説明

磁気センサ及び磁気センサの製造方法

【課題】非常に小型であり、高感度かつプルーブ形状の影響のない高精度の磁性粒子濃度検出が行える磁気センサ及び磁気センサの製造方法を提供する、小型かつ高い強度を有する磁気センサを容易に製造できる磁気センサの製造方法を提供する。
【解決手段】針状検出部を有する磁気センサであって、針状検出部が、針形状に切断加工された基板と、基板上に形成された少なくとも1つのMR素子と、基板上に形成されており一端が少なくとも1つのMR素子に電気的に接続された少なくとも2つのリード導体と、少なくとも1つのMR素子及び少なくとも2つのリード導体を覆う保護膜とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無限空間中における磁性物体の存在確率(濃度)を正確に測定するために用いる針状検出部を有する磁気センサ及び磁気センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体中の磁気粒子の濃度を測定したり、磁性流体の濃度を正確に測定するために、磁気検出素子として磁気抵抗効果(MR)素子を備えた磁気センサが用いられる。
【0003】
特許文献1には、流体中の磁性粒子の体積密度を測定するために、流体を支える層状構造を備えた基板を有するMR検出装置が開示されている。この層状構造は、第一レベルの第一の表面エリアと、別の第二レベルの第二の表面エリアと、流体中の少なくとも1つの磁性粒子の磁場を検出するMR素子とを有しており、このMR素子は、第一の表面エリアと第二の表面エリアの間の移行部近くに配置され、第一及び第二の表面エリアの少なくとも一方の方を向いている。このMR検出装置において、磁性粒子を含む流体を層状構造上に供給し、磁場を掛けながらMR検出素子をセンシングし、MR検出素子からの出力信号を磁場が掛けられていないときに取得された基準信号と比較して磁性粒子の体積密度を求めることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、鋭利な先端を持つパイプ内部に、固定電解質で隔てた酸素参照物質を設置した注射針状の活性酸素センサが開示されている。
【0005】
特許文献3には、先端部に熱電対センサによる感温部を有する針状センサを備えた温度測定装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特表2005−513485号公報
【特許文献2】特開2002−055078号公報
【特許文献3】特開2001−336990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された磁気センサによれば、MR素子を用いているので、磁性流体からの磁場を高感度に測定することが可能である。しかしながら、段差を有する平板状の基板に流体を接触させて磁場測定を行っているため、基板の形状効果が測定結果に現れて、磁性粒子の正確な濃度測定が困難となる。即ち、検出素子の周囲に大きな物体、例えば板状の基板が存在すると、基板によって一部磁界が遮断されるため、被検出体が全面均一一様であるとする仮定が成り立たなくなり、測定濃度に影響が生じてしまう。このため、特許文献1では、外部磁場を印加したときと印加しないときとのMR素子の出力を比較して磁性粒子の体積密度を求めるようにしている。
【0008】
このような比較測定を行うことなく、磁性粒子の濃度を精度良く測定するためには、磁気センサ全体を小型化するとともに、磁気検出素子を支持している他の物体の材料や形状の影響をできるだけ低減することが重要となる。
【0009】
特許文献2及び3のように、検出素子を細い針状のプルーブに取り付ければ、センサの小型化が図れ、基板の形状効果を多少は低減させることが可能である。しかしながら、特許文献2は固定電解質で隔てた酸素参照物質を針状プルーブの先端部に設けた活性酸素センサであり、また、特許文献3は熱電対を針状プルーブの先端部に設けた温度センサであって、いずれも磁性粒子の濃度を検出する磁気センサではない。しかも、これら針状プルーブの外径は最小でも0.7mm程度であり、従来技術においては、たとえ活性酸素センサや温度センサであっても、より細いプルーブを実現することができなかった。従って、たとえ、特許文献2及び3に記載の針状プルーブを用いて磁気センサを実現したとしても、そのプルーブの太さゆえにある程度の形状効果が生じてしまい、より精度の高い濃度検出を行うことができない。
【0010】
従って本発明の目的は、非常に小型であり、高感度かつプルーブ形状の影響のない高精度の磁性粒子濃度検出が行える磁気センサ及び磁気センサの製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、小型かつ高い強度を有する磁気センサを容易に製造できる磁気センサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、針状検出部を有する磁気センサであって、針状検出部が、針形状に切断加工された基板と、基板上に形成された少なくとも1つのMR素子と、基板上に形成されており一端が少なくとも1つのMR素子に電気的に接続された少なくとも2つのリード導体と、少なくとも1つのMR素子及び少なくとも2つのリード導体を覆う保護膜とを備えている磁気センサが提供される。
【0013】
針状検出部における基板が針形状に切断加工されており、その基板上に少なくとも1つのMR素子、少なくとも2つのリード導体及びこれらを覆う保護膜を一体的に設けた構成となっているため、針状検出部を150μm(0.15mm)以下の非常に細い針形状とすることができる。このように非常に細い針形状の検出部とすることによって、プルーブ形状の影響のない高精度の磁性粒子の濃度検出を行うことが可能となる。また、このように細い針形状とすると、針状部分の剛性が不足し、容易に曲がったり折れたりすることが多いが、本発明では基板自体を針状に切断加工しているので、その基板材料としてアルチック等の硬質材料を用いることによって細い針形状でも折れにくく、曲がりにくい高い強度の針状検出部を得ることができる。なお、「針形状」とは、一般に、細く先が尖った形状を意味しているが、本明細書においては、充分に細い形状、例えば長さが径の10倍以上、を示している。先端は尖鋭端となっていることが好ましいが、充分に細ければ鈍端であっても丸状端であってもその他の形状であっても良い。
