説明

石英ガラスの製造方法

【課題】 高純度でシラノール基含量の極めて少ない合成石英ガラスを、効率よく得ることのできる石英ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】 シリカを加熱し、第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に3時間以上保持した後、第2加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は石英ガラスの製造方法に関し、特に半導体用熱処理部材、半導体単結晶引き上げ用坩堝、光学用部材などの原料として使用される高純度でOH含有量の少ない石英ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石英ガラスはその原料の違いから、天然原料を粉砕、精製して溶融する天然石英ガラスと、液状のケイ素化合物から製造した合成石英ガラスの二種類に大別される。
【0003】天然石英ガラスは安価ではあるが、一般的に不純物含量が多く、また品質も不安定であるため、特に半導体用熱処理部材、半導体単結晶引き上げ用坩堝、光学用部材などの原料としては、高純度の天然石英ガラスを厳選して使用しているが、尚、不純物が多いものであった。
【0004】合成石英ガラスの製造方法としては、アルコキシシランを加水分解してゲル化し、脱カーボン化した後1200℃以上で焼成する方法が、S.Sakka:Treatise on Materials Science and Technology, 22.に記載され、またケイ酸アルカリからシリカを得、これを焼成する方法が特開平11−11931公報等に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらシリカにはOH基(シラノール基)が比較的多量に含まれており、焼成時にも十分低減化されることはなかった。このようにシラノール基を含有するシリカから得られた石英ガラスを原料として、例えば半導体単結晶引き上げ用坩堝等を製造しようとすると溶融時に気泡が発生したり、粘度が低下したりするという実用上の問題があった。
【0006】このため、シリカ粒子からシラノール基を除去する方法として、脱湿空気中、1220℃で50時間保持し、シラノールの拡散を利用する技術が特開平8−26741号公報に記載されているが、この方法は、長時間の熱処理のためコスト面で工業化適性に欠けるだけでなく、シリカ粒子が失透(結晶化)するという問題もあった。
【0007】また、特開平2−289416号公報には、600〜1000℃に一旦保持して脱シラノールする方法が記載されているが、十分にシラノール基含量を少なくするには長時間の焼成を要するものであった。
【0008】そこで本発明の目的は、上述の問題点を解消し、高純度でシラノール基含量の極めて少ない合成石英ガラスを、効率よく得ることのできる石英ガラスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の事実を発見した。即ち、原料シリカの焼成によってシリカ中のシラノール基を脱水重縮合してシロキサンネットワークを形成させることによりシラノール基を減少させるにあたり、シリカ粒子の比表面積を調べたところ、当初約800m2/gであった比表面積が300℃付近では約250m2/g程度にまで減少していることを発見した。このことから、当初のシリカ中に存在する極小さな細孔が300℃を超えるころまでに潰れてしまい、脱シラノール効率を下げていると考えられる。
【0010】そこで本発明者らは、特定の温度以下の温度域を減圧雰囲気とし、細孔が潰れてしまう温度以下の温度域に保持することにより、シリカ中の水分やシラノール基の大部分を効率的に減少させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本第1発明は、シリカを加熱し、第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に3時間以上保持した後、第2加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する(但し、全加熱段階を通して少なくとも500℃以下の温度範囲においては減圧雰囲気下で加熱を行う)ことを特徴とする石英ガラスの製造方法である。
【0012】又、本第2発明は、シリカを加熱し、第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に30分以上保持した後、第2加熱段階として500℃〜700℃の温度範囲に30分以上保持し、ついで第3加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する(但し、第2加熱段階までの間は減圧雰囲気下で加熱を行う)ことを特徴とする石英ガラスの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、まず本第1発明について詳述する。本第1発明に使用するシリカは特に限定されず、工業的に使用可能で目的とする石英ガラスの用途に適した純度のシリカであればどのようなものでもよく、例えば、珪酸アルカリのゲル化によって得られるシリカや、メチルシリケートやエチルシリケートなどのアルコキシドを加水分解してゲル化して得られるシリカ等が使用できる。このような原料シリカは、好ましくはシリカ粉末である。
【0014】本第1発明は、原料シリカを加熱してシラノール基を除去するが、全加熱段階を通して少なくとも500℃以下の温度範囲においては減圧雰囲気下で加熱を行うものである。減圧の程度は特に限定されないが、概ね65kPa以下、好ましくは45kPa以下とする。500℃以下の温度範囲において上記のように減圧雰囲気としないとシラノール基の除去効率が悪くなる。以下、特に記載の無い限り、本第1発明において該温度範囲では減圧雰囲気下である。尚、全工程を減圧下で行ってもよいが減圧を解除(常圧にもどす)する場合には、乾燥空気、乾燥不活性ガス(窒素、アルゴン等)等を導入することによるのが好ましい。
【0015】本第1発明における原料シリカの加熱は、まず第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に3時間以上、好ましくは6時間以上保持するものである。
【0016】この第1加熱段階において大部分のシラノール基が除去される。保持時間が上記未満であるとシラノール基が十分除去されないまま高温にさらされることとなり、残存シラノール基が生じてしまう。
【0017】第1加熱段階の保持時間の上限は特に無く、時間をかけるほど確実なシラノール基除去が行えるが、工業的に適切な効率化の観点から20時間以下が好ましく、より好ましくは15時間以下である。
【0018】また、保持温度が上記未満であると十分なシラノール基除去が行えず、逆に保持温度が上記を超えるとシラノール基が十分除去される前に細孔が潰れ、やはり十分なシラノール基除去が行えない。
【0019】本第1発明は、上記第1加熱段階終了後、昇温して第2加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する。第2加熱段階によって除去され難いシラノール基までも十分に除去することができる。
【0020】保持温度が上記未満であると十分なシラノール基除去が行えず、逆に保持温度が上記を超えるとシリカ粒子同士の焼結が起こり、石英ガラスの利用範囲が極めて限定されてしまう(利用範囲を広げるには粉末状態が好ましいが、焼結体を再粉末化すると新たな表面が吸水を起こしシラノール基が増大する)。
【0021】第2加熱段階の保持時間が上記未満であるとシラノール基が十分除去されない。保持時間の上限は特に無く、時間をかけるほど確実なシラノール基除去が行えるが、工業的に適切な効率化の観点から20時間以下が好ましく、より好ましくは15時間以下がよい。
【0022】次に、本第2発明について詳述する。本第2発明に使用するシリカは特に限定されず、上記本第1発明に使用するシリカと同様のものが使用できる。
