循環する冷却油流量の更なる低減により、駆動システムの省エネルギー化、燃料消費量の低減に寄与できる。また、オイルクーラ302の小型化や排除も可能となり、システムとしてのコンパクト化、部品点数の削減に伴う信頼性向上に寄与できる。
【実施例6】
【0046】
本発明の第6の実施例に係る発電電動機について図12を参照しながら以下説明する。図12は本発明の第6の実施例に係る発電電動機における補助油溜め部の構造を示す軸方向の断面図である。図12において、図1と同一構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0047】
本発明の第6の実施例が図1に示す第1の実施例と異なる点は、ハウジング18の底部に設けた補助油溜め部8を単一の構造とした点にある。
【0048】
図11に示す第5の実施例の構成にすれば、本実施例に係る発電電動機を搭載した電動車両が傾斜したときでも、冷却油の油面変化の影響を更に小さくでき、安定した冷却油循環が可能となることに加え、油配管300の分岐箇所を低減できるので、油配管300の簡素化、接続箇所の削減に伴う信頼性向上に寄与できる。
【実施例7】
【0049】
本発明の第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルについて、図13〜図15を参照しながら以下説明する。図13は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルの外観を示す見取図であり、図14は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルが傾斜地で作業する状況を表す図であり、図15は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルにおけるエンジン室の断面構成図である。
【0050】
図13〜図15において、油圧ショベルは、走行体41と、走行体41上に旋回可能に設けた旋回体42と、旋回体42の前方左側に設けた運転室43と、旋回体42上に横置きに配置したエンジン室44と、旋回体42の後部に設けたカウンタウェイト45と、旋回体42の前部に設けられ、ブーム461、アーム462、及びバケット463からなる多関節型フロント装置46と、から構成されている。
【0051】
走行体41は、左右に無限軌道履帯411を備えていて、それぞれ走行用モータ412の駆動力によって駆動される。エンジン室44及び多関節型フロント装置46等を備えた旋回体42は、旋回体42の中心部に設けた不図示の旋回用モータにより走行体41に対して旋回される。多関節型フロント装置46を構成するブーム461、アーム462及びバケット463は、それらにそれぞれ設けたブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダ47によって駆動動作される。
【0052】
上述した各種シリンダ47、走行用モータ412及び旋回モータは、油圧アクチュエータを用いており、運転室43内の操作者による操作に応動して、エンジン室44内のエンジン51及び/又は発電電動機50によって駆動される油圧ポンプ52(図15を参照)からの圧油を制御する制御弁装置からの圧油により、駆動されるようになっている。
【0053】
ここで、第7の実施例に係る発電電動機50は、図1〜図12に示す構成のものを用い、油圧ポンプ52の駆動源として油圧ショベルに適用される場合の構成であり、図1に示す発電電動機のブラケット200の側面200Aと側面200Bに、それぞれ、フライホイール511と内燃機関部512からなるエンジン51と、ギヤ521と油圧機構部522からなる油圧ポンプ52と、がシャフト6を介在して配設される。すなわち、本実施例に使用される発電電動機50が、そのブラケット200Aと200Bを通して、エンジン51と油圧ポンプ52に挟まれて配設される構成である。
【0054】
エンジン室44は、エンジン51と、発電電動機50と、油圧ポンプ52とを備えているが、それ以外に、エンジン51の冷却水を冷却するラジエータ56と、ラジエータ56を冷却する冷却風Pを生起する冷却ファン57と、空気流(冷却風)Pを取り入れ冷却ファン57に導入する吸込口70と、空気流Pを外部に排出する吐出口71と、吸音体72と、エンジン51の回転を冷却ファン57に伝達するクランク軸58、ファンベルト59、補助回転軸60と、エンジン51を設置する振動減衰手段55、フレーム54と、エンジン51からの排気ガスを消音するマフラー73と、各構成要素を覆うカバー(上カバー531、吸込側横カバー532、下カバー533、吐出側横カバー534)と、を主として備えている。このように、第7の実施例に係る発電電動機50は、油圧ショベルにおいて旋回体42上のエンジン室44に図15に示すように各構成要素と関連して配置されるものである。
【0055】
第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルは、図14に示すように、傾斜地49で掘削作業をする場合に、まず傾斜地49上を走行体41が上昇していき、次いで旋回体42を旋回させてエンジン室44を横向きに配置させて作業を実施する。図14に示す作業例では、本実施例の発電電動機はシャフト(軸)6が水平ではなく傾斜した状態となる。
【0056】
油圧ショベルに搭載した発電電動機50におけるシャフト(軸)6が作業で傾斜したとしても、補助油溜め部8を主油溜め部7の下方に設置し且つ発電電動機の下方部に配置することによって(図4を参照)、図1、図9及び図10に示す補助油溜め部8から油が漏れ出て油配管301への吸い上げ不良を来たすことがないようにしている。