【0014】
少なくとも1つのMR素子が、基板の先端部に形成された少なくとも1つのMR素子を含むことが好ましい。「基板の先端部」とは、例えば基板の先端からその全長の1/3の長さの部分までを示している。
【0015】
少なくとも1つのMR素子が、基板の基部に形成された少なくとも1つのMR素子をさらに含むことも好ましい。「基板の基部」とは、例えば基板の後端からその全長の1/3の長さの部分までを示している。
【0016】
少なくとも1つのMR素子が、基板の中間部に形成された少なくとも1つのMR素子をさらに含むことも好ましい。「基板の中間部」とは、例えば基板の先端部及び基部以外の部分を示している。
【0017】
少なくとも1つのMR素子が、基板の先端部に形成された測定用の1つのMR素子と基板の基部に形成された3つのMR素子とを含んでいることも好ましい。この場合、4つのMR素子が、ブリッジ接続されていることがより好ましい。
【0018】
少なくとも1つのMR素子が、基板の先端部に形成された測定用の1つのMR素子と基板の中間部に形成された測定用の少なくとも1つのMR素子と基板の基部に形成された少なくとも4つのMR素子とを含んでいることも好ましい。この場合、基板の先端部に形成された測定用のMR素子と基板の基部に形成された少なくとも4つのMR素子のうちの3つのMR素子とがブリッジ接続されており、基板の中間部に形成された測定用のMR素子と基板の基部に形成された少なくとも4つのMR素子のうちの3つのMR素子とがブリッジ接続されていることがより好ましい。
【0019】
少なくとも1つのMR素子が、同一の磁化固定方向を有する複数のMR素子からなることも好ましい。
【0020】
基板が、金属材料又はセラミック材料で形成されていることが好ましい。この場合、金属材料が、ステンレス鋼であることがより好ましく、セラミック材料が、アルチック(Al−TiCの焼結体、以下AlTiCと表記)であることがより好ましい。
【0021】
基板の先端が、傾斜加工により尖鋭端となっていることが好ましい。この場合、基板の尖鋭端の傾斜が、該基板の長手方向に対して10〜45°であることがより好ましい。
【0022】
保護膜が、セラミック層からなることが好ましい。
【0023】
このセラミック層が、アルミナ(Al)層であることがより好ましい。
【0024】
針状検出部のほぼ全表面(接続パッドの部分を除く全表面)を覆う表面改質層をさらに備えたたことが好ましい。この場合、表面改質層が、ダイアモンドライクカーボン(DLC)層、窒化チタン(TiN)層又はチタニア(TiO)層であることがより好ましい。
【0025】
少なくとも1つのMR素子が、少なくとも1つのGMR素子又はトンネル磁気抵抗効果(TMR)素子であることも好ましい。
【0026】
針状検出部が、基板上に形成されており少なくとも2つのリード導体の他端に電気的に接続された少なくとも2つの接続パッドをさらに備えたことも好ましい。
【0027】
一端が少なくとも2つの接続パッドに電気的に接続された可撓性の配線部材をさらに備えたことも好ましい。この配線部材が、フレクシブルプリント回路(FPC)部材であることがより好ましい。
【0028】
針状検出部の基部及び配線部材を密封内蔵する筐体をさらに備えたことも好ましい。この場合、筐体が樹脂材料で形成されていることがより好ましい。
【0029】
本発明によれば、さらに、ウエハ上に、多数のMR素子と一端が多数のMR素子にそれぞれ電気的に接続された多数のリード導体と多数のリード導体の他端にそれぞれ電気的に接続された多数の接続パッドとを薄膜のフォトリソグラフィ技術によって形成するウエハ工程と、ウエハ工程の後に、ウエハを切断することによって、針形状の基板と、基板上に形成された少なくとも1つのMR素子と、基板上に形成されており一端が少なくとも1つのMR素子に電気的に接続された少なくとも2つのリード導体と、基板上に形成されており少なくとも2つのリード導体の他端に電気的に接続された少なくとも2つの接続パッドとを備えた針状検出部を作成する加工工程とを備えた磁気センサの製造方法が提供される。
【0030】
ウエハを切断することによって、尖鋭端を有する針形状の基板並びにこの基板の上に一体的に形成された少なくとも1つのMR素子、少なくとも2つのリード導体及び少なくとも2つの接続パッドを得るようにしているため、針状検出部を150μm以下の非常に細い針形状とすることができる。このように非常に細い針形状の検出部とすることによって、プルーブ形状の影響のない高精度の磁性粒子の濃度検出を行うことが可能となる。また、このように細い針形状とすると、針状部分の剛性が不足し、容易に曲がったり折れたりすることが多いが、基板自体を針状に切断加工しているので、その基板材料としてアルチック等の硬質材料を用いることによって細い針形状でも折れにくく、曲がりにくい高い強度の針状検出部を得ることができる。しかも、薄膜のウエハ工程及び加工工程によってこのような針状検出部が形成できるため、磁気センサの製造が非常に容易となる。
【0031】
ウエハ工程が、少なくとも1つのMR素子及び少なくとも2つのリード導体を保護膜で覆う工程を含んでいることが好ましい。
【0032】
保護膜で覆う工程が、少なくとも1つのMR果素子及び少なくとも2つのリード導体をセラミック層で覆う工程を含んでいることが好ましい。
【0033】
セラミック層が、Al層であることも好ましい。
【0034】
加工工程が、ウエハを複数の針状検出部が一列に配列されたバー部材に切断する工程と、バー部材の一端を傾斜加工により尖鋭化する工程と、バー部材を切断して個々の針状検出部に分離する工程とを備えていることが好ましい。この場合、傾斜加工する工程が、針状検出部の先端の傾斜が、針状検出部の長手方向に対して10〜45°となるように加工する工程であることがより好ましい。
