説明

石油燃焼器の安全装置

【課題】 乾電池を主電源とする燃焼器に駆動電圧の異なる点火器と安全装置を備えるものにおいて、乾電池の消耗時でも安全装置を確実に作動できる構造にする。
【解決手段】 乾電池2を電源とする燃焼器1には、駆動電圧の低い点火器3と、異常検出手段4と消火機構5とで構成する駆動電圧の高い安全装置Aを備え、燃焼器1の燃焼中に異常検出手段4が室内の異常状態を検出したときに消火機構5が作動して消火する。燃焼器1には駆動電圧の高い安全装置Aを駆動可能とする電源の乾電池2を備え、安全装置Aは乾電池2の電源電圧によって直接駆動する構成とする。また、点火スイッチ7によって通電される点火器3の回路には点火器3と直列接続する抵抗体8を設け、点火器3の通電時の内部抵抗と抵抗体8とによって乾電池2の電源電圧を分圧して点火器3の低い駆動電圧を出力する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は乾電池を主電源とする燃焼器において、安全装置を確実に作動させる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼芯を上下させて点火・消火を行う石油燃焼器は、燃焼芯を上昇させて点火器によって点火すると燃焼芯で吸上げられた燃料が燃焼を開始し、燃焼中に使用者が手動で燃焼芯の高さを下げる操作を行うことで消火するものである。また、地震等の振動を感震器で検出して自動で燃焼芯を下げて消火する対震自動消火装置を備えている。
【0003】
そして、最近は室内の温度を検出する温度センサや、COやCO2の濃度を検出するセンサなどで構成した異常検出手段と、電動モータやソレノイドなどで構成した消火機構を取付け、燃焼器の燃焼状態や室内の状態を異常検出手段で監視し、異常検出手段が燃焼器の異常燃焼や室内の状態の悪化を検出したときに消火機構が前記自動消火装置を作動させて燃焼器を消火する安全装置を備えるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平2−32999号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
芯上下式の石油燃焼器の点火器にはフィラメントを用いる赤熱式の点火ヒータと、放電電極を用いる放電火花を飛ばす点火装置の2種類の点火器があるが、赤熱式の点火ヒータと放電式の点火装置は駆動電圧が異なるため、機種によって異なる乾電池電源が使用されている。
【0005】
また、石油燃焼器に取付ける安全装置も同じ乾電池を電源としているが、乾電池の電源電圧は前記の点火器の機種にあわせて設定されており、安全装置の駆動電圧は放電式の点火装置の駆動電圧とほぼ同じであるので、放電式の点火装置に合わせた乾電池電源をそのまま安全装置にも供給できるが、フィラメントを使う点火ヒータに合わせて乾電池電源を設定したときは、安全装置を駆動させるために安全装置に昇圧回路を追加し、乾電池から供給される電源電圧を安全装置の駆動電圧まで上げる必要がある。
【0006】
赤熱式の点火ヒータは放電式の点火装置に比べて安価にできるものであるが、昇圧回路を備える安全装置は乾電池の消耗時に昇圧回路で得られる電圧が不安定になりやすいため、安全装置の作動が不安定になり、燃焼器の燃焼中に異常が発生しても安全装置が作動しないトラブルを発生させる恐れがある。このトラブルを防ぐ為には乾電池が消耗したときでも安定した電圧を得ることのできる強力な昇圧回路が必要であるが、このような昇圧回路は部品が高価であるため、安価な点火ヒータを選択するメリットはなくなってしまう。
【0007】
また、燃焼器に同じ安全装置を備えていても、燃焼器に備える点火器の種類によって使用する乾電池の種類や数、安全装置の昇圧回路の有無などの構造が異なるため、それぞれの点火器に対応した専用の部品が必要となるものであり、生産効率が悪くコスト面での課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の課題を解決するもので、燃焼器1には、乾電池2を電源とする点火器3を設けると共に、燃焼器1が設置された室内の状態を検出する異常検出手段4と、該異常検出手段4の出力信号によって作動する消火機構5とで構成する安全装置Aを設け、芯上下装置6による芯上げ操作時に運転スイッチ6aを閉路として異常検出手段4の作動を開始した後、点火スイッチ7を閉路とする点火操作によって点火器3に通電して燃焼を開始し、燃焼器1の燃焼中に異常検出手段4が室内の異常状態を検出したときに消火機構5が作動して消火する燃焼器において、前記点火器3と安全装置Aとの駆動電圧が異なり、点火器3の駆動電圧が低く、安全装置Aの駆動電圧が高いときでも、燃焼器1には安全装置Aを駆動可能とする駆動電圧の高い電源の乾電池2を備え、かつ、点火スイッチ7によって通電される点火器3の回路には点火器3と直列接続する抵抗体8を設け、点火器3の通電時の内部抵抗と抵抗体8とによって乾電池2の電源電圧を分圧して点火器3の低い駆動電圧を出力する構成とし、低い駆動電圧の点火器3と高い駆動電圧の安全装置Aを同一の乾電池2によって使用可能にしたことを特徴とするものである。
