説明

硬化性組成物

【課題】製造し易く、かつ作業性の良い、大気中などの水分により硬化しゴム状弾性体となる、接着性、並びに耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性に優れた架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を含有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物と、充填剤と、架橋触媒とからなる硬化性組成物である。架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物は、分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物とエチレン性不飽和化合物とを反応させて得られる分子中にそれぞれ1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中などの水分により硬化してゴム状弾性体となる、作業性、接着性、並びに耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性に優れた架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を含有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物用、土木用、自動車用などの防水シーリング材、接着剤、塗料などに使用される湿気硬化型の樹脂成分として、一般に変成シリコーンとよばれている主鎖ポリエーテルで分子内に架橋性シリル基を含有する樹脂やポリウレタン樹脂などが作業性や接着性などに優れている点から広く使用されている。
【0003】
しかしながら、近年、建築物、土木、自動車などの分野においては長期に渡って性能を維持する、いわゆる超寿命化のニーズが高まり、これらに使用されるシーリング材、接着剤、塗料などに対しても接着性及び耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性のさらなる向上が求められてきている。変成シリコーン樹脂を含有するシーリング材、接着剤、塗料などにおいては、作業性は良いのであるが、耐候性がまだ不十分で、耐水性や耐熱性などの耐久性に劣るという欠点を有し、さらには変成シリコーン樹脂の合成には特殊な装置を必要とし、製造が困難で高価であるという問題がある。
【0004】
一方、ポリウレタン樹脂においては、接着性や耐水性に優れ、製造し易く、比較的安価であるという利点を有するものの、耐候性が劣るという欠点を有する。その改良のために、例えばアクリル樹脂などの耐候性の良い樹脂を併用しようとしても、ポリウレタン樹脂の粘度が高いため、なかなかうまく行かないという問題がある。
【0005】
ここにおいて、変成シリコーン樹脂の性質とポリウレタン樹脂の性能を併せ持たせたイソシアネート基含有ポリウレタン樹脂に活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物を反応させた架橋性シリル基含有ポリウレタン樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この樹脂は合成方法が容易であり、接着性も優れているという特徴を有する反面、粘度が高く、耐水性、耐熱性、耐候性などの耐久性に劣るという問題を有している。
【0006】
また、ポリエーテルポリオールなどのポリオールにイソシアネート基と架橋性シリル基含有化合物を反応させた架橋性シリル基とウレタン結合を含有する樹脂も従来公知である(例えば、特許文献2参照)。しかし、この樹脂は粘度が低いが、耐水性、耐熱性、耐候性などの耐久性に劣るという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭46−30711号公報
【特許文献2】特開平03−47825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来公知技術の問題点を解決して、製造し易く、かつ作業性の良い、大気中などの水分により硬化しゴム状弾性体となる、接着性、並びに耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性に優れた架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を含有する硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、分子中に活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物にエチレン性不飽和基含有化合物を活性水素が残るように反応させ、残った活性水素をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに反応させて得られる、樹脂骨格がポリウレタンで、架橋性シリル基を含有し、特にエチレン性不飽和化合物由来の基がペンダントした形の架橋性ウレタン系樹脂混合物は、もとのイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりも粘度が低くなるため作業性が良く、かつ耐水性、耐熱性、耐候性などの耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物とエチレン性不飽和化合物とを反応させて得られる分子中にそれぞれ1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られる架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物と、充填剤と、架橋触媒とからなること、を特徴とする硬化性組成物である。
【0011】
本発明は、前記の分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物とエチレン性不飽和化合物とを反応させて得られる分子中にそれぞれ1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られる架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物と、充填剤と、架橋触媒と、可塑剤と、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤と、添加剤とからなること、を特徴とする硬化性組成物である。
【0012】
本発明は、前記の分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物が、分子中に2個以上の窒素原子結合活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物である、前記の各硬化性組成物である。
【0013】
本発明は、前記エチレン性不飽和化合物がアクリル系化合物及び/又はメタクリル系化合物である、前記の各硬化性組成物である。
【0014】
本発明は、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の有機ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポリオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の高分子ポリオールとを、水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである、前記の各硬化性組成物である。
【0015】