【0035】
針状検出部のほぼ全体を表面改質層で覆う工程をさらに含んでいることが好ましい。この場合、表面改質層が、DLC層、TiN層又はTiO層であることがより好ましい。
【0036】
針状検出部の少なくとも2つの接続パッドに可撓性の配線部材の一端を電気的に接続する接続工程をさらに備えたことも好ましい。
【0037】
針状検出部の基部及び配線部材を筐体内に密封収容する収容工程をさらに備えたことも好ましい。
【0038】
ウエハ工程が、少なくとも1つのMR素子を、基板の先端部の位置に形成する工程を含んでいることも好ましい。
【0039】
ウエハ工程が、少なくとも1つのMR素子を、基板の中間部の位置にも形成する工程を含んでいることも好ましい。
【0040】
ウエハ工程が、少なくとも1つのMR素子を、基板の基部の位置にも形成する工程を含んでいることも好ましい。
【0041】
ウエハ工程が、多数のMR素子の磁化方向が同一方向となるように磁化する工程を含んでいることも好ましい。
【0042】
ウエハが、金属材料又はセラミック材料で形成されていることも好ましい。この場合、金属材料が、ステンレス鋼であることがより好ましく、セラミック材料が、AlTiCであることがより好ましい。
【0043】
ウエハ工程が、少なくとも1つのMR素子として、少なくとも1つのGMR素子又はTMR素子を形成する工程であることも好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、針状検出部を150μm以下の非常に細い針形状とすることができるから、プルーブ形状の影響のない高精度の磁性粒子の濃度検出を行うことが可能となる。さらに、基板自体を針状に切断加工しているので、その基板材料としてアルチック等の硬質材料を用いることによって細い針形状でも折れにくく、曲がりにくい高い強度の針状検出部を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1は本発明の一実施形態における磁気センサの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【0046】
同図において、10は尖鋭な先端を有し、中実(中空ではない)の針形状に加工された針状検出部、11は針状検出部10の基部10a及び配線部材であるFPC部材12を内部に収容した筐体、13は図示しない検出回路に接続されるコネクタをそれぞれ示している。
【0047】
筐体11は針状検出部10の基部10a、FPC部材12の全体及びコネクタ13の一部等を密封内蔵するように樹脂材料をモールドして構成されている。樹脂材料としては一般的に使用されるいかなる材料であっても良いが、本実施形態では、ポリエチレンテレフタート(PET)複合系樹脂、例えばユニチカ株式会社の「ユニレート」を使用している。なお、筐体11は、外部から印加される磁界に影響を与えないような非磁性材料であれば、樹脂材料以外のいかなる材料で構成しても良い。
【0048】
図2は図1の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す斜視図であり、図3は図1の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す分解斜視図であり、図4は図1の磁気センサにおける針状検出部の先端部の構成を概略的に示す拡大斜視図であり、図5は図1の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等のパターンを概略的に示す平面図であり、図6及び図7は図1の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等の電気的構成を示す回路図である。
【0049】
これらの図に示すように、針状検出部10は、尖鋭端を有するように針形状に切断加工された基板100と、この基板100の1つの面(素子形成面)100a上に形成された薄膜による4つのスピンバルブGMR素子101、102、103及び104と、4つの接続パッド105、106、107及び108と、スピンバルブGMR素子101、102、103及び104並びに接続パッド105、106、107及び108間を電気的に接続するリード導体109、110、111及び112と、接続パッド105、106、107及び108の部分を除くスピンバルブGMR素子101、102、103及び104並びにリード導体109、110、111及び112を覆う保護膜113とから構成されている。
【0050】
基板100は、硬質材料である、ステンレス鋼等の金属材料又はAlTiC等のセラミック材料で形成されている。
【0051】
スピンバルブGMR素子101、102、103及び104の各々は、基本的には、反強磁性材料によるピン層及び強磁性材料によるピンド層からなる磁化固定層と、非磁性中間層と、強磁性材料による磁化自由層(フリー層)とを積層した多層構造を有しており、ピンド層がフリー層の延在方向と垂直な方向に磁化固定されている。全てのスピンバルブGMR素子101、102、103及び104の磁化固定方向は同一方向である。本実施形態において、各スピンバルブGMR素子は、図5に示すように、互いに平行に配列された4つのスピンバルブGMR多層膜をリード導体で互いに直列に接続して構成されている。変更態様においては、1本のスピンバルブGMR多層膜を折り返したパターンとしても良い。
【0052】
接続パッド105、106、107及び108並びにリード導体109、110、111及び112は、例えば銅(Cu)等の導電材料で形成されている。接続パッド105、106、107及び108の部分は、Cuによるバンプ層の上に金(Au)によるボンディングパッド層が積層されている。
【0053】
