説明

磁性粒子によるアッセイ用カートリッジ

本発明は液体試料中の標的成分を検出するためのカートリッジ(100)及び対応するセンサデバイスに関する。当該カートリッジ(100)は、試料チャンバ(SC)、磁性粒子(MP,MP’)を供給することができる少なくとも2つの貯蔵室(131,132)、並びに、溶解した磁性粒子及び/又は標的成分が検出可能である少なくとも2つの対応する感受性領域(121,122)を有する。所与の形状の作用磁場(B)が前記試料チャンバ内に発生するとき、各異なる容器の前記磁性粒子のほとんどは、各異なる感受性領域へマイグレーションする。よって磁性粒子の混合を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子の助けを借りることで、液体試料中の標的成分を検出するカートリッジ及び方法、当該カートリッジを有するセンサデバイス、並びに、当該カートリッジ及びセンサデバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサデバイスは特許文献1及び特許文献2から既知である。これらはたとえば、磁気ビーズによってラベルが付された分子−たとえば生体分子−を検出するためのマイクロ流体バイオセンサに用いられて良い。その磁気センサデバイスには、磁場を発生させるためのワイヤと、磁化したビーズによって発生する漂遊場を検出するための巨大磁気抵抗(GMR)を有するセンサユニットのアレイが供される。GMRの信号は、隣接する接触面に結合するビーズの数を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/010543号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/010542号パンフレット
【特許文献3】国際公開第93/22678号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景に基づき、本発明の目的は、磁性粒子の助けを借りることで試料中の標的成分を検出する手段を供することである。ここでは、様々な標的成分の同時検出を高精度で可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1に記載のカートリッジ、請求項12に記載のセンサデバイス、請求項14に記載の方法、及び請求項15に記載の使用によって実現される。好適実施例は従属請求項に開示されている。
【0006】
本発明に係るカートリッジは、液体試料中の標的成分−たとえば血液、唾液、又は尿のような体液中の原子、(生体)分子、複合体、薬(特に乱用薬物)、ナノ粒子、マイクロ粒子、細胞(の断片)−を検出する役割を果たす。前記の標的成分の検出は定性的(存在/不存在の情報しか得られない)であって良いが、定量的(たとえば試料中の標的成分の濃度が得られる)であることが好ましいと考えられる。当該カートリッジは典型的には、注入成型によって作られる低コストのプラスチック部品である。当該カートリッジは、被検査試料で充填され、所望の測定を行うための対応する読み取り装置に挿入され、かつその後廃棄される。しかし一般的には、「カートリッジ」という語は、以下の構成要素によってのみ定義されるデバイスを意味する。
【0007】
a) 前記被検査試料によって充填可能であり、かつ所与の形状の「作用磁場」を発生させることが可能な「試料チャンバ」。前記試料チャンバは一般的には空洞である。しかし前記試料チャンバは、開放された空洞であって良いし、閉じられた空洞であっても良いし、又は、流体接続チャネルによって他の空洞と連続する空洞であっても良い。
【0008】
前記作用磁場の形状は、該磁場の磁力線の空間的進路及び前記磁場の大きさ(つまり磁場ベクトルの長さ及び方向)によって記述される。当該カートリッジを定義するため、前記作用磁場の形状は、所定であり、かつ当該カートリッジに対して変化しないと考えられる。
【0009】
前記作用磁場は当該カートリッジの内的手段及び/又は外的手段によって発生して良い。当該カートリッジの設計は如何なる場合においても、前記の所与の形状の作用磁場を前記試料チャンバ内に発生可能、つまりたとえば前記試料チャンバが磁気的に遮蔽されないようなものでなければならない。前記作用磁場は、たとえばゼロではない磁場勾配を介して磁性粒子に作用する力によって、前記の試料チャンバ内の磁性粒子のマイグレーションに影響を及ぼすことができる。前記磁場ベクトルの大きさは通常、(たとえば重力のような他の影響と比較して)磁気的影響を十分強くするように、ある閾値を超えなければならない。
【0010】
b) 前記試料中で可溶な磁性粒子用の少なくとも2つの「貯蔵室」。前記磁性粒子は特に、複合体、ナノ粒子、マイクロ粒子等を有して良い。これらは、磁化しているか、又は外部磁場で磁化可能である。最も好適にはこれらは、表面上に生体親和性コーティングを有する超常磁性ビーズを有する。
【0011】
各貯蔵室は連続した面積/体積であって良いし、又は不連続な面積/体積であっても良い。前記貯蔵室は既に磁性粒子で充填されていて良いし、又は依然として空(つまり前記粒子を取り込む準備ができているだけ)のままでも良い。
