説明

真空断熱パネルおよびその製造方法

【課題】真空断熱材を保護することができ、厚み精度が良く、平滑性に優れた真空断熱パネルおよび効率的に製造することができる真空断熱パネルの製造方法を提供すること。
【解決手段】真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルで、真空断熱パネル10の大きさに形成され真空断熱材11を装着する凹部13を形成したポリスチレン発泡体12と、この凹部13に装着した真空断熱材11を覆って設けられるポリウレタン発泡体14とで構成する。
これにより、ポリスチレン発泡体12に凹部13を形成することで、比較的簡単に寸法精度の良い凹部13を形成でき、この凹部13に真空断熱材11を装着してポリウレタン発泡体14で覆うことで、真空断熱材11の全体を覆って保護し損傷を防止でき、平滑性にも優れるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、真空断熱パネルおよびその製造方法に関し、ポリスチレン発泡体とポリウレタン発泡体の内部に真空断熱材を埋め込むことで、寸法精度を向上し、真空断熱材の損傷を防止できるようにしたもので、建築物やそのドアなど高断熱かつ寸法精度を必要とする真空断熱パネルおよびその製造法として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から断熱材や断熱材とパネルとを一体化した断熱パネルが種々の分野に用いられており、例えば建築物の断熱にもグラスウールに替え、より断熱性能に優れた硬質ウレタンフォームなどの合成樹脂フォームが用いられ、合成樹脂フォームの両面に面材を積層した断熱パネルが使用されている。
【0003】
近年、住宅などの建築物の省エネルギー化などを図るため高気密・高断熱化に対する要求の高まりから、断熱パネルの一層の断熱性能の向上を図ろうとすると、断熱層の厚さを厚くしなければならず、スペースや施工の問題が生じてしまう。
【0004】
そこで、合成樹脂フォームに比べて断熱性能に優れた真空断熱材を用いた真空断熱パネルが提案されており、例えば特許文献1には、保冷車用の断熱パネルとして、図5に示すように、硬質ウレタンフォームなどでなる断熱材1内に真空断熱材2を埋め込んで芯材3を構成し、この芯材3の両面に外板4と内板5を取り付けて断熱パネル6としたものが開示されている。
【0005】
そして、この断熱パネル6の製造方法として、断熱材1を成形するときにインサート成形して断熱材1内に真空断熱材2を埋め込むようにしたり、断熱材1を成形するときに凹所を形成しておき、後から真空断熱材2を落とし込んで接着などをして取り付けるようにすることで断熱パネル6を製造することが開示されている。
【0006】
また、真空断熱パネルの製造方法として、特許文献2には、上下のいずれか一方の面材に発泡原料を塗布し、他方の面材に真空断熱材を接着固定し、上下面材を一定の間隔に押えてして発泡体に埋設されたパネルを連続製造することが開示されている。
【特許文献1】特開平10−114245号公報
【特許文献2】特開2005−161794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような真空断熱材2を合成樹脂発泡体などの断熱材1で覆った真空断熱パネル6では、外板4や内板5を取り付けるまで真空断熱材2の片面が露出しているため、運搬や組立までの各工程で真空断熱材2に傷や穴などの損傷を与える虞があり、万一、破損すると真空状態が破壊され、使用することができなくなる。
【0008】
また、例えば図6に示すように、上下面材7、8の一方の下面材8に真空断熱材2を配置し、他方の上面材に塗布した発泡体1で覆った真空断熱パネル9でも真空断熱材2の片面が下面材8で覆われるだけであり、上記と同様の損傷の虞があるとともに、上下面材7,8に断続的に真空断熱材2を固定するため、真空断熱材2のある部分とない部分とで断熱材1に厚みの差が生じ易く、表面平滑性に劣り、寸法精度を要求される部分や箇所への適用ができなくなる虞がある。
【0009】
一方、真空断熱材の周囲全体を断熱材で覆うようにした真空断熱パネルも種々提案されているが、このような真空断熱パネルを製造する場合に、従来から主として行われている注入法では、型にセットした面材と真空断熱材の狭い空間に合成樹脂発泡体の発泡原料を注入しなければならず、型への装着、型からの取り外しが必要で製造工程が煩雑であり、しかも空間内のエアが十分抜けない場合があり、出来上がった真空断熱パネルの合成樹脂発泡体にボイドが発生してしまうという問題がある。
【0010】
さらに、注入法では、面材と真空断熱材を予め取り付けておく型が必要であり、真空断熱材と発泡体との埋設一体化を連続して行うことができず、製造効率が悪いという問題がある。