本発明は、前記充填剤が、脂肪酸処理炭酸カルシウムである、前記の各硬化性組成物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明における架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物は粘度が低く耐熱性が高いため、これを含有する硬化性組成物もまた作業性に優れており、更に、接着性が高く、伸びや強度などのゴム弾性も良好であり、特に耐熱性、耐水性、耐候性が著しく高い。そのため、この架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を含有するシーリング材、接着剤、塗料などの本発明の硬化性組成物は、最近の建築物、土木、自動車などの超寿命化、高性能化に十分適応することができる。特に、本発明の硬化性組成物は、建築物などの超寿命化、高性能化シーリング材に適している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を詳しく説明する。
まず、本発明における架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物の製造について説明する。
分子中に2個以上の活性水素好ましくは窒素原子結合活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−メチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミンを挙げることができる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用することができる。
活性水素は、硬化性組成物の耐候性、耐水性等の点から、分子中に2〜5個含まれるのが好ましい。
架橋性シリル基は、硬化性組成物の硬化性や硬化後の物性等の点から、分子中に1〜5個含まれるのが好ましい。
更に、架橋性シリル基は、製造しやすく架橋しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
【0018】
【化1】

(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整数であり、1が最も好ましい。)
【0019】
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベンジル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、エトキシ化フェノールアクリレート、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジンクジアクリレート、1,3−ブタンジオールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ジンクメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、また、次の化学式で示される各化合物などが挙げられる。
【0020】
【化2】

【0021】
これらのうち、生成するウレタン系樹脂混合物がエチレン性不飽和化合物由来の基、特にエチレン性不飽和化合物由来のペンダント基により耐候性を高める効果の点から、分子中にイソシアネート基に対して反応性の高い水酸基などの基を持っていないものが好ましい。更に、耐候性と共に硬化後の特性などの点から、アクリル酸系化合物のモノマー或いはオリゴマー、メタクリル酸系化合物のモノマー或いはオリゴマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系化合物及び/又はメタクリル系化合物が好ましく、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましい。
また同様の点から、数平均分子量10,000以下の化合物、特に数平均分子量1,000以下の化合物が好ましい。
これらのエチレン性不飽和化合物は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
エチレン性不飽和化合物は、硬化後の物性や耐候性などを向上させるため、分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物に対して、その活性水素を1個以上残存させる当量比で使用して反応させる。
【0022】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機ポリイソシアネートと、高分子ポリオールと、場合により更に鎖延長剤とを、活性水素に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。
【0023】
有機ポリイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等の脂肪族ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等の有機ジイソシアネートが好ましい。また、これら有機ジイソシアネートのアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等のいわゆる変性イソシアネートも使用できる。更に、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンポリイソシアネート等のような、いわゆるポリメリック体といわれるポリイソシアネートも使用できる。これらの有機ポリイソシアネートは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、動植物系ポリオール又はこれらのコポリオール等が挙げられる。これらの高分子ポリオールのうち、作業性、接着性、耐水性、耐候性などが優れている点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールが好ましい。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子アルコール類、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子アミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また例えば、低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0026】
ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子アルコール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0027】
ポリエーテルポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等、これらを共重合したポリエーテルポリオール、更に、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0028】
ポリオレフィンポリオールとしては、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水素添加した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0029】
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有したアクリル酸系化合物のモノマー及び/又は水酸基を含有したメタクリル酸系化合物のモノマーと、これら以外の前記のエチレン性不飽和化合物として例示した化合物の1種以上とを、ラジカル重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下にバッチ式重合又は連続重合等の公知のラジカル重合の方法により反応させて得られるものが挙げられる。
【0030】
動植物系ポリオールには、ヒマシ油系ジオール等が挙げられる。
【0031】
また、活性水素基を2個以上有するものであれば、例えば、ダイマー酸系ジオール、水素添加ダイマー酸系ジオールの他に、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂類も高分子ポリオールとして使用できる。
