神経変性疾患における異常型タンパク質凝集の迅速かつ高感度の検出
【課題】生物学的なサンプルを神経変性疾病に関連する種の存在について迅速および高感度に分析可能な方法、アッセイおよび構成要素、疾病を診断するための技術および構成要素も、神経変性疾病を治療するための候補薬剤のスクリーニングと同様に提供する。
【解決手段】該技術は簡単で、非常に高感度であり、ただちに入手可能な構成要素を利用する。神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種は、電極表面または粒子表面に固定されるか、溶液中で遊離した状態で供給され、原繊維形成種に結合および/または凝集体に包含される。
【解決手段】該技術は簡単で、非常に高感度であり、ただちに入手可能な構成要素を利用する。神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種は、電極表面または粒子表面に固定されるか、溶液中で遊離した状態で供給され、原繊維形成種に結合および/または凝集体に包含される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、神経変性疾患に関連したペプチド凝集の迅速かつ高感度な検出並びに分析ついての方法、アッセイおよび成分に関するものである。このような方法並びにアッセイは、高処理量の薬品選別によって薬品の発見を容易にするのみならず、臨床試験用に用いることもできる。
【従来の技術】
【0002】
現在、多くの神経変性疾患は、ニューロペプチドの異常型凝集の結果生じた脳内の凝集および、または原繊維形成に関係するプラークに連結していること、および、または、プラークが原因であることが分かっている。アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲルストマン・ストライスラー・シャインカー症候群、到死性家族性不眠症、ハンチントン舞踏病、クールー、さらには、クロイツフェルト・ヤコブ病、羊海綿状脳症および牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)のような家族性アミロイド多発ニューロパチー並びに伝播性海綿状脳症は、脳内に形成された配列タンパク質原繊維、すなわち凝集を特徴とする。これらの原繊維を形成するタンパク質は、配列相同性、あるいは、保存されたモチーフさえも共有することはないが、原繊維自体は一定の形態的な特徴を共有する。参照:ランズベリ(Lansbury)著、Proc. NatL Acad.Sci. USA、第96号:3342頁(1999年刊)。これらの疾患においては、病原状態に関係する常態では可溶性のペプチドが、自然ペプチドの突然変異や、変更ペプチドとの物質的な関連を通して3次元構造に転化を受け、神経変性疾患に罹病した脳内の見られる異常なタンパク質沈積の特徴である不溶性の配列重合状態に変化する。この配列重合または凝集は、内因性ないし外因性の作用因、またはペプチドが核となって生じる場合がある。
【0003】
例えば、アルツハイマー病(AD)の場合、これらの原繊維は、配座変化を受けて可溶性の単量体から不溶性のβ−シート低重合体に変化したβ−アミロイドタンパク質から形成される。脳内におけるこれらの原繊維の濃度は、臨床疾患の進行と相互関係を示してきた。特徴的な原繊維の発達図は極端に非線形であり、この事実を用いれば、なぜ罹病者が何年間も兆候を示さず、その後、突然、急速な変性を受けて痴呆状態に陥るのかが説明可能となる。生体外における原繊維形成は、ペプチド濃度に依存する。アルツハイマー病の特徴である模擬原繊維形成を目的として生体外で原繊維を形成するために、β−アミロイド(Aβ)タンパク質から誘導された短い合成ペプチドを生成することができる。Aβ 1−42(長い疎水性のC−終末を持つ)は、Aβ 1−40よりも速い割合で原繊維を形成することが分かっている。参照:J. ジャレット(Jarrett)他著『β−アミロイドタンパク質のカルボキシル基終末はアミロイド形成の核となる危険がある:アルツハイマー病因に関する潜在的重要性』「生化学(Biochemistry)」誌第32号、4693−4697頁(1993年刊)。Aβ
1−40はそれ自体の上に原繊維および凝集を形成することができる一方で、Aβ 1−40を含む溶液は、可溶性の低い1−42ペプチドとの「混合物」であるか、または、予め形成されたペプチド原繊維の「核を有する」場合には、促進された原繊維形成を受ける。Aβ 1−40は神経炎プラーク内における優勢タンパク質であるが、これらの研究は、原繊維形成率が、1−40に対する1−42の濃度比率に依存すると思われることを示している。これらの研究結果に一致して、あらゆる形態の初期AD兆候は、1−42ペプチドの高い発現水準を伴う。
【0004】
2つの最も優勢な変異体であるAβ、1−42並びに1−40を用いた生体外における原繊維形成に関する原子力顕微鏡(AFM)研究は、準安定中間物を突き止め、原繊維形成以前に生じるそれを「プロトフィブリル」と名づけた。参照:J. ハーパー(Harper)他著『原子力顕微鏡による準安定Aβプロトフィブリルの観察』「Chem. and Biol」第4号、119−125頁(1997年刊)。原繊維に対するこれらの先駆物質の存在は、ADの素因を持つ人々の脳内で観察される広汎性のアミロイド沈着を説明すると思われる。Aβ原繊維がADの発病因であるとすることに関して賛成と反対の議論が起きている、生体外および生体内で観察されるいくつかの矛盾は、毒性中間物であるプロトフィブリルの存在によって説明できるだろう。神経変性疾患の原繊維または原繊維形成種の試験、または、神経変性疾患の治療に適した薬品の選別を目的とする既存のアッセイは、コンゴレッド並びにチオフラビン−Tによるアッセイである(「Methods in Enzymology」大学出版(Academic Press)1999年刊、第309巻、274−287、304−305頁)が、その方法では、一般的には、小型の凝集やプロトフィブリルを検出することはできない。特に、約100μM以下の濃度では凝集や原繊維形成種を直接検出することはできない。この方法は、初期段階にある疾患の検出用、並びに、初期段階疾患への使用に適した薬品選別用としては不適当である。
【0005】
疾患の発症前段階(小型の原繊維ないし凝集しか存在しない時)に有効な薬品候補は、プラークおよび、または原繊維の抑制、並びに、兆候疾患の予防に関してより強い効果を持つと思われる。このため、小型の原繊維凝集を効率よく検出する必要がある。しかし、これらの凝集は小さすぎて、ほとんどすべての検出法で検出不能である。AFMを用いれば検出可能であるが、この技術は臨床的な特徴や薬品選別プロトコルには向かない。そのため、これまで、小型の原繊維性種に有効な薬品の選別は不可能とされてきた。さらに、すべての段階で原繊維形成を抑制する薬品を選別しようとすると、非常に制限された。
【0006】
凝集および原繊維形成率は、突然変異ニューロまたは転化プリオンペプチドなどの、保存されたか、または、誤って折り返されたペプチドの濃度の極端に非線形な関数であり、それらのペプチドは凝集形成および原繊維形成種である。いったん、異常型の種の濃度が危険濃度に達すると、反応率は急激に進行するため、投薬治療は有効ではない。そのため、プラーク形成の抑制に有効な薬品については、このように症状緩和的なものではなく予防治療的なものであって、必ず、初期段階で有効なものでなければならない。現状の専門技術では、平行薬品選別法または非侵襲性診断法と両立する形で、小型の凝集および原繊維を検出することはできない。このことは、1)初期疾患状態の治療薬は容易には特定できない、2)発症前の患者は特定できない、さらに、3)存在するか、または、将来確認される可能性のある潜在的な薬品候補の効果は正確には評価できないことを意味する。