【0009】
また、抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の内部抵抗値より大きく設定し、点火器3への通電時に電源電圧を分圧して点火器3の出力電圧が低くなるようにしたから、乾電池2の消耗時には安全装置Aより先に点火器3の出力電圧を低下させることができ、点火器3が駆動できる間は安全装置Aの駆動電圧が確保でき、燃焼器1の燃焼中に異常が発生したときは安全装置Aが確実に作動するものである。
【0010】
また、安全装置Aには乾電池2の電圧を検出する電圧検出手段9を設け、該電圧検出手段9が低電圧Vを検出したときに消火機構5を作動して消火する構成とすれば、乾電池2の消耗によって消火機構5が作動できなくなる前に、燃焼器1を使用できない状態にすることができる。
【0011】
また、電圧検出手段9を設けたときは、抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の内部抵抗値より小さく設定し、点火器3の通電時に電源電圧を分圧して点火器3の出力電圧が高くなるようにすることで、乾電池2の消耗時に点火器3の出力電圧の低下を抑えることができるものとなり、電圧検出手段8が低電圧Vを検出するまでは良好な点火が維持できるものとなる。
【発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するこの発明は、燃焼器1に備える点火器3の駆動電圧と安全装置Aの駆動電圧が異なり、点火器3の駆動電圧が低く、安全装置Aの駆動電圧が高い場合において、乾電池2の電源電圧を駆動電圧の高い安全装置Aにあわせて設定すると共に、駆動電圧の低い点火器3の回路には点火器3と直列接続する抵抗体8を設け、点火スイッチ7の閉路による点火操作時に、乾電池2からの電源電圧を点火器3の内部抵抗と抵抗体8とによって分圧して点火器3の低い駆動電圧を出力する構成としたから、駆動電圧の低い点火器3と駆動電圧の高い安全装置Aの組み合わせができ、低い駆動電圧から昇圧回路で昇圧させることが不要となり、乾電池2の消耗による電圧降下があったときでも安全装置Aが確実に作動できるものとなり、安全装置としての信頼性が高まった。
【0013】
また、この発明では使用する点火器3の機種が変わっても同じ乾電池電源の回路を使用し、点火器3が駆動電圧の低い点火ヒータのときは抵抗体8によって分圧を行い、一方、点火器3が駆動電圧の高い放電式の点火装置のときは抵抗体8を削除して回路を短絡させることで使用することができるので、乾電池2や安全装置Aの部品の共通化が可能となり、生産効率が向上しコストの低減が実現できるものとなった。
【0014】
また、乾電池2の消耗と共に点火器3や安全装置Aは作動が不安定になるが、この発明では、点火器3の通電時の内部抵抗値より抵抗体8の抵抗値を大きくして、点火器3の出力電圧が低くなるよう設定したので、乾電池2が消耗して電源電圧が低下したときは分圧によって得られる点火器3の出力電圧が低下しやすくなり、安全装置Aよりも先に点火器3の駆動電圧が得られなくなるので、点火器3が作動できる間は安全装置Aが確実に作動できるものであり、安全装置Aが作動不能となる前に燃焼器1が使用できなくなって新しい乾電池2と交換するので、安全装置Aが作動しないトラブルを発生させることはなくなった。
【0015】
また、安全装置Aに乾電池2の電源電圧を検出する電圧検出手段9を設け、乾電池2の電圧が低下して電圧検出手段9が低電圧Vを検出した時に消火機構5を作動して消火する構成としたときは、乾電池2の電圧が低下して消火機構5が作動できなくなる前に乾電池2の消耗に気付いて乾電池2の交換を行うので、安全装置Aが作動しないトラブルを発生させることはなくなり、安全性を高めることができるものとなった。
【0016】