【符号の説明】
【0057】
1…固定子、10…冷却油、110…固定子鉄心、111…スロット、112…ティース、113…磁極片、114…スロット開口部、12…発電電動機、
130…回転子、131…回転子鉄心、132…磁石挿入孔、133…永久磁石、14…電機子巻線、16…細孔、18…ハウジング、
200…ブラケット、201…通油路、202…通油溝、203…リング、204…油噴射孔、300…油配管、301…オイルポンプ、302…オイルクーラ、401…ウォータポンプ、402…ウォータクーラ
41…走行体、411…無限軌道履帯、412…走行用モータ、42…旋回体、43…運転室、44…エンジン室、45…カウンタウェイト、46…多関節型フロント装置、461…ブーム、462…アーム、463…バケット、47…シリンダ、49…傾斜地、
5…軸受、50…発電電動機、51…エンジン、511…フライホイール、512…内燃機関部、52…油圧ポンプ、521…ギヤ、522…油圧機構部、531…上カバー、532…吸込側横カバー、533…下カバー、534…吐出側横カバー、54…フレーム、55…振動減衰手段、56…ラジエータ、57…冷却ファン、58…クランク軸、59…ファンベルト、
6…シャフト、60…補助回転軸、7…主油溜め部、70…吸込口、71…吐出口、72…吸音体、73…マフラー、8…補助油溜め部、9…冷却水路、P…空気流(冷却風)、
【技術分野】
【0001】
本発明は、界磁用の永久磁石を回転子に備えている発電電動機に関し、特に、高温環境下で駆動される電動車両用永久磁石式発電電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石式回転電機は、高残留磁束密度磁石の発展に伴い性能が飛躍的に向上し、あらゆる局面で採用されている。特に、昨今の環境規制の観点から、産業用、家電用電動機については高エネルギー効率が訴求されており永久磁石式電動機の適用比率が極めて高い傾向にある。
【0003】
また、車両用電動機においては、エンジンやトランスミッションに対する補助動力源として高効率なシステム構成が可能なため、永久磁石同期電動機の適用比率が高く、必須コンポーネントに位置付けられている。
【0004】
一方、建設機械車両においても環境配慮型への転換要求が厳しく、電動化による低燃費化が至上命題となっている。ここで、建設機械車両、とりわけ油圧ショベル用電動機は、発電電動機としてエンジン及び油圧ポンプの補助動力、及び車両内部に配設される全ての電機コンポーネントの電力供給を担う必要がある上、エンジンと油圧ポンプとの狭小空間に設置される構成から、必然的に小型化設計並びに高出力密度化設計(単位体積当たりの出力を高くする設計)にならざるを得ない。さらに、エンジンおよび油圧ポンプからの伝熱により、高温環境下で高出力運転されるため、冷却構成に配慮する必要がある。
【0005】
油圧ショベルに代表される建設機械車両に対して、冷却構成に配慮した発電電動機のコンセプトとしては、永久磁石式の同期機とすることで高効率で発熱量が少ない形で構成し得る。しかしながら、エンジンと油圧ポンプ間の狭小空間で、両者からの伝熱の影響を受けやすい環境下で駆動するためには、さらなる冷却手段の適用が必須となる。
【0006】
そこで、発電電動機を強制冷却する手段、特に油による直接冷却が最も好適であり、発電電動機に対して直接油冷する従来構造として、例えば特許文献1に提案がなされている。この特許文献1によれば、強制循環させた冷却油を、モータを保持するブラケットに設けた通油路を介してスロット中心部、即ちモータ巻線間に噴射させる構成としており、モータ軸方向に沿って巻線を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−57261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されている従来技術では、冷却油の噴出孔が軸方向において片側にしか存在せず、噴射した冷却油を巻線間に軸方向通流する構造であることから、巻線温度の軸方向分布にバラツキが生じる可能性がある。
【0009】
また、巻線間(スロット中心)に冷却油を噴射した場合、巻線の占積率が高いモータでは巻線が冷却路の障害となるため、軸方向への冷却油通流が制限を受け、各巻線毎の温度分布、つまり周方向の温度分布にもバラツキが生じ、局所加熱を起こす懸念もある。
【0010】
本発明の目的は、建設機械車両に適用される発電電動機であることを勘案して、高温環境下の狭小で制限された空間に配置された発電電動機の冷却効果を高めるとともに小型化・高出力密度化を達成させ、特に、発電電動機の固定子周方向に亘って電機子巻線をバランス良く冷却させる冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
ハウジングの内径側に固設された固定子と、前記固定子の内周側に対向配置されて軸受で回転自在に支承された回転子と、固定子鉄心のスロットに隣接したティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、前記軸受を介在して設けられたブラケットには、冷却媒体の流れる通路と、前記通路と連通して前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に前記冷却媒体を噴出する噴射孔と、が設けられ、前記シャフトの軸方向の両側に配された前記ブラケットの噴射孔から前記電機子巻線の巻線端部に向けて前記冷却媒体が噴出され、前記複数の噴射孔からの前記冷却媒体の流量分布は、前記シャフトの高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定される構成とする。