【0007】
コンゴレッド並びにチオフラビン−Tを例とする既存技術のもう一つの欠点は、処理過程に機械的な介入が必要な点である。すなわち、原繊維形成を促進する非再現的な方法におけるアッセイを乱す、体液を容器から容器へ移すなどの処理を必要とする。さらに、コンゴレッド並びにチオフラビン成分は反応を消滅させ、凝集過程を停止させる。そのため、一回の溶液アッセイでは、いくつかの観察時点のデータが得られない。
【0008】
神経変性疾患の診断に伴う複雑な状況の一つは、疾患の特徴である凝集および原繊維を形成することのできる種が極端に低い濃度で存在する場合があり、その濃度でも、検出された場合には疾患の開始を示すとされることにある。
【0009】
神経変性疾患の過程に関する情報が存在する一方で、特に診断法および薬品選別に関して、神経変性疾患を対象とした簡易で高価に傾かない信頼できるアッセイ法や、神経変性疾患治療の候補薬品を選別する技術、および、それに関連する成分が示されたなら、この分野における重要な進歩となることだろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、神経変性疾患に関係する一連の構成、アーティクル、キット、および方法を提供する。提供される技術並びに成分は、神経変性疾患治療の候補薬品の選別のためのみならず、疾患診断のためにも提供できる。技術は簡易で、感度が極端に高く、かつ、容易に入手できる成分を利用している。発明の技術並びに成分は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を非常に感度よく検出するが、それらは、概して非常に小さく、例えば、長さ1から100nmの間であり、これまで、既存の技術を用いた方法や、神経変性疾患の治療薬の選別法では検出することが困難か、または不可能であった。
【0011】
そのため、当発明は、これらの神経変性疾患の初期段階の特徴である原繊維および前−原繊維の検出および監視を可能にする予定である。また、推定上の薬品候補を用いた治療によって生ずる凝集形成率の研究も可能にする予定である。
【0012】
当発明は、神経変性疾患の表現型に含まれるペプチド配列の選別に使用可能な凝集および原繊維の検出法を提供する。一方の技術では、選択したペプチド配列を合成して、粒子に固定するか、または、固定しやすい形にして、発明のアッセイにかけ、粒子凝集、または、神経変性疾患過程に関与する可能性のあるペプチド配列を示す、本文中に記すような粒子を包合するその他の結合が生じるかどうか調査する。もう一方の技術では、任意のペプチド配列を遺伝子操作してファージに作り変えるが、そのファージは粒子に結合して発明のアッセイに関与することができる。当発明の方法は、原繊維およびペプチド凝集の検出用に提供されるもので、これらの疾患の診断に利用できる。と言うのも、原繊維性種が、容易に試料採取できる脳脊髄液(CSF)および他の体液中を循環することが分かっているからである。
【0013】
実施例の一つでは、当発明は、伝播性海綿状脳症を含む神経変性疾患の特徴である凝集、原繊維、および前−原繊維(凝集形成および原繊維形成種)の存在に関して生物学的試料を迅速、高感度に分析できる検出方式を示す予定である。ある面から見た場合、発明は、疾患検出や薬品選別に利用可能な一連のキットを提供する。具体的使用法の一つでは、キットには、1表面を持つ第1アーティクルと、1表面を持つ第2アーティクル、および、多数の結合種が含まれており、少なくとも、結合種のうちのいくつかは、第1アーティクルか第2アーティクルの表面に固定されるか、または、固定されやすい形になっている。結合種は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つ。以下の詳細な記述で明らかになるように、この実施例の中では、アーティクルを様々に組み合わせて使用することができる。各アーティクルは溶液懸濁作用がある分離可能アーティクルであり、その組み合わせとしては、両方がそれぞれコロイド粒子を有する場合、一方がコロイド粒子を有し、他方が磁気ビーズなどを有する場合、あるいは、一方のアーティクルが、電極、表面プラスモン共鳴(SPR)チップ、またはその他の肉眼で見えるアーティクルのような大きい方のアーティクルの表面となることが可能で、他方のアーティクルが上記のような溶液懸濁作用を有する場合がある。
【0014】
発明の別のキットには、1表面を持つ1アーティクル(様々なアーティクルを予定している)と、多数の結合種が含まれており、少なくとも、結合種のうちのいくつかはアーティクル表面に固定されるか、または、固定されるやすい形になっている。この実施例では、アーティクル表面は、表面、または、凝集形成および原繊維形成種に固定されていないか、または、固定されやすい形になっていない結合種の不特定結合を、実質的に抑制する化学的な機能を持つ。この実施例は、特に高感度の検出技術を可能にする。発明の本概要で用いる場合、「結合種」とは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力のある結合種を指す。
【0015】
発明の別のキットには、1表面を持つ1アーティクルと、アーティクル表面に固定されるか、または、固定されやすい形になっている多数の結合種が含まれており、この実施例では、アーティクルがSPR成分ではないことがはっきりしている。この実施例は、罹病試料や薬品活性の電子分析などに関する非常に高感度で非SPRの分析を可能にする。
【0016】
別の面から見た場合、発明は、発明の様々なキット並びに方法と共に利用できる一連の成分、方式およびアーティクルを提供する。本発明のアーティクルの1つには、結合種が固定された表面が含まれる。信号エレメントもこのアーティクルの表面に固定されている。発明の構成には、結合種と、結合種との関係で固定される電子信号統一体が含まれる。発明の別の構成には、金属を配位結合できる部分に固定された結合種が含まれる。
【0017】
発明の方式の一つには、神経変性疾患の原繊維および凝集との関係で固定された少なくとも2粒子が含まれる。発明のもう一つの方式には、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種との関係で固定された少なくとも2粒子が含まれる。これらの方式は、概して、罹病および前−罹病状態、または、混合物を選別する候補薬品を検出するために計画されたアッセイの結果である。
【0018】
別の面から見た場合、発明は一連の方法を提供する。一つの方法には、アーティクル表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった1結合種を投入して、その結合種を、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種でない状態から、凝集形成および原繊維形成種である状態に転化させることが含まれる。この方法は、以下の詳細な記述から明らかになるように、高感度アッセイにおいて重要な用途を持つことになる。
【0019】
別の実施例では、新案の方法には、結合種と神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種との相互作用を可能にして、その結果、結合種を神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種へ転化させることが含まれる。転化を受けたこの種は、その後、神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種の存在に特徴的な凝集に関与することになる。その後、この凝集を検出する。この方法も、疾患状態ないしは疾患前状態の選別に関する感度において重要な進歩を示すものである。