【0012】
c) 磁性粒子及び/又は標的成分が(定性的又は定量的に)検出可能な、少なくとも2つの「感受性領域」。前記磁性粒子及び/又は標的成分が、該磁性粒子及び/又は標的成分の溶解する液体試料を介して前記感受性領域に入り込むときに、前記磁性粒子及び/又は標的成分が検出可能である。前記感受性領域はたとえば、前記試料チャンバの透明な壁上に設けられることで、外部から光学的にアクセス可能であっても良い。
【0013】
しかも前記試料チャンバ、前記貯蔵室、前記感受性領域、及び前記所与の作用磁場の間の関係は、様々な貯蔵室の磁性粒子が、前記作用磁場の影響を受けながら、前記試料チャンバを充填する試料内でマイグレーションを起こすとき、前記の様々な貯蔵室の磁性粒子のほとんどは(前記磁性粒子が完全に1つの感受性領域に到達するとして)様々な感受性領域に到達するようなものでなければならない。マイクロ粒子の移動が常に無作為の影響に服するので、問題の条件は「ほぼ」満足される。つまり磁性粒子数の90%よりも多くで、好適には95%よりも多く、最も好適には99%よりも多くについて満足される。
【0014】
前述したカートリッジは、様々な貯蔵室からの磁性粒子及び様々な感受性領域による試料の並列検査を可能にする。前記磁性粒子は前記作用磁場によって影響を及ぼされる(たとえば所望の方向への移動)ことが可能である。好適には、前記磁性粒子への前記作用磁場の効果は、様々な貯蔵室からの磁性粒子が、前記感受性領域へのマイグレーション中及び前記感受性領域との相互作用中に混合しないようなものである。よって前記作用磁場は、前記磁性粒子(専)用のある種の擬似的な壁を構成する。前記擬似的な壁は、前記試料チャンバを複数の別個の小チャンバに分離する。前記小チャンバ間では磁性粒子の交換は起こらない。しかし実際、前記試料チャンバは、前記試料液体が自由に広がることができる連続した体積のままである。
【0015】
一般的には貯蔵室と感受性領域との間には一対一の関係が存在するが、一の貯蔵室からの磁性粒子は、一対多の関係で様々な感受性領域へマイグレーションすることに留意して欲しい。
【0016】
一般的には、前記の所与の作用磁場の形状は相当程度任意であって良い。しかし多くの場合では、前記磁場勾配−つまり前記磁場強度の(スカラー値としての)大きさの勾配−は前記感受性領域(及び任意で貯蔵室)に対して垂直である。より厳密には、前記感受性領域は共通の面内で延在して良い。前記作用磁場勾配は、前記共通の面を実質的に垂直(つまり約70°〜110°で好適には約80°〜100°)に交差する。磁性粒子は通常前記磁場勾配の方向に移動するので、前記の記載された形状により、粒子は前記感受性領域(及び貯蔵室)に対して垂直に移動する。
【0017】
当該カートリッジの貯蔵室は、使用の際、同一種類(材料、サイズ分布、コーティング等)の磁性粒子で充填されて良い。しかし少なくとも2つの貯蔵室は、異なる種類の磁性粒子−具体的には各異なる標的成分に対して固有な磁性粒子−で充填される。前記の2つの貯蔵室の磁性粒子は、たとえば各異なる分子でコーティングされて良い。前記各異なる分子は、試料中の各異なる標的成分及び/又は前記感受性領域内の各異なるサイトと(生)化学的に結合する。
【0018】
同様な見解は前記感受性領域にも適用される。つまり少なくとも2つの感受性領域は各異なる標的成分に対して固有であることが好ましい。これらの領域はたとえば、前記試料中の各異なる標的成分に対して選択的に結合する結合サイト(捕獲分子)でコーティングされて良い。よって様々な標的成分について、並列に試料をスクリーニングすることが可能である。
【0019】
所与の作用磁場と併用することで、貯蔵室から感受性領域へ磁性粒子が各独立して移動するという所望の状態が保証される限り、貯蔵室と感受性領域の相対的な配置は相当程度任意である。好適実施例では、前記貯蔵室及び感受性領域は、前記試料チャンバの各異なる内側表面上−具体的には互いに対向する表面(たとえば前記試料チャンバの上面と底面)上−に設けられる。この場合、前記磁性粒子は、前記試料チャンバ全体を介してマイグレーションすることで前記感受性領域に到達しなければならない。これは、磁性粒子と前記試料中の標的成分との間での反応機会を最大に増やす。
【0020】
他の実施例では、前記貯蔵室は(完全又は少なくとも部分的に)対応する感受性領域と重なる。この場合、前記磁性粒子は、測定開始から既に「正しい」感受性領域に存在し、かつ、前記作用磁場は、前記磁性粒子が、この感受性領域の球から離れずに他の感受性領域へ到達することを保証する。
【0021】
さらに他の実施例によると、前記貯蔵室は、前記感受性領域と同一の表面上で、かつ前記貯蔵室に対応する感受性領域の隣に設けられる。一の共通する表面上に貯蔵室と感受性領域を配置することで、当該カートリッジの製造が助けられる。その理由は一の表面だけしか処理しなくて良いからである。
【0022】
