説明

直接接触式熱交換器およびこれを用いた固体高分子型燃料電池システム

【課題】低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器を提供する。
【解決手段】直接接触式熱交換器1において、筐体2は、頂部から加湿水が供給される水入口5と底部から加湿水が排出される水出口6と側面からガスが流入するガス入口3と側面のガス入口3よりも高い位置からガスが流出するガス出口4とが形成されている。螺旋板40は、ガスがガス入口3から旋回しながら上昇してガス出口4から流出されるガス流路が形成され、かつ、加湿水が水入口5から旋回しながら下降して水出口6から排出され、ガス流路と同じ空間で反対向きの水流路が形成されるように、筐体2の内周に接して筐体2の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは1より大きい数)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部41を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、直接接触式熱交換器およびこれを用いた固体高分子型燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池システムにおいて、電解質膜の乾燥による燃料電池スタックの劣化を防ぐために、一般的に燃料電池スタックに燃料ガスや酸化剤ガスを供給する前に、その燃料ガスや酸化剤ガスの加湿が行われる。燃料ガスや酸化剤ガスを燃料電池スタック外部で予め加湿すると、燃料電池スタック内部で燃料ガスや酸化剤ガスへ移動する水蒸気が減少する。また、これに伴って燃料電池スタックから失われる蒸発潜熱が低減される。その結果、燃料電池スタックを高い温度に保つ事ができる。燃料電池スタックの高温運転は、定置用燃料電池システムなどの電気エネルギーと熱エネルギーのコージェネレーションシステムにおいて、高い温度の熱回収を実現し、回収した熱エネルギーを湯として溜める貯湯槽の容量削減につながる。
【0003】
燃料電池スタックから排出される湿度の高いアノード排ガスやカソード排ガスを中空糸膜などの水分透過膜を介して燃料ガスや酸化剤ガスと間接的に接触させることによって、燃料ガスや酸化剤ガスを加湿できる。燃料電池システム内部を循環する純水を燃料ガスや酸化剤ガスの加湿に利用する事も可能である。この場合、たとえば燃料電池スタックの熱を回収して温度が上昇した電池冷却水などの純水を、水分透過膜を介して燃料ガスや酸化剤ガスと間接的に接触させる方法や、純水を燃料ガスや酸化剤ガスと直接接触させる方法がある。
【0004】
純水を燃料ガスや酸化剤ガスと直接接触させる方法は直接接触式熱交換器という形で実現でき、流体を直接接触させる事で得られる高い熱伝達率が燃料ガスや酸化剤ガスの効果的な加湿につながる。また、燃料ガスや酸化剤ガスと電池冷却水を直接接触させると電池冷却水に含まれる二酸化炭素が燃料ガスや酸化剤ガスへ移動するため、純水ラインの二酸化炭素濃度を低く保つために必要であった脱炭酸塔を燃料電池システムから削除できる。
【0005】
純水を用いて燃料ガスや酸化剤ガスを加湿する直接接触式熱交換器として、容器に溜めた純水の中にガスを通過させる方法がある。この方法は、必要な加湿能力に合わせた深さの水中に燃料ガスまたは酸化剤ガスを流すため、水頭圧分の高い圧力損失が燃料ガスまたは酸化剤ガスに伴う。また、純水をスプレーノズルなどからガスの流れの中に散水して直接接触を行う方法は、純水を噴霧する際に高い圧力損失(一流体ノズルの場合は純水の圧力損失、二流体ノズルの場合は燃料ガスまたは酸化剤ガスの圧力損失)が発生する。
【0006】
圧力損失が低い直接接触式熱交換器として、充填材の表面で燃料ガスまたは酸化剤ガスと純水とを接触させる方式が挙げられる。この場合、燃料ガスまたは酸化剤ガスは筐体下部から上部へ充填材の隙間を通って流れ、純水は筐体上部から下部へ充填材に沿って流れる。しかし、ランダムに配置された充填材の表面では、純水が優先的に流れる流路が発生し、筐体全体に純水が分散しない。そのため、純水と接触せずに直接接触式熱交換器を通過する燃料ガスや酸化剤ガスの割合が大きくなる。その結果、十分な加湿能力を確保するためには機器の全長を高くする事が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−273350号公報
【特許文献2】特開2004−31073号公報
【特許文献3】特開2004−363027号公報
【特許文献4】特開2007−227252号公報
【特許文献5】特開2005−294116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
定置用燃料電池システムでは、燃料ガスや酸化剤ガスは通常ブロワによって昇圧されて燃料電池スタックに送り込まれる。このため、加湿装置の設置による燃料ガスラインや酸化剤ガスラインの圧力損失上昇はブロワ動力の拡大につながる。同じように、加湿装置による純水ラインの圧力損失上昇はポンプ動力に影響する。
【0009】
燃料電池システムにおいて、補機動力の増加はシステム全体の発電効率の低下につながるため、ブロワやポンプの動力低減に向けた、加湿装置の圧力損失低減は重要な設計要素である。さらに、燃料電池システム内での加湿装置の設置スペースを削減するために、加湿装置を小型化することが望まれる。しかし、燃料ガスや酸化剤ガス加湿用の直接接触式熱交換器において、機器の低圧力損失化と小型化の両立が困難である。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、直接接触式熱交換器を小型化かつ低圧力損失化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の直接接触式熱交換器は、頂部から加湿水が供給される水入口と底部から前記加湿水が排出される水出口と側面からガスが流入するガス入口と前記側面の前記ガス入口よりも高い位置から前記ガスが流出するガス出口とが形成された筐体と、前記ガスが前記ガス入口から旋回しながら上昇して前記ガス出口から流出されるガス流路が形成され、かつ、前記加湿水が前記水入口から旋回しながら下降して前記水出口から排出され、前記ガス流路と同じ空間で反対向きの水流路が形成されるように、前記筐体の内周に接して前記筐体の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは2以上)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部を有する螺旋板と、を具備することを特徴とする。