別の実施例では、この目的を含むがそれに限らず、薬品選別に利用することができ、その分野において重要な前進を示す発明の方法を提供する。方法には、アーティクル表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった1結合種を投入して、随意、(最初に固定されていない場合には)その結合種を表面に固定し、さらに、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種に結合することが含まれる。結合は、結合種を表面に固定する前もしくは後に行なうことができ、結合種は結合過程で凝集形成および原繊維形成種へは転化しない。第2アーティクルの表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった第2の結合種は、凝集形成および原繊維形成種に結合できる。第2の結合種の凝集形成および原繊維形成種との結合は、この方法による他の処理に関連して随時行なうことができる。
【0020】
発明の別の方法には、1表面を持つ1アーティクルと、表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種が含まれる。アーティクルの表面は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を含む懸濁試料に曝露される。以下で明らかになるように、例えば、試料中の罹病状態の検出用の技術など、様々な個別技術がこの方法に付随可能である。
【0021】
発明の別の方法には、凝集形成および原繊維形成種を含む試料中に、神経変性疾患の凝集および原繊維を最初に形成することが含まれる。凝集および原繊維は、アーティクルの表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種を含むアーティクルに曝露される。結合種は、凝集、原繊維、凝集形成種、または原繊維形成種を結合する能力を持つ。
【0022】
別の面から見た場合、発明は、神経変性疾患抑制用の候補薬品効果を測定する1技術を提供する。技術には、神経変性疾患の原繊維および凝集形成種の分泌機能を持つ1細胞を、候補薬品に曝露して、細胞から分泌された物質の凝集可能性を測定することが含まれる。Aβ原繊維形成種を例とする発現過剰なプラスアミドを用いた転写によって、細胞を、原繊維および凝集形成種を分泌しやすい形に変えることができる。細胞から分泌される物質が神経変性疾患の特徴である凝集を形成する可能性は、候補薬品に対して細胞を暴露した後、原繊維形成および凝集形成種の存在を示すコロイド凝集を抑制するよう計画された発明のアッセイに、細胞環境を暴露することによって監視することができる。
【0023】
発明の別の面は、表面に自己集積的な単層を形成する一連の方法である。これらの方法は、発明の他の面との関係で使用可能な単層被膜のアーティクルを形成するために使用できる。ある方法には、自己集積的な単層を形成する分子性種および界面活性剤を含む媒質に表面を曝露することによって、表面に自己集積的な単層を形成することが含まれる。別の方法では、自己集積的な単層を形成する分子性種およびカルボン酸塩を含む媒質に表面を曝露する。さらに別の方法では、界面活性剤およびカルボン酸塩の両方を媒質に入れる。種の上に自己集積的な単層を沈積させるという発明のこの面に一致する形で使用可能な界面活性剤には、本質上、広範囲の様々な界面活性剤が含まれる。自己集積的な単層形成を助けるために使用するカルボン酸塩には、クエン酸ナトリウムを含むカルボン酸塩が含まれることが好ましい。
【0024】
自己集積的な単層形成の別の方法には、コロイド粒子の表面に自己集積的な単層を形成することが含まれる。形成は、コロイド粒子自身が形成されている間は起こらない。例えば、予め形成の完成したコロイド粒子の上に単層は形成される。別の方法では、自己集積的な単層は、粒子がいかなる溶液・溶液界面にも存在しないような懸濁溶液中のコロイド粒子の表面に形成される。
【0025】
発明の様々な面におけるより特殊な例として、凝集プラーク並びに原繊維に組み込まれるか、あるいは、それらと結合する能力を持つペプチドもしくはほかの結合種は、信号部分に変更を受けた後、疾患に関係するペプチド凝集および、または原繊維を含む可能性のある生物学的な試料、あるいは、凝集形成を誘導する効果を持つ薬剤と混合される。プラーク並びに原繊維に組み込み可能で、感知表面に特異的に引き寄せられる漸増部分に変更を受けたその他の種も、同一の試料に混合される。適切な定温放置期間の後、試料溶液は、検出装置に対して補充可能なペプチドが特異的に引き寄せられる条件下に置かれる。予め存在していたプラークおよび原繊維に対する信号部分並びに補充部分のこの組み込みは、凝集に標識付けを行なった後、それらを検出域に集中される感度の高い効果的な方法を提供する。
【0026】
既存の原繊維ないし凝集に対する組み込みは容易であるが、既存の原繊維が存在しない場合は容易に凝集しないような、信号および漸増種に付着した結合種の配列を選ぶことができる。ペプチドは、標識付けされたデンドリマーまたはポリマーに対する直接、化学的な結合付着によって信号部分に連結される。それに代わる方法として、ペプチドは、結合種と信号群の両方に同時に存在する、コロイドを含む粒子様金属との結合を通して信号部分に連結される。さらに、原繊維の形成に関与可能な異型種を添加して、溶液中に遊離させ(標識付けの有無を問わず)、凝集過程を促進させることで増幅装置として用いる。
【0027】
結合種は、電磁場または定置磁石を通じて検出域に補充可能な磁気ポリマーにペプチドを付着させるなどの、直接、化学的な付着によって漸増部分に連結される。さらに、結合種は、磁気ビーズ、A−セファローズビーズ(抗体を結合するタンパク質A部分を含む表面機能を表わす)、あるいは、感知域または表面に特異的に付着する帯電粒子などの、粒子様物質との結合によって漸増部分に連結される。結合種も、直接、化学的な結合によって、または、金属結合標識(ヒスジビン標識など)に連結されたペプチドなどの生物学的認識単位の効果によって補充が可能な漸増部分に対する、粒子様物質を用いた結合によっても、連結されることができる。後に、金属結合標識は、表面の自己集積的な単層(SAM)部分として表面に固定することの可能なニトリロ三酢酸(NTA)などの表面に結合したキレートによって配位結合された金属に結合する。結合種もしくはその他の種も、チオールなどの自己集積的な単層を形成する種に付着したバイオメトラから工業的に入手可能なストレプト標識を用いて表面に連結される。自己集積的な単層部分を形成するストレプト標識は、ビオチン変更結合種などのビオチン変更部分を容易に固定すると思われる。結合種は、以下により完全な形で記すような別の方法によっても表面に連結される。
【0028】
発明のその他の利点、新しい特徴、および目的は、付随の図とともに考察された時、以下の詳細な記述から明らかになるだろう。図は概要を示すものであり、尺度を考慮して描かれたものではない。図中では、様々な図に記された各々の同一か、ほとんど同一の成分は、単一の数字で表わされている。明解にする目的から、すべての図のすべての成分に標識付けを行なうことはせず、専門分野に通常の技能を有する人々が、発明を理解する上で図解が不要な個所では、発明の各々の実施例のすべてに関する全成分を示すこともしていない。
詳細な説明