保護膜113は、本実施形態においては、Al層等のセラミック層単体で構成されている。針状検出部10の接続パッド105、106、107及び108の部分を除く全表面は、DLC層、TiN層若しくはTiO層等の表面改質層で覆われている。表面改質層がDLC層の場合は生体に対して親和性が高いことから、医療分野における計測、検査等の用途に有用である。TiN層の場合は硬質層であることから表面を硬質化することができる。TiO層は光触媒反応により汚れを分解する機能を持たせることができる。
【0054】
接続パッド105は出力電圧Vout用であり、接続パッド106は参照電圧Vref用であり、接続パッド107は電源電圧Vcc用であり、接続パッド108はグランドGND用である。リード導体109はVout用接続パッド105とスピンバルブGMR素子101及び102の一端とを電気的に接続しており、リード導体110はGND用接続パッド108とスピンバルブGMR素子101の他端及びスピンバルブGMR素子104の一端とを電気的に接続しており、リード導体111はVcc用接続パッド107とGMR素子102の他端及びスピンバルブGMR素子103の一端とを電気的に接続しており、リード導体112はVref用接続パッド106とスピンバルブGMR素子103及び104の他端とを電気的に接続している。従って、図7からも分かるように、4つのスピンバルブGMR素子101、102、103及び104は、ホイートストンブリッジ接続されていることとなり、スピンバルブGMR素子101は磁気検出用(測定用)として動作し、他のスピンバルブGMR素子102、103及び104は温度補償用として動作する。
【0055】
本実施形態において、基板100の先端は、素子形成面100aとは反対側の面が斜めに切り落とされており、即ち傾斜加工されており、尖鋭となっている。この基板100の先端の基板長手方向に対する傾斜角θは、θ=10〜45°となっている。この角度範囲とすることで、プルーブ形状の影響の無い磁性粒子濃度の検出が可能な磁気センサを高い加工歩留りで生産することができる。
【0056】
測定用のスピンバルブGMR素子101は基板100の先端部100bに形成されており、温度補償用のスピンバルブGMR素子102、103及び104は基板100の基部100cに形成されている。
【0057】
本実施形態の磁気センサは、流体中の磁性粒子の濃度や磁性流体の濃度を測定する場合に非常に有効である。例えば、動物検体等の温熱療法に使用されるフェライトや金属微粒子の濃度測定に用いて非常に有効である。
【0058】
磁性微粒子の濃度測定は、均一な外部磁界を印加した状態で磁性微粒子を含む流体からの磁界を磁気センサで検出することによって行われる。均一磁界中の球状磁性体内の磁界は均一であり、その磁界は印加磁界と磁性体の透磁率とから表され、磁性体の比透磁率と体積濃度との間には一定の関係があることから、検出した磁界及び印加磁界が分かれば、これに比例する磁性流体の濃度を知ることができる。ただし、磁性微粒子の形状、磁性微粒子が均一に分布していること、磁性流体が球状に分布していること等の仮定が含まれる。実際に濃度測定を行う場合には、磁気センサの針状検出部10を測定すべき流体中に挿入して得られる出力電圧Voutを抽出することによって行われる。具体的には、例えば、この出力電圧Voutと参照電圧Vrefとの差動電圧を抽出する。
【0059】
上述したように、本実施形態の磁気センサによれば、基板100自体が尖鋭な先端を有する針状の中実体に切断加工されており、その上にスピンバルブGMR素子等を一体的に設けた構成となっているため、針状検出部10全体を150μm以下の非常に細い針形状とすることができる。このように非常に細い針形状の検出部とすることによって、測定対象(検体)の任意の部分に刺入してプルーブ形状の影響のない高精度の濃度検出を行うことが可能となる。また、基板100をAlTiC等の硬質材料で形成しているので、細い針形状でも折れにくくかつ曲がりにくい高い強度の針状検出部10となっている。さらに、針状検出部10は、Al層等のセラミック層を含む無機の保護膜113で覆われているため、どのような検体にも安全にかつ安心して用いることができる。さらにまた、この磁気センサは、環境に負荷を与えるような物質は用いていないため、使い捨てとすることができる。また、検出素子としてスピンバルブGMR素子を用いているので、小型化でき非常に高感度の検出を行うことができる。
【0060】
なお、以上の説明は、電源が直流電源の場合であるが、電源が交流電源であり交流駆動しても良いことは明らかである。
【0061】
また、磁気検出素子としてスピンバルブGMR素子を用いる代わりにTMR素子を用いても良いことも明らかである。
【0062】
図8〜図29は本実施形態における磁気センサの製造工程を説明するための図であり、以下これらの図を用いて磁気センサの製造方法を説明する。
【0063】
まず、図8(B)に示すようなAlTiCウエハ(基板)80上に図8(A)及び(C)に示すように、Alによる下地層81を成膜する。
【0064】
次いで、図9(A)及び(B)に示すように、下地層81上にスピンバルブGMR素子用の多層膜82を成膜する。
【0065】
次いで、図10(A)及び(B)に示すように、多層膜82をパターニングして多数のスピンバルブGMR素子82′を得る。
【0066】
次いで、図11(A)及び(B)に示すように、これらスピンバルブGMR素子82′を保護するための例えばAl等による保護層83を成膜する。
【0067】
次いで、図12(A)及び(B)に示すように、スピンバルブGMR素子82′の両端に対応する位置の保護層にスルーホール84を形成する。
【0068】
次いで、図13(A)及び(B)に示すように、その上にCu等の導電材料層85を成膜する。
【0069】
次いで、図14(A)及び(B)に示すように、導電材料層85をパターニングして、一端がスピンバルブGMR素子82′に電気的に接続されたリード導体85′を形成する。
【0070】
次いで、図15(A)及び(B)に示すように、リード導体85′の他端の部分にCu等の導電材料によるバンプ86を形成する。
【0071】