【0011】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、真空断熱材を保護することができ、厚み精度が良く、平滑性に優れた真空断熱パネルおよび効率的に製造することができる真空断熱パネルの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の請求項1記載の真空断熱パネルは、真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルであって、前記真空断熱パネルの大きさに形成され前記真空断熱材を装着する凹部を形成したポリスチレン発泡体と、このポリスチレン発泡体の前記凹部に装着した前記真空断熱材を覆って設けられるポリウレタン発泡体とでなることを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項2記載の真空断熱パネルは、請求項1記載の構成に加え、前記ポリスチレン発泡体に予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形してなることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、この発明の請求項3記載の真空断熱パネルの製造方法は、真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルを製造するに際し、前記真空断熱パネルの大きさに形成されるポリスチレン発泡体に前記真空断熱材が入る凹部を予め成形した後、当該ポリスチレン発泡体の凹部に前記真空断熱材を装着し、次いで、前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体を覆ってポリウレタン発泡体を成形するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項4記載の真空断熱パネルの製造方法は、請求項3記載の構成に加え、前記ポリスチレン発泡体を、予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形した後、当該凹部を備えるポリスチレン発泡体を連続供給し、凹部に前記真空断熱材を装着した後、面材の表面に前記ポリウレタン発泡体の発泡原料を塗布し、この面材を反転して発泡原料を前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体に当て、当該面材を介して一定の厚さに押えて硬化させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明の請求項1記載の真空断熱パネルによれば、真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルで、前記真空断熱パネルの大きさに形成され前記真空断熱材を装着する凹部を形成したポリスチレン発泡体と、このポリスチレン発泡体の前記凹部に装着した前記真空断熱材を覆って設けられるポリウレタン発泡体とで構成したので、真空断熱パネルの大きさに形成されるポリスチレン発泡体に凹部を形成することで、比較的簡単に寸法精度の良い凹部を形成でき、この凹部に真空断熱材を装着してポリウレタン発泡体で覆うようにすることで、真空断熱材の全体を覆って保護し損傷を防止することができるとともに、厚み精度を高め、平滑性に優れたパネルとすることができる。
【0017】
また、この発明の請求項2記載の真空断熱パネルによれば、前記ポリスチレン発泡体に予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形したので、ポリスチレンの型発泡で比較的簡単に寸法精度の良い凹部を形成でき、しかも真空断熱材を装着して、その表面を面一にすることで、ポリウレタン発泡体の発泡厚さを一層高精度に一定にでき、パネルの厚み精度を一層高めて平滑性に優れた真空断熱パネルとすることができる。
【0018】
さらに、この発明の請求項3記載の真空断熱パネルの製造方法によれば、真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルを製造するに際し、前記真空断熱パネルの大きさに形成されるポリスチレン発泡体に前記真空断熱材が入る凹部を予め成形した後、当該ポリスチレン発泡体の凹部に前記真空断熱材を装着し、次いで、前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体を覆ってポリウレタン発泡体を成形するようにしたので、ポリスチレン発泡体に前記真空断熱材が入る凹部を予め成形した後、当該ポリスチレン発泡体の凹部に前記真空断熱材を装着することで、真空断熱材部分と他のポリスチレン発泡体部分の厚さが一定となり、厚みが均一かつ平滑なパネルを容易に製造することができるとともに、ポリスチレン発泡体の凹部とこれを覆うポリウレタン発泡体とで真空断熱材全体を保護することができ、損傷を防止することができる。
【0019】