また、乾電池2の電圧検出手段9を設けたときは、点火器3の通電時の内部抵抗値より抵抗体8の抵抗値を小さくして、点火器3の出力電圧が高くなるよう設定すれば、乾電池2の消耗時の電圧の低下を抑えることができるので、乾電池2の消耗によって電圧低下したときでも、電圧検出手段9が低電圧Vを検出するまでは良好な点火性能を維持することができるものとなり、安全装置Aの作動の確実性と使い勝手の向上が実現できるものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は芯上下式のバーナを構成する燃焼器、6は図示しない燃焼芯を上下動する芯上下装置、7は芯上下装置6による芯上げ操作後に手動操作される点火スイッチ、3は芯上下装置6によって上昇した芯に接近する点火ヒータなどで構成した点火器、2は燃焼器1の電源を構成する乾電池であり、芯上下装置6によって芯を燃焼位置まで上昇し、点火スイッチ7を閉路にすると点火器3に通電され、点火器3によって燃焼芯に着火して燃焼器1が燃焼を開始する。
【0018】
10は燃焼器1の芯上下装置6に取付けた自動消火装置、10aは自動消火装置10を構成する感震おもり、10bは燃焼位置で芯上下装置6と係合する作動部であり、燃焼器1に強い振動が与えられたときに感震おもり10aがこれを検出して倒れると、作動部10bと芯上下装置6の係合が外れ、芯上下装置6によって燃焼芯が強制的に消火位置に移動して燃焼器1を消火するものである。
【0019】
4は燃焼器1の燃焼状態を検出する異常検出手段、5は該異常検出手段4の出力信号によって作動する消火機構、Aは異常検出手段4と消火機構5とで構成する安全装置、6aは芯上下装置6による芯上げ操作と連動して作動する運転スイッチであり、芯上下装置6によって燃焼芯を燃焼位置に上昇すると運転スイッチ6aが閉路となり、異常検出手段4への通電が開始される。そして、燃焼器1の燃焼中に異常検出手段4が燃焼器1の異常燃焼や室内状態の悪化を検出したときは消火機構5に通電し、消火機構5は自動消火装置10を作動して燃焼器1を消火する。
【0020】
燃焼器1が異常燃焼を起こしたときや室内状態が悪化したときは、燃焼器1を使用している部屋の異常温度上昇やCO・CO2濃度が異常上昇するものであり、異常検出手段4は室温検出するサーミスタやCOやCO2などを検出するセンサで構成している。また、消火機構5をソレノイドで構成したものであり、実施例を示す図2において、5aは消火機構5を構成するソレノイドの作動ピンであり、消火機構5の作動ピン5aは自動消火装置10の感震おもり10aと対向して配置されている。異常検出手段4が異常検出して消火機構5に通電されると、消火機構5の作動ピン5aが自動消火装置10の感震おもり10aを倒して作動部10bと芯上下装置6の係合を外すので、自動消火装置10が起動して消火するものである。
【0021】
ところで、芯上下式の石油燃焼器の点火器3にはフィラメントを用いる赤熱式の点火ヒータと、放電電極を用いる火花放電式の点火装置があり、フィラメントを使う点火ヒータは駆動電圧が3V仕様のものが一般的であり、一方、放電式の点火装置は駆動電圧が6V仕様のものが一般的であり、従来の燃焼器1は点火器3に点火ヒータを使用する場合と放電式の点火装置を使用する場合で異なる電源電圧の乾電池2を使用していた。
【0022】
一方、安全装置Aを構成する異常検出センサ4や消火機構5は駆動電圧が5V仕様のものが一般的であり、点火器3が駆動電圧の低い点火ヒータのときは3Vの乾電池2が使用されているため、この点火器3と安全装置Aとを組み合わせるときは乾電池2の電圧が不足するので、異常検出手段4や消火機構5の駆動電圧を得る為に昇圧回路を設ける必要があった。
【0023】
点火器3や消火機構5は駆動時に大電流を必要とするので、点火器3や消火機構5の通電時には乾電池2の電圧が一時的に低下するものである。新品の乾電池2は点火器3や消火機構5の通電時でも一定の電圧を維持することができ、点火器3や消火機構5は正常に作動するものであるが、乾電池2の消耗とともに点火器3や消火機構5の通電時の電圧低下が大きくなり、点火器3や消火機構5が作動できなくなる。そして、点火器3が点火ヒータの場合には、昇圧回路で得られる電圧が不安定になって消火機構5の作動も不安定になり、異常検出手段4が異常を検出しても消火機構5が作動しないことがあり、消火できないトラブルを発生させる恐れがあった。
【0024】
この発明は駆動電圧の低い点火ヒータ式の点火器3と駆動電圧の高い安全装置Aとの組み合わせにおいて、確実に消火機構5を作動して消火する安全装置Aを実現するもので、点火器3の駆動電圧が低いものであっても、乾電池2の電源電圧を駆動電圧の高い安全装置Aにあわせて設定し、安全装置Aは乾電池2の電源電圧によって直接駆動する構成としたものである。
【0025】
乾電池2を安全装置Aの高い駆動電圧に合わせて設定すると、点火器3の通電時の出力電圧が高くなりすぎて点火ヒータのフィラメントの溶断が起こってしまうので、点火器3の通電時には点火ヒ−タ式の点火器3の低い駆動電圧を出力する必要がある。