磁性粒子が各異なる貯蔵室から対応する感受性領域へ移動するとき、前記磁性粒子は、たとえば磁力及び/又は静電力によって相互作用することができる。そのような相互作用の前記磁性粒子のマイグレーションへの意図しない影響を回避するため、前記貯蔵室は、前記磁性粒子が前記試料を介してマイグレーションする間での各異なる貯蔵室の前記磁性粒子間での相互作用が実質的に均衡状態となるような量の磁性粒子で充填されることが好ましい。2つの貯蔵室と2つの感受性領域とが対称的に配置されている状態では、たとえば両貯蔵室内に等量の磁性粒子が付与されることで、前記磁性粒子間での相互作用を対称的とすることが可能である。
【0023】
前記試料チャンバは、該試料チャンバを介した試料の流れを誘起することができるように、流体システムの一部であるか、又は流体システムと接続していることが好ましい。これにより、測定が行われるとき、前記試料チャンバを液体試料で充填することが可能となる。
【0024】
最も単純な場合では、当該カートリッジは実質的に、貯蔵室として機能する領域と感受性領域として機能する他の領域とを備える前記試料チャンバのみからなるデバイスであって良い。より洗練された実施例では、当該カートリッジは集積された磁場発生装置を有する。前記集積された磁場発生装置とはたとえば、当該カートリッジの壁に埋め込まれたコイル及び/又はワイヤである。前記コイル及び/又はワイヤを介した電流が磁場を誘起させることができる。前記磁場発生装置は特に、前記磁性粒子の前記貯蔵室から前記感受性領域へのマイグレーションに影響を及ぼす前記作用磁場を発生させるように備えられて良い。しかし前記磁場発生装置は他の機能を追加的又は代替的に果たしても良い。前記他の機能とはたとえば、前記感受性領域内において磁性粒子を磁気的に励起させることで、前記磁性粒子を適切な磁気センサに存在するようにする漂遊磁場を発生させることである。
【0025】
他の実施例によると、当該カートリッジは、前記感受性領域内の磁性粒子及び/又は標的成分を検出する集積センサユニットを有して良い。前記センサユニットを当該カートリッジへ集積することは、センサと試料との間の間隔を最小にすること、及び明確な動作条件を保証することという利点を有する。
【0026】
本発明はさらに、液体試料中の標的成分を検出するセンサデバイスに関する。当該センサデバイスは以下の構成要素を有する。
【0027】
a) 上述した型のカートリッジ。つまり試料チャンバ及び少なくとも2つの貯蔵室と感受性領域を有するカートリッジである。各異なる貯蔵室の磁性粒子が所与の作用磁場の影響下でマイグレーションするとき、前記磁性粒子は各異なる感受性領域へ到達する。
【0028】
b) 当該カートリッジ内部に前記作用磁場を発生させる磁場発生装置。前記磁場発生装置はたとえば、永久磁石又は電磁コイルによって実現されて良い。あるいは前記磁場発生装置は当該カートリッジに集積されても良いし、又は当該カートリッジに外付けされても良い。
【0029】
c) 当該カートリッジ内部の磁性粒子及び/又は標的成分を検出するセンサユニット。繰り返しになるが前記センサユニットは、(少なくとも部分的に)当該カートリッジに集積されても良いし、又は前記センサデバイスとは別個の部品であっても良い。
【0030】
当該カートリッジは前記センサデバイスの重要部品であるので、前記センサデバイスの詳細、利点、及び他の発展型についてのより多くの情報を得るため、当該カートリッジの上記説明を参照する。
【0031】
当該カートリッジ及び/又は前記センサデバイスは任意で、光学センサユニット、磁気センサユニット、力学センサユニット、音響センサユニット、熱センサユニット、及び/又は電気センサユニットを有して良い。磁気センサユニットは特に、コイル、ホールセンサ、平面ホールセンサ、フラックスゲートセンサ、SQUID(超伝導量子干渉素子)、磁気共鳴センサ、特許文献1若しくは特許文献2に記載された型の磁気抵抗センサ、磁歪センサ−具体的にはGMR(巨大磁気抵抗)、TMR(トンネル磁気抵抗)、又はAMR(異方磁気抵抗)−を有して良い。光学センサユニットは特に、検知表面での標的粒子に起因する減衰全内部反射によって生じる出力光ビームの変化を検出するように備えられて良い。他の光学センサ、力学センサ、音響センサ、及び熱センサの基本的な考え方は、特許文献3に記載されている。
【0032】
しかも本発明は、液体試料中の標的成分の検出方法に関する。当該方法は以下の手順を有する(これらの手順の列挙順序は必ずしも時系列順序に対応しているわけではない)。
− カートリッジの試料チャンバを試料で充填する手順。当該カートリッジは具体的には上述の型のうちの1つであって良い。
− 磁性粒子が、前記試料を介して、少なくとも2つの貯蔵室から少なくとも2つの感受性領域へマイグレーションすることを可能にする手順。ここで、「可能にする」という語は、磁性粒子が前記試料を介してマイグレーションすることを可能にする条件を与えることを意味する。係る条件はたとえば、十分な時間、適切な温度、前記貯蔵室への十分な磁性粒子の提供、前記試料中での磁性粒子の溶解等を有して良い。
− 前記試料チャンバ内において所与の形状の作用磁場を発生させることで、各異なる貯蔵室の磁性粒子のほとんどが各異なる感受性領域へマイグレーションする手順。前記作用磁場は任意で全手順を通じて存在しても良い。
− 前記感受性領域内で磁性粒子及び/又は標的成分を検出する手順。
【0033】