【0012】
また、実施形態の固体高分子型燃料電池システムは、直接接触式熱交換器と、前記直接接触式熱交換器で加湿されたガスが燃料極および酸化剤極のいずれかに供給される燃料電池スタックと、を具備し、前記直接接触式熱交換器は、頂部から加湿水が供給される水入口と底部から前記加湿水が排出される水出口と側面からガスが流入するガス入口と前記側面の前記ガス入口よりも高い位置から前記ガスが流出するガス出口とが形成された筐体と、前記ガスが前記ガス入口から旋回しながら上昇して前記ガス出口から流出されるガス流路が形成され、かつ、前記加湿水が前記水入口から旋回しながら下降して前記水出口から排出され、前記ガス流路と同じ空間で反対向きの水流路が形成されるように、前記筐体の内周に接して前記筐体の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは2以上の整数)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部を有する螺旋板と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、直接接触式熱交換器を小型化かつ低圧力損失化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る直接接触式熱交換器の立断面である。
【図2】図2は、図1のII−II矢視立断面図である。
【図3】図1において水流路を示す図である。
【図4】図1においてガス流路を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る直接接触式熱交換器であり、図1のV−V矢視平断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る直接接触式熱交換器(n=2)の立断面である。
【図7】図6において水流路を示す図である。
【図8】図6においてガス流路を示す図である。
【図9】図6においてガス流路を示す図である。
【図10】図6のX−X矢視平断面図である。
【図11】第3の実施形態に係る直接接触式熱交換器の変形例の立断面である。
【図12】第4の実施形態に係る直接接触式熱交換器(n=2)の立断面図である。
【図13】図12において水流路を示す図である。
【図14】図12においてガス流路を示す図である。
【図15】第4の実施形態に係る直接接触式熱交換器(n=3)の立断面図である。
【図16】第5の実施形態に係る直接接触式熱交換器であり、図12のXVI−XVI矢視平断面図である。
【図17】第6の実施形態に係る直接接触式熱交換器である。
【図18】第7の実施形態に係る直接接触式熱交換器である。
【図19】各実施形態に係る直接接触式熱交換器に適用される固体高分子型燃料電池システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る直接接触式熱交換器の実施形態を、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0016】
図19は、各実施形態に係る直接接触式熱交換器に適用される固体高分子型燃料電池システムの一例を示すブロック図である。図19に示されるように、固体高分子型燃料電池システムは、燃料処理装置100と、燃料電池スタック200と、を具備している。燃料処理装置100は、改質器102と、一酸化炭素(以下、CO)変成器103と、CO除去器104と、直接接触式熱交換器1Aおよび1Bと、を具備している。
【0017】
直接接触式熱交換器1Aは、可燃性の燃料ガスと水蒸気とを取り入れて、改質器102に供給する。改質器102は、直接接触式熱交換器1Aからの燃料ガスおよび水蒸気と空気とを取り入れて、水素を含む改質燃料ガスを生成する。CO変成器103は、改質器102で生成された改質燃料ガス中のCOを低減して、CO変成改質燃料ガスを生成する。CO除去器104は、CO変成器103により生成されたCO変成改質燃料ガスと、水蒸気と、空気とを取り入れて、COを選択的に酸化燃焼させて二酸化炭素にすることにより、COを除去したCO除去改質燃料ガスを生成する。このCO除去改質燃料ガスは燃料電池スタック200のアノード極に供給される。
【0018】
直接接触式熱交換器1Bは、空気と水蒸気とを取り入れて、空気を含む酸化剤ガスを生成する。この酸化剤ガスは燃料電池スタック200のカソード極に供給される。
【0019】
燃料電池スタック200は、カソード極に供給される酸化剤ガスとアノード極に供給される燃料ガス(CO除去改質燃料ガス)とが電気化学的に反応することにより、酸素と水素から水を生成する過程で電気エネルギーを発生させる。
【0020】
直接接触式熱交換器1Aおよび1Bは同じ構造である。このため、直接接触式熱交換器1Bについてのみ説明し、この場合、直接接触式熱交換器1Bに用いられるガスとして酸化剤ガスを例にし、本発明に係る直接接触式熱交換器の実施形態を説明する。また、以下の説明では直接接触式熱交換器1Bを単に直接接触式熱交換器1と称する。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る直接接触式熱交換器1の立断面である。図2は、図1のII−II矢視立断面図である。図3は、図1において水流路を示す図である。図4は、図1においてガス流路を示す図である。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の直接接触式熱交換器1は、筐体2と、リキッドドレイナー7と、芯30と、螺旋板40とを具備している。
【0023】
筐体2は、筒状、たとえば円筒型に形成されている。この筐体2は、筐体2の頂部には水入口5が形成され、加湿に用いられる加湿水20が水入口5から供給される。加湿水20は、純水であることが好ましい。筐体2の底部には水出口6が形成され、加湿水20が水出口6から排出される。筐体2の側面にはガス入口3が形成され、酸化剤ガスがガス入口3から流入する。筐体2の側面の頂部近く(少なくともガス入口3よりも高い位置)にはガス出口4が形成され、加湿された酸化剤ガスがガス出口4から流出する。