定義
本文中で「小型の分子」という場合は、5キロダルトン未満の分子を、より一般的には、1キロダルトン未満の分子を指す。
【0029】
「神経変性疾患の凝集および原繊維」の用語は、分子混合物(例:結合相手どうしなど相互に作用する分子)のみならず、同族分子からなる錯体(例:原繊維凝集)も指すが、一般的には、神経変性疾患の特徴であり、同疾患を引き起こすと見なされるタンパク質性分子を指す。当発明の凝集は、一般的には、光散乱または色彩変化によって顕微鏡下で目に見えるものとなる程度の大きさ(コロイドの相互作用の効によって)である。
【0030】
「原繊維を目に見えるものとする」という句は、目に見えない原繊維を、目で、顕微鏡で、あるいは、吸光度によって見えるものにする技術を指す。原繊維に着色粒子を付着させるか、または、同粒子で修飾することを含むが、それに限らず、様々な方法が予定されている。
【0031】
本文中で「候補薬品」の用語を用いる場合は、人体もしくは他の動物体内で使用するすべての医学的な物質を指す。この定義の範囲内には、類似化合物や、自然発生および合成組み換えによる調合剤、ホルモン、抗菌薬、神経伝達物質などが含まれる。この語には、神経変性疾患の治療薬または予防薬として有効と評価されるすべての物質(自然発生、合成、組み換えを問わず)が含まれる。評価は、一般的には、当発明の選別アッセイなど、アッセイ活動を通して実施される。
【0032】
発明では、様々な型の粒子を使用する。例えば、「溶液懸濁粒子」とは、懸濁溶液中に留まるように作成されたものであり、懸濁溶液中で、発明の目的のために(一般的には水溶液として)単独で利用されるか、または、磁場や電磁場にかけたり、かき混ぜたり振ったり、振動、超音波処理、遠心分離器、渦巻運動などのような撹拌にかけることによって溶液中に維持することができる。「磁気による懸濁が可能な」粒子とは、磁場にかけることによって懸濁溶液中に留めおくことのできる粒子である。電磁気による懸濁が可能な粒子とは、電磁場にかけることによって懸濁溶液中に留めおくことのできる粒子である(例:帯電粒子、または、帯電可能に変更された粒子)。「自己懸濁粒子」とは、十分に小さいサイズおよび、または量なので、少なくとも1時間は利用可能な状態(一般的には水溶液)で懸濁中に留まるような粒子である。その他の自己懸濁粒子には、他の助力なしに5時間、1日、1週間、あるいは、さらに1ヵ月でも、発明により懸濁中に留まるような粒子である。
【0033】
本文中で「神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つ結合種」という場合は、タンパク質、ペプチド、それぞれの配列、抗体、コンゴレッド、チオフラビン−T、または、具体的に記された結合能力を持つ種などの、すべての種が含まれる。抗体の場合には、この結合は位置特定的である。その他のものの場合は、位置特定的ではない。タンパク質またはペプチドの場合には、結合は、一般的に、不特定のβ−シートおよび、またはβ−シート相互作用を含む。結合種には、自然発生による神経変性疾患の凝集体または原繊維形成種に一致するペプチド、断片、または完全体のタンパク質も含まれる。
【0034】
「タンパク質」並びに「ペプチド」は専門的によく知られた用語であり、各々が含むアミノ酸の数に関しては専門的には厳密に定義されていない。これらの用語を本文中で用いる場合、専門で通常用いる意味に使用する。通例、ペプチドは、長さにおいて約100個未満のアミノ酸からなるアミノ酸配列であるが、300個までのアミノ酸からなる配列も含まれる。
【0035】
本文中で「金属結合標識」という場合は、キレートによって配位結合された金属に固定された分子群を指す。利用に適したこのような分子群には、ヒスジビン並びにシステイン(「ポリアミノ酸標識」)を含むが、それに限らないアミノ酸配列が含まれる。金属結合標識には、以下で定義するヒスジビン標識が含まれる。
【0036】
本文中で「金属を配位結合するキレート」または、キレートによって配位結合された金属という場合には、金属上の利用可能な配位位置を全部は満たず、いくつかの配位位置を、金属結合標識による結合に利用できるように残しておくキレート剤によって配位結合された金属を指す。 「信号統一体」とは、特定の試料または特定の位置にそれ自体の存在を示す能力を持つ統一体を意味する。発明の信号統一体には、裸眼で識別可能なものや、孤立した形では見えないが十分な量が集まれば裸眼で検出可能であると思われるもの(例:コロイド粒子)、目で(裸眼または顕微鏡などを用いて)または分光器で容易に検出できるレベルまたは波長幅内で電磁気放射を吸収もしくは放射する統一体、または、適切な活性化エネルギーに対する曝露時に、特徴的な酸化および、または還元パターンを示す酸化還元活性のある分子などの電子的に検出可能な統一体(「電子信号統一体」)などが該当する。例としては、染料や、色素、酸化還元活性分子など電気活性を有する分子、蛍光部分、上昇調整(up−regulating)蛍光体、または、セイヨウワサビぺルオキシダーゼ並びにアルカリ性ホスファターゼを含む、酵素に連結した信号部分が含まれる。
【0037】
アーティクルの表面に関係する種について、本文で文脈中で「固定されるか、または、固定されやすい形になって」という場合には、共有結合による付着によって種が化学的および生化学的に連結しているか、あるいは、キレートおよび、または金属結合のような配位結合などを意味する(例:バイオチンおよび、またはストレプトアビジン)。例えば、この状況でいう「固定されて」には、ポリエチレンビーズ上で発達したペプチドなどの結合種や、ビーズに共有結合するタンパク質Aなどのタンパク質に不特定的および、または生物学的に結合した抗体と特に生物学的に結びついた結合種や、共有結合によって表面に固定された結合相手に、後で特に生物学的に結合するGSTやファージなどの分子の(遺伝子工学的に形成された)一部を形成する結合種(例:GSTの場合にはグルタチオン)などを含むが、それに限らない、複合の化学的な結合や、複合の化学的および、または生物学的な結合などが含まれる。別の例として、共有結合でチオールに連結した部分は、チオールが非常に強力に、たぶん共有結合で、金を結合するために、金の表面に固定されやすい形になる。同様に、金属結合標識を帯びる種は、表面に共有結合された分子(チオールおよび、または金結合など)を帯びる表面に固定されやすい形になるが、それらの分子も金属を配位結合させるキレートを示す。種も、表面が特定のヌクレオチド配列を帯びる場合には、表面に固定されやすい形になっており、相補性のヌクレオチド配列も種に含まれる。「固定されて」の定義には、いくつかの不特定結合、すなわち、発明の技術の目的ための、種の表面に対する志向的な付着が含まれる。発明の「固定されて」の定義に該当する不特定結合は、発明のアッセイに関係する洗浄処理手順に耐える付着を生じると思われる。具体的には、不特定結合した種は、トウィーン−20などの界面活性剤、並びに、溶液を生理的pHに保つためのリン酸塩緩衝液などの緩衝液を一般的には含む洗浄水溶液による少なくとも1回の洗浄手順に耐えるような場合には、表面に「固定されて」いるという。
【0038】
「明確に固定されて」または「明確に固定されやすい形になって」とは、「固定されるか、または、固定されやすい形になって」の定義に関連して上に記したように、種が化学的および生化学的に表面に連結されていることを意味するが、すべての不特定結合は除く。
【0039】
本文中で「不特定結合」という場合は、生化学分野で通常用いられる意味で用いる。
本文中で「コロイド」という場合は、生化学分野で通常用いられる意味で用いる。一般的に、コロイド粒子とは、どの断面で切っても250nm未満のもの、より一般的には、どの断面で切っても100nm未満のものをいう。