当該方法は、一般的な形式では、上述の型のカートリッジ及びセンサデバイスで実行可能な手順を有する。従って、当該方法の詳細、利点、及び改良型についてのより多くの情報は、これまでの説明を参照することで得られる。
【0034】
本発明はさらに、分子診断、生体試料分析、化学試料分析、食品分析、及び/若しくは科学的犯罪捜査分析への、上述の型のカートリッジ並びに/又はセンサデバイスの使用に関する。分子診断とはたとえば、標的分子に直接的又は間接的に付着する磁気ビーズ又は蛍光粒子の助けを借りることで実現可能である。
【0035】
本発明のこれら及び他の態様は以降で説明する(複数の)実施例を参照することで明らかとなる。これらの実施例は添付の図面によって例示として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る第1カートリッジの上面図を表す。図中、中止の貯蔵室及び感受性領域はそれぞれ、上側部品及び下側部品上に設けられている。
【図2】図1の線II-IIに沿った前記第1カートリッジの断面を図示している。
【図3】前記第1カートリッジの上側部品を下から見た図を示している。
【図4】前記第1カートリッジの試料チャンバ内部の斜視図を示している。
【図5】本発明に係る第2カートリッジ内部の斜視図を示している。図中、粒子の貯蔵室と感受性領域が重なっている。
【図6】本発明に係る第3カートリッジ内部の斜視図を示している。図中、前記粒子の貯蔵室が前記感受性領域を取り囲んでいる。
【図7】本発明によるカートリッジ及び方法の実験結果の様々な図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中の同様の番号すなわち百の桁の番号だけが異なる数は同一又は同様の部品を示すものとする。
【0038】
街頭での薬物乱用検査は携帯型磁気バイオセンサの典型的な用途である。そのような検査は交通においても将来用いられ(呼吸アルコール検査のように)、かつ1回の唾液試料中の最大5種類の薬物の存在を1分以内で検証しなければならない。その検査は信頼できるものであり、かつ容易に使用できなければならない。好適には、警官に如何なる訓練をすることもなくたった1回の操作行為で実行できるべきである。
【0039】
違法薬物は一般的に、1種類の捕獲分子(抗体)としか結合できない小さな分子である。このため、係る薬物を検出するには抑制アッセイ又は競合アッセイが用いられて良い。第1型のアッセイでは、標的ホモログ分子がセンサ表面上に存在する。これらの標的ホモログ分子は、磁気ラベル上に存在する捕獲分子への結合を巡って、(前記試料中に存在していると思われる)前記標的成分と競合する。第2型のアッセイでは、前記標的ホモログは前記磁気ラベル上に存在し、かつ前記のコーティングされたラベルは、センサ表面上に存在する捕獲分子(抗体)への結合を巡って、(前記試料中に存在していると思われる)前記標的成分と競合する。
【0040】
上述の典型的なシナリオでは、5種類の薬物の検出を可能にするためには、5種類の異なる捕獲分子が、(前記アッセイ形式に依存して)前記磁気ラベル上又は前記センサ表面上に存在する必要がある。さらに5種類の異なる標的ホモログは、(前記アッセイ形式に依存して)前記センサ表面上又は前記磁気ラベル上に存在する必要がある。前記薬物は一般的に小さな分子であるため、受容体−リガンド結合を介した他の分子への結合(たとえば抗体への結合)は一般的には非常に選択的だとは言えない。その結果、交差反応が起こる(たとえばA型の結合分子でコーティングされた磁気ラベルがB型の標的ホモログに結合する)。たとえば、坑アンフェタミン抗体でコーティングされた磁性粒子は、前記センサ表面上のBSA-アンフェタミン共役体に結合するが、BSA-メタアンフェタミンとも顕著に結合する。BSA-アンフェタミンでコーティングされた少なくとも1つの感受性領域及びBSA-メタアンフェタミンでコーティングされた1つの感受性領域を有する感受性領域のアレイは、BSA-アンフェタミンでコーティングされた前記感受性領域の大きなセンサ出力を示し、それだけではなくBSA-メタアンフェタミンでコーティングされた前記感受性領域の顕著な出力信号をも示す。従ってほとんどの検査システムでは、交差反応を示す前記アッセイは、別個の試験片/管で複数の前記アッセイを実行することによって物理的に隔離される。これは複雑な解決法である。なぜなら検査試料は前記の異なる試験片/管全体にわたって分割される必要があるからである。そのため検査デバイスが複雑になり、かつすべての検査を実行するのに必要な試料体積が増大してしまう。
【0041】
本明細書で提案された上記問題に対する解決法は、磁気バイオセンサにおいては、磁気ラベル(ビーズ)によって供される作用可能性を利用できるという事実に依拠している。このため、磁力の向き及び磁性粒子の相対位置は、各異なる種類の粒子が混合しないように選ばれる。
【0042】
図1-4は、上述の原理の第1実施例によるカートリッジ100を図示している。当該カートリッジ100は以下の構成部品を有する。
【0043】