これらの高分子ポリオールは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
これらの高分子ポリオールの数平均分子量は500〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。密着性、耐久性等を考慮すると、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールを全高分子ポリオール中に50〜100質量%、更には100質量%含有するものが好ましい。
【0033】
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類のうち分子量500未満のもの等が好適に例示される。
【0034】
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒を用いることができる。
【0035】
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造方法は、ワンショット法、ツーショット法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオールの水酸基とのイソシアネート基/水酸基の当量比は、1.1〜5.0が好ましく、更に1.3〜2.0が好ましい。このようにして得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、特に0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは0.4〜5.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。また、樹脂中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を越える場合は、樹脂の分子量が小さすぎて、機械的強度が発現しにくくなる。
【0036】
本発明における架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物は、前記の分子中に1個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物と前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを、好適には、活性水素/イソシアネート基の当量比が1.0〜3.0/1、更に好ましくは1.0〜2.0/1の範囲で反応させて得ることができる。
この反応の際にも、前記のウレタン化触媒を用いることができる。
【0037】
以上述べてきたように、分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物の活性水素とエチレン性不飽和化合物の不飽和基とを反応させて得られた分子中に1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られた架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物は、エチレン性不飽和化合物由来の基がペンダントした形になることにより、反応する前のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりも粘度が下がり、かつ硬化後の耐熱性、耐候性が向上し、そのためこの架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を使用して得られた硬化性組成物もまた作業性が良く、硬化後の耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性も向上する。
【0038】
ここにおいて、前述のγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの分子中に1個以上の1級アミノ基と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物と、アクリル酸2−メチルヘキシルやメタクリル酸2−メチルヘキシルなどのアクリル酸系化合物を使用した場合、得られた架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物の尿素基の窒素原子に、アクリル酸系化合物由来の基がペンダントした形になり、反応する前のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりも粘度が下がり、耐熱性や耐候性などの耐久性が一層向上する。
【0039】
更に、前記において分子中に1個以上の1級アミノ基と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物の代わりに、前述のN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの分子中に1個以上の1級アミノ基と1個以上の2級アミノ基と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物を使用した場合は、得られたウレタン系樹脂混合物の耐熱性や耐候性などの耐久性がより一層向上する。
【0040】
次に、本発明の硬化性組成物のその他の成分について説明する。
充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、珪藻土、脂肪酸処理炭酸カルシウム等が挙げられ、粒径1〜100μmのものが好ましく、このうち脂肪酸処理炭酸カルシウムが更に好ましい。
充填剤の配合量は、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物100重量部に対して50〜300重量部、特に100〜200重量部の範囲が好ましい。
【0041】
架橋触媒は、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物を架橋(硬化)させるための触媒であり、具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられるが、このうち架橋速度にすぐれた有機錫化合物が好ましい。この有機錫化合物は具体的には、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート等であるが、このうち高い架橋速度、毒性及び輝発性の比較的低い液体である点から、ジブチル錫ジアセチルアセトナートが最も好ましい。
架橋触媒は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物100重量部に対して、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部配合するのが好ましい。
【0042】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類が好ましく、そのほか、脂肪族二塩基酸エステル類、グリコールエステル類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、エポキシ可塑剤類、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル類、ポリスチレン類などを挙げることができる。
可塑剤は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物100重量部に対して、0〜200重量部、特に50〜100重量部配合するのが好ましい。
【0043】
酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤は、硬化性組成物の酸化や光劣化を防止して、耐候性を更に向上させるために使用されるものであり、具体的には、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサン−tert−ブチル−4−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤は、硬化物の耐候性の改善のためには、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物100重量部に対して、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部配合するのが好ましい。
【0044】
本発明の硬化性組成物には更に、接着性向上、補強、だれ防止等のために、カップリング剤、揺変剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤等の添加剤を配合して使用することができる。
【0045】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などのものを挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤が接着性に優れているので好ましい。
シラン系カップリング剤としては、具体的には、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物を挙げることができる。
【0046】
揺変剤としては、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤が挙げられる。
【0047】
保存安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応する、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウムなどが挙げられる。
【0048】
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0049】
これら添加剤の配合量は、架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物100重量部に対して0〜100重量部、特に0〜50重量部の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の硬化性組成物において、前記各成分はそれぞれ1種類又は2種以上を混合して使用することができる。
【0051】
本発明の硬化性組成物において、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤など従来公知の有機溶剤で架橋性シリル基と反応しないものであればどのようなものでも、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。その種類と使用量は硬化性組成物の用途に応じて適宜決定すれば良い。
【実施例】
【0052】
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明する。
ここにおいて、硬化性組成物のひとつの例としてシーリング材組成物を示したが、これに限定されるものではない。
〔合成例1〕
【0053】
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応容器に、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(サイラエース310、チッソ(株)製)を206.4g仕込み、攪拌しながら更にアクリル酸2−エチルヘキシルを368.5g加えたのち、加温して80℃で3時間攪拌を続けた。次いで、減圧して未反応物を除去し、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1モルにアクリル酸2−エチルへキシル2モルの付加生成物569.2gを得た。
この化合物は、常温で液状であり、赤外線吸収スペクトルによると、3460cm-1と3320cm-1付近に第2級アミンによる吸収、1740cm-1付近にカルボニル基による吸収、1080cm-1付近にSi−O−Cによる吸収が認められた。
〔合成例2〕
【0054】
合成例1と同様の反応容器に、イソホロンジイソシアネートを77.3g仕込み、ポリオキシプロピレングリコール(PP−4000、三洋化成工業(株)製、数平均分子量4,000、水酸基価28mgKOH/g)500.0gとポリオキシプロピレングリコール(PML−4010、旭硝子(株)製、数平均分子量10,000、水酸基価11mgKOH/g)500.0gの混合物とジブチル錫ジラウレート0.32gを攪拌しながら徐々に添加し、70〜80℃で3時間攪拌して、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーAを製造した。
このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基含有量は1.31質量%、粘度が10,300mPa・s/25℃であった。
〔合成例3〕
【0055】
合成例1と同様の反応容器に、イソホロンジイソシアネートを55.2g仕込み、アクリルポリオール(ARUFON UH−2000、東亞合成化学(株)製、数平均分子量13,000、水酸基価20mgKOH/g)300.0gとポリオキシプロピレングリコール(PML−4010、旭硝子(株)製、数平均分子量10,000、水酸基価11mgKOH/g)700.0gの混合物とジブチル錫ジラウレート0.32gを攪拌しながら徐々に添加し、70〜80℃で3時間攪拌して、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーBを製造した。
このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーBのイソシアネート基含有量は0.96質量%、粘度が27,000mPa・s/25℃であった。
〔合成例4〕
【0056】
合成例1と同様の反応容器に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを36.3g仕込み、アクリルポリオール(ARUFON UH−2000、東亞合成化学(株)製、数平均分子量13,000、水酸基価20mgKOH/g)194.7gとポリオキシプロピレングリコール(PML−4010、旭硝子(株)製、数平均分子量10,000、水酸基価11mgKOH/g)454.2gとポリブタジエンポリオール(Poly bd R−45HT、出光アトケム(株)製、数平均分子量2800、水酸基価46.6mgKOH/g)64.9gの混合物とジブチル錫ジラウレート0.27gを攪拌しながら徐々に添加し、70〜80℃で3時間攪拌して、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーCを製造した。
このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーCのイソシアネート基含有量は1.12質量%、粘度が67,000mPa・s/25℃であった。
〔製造例1〕
【0057】
合成例1と同様の反応容器に、合成例1で得たN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1モルにアクリル酸2−エチルヘキシル2モルの付加生成物146.5gと合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーA373.0gとを加えて、20〜40℃で1時間攪拌して、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の基がペンダントした形のメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Aを製造した。
このメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Aの粘度は7,200mPa・s/25℃であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーAの粘度より低いことが確認された。
〔製造例2〕
【0058】
合成例1と同様の反応容器に、合成例1で得たN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1モルにアクリル酸2−エチルヘキシル2モルの付加生成物146.5gと合成例3で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーB507.8gとを加えて、20〜40℃で1時間攪拌して、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の基がペンダントした形のメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Bを製造した。
このメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Bの粘度は18,600mPa・s/25℃であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーBの粘度より低いことが確認された。
〔製造例3〕
【0059】
合成例1と同様の反応容器に、合成例1で得たN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1モルにアクリル酸2−エチルヘキシル2モルの付加生成物146.5gと合成例4で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーC462.9gとを加えて、20〜40℃で1時間攪拌して、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の基がペンダントした形のメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Cを製造した。
このメチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Cの粘度は28,500mPa・s/25℃であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーCより粘度が低いことが確認された。
〔実施例1〕
【0060】
加熱装置付き混練容器に、メチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)A200g、ビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210、チッソ(株)製)10g、ジオクチルフタレート130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)4g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(カルファイン200M、丸尾カルシウム(株)製)250g、脂肪酸アマイド(脂肪酸アマイドS、花王(株)製)9gを仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合した。その後110℃で1時間滅圧脱水を行い、冷却後、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成(株)製)2g及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(サイラエースS310、チッソ(株)製)3gを仕込み、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
〔実施例2〕
【0061】
実施例1において、メチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Aの代わりに、メチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Bを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
〔実施例3〕
【0062】
実施例1において、メチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Aの代わりに、メチルジメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Cを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
〔比較製造例1〕
【0063】
合成例1と同様の反応容器に、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM573、信越化学工業(株)製)7.0gと合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーA80.0gとを加えて、70〜80℃で8時間攪拌して、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Dを製造した。
このトリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Dの粘度は67,000mPa・s/25℃であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーAより粘度が高いことが確認された。
〔比較製造例2〕
【0064】
合成例1と同様の反応容器に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS360、チッソ(株)製)4.9gと合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーA80.0gとを加えて、20〜40℃で1時間攪拌して、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Eを製造した。
このトリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Eの粘度は62,500mPa・s/25℃であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーAより粘度が高いことが確認された。
〔比較製造例3〕
【0065】
合成例1と同様の反応容器に、ポリオキシプロピレングリコール(PML−4010、旭硝子(株)製、数平均分子量10,000、水酸基価11mgKOH/g)94.5gと3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE9007、信越化学工業(株)製)5.5gとを加えて、70〜80℃で8時間攪拌して、トリエトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Fを製造した。
このトリエトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Fの粘度は6,500mPa・s/25℃であった。
〔比較例1〕
【0066】
加熱装置付き混練容器に、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)D200g、ビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210、チッソ(株)製)10g、ジオクチルフタレート130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)4g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(カルファイン200M、丸尾カルシウム(株)製)250g、脂肪酸アマイド(脂肪酸アマイドS、花王(株)製)9gを仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合した。その後110℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成(株)製)2g及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(サイラエースS310、チッソ(株)製)3gを仕込み、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