【0040】
本文中で「金属を配位結合できる部分」という場合は、金属結合標識やキレートなど、金属原子の少なくとも二つの配位位置を占めることができるすべての分子を意味する。
【0041】
本文中で用いられているように、他の成分に固定されるか、または、例えば、他の成分もまた固定されている第三の成分に固定されることによって、あるいは他の方法で、間接的に他の成分に固定される他の成分に「関連して固定され」た成分は、換言すれば、他の成分に結合していることになる。例えば、信号統一体が結合種に固定されている場合には、結合種との関連で固定されたことになり、結合種が固定されたコロイド粒子に固定され、結合種が固定されたデンドリマーまたはポリマーに固定されたことになる、などということである。
【0042】
本文中で「神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種」という場合には、神経変性疾患に関係のある他の分子(類似分子を含む)に結合して、神経変性疾患の特徴である原繊維および凝集を形成する十分な結合能力を持つ、神経変性疾患に関係する生物学的な種を意味する。このような凝集形成および原繊維形成種は、一般的には、配列相同性が健常な対部分に関連する分子配座の変更を特徴とし、類似および同様の分子に対する対部分の結合をより容易なものとする。いくつかの場合には、このような凝集形成および原繊維形成種は、結合種を非凝集形成および原繊維形成配座から凝集形成および原繊維形成配座へと転化する能力を持つ。プロトフィブリルは、神経変性疾患に関係する他の分子を結合して、神経変性疾患の特徴である凝集に関わる原繊維を形成することが報告されている。この例で見る限りでは、プロトフィブリルは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種に関して本文中で用いられている定義に含まれる。凝集体または原繊維形成種には、一般的には、1−38から1−44までのアミノ酸配列が含まれる。
【0043】
「異なる生物学的種」とは、マウスとハムスター、マウスとヤギなどのように別々の動物を意味する。
「試料」という用語は、生物学的採取源から得られた細胞、組織、体液のすべて(「生物学的試料」)、または、患者から得られた生物学的試料や、動物から得られた試料、人の食用を意図した食品から得られた試料、家畜飼料など動物の食用を意図した食品から得られた試料、臓器提供試料などを含むが、それに限らず、発明に従って有益と評価されるその他のすべての媒質を指す。
【0044】
特定の成分を「含むと推測される試料」とは、関係成分の内容が分かっていない試料を意味する。例えば、神経変性疾患であると推測はされるが、神経変性疾患を罹病していたかどうか分からない人から得られた体液試料は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を含むと推定される試料と定義される。この場合の「試料」には、「構造的に前決定された試料」のみならず、人やその他の動物から得られた生理学的な試料や、食品や家畜飼料などの自然発生試料が含まれる。本文中にいう「構造的に前決定された試料」とは、構造が神経変性疾患に関係しているかどうか試験することを意図する分析で使用される前決定構造からなる化学的および生物学的な配列および構造である。例えば、「構造的に前決定された試料」には、ペプチド配列、および、ファージ表示ライブラリー中の任意のペプチド配列などが含まれる。動物から採取される定型的な試料には、血液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、扁桃由来の体液あるいは他の試料、リンパ節、針生検などが含まれる。
【0045】
本文中で用いられるように、「ポリ−ヒスチジン域(tract)」または「ヒスチジン標識」または「HIS−標識」とは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ基およびカルボキシル基のどちらかの終末を持つ2個から10個までのヒスチジン残基の存在を指す。6個から10個までの残基からなるポリ−ヒスチジン域は、発明で好んで使用される。ポリ−ヒスチジン域は、機能的には、問題となるタンパク質に付け加えられたいくつかの連続的なヒスチジン残基であるとも定義され、キレートコラム(column)上に生じたタンパク質の親和力精製、または、もう一つの分子(例:HIS−標識と反応可能な抗体)との相互作用を通じたタンパク質終末の同定を可能にする。ヒスチジン標識を持つ配位子およびヒスチジン標識を持つ推定上の結合相手は、コロイド状態を示すNTAおよび、またはNi(II)ともに定温放置される。その結果、2成分が相手を結合した場合には、目に見える網状組織が生じるはずである。それに代わる方法として、推定上の結合相手を、コロイド上に現れるダンタチオンに結合するGST溶解タンパク質にすることもできる。発明のアッセイにおいて結合種やその他の関連物を表面に付着するのに役立つリンカーには、親和力標識が含まれる。親和力標識は、生物学、生化学などの分野で幅広く利用されるよく知られた種である。
【0046】
図1について言えば、当発明の1配合法を略図的に図にしたものである。図1に示されたアーティクル20は、具体的には、表面にSAM22を含む電極である。SAM22が相対的に電気伝導性を持つことが望まれる実施例では、SAM22は、「分子ワイヤー」24を含む。一般的に、混合SAMは、アリキルなどの比較的伝導性のない種から形成され、ポリエチレングリコールなどの不特定の結合抑制物質で任意の終末を構成し、分子ワイヤーと混合されている。表面および、表面に自己集積的な単層分子を結合させる機能群の選択は、よく知られた専門技術である。この件およびその他の参考のために参考文献として本文に組み込まれた米国特許番号5,512,131並びに5,620,850、および、国際特許公示番号WO96/29629を参照のこと。
【0047】
本文中で「分子ワイヤー」という場合には、SAMで被膜した電極の作用を受ける溶液の能力を高めて電極と電気的に連絡できるようにするワイヤーを意味する。これには、伝導性分子、すなわち、上で少し触れ、以下でより完全に例示するように、溶液の電極への接触を許すことでSMA内で欠陥を引き起こす可能性のある分子が含まれる。追加可能な分子ワイヤーの終わりのないリストには、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオトレイトル、1,2−ベンゼンジチネル、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン−エタンチオール、および2−メルカプトエチルエーテルが含まれる。単層の伝導率は、伝導率を高める分子を電極面に添加することによっても高められる。伝導SAMは、1)硫黄終末を持つポリ(エチニルフェニル)鎖、2)ベンゼン環終末を持つアルキルチオール、3)DNA塩基終末を持つアルキルチオール、4)単層中に不完全に詰まった硫黄終末を持つすべての種、5)不特定の吸着を抑制するエチレングリコル単位またはメチル基の終末を持つ上記のプラス・マイナスどちらかのアルキルチオールスペーサー分子から構成されるが、それだけに限定はされるものではない。チオールを取り上げたのは、SAMの容易な形成において金に対する親和力を持つためである。米国特許番号5,620,820およびその他の参考文献由来の技術で知られているチオールの代わりに、他の分子を用いることもできる。分子ワイヤーは、容積またはその他の配位のために、一般的に、他の方法で相対的にしっかりと詰まったSAMの中では、SAMが表面を密閉して曝露された溶液に触れないようすることを妨げる欠陥を生む。分子ワイヤーは、しっかりと詰まった自己結積構造の崩壊を引き起こし、その結果、表面が曝露されている溶液が表面と電気的に連絡することを許す欠陥が明らかとなる。この状況において、溶液は、表面に接触するか、または、トンネル効果が生じるほど表面近くまで接近することによって、表面と電気的に連絡する。