【0024】
水出口6には、リキッドドレイナー7が設けられている。リキッドドレイナー7は、ガスの漏出を防止し、かつ、水の排出を可能にする。ここで、リキッドドレイナー7の代わりに、Uシールを設けてもよい。
【0025】
芯30は、筒状、たとえば円筒型に形成されている。この芯30は、筐体2内に形成され、筐体2の底部から頂部に向かって延びている。
【0026】
螺旋板40は、筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら筐体2の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは1より大きい数であるが、整数でなくてもよい。)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部41を有している。
【0027】
図2に示されるように、螺旋板40は、たとえば芯30に対する角度αが90度で設置され、芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって平行に形成されている。
【0028】
図3および図4に示されるように、この螺旋板40は、m周分の螺旋部41により、ガスがガス入口3から旋回しながら上昇してガス出口4から流出されるガス流路21を形成し、かつ、加湿水20が水入口5から旋回しながら下降して水出口6から排出され、ガス流路21と同じ空間で反対向きの水流路22を形成する。
【0029】
水流路22における加湿水20の流れについて説明する。
【0030】
図3に示されるように、加湿水20は、水入口5から供給されると、まず、螺旋板40の最も高い位置のm周目の螺旋部41に落下し、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、(m−1)周目の螺旋部41に伝わる。(m−1)周目の螺旋部41に流れた加湿水20は、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、(m−2)周目の螺旋部41に伝わる。ここで、加湿水20が螺旋板40の上述の螺旋部41以外に位置する螺旋部41に伝わる場合でも、加湿水20の流れは上述と同様である。
【0031】
このようにして、水流路22において、加湿水20は、水入口5から旋回しながら下降して水出口6から排出される。
【0032】
次に、ガス流路21における酸化剤ガスの流れについて説明する。
【0033】
図4に示されるように、酸化剤ガスは、ガス入口3から供給されて、まず、螺旋板40の1周目の螺旋部41と2周目の螺旋部41との間に流れる。1周目の螺旋部41と2周目の螺旋部41との間の酸化剤ガスは、芯30の外周を回りながら上昇し、2周目の螺旋部41と3周目の螺旋部41との間に流れる。ここで、ガスが螺旋板40の上述の2個の螺旋部41以外に位置する2個の螺旋部41の間に伝わる場合でも、ガスの流れは上述と同様である。
【0034】
このようにして、ガス流路21において、酸化剤ガスは、ガス入口3から旋回しながら上昇してガス出口4から排出される。この際、酸化剤ガスは、螺旋板40の上に保持された加湿水20と接触する。これにより、酸化剤ガスは加湿される。加湿された酸化剤ガスは、燃料電池の酸化剤極に供給される。
【0035】
本実施形態において、螺旋板40が筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら螺旋状に形成されているため、ガス流路の圧力損失の増加にはほとんど寄与しない上に、効果的に酸化剤ガスの加湿および加湿水20と酸化剤ガスとの間での全熱交換を実現する。その結果、加湿能力が増大し、それに伴って小型化が可能になる。したがって、本実施形態によれば、低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器1を提供できる。
【0036】
特に、固体高分子型燃料電池システムにおける直接接触式熱交換器では、加湿水20の流量が非常に小さく、かつ、流れるガスの流量が非常に大きいため、低圧力損失への要求は高い。たとえば筐体2内に平行な板を複数枚設けて加湿水20と酸化剤ガスとを蛇行させる方法では、酸化剤ガスが筐体の内側面に衝突する際に、若干、圧力損失が生じるが、本実施形態のように筐体2内に芯30と螺旋板40とを設けて加湿水20と酸化剤ガスとを旋回させる方法では、酸化剤ガスが筐体の内側面に衝突することによる圧力損失を防止または低減することができる。このため、本実施形態の直接接触式熱交換器1が有効である。
【0037】
また、本実施形態において、螺旋板40の2個の螺旋部41の間隔が狭すぎると、2個の螺旋部41の間を加湿水20が完全に塞いでしまい、酸化剤ガスが2個の螺旋部41の間を通過できなくなる可能性がある。そこで、2個の螺旋部41の間隔は、5mm〜20mm程度が適切である。
【0038】
また、本実施形態においては、酸化剤ガスを加湿する直接接触式熱交換器1について説明したが、燃料ガスを加湿する場合にも適用可能である。
【0039】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る直接接触式熱交換器1であり、図1のV−V矢視平断面図である。
【0040】
図5に示されるように、本実施形態の直接接触式熱交換器1は、第1の実施形態の構成に対して筐体2、芯30および螺旋板40の形状が異なる。筐体2と芯30は、その厚み方向の面が扁平型になるように形成されている。螺旋板40は、筐体2と芯30の形状に合わせて、筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら螺旋状に形成されている。
【0041】
第1の実施形態と同様に、水流路22において、加湿水20は、螺旋板40の1周分の螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら、その螺旋部41の真下の螺旋部41に伝わる。
【0042】