【0026】
一般的に、5V駆動の安全装置Aを設けたときは1.5Vの電源電圧をもつ乾電池2を4本使用して6Vの電源電圧とするので、このうちの2本を使って点火器3へ通電することで点火器3の低い駆動電圧を得る方法が考えられるが、この方法はフィラメントの溶断は起こらないものの、安全装置Aに使用される4本の乾電池2のうち点火器3を駆動させる2本の乾電池2の消耗が早くなるため、乾電池2の4本の乾電池間に電圧差が生じて点火器3を駆動させる2本が逆充電状態となり、発熱や液漏れを発生させたり、乾電池の寿命が短くなってしまうため、アイデアのみで実施できないものであった。
【0027】
8は点火器3の回路に設けた抵抗体であり、該抵抗体8は点火器3と直列接続しており、点火スイッチ6の閉路による点火操作によって点火器3への通電が行われると、点火器3の通電時の内部抵抗と抵抗体8の抵抗によって乾電池2の電源電圧を分圧するものであり、点火器3と抵抗体8の分圧比率によって点火器3の電圧が低い駆動電圧となるように抵抗体8の抵抗値を設定している。
【0028】
この構成により、乾電池2を安全装置Aの高い駆動電圧に合わせて設定しても、点火器3への通電時は点火ヒ−タ式の点火器3の低い駆動電圧が出力できると共に、点火器3の通電時も安全装置Aの通電時も燃焼器1に備える乾電池2全てが使用されるので、乾電池2の電圧差を生じさせることはなくなった。したがって、乾電池2を安全装置Aの高い駆動電圧に合わせて設定することができるため、乾電池2の消耗時に電圧が不安定になる昇圧回路が不要となり、乾電池2の消耗時でも安全装置Aの作動を安定させることができるものとなった。
【0029】
また、従来は昇圧回路が必要となる点火ヒータ式の機種と昇圧回路が不要である放電式の機種とで安全装置Aの構造が異なり、機種ごとに専用の部品が必要となっていたため、生産効率が悪いものであったが、この発明では同じ電源電圧の乾電池2が使用できると共に、同じ安全装置Aが使用できるものとなった。そして、点火器3が電圧の高い放電式の点火装置のときは点火器3の回路に設けた抵抗体8を削除して回路を短絡させるだけで対応できるから、機種ごとにバラバラであった電源部品や安全装置A等の部品の共通化が可能となり、製造効率が向上と共にコストの低減が実現できるものとなった。
【0030】
また、上記構成において、点火器3は燃焼芯に一定のエネルギーを与えて点火するものであり、乾電池2が消耗して電圧が低下したときでも通電を続けると着火できることがある。一方、消火機構5は瞬間的な力を必要とするものであり、乾電池2の電圧が低下すると消火機構5の作動ピン5aの力が弱くなって感震おもり10aを倒すことができなくなり、消火できなくなる恐れがある。
【0031】
点火器3の出力電圧は点火器3の通電時の内部抵抗値と抵抗体8の抵抗値とによって決定されるものであり、点火器3の通電時の内部抵抗は決まっているから、抵抗体8の抵抗値を変更して分圧比率を変えることで点火器3の出力電圧を変化させることができる。この発明の実施例において、抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の抵抗値よりも大きく設定し、抵抗値の高い抵抗体8の電圧が高く、抵抗値の低い点火器3の電圧が低くなるようにした。
【0032】
この構成であれば、乾電池2が新品で電圧が高いときは、分圧比率を低くしても点火器3の駆動電圧は得ることができるが、乾電池2が消耗したときの点火器3の電圧の低下量が大きくなり、消火機構5よりも先に点火器3の駆動可能な出力電圧が得られなくなるものであり、点火器3によって燃焼芯に点火できる間は消火機構5の駆動が確保できるので、安全装置Aとしての信頼性が高まった。
【0033】
また、点火ヒータは点火時以外は燃焼芯から離れており、点火操作時に移動して燃焼芯に接触して着火するものであるが、フィラメントが赤熱した状態で燃焼芯に接触すると変形や断線が起こりやすいものであった。この発明の構成において、点火器3は無通電時は内部抵抗値が小さく、通電開始して電流が流れると赤熱によって内部抵抗値が上昇するものであるが、点火器3への通電開始時は点火器3の内部抵抗値に比べて抵抗体8の抵抗値が高いので、この分圧比率で分圧されると点火器3の電圧上昇が抑えられるが、フィラメントに通電されることで抵抗体8より内部抵抗値が高くなり、しだいに赤熱してくることによって、点火器3の通電開始からフィラメントが赤熱を開始するまでにタイムラグを作ることができるものとなり、フィラメントが燃焼芯に接触してから赤熱するからフィラメントの変形や断線が起こりにくくなり、点火ヒータの耐久性を上げることができた。