【0048】
アーティクル26、具体的には磁気ビーズは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つビーズに固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種とともに投入される。多数の結合種28も、実施例の図解では各々が多数の信号統一体34を運ぶように示されたデンドリマー32を含む信号統一体30に固定されたか、または、固定されやすい形で投入される。神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種である多数の標的分子36は、例えば、分子を含むと推測される生理的試料中に入れることによって導入可能である。結合種28は、凝集形成および原繊維形成種36に結合して、付着した結合種を持つビーズ26、付着した結合種を持つ信号統一体30、および、各々に固定された凝集体または原繊維形成種36を含む連結の存在を明らかにする。この配合は、電極の下にある磁石38の働きによって電極20の表面に引き寄せられ、さらに、信号統一体34が電子信号統一体である場合には、試料中の凝集形成および原繊維形成種36の存在を示す電極20付近への接近が検出される。
【0049】
特に、この実施例では、電子信号統一体34には、メタロセン、特にフェロセンなどの酸化還元活性を有する分子を用いることができる。信号統一体34としてのフェロセンの電極20付近への接近は、交流ボルタンメトリー(ACV)などの循環ボルタンメトリー技術を用いて測定される。
【0050】
結合種28は、信号統一体30および、またはビーズ26に最初から固定されている必要はないが、混合物は、種36、結束種28、信号統一体30、およびビーズ26を含むと推測される試料を含む形で投入され、その中で、結束種28は、まだ固定されていない場合には、信号統一体30および、またはビーズ26に固定されやすい形になる。この配合で、種28は、化学的および生物学的な結合相手である、信号統一体30またはビーズ26に固定された分子を含むことによって、信号統一体30および、またはビーズ26に固定されやすい形になることができる。ビーズ26が重合体ビーズの場合には、共有結合で結びついた様々な連結分子を含むことができる。同様に、統一体30も、このような方法でも変更可能である。上に載せたSAMの形成を促進する働きのある金のような物質の表面層に、ビーズ26も被膜可能であり、連結分子を帯びる、分子を形成するSAM(金表面の場合にはチオール)が、その上で形成される。ビーズ26上の連結分子または信号統一体30と、結合種28の間の連結は、金属結合標識、金属、キレートの連結や、相補性の核酸配列、ビオチン、ストレプトアビジンなどを含むことができる。金属結合標識、金属、キレートの連結(linkage)を用いた配列で、キレートは、ビーズ26上のSAM部分を形成することが可能で、共有結合で信号統一体30に付着する。キレートは金属を配位結合させるが、少なくとも金属上の2カ所の配位位置は空けたままにしておく。ポリアミノ酸標識などの金属結合標識は、結合種36に組み込むことが可能で、金属に結合する金属の配位結合によってビーズまたは信号統一体に標識を固定する能力を結合種36に与える。適したキレートの例としては、ニトロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリインデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または、1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンが含まれる。交替固定技術では、結合種36は、終端のシステインを帯びることができ、それによってビーズ26の金表面に固着する。
【0051】
様々な結合種36が選択可能である。結合種には、ペプチド、タンパク質、タンパク質由来の配列、コンゴレッドやチオフラビン−Tなどの小型分子、あるいは、凝集形成種やRNA、DNA、ヌクレオチド誘導体、または、凝集形成および原繊維形成種36に対する抗体から誘導した配列と相同の配列を用いることができる。
【0052】
様々な表面を用いて、キットまたは方式の成分を形成するか、または、発明の方法を実施することができる。ビーズ、コロイド、電極、ELISAプレート、または、その他の多ウェルプレートなどが使用可能である。
【0053】
多くの発明の技術においては、アッセイに導入されたすべての結合種の凝集形成への関与を防ぐことが望ましい。このような場合には、凝集結合性の、ただし、凝集形成耐性のある結合種を利用することができる。専門分野に通常の技能を有する人々であれば、抗体、または、タンパク質やペプチドの断片などのような凝集を結合するが形成しない種の中から、凝集形成に耐性を持つ結合種を容易に選択することができる。
【0054】
電極、粒子、ビーズなどを問わず、アーティクルの表面は、凝集形成および原繊維形成種の不特定結合を実質的に抑制する化学的機能を有することが望ましい。ある実施例では、これに、アッセイで望まれる機能提示のため、表面上でSAM形成を行なうことも可能であるが、この場合のSAMは、他の不特定結合抑制物質を含む混合SAMである。NSB抑制物質には、ポリエチレングリコール終末を持つSAM形成種が含まれる。
【0055】
コロイドを被膜するSAMは、コロイド・コロイドの自己凝集を抑制する。これには、帯電部分および、またはカルボキシル基終末を持つ種がSAM外へ出ることを防ぐ十分な量のSAM形成種を使用することができる。帯電部分および、またはカルボキシル基終末を持つ種は、量においてSAMの約10パーセント以上か、または、望ましくは、最低値でSAMの約30パーセントおよび約45パーセント存在する必要がある。
【0056】
次に、図2について言えば、図1に示されたようなアッセイに用いるのに適したもう一つの配合が示されているが、変更点がある。図2の配合では、種28に固定されたか、または、固定されやすい形になった信号統一体30ではなく、個々の信号統一体34に関係するか、関係して固定されやすい形になった種28が、コロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形になった各々の種28並びに信号統一体34を通じて固定されている。種28並びに信号統一体34は、専門分野で知られているか、または、本文中に記すような様々な化学的ないし生物学的な技術通じて、コロイド粒子40に固定されやすい形になることができる。金コロイド粒子40を使用することによって特に便利なのは、コロイド40の表面に結合する予定のチオールに対して信号統一体34並びに結合種28を付着させる過程である。SAMは、信号統一体34並びに結合種28を含むコロイド40の表面を被膜して形成することができる。図2の配合では、塩基26並びにコロイド40の各々に固定された結合種28の凝集体または原繊維形成種36に対する結合は、ビーズ26を電極20付近へ引き寄せる磁石38による活性化を受けて、信号統一体34がビーズ26に関係して固定されている理由から、次には、信号統一体34を電極20付近へ引き寄せる。電極20付近にある信号統一体34の電子的な検出は、ACVなどを用いる通常の手順である。