次いで、図16(A)及び(B)に示すように、その上にAl等による保護膜87を成膜する。Alに代えてその他のセラミック材料による層を成膜しても良い。
【0072】
次いで、図17(A)及び(B)に示すように、保護膜87及びバンプ86の表面をラッピングして平坦化し、バンプ86を露出させる。
【0073】
次いで、図18(A)及び(B)に示すように、バンプ86上にAu等によるボンディングパッド層88を形成する。
【0074】
その後、図19に示すように、このように多数のスピンバルブGMR素子、リード導体及び接続パッドを形成したウエハ80の裏面を研磨し、厚さを250〜300μm程度に薄くしたウエハ80′を得る。
【0075】
次いで、図20に示すように、薄くしたウエハ80′を複数の針状検出部が一列に配列された複数のバー部材89に切断する。図21はこのようにして得られた1つのバー部材89を示している。
【0076】
次いで、針状検出部の先端に対応するバー部材89の一端89aを傾斜加工により鋭角化し、図22に示すバー部材89′を得る。この傾斜加工は、分離された後の針状検出部の先端が、その長手方向に対して10〜45°となるように加工するものである。
【0077】
次いで、図23に示すように、傾斜加工したバー部材89′を切断し、個々の針状検出部90に分離する。
【0078】
次いで、図24に示すように、必要に応じて針状検出部90の長手方向に沿った角を面取りし、針状検出部90′を得る。その後、針状検出部10の接続パッド105、106、107及び108の部分を除く全表面を、DLC層、TiN層若しくはTiO層等の表面改質層で覆う。
【0079】
以後、磁気センサの組み立てが行われる。図25に示すように、面取り加工した針状検出部90′と、配線部材であるFPC部材91と、例えばステンレス鋼板等の硬い板部材からなるベースプレート92とを用意する。
【0080】
まず、図26に示すようにベースプレート92にFPC部材91を接着固定し、さらに図27に示すようにこのベースプレート92に針状検出部90′の接続パッド側の後端部を接着固定する。
【0081】
次いで、図28に示すように、針状検出部90′の4つの接続パッドとFPC部材の接続パッドとをワイヤ93を用いたワイヤボンディングによりそれぞれ電気的に接続する。
【0082】
次いで、図29に示すように、ワイヤボンディングによる接続部を保護接着剤94によって被覆する。
【0083】
その後、図1に示すように、針状検出部90′(10)の基部及びFPC部材91(12)を筐体11内に密封収容して、磁気センサが完成する。
【0084】
図30は本発明の他の実施形態の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す斜視図であり、図31は図30の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す分解斜視図であり、図32は図30の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等の電気的構成を示す回路図である。本実施形態においては、針状検出部が、3つの測定用スピンバルブGMR素子を基板の先端部、中間部及び後端部(基部)に備えたマルチ検出素子構成となっている。なお、本実施形態におけるFPC部材、コネクタ、筐体等の構成は、配線部材の導体数及びコネクタ数を除いて、図1に示したものとほぼ同様のである。
【0085】
図30〜図32に示すように、本実施形態における針状検出部30は、尖鋭端を有するように針形状に切断加工された基板300と、この基板300の1つの面(素子形成面)300a上に形成された薄膜による8つのスピンバルブGMR素子301、302、303、304、305、306、307及び308と、6つの接続パッド309、310、311、312、313及び314と、スピンバルブGMR素子301、302、303、304、305、306、307及び308並びに接続パッド309、310、311、312、313及び314間を電気的に接続するリード導体315と、接続パッド309、310、311、312、313及び314の部分を除くスピンバルブGMR素子301、302、303、304、305、306、307及び308並びにリード導体315を覆う保護膜316とから構成されている。
【0086】
基板300は、硬質材料である、ステンレス鋼等の金属材料又はAlTiC等のセラミック材料で形成されている。
【0087】
スピンバルブGMR素子301、302、303、304、305、306、307及び308の各々は、基本的には、反強磁性材料によるピン層及び強磁性材料によるピンド層からなる磁化固定層と、非磁性中間層と、強磁性材料によるフリー層とを積層した多層構造を有しており、ピンド層がフリー層の延在方向と垂直な方向に磁化固定されている。全てのスピンバルブGMR素子301、302、303、304、305、306、307及び308の磁化固定方向は同一方向である。本実施形態において、各スピンバルブGMR素子は、図5に示したものと同様に、互いに平行に配列された4つのスピンバルブGMR多層膜をリード導体で互いに直列に接続して構成されている。変更態様においては、1本のスピンバルブGMR多層膜を折り返したパターンとしても良い。
【0088】
接続パッド309、310、311、312、313及び314並びにリード導体315は、例えばCu等の導電材料で形成されている。接続パッド309、310、311、312、313及び314の部分は、Cuによるバンプ層の上にAuによるボンディングパッド層が積層されている。
【0089】
保護膜316は、本実施形態においては、Al層等のセラミック層単体で構成されている。針状検出部30の接続パッド309、310、311、312、313及び314の部分を除く全表面は、DLC層、TiN層若しくはTiO層等の表面改質層で覆われている。表面改質層がDLC層の場合は親和性が高いことから、医療分野における計測、検査等の用途に有用である。TiN層の場合は硬質層であることから表面を硬質化することができる。TiO層は光触媒反応により汚れを分解する機能を持たせることができる。
