説明

監視装置、上位監視システムおよび監視システム

【課題】監視装置のモード情報の破損や、監視装置の故障による装置交換が発生した場合に、遠隔地の監視装置のモード設定を直ちに自動的に行い、モード設定が完了するまでの間、監視が停止するのを防止する。
【解決手段】監視装置2B1、2B2・・・2Bnの電源がONされた場合、もしくは監視装置2B1、2B2・・・2Bnがリセットされた場合、上位監視システム2Aは監視装置2B1、2B2・・・2Bnから監視装置2B1、2B2・・・2Bnに現在設定されているモード情報を受信する。上位監視システム2Aでは、受信したモード情報と、予め正しいモード情報が記録されたモード情報管理ファイル3とを比較し、不一致であった場合には、監視装置2B1、2B2・・・2Bnに対して正しいモード情報の設定要求を行う。監視装置2B1、2B2・・・2Bnは、上位監視システム2Aからのモード情報設定要求に応じて正しいモード情報を自動的に再設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伝送装置および付帯設備から発出された警報情報を監視、収集する監視装置、上位監視システムおよび監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被監視装置から発出される警報信号や監視信号、各種状態量等のアナログ監視情報を監視・収集し、上位監視システムへ通知する監視装置が提案されている。被監視装置としては、種々のものを用いることが可能であるが、例えば通信事業者等における伝送装置や付帯設備が挙げられる。このような監視装置では、被監視装置の入力条件を合わせるために、被監視装置の構成や環境に合わせて監視装置に様々なインタフェースを設けることが必要となっている。様々なインタフェースを予め備えた以下の特許文献1のような監視装置は、そのハードウェアにモード設定機能を追加することにより、設置環境のインタフェースに即座に対応させることができる。
【特許文献1】特開2000−253005号公報
【0003】
例えば、特許文献1の監視装置では、局内LAN(Local Area Network)インタフェースと、地気インタフェースとを有し、それぞれのインタフェースを用いた監視制御方法を組み合わせて監視を行うように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような監視装置を用いた場合、上述のようなモード設定情報は各監視装置それぞれを操作して設定する必要がある。したがって、監視装置のモード情報の破損や、監視装置の故障による装置交換が発生した場合には、その都度モード設定を行うために遠隔地にある監視装置まで出向く必要があり、手間がかかる。また、遠隔地の監視装置のモード設定が完了するまでの間、監視が停止するという問題も生じてしまう。
【0005】
したがって、この発明は、上記問題点を解消し、モード設定を即座に、かつ簡単に行うことができるようにした監視装置、上位監視システムおよび監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は、一又は二以上の被監視装置について監視を行い、得られた監視情報を上位監視システムへ転送する監視装置において、複数のインタフェースを有すると共に、モード情報によって使用するインタフェースが設定される接続手段と、電源ON時、もしくはリセット時に、モード情報を上位監視システムに対して送信し、上位監視システムからモード情報設定要求を受信した場合には、モード情報設定要求に応じて新たなモード情報を設定し、設定した新たなモード情報を上位監視システムに対して応答送信する通信手段とを備えることを特徴とする監視装置である。
【0007】
また、この発明は、一又は二以上の監視装置について監視および情報転送を行う上位監視システムにおいて、監視装置からモード情報を受信し、受信したモード情報と、予め監視装置それぞれの正しいモード情報が記録されたモード情報管理ファイルとを比較し、モード情報とモード情報管理ファイルが不一致の場合には監視装置に対して正しいモード情報の設定要求を行い、監視装置が正常に動作しない場合に装置故障通知を行う手段を備えることを特徴とする上位監視システムである。
【0008】
