説明

真空下水道システム

汚水源101と、下水道配管102と、汚水源と下水道配管との間の排出弁103と、下水道配管内に部分的な真空を生成するための手段104と、排出弁の動作を制御するための制御手段とを備える真空下水道システム。制御手段は、第1の端部チャンバ及び第2の端部チャンバを含む一連のチャンバを画定する本体部分を有する制御機構体105を備え、第1の端部チャンバは、作動手段106を備える。本体部分12は、真空源102と連通するための第1のポート8と、排出弁103と連通するための第2のポート9と、曝気手段と連通するための第3のポート10とを備える。作動手段106は、第2の弁手段と協働して動作する第1の弁手段と接続し、第2の弁手段は第2のポート9と第3のポート10との間に連通を提供する第1の位置と、第2のポート9と第3のポート10との間の連通を閉鎖する第2の位置との間で変位可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水源と、下水道配管と、汚水源と下水道配管との間の排出弁と、下水道配管内に部分的な真空を生成するための手段と、排出弁の動作を制御するための制御手段とを備える真空下水道システムに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、真空下水道システムのための制御手段に関し、制御手段は、第1の端部チャンバ(室)と第2の端部チャンバを含む一連のチャンバを画定する本体部分を有する制御機構体を備え、第1の端部チャンバは、作動手段を備え、本体部分は、真空源と連通する第1のポート、排出弁と連通する第2のポート、及び曝気手段と連通する第3のポートを備える。
【背景技術】
【0003】
汚水源に応じて、真空システムは、リンス水供給源、リンス水弁、及び汚水源にリンス水を提供するためのリンス水分配手段を備えるリンス水設備を含むこともできる。好ましくは、上述の制御手段は、リンス水設備の動作も制御する。
【0004】
そのような真空下水道システム及び制御手段は、従来知られている。制御手段の基本動作原理は、排出弁及び好ましくはまたリンス水弁の開閉を行うために、チャンバ内で部分的な真空と大気圧の交替を行うことである。
【0005】
知られている解決方法は、一般に、非常に複雑な構造及び非常に多数の構成部品を有する。さらに、構成部品の相互作用は、部分的には、それらの比較的小さい寸法及びそれらの壊れやすい構造のために容易に妨げられ、結果として制御手段の故障を生じる。さらに、知られている制御手段は、製造且つ動作するのが高価である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の欠点が避けられ、且つ単純化された構成によって信頼性のある動作を提供する真空下水道システムを達成することである。本発明のさらなる目的は、真空下水道システムの動作を改善する制御手段を提供することである。これらの目的は、請求項1による真空下水道システム及び請求項4による制御手段によって得られる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本的な概念は、排出弁の制御及び好ましくはまたリンス水弁の制御に制御手段を用いる真空下水道システムを提供することであり、制御手段は、その動作において、それ自体知られているシステムから部分的な真空を使用し、ある部品が損傷されていても動作を確実にし、且つ暫定的な保守手段も提供する機械的に簡単な構造を備える。真空下水道システムの制御手段は、一連のチャンバを備え、2つの弁手段が、前記弁への部分的な真空の連通を開くために又は閉じるために順番に動作し、動作は、作動手段によって始動される。
【0008】
リンス水設備を含む真空下水道システムの好ましい実施例は、請求項2から3に規定される。
【0009】
真空下水道システムで用いられる制御手段の好ましい実施例は、請求項5から11に規定される。
【0010】
以下において、本発明を、例示の目的で、添付の概略図を参照してより詳細に記載する。
【実施例】
【0011】
図1に示される真空下水道システム100は、この場合は出口を備える便器などのサニタリ・ユニットの形態の下水容器である汚水源101、下水道配管102、汚水源と下水道配管との間の排出弁103、及び下水道配管内に部分的な真空を生成するための手段104を備える。排出弁103の動作は、作動手段106を備える制御機構105を備える制御手段によって制御される。真空下水道システムは、さらにリンス水設備を含み、リンス水設備は、リンス水供給源107、リンス水弁108、及び便器にリンス水を提供するためのリンス水分配手段109を備える。制御手段は、また、リンス水設備の動作、すなわち通常はリンス水弁の機能を制御するように構成される。
【0012】