【0090】
接続パッド309、310及び311は出力電圧Vout1、Vout2及びVout3用であり、接続パッド312は参照電圧Vref用であり、接続パッド313は電源電圧Vcc用であり、接続パッド314はグランドGND用である。
【0091】
リード導体315はこれら接続パッドとスピンバルブGMR素子とを電気的に接続している。従って、図32からも分かるように、4つのスピンバルブGMR素子301、304、307及び308はホイートストンブリッジ接続されていることとなり、スピンバルブGMR素子301は磁気検出用(測定用)として動作し、他のスピンバルブGMR素子304、307及び308は温度補償用として動作する。また、4つのスピンバルブGMR素子302、305、307及び308もホイートストンブリッジ接続されていることとなり、スピンバルブGMR素子302は磁気検出用(測定用)として動作し、他のスピンバルブGMR素子305、307及び308は温度補償用として動作する。さらに、4つのスピンバルブGMR素子303、306、307及び308もホイートストンブリッジ接続されていることとなり、スピンバルブGMR素子303は磁気検出用(測定用)として動作し、他のスピンバルブGMR素子306、307及び308は温度補償用として動作する。
【0092】
本実施形態において、基板300の先端は、素子形成面300aとは反対側の面が斜めに切り落とされており、即ち傾斜加工されており、尖鋭となっている。この基板300の先端の基板長手方向に対する傾斜角は、10〜45°となっている。
【0093】
測定用のスピンバルブGMR素子301は基板300の先端部に形成されており、温度補償用のスピンバルブGMR素子302、307及び308は基板300の基部に形成されている。また、測定用のスピンバルブGMR素子302は基板300の先端部に形成されており、温度補償用のスピンバルブGMR素子305、307及び308は基板300の基部に形成されている。さらに、測定用のスピンバルブGMR素子303は基板300の先端部に形成されており、温度補償用のスピンバルブGMR素子306、307及び308は基板300の基部に形成されている。
【0094】
本実施形態の磁気センサは、マルチ検出素子構成のため、広範囲で磁性流体の濃度を検出できることを除いて、図1における磁気センサと同様の作用効果及び変更態様を有している。
【0095】
本実施形態においては、マルチ検出素子構成として、基板300の先端部、中間部及び後端部に3つの測定用スピンバルブGMR素子が形成されているが、変更態様においては、基板300の先端部及び中間部のみに2つの測定用スピンバルブGMR素子をそれぞれ設けても良く、また、4つ以上の測定用スピンバルブGMR素子を基板上に設けても良い。
【0096】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態における磁気センサの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】図1の磁気センサにおける針状検出部の先端部の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
【図5】図1の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等のパターンを概略的に示す平面図である。
【図6】図1の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等の電気的構成を示す回路図である。
【図7】図1の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等の電気的構成を示す回路図である。
【図8】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図9】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図10】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図11】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図12】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図13】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図14】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図15】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図16】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図17】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図18】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図19】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図20】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図21】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図22】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図23】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図24】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図25】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図26】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図27】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図28】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図29】図1の磁気センサにおける製造工程の一部を説明するための図である。