【0034】
また、この発明の他の実施例において、9は乾電池2の電圧を検出する安全装置Aに設けた電圧検出手段であり、該電圧検出手段9は運転スイッチ6aが閉路となったときに乾電池2の電圧検出を開始し、電圧検出手段8が低電圧Vを出力したときに消火機構5を作動して燃焼器1を消火する構成となっている。
【0035】
具体的な構成として、乾電池2が消耗して一定の電圧以下になると点火器3や消火機構5が作動できなくなるものであり、この電圧を低電圧Vとして設定し、燃焼中に電圧検出手段9が低電圧Vを検出したときは消火機構5を作動して燃焼器1を停止する。したがって、消火機構5が作動できなくなる前に使用者が乾電池2の消耗に気付いて新品の乾電池2に交換するので、安全装置としての信頼性が向上できるものとなった。
【0036】
また、乾電池2の消耗とともに点火器3の通電時の出力電圧が弱くなって点火しにくくなるものであるが、乾電池2の電圧を検出する電圧検出手段9を設けたときには抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の抵抗値より小さく設定し、点火器3の出力電圧が高くなるようにすることで、乾電池2の消耗によって電圧低下したときでも、電圧検出手段9が低電圧Vを検出するまでは良好な点火性能を維持することができるものとなり、安全装置Aの作動の確実性と使い勝手の向上が実現できた。
【0037】
なお、電圧検出手段8が低電圧Vを検出して燃焼器1が消火したときは、警報ランプや警報ブザーなどで使用者に知らせるようにすれば、乾電池2が消耗したまま燃焼器1の使用を続けてしまうことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の機能をブロックで示した回路図である。
【図2】この発明の実施例を示す石油燃焼器の要部断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 燃焼器
2 乾電池
3 点火器
4 異常検出手段
5 消火機構
6 芯上下装置
6a 運転スイッチ
7 点火スイッチ
8 抵抗体
9 電圧検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器1には、
乾電池2を電源とする点火器3を設けると共に、
燃焼器1が設置された室内の状態を検出する異常検出手段4と、該異常検出手段4の出力信号によって作動する消火機構5とで構成する安全装置Aを設け、
芯上下装置6による芯上げ操作時に運転スイッチ6aを閉路として異常検出手段4の作動を開始した後、
点火スイッチ7を閉路とする点火操作によって点火器3に通電して燃焼を開始し、
燃焼器1の燃焼中に異常検出手段4が室内の異常状態を検出したときに消火機構5が作動して消火する燃焼器において、
前記点火器3と安全装置Aとの駆動電圧が異なり、点火器3の駆動電圧が低く、安全装置Aの駆動電圧が高いときでも、燃焼器1には安全装置Aを駆動可能とする駆動電圧の高い電源の乾電池2を備え、
かつ、点火スイッチ7によって通電される点火器3の回路には点火器3と直列接続する抵抗体8を設け、点火器3の通電時の内部抵抗と抵抗体8とによって乾電池2の電源電圧を分圧して点火器3の低い駆動電圧を出力する構成とし、
低い駆動電圧の点火器3と高い駆動電圧の安全装置Aを同一の乾電池2によって使用可能にしたことを特徴とする燃焼器の安全装置。
【請求項2】
前記抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の内部抵抗値より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の燃焼器の安全装置。
【請求項3】
前記安全装置Aには乾電池2の電圧を検出する電圧検出手段9を設け、該電圧検出手段9が低電圧Vを検出したときに消火機構5を作動して消火することを特徴とする請求項1記載の燃焼器の安全装置。
【請求項4】
前記電圧検出手段9を設けたときは、抵抗体8の抵抗値を点火器3の通電時の内部抵抗値より小さく設定することを特徴とする請求項3に記載した燃焼器の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−153388(P2006−153388A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347395(P2004−347395)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)