図2は、より詳細に制御機構105を示す。制御機構105は、一連のチャンバ1、2、3、及び4を含む本体部分12を有する。さらに、本体部分12は、真空源、すなわち図1に示されるような下水道配管102と連通するための第1のポート8、排出弁103と連通するための第2のポート9、及び曝気手段、すなわち一般に大気と連通するための第3のポート10(図4)を備える。図1において、好ましい実施例を構成するリンス水弁108と連通するための第4のポート11も示される。
【0013】
図4は、図2で示される制御機構の図3による第1の断面A−Aを示し、図5は、第2の断面B−Bを示す。制御手段の本体部分12は、互いの上に配置された一連のチャンバを画定する。これらは、第1の端部チャンバを構成する第1のチャンバ1と、第2のチャンバ2と、第3のチャンバ3と、第2の端部チャンバを構成する第4のチャンバ4とを含む。
【0014】
第1のチャンバ1は、第1のばね18を係合するように構成された、例えば、通常フラッシュ・ボタンと呼ばれる作動手段106を備え、本実施例において吸い込みカップとして示される、係合手段13に接続される第1の弁ステム191を含む第1の弁手段19が偏倚される。第1の弁ステム191は、凹所15を備え、その機能は、図6から図9に関連して以下に記載する。第1のチャンバ1は、本体部分12の側壁に曝気開口21を備える。第1のチャンバ1及び第2のチャンバ2は、第1の弁手段19を着座する第1の弁座192によって分離される。
【0015】
係合手段13は、第2のチャンバ2と第3のチャンバ3との間に配置され、且つ第2のチャンバ2と第3のチャンバ3とを分離する膜14と係合するために第2のチャンバ2内に配置される。係合手段は、好ましくは、本実施例では吸い込みカップである。しかしながら、膜との適切な係合を提供する他の係合手段も使用されることができ、それによって膜は応じて設計される。用語「膜」は、本体部分12内の移動に関して適切な可撓性機能を提供する手段として理解されるべきである。膜14は、第2のばね16に接続され、第2の弁手段5が偏倚される。第2の弁手段5の第2の弁ステム51は、第1のダクト6及び第2のダクト7を備え、その機能は、図6から図9に関連して以下に記載する。第1のポート8は、第3のチャンバ3と連通する。第2のポート9、第3のポート10、及び第4のポート11は、第4のチャンバ4内に配置される。第3のチャンバ3及び第4のチャンバ4は、第2の弁手段5を着座する第2の弁座52によって分離される。第2の弁手段5は、弁フラップ23及びシーリング手段22を備える第2の弁ステム52を備える。
【0016】
以下において、制御機構体105の動作シーケンスは、図6から図9を参照して記載する。表現「前方」は、第1のチャンバ1から第4のチャンバ4へ向かう第1の方向を示し、表現「後方」は、第1の方向とは逆の方向を示す。
【0017】
制御機構体105は、図6において通常の静止位置で示される。部分的な真空は、真空源、すなわち下水道配管102と連通する第1のポート8を介して第3のチャンバ3に接続され(図5)、さらに、第2の弁ステム51内に配置された、第1のダクト6及びフロー・リストリクタを形成する第2のダクト7を通して第2のチャンバ2と連通する。大気圧は、本体部分12の側壁内の曝気開口21を介して曝気される(図5)第1のチャンバ1、及び第3のポート10が開口される第4のチャンバ4に存在する。第2の弁手段5の第2の弁ステム51は、第4のチャンバ4と第3のチャンバ3との間の弁座52内に形成されたチャネル17を通して連通を閉鎖する弁フラップ23を備える。弁フラップ23を有する第2の弁手段5は、第2のばね16及び第3のチャンバ3と第4のチャンバ4との間の圧力差によって、この閉鎖位置で保持される。
【0018】
排出弁103は、第2のポート9と連通し、リンス水弁108は、第4のポート11と連通し、それによって、それらは、第3のポート10が開かれ且つ大気と接続するときに、曝気されたままである。
【0019】
制御機構体105は、この場合は押しボタンの形態である作動手段106を押す(矢印によって示される)ことによって作動され(図7)、それによって、係合手段13を有する第1の弁手段19は、膜14に対して前方に押される。この移動は、第1の弁座192に向かって第1の弁ステム191内の凹所15を移動し、このように凹所15及び第1の弁座192によって形成されるチャネルを通して第1のチャンバ1と第2のチャンバ2との間の連通を提供し、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2へ大気圧を流れさせる。結果として生じる圧力差のために、係合手段13は、膜14を係合する。さらに、第2のチャンバ2と第3のチャンバ3(真空を提供する第1のポート8と連通する)との間の圧力差は、第2の弁手段5及び第1の弁手段19を前方へ押す。
【0020】