− たとえば注入成形されたプラスチック部品として製造される上側部品101。前記上側部品101は上面に漏斗形状の試料注入口102を有し、前記試料注入口102は流体チャネル104に続く。このチャネル104は、底面に掘られ、かつ液体ストップ及び換気穴105で終端する。しかも上側部品101は2つの隣接する貯蔵室131,132を有し、前記貯蔵室131,132は(各異なる)磁性粒子MP,MP’で充填されている。
【0044】
− 前記上側部品101に取り付けられ、かつたとえば成型による相互接続デバイス(MID)として実現される下側部品103。前記下側部品103は、前記貯蔵室131,132の下に試料チャンバSCを形成する錐体貫通穴を有する。
【0045】
− 前記下側部品103の底面に取り付けられることで前記試料チャンバSCを閉じるセンサユニット110。前記センサユニット110は、該センサユニット110の表面上の感受性領域121,122内の標的成分及び/又は磁性粒子を検出する手段を有する。前記センサユニット110はたとえば単純に透明体であって良く、光源(図示されていない)からの入力光ビームL1が、その透明体を透過して該透明体と前記試料チャンバDCとの間の界面へ導光されて良い。前記入力光ビームL1は内部全反射されて出力光ビームL2となる。続いて前記界面で結合する標的成分及び/又は磁性粒子は、減衰内部全反射(FTIR)を生じさせる。FTIRは、光検出器(図示されていない)の助けを借りることによって出力光ビームL2内において検出することができる。
【0046】
あるいはその代わりに、前記センサユニットはまた、GMRセンサのような磁気抵抗センサをも有して良い。
【0047】
前記センサユニット110は、電気フレックスホイル(MID)上の接触パッド111を介して、読み取り装置(図示されていない)によって電気的に接触して良い。
【0048】
しかも図2は、前記試料チャンバSC内部にて所定の形状を有する作用磁場Bを発生させる、前記センサユニット110の下に設けられた磁場発生装置1を図示している。
【0049】
図4は、前記試料チャンバ天井に存在する2つの貯蔵室131,132と前記試料チャンバ底部に存在する対応する2つの感受性領域121,122の相対配置を、前記試料チャンバSC内部での斜視図で表している。前記感受性領域121と122はそれぞれ複数の結合スポットBSとBS’をそれぞれ有する。各感受性領域内の結合スポットBS又はBS’は同一の捕獲分子でコーティングされる一方で、各異なる感受性領域の結合スポットBSとBS’は各異なる捕獲分子でコーティングされる。前記捕獲分子はたとえばインクジェットプリントのような手段によって小さなスポット内に堆積されて良い。
【0050】
2つの貯蔵室131と132には各異なる種類の磁性粒子MP,MP’が備えられている。つまり2つの貯蔵室131と132は、前記試料チャンバSCを充填する前記試料(たとえば唾液)内の各異なる標的成分に対して固有である。前記磁性粒子は最初乾燥した状態(たとえば砂糖の塊)で存在して良い。前記試料流体は前記乾燥した状態の塊を溶解する。続いて磁気作用が作用するように切り換えられることで、前記磁性粒子を(負のz方向に)、前記磁性粒子が選択的に結合することのできる前記センサ表面へ向かうように輸送して良い。一の貯蔵室について破線によって図4に図示されているように、前記貯蔵室131と132の磁性粒子のほとんどは、前記作用磁場(の勾配)の影響下で、前記貯蔵室131と132の下に設けられた、対応する感受性領域121と122へ向かうようにそれぞれマイグレーションする。そのような前記試料チャンバSCの全体を介したマイグレーションの利点は、前記ビーズが前記試料体積全体と接触することで、前記アッセイが好感度となることである。
【0051】
図4では、主な磁力成分が(負の)z方向−つまり前記センサ表面に対して垂直な方向−を向き、かつ前記貯蔵室内の磁気ビーズMP,MP’は、前記センサ表面上の前記磁気ビーズMP,MPに対応する捕獲サイトからちょうどz方向を真上に進んだ位置に設けられている。面内成分(x及びy方向)は、はるかに小さい。磁場線はx方向を向くことが好ましいと考えられる(磁場線の各点での勾配はz方向を向く)。これにより、これらの磁場線に沿って磁性粒子列が生成される。これにより、y方向の磁性粒子列間での反発力が生じる。この反発力は、2種類のビーズの分布を分離した状態に保つことを目的とする。
【0052】
前記磁場を発生させる電磁石1中心が前記結合表面の中心に対して十分位置あわせされているとき、前記磁気ビーズは前記中心(磁気的に安定な点)で交差しない。そのため磁気的手段による前記ビーズの混合が防止される。拡散による混合は無視できる。その理由は、磁力は十分に大きくすることができるからである。しかし磁気ビーズは、前記磁性粒子と粒子の鎖との間での静電反発力及び/又は磁気反発力によって電磁石の中心を交差することができるので、両貯蔵室はほぼ同数の磁気ビーズによって充填されることで、一種の「対抗圧力」を生じさせることが好ましい。
【0053】
前記感受性領域内において、GMRセンサによる検出過程の間、前記ビーズを磁化するのに用いることのできる励起磁場は、典型的には非常に局在化され、かつ前記ビーズの意図しない混合を引き起こさない。
【0054】