また、この発明の請求項4記載の真空断熱パネルの製造方法によれば、前記ポリスチレン発泡体を、予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形した後、当該凹部を備えるポリスチレン発泡体を連続供給し、凹部に前記真空断熱材を装着した後、面材の表面に前記ポリウレタン発泡体の発泡原料を塗布し、この面材を反転して発泡原料を前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体に当て、当該面材を介して一定の厚さに押えて硬化させるようにしたので、ポリスチレン発泡体の型発泡で、真空断熱材が装着される凹部を周囲の表面と面一となるように簡単に成形でき、これらを覆うようにポリウレタン発泡体を面材に塗布して一定の厚さに押えて硬化させることで、ポリスチレン発泡体の凹部に装着した真空断熱材とこれを覆うポリウレタン発泡体を連続的に成形して効率的にパネルを製造することができる。
これにより、厚さ精度が一層高く、平滑に優れたパネルを一層容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の真空断熱パネルの一実施の形態にかかる概略平面図および横断面図である。なお、説明の都合上、図面の各図上での上下・左右あるいは前後・左右として説明するが、真空断熱パネルの製造や施工を何ら制約するものでない。
【0021】
この発明の真空断熱パネル10は、例えば図1に示すように、薄い板状の真空断熱材11を、パネル状のポリスチレン発泡体12に形成した凹部13に装着してポリスチレン発泡体12の上面と真空断熱材11の上面が連続する面一となるようにするとともに、これらポリスチレン発泡体12の上面および真空断熱材11の上面をポリウレタン発泡体14で覆って構成されている。これにより、真空断熱材11はその左右前後および下面の5面がポリスチレン発泡体12で覆われた状態となるとともに、真空断熱材11の上面がポリウレタン発泡体14で覆われた状態となり、6面が完全に埋設された状態となっている。
【0022】
この真空断熱パネル10では、真空断熱材11を装着する凹部13をポリスチレン発泡体12に形成することで、ポリウレタン発泡体14に形成する場合に比べ、寸法精度良く、簡単に成形することができる。このポピリスチレン発泡体12およびその凹部13の成形は、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)による型発泡で成形する方法が好ましく、原料ビーズをよび発泡させた後に、型に充填し加熱することで、凹部13の形状・寸法を高めて比較的簡単に製造することができる。
【0023】
そして、このポリスチレン発泡体12の厚みを精度良く成形するとともに、その凹部13を、装着する真空断熱材11の厚みに応じた深さで精度良く成形し、凹部13に装着した真空断熱材11の表面とポリスチレン発泡体12の凹部13の周囲表面とが一平面をなす面一状態となるようにすることで、次工程で覆うポリウレタン断熱材14の厚みを真空断熱材11のある部分(真空断熱材11の表面)とない部分(ポリスチレン発泡体12の凹部13の周囲表面)とで一定にでき、平滑性に優れた真空断熱パネル10を成形することができる。
【0024】
また、ポリウレタン発泡体14を発泡させながら真空断熱材11およびその周囲に抑えるようにすることで、ポリウレタン発泡体14がポリスチレン発泡体12の凹部13にも入り込み、隙間を無くすことができ、対流による熱伝達を抑えて断熱性を向上することができる。
【0025】
このような真空断熱パネル10によれば、真空断熱材11がポリスチレン発泡体12およびポリウレタン発泡体14で、上下面および左右前後の6面全体が覆われて埋設状態となり、真空断熱材11を保護することができ、破損を防止することができ、運搬や施工現場での取り扱いが容易となる。
【0026】
また、この真空断熱パネル10によれば、厚み精度と表面平滑性が向上し、建築物の断熱パネルなどとして用いるのに加え、寸法精度が要求されるドアなどの断熱用のパネルとして使用することも可能となる。
【0027】
なお、この真空断熱パネル10としては、ポリスチレン発泡体12内の一つの凹部13に1枚の真空断熱材11を備えるものに限らず、図2に示すように、ポリスチレン発泡体12内の2つの凹部13や4つの凹部13に2枚や4枚の真空断熱材11を備えたものなど、複数枚の真空断熱材11をポリスチレン発泡体12内の凹部13に備えるものであっても良い。
【0028】
また、凹部13を備えるポリスチレン発泡体12は、型発泡により一体成形する場合に限らず、押出成形された板状ないし棒状のポリスチレン成形体を接着するなどで組み立てて凹部を備えたパネル状としたものであっても良い。
【0029】