また、この発明は、複数のインタフェースを有すると共に、モード情報によって使用するインタフェースが設定される接続手段と、電源ON時、もしくはリセット時に、モード情報を上位監視システムに対して送信し、上位監視システムからモード情報設定要求を受信した場合には、モード情報設定要求に応じて新たなモード情報を設定し、設定した新たなモード情報を上位監視システムに対して応答送信する通信手段とを備え、一又は二以上の被監視装置について監視を行い、得られた監視情報を上位監視システムへ転送する監視装置と、監視装置からモード情報を受信し、受信したモード情報と、予め監視装置それぞれの正しいモード情報が記録されたモード情報管理ファイルとを比較し、モード情報とモード情報管理ファイルが不一致の場合には監視装置に対して正しいモード情報への設定要求を行い、監視装置が正常に動作しない場合に装置故障通知を行う手段を備え、監視装置とネットワークで接続され、一又は二以上の監視装置について監視および情報転送を行う上位監視システムとからなることを特徴とする監視システムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、遠隔地に配置された監視装置の初期立ち上げ時、装置交換時または装置内部のモード情報の破損時に、上位監視システムが自動的に監視装置のモード情報の再設定を行うため、直ちに監視を再開することができ、故障等による影響を最小限に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1Aに、監視システム1の構成を示す。監視システム1は、上位監視システム2Aと、上位監視システム2Aと接続された監視装置2B1、2B2・・・2Bnとを有している。なお、図1Aでは、一例として監視装置2B1に被監視装置として伝送装置4Aと、伝送装置4Bとが接続され、監視装置2B2に被監視装置として付帯設備5が接続されている構成を示している。なお、監視装置2B3・・・2Bnのそれぞれにも伝送装置4Aおよび4Bまたは付帯設備5等の被監視装置が接続されているものとする。
【0012】
監視装置2B1および2B2は、伝送装置4Aおよび4Bならびに付帯設備5等の被監視装置を監視し、伝送装置4Aおよび4B、ならびに付帯設備5から監視情報を収集し、上位監視システム2Aへ監視情報の送信を行う。監視情報としては、ドアの開閉等の接点情報や、温度等のアナログ監視情報、また、電源断など電源故障等の異常状態が生じた場合の警報信号が挙げられる。
【0013】
また、上位監視システム2Aから伝送装置4Aおよび4B、ならびに付帯設備5についての問い合わせがあった場合には、監視装置2B1は伝送装置4Aおよび4Bの、監視装置2B2は付帯設備5の状態について得た信号および情報を上位監視システム2Aに送信して応答する。
【0014】
監視装置2B1、2B2・・・2Bnには、被監視装置の構成や環境に合わせて様々なインタフェースが設けられている。インタフェースとしては、例えば、接点情報インタフェース、ローカルバスインタフェース、ビデオインタフェース等が挙げられる。監視装置2B1、2B2・・・2Bnはハードウェア(図示せず)を有している。このハードウェアには、上述のような各インタフェースにそれぞれ対応する複数のモード情報が記憶されている。監視装置2B1、2B2・・・2Bnでは、伝送装置4Aおよび4Bまたは付帯設備5等、接続される被監視装置のインタフェースによって装置内部で対応するモード情報が設定され、設置環境のインタフェースに即座に対応させることができる。
【0015】
また、監視装置2B1、2B2・・・2Bnは、例えば監視装置2B1、2B2・・・2Bnにリセットスイッチを設け、これを監視装置側で操作することにより、監視装置2B1、2B2・・・2Bnのリセットを行うことができる。また、監視装置側での操作のみでなく、上位監視システム2Aからの遠隔操作により監視装置2B1、2B2・・・2Bnのリセットを行うこともできる。監視装置2B1、2B2・・・2Bnのリセットは、例えば、監視装置2B1、2B2・・・2Bnのいずれか、または全てにおいてモード情報の破損が生じた場合に行う。リセットは、モード情報の破損が生じた監視装置2B1、2B2・・・2Bnのそれぞれを操作して行ってもよい。また、上位監視システム2Aから遠隔操作することにより、全ての監視装置2B1、2B2・・・2Bnを一括してリセットすることもできる。
【0016】
上位監視システム2Aは、監視装置2B1、2B2・・・2Bnから接点情報やアナログ監視情報等を収集し、例えば上位監視システム2Aに設けられたモニター(図示せず)に被監視装置の状態を表示する。また、伝送装置4Aおよび4B、ならびに付帯設備5等の被監視装置もしくは監視装置2B1、2B2・・・2Bnに異常が生じて警報信号を受信した場合に、モニターに異常状態を表示したり、アラームを鳴らすように構成されている。監視情報および警報信号は所定ビット数のデータからなり、これを所定のフォーマットに変換してモニターに表示することにより、保守者に情報を伝えることができる。