【0012】
また、前記発電電動機において、前記ブラケットに設けた噴射孔の配設ピッチは、前記ブラケットの垂直方向上部で密であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に疎であること。さらに、前記ブラケットに設けた噴射孔の孔径は、前記ブラケットの垂直方向上部で大であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に小であること。さらに、前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数は、前記ブラケットの垂直方向上部で多く、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少ないこと。さらに、前記発電電動機と、前記発電電動機のシャフトと連結する内燃機関部をもつエンジンと、前記発電電動機のシャフトと連結し前記エンジンと反対側に設置される油圧機構部をもつ油圧ポンプと、を備えた電動車両。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電電動機の電機子巻線を固定子周方向に亘ってバランス良く冷却することができ、冷却効果を高めることができる。また、発電電動機を油圧ショベル等の電動車両に適用した場合、高温環境で狭小空間に配置される条件下で必要とされる冷却効果を一層高めとともに小型化・高出力密度化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。
【図2】第1の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。
【図3】第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の位置との関係を示す断面図である。
【図4】第1の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと補助油溜め部の軸垂直方向の断面図であり、図1のA−A’断面矢視図である。
【図5】第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の孔径との関係を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の数及び孔径との関係を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。
【図9】第4の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジング内の冷却水路を示す軸方向の断面図である。
【図11】第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと冷却水路の軸垂直方向の断面図であり、図10のB−B’断面矢視図である。
【図12】本発明の第6の実施例に係る発電電動機における補助油溜め部の構造を示す軸方向の断面図である。
【図13】本発明の第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルの外観を示す見取図である。
【図14】第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルが傾斜地で作業する状況を表す図である。
【図15】第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルにおけるエンジン室の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る発電電動機及びこれを用いた電動車両について、以下に示す実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例に係る発電電動機について、図1〜図5を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。図2は第1の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図である。図3は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の位置との関係を示す断面図である。図4は第1の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと補助油溜め部の軸垂直方向の断面図であり、図1のA−A’断面矢視図である。図5は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。
【0017】
図1において、回転子130は、シャフト6上に設けられた回転子鉄心131の内部に、複数の磁石挿入孔132とその内部に設けられた永久磁石133を配置して構成している。ここで、永久磁石133は、希土類を主成分とする平板の焼結磁石である。また、ブラケット200(200A,200Bからなる)には軸受5A,5Bが固設され、軸受5A,5Bにシャフト6が回転自在に支承されていて、回転子130は軸受5A,5Bに回転自在に支持される。
【0018】