【0023】本第2発明は、原料シリカを加熱してシラノール基を除去するが、後述の第2加熱段階までの間は減圧雰囲気下で加熱を行うものである。減圧の程度は特に限定されないが、概ね65kPa以下、好ましくは45kPa以下とすればよい。第2加熱段階までの間において上記のように減圧雰囲気としないとシラノール基の除去効率が悪くなる。以下、特に記載の無い限り、本第2発明において、第2加熱段階までの間においては減圧雰囲気下である。尚、全工程を減圧下で行ってもよいが減圧を解除(常圧にもどす)する場合には、乾燥空気、乾燥不活性ガス(窒素、アルゴン等)等を導入することによるのが好ましい。
【0024】また、本第2発明は、シリカの加熱によるシラノール基の除去を、より短時間の加熱により効率的に行うことができる。
【0025】本第2発明における原料シリカの加熱は、まず第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に30分以上、好ましくは1時間以上保持するものである。
【0026】この第1加熱段階において大部分の除去され易いシラノール基が除去される。保持時間が上記未満であるとシラノール基が十分除去されないまま高温にさらされることとなり残存シラノール基が生じてしまう。
【0027】第1加熱段階の保持時間の上限は特に無く、時間をかけるほど確実なシラノール基除去が行えるが、工業的に適切な効率化の観点及びより効率的に短時間でシラノール基を除去するる観点から10時間以下が好ましく、より好ましくは7時間以下である。
【0028】また、保持温度が上記未満であると十分なシラノール基除去が行えず、逆に保持温度が上記を超えるとシラノール基が十分除去される前に細孔が潰れ、やはり十分なシラノール基除去が行えない。
【0029】本第2発明は、上記第1加熱段階終了後、昇温して第2加熱段階として500℃〜700℃の温度範囲に30分以上、好ましくは1時間以上保持する。第2加熱段階によって、やや除去され難いシラノール基までも十分に除去することができる。
【0030】保持温度が上記未満であるとやや除去され難いシラノール基が十分除去されないまま高温にさらされることとなり残存シラノール基が生じてしまう。
【0031】第2加熱段階の保持時間の上限は特に無く、時間をかけるほど確実なやや除去され難いシラノール基除去が行えるが、工業的に適切な効率化の観点及びより効率的に短時間でシラノール基を除去する観点から10時間以下が好ましく、より好ましくは7時間以下である。
【0032】また、保持温度が上記未満であると十分なやや除去され難いシラノール基除去が行えず、逆に保持温度が上記を超えるとやや除去され難いシラノール基が十分除去される前に細孔が潰れ、やはり十分なやや除去され難いシラノール基除去が行えない。
【0033】本第2発明は、上記第2加熱段階終了後、昇温して第3加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する。第3加熱段階によって除去され難いシラノール基までも十分に除去することができる。
【0034】保持温度が上記未満であると十分な除去され難いシラノール基除去が行えず、逆に保持温度が上記を超えるとシリカ粒子同士の焼結が起こり、石英ガラスの利用範囲が極めて限定されてしまう(利用範囲を広げるには粉末状態が好ましいが、焼結体を再粉末化すると新たな表面が吸水を起こしシラノール基が増大する)。
【0035】第3加熱段階の保持時間が上記未満であると除去され難いシラノール基が十分除去されない。保持時間の上限は特に無く、時間をかけるほど確実なシラノール基除去が行えるが、工業的に適切な効率化の観点から20時間以下が好ましく、より好ましくは15時間以下がよい。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。
高純度シリカガラス粉の調製1テトラエチルオルソシリケート208gに水50g、35%塩酸10gを加え、室温で10時間混合した。その後、水340gを加えて均一にして、25%アンモニア水を加えてpHを7.0にして、全体をゲル化させた。このゲルを蒸留水で十分に洗浄し、150℃の乾燥器に入れ24時間乾燥し、シリカゲル70gを得た。このシリカゲルを高純度シリカガラス粉(1)とした。その分析値を下記の表1に示す。
【0037】高純度シリカガラス粉の調製2市販のエチルシリケート(SiO2含量35重量%:日本コルコート社製)342gに水50g、35%塩酸10gを加え、室温で10時間混合した。その後、水740gを加えて均一にして、25%アンモニア水を加えてpHを7.5にして、全体をゲル化させた。このゲルを10%塩酸に3時間浸漬し、その後蒸留水で十分に洗浄し、150℃の乾燥器に入れ24時間乾燥し、シリカゲル140gを得た。このシリカゲルを高純度シリカガラス粉(2)とした。その分析値を下記の表1に示す。
【0038】高純度シリカガラス粉の調製3市販の3号水ガラス(SiO229重量%、Na2O9重量%:旭電化(株)製)100gを水で5倍に希釈し、水素型陽イオン交換樹脂で処理しSiO25重量%、pH2.5のシリカ水溶液を得た。このシリカ水溶液に硝酸を加えpH1.0にし、再度水素型陽イオン交換樹脂で処理した後、150℃の乾燥器に入れ24時間乾燥し、シリカゲル28gを得た。このシリカゲルを酸洗浄、水洗を繰り返し、再度150℃で4時間乾燥して高純度シリカガラス粉(3)を得た。その分析値を表1に示す。
【0039】高純度シリカガラス粉の調製4市販の4号水ガラス(SiO226重量%、Na2O6.5重量%:旭電化(株)製)100gを水で2倍に希釈し、硫酸を12g含んだ100gの水の中に十分拡販しながら添加し、酸性シリカゾルを得た。これを放置してゲル化させ150℃で乾燥させた。この乾燥物を再度10%硫酸水溶液で5回洗浄し、更に蒸留水で10回洗浄してシリカゲル25gを得た。このシリカゲルを再度150℃で4時間乾燥して高純度シリカガラス粉(4)を得た。その分析値を表1に示す。
【0040】
【表1】


【0041】実施例1粉砕して50〜200メッシュの粉末とした高純度シリカガラス粉(1)10gを入れた石英坩堝を加熱炉に入れ、13.3kPaの減圧雰囲気とし、室温から300℃まで3時間で昇温し、第1加熱段階としてそのまま300℃で5時間保持した。
【0042】次に300℃から600℃まで100℃/hの速度で昇温し、第2加熱段階としてそのまま600℃で4時間保持した。
【0043】ここで乾燥窒素ガスにより減圧を解除し、1200℃まで60℃/hの速度で昇温し、第3加熱段階としてそのまま1200℃で10時間保持し、石英ガラス粉を得た。
【0044】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、34ppmであった。
【0045】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は38ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0046】実施例2原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(2)に換えた他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0047】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、31ppmであった。
【0048】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は34ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0049】実施例3原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(3)に換えた他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0050】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、35ppmであった。