【図30】本発明の他の実施形態における磁気センサの針状検出部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図31】図30の磁気センサにおける針状検出部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図32】図30の磁気センサにおける針状検出部のGMR素子、リード導体及び接続パッド等の電気的構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0098】
10、30、90、90′ 針状検出部
10a 基部
11 筐体
12、91 FPC部材
13 コネクタ
80、80′ ウエハ
81 下地層
82 多層膜
83 保護層
84 スルーホール
85 導電材料層
85′ リード導体
86 バンプ
87、113、316 保護膜
88 ボンディングパッド層
89、89′ バー部材
92 ベースプレート
93 ワイヤ
94 保護接着剤
100、300 基板
100a、300a 素子形成面
100b 先端部
100c 基部
82′、101、102、103、104、301、302、303、304、305、306、307、308 スピンバルブGMR素子
105、106、107、108、309、310、311、312、313、314 接続パッド
109、110、111、112、315 リード導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状検出部を有する磁気センサであって、該針状検出部が、針形状に切断加工された基板と、該基板上に一体的に形成された少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と、該基板上に一体的に形成されており一端が該少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に電気的に接続された少なくとも2つのリード導体と、前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子及び前記少なくとも2つのリード導体を覆う保護膜とを備えていることを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、前記基板の先端部に形成された少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、前記基板の基部に形成された少なくとも1つの磁気抵抗効果素子をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、前記基板の中間部に形成された少なくとも1つの磁気抵抗効果素子をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、前記基板の前記先端部に形成された測定用の1つの磁気抵抗効果素子と前記基板の前記基部に形成された3つの磁気抵抗効果素子とを含んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記4つの磁気抵抗効果素子が、ブリッジ接続されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、前記基板の前記先端部に形成された測定用の1つの磁気抵抗効果素子と前記基板の前記中間部に形成された測定用の少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と前記基板の前記基部に形成された少なくとも4つの磁気抵抗効果素子とを含んでいることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記基板の前記先端部に形成された測定用の磁気抵抗効果素子と前記基板の前記基部に形成された前記少なくとも4つの磁気抵抗効果素子のうちの3つの磁気抵抗効果素子とがブリッジ接続されており、前記基板の前記中間部に形成された測定用の磁気抵抗効果素子と前記基板の前記基部に形成された前記少なくとも4つの磁気抵抗効果素子のうちの3つの磁気抵抗効果素子とがブリッジ接続されていることを特徴とする請求項7に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、同一の磁化固定方向を有する複数の磁気抵抗効果素子からなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記基板が、金属材料又はセラミック材料で形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記金属材料が、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項10に記載の磁気センサ。
【請求項12】
前記セラミック材料が、アルチックであることを特徴とする請求項10に記載の磁気センサ。
【請求項13】
前記基板の先端が、傾斜加工により尖鋭端となっていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項14】
前記基板の前記尖鋭端の傾斜が、該基板の長手方向に対して10〜45°であることを特徴とする請求項13に記載の磁気センサ。