図1及び図3において、固定子1は、固定子鉄心110に設けられた多数の固定子スロット111を設けている(本実施例では12個)。スロット111内には、U相コイル、V相コイル、W相コイル各々の相に対応した電機子巻線14を埋設しており、複数本の絶縁された銅素線(図示せず)を束状にして一本のコイルを形成しており、このコイルを少なくとも1ターン以上巻装している。また、電機子巻線14はスロット111に隣接するティース112を取り囲むように集中巻に巻回されており、巻線の脱落を防止するためにティース112の内周側端部に磁極片113を設けている。磁極片113間にはスロット開口部114が設けられており、このスロット114から銅素線を挿入することで電機子巻線14を形成する。
【0019】
図1及び図4において、固定子1は、円筒状のハウジング18の内周側に焼嵌めまたは圧入により固設している。また、ハウジング18には、主油溜め部7と中央部分に設けられた細孔16を介して連通する補助油溜め部8(8A,8Bからなる)が、固定子鉄心110の外周側で且つ軸方向外側に2箇所設けられており、冷却油10で満たされている。ここで、冷却油10の油面は、回転子130の外径に接する程度が望ましいが、それ以下でも構成可能である。
【0020】
図1及び図2及び図3において、ブラケット200には、垂直方向上部に設けた通油路201と連通した通油溝202が同心円状に設けられている。また、油噴射孔204を設けたリング203が、通油溝202に蓋をするように固定される。ここで、リング203に設けられた油噴射孔204は、ティース112と等ピッチに配置され、電機子巻線14(詳しく云えば、巻線端部:コイルエンド)と対向するように設けており、ブラケット200の垂直方向上部で密(本実施例では5個)、水平方向で疎(本実施例では0個)となるように構成している。なお、油噴出孔204はリング203に限らず、ブラケット200に設けてもよい。さらに、図3の例示に限らず、電機子巻線14の巻線端部が多数存在する場合には、垂直方向上部において巻線端部毎に噴射孔204を設け、それより下部では2つの巻線端部毎に噴射孔204を設け、さらにシャフト6と同レベルの高さでは3つの巻線端部毎に噴射孔204を設けてもよい。
【0021】
換言すると、両側のブラケット200Aと200Bから電機子巻線14の巻線端部に向けて、複数の噴射孔204から冷却油10を噴出する冷却油の流量分布は、シャフト6の高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定されるのである。本実施例ではこの設定の手法を噴射孔204の数で規定している。なお、上述した冷却油の流量分布の設定手法は他の実施例においても共通している。
【0022】
ここで、図3に図示する構成例では、リング203の水平部分に加えてリング203の下方部分にも油噴出孔204は設けられていない。詳細は後述するが、リング203の水平部分並びに下方部分に対応する電機子巻線は、上方部分の油噴射孔204から噴射した冷却油が流下してくることで冷却されることになる。
【0023】
また、油配管300は、補助油溜め部8A,8Bとオイルポンプ301間と、オイルポンプ301とオイルクーラ302間と、オイルクーラ302とブラケット200に設けた通油路201間とをそれぞれ連結している。このように連結することで、補助油溜め部8A,8Bに貯蔵された冷却油10を、オイルポンプ301にて汲み上げ、オイルクーラ302で冷却した後に、通油路201A,202Bへと循環できる。ここで、通油路201A,201Bは、通油溝202A,202B、リング203A,203Bに設けた油噴射孔204A,204Bと連通しているため、電機子巻線14に軸方向の両側から噴射させることができる。
【0024】
図5は第1の実施例に係る発電電動機における電機子巻線の温度分布の測定結果を示す図である。図5は、本実施例の温度分布を比較例の温度分布と対比させて図解しており、比較例の冷却方法における最大温度を100%として、基準化して図示している。ここで、比較例の冷却方法は、リング203に設けた噴射孔204を等間隔で全周に配した場合である。
【0025】
図5から分かるように、比較例の冷却方法の場合、電機子巻線での温度分布の差異が最大で約90%程度生じており、特に電機子巻線周方向位置での0°(ブラケット200の垂直方向最上部に相当)と90°,270°(ブラケット200の水平方向に相当)との差異が顕著であることが分かった。この原因を分析すると、油噴射孔204での圧力分布は、上方部のみに噴射孔のある本実施例に対して、比較例では全周に噴射孔が存在することで上方部の噴射孔で低くなり(本実施例では固定子の下半分に噴射孔がないので上方部の噴射孔の圧力分布は高くなる)、噴射流量が低減するため、0°近傍では温度が高くなること、また、水平方向では、噴射孔からの冷却油に加え、垂直方向上部から流下される冷却油での相乗した冷却がなされているためであると考えられる。
【0026】
本実施例では、発電電動機12を前述した構成とした結果、図5の実線に示すように、周方向の温度分布の差異は大きく減少し、概ね均一な温度分布となっている。この理由を説明すると、リング203に設けた噴射孔204は、ティース112と等ピッチに、かつ電機子巻線14と対向するように設けると共に、ブラケット200の垂直方向上部で密、水平方向で疎となるように構成しているため、垂直方向上部の電機子巻線14に直接に(発熱体であるコイルエンドを直接冷却)、冷却油を集中的に且つ大量に噴射でき、電機子巻線周方向位置での0°付近の温度を低減できる。
【0027】
また、水平方向(周方向位置90°,270°付近)には噴射孔204を配していないため、垂直方向上部から流下してくる冷却油のみでの冷却となり、結果として周方向に均一な冷却がなされるのである。ここで、上述した効果は、リング203は軸方向両側に配しているので(図1に示す左右両側に配置された油噴射孔204Aと204Bとを参照)、軸方向両側で同様に得られることは言うまでも無い。