当然のこととして、利用できる空間に依存して、3種類以上のビーズが互いに隣り合うようにして貯蔵室内に設けられても良いことにさらに留意して欲しい。この方法によって、混合した際に互いに交差反応する多重アッセイは、如何なる交差反応を有することなく、同一反応チャンバ内で実行可能である。
【0055】
図5はカートリッジ200の第2実施例を図示している。各異なる結合分子又は各異なる標的ホモログでコーティングされる各異なる磁気ビーズは、同一表面上に直接設けられ、かつ感受性領域221及び222と重なっている貯蔵室231と貯蔵室232とをそれぞれ分離するように塗布される。この設計の利点は、すべての生体材料が当該カートリッジの一部品上に設けられる(図5では、下側部品203が試料チャンバSCの底部を含む)。従ってこの部品は生体材料を塗布するのに最適化されて良い一方で、他の部品201は、たとえば流体チャネルの迅速な充填を保証するのに最適化されて良い。係る最適化はたとえば、親水化(小さな点での生体材料の塗布を非常に困難にする)を有して良い。他の利点は、前記磁気ビーズが既に前記センサ表面と非常に近く、かつ上側部品から下方へ向かって前記センサ表面へ移動する時間を必要としないため、アッセイ時間が減少することである。
【0056】
図6はカートリッジ300の第3実施例を図示している。繰り返しになるが、前記ビーズの貯蔵室331と332は、前記試料チャンバSCの底部、つまり底部303上に設けられている。しかしプリントされた結合スポットBS,BS’の上部に前記ビーズを堆積する−つまり前記感受性領域321と322と重ねる−代わりに、前記ビーズは前記プリントされた結合スポットの隣に堆積される。前記ビーズは、x方向及び/又はy方向において、前記結合スポットの隣に堆積されても良い。前記結合スポットはまた、環状のレイアウトでプリントされて良い。よって対応するビーズは、多少大きな円、すなわちそれらを取り囲む円で、その対応する捕獲サイトの隣に堆積されて良い。
【0057】
図7は、2つの異なる貯蔵室(ウエル)による磁気的分離の可能性を示す実験結果をまとめている。実験では、競合アッセイが光FTIRセンサシステム上で実行された。5種類の薬物(アヘン剤OPI、アンフェタミンAMP、メタアンフェタミンMAMP、コカインCOC、テトラヒドロカンナビノールTHC)、及び参照薬物(ビオチンBIOT)が同時に測定された。合計のアッセイ時間は1分だった。磁性粒子は乾燥した状態で存在し、試薬は適切に濾過された唾液だった(乾燥試薬)。
【0058】
超常磁性粒子は、単クーロン性の坑薬物抗体でコーティングされた。アンフェタミン、ビオチン及びアヘン剤のアッセイについては、アデムテック(Ademtech)の500nmCOOHコーティングされた粒子が用いられた。メタアンフェタミン、コカイン、及びテトラヒドロカンナビノールについては、アデムテックの300nmNH2ビーズが用いられた。前記粒子は乾燥バッファ内で再分散された。500nmビーズは各々1wt%で再分散された(ビーズ全体の濃度は3wt%である、混合物1)。一方300nmビーズは2wt%(COC及びTHC)又は1wt%(ビーズ全体の濃度は5wt%である、混合物2)で再分散された。続いて2×75nlの混合物1と2が、2つのウエルを有する流体の上側部品上に堆積された。各ウエルには1つの混合物が入る。BSA-薬物の点をプリントすることによって、標的分子を検出するための光学基板が準備された。バイオセンサの上側部品及び下側部品はテープを用いることによって1つにまとめられた。センサは室温の実験室条件下で保持された。翌日当該カートリッジが、光バイオセンサシステムで競合アッセイを実行することによって検査された。前記アッセイは、フィルタ−ヒドロキシアパタイト(HAP)−フィルタの積層体全体にわたって唾液(10人のボランティアの分を溜めたもの)を濾過する手順を有していた。それにより前記フィルタは乾燥試薬を含む。次に前記の濾過された唾液に様々な濃度の薬物が加えられ、かつその唾液は毛細管チャネルを介した自動充填によって当該カートリッジに注入された。次に前記磁性粒子は再分散され、かつ続いて(作動コイルシステムを用いることによって)前記センサ表面に引きつけられた。所定期間後、前記作用磁場が除去された。当該カートリッジ上方の別な磁場が、結合していないビーズを前記基板表面から引き離すように印加された。合計アッセイ時間(充填、再分散、及び磁気作用)は60秒だった(カートリッジの充填が1秒、ビーズの再分散が14秒、作用が45秒)。そこで交差反応性が測定された。
【0059】
10種類の陰性試料(すべての薬物について陰性)、10種類の陽性試料(つまり1種類の薬物については陰性で、他すべての薬物について陽性)、及びビオチンによって、交差反応が測定された。陽性濃度は、1μg/ml(アヘン剤、アンフェタミン、メタアンフェタミン、ビオチン)、5μg/ml(コカイン)、及び50μg/ml(テトラヒドロカンナビノール)に選ばれた。図7は、1種類を除くすべての薬物を含む唾液混合物についての光学基板上での光信号変化を、6つの図で示している。各図においては、除かれている1種類の薬物が各図の上部に示されている(つまり、ビオチンを含まないものはBIOT、アンフェタミンを含まないものはAMP、アヘン剤を含まないものはOPI、メタアンフェタミンを含まないものはMAMP、テトラヒドロカンナビノールを含まないものはTHC、及びコカインを含まないものはCOC)。