ガス流路21において、酸化剤ガスは、螺旋板40の1周分の螺旋部41の上に芯30の外周を回りながら上昇し、その螺旋部41の真上の螺旋部41に流れる。
【0043】
本実施形態において、筐体2と芯30の厚み方向の面を扁平型に引き伸ばすことにより、第1の実施形態に比べて水流路22とガス流路21とを延長することができる。その結果、加湿能力がさらに増大し、直接接触式熱交換器1の性能を向上させることができる。
【0044】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る直接接触式熱交換器1の立断面である。図7は、図6において水流路を示す図である。図8および図9は、図6においてガス流路を示す図である。
【0045】
図6に示されるように、本実施形態の直接接触式熱交換器1では、第1および第2の実施形態に対して、螺旋板40の数と芯30の形状とが異なる。本実施形態の直接接触式熱交換器1では、螺旋板40は、n個(nは2以上の整数)設けられている。ここで、螺旋板40の個数nは2であるものとする。ここで、2個の螺旋板40を第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bと称する。
【0046】
第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら筐体2の底部から頂部に向かって1周目からm周目まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部41を有している。具体的には、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bが設けられる場合、(2×m)周分の螺旋部41が筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられる。この場合、(2×m)周分の螺旋部41のうちの奇数周分の螺旋部41は、第1螺旋板40aが有するm周分の螺旋部41であり、(2×m)周分の螺旋部41のうちの偶数周分の螺旋部41は、第2螺旋板40bが有するm周分の螺旋部41である。
【0047】
芯30には、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bのそれぞれにおける各周分の螺旋部41のそれぞれに対して、芯30の厚み方向に貫通する貫通孔31が設けられている。
【0048】
図7に示されるように、その貫通孔31の各々は、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bのそれぞれにおける各周分の螺旋部41のうちの1周分の螺旋部41の第1地点から1周分の螺旋部41の真下の螺旋部41の第2地点まで芯30内で繋ぎ、1周分の螺旋部41の上面を加湿水20が1周しないうちに真下の螺旋部41に加湿水20を伝える。第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、水入口5から供給される加湿水20がその上面と貫通孔31とに流れることにより1つの水流路22を形成する。
【0049】
図8および図9に示されるように、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、一対一に対応した2個のガス流路21、すなわち、第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bを形成する。
【0050】
水流路22における加湿水20の流れについて説明する。
【0051】
図7に示されるように、加湿水20は、水入口5から供給されると、まず、第2螺旋板40bのm周目の螺旋部41に落下し、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を1周しないうちに、第1螺旋板40aのm周目の螺旋部41と第2螺旋板40bのm周目の螺旋部41とを繋ぐ貫通孔31により、第1螺旋板40aのm周目の螺旋部41に伝わる。第1螺旋板40aのm周目の螺旋部41に流れた加湿水20は、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を1周しないうちに、第2螺旋板40bの(m−1)周目の螺旋部41と第1螺旋板40aのm周目の螺旋部41とを繋ぐ貫通孔31により、第2螺旋板40bの(m−1)周目の螺旋部41に伝わる。ここで、加湿水20が螺旋板40の上述の螺旋部41以外に位置する螺旋部41に伝わる場合でも、加湿水20の流れは上述と同様である。
【0052】
このようにして、水流路22において、加湿水20は、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bの上面と貫通孔31とに流れることにより、水入口5から旋回しながら下降して水出口6から排出される。
【0053】
次に、第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bにおける酸化剤ガスの流れについて説明する。
【0054】
図8に示されるように、第1ガス流路21aにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から供給されたとき、第1螺旋板40aの1周目の螺旋部41と第2螺旋板40bの1周目の螺旋部41との間に流れる。その酸化剤ガスは、芯30の外周を回りながら上昇し、第1螺旋板40aの2周目の螺旋部41と第2螺旋板40bの2周目の螺旋部41との間に流れる。ここで、ガスが上述の2個の螺旋部41以外に位置する2個の螺旋部41の間に伝わる場合でも、ガスの流れは上述と同様である。
【0055】
また、図9に示されるように、第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から供給されたとき、第2螺旋板40bの1周目の螺旋部41と第1螺旋板40aの2周目の螺旋部41との間に流れる。その酸化剤ガスは、芯30の外周を回りながら上昇し、第2螺旋板40bの2周目の螺旋部41と第1螺旋板40aの3周目の螺旋部41との間に流れる。ここで、ガスが上述の2個の螺旋部41以外に位置する2個の螺旋部41の間に伝わる場合でも、ガスの流れは上述と同様である。
【0056】