【0028】
さらに、本実施例では、噴射させる冷却油の流量は上方部では多くなるが側方部では僅少にしたので、全体流量として最低限に抑えることが出来るため、オイルポンプ301の動力を低減でき、駆動システムの省エネルギー化に貢献できるメリットがある。
【0029】
また、本実施例の他の特徴としては、循環させる冷却油10を、補助油溜め部8から汲み上げている点にある。すなわち、冷却油10を貯蔵する油溜め部が、細孔16で連通された主油溜め部7と、補助油溜め部8とで構成されており、油配管300を補助油溜め部8に挿入しているので、電動建設機械(図示せず)が傾斜地で作業をし、主油溜め部7の油面が傾いたとしても、安定して冷却油10を循環させることが可能となる。さらに説明すると、本実施例に係る発電電動機を搭載した油圧ショベル又はホイールローダ(以下、油圧ショベルで代表させる)が前後左右に傾いた場合にも、冷却油循環が可能なように、補助油溜め部8の中央部分に細孔16(小径の通路)を設ける。細孔16を設けることで油圧ショベルが傾斜しても、補助油溜めん部8内に空気が入り込まないようにしている。換言すると、発電電動機が傾斜しても、補助油溜め部8に空気が入り込まないような高さと位置に細孔16を設けている。
【0030】
なお、本実施例に係る発電電動機と油圧ショベルとの関係については、図13〜図15の説明で詳述することとする。因みに、図15において、発電電動機50は、内燃機関部512とフライホイール511からなるエンジン51と、ギア521と油圧機構部522とで形成される油圧ポンプ52と、の間の制限された狭小な空間に設置されるものであって、油圧ポンプ52を駆動するに必要な動力をエンジン51と併せて補助する電動機としての機能と、エンジン51の機械的出力を電気的出力に変換し、他の電気機器(図示せず)への電力供給を賄う発電機としての機能とを担うものである。
【0031】
以上の説明により、図1〜図5に示す発電電動機構成とすることで、固定子に巻かれた電機子巻線を固定子周方向でバランス良く冷却でき、冷却効果の高い電動建設機械用発電電動機の冷却構成を提供できる。
【実施例2】
【0032】
本発明の第2の実施例に係る発電電動機について図6を参照しながら以下説明する。図6は第2の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の孔径との関係を示す断面図である。図6において、図3と同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0033】
第2の実施例が図3に示す第1の実施例と異なる点は、リング203に設けた油噴射孔204の孔径が、垂直方向上部で大、水平方向で小、垂直方向下部で小となるように、全周に設けられている点にある。第2の実施例は、換言すると、ブラケット200に設けた噴射孔204の孔径を、ブラケット200の垂直方向上部で大にし、シャフト6の高さ位置になるにしたがって次第に小にする例である。
【0034】
図6の図示例では、リング203の水平方向及び垂直方向下部に小孔を設け、これらの小孔からの油による冷却とともに、垂直方向上部から流下される冷却油による冷却とによって、垂直方向上部に対向する電機子巻線14と同等の冷却効果が得られる。図6において、リング203の最下部には小孔を設けていないが、図6に示す構成は、本実施例で云う全周に孔径の異なる油噴射孔を設けるという技術思想の範囲内に属する。
【実施例3】
【0035】
本発明の第3の実施例に係る発電電動機について図7を参照しながら以下説明する。図7は第3の実施例に係る発電電動機における電機子巻線と油噴射孔の数及び孔径との関係を示す断面図である。図7において、図3と同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0036】
第3の実施例が図3に示す第1の実施例と異なる点は、リング203に設けた油噴射孔204の数が垂直方向上部で多数設け、水平方向で少なくしていると共に、油噴射孔204の孔径を、垂直方向上部で大、水平方向で小となるように設けられている点にある。
【0037】
なお、図7の図示例は、噴射孔の数が多い場合は噴射孔の孔径を大きくし、噴射孔の数が少ない場合は噴射孔の孔径を小さくするものであるが、これに限らず、孔径の大小を限定せずに、電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数を、ブラケットの垂直方向上部で多くし、シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少なくする構成例でもよい。
【0038】
図7に示す構成によれば、図3と同様の効果が得られるとともに、特に、垂直方向上部の冷却効果を更に高めることができる。
【実施例4】
【0039】
本発明の第4の実施例に係る発電電動機について図8と図9を参照しながら以下説明する。図8は本発明の第4の実施例に係る発電電動機におけるブラケット内の油通路を示す分解図であり、図9は第4の実施例に係る発電電動機の全体構成を示す軸方向の断面図である。図8及び図9において、図1及び図2に示す同一の構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0040】
図8及び図9に示す第4の実施例が図1及び図2に示す第1の実施例と異なる点は、ブラケット200に設けた通油溝202と、リング203を、垂直方向上部から水平方向にかけて円弧状となるように構成し、加えて、主油溜め部7に貯蔵された冷却油10の油面を、固定子1の内径までに設定(図9を参照)している点にある。