【0051】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.4×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0052】実施例4原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(4)に換えた他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0053】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、35ppmであった。
【0054】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は36ppmであり、1400℃での粘度は3.4×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0055】実施例5第1加熱段階保持温度を180℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0056】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、32ppmであった。
【0057】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は34ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0058】実施例6第1加熱段階保持温度を360℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0059】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、35ppmであった。
【0060】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は37ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0061】実施例7第2加熱段階保持温度を530℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0062】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、36ppmであった。
【0063】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は36ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0064】実施例8第2加熱段階保持温度を670℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0065】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、33ppmであった。
【0066】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は38ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0067】実施例9第3加熱段階保持温度を1120℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0068】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、38ppmであった。
【0069】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は38ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0070】実施例10第3加熱段階保持温度を1270℃とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0071】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、30ppmであった。
【0072】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は31ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0073】実施例11第1加熱段階保持時間を1.5時間とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0074】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、37ppmであった。
【0075】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は37ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0076】実施例12第2加熱段階保持時間を1.5時間とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0077】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、38ppmであった。
【0078】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は39ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0079】実施例13第3加熱段階保持時間を2時間とした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0080】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、32ppmであった。
【0081】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は38ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0082】実施例14減圧の程度を33.3kPaとした他は実施例1と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0083】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、34ppmであった。
【0084】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0085】実施例15粉砕して50〜200メッシュの粉末とした高純度シリカガラス粉(1)10gを入れた石英坩堝を加熱炉に入れ、13.3kPaの減圧雰囲気とし、室温から300℃まで3時間で昇温し、第1加熱段階としてそのまま300℃で10時間保持した。
【0086】次に300℃から1200℃まで60℃/hの速度で昇温(途中600℃となったところで乾燥窒素ガスにより減圧を解除した。)し、第2加熱段階としてそのまま1200℃で10時間保持し、石英ガラス粉を得た。
【0087】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、32ppmであった。
【0088】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は33ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0089】実施例16原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(2)に換えた他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0090】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、31ppmであった。