このようにして、第1ガス流路21aにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から旋回し、かつ、第2ガス流路21bの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、上昇してガス出口4から排出される。同時に、第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から旋回し、かつ、第1ガス流路21aの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、上昇してガス出口4から排出される。この際、酸化剤ガスは、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bの上に保持された加湿水20と接触する。これにより、酸化剤ガスは加湿される。加湿された酸化剤ガスは、燃料電池の酸化剤極に供給される。
【0057】
加湿水20と酸化剤ガスの流れについて、さらに詳しく説明する。図10は、図6のX−X矢視平断面図である。
【0058】
1周分の螺旋部41の領域は、第1領域42と、第2領域43とに分けられる。第1領域42は、図10中の第1地点Aから第2地点Bまでの領域であり、1周分の螺旋部41上のガス流路21と水流路22との両方の流路に用いられる。第2領域43は、図10中の第3地点Cから第4地点Dまでの領域であり、1周分の螺旋部41上のガス流路21のみ用いられる。ここで、第1領域42の流路の長さは第2領域43の流路の長さよりも長く、第1領域42の流路の高さは第2領域43の流路の高さよりも高い。
【0059】
水流路22において、加湿水20は、1周分の螺旋部41の第1地点Aに設けられた貫通孔31から1周分の螺旋部41の上面を伝い、芯30の外周を1周しないうちに第2地点Bまで流れ、1周分の螺旋部41の真下の螺旋部41に設けられた貫通孔31に伝わる。第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、1周分の螺旋部41の第2地点Bから第1地点Aに流れ、1周分の螺旋部41の2周真上の螺旋部41の第3地点Cから第4地点Dに流れる。
【0060】
本実施形態において、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、一対一に対応して第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bを形成しているため、第1実施形態に比べて2倍のガス流路の断面積を確保し、ガスの圧力損失を大幅に削減する。したがって、本実施形態によれば、さらなる低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器1を提供できる。
【0061】
また、本実施形態において、芯30に設けられた貫通孔31により1つの水流路22を形成しているため、水入口5を1つだけしか設置できない場合に有効である。
【0062】
また、本実施形態において、図10に示される第2領域43上で加湿水20が第4地点Dから第3地点Cに流れないように、第2領域43の勾配を変えてもよい。図11は、第3の実施形態に係る直接接触式熱交換器1の変形例の立断面である。図11に示されるように、第2領域43は、ガス流路21が下り勾配になるように形成されている。これにより、第2領域43上で加湿水20が第4地点Dから第3地点Cに流れずに、確実に加湿水20が貫通孔31に流れ、図7に示されるような水流路22を確保することができる。
【0063】
[第4の実施形態]
図12は、第4の実施形態に係る直接接触式熱交換器1の立断面図である。図13は、図12において水流路を示す図である。図14は、図12においてガス流路を示す図である。
【0064】
図12に示されるように、本実施形態の直接接触式熱交換器1では、第1の実施形態に対して、螺旋板40の数と水入口5の数とが異なる。本実施形態の直接接触式熱交換器1では、螺旋板40および水入口5は、n個(nは2以上の整数)設けられている。ここで、螺旋板40および水入口5の個数nは2であるものとする。2個の螺旋板40を第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bと称し、2個の水入口5を第1水入口5aおよび第2水入口5bと称する。
【0065】
第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら筐体2の底部から頂部に向かって1周目からm周目まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部41を有している。具体的には、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bが設けられる場合、(2×m)周分の螺旋部41が筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられる。この場合、(2×m)周分の螺旋部41のうちの奇数周分の螺旋部41は、第1螺旋板40aが有するm周分の螺旋部41であり、(2×m)周分の螺旋部41のうちの偶数周分の螺旋部41は、第2螺旋板40bが有するm周分の螺旋部41である。
【0066】
第1水入口5aおよび第2水入口5bは、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bに一対一に対応して設けられている。
【0067】
図13に示されるように、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、それらと一対一に対応する第1水入口5aおよび第2水入口5bから供給される加湿水20がその上面に流れることにより2個の水流路22、すなわち、第1水流路22aおよび第2水流路22bを形成する。
【0068】
図14に示されるように、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、それぞれが一対一に対応して2個のガス流路21、すなわち、第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bを形成する。
【0069】