【0041】
図8及び図9に示すように構成すれば、垂直方向上部における電機子巻線14の冷却効果は図1及び図2と同様に得られる。垂直方向下部での冷却は、主油溜め部7の油と、上方から流下してきた油とによって冷却する構成となるので、オイルポンプ301の循環圧力をより小さくできるため、駆動システムの消費エネルギーをより低減することが可能となる。
【実施例5】
【0042】
本発明の第5の実施例に係る発電電動機について図10及び図11を参照しながら以下説明する。図10は本発明の第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジング内の冷却水路を示す軸方向の断面図であり、図11は第5の実施例に係る発電電動機におけるハウジングと冷却水路の軸垂直方向の断面図であり、図10のB−B’断面矢視図である。図10及び図11において、図1と同一構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0043】
第5の実施例が図1に示す第1の実施例と異なる点は、ハウジング18に冷却水路9設けた点にある。ここで、冷却水路9は、ハウジング18の周方向に環状経路を形成していて、外部のウォータポンプ401で水が循環され、ウォータクーラ402で水が冷やされて、循環経路を形成している。
【0044】
第5の実施例における冷却水路9は、固定子鉄心110の外径側に配設けられているため、固定子鉄心110にて発生した鉄損を冷却できるとともに、電機子巻線14にて生じた銅損も固定子鉄心110を介して間接的に冷却できる。また、ハウジング18底部においては、補助油溜め部8に貯蔵された冷却油10の冷却にも寄与できる。
【0045】
換言すると、冷却水路9の冷却水は、固定子1と冷却油10を間接冷却できるので、発電電動機の効率向上や、オイルポンプ301で循環する冷却油流量の更なる低減により、駆動システムの省エネルギー化、燃料消費量の低減に寄与できる。また、オイルクーラ302の小型化や排除も可能となり、システムとしてのコンパクト化、部品点数の削減に伴う信頼性向上に寄与できる。
【実施例6】
【0046】
本発明の第6の実施例に係る発電電動機について図12を参照しながら以下説明する。図12は本発明の第6の実施例に係る発電電動機における補助油溜め部の構造を示す軸方向の断面図である。図12において、図1と同一構成要素には同一符号を付け、重複説明は避ける。
【0047】
本発明の第6の実施例が図1に示す第1の実施例と異なる点は、ハウジング18の底部に設けた補助油溜め部8を単一の構造とした点にある。
【0048】
図11に示す第5の実施例の構成にすれば、本実施例に係る発電電動機を搭載した電動車両が傾斜したときでも、冷却油の油面変化の影響を更に小さくでき、安定した冷却油循環が可能となることに加え、油配管300の分岐箇所を低減できるので、油配管300の簡素化、接続箇所の削減に伴う信頼性向上に寄与できる。
【実施例7】
【0049】
本発明の第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルについて、図13〜図15を参照しながら以下説明する。図13は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルの外観を示す見取図であり、図14は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルが傾斜地で作業する状況を表す図であり、図15は第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルにおけるエンジン室の断面構成図である。
【0050】
図13〜図15において、油圧ショベルは、走行体41と、走行体41上に旋回可能に設けた旋回体42と、旋回体42の前方左側に設けた運転室43と、旋回体42上に横置きに配置したエンジン室44と、旋回体42の後部に設けたカウンタウェイト45と、旋回体42の前部に設けられ、ブーム461、アーム462、及びバケット463からなる多関節型フロント装置46と、から構成されている。
【0051】
走行体41は、左右に無限軌道履帯411を備えていて、それぞれ走行用モータ412の駆動力によって駆動される。エンジン室44及び多関節型フロント装置46等を備えた旋回体42は、旋回体42の中心部に設けた不図示の旋回用モータにより走行体41に対して旋回される。多関節型フロント装置46を構成するブーム461、アーム462及びバケット463は、それらにそれぞれ設けたブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダ47によって駆動動作される。
【0052】
上述した各種シリンダ47、走行用モータ412及び旋回モータは、油圧アクチュエータを用いており、運転室43内の操作者による操作に応動して、エンジン室44内のエンジン51及び/又は発電電動機50によって駆動される油圧ポンプ52(図15を参照)からの圧油を制御する制御弁装置からの圧油により、駆動されるようになっている。
【0053】
ここで、第7の実施例に係る発電電動機50は、図1〜図12に示す構成のものを用い、油圧ポンプ52の駆動源として油圧ショベルに適用される場合の構成であり、図1に示す発電電動機のブラケット200の側面200Aと側面200Bに、それぞれ、フライホイール511と内燃機関部512からなるエンジン51と、ギヤ521と油圧機構部522からなる油圧ポンプ52と、がシャフト6を介在して配設される。すなわち、本実施例に使用される発電電動機50が、そのブラケット200Aと200Bを通して、エンジン51と油圧ポンプ52に挟まれて配設される構成である。