いわゆる開く段階が、図8に示される。第2の弁手段5が、その前方端部にシーリング手段22を備える第2の弁ステム51を前方へ移動させるとき、第3のポート10を閉鎖する。膜14によって及ぼされる力が、弁フラップ23及び第2のばね16の保持力を超えるとき、第1の弁手段5は開き、それによって、第3のチャンバ3と第4のチャンバ4との間の接続は、チャネル17を介して開かれる。これは、第3のチャンバ3から部分的な真空が、第4のチャンバ4内に連通し、さらに、第2のポート9を通して排出弁103に向かい、第4のポート11を通してリンス水弁108に向かい、フラッシング・シーケンスのために弁を開くことを結果として生じる。部分的な真空により動作する弁の機能は、当業者には知られており、したがって、これに関連して記載されない。
【0021】
第2の弁手段5が、その第2の位置、すなわち端部位置にくる直前に、第1の弁手段19は、さらなる移動が第1の弁座192によって停止される最も前方位置に達し、それによって、係合手段13は、膜14から解放される。これは、第1のばね18が、第2のチャンバ2と第1のチャンバ1との間の連通を閉鎖するその初期位置に、吸い込みカップ13を有する第1の弁手段19を戻すことを結果として生じる。結果として、第2のチャンバ2と第3のチャンバ3との間の圧力差は、第1のダクト6及び第2のダクト7、すなわちフロー・リストリクタを通して、第2の弁ステム51内で等しくなり始める。第2のばね16は、その第1の位置に第2の弁手段5を戻し、チャネル17を通り第3のチャンバから排出弁及びリンス水弁への部分的な真空の供給を停止する。第3のポート10は開き、排出弁103及びリンス水弁108は閉鎖される。リンス水弁108は、内蔵リストリクタ手段を有し、それによって、リンス水弁108は、便器内の基本水位を提供するために、排出弁103より遅く閉鎖する。
【0022】
フラッシング期間の長さは、第2のダクト7、すなわち流量絞りの寸法決定によって変えられることができる。流量絞りは、好ましくはノズルによって形成され、それによって、より小さいノズル孔が、より長いフラッシング期間を与える戻り時間を長くする。
【0023】
通常の使用において、制御手段内の弁構成の動作シーケンスに対応するフラッシング・シーケンスは、作動手段106を軽く押すことによって開始される。フラッシング・シーケンスは、そのボタン位置までずっと作動手段106を押すことによって延長されることができる。便器が塞がれる又は詰まる場合に、作動手段106は、便器をより強くフラッシングするために、ある時間だけボタン位置に維持されることができる。
【0024】
膜14が損傷した場合に、フラッシング・シーケンスは、ボタン位置に作動手段106を押すことによってまだ開始されることができる。しかしながら、この場合、上述のようなタイミング機能は作用しない。
【0025】
本発明に関連する図面及び記載は、本発明の基本概念を明らかにするためだけを目的とする。本発明は、添付の特許請求の範囲内でさらに詳細に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】制御手段を用いる真空下水道システムを示す図である。
【図2】制御手段の全体図を示す図である。
【図3】図4及び図5に示されるような制御手段の断面を示す図である。
【図4】図3による断面A−Aを示す図である。
【図5】図3による断面B−Bを示す図である。
【図6】制御手段の動作シーケンスを示す図である。
【図7】制御手段の動作シーケンスを示す図である。
【図8】制御手段の動作シーケンスを示す図である。
【図9】制御手段の動作シーケンスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水源(101)と、下水道配管(102)と、前記汚水源と前記下水道配管との間の排出弁(103)と、前記下水道配管内に部分的な真空を生成するための手段(104)と、前記排出弁の動作を制御するための制御手段とを備える真空下水道システムであって、前記制御手段は、第1の端部チャンバ及び第2の端部チャンバを含む一連のチャンバ(1、2、3、4)を画定する本体部分(12)を有する制御機構体(105)を備え、前記第1の端部チャンバ(1)は、作動手段(106)を備え、前記本体部分(12)は、真空源と連通するための第1のポート(8)と、前記排出弁(103)と連通するための第2のポート(9)と、曝気手段と連通するための第3のポート(10)とを備え、
前記作動手段(106)は、係合手段(13)を備える第1の弁手段(19)と接続し、前記係合手段(13)は、前記第2のポート(9)と前記第3のポート(10)との間に連通を提供する第1の位置と、前記第2のポート(9)と前記第3のポート(10)との間の連通を閉鎖する第2の位置との間で変位可能な第2の弁手段(5)と解放可能に係合するように構成されることを特徴とする真空下水道システム。
【請求項2】