【0091】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0092】実施例17原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(3)に換えた他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0093】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、34ppmであった。
【0094】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.4×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0095】実施例18原料シリカガラス粉を高純度シリカガラス粉(4)に換えた他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0096】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、32ppmであった。
【0097】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は34ppmであり、1400℃での粘度は3.4×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0098】実施例19第1加熱段階保持温度を180℃とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0099】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、36ppmであった。
【0100】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0101】実施例20第1加熱段階保持温度を360℃とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0102】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、34ppmであった。
【0103】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は38ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0104】実施例21第2加熱段階保持温度を1120℃とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0105】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、33ppmであった。
【0106】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は37ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0107】実施例22第2加熱段階保持温度を1270℃とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0108】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、38ppmであった。
【0109】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は37ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0110】実施例23第1加熱段階保持時間を7時間とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0111】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、32ppmであった。
【0112】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0113】実施例24第2加熱段階保持時間を2時間とした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0114】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、36ppmであった。
【0115】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は35ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0116】実施例25減圧の程度を33.3kPaとした他は実施例15と同様にして石英ガラス粉を得た。
【0117】得られた石英ガラス粉のシラノール基含有量を赤外吸収分光器により測定したところ、30ppmであった。
【0118】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含有量は32ppmであり、1400℃での粘度は3.3×1010ポアズであり、良好なものであった。
【0119】比較例1第1加熱段階を省略し、室温から600℃まで昇温し、そのまま9時間保持した他は実施例1と同様に行った。
【0120】得られた石英ガラスのシラノール基含量は107ppmであった。
【0121】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含量は105ppmであり、1400℃での粘度は3.1×1010ポアズであった。
【0122】比較例2第1加熱段階を省略し、室温から1200℃まで昇温し、そのまま20時間保持した他は実施例15と同様に行った。
【0123】得られた石英ガラスのシラノール基含量は132ppmであった。
【0124】尚、この石英ガラス粉を常圧溶融した試料のシラノール基含量は133ppmであり、1400℃での粘度は2.9×1010ポアズであった。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、高純度でシラノール基含量の極めて少ない合成石英ガラスを効率よく得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリカを加熱し、第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に3時間以上保持した後、第2加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する(但し、全加熱段階を通して少なくとも500℃以下の温度範囲においては減圧雰囲気下で加熱を行う)ことを特徴とする石英ガラスの製造方法。
【請求項2】 シリカを加熱し、第1加熱段階として150℃〜400℃の温度範囲に30分以上保持した後、第2加熱段階として500℃〜700℃の温度範囲に30分以上保持し、ついで第3加熱段階として1100℃〜1300℃の温度範囲に1時間以上保持する(但し、第2加熱段階までの間は減圧雰囲気下で加熱を行う)ことを特徴とする石英ガラスの製造方法。

【公開番号】特開2001−192225(P2001−192225A)
【公開日】平成13年7月17日(2001.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−375207
【出願日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【出願人】(591277382)株式会社渡邊商行 (34)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】