【0054】
エンジン室44は、エンジン51と、発電電動機50と、油圧ポンプ52とを備えているが、それ以外に、エンジン51の冷却水を冷却するラジエータ56と、ラジエータ56を冷却する冷却風Pを生起する冷却ファン57と、空気流(冷却風)Pを取り入れ冷却ファン57に導入する吸込口70と、空気流Pを外部に排出する吐出口71と、吸音体72と、エンジン51の回転を冷却ファン57に伝達するクランク軸58、ファンベルト59、補助回転軸60と、エンジン51を設置する振動減衰手段55、フレーム54と、エンジン51からの排気ガスを消音するマフラー73と、各構成要素を覆うカバー(上カバー531、吸込側横カバー532、下カバー533、吐出側横カバー534)と、を主として備えている。このように、第7の実施例に係る発電電動機50は、油圧ショベルにおいて旋回体42上のエンジン室44に図15に示すように各構成要素と関連して配置されるものである。
【0055】
第7の実施例に係る発電電動機を適用した油圧ショベルは、図14に示すように、傾斜地49で掘削作業をする場合に、まず傾斜地49上を走行体41が上昇していき、次いで旋回体42を旋回させてエンジン室44を横向きに配置させて作業を実施する。図14に示す作業例では、本実施例の発電電動機はシャフト(軸)6が水平ではなく傾斜した状態となる。
【0056】
油圧ショベルに搭載した発電電動機50におけるシャフト(軸)6が作業で傾斜したとしても、補助油溜め部8を主油溜め部7の下方に設置し且つ発電電動機の下方部に配置することによって(図4を参照)、図1、図9及び図10に示す補助油溜め部8から油が漏れ出て油配管301への吸い上げ不良を来たすことがないようにしている。
【符号の説明】
【0057】
1…固定子、10…冷却油、110…固定子鉄心、111…スロット、112…ティース、113…磁極片、114…スロット開口部、12…発電電動機、
130…回転子、131…回転子鉄心、132…磁石挿入孔、133…永久磁石、14…電機子巻線、16…細孔、18…ハウジング、
200…ブラケット、201…通油路、202…通油溝、203…リング、204…油噴射孔、300…油配管、301…オイルポンプ、302…オイルクーラ、401…ウォータポンプ、402…ウォータクーラ
41…走行体、411…無限軌道履帯、412…走行用モータ、42…旋回体、43…運転室、44…エンジン室、45…カウンタウェイト、46…多関節型フロント装置、461…ブーム、462…アーム、463…バケット、47…シリンダ、49…傾斜地、
5…軸受、50…発電電動機、51…エンジン、511…フライホイール、512…内燃機関部、52…油圧ポンプ、521…ギヤ、522…油圧機構部、531…上カバー、532…吸込側横カバー、533…下カバー、534…吐出側横カバー、54…フレーム、55…振動減衰手段、56…ラジエータ、57…冷却ファン、58…クランク軸、59…ファンベルト、
6…シャフト、60…補助回転軸、7…主油溜め部、70…吸込口、71…吐出口、72…吸音体、73…マフラー、8…補助油溜め部、9…冷却水路、P…空気流(冷却風)、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内径側に固設された固定子と、前記固定子の内周側に対向配置されて軸受で回転自在に支承された回転子と、固定子鉄心のスロットに隣接したティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、
前記回転子のシャフトに前記軸受を介して設けられたブラケットには、冷却媒体の流れる通路と、前記通路と連通して前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に前記冷却媒体を噴出する噴射孔と、が設けられ、
前記シャフトの軸方向の両側に配された前記ブラケットの噴射孔から前記電機子巻線の巻線端部に向けて前記冷却媒体が噴出され、
前記複数の噴射孔からの前記冷却媒体の流量分布は、前記シャフトの高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブラケットに設けた噴射孔の配設ピッチは、前記ブラケットの垂直方向上部で密であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に疎である
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項3】
請求項1において、
前記ブラケットに設けた噴射孔の孔径は、前記ブラケットの垂直方向上部で大であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に小である
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項4】
請求項1において、
前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数は、前記ブラケットの垂直方向上部で多く、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少ない
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項5】
請求項4において、
前記噴射孔の数が多い場合は噴射孔の孔径を大きくし、前記噴射孔の数が少ない場合は噴射孔の孔径を小さくする
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