【請求項15】
前記保護膜が、セラミック層であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項16】
前記セラミック層が、アルミナ層からなることを特徴とする請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項17】
前記針状検出部のほぼ全表面を覆う表面改質層をさらに備えたことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項18】
前記表面改質層が、ダイアモンドライクカーボン層、窒化チタン層又はチタニア層であることを特徴とする請求項17に記載の磁気センサ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子が、少なくとも1つの巨大磁気抵抗効果素子又はトンネル磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項20】
前記針状検出部が、前記基板上に形成されており前記少なくとも2つのリード導体の他端に電気的に接続された少なくとも2つの接続パッドをさらに備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項21】
一端が前記少なくとも2つの接続パッドに電気的に接続された可撓性の配線部材をさらに備えたことを特徴とする請求項20に記載の磁気センサ。
【請求項22】
前記配線部材が、フレクシブルプリント回路部材であることを特徴とする請求項21に記載の磁気センサ。
【請求項23】
前記針状検出部の基部及び前記配線部材を密封内蔵する筐体をさらに備えたことを特徴とする請求項21又は22に記載の磁気センサ。
【請求項24】
前記筐体が樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項23に記載の磁気センサ。
【請求項25】
ウエハ上に、多数の磁気抵抗効果素子と一端が該多数の磁気抵抗効果素子にそれぞれ電気的に接続された多数のリード導体と該多数のリード導体の他端にそれぞれ電気的に接続された多数の接続パッドとを薄膜のフォトリソグラフィ技術によって形成するウエハ工程と、該ウエハ工程の後に、前記ウエハを切断することによって、針形状の基板と、該基板上に形成された少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と、前記基板上に形成されており一端が該少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に電気的に接続された少なくとも2つのリード導体と、前記基板上に形成されており前記少なくとも2つのリード導体の他端に電気的に接続された少なくとも2つの接続パッドとを備えた針状検出部を作成する加工工程とを備えたことを特徴とする磁気センサの製造方法。
【請求項26】
前記ウエハ工程が、前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子及び前記少なくとも2つのリード導体を保護膜で覆う工程を含んでいることを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記保護膜で覆う工程が、前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子及び前記少なくとも2つのリード導体をセラミック層で覆う工程を含んでいることを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記加工工程が、前記ウエハを複数の針状検出部が一列に配列されたバー部材に切断する工程と、該バー部材の一端を傾斜加工により尖鋭化する工程と、該バー部材を切断して個々の針状検出部に分離する工程とを備えていることを特徴とする請求項25から27のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項29】
前記尖鋭化する工程が、前記針状検出部の先端の傾斜が、該針状検出部の長手方向に対して10〜45°となるように加工する工程であることを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記針状検出部のほぼ全体を表面改質層で覆う工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項25から29のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項31】
前記表面改質層が、ダイアモンドライクカーボン層、窒化チタン層又はチタニア層であることを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記針状検出部の前記少なくとも2つの接続パッドに可撓性の配線部材の一端を電気的に接続する接続工程をさらに備えたことを特徴とする請求項25から31のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項33】
前記針状検出部の基部及び前記配線部材を筐体内に密封収容する収容工程をさらに備えたことを特徴とする請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
前記ウエハ工程が、前記多数の磁気抵抗効果素子の磁化方向が同一方向となるように磁化する工程を含んでいることを特徴とする請求項25から33のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2007−292632(P2007−292632A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121782(P2006−121782)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】