さらに、この真空断熱パネル10のポリウレタン発泡体14の外側表面に面材15を設け、この面材をポリウレタン発泡体14よりも透湿抵抗の大きい材質の面材とすることで、例えば図3に示すように、建築物の構造材16に、室内側から面材15、ポリウレタン発泡体14、真空断熱材11、ポリスチレン発泡体12が配置されるように真空断熱パネル10を取り付けて断熱施工することで、透湿抵抗が室内側が高く、屋外側を低くすることができ、断熱材であるポリウレタン発泡体14およびポリスチレン発泡体12内部への水蒸気の浸入を大幅に低減でき、わずかに浸入した水蒸気を屋外側に排出させることができ、真空断熱材11の両側を同一発泡体のポリウレタンフォームで挟んだ真空断熱パネルに比べ、冬季の壁内の結露防止に優れた効果を発揮する。なお、この面材15は、ポリウレタン発泡体14を積層する際に、面材の表面にポリウレタンフォームの発泡原料を吹き付け、反転させて真空断熱材11およびポリスチレン発泡体12を覆うようにすることで、真空断熱パネル10の製造も簡単にできるようになる。
【0030】
次に、この発明の真空断熱パネルの製造方法について説明する。
図4は、この発明の真空断熱パネルの製造方法の一実施の形態にかかる製造工程の概略構成図である。
【0031】
この真空断熱パネル10の凹部13に装着される真空断熱材11は、図4に示す製造工程とは別に、予め別工程で、例えば連続気泡形の硬質プラスチックフォームのスラブ材などの芯材と、ゼオライトなどのゲッタ剤とを、ナイロン、PET、アルミ箔、ポリエチレンなどを積層した少なくとも4層のドライラミネート材からなる被覆材に入れてシールし、その内部を0.05Torr以下に減圧して封止したものが用意されるが、これに限らず、プラスチックフィルムと金属箔とのラミネートフィルムを有するものなどの他の被覆材で、シリカ粉末またはグラスウールを有したものなどの他の芯材を包み、内部を真空にした真空断熱材であっても良く、硬質プラスチックフォーム単体の断熱材に比べて熱伝導率が低く(例えば約6分の1)、高い断熱性が得られる。
【0032】
また、この真空断熱パネル10を構成する凹部13を備えたポリスチレン発泡体12は、図4に示す製造工程とは別に、予め、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)による型発泡で成形されたり、押出成形された板状ないし棒状のポリスチレン成形体を接着するなどで組み立てて凹部を備えたパネル状としたものを成形しておく。
【0033】
そして、この真空断熱パネルの連続製造工程では、図4に示すように、ローラコンベア21を介して凹部13を備えたポリスチレン発泡体12が連続して投入され、凹部13に、図示しない供給装置を介して真空断熱材11を落とし込むようにして連続的に装着する。
【0034】
一方、ポリウレタン発泡体14を成形するため、例えばインバース法で製造され、ロール状の面材15がリール22から巻き出され、その水平状態の表面上にウレタンフォームの発泡原料が混合されてノズル23で吹き付けるように塗布された後、その先に設けた湾曲部24によって面材15を反転させて供給するようにしてあり、反転した後、面材15と真空断熱材11が装着されたポリスチレン発泡体12とが対向するいわゆるインバース式となっている。
【0035】
また、この発泡原料の塗布時において、発泡原料を横幅方向(図4の紙面垂直方向)に均一に塗布するため、ノズル23を横幅方向に往復動させながら連続的に塗布するようにし、反転後ポリスチレン発泡体12上に被せるようにしたときにポリウレタン発泡体14の厚みが均一になるようにする。
【0036】
さらに、面材移送ラインの湾曲部24から下流にかけて、カーブドプラテンヒーターなどの加熱装置25が設けられ、ノズル23で塗布された発泡原料が次第に発泡しながら面材15とともに送られる場合の発泡原料の発泡状態を調整できるようにしてある。
【0037】
こうして面材15と真空断熱材11を凹部13に装着したポリスチレン発泡体12とを対向させながら接近させて両者を接触させるようにした後、更に下流のダブルコンベア26内に送り込んで上下から押えて一定の厚みにする。
【0038】
このダブルコンベア26では、面材15のポリウレタン発泡体14をポリスチレン発泡体12に被せるようにすることから、入口側の間隔を広げ、中間部から出口側を一定の間隔として無理なく押えることができるようにしてある。
【0039】
こうして面材15と真空断熱材11を凹部13に装着したポリスチレン発泡体12が一定の厚さとなるよう押さえられてキュアオーブン27を経てパネル状に一体化された後、トリミングのためサイドカッタ28およびクロスカッタ29でカットされ、所定の大きさ(例えば製品寸法)の真空断熱パネル10が連続的に製造される。
【0040】
このようなポリウレタン発泡体14を構成する面材15は、厚みが0.1〜1.0mmのものが使用され、例えばプラスチックフィルム(厚さ15〜50μ)と一層以上の炭カル紙(100〜300g/m2)とを積層したものを使用するが、クラフト紙や中芯紙などにアルミニウムなどの金属箔を積層したもの、クラフト紙や中芯紙などに金属を蒸着したもの、クラフト紙や中芯紙などにポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムを積層したもの、これらのプラスチックフィルムを単独としたもの、これらプラスチックフィルムの複数を組み合わせて積層したもの、例えばポリエチレンフィルムと炭カル紙とポリエチレンフィルムとPETフィルムとの4層構造のものなどを挙げることができる。