【0017】
上位監視システム2Aは、予め各監視装置2B1、2B2・・・2Bnのモード情報が記録されたモード情報管理ファイル3を読み出して、各監視装置2B1、2B2・・・2Bnの正しいモード情報を得られるように構成されている。上位監視システム2Aは、例えば監視装置2B1、2B2・・・2Bnの初期立ち上げ時や故障等による交換時、また監視装置2B1、2B2・・・2Bn内のモード情報の破損時に、監視装置2B1、2B2・・・2Bnを新たに設定することが必要とされる。このように、新たにモード情報の設定が必要となった監視装置2B1、2B2・・・2Bnのいずれかのモード情報と、モード情報管理ファイル3に記録された正しいモード情報とを比較する。比較の結果、不一致した場合には、上位監視システム2Aは、正しいモード情報を監視装置に再設定する。
【0018】
このような各監視装置2B1、2B2・・・2Bnと、上位監視システム2Aは、専用線、例えばイーサネット(登録商標)のようなネットワークで接続されている。また、伝送装置4Aおよび4Bも同様にネットワークで接続されている。なお、伝送装置4Aおよび4Bは、例えば同じ建物内に設置されるのみでなく、異なる建物にそれぞれ設置しても良い。
【0019】
図1Bに、モード情報管理ファイル3に記録されたモード情報の一例を示す。モード情報としては、監視装置毎にモード(いずれのインタフェースが使用されるか)や被監視装置のアドレス等を示す装置ID、また、監視装置に設けられた端子それぞれの接続先を示す情報など、種々の情報が記録されている。モード情報は、所定ビット数の2進コードで示されている。
【0020】
また、監視装置2B1、2B2・・・2Bnと接続される伝送装置4Aおよび4Bは、伝送装置4A、4B間の通信路の接続が保たれているか監視される。また、付帯設備5は、ドアの開閉のような接点情報や温度情報等の監視を行っている。
【0021】
図2に、上位監視システム2Aが監視装置2B1、2B2・・・2Bnのモード情報の再設定を行う際の動作を説明するフローチャートを示す。なお、以下では、上位監視システム2Aに接続された監視装置2B1、2B2・・・2Bnのうち、監視装置2B2について再設定を行うものとする。
【0022】
まず、ステップS1において、監視装置2B2が初期立ち上げや故障による交換、監視装置2B2内のモード情報の破損による再起動により電源がONされた場合、または監視装置2B2の内部で設定情報のリセットが行われる。続いて、ステップS2において、監視装置2B2は、装置の立ち上げ通知と現在監視装置2B2内に設定されているモード情報を上位監視システム2Aに通知する。なお、立ち上げ通知内にモード情報が含まれていても良い。
【0023】
一方、上位監視システム2Aは、ステップS3において、一定時間毎に監視装置2B1、2B2・・・2Bnからの立ち上げ通知および設定されているモード情報の受信を行う。そして、立ち上げ通知およびモード情報が未受信の場合は、再度これらの情報の受信を一定時間毎に行う。また、いずれかの監視装置からこれらの情報を受信した場合は、ステップS4において、予め各監視装置2B1、2B2・・・2Bnのモード情報が記録されたモード情報管理ファイル3の読み出しを行う。
【0024】
次に、ステップS5において、読み出したモード情報管理ファイル3と、監視装置2B2から受信したモード情報とを比較する。監視装置2B2から受信したモード情報がモード情報管理ファイル3に記録された監視装置2B2のモード情報と一致した場合は、モード情報の再設定動作を終了する。また、監視装置2B2から受信したモード情報とモード情報管理ファイル3の監視装置2B2のモード情報とが不一致した場合には、ステップS6において、監視装置2B2に対して正しいモード情報の設定要求を行う。
【0025】
監視装置2B2では、ステップS7において上位監視システム2Aから正しいモード情報の設定要求を受信すると、ステップS8において監視装置2B2で正しいモード情報の設定が実行される。そして、監視装置2B2は、ステップS9において、上位監視システム2Aに対して新たに設定されたモード情報を送信する。
【0026】
新たに設定されたモード情報を受信した上位監視システム2Aは、ステップS10において、監視装置2B2がモード情報設定要求を受信してモード情報の再設定が行われたかを検知する。そして、監視装置2B2に正しいモード情報が設定され、監視装置2B2の動作が正常であることを検知した場合には、モード情報の再設定動作を終了する。また、監視装置2B2の動作が異常であることを検知した場合には、ステップS11において、警報画面に異常状態であることを知らせるメッセージを表示したり、アラームを鳴らすことで、監視装置2B2の故障通知を行う。