第1水流路22aおよび第2水流路22bにおける加湿水20の流れについて説明する。
【0070】
図13に示されるように、第1水流路22aにおいて、加湿水20は、第1水入口5aから供給されると、まず、第1螺旋板40aのm周目の螺旋部41に落下し、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、第1螺旋板40aの(m−1)周目の螺旋部41に伝わる。第1螺旋板40aの(m−1)周目の螺旋部41に流れた加湿水20は、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、第1螺旋板40aの(m−2)周目の螺旋部41に伝わる。ここで、加湿水20が第1螺旋板40aの上述の螺旋部41以外に位置する螺旋部41に伝わる場合でも、加湿水20の流れは上述と同様である。
【0071】
第2水流路22bにおいて、加湿水20は、第2水入口5bから供給されると、まず、第2螺旋板40bのm周目の螺旋部41に落下し、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、第2螺旋板40bの(m−1)周目の螺旋部41に伝わる。第2螺旋板40bの(m−1)周目の螺旋部41に流れた加湿水20は、その螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら重力により下方に流れ、第2螺旋板40bの(m−2)周目の螺旋部41に伝わる。ここで、加湿水20が第2螺旋板40bの上述の螺旋部41以外に位置する螺旋部41に伝わる場合でも、加湿水20の流れは上述と同様である。
【0072】
このようにして、第1水流路22aにおいて、加湿水20は、第1水入口5aから旋回し、かつ、第2水流路22bの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、下降して水出口6から排出される。同時に、第2水流路22bにおいて、加湿水20は、第2水入口5bから旋回し、かつ、第1水流路22aの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、下降して水出口6から排出される。
【0073】
次に、第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bにおける酸化剤ガスの流れについて説明する。
【0074】
図14に示されるように、第1ガス流路21aにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から供給されたとき、第1螺旋板40aの1周目の螺旋部41と第2螺旋板40bの1周目の螺旋部41との間に流れる。その酸化剤ガスは、芯30の外周を回りながら上昇し、第1螺旋板40aの2周目の螺旋部41と第2螺旋板40bの2周目の螺旋部41との間に流れる。ここで、ガスが上述の2個の螺旋部41以外に位置する2個の螺旋部41の間に伝わる場合でも、ガスの流れは上述と同様である。
【0075】
第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から供給されたとき、第2螺旋板40bの1周目の螺旋部41と第1螺旋板40aの2周目の螺旋部41との間に流れる。その酸化剤ガスは、芯30の外周を回りながら上昇し、第2螺旋板40bの2周目の螺旋部41と第1螺旋板40aの3周目の螺旋部41との間に流れる。ここで、ガスが上述の2個の螺旋部41以外に位置する2個の螺旋部41の間に伝わる場合でも、ガスの流れは上述と同様である。
【0076】
このようにして、第1ガス流路21aにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から旋回し、かつ、第2ガス流路21bの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、上昇してガス出口4から排出される。同時に、第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、ガス入口3から旋回し、かつ、第1ガス流路21aの1周分の螺旋部41を飛ばしながら、上昇してガス出口4から排出される。この際、酸化剤ガスは、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bの上に保持された加湿水20と接触する。これにより、酸化剤ガスは加湿される。加湿された酸化剤ガスは、燃料電池の酸化剤極に供給される。
【0077】
本実施形態において、第1螺旋板40aおよび第2螺旋板40bは、一対一に対応して第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bを形成しているため、第1実施形態に比べて2倍のガス流路の断面積を確保し、ガスの圧力損失を大幅に削減する。したがって、本実施形態によれば、さらなる低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器1を提供できる。
【0078】
また、本実施形態において、nが2である場合、2個の水入口5は、一対一に対応して2個の水流路22を形成し、その2個の水流路22は、2個のガス流路21に対応しているため、水入口5を複数個設置できる場合に有効である。
【0079】
また、本実施形態において、nを2としているが、3以上でもよい。図15は、n=3における直接接触式熱交換器1の立断面図である。すなわち、螺旋板40および水入口5の個数nは3である。3個の螺旋板40を第1〜第3螺旋板40a〜40cと称し、3個の水入口5を第1〜第3水入口5a〜5cと称する。第1〜第3水入口5a〜5cは、第1〜第3螺旋板40a〜40cに一対一に対応して設けられている。第1〜第3螺旋板40a〜40cは、一対一に対応する第1〜第3水入口5a〜5cから供給される加湿水20がその上面に流れることにより3個の水流路22(図示しない)を形成する。第1〜第3螺旋板40a〜40cは、一対一に対応して3個のガス流路21(図示しない)を形成する。
【0080】