〔比較例2〕
【0067】
比較例1において、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Dの代わりに、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Eを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
〔比較例3〕
【0068】
比較例1において、トリメトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Dの代わりに、トリエトキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)Fを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0069】
〔性能試験〕
(1)耐熱性
製造例1〜3及び比較製造例1〜3で得られたアルコキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)A〜Fそれぞれ100gに、架橋触媒ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成(株)製)をそれぞれ1g加え、シート状にして23℃、50%RHで14日間養生、硬化させて厚み2mmのシートを作製し、これをダンベル状に打ち抜いて試験片を作製した。
このダンベル試験片を用いて、80℃で7日間と21日間、90℃で7日間と21日間加熱処理したものをJIS K6251:1993に準じて引張試験を行った。
判定基準:
○;切断時の伸びが300%以上のもの
△;切断時の伸びが100%以上、300%未満のもの
×;切断時の伸びが100%未満のもの
(2)耐候性(1)
アルコキシシリル基含有ウレタン系樹脂(混合物)A〜Fそれぞれ100gに、架橋触媒ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成(株)製)をそれぞれ1.0g加えた組成物をアルミニウム板に0.1mm厚で塗布し、JIS K6266:1996に準じてサンシャインウエザオメーターを用いて75時間後、100時間後、150時間後、200時間後、300時間後、370時間後、400時間後の塗膜の状態を目視と指触により観察した。
判定基準:
○;良好(塗膜に変化なし)
△;やや不良(塗膜が変色又はべとついている)
×;不良(塗膜が一部分解又は消失している)
(3)耐候性(2)
実施例1〜3及び比較例1〜3で調製したシーリング材組成物をシート状にして23℃、50%RHで14時間養生、硬化させて厚み2mmのシートを作製し、これをダンベル状に打ち抜いて試験片を作製した。
このダンベル試験片を用いて、JIS K6266:1996に準じてサンシャインウエザオメーターを用いて1000時間後、2000時間後、3000時間後、5000時間後、7000時間後のシーリング材の表面の状態を目視により観察した。
判定基準:
○;シーリング材表面にヘアクラックなし
×;シーリング材表面にヘアクラック多数あり
(4)押出し性
前記実施例1〜3と比較例1〜3で調製したシーリング材組成物を用いて、JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して測定した(測定温度23℃)。
(5)スランプ
前記実施例1〜3と比較例1〜3で調製したシーリング材組成物を用いて、JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」に準拠して、スランプ(縦)を測定した(測定温度23℃)。
(6)引張接着性
前記実施例1〜3及び比較例1〜3で調製したシーリング材組成物を用いて、JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21引張接着性試験」に準拠して試験した(試験温度23℃)。
なお、試験体は、スレートをプライマー(OP2531、オート化学工業(株)製)で処理しシーリング材組成物を打設、養生して作製したものを試験に供し、さらに別に養生した試験体を50℃で7日間水浸漬処理したものを試験に供した。
(7)モジュラス
前記試験体について、50%引張応力(M50)の値が22以下のものを○、23以上のものを×と評価した。
(8)伸び
(6)の引張試験においてEmaxが300%以上のものを○、100%未満のものを×と評価した。
以上の各性能の測定結果を原料組成と共に表1及び2にまとめて示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物とエチレン性不飽和化合物とを反応させて得られる分子中にそれぞれ1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られる架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物と、充填剤と、架橋触媒とからなること、を特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物とエチレン性不飽和化合物とを反応させて得られる分子中にそれぞれ1個以上の活性水素と架橋性シリル基を含有する化合物と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとを反応させて得られる架橋性シリル基含有ウレタン系樹脂混合物と、充填剤と、架橋触媒と、可塑剤と、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤と、添加剤とからなること、を特徴とする硬化性組成物。
【請求項3】
前記の分子中に2個以上の活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物が、分子中に2個以上の窒素原子結合活性水素と1個以上の架橋性シリル基を含有する化合物である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和化合物がアクリル系化合物及び/又はメタクリル系化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の有機ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポリオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の高分子ポリオールとを、水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記充填剤が、脂肪酸処理炭酸カルシウムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−84583(P2009−84583A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16687(P2009−16687)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【分割の表示】特願2000−141825(P2000−141825)の分割
【原出願日】平成12年5月15日(2000.5.15)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】