なお、建築物に用いる場合には、記述したように、透湿抵抗を考慮したものにすることが望ましい。
【0041】
また、ポリウレタン発泡体14は、例えば厚みが9〜100mm、フォーム密度が20〜100kg/m3とされる。
【0042】
このようにして製造されるポリウレタン発泡体14は、型を必要とせずに容易に均一な厚みのものを連続的に製造することができ、大幅な生産性向上を図ることができるとともに、コスト低減を図ることができる。
【0043】
また、型を必要としないことから、大きさの異なるポリウレタン発泡体14を容易に製造することができる。
【0044】
このような真空断熱パネルの製造方法によれば、ポリスチレン発泡体12の凹部13に真空断熱材11を装着し、ポリウレタン発泡体14を積層して組み立てるようにするので、真空断熱材11が入る部分と入らない部分があってもポリウレタン発泡体14の厚さを調整してパネル全体の厚さを均一にできるとともに、一部分が膨らむこともなく平滑にすることができる。
【0045】
また、この真空断熱パネルの製造方法によれば、ポリウレタン発泡体14を型を必要とせずに製造することができ、大きさの異なる真空断熱パネルを製造する場合にも簡単に対応して製造することができる。
【0046】
なお、大きさの異なる真空断熱パネルとしては、凹部に装着する真空断熱材の1枚を大きく変える場合に限らず、同一大きさの真空断熱材で周囲のポリウレタン発泡体14部分の大きさが異なる場合、真空断熱材を複数枚として真空断熱材部分の大きさが異なる場合など、いずれの大きさの異なる真空断熱パネルも同様にして製造することができる。
【0047】
また、このような大きさの異なる真空断熱パネルを製造する場合に、凹部に装着する真空断熱材を複数枚とし、断熱発泡体の1つの凹部に複数枚装着して固定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の真空断熱パネルの一実施の形態にかかる概略平面図および横断面図である。
【図2】この発明の真空断熱パネルの他の一実施の形態にかかるそれぞれの概略正面図である。
【図3】この発明の真空断熱パネルを建築物の断熱に用いた場合の一実施の形態にかかる概略断面図である。
【図4】この発明の真空断熱パネルの製造方法の一実施の形態にかかる製造工程の概略構成図である。
【図5】従来の真空断熱パネルの概略斜視図である。
【図6】従来の他の真空断熱パネルの概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 真空断熱パネル
11 真空断熱材
12 ポリスチレン発泡体
13 凹部
14 ポリウレタン発泡体
15 面材
21 ローラコンベア
22 リール
23 ノズル
24 湾曲部
25 加熱装置
26 ダブルコンベア
27 キュアオーブン
28 サイドカッタ
29 クロスカッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルであって、
前記真空断熱パネルの大きさに形成され前記真空断熱材を装着する凹部を形成したポリスチレン発泡体と、
このポリスチレン発泡体の前記凹部に装着した前記真空断熱材を覆って設けられるポリウレタン発泡体とでなることを特徴とする真空断熱パネル。
【請求項2】
前記ポリスチレン発泡体に予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形してなることを特徴とする請求項1記載の真空断熱パネル。
【請求項3】
真空断熱材を発泡体の内部に埋設した真空断熱パネルを製造するに際し、
前記真空断熱パネルの大きさに形成されるポリスチレン発泡体に前記真空断熱材が入る凹部を予め成形した後、当該ポリスチレン発泡体の凹部に前記真空断熱材を装着し、次いで、前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体を覆ってポリウレタン発泡体を成形するようにしたことを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
【請求項4】
前記ポリスチレン発泡体を、予め型発泡で、装着される前記真空断熱材の表面が周囲の表面と面一となる前記凹部を成形した後、当該凹部を備えるポリスチレン発泡体を連続供給し、凹部に前記真空断熱材を装着した後、面材の表面に前記ポリウレタン発泡体の発泡原料を塗布し、この面材を反転して発泡原料を前記真空断熱材およびその周囲の前記ポリスチレン発泡体に当て、当該面材を介して一定の厚さに押えて硬化させるようにしたことを特徴とする請求項3記載の真空断熱パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236183(P2009−236183A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81320(P2008−81320)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】