このように、nが3である場合でも、3個の螺旋板40は、一対一に対応して3個のガス流路21を形成しているため、第1の実施形態に比べて3倍のガス流路の断面積を確保し、ガスの圧力損失を大幅に削減する。また、3個の水入口5は、一対一に対応して3個の水流路22を形成し、その3個の水流路22は、3個のガス流路21に対応しているため、第3の実施形態に対して加湿能力がさらに増大する。
【0081】
[第5の実施形態]
図16は、第5の実施形態に係る直接接触式熱交換器1であり、図12のXVI−XVI矢視平断面図である。
【0082】
図16に示されるように、本実施形態の直接接触式熱交換器1は、第4の実施形態の構成に対して筐体2、芯30および螺旋板40の形状が異なる。筐体2と芯30は、その厚み方向の面が扁平型になるように形成されている。螺旋板40は、筐体2と芯30の形状に合わせて、筐体2の内周に接して芯30の外周に巻きつけられながら螺旋状に形成されている。
【0083】
第4の実施形態と同様に、第1水流路22aにおいて、加湿水20は、第1螺旋板40aの1周分の螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら、第1螺旋板40aの1周分の螺旋部41の真下の螺旋部41に伝わる。第2水流路22bにおいて、加湿水20は、第2螺旋板40bの1周分の螺旋部41の上面を伝って芯30の外周を回りながら、第2螺旋板40bの1周分の螺旋部41の真下の螺旋部41に伝わる。
【0084】
第1ガス流路21aにおいて、酸化剤ガスは、第1螺旋板40aの1周分の螺旋部41の上に芯30の外周を回りながら上昇し、第1螺旋板40aの1周分の螺旋部41の真上の螺旋部41に流れる。第2ガス流路21bにおいて、酸化剤ガスは、第2螺旋板40bの1周分の螺旋部41の上に芯30の外周を回りながら上昇し、第2螺旋板40bの1周分の螺旋部41の真上の螺旋部41に流れる。
【0085】
本実施形態において、筐体2と芯30の厚み方向の面を扁平型に引き伸ばすことにより、第4の実施形態に比べて第1水流路22aおよび第2水流路22bと第1ガス流路21aおよび第2ガス流路21bとを延長することができる。その結果、加湿能力がさらに増大し、直接接触式熱交換器1の性能を向上させることができる。
【0086】
[第6の実施形態]
図17は、第6の実施形態に係る直接接触式熱交換器1である。
【0087】
第1〜第5の実施形態における螺旋板40(図2参照)は、芯30に対する角度αが90度で設置され、芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって平行に形成されている。
【0088】
一方、本実施形態の直接接触式熱交換器1では、図17に示されるように、第1〜第5の実施形態に対して螺旋板40の形状が異なる。螺旋板40は、芯30に対する角度αが90度より小さく設置され、芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって上り勾配で形成されている。
【0089】
本実施形態において、螺旋板40が芯30から上り勾配になるように形成されているため、加湿水20が芯30と螺旋板40との接点に沿って流れ、たとえ螺旋板40と筐体2との間に隙間が生じても、その隙間から加湿水20が筐体2の底部へ流れることを抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、高性能かつ低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器1を提供できる。
【0090】
[第7の実施形態]
図18は、第7の実施形態に係る直接接触式熱交換器1である。
【0091】
第1〜第5の実施形態における螺旋板40(図2参照)は、芯30に対する角度αが90度で設置され、芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって平行に形成されている。また、第6の実施形態における螺旋板40(図17参照)は、上述のように、芯30に対する角度αが90度より小さく設置され、芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって上り勾配で形成されている。
【0092】
一方、本実施形態の直接接触式熱交換器1では、図18に示されるように、第1〜第6の実施形態に対して、螺旋板40の材質が異なる。螺旋板40の幅は、芯30の外周と筐体2の内周との間の長さよりも長く、螺旋板40には、芯30の外周と筐体2の内周との間に配置されるときに変形することにより、芯30の外周と筐体2の内周との隙間を埋める材料が用いられる。
【0093】
本実施形態において、たとえば頂部がまだ筐体2に設置されていない状態で、芯30を上から筐体2内に設置し、そのあとに螺旋板40を上から筐体2内に設置するときに、螺旋板40の幅が芯30の外周と筐体2の内周との間の長さよりも長いため、螺旋板40が筐体2の内側面と芯30の外周との間で変形しながら、筐体2の内側面と芯30の外周との両方に接触する。その結果、螺旋板40と筐体2との間に隙間が生じないため、その隙間から加湿水20が筐体2の底部へ流れることもない。したがって、本実施形態によれば、高性能かつ低圧力損失かつ小型の直接接触式熱交換器1を提供できる。
【0094】
また、本実施形態において、第6の実施形態のように螺旋板40が芯30の外周に接する部分から筐体2の内周に接する部分に向かって上り勾配で形成されることにより、加湿水20が芯30と螺旋板40との接点に沿って流れ、第1〜第6の実施形態に対して加湿能力がさらに増大する。
【0095】
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、また各実施形態の特徴を組み合わせることができる。たとえば、第6の実施形態の螺旋板40については第1〜第5の実施形態のいずれにも適用可能である。また、第7の実施形態の螺旋板40については第1〜第6の実施形態のいずれにも適用可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 … 直接接触式熱交換器
1A … 直接接触式熱交換器
1B … 直接接触式熱交換器
2 … 筐体
3 … ガス入口
4 … ガス出口
5 … 水入口
5a … 第1水入口
5b … 第2水入口
6 … 水出口
7 … リキッドドレイナー
20 … 加湿水
21 … ガス流路
21a … 第1ガス流路