ブラケットに設けられた冷却媒体の流れる通路は、前記ブラケットの最上部から前記シャフトの高さ位置に亘る円弧状を形成し、
前記シャフトの下方部に設けられた前記冷却媒体の主溜め部の液面が、最下部に形成された固定子の内径側に達するように設定される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
前記固定子の外周側に配設された前記ハウジングは、その周方向に環状通路を設けて冷却水を循環させる冷却水路を形成する
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
前記ハウジングの底部には前記冷却媒体の溜め部を設け、
前記溜め部は、下方部の固定子鉄心に対応する位置に形成された主溜め部と、前記主溜め部よりも下方に設けられ細孔を介して連通する補助溜め部と、からなり、
前記冷却媒体は、前記発電電動機の外部に設けたオイルポンプによって前記補助溜め部から吸引され、オイルクーラを介して前記ブラケットの垂直方向上部の前記冷却媒体の通路に送給される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載された発電電動機と、前記発電電動機のシャフトと連結する内燃機関部をもつエンジンと、前記発電電動機のシャフトと連結し前記エンジンと反対側に設置される油圧機構部をもつ油圧ポンプと、を備えた電動車両。
【請求項1】
ハウジングの内径側に固設された固定子と、前記固定子の内周側に対向配置されて軸受で回転自在に支承された回転子と、固定子鉄心のスロットに隣接したティースに巻回された電機子巻線と、を備えた発電電動機において、
前記回転子のシャフトに前記軸受を介して設けられたブラケットには、冷却媒体の流れる通路と、前記通路と連通して前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に前記冷却媒体を噴出する噴射孔と、が設けられ、
前記シャフトの軸方向の両側に配された前記ブラケットの噴射孔から前記電機子巻線の巻線端部に向けて前記冷却媒体が噴出され、
前記複数の噴射孔からの前記冷却媒体の流量分布は、前記シャフトの高さ位置よりも上方の位置になるにしたがって高く設定される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブラケットに設けた噴射孔の配設ピッチは、前記ブラケットの垂直方向上部で密であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に疎である
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項3】
請求項1において、
前記ブラケットに設けた噴射孔の孔径は、前記ブラケットの垂直方向上部で大であり、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に小である
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項4】
請求項1において、
前記電機子巻線の巻線端部に対向する位置に設けられた噴射孔の数は、前記ブラケットの垂直方向上部で多く、前記シャフトの高さ位置になるにしたがって次第に少ない
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項5】
請求項4において、
前記噴射孔の数が多い場合は噴射孔の孔径を大きくし、前記噴射孔の数が少ない場合は噴射孔の孔径を小さくする
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
ブラケットに設けられた冷却媒体の流れる通路は、前記ブラケットの最上部から前記シャフトの高さ位置に亘る円弧状を形成し、
前記シャフトの下方部に設けられた前記冷却媒体の主溜め部の液面が、最下部に形成された固定子の内径側に達するように設定される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
前記固定子の外周側に配設された前記ハウジングは、その周方向に環状通路を設けて冷却水を循環させる冷却水路を形成する
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
前記ハウジングの底部には前記冷却媒体の溜め部を設け、
前記溜め部は、下方部の固定子鉄心に対応する位置に形成された主溜め部と、前記主溜め部よりも下方に設けられ細孔を介して連通する補助溜め部と、からなり、
前記冷却媒体は、前記発電電動機の外部に設けたオイルポンプによって前記補助溜め部から吸引され、オイルクーラを介して前記ブラケットの垂直方向上部の前記冷却媒体の通路に送給される
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載された発電電動機と、前記発電電動機のシャフトと連結する内燃機関部をもつエンジンと、前記発電電動機のシャフトと連結し前記エンジンと反対側に設置される油圧機構部をもつ油圧ポンプと、を備えた電動車両。
【図2】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2013−66348(P2013−66348A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204848(P2011−204848)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】
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