【0057】
図1並びに2に示されたアッセイは、様々な目的に使用することができる。凝集体または原繊維形成種36が試料中に存在するどうかの測定に使用する場合には、ビーズ26、信号統一体30(図1)、またはコロイド粒子40(図2)、および、ビーズ26、統一体30、またはコロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形の結合種28を含むキットを投入し、試料とともに溶液中に混合する。凝集体または原繊維形成種36が試料中に存在する場合には、混合と磁石38による活性化の後、電極20付近に信号統一体34が集まることによって分かる。凝集体または原繊維形成種36が存在しない場合には、信号統一体34は磁石による活性化を受けても電極付近には引き寄せられない。 薬品選別に利用される別の技術では、神経変性疾患の候補治療薬とともに、凝集体または原繊維形成種36が既アッセイ、試料中に加えられる。このような配合では、凝集体または原繊維形成種36を通して、異なる候補薬品が、結合、信号統一体30、コロイド粒子40、または、ビーズ26に対して異なる効果を現わすと思われる。この結合を抑制する候補薬品が、神経変性疾患の候補治療薬である。アッセイは、信号(電極20付近への信号統一体34の接近)が、試料中の凝集体または原繊維形成種36の濃度のみならず、試料中で生じる凝集および原繊維形成の程度とも比例または他の方法で関係するような方法を用いて確立される。薬品選別アッセイにおけるこのような配合では、信号は、特定の薬品候補が、神経変性疾患の特徴である凝集および原繊維形成を妨げて、試料中の凝集体または原繊維形成種36を凝集させないようにする程度に比例または関係すると思われる。
【0058】
薬品選別アッセイでは、しばしば、信号統一体34に関係したビーズ26の固定と、特定の溶液中における凝集体または原繊維形成種36の濃度および、または薬品候補の濃度との間の関係を量的に測定することが望まれる。このような配合では、結合種28が凝集体または原繊維形成種に転化されることなく、凝集体または原繊維形成種36を結合して、結合事象と信号の間の1対1の関係を維持することが望ましい。これは、異なる生物学的な種、例えば、ハムスターとマウスから別個に、または、標的に1対1で結合する同一種から誘導された配列などの中から、結合種28並びに凝集体または原繊維形成種36を選択することによって達成される。
【0059】
別の配合では、結合事象と信号の間の、すなわち、溶液中の種間の1対1関係を維持するよりも、アッセイ感度を最大化することの方が望まれる。このような配合では、結合種28を、ただ、神経変性的な凝集体または原繊維形成種36に結合するだけで、それ自体は凝集体または原繊維形成種ではない種から、他の結合種を凝集体または原繊維形成種に転化する能力を持つ凝集体または原繊維形成種に転化することが望まれる。このような配合では、図1並びに2に見るように、ほんの少量の凝集体または原繊維形成種36しか試料中に存在しない(例えば、ごく初期段階の神経変性疾患患者から得られた試料に特徴的に見られる10万分子ほどの少量であっても検出されなければならない。なぜなら、感染性プリオン分子はその数で十分疾患を引き起こす)場合には、溶液中に「増幅」種29が投入され、試料と混合される。このような配合では、試料中にごく少量の凝集体または原繊維形成種36しか存在しなくても、それによって増幅種29が凝集体または原繊維形成種へ転化された結果、凝集体または原繊維形成種は、アッセイで使用するために十分検出可能な濃度で存在するようになる。試料中に凝集体または原繊維形成種36が最初から存在しない場合には、その後増幅種29は転化を止めて、信号はほとんど、ないし、まったく、検出されなくなる。増幅種29は、試料中の凝集体または原繊維形成種36の濃度を検出可能なレベルまで増幅するのみならず、神経変性疾患の特徴である種36の塊状凝集を促進するが、それは、後には、何百、何千ものビーズ、コロイド、および、または、1マクロ構造内の何千もの凝集体または原繊維形成種に結合した信号統一体を含むマクロ構造を形成する。これらの構造は電子的に、さらに、しばしば、目で容易に検出できる。
【0060】
増幅種29は、上記にリストされた結合種28を結合する種のすべての中から選択可能であるが、特定のアッセイでは、結合種28を結合する種と同一であってはならない。例えば、特定のアッセイにおける結合種28は結合種ではあるが、凝集体または原繊維形成種への転化能力はない。一方、増幅種29は、凝集体または原繊維形成種の存在を明らかにするように転化可能である。後者の状況(結合種28は転化不能であるが、増幅種29は凝集体または原繊維形成種へ転化可能である)は、陽性反応が出ない(試料中に凝集体または原繊維形成種36がない)場合の粒子・粒子の凝集を防ぐのに役立つが、種36の増幅は、試料中に投入されると発生し、アッセイ感度を上げる。
【0061】
塊状凝集を引き起こすために十分な量(種36の検出に望まれるレベルに達してはいないが)の凝集体または原繊維形成種36を最初から含んでいる試料に、塊状凝集を引き起こすために増幅種29を使用することに合わせて、必ずしも、図1並びに2に記されたような電子信号統一体並びに磁気ビーズを使用する必要はない。このような配合では、コロイド粒子40と、コロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形になった結合種28、および、増幅結合種28を含むキットが投入される。このようなキットは、凝集体または原繊維形成種36を含むと推測される試料と混合することができる。非常に低いレベルであっても、種36は、増幅結合種28を凝集体または原繊維形成種に転化することが可能で、例えば、裸眼や、顕微鏡、光散乱、吸光度などで容易に検出可能な塊状凝集、並びに、マクロ構造の形成を引き起こす。この配合では、コロイド粒子40は、必ずしも、補助的な信号統一体を帯びる必要はない。
【0062】
図1並びに2に関する上記の配合では、表面固定ではない補助的な凝集形成および原繊維形成種36の不存在下で、(1)補助的な凝集体または原繊維形成種の不存在下における凝集と(2)補助的な凝集体または原繊維形成種の存在下における凝集の比較を可能にする時間枠の間、粒子・粒子曝露上の粒子凝集を抑制できる結合種28が選択され、ビーズ26並びにコロイド粒子40(コロイド粒子が使用されている場合)の表面濃度に投入される。すなわち、凝集体または原繊維形成種36が最初から試料中に存在していない場合には、コロイド粒子の凝集が生じるが、それは、ごくゆっくりとした限られた範囲に留まるものであるのに対して、種36が最初から存在している場合には、凝集はより迅速に、および、または、より広範囲に生じることになる。このようなアッセイでは、対照に試料自体は用いず、試料から得られた割合および、または凝集レベルを、対照値と比較することが可能である。
【0063】
当発明の方式並びにアッセイは、特定の神経変性疾患に関係する特定の1原繊維に限定されるものではない。実際、当発明は、このような疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト−ヤコブ病など)の宿主に関係する原繊維の検出を予定している。
【0064】