21b … 第2ガス流路
22 … 水流路
22a … 第1水流路
22b … 第2水流路
30 … 芯
31 … 貫通孔
40 … 螺旋板
40a … 第1螺旋板
40b … 第2螺旋板
40c … 第3螺旋板
41 … 螺旋部
100 … 燃料処理装置
102 … 改質器
103 … 一酸化炭素(CO)変成器
104 … CO除去器
200 … 燃料電池スタック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部から加湿水が供給される水入口と、底部から前記加湿水が排出される水出口と、側面からガスが流入するガス入口と、前記側面の前記ガス入口よりも高い位置から前記ガスが流出するガス出口とが形成された筐体と、
前記ガスが前記ガス入口から旋回しながら上昇して前記ガス出口から流出されるガス流路が形成され、かつ、前記加湿水が前記水入口から旋回しながら下降して前記水出口から排出され、前記ガス流路と同じ空間で反対向きの水流路が形成されるように、前記筐体の内周に接して前記芯の外周に巻きつけられながら前記筐体の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは2以上)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部を有する螺旋板と、
を具備することを特徴とする直接接触式熱交換器。
【請求項2】
前記筐体内に形成され、前記筐体の底部から頂部に向かって延びる芯と、
前記螺旋板は、前記m周分の螺旋部が前記筐体の内周に接して前記芯の外周に巻きつけられながら螺旋状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項3】
前記筐体と前記芯の厚み方向の面は扁平型である、
ことを特徴とする請求項2に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項4】
前記螺旋板は、n個(nは2以上の整数)設けられ、
前記n個の螺旋板は、一対一に対応してn個の前記ガス流路を形成する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項5】
前記水入口は、前記n個の螺旋板の各々に対して設けられ、
前記n個の螺旋板は、一対一に対応するn個の前記水入口から供給される前記加湿水がその上面に流れることによりn個の前記水流路を形成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項6】
前記芯には、前記n個の螺旋板のそれぞれにおける各周分の螺旋部のそれぞれに対して、前記芯の厚み方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の各々は、前記n個の螺旋板のそれぞれにおける各周分の螺旋部のうちの1周分の螺旋部の第1地点から前記1周分の螺旋部の真下の螺旋部の第2地点まで前記芯内で繋ぎ、前記1周分の螺旋部の上面を前記加湿水が1周しないうちに前記真下の螺旋部に前記加湿水を伝え、
前記1周分の螺旋部の領域は、前記1周分の螺旋部上の前記ガス流路と前記水流路との両方の流路に用いられる第1領域と、前記1周分の螺旋部上の前記ガス流路のみ用いられる第2領域とに分けられ、
前記n個の螺旋板は、前記水入口から供給される前記加湿水がその上面と前記貫通孔とに流れることにより1つの前記水流路を形成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項7】
前記第1領域の流路の長さは前記第2領域の流路の長さよりも長く、
前記第1領域の流路の高さは前記第2領域の流路の高さよりも高い、
ことを特徴とする請求項6に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項8】
前記第2領域は、前記ガス流路が下り勾配になるように形成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項9】
前記螺旋板は、前記芯の外周に接する部分から前記筐体の内周に接する部分に向かって上り勾配で形成される、
ことを特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項10】
前記螺旋板の幅は、前記芯の外周と前記筐体の内周との間の長さよりも長く、
前記螺旋板には、前記芯の外周と前記筐体の内周との間に配置されるときに変形することにより、前記芯の外周と前記筐体の内周との隙間を埋める材料が用いられる、
ことを特徴とする請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の直接接触式熱交換器。
【請求項11】
燃料極および酸化剤極を有する燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの燃料極および酸化剤極のいずれかに供給するためのガスを加湿する直接接触式熱交換器と、
を具備し、
前記直接接触式熱交換器は、
頂部から加湿水が供給される水入口と、底部から前記加湿水が排出される水出口と、側面からガスが流入するガス入口と、前記側面の前記ガス入口よりも高い位置から前記ガスが流出するガス出口とが形成された筐体と、
前記ガスが前記ガス入口から旋回しながら上昇して前記ガス出口から流出されるガス流路が形成され、かつ、前記加湿水が前記水入口から旋回しながら下降して前記水出口から排出され、前記ガス流路と同じ空間で反対向きの水流路が形成されるように、前記筐体の内周に接して前記筐体の底部から頂部に向かって1周目からm周目(mは2以上の整数)まで順に螺旋状に形成されたm周分の螺旋部を有する螺旋板と、
を具備することを特徴とする固体高分子型燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−36640(P2013−36640A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171246(P2011−171246)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(301060299)東芝燃料電池システム株式会社 (358)
【Fターム(参考)】