【0060】
すべての陽性スポットは10%未満の信号変化を有するので、交差反応は非常に低いことが示された。さらに坑アンフェタミン抗体でコーティングされた磁性粒子はBSA-メタアンフェタミンとは結合しない。2つの列間での分離が良好でない場合、BSA-メタアンフェタミンスポットは、BSA-アンフェタミンスポットからの信号と似たような信号を示す。よってアンフェタミン−メタアンフェタミンアッセイ間での完全な分離が示される。
【0061】
以上をまとめると、結合過程中に磁気ビーズを分離した状態を保持する解決法が提示された。磁力線の方向とは垂直な方向を向く少なくとも2つの貯蔵室に磁気ビーズを堆積することによって、ビーズの群はアッセイ中に混合しない。これにより、交差反応に関する如何なる問題を起こすこともなく単一のチャンバ内で複数のアッセイを実行することが可能となる。
【0062】
本方法の利点はとりわけ以下のようなものである。
− 交差反応を起こさない
− カートリッジの複雑性が低下する(1つのチャネルに1つのチャンバ)
− 必要とされる試料体積が小さい(試料を分割する必要がない)
これまで本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、様々な修正型及び拡張型が可能である。それはたとえば以下のようなものである。
【0063】
− 前記センサは、センサ表面上(又はその付近)での磁性粒子の存在を検出する如何なるセンサであっても良い。前記センサによる検出は、前記磁性粒子の如何なる特性に基づいても良い。前記磁性粒子は、磁気的手法(たとえば磁気抵抗、ホール係数、コイル)、光学的手法(たとえば可視化、蛍光、化学発光、吸収、散乱、エバネッセント場手法、表面プラズモン共鳴、ラマン散乱法等)、音波検出(たとえば表面弾性波、バルク弾性波、カンチレバー、石英結晶等)、電気的検出法(たとえば伝導度、インピーダンス、電流測定、酸化還元サイクル)、上記手法の組み合わせによって検出されて良い。
【0064】
− 前記磁気センサは、センサ表面上(又はその付近)での前記粒子の磁性の検出に基づく如何なるセンサであっても良い。そのようなセンサとはたとえば、コイル、磁気抵抗センサ、磁歪センサ、ホールセンサ、平面ホールセンサ、フラックスゲートセンサ、SQUID、磁気共鳴センサ等である。
【0065】
− 分子標的は大抵の場合、大きな部分の濃度及び/又は存在を決定する。大きな部分とはたとえば、細胞、ウイルス、細胞若しくはウイルスの断片、細胞組織の抽出物等である。
【0066】
− 分子アッセイに加えて、細胞、ウイルス、細胞若しくはウイルスの断片、細胞組織の抽出物等の大きな部分もまた本発明によるセンサデバイスによって検出することが可能である。
【0067】
− 前記検出は、センサ表面に対してセンサ素子を走査しても良いし、又は走査しなくても良い。
【0068】
− 測定データは、端点測定として得られても良いし、又は信号を動的又は間断的に記録することによって得られても良い。
【0069】
−ラベルとして機能する前記粒子は、検知手法によって直接的に検出されて良い。同様に、前記粒子は、検出前にさらに処理されて良い。さらなる処理の例は、材料を加えることによって、又は、前記ラベルの(生)化学若しくは物理特性を改質することによって検出を補助することである。
【0070】
− 当該デバイス及び方法は、複数の型の生化学アッセイによって利用されて良い。複数の型の生化学アッセイとはたとえば、結合/未結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、変位アッセイ、酵素アッセイ等である。大規模多重化が容易に可能であり、かつ様々なオリゴが、基板上でのインクジェットプリントによってスポットとして塗布されてよい。
【0071】
− 当該デバイス及び方法は、センサ多重化(つまり様々なセンサ及びセンサ表面の並列使用)、ラベル多重化(つまり様々な種類のラベルの並列使用)、及びチャンバ多重化(つまり様々な反応チャンバの並列使用)に適している。
【0072】
− 当該デバイス及び方法は、迅速で、耐久性に優れ、かつ使用の容易な、小さい試料体積向けのポイントオブケアバイオセンサとして使用可能である。前記反応チャンバは、前記1つ以上の磁場発生手段及び1つ以上の検出手段を有する、小型読み取り装置と併用される使い捨て器具であって良い。また本発明のデバイス、方法、及びシステムは、自動化された高処理能力検査に用いられても良い。この場合、前記反応チャンバはたとえば、自動化装置に適合するウエルプレートチャンバ又はキューベットである。
【0073】
− ナノ粒子とは、3nm〜5000nmの範囲、好適には10nm〜3000nmの範囲、より好適には50nm〜1000nmの範囲の寸法を少なくとも1つ有する粒子を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の標的成分を検出するカートリッジであって、