【0027】
このように、遠隔地に配置された監視装置2B1、2B2・・・2Bnの初期立ち上げ時、装置交換時または装置内部のモード情報の破損時において、上位監視システム2Aが自動的に監視装置のモード情報の再設定を行うため、直ちに監視を再開することができ、故障等による影響を最小限に抑制することができる。
【0028】
以上、この発明の一実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0029】
例えば、上述の一実施の形態の監視システムでは、監視装置からの契機にてモード情報を設定する構成を記載したが、上位監視システムのオペレータからの操作による契機でも監視装置へモード情報を設定することも可能である。
【0030】
また、この発明にかかる監視システムでは、監視システムと監視装置との接続は専用線のみならず、公衆回線を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態にかかる監視システムの構成を示す模式図である。
【図2】この発明の一実施形態にかかる上位監視システムおよび監視装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1・・・監視システム
2A・・・上位監視システム
2B1、2B2・・・2Bn・・・監視装置
3・・・モード情報管理ファイル
4A、4B、5・・・被監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上の被監視装置について監視を行い、得られた監視情報を上位監視システムへ転送する監視装置において、
複数のインタフェースを有すると共に、モード情報によって使用する前記インタフェースが設定される接続手段と、
電源ON時、もしくはリセット時に、上記モード情報を上記上位監視システムに対して送信し、該上位監視システムからモード情報設定要求を受信した場合には、該モード情報設定要求に応じて新たなモード情報を設定し、設定した上記新たなモード情報を上記上位監視システムに対して応答送信する通信手段と、
を備える
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
上記インタフェースは、接点情報インタフェース、ローカルバスインタフェースおよびビデオインタフェースなどから選択される少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
一又は二以上の監視装置について監視および情報転送を行う上位監視システムにおいて、
上記監視装置からモード情報を受信し、受信した上記モード情報と、予め上記監視装置それぞれの正しいモード情報が記録されたモード情報管理ファイルとを比較し、上記モード情報と上記モード情報管理ファイルが不一致の場合には上記監視装置に対して上記正しいモード情報の設定要求を行い、上記監視装置が正常に動作しない場合に装置故障通知を行う手段
を備える
ことを特徴とする上位監視システム。
【請求項4】
複数のインタフェースを有すると共に、モード情報によって使用する上記インタフェースが設定される接続手段と、
電源ON時、もしくはリセット時に、上記モード情報を上位監視システムに対して送信し、該上位監視システムからモード情報設定要求を受信した場合には、該モード情報設定要求に応じて新たなモード情報を設定し、設定した上記新たなモード情報を上記上位監視システムに対して応答送信する通信手段と、
を備え、一又は二以上の被監視装置について監視を行い、得られた監視情報を上位監視システムへ転送する監視装置と、
上記監視装置からモード情報を受信し、受信した上記モード情報と、予め上記監視装置それぞれの正しいモード情報が記録されたモード情報管理ファイルとを比較し、上記モード情報と上記モード情報管理ファイルが不一致の場合には上記監視装置に対して上記正しいモード情報への設定要求を行い、上記監視装置が正常に動作しない場合に装置故障通知を行う通信手段
を備え、上記監視装置とネットワークで接続され、一又は二以上の監視装置について監視および情報転送を行う上位監視システムと
からなることを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−89110(P2009−89110A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257064(P2007−257064)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】