前記真空下水道システム(100)は、リンス水供給源(107)、リンス水弁(108)、及びリンス水分配手段(109)をさらに備え、前記制御手段(105)は、前記リンス水弁(108)の動作を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の真空下水道システム。
【請求項3】
前記係合手段(13)は、吸い込みカップを備えることを特徴とする請求項1に記載の真空下水道システム。
【請求項4】
第1の端部チャンバ及び第2の端部チャンバを含む一連のチャンバ(1、2、3、4)を画定する本体部分(12)を有する制御機構体(105)を備える真空下水道システムのための制御手段であって、前記第1の端部チャンバ(1)は、作動手段(12)を備え、前記本体部分(12)は、真空源と連通するための第1のポート(8)と、排出弁と連通するための第2のポート(9)と、曝気手段と連通するための第3のポート(10)とを備え、
前記作動手段(106)は、係合手段(13)を備える第1の弁手段(19)と接続し、前記係合手段(13)は、第2の弁手段(5)と解放可能に係合するように構成され、前記第2の弁手段(5)は、前記第2のポート(9)と前記第3のポート(10)との間に流体連通を提供する第1の位置と、前記第2のポート(9)と前記第3のポート(10)との間の連通を閉鎖する第2の位置との間で変位可能であることを特徴とする制御手段。
【請求項5】
前記一連のチャンバは、前記第1の端部チャンバを構成する第1のチャンバ(1)と、第2のチャンバ(2)と、第3のチャンバ(3)と、前記第2の端部チャンバを構成する第4のチャンバ(4)とを備え、前記第1の弁手段(19)は、前記第1のチャンバ(1)と前記第2のチャンバ(2)との間の連通を開放及び閉鎖するように構成され、前記第2の弁手段(5)は、前記第3のチャンバ(3)と前記第4のチャンバ(4)との間の連通を開放及び閉鎖するように構成され、前記第1のポート(8)は、前記第3のチャンバ(3)と連通し、前記第2のポート(9)及び前記第3のポート(10)は、前記第4のチャンバ(4)に配置されることを特徴とする請求項4に記載の制御手段。
【請求項6】
リンス水弁(108)と連通するための第4のポート(11)は、前記第4のチャンバ(4)に配置されることを特徴とする請求項5に記載の制御手段。
【請求項7】
前記第1の弁手段(19)は、第1の弁ステム(191)と、前記第1のチャンバ(1)を前記第2のチャンバ(2)から分離する第1の弁座(192)とをさらに備え、前記第1の弁手段(19)の前記係合手段(13)は、前記第2のチャンバ(2)と前記第3のチャンバ(3)との間に配置され且つ前記第2の弁手段(5)に取り付けられる膜(14)と係合するように構成され、前記第2の弁手段(5)は、第2の弁ステム(51)と、前記第3のチャンバ(3)と前記第4のチャンバ(4)を分離する第2の弁座(52)と、弁フラップ(23)とを備えることを特徴とする請求項5に記載の制御手段。
【請求項8】
前記第1の弁手段(19)の前記第1の弁ステム(191)は、凹所(15)を備え、凹所(15)は、前記第1の弁座(192)と協働して、前記第1のチャンバ(1)と前記第2のチャンバ(2)との間にチャネルを形成することによって連通を提供するように構成され、前記第1のチャンバ(1)は、前記本体部分(12)の側壁に曝気開口(21)を備えることを特徴とする請求項7に記載の制御手段。
【請求項9】
前記第2の弁ステム(51)は、一端部で前記膜(14)に取り付けられ、且つ反対側端部でシーリング手段(22)を備え、前記シーリング手段(22)は、前記第2のポート(9)と前記第3のポート(10)との間の連通を閉鎖するためのその第2の位置で、前記第3のポート(10)と係合するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の制御手段。
【請求項10】
前記第2の弁手段(5)の前記第2の弁ステム(51)は、ダクト設備を備え、ダクト設備は、第1のダクト(6)と、前記第2のチャンバ(2)と前記第3のチャンバ(3)との間に連通を提供するための第2のダクト(7)とを備えることを特徴とする請求項9に記載の制御手段。
【請求項11】
前記係合手段(13)は、吸い込みカップを備えることを特徴とする請求項5に記載の制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−528827(P2008−528827A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551693(P2007−551693)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/FI2006/050037
【国際公開番号】WO2006/079688
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503467779)エバク インターナショナル オサケ ユキチュア (3)
【Fターム(参考)】