当該カートリッジは:
前記試料によって充填可能であり、かつ所与の形状の作用磁場を発生させることが可能な試料チャンバ;
前記試料中で可溶な磁性粒子のための少なくとも2つの貯蔵室;
磁性粒子及び/又は標的成分が検出可能な少なくとも2つの感受性領域;
を有し、
各異なる貯蔵室の磁性粒子が、前記作用磁場の影響を受けながら、前記試料チャンバを充填する試料内でマイグレーションを起こすとき、前記の各異なる貯蔵室の磁性粒子のほとんどは各異なる感受性領域に到達する、
カートリッジ。
【請求項2】
前記感受性領域は共通の面内で延在し、かつ
前記作用磁場勾配は、前記共通の面を実質的に垂直に交差する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
少なくとも2つの貯蔵室は複数の種類の磁性粒子で充填され、
前記複数の種類の磁性粒子は各異なる標的成分に対して固有である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
少なくとも2つの感受性領域は各異なる標的成分に対して固有であることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記貯蔵室及び感受性領域は、前記試料チャンバの各異なる内側表面上に設けられ、具体的には互いに対向する表面上に設けられる、ことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記貯蔵室は対応する感受性領域と重なることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記貯蔵室は、前記感受性領域と同一の表面上で、かつ前記貯蔵室に対応する感受性領域の隣に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記磁性粒子が前記試料を介してマイグレーションするとき、前記貯蔵室は、前記磁性粒子間での相互作用が実質的に均衡状態となるような量の前記磁性粒子で充填されることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記試料チャンバは、該試料チャンバを介した試料の流れを誘起することができるように、流体システムの一部であるか、又は流体システムと接続している、ことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項10】
集積された磁場発生装置を有することを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記感受性領域内の磁性粒子及び/又は標的成分を検出する集積センサユニットを有することを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項12】
液体試料中の標的成分を検出するセンサデバイスであって:
請求項1に記載のカートリッジ;
当該カートリッジ内部に前記作用磁場を発生させる磁場発生装置;
当該カートリッジ内部の磁性粒子及び/又は標的成分を検出するセンサユニット;
を有するセンサデバイス。
【請求項13】
当該カートリッジ又は当該センサデバイスは、少なくとも1つの、光学センサユニット、磁気センサユニット、力学センサユニット、音響センサユニット、熱センサユニット、及び/又は電気センサユニットを有し、具体的には、コイル、ホールセンサ、平面ホールセンサ、フラックスゲートセンサ、SQUID、磁気共鳴センサ、GMR、TMR、若しくはAMRのような、磁気抵抗センサ又は磁歪センサ、を有することを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ又は請求項12に記載のセンサデバイス。
【請求項14】
液体試料中の標的成分の検出方法であって:
前記試料でカートリッジの試料チャンバを充填する手順;
磁性粒子が、前記試料を介して、少なくとも2つの貯蔵室から少なくとも2つの感受性領域へマイグレーションすることを可能にする手順;
前記試料チャンバ内において所与の形状の作用磁場を発生させることで、各異なる貯蔵室の磁性粒子のほとんどを各異なる感受性領域へマイグレーションさせる手順;
前記感受性領域内で磁性粒子及び/又は標的成分を検出する手順;
を有する方法。
【請求項15】
分子診断、生体試料分析、化学試料分析、食品分析、及び/若しくは科学的犯罪捜査分析への、請求項1乃至13のうちのいずれかに記載のカートリッジ又はセンサデバイスの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−516832(P2011−516832A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500322(P2011−500322)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051021
【国際公開番号】WO2009/115951
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】