本発明は、疾病を検出し、そのような疾病の治療用薬剤の有効性を判定するための各種アッセイおよびアッセイの構成要素を提供する。アッセイには、サンプルまたは薬剤スクリーニングアッセイと検出電極との電子的相互作用が含まれることもあり、これに限定されるわけではないが、目視検査、密度走査、光透過、吸収、色変化および光散乱などを含む様々な手法で検出できる凝集が含まれることもある。凝集に関連して、凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な、または先在する凝集体または原繊維に包含可能な結合種は、コロイド(たとえば金コロイド)または他の粒子(たとえば蛍光ビード)に結合する。これらの粒子は、随意に遊離結合種(コロイドに結合していないが、コロイドが浮遊している流体中に浮遊または溶解している種)とともに、凝集体または原繊維(たとえば患者サンプル)を含む溶液と混合される。粒子(たとえばコロイド)が原繊維内に包含されるにつれ、粒子によって原繊維が目視検出できるようになる。コロイド上に固定化されたペプチドが相互に作用するのを阻害するために、荷電部分(COOH、PNA、荷電ペプチド)などの反発基をコロイド表面に固定できる。このことにより、固定ペプチドが相互作用せずに、原繊維と作用するために、診断アッセイにおける偽陽性の発生が減少する。
【0065】
また、グリコール単位などの柔軟性基はニトリロトリ酢酸(NTA)部分およびチオール部分の間に化学的に挿入できる。さらに自由度を導入すると、反応のエントロピーコストが上昇することによって、相互作用の速度が低下する。本発明は検出方法によって限定されるものではない。検出を行いやすくするために、本発明は各種手法を検討する。たとえば、染料などの信号伝達エンティティは、原繊維およびプラークを包含可能なペプチドの片方の末端に固定できる。信号修飾ペプチドを原繊維内に導入すると、ペプチドによって原繊維の表面で染料が濃縮され、「見える」ようになる。別の態様において、蛍光部分および消光部分をペプチドの両端に別々に結合させる。低濃度の溶液中では、これらは頻繁に相互作用しない;しかし、原繊維上で共局在化されると、消光反応が起こり、溶液の蛍光に変化が生じる。これらの変化は標準のELISAプレートリーダーを用いて分析できる。また別の態様において、2個の別個の化合物を、原繊維またはプラーク中に包含可能なペプチドのN−末端側に結合させる。該化合物は、片方の化合物が第2の化合物を改変し、それを活性化または検出可能になるように設計されている。該化学修飾は、修飾しない場合は化合物は発光しないが、修飾後には発光するように行う。統計的には、該反応は2個の化合物が原繊維またはプラーク上に共局在化している場合に、何桁倍も頻繁に発生する。別の態様において、たとえば、酸化還元活性分子に固定化された種を、電極に固定化された種あるいは、磁気ビードなどの、電極に引きつけられる補強可能な粒子に結合することを示す、電極表面付近における酸化還元活性分子の存在を検出可能な場合に、電子的相互作用は検出手法の役割を果たす。別の検出手法において、サンプルの画像をデジタル化し、次にパターン認識ソフトウェアを使用して、サンプルが凝集体を含むかどうかを判定する。たとえば、図8に示すサンプルはCCDカメラを用いてデジタル化可能であり、パターン認識を用いて、色、凝集体のサイズ、凝集体の空間分布、凝集体の相対量などを決定できる。多数の薬剤をスクリーニングする場合に、各種サンプルを個別および空間的に位置指定できることは特に有用である。本発明の手法は、多ウェルプレートの各種プレート(図8を参照)および/または複数の電極などの、個別および空間的に位置指定可能な領域を用いて実施できる。
【0066】
複数の電極は多ウェルプレートの個々のウェルなどに配置できる。
多数の薬剤をスクリーニングする場合に、各種サンプルを個別および空間的に位置指定できることは特に有用である。本発明の手法は、多ウェルプレートの各種プレート(図8を参照)および/または複数の電極などの、個別および空間的に位置指定可能な領域を用いて実施できる。 用いる態様とは無関係に、本発明のアッセイは凝集体または原繊維形成を阻害する化合物の薬剤ライブラリのスクリーニングを行うためにただちに改変できる。薬剤スクリーニングアッセイでは、結合種をコロイド(または他の粒子)に結合させて、凝集体形成または原繊維形成種および薬剤候補を含む溶液を用いて培養できる。該溶液は、ペプチドの原繊維内への包含を促進するために攪拌しても、しなくてもよい。結合種が凝集体または原繊維内に包含されるにつれ、あるいはその後凝集体または原繊維を形成する凝集体形成または原繊維形成種に包含されるにつれ、結合種は結合したコロイドを相互に接近させるため、コロイド溶液の色が変化する(たとえばピンク色の懸濁液から透明溶液中の暗青色の沈殿へ)。この変化は、明確に目視可能である。吸収分光測光法によると、569nmのピークはコロイドの凝集につれて低下する。
【0067】
1つの態様において、1μM β−アミロイド(Aβ)原繊維46「種」および金コロイドに結合したHis付加β−アミロイドペプチドを含む溶液と、原繊維を含まない対照溶液で、吸収分光測定を行う。どちらも主吸収ピークを569nmに示す。最初の走査の後、手段(たとえばキュベット、管、マイクロウェルなど)を含む反応物を撹拌し、次に再走査する。ペプチドがはるかに低い密度のコロイドに結合すると、コロイドは溶液から沈殿せず、色も変わらないが、原繊維を目視可能な粒子で修飾するよう作用する。暗赤色のクラスターが透明溶液中に現れ、はっきりと目視できる。溶液を60−100倍に拡大して観察すると、解像度の向上が得られる。分析は、(例示目的のみで)吸収分光測定または光散乱を用いて自動化可能であり、これによって大きな原繊維構造を小さな微粒子物質と見分けることができる。
【0068】
1つの態様において、本発明の方法は(神経変性疾病に特徴的な原繊維を形成する)ペプチドを使用して、信号伝達および/または補強部分によって改変し、疾病状態を示す変換または凝集ペプチドを潜在的に含む生物由来のサンプル(またはそのようなサンプルの生体外模造品)を用いて培養する。
【0069】
ペプチドプラーク、凝集体または原繊維の存在は、標識ペプチドの包含により検出される。本アッセイは以下に述べるような各種方法で、原繊維または凝集種を迅速に効率よく検出できる系において実施できる。 たとえば、ある要素は原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドを持つ磁気粒子でもよい。第2の要素は、原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドと、信号伝達部分として作用する、フェロセンなどの金属含有化合物の両者を与える、非相同SAMによって誘導体化されたコロイドの形である。原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドは、ビードやコロイドに結合したような、他のペプチドの誤折畳および自発的凝集を触媒できる。ペプチドのこのような原繊維または変換種の存在は、磁気ビード上のペプチドと信号伝達コロイド上のペプチドの会合を、それらが原繊維または凝集体に同時に含まれていることによって検出して、サンプル中で検出できる。
【0070】
このような凝集が起きる培養期間の後、いまや磁気粒子はもちろん信号伝達コロイドを含む錯体を引き付ける電磁場を印加することができる。このような系において磁気粒子は、大容量のサンプルによって生体認識粒子を混合し、次に検出のために電極に標識された標的を迅速に補充する方法を提供する。振動ポテンシャルを電極に印加すると、包含金属に特徴的な酸化ポテンシャルにおける電流ピークによって、電極に凝集が存在することが示され、結果として凝集ペプチドが存在することが示される。さらに、凝集速度および/または凝集物質量を上昇させるために、遊離した変換されていないペプチドを測定溶液に加えて、凝集増幅因子として作用させることもできる。凝集体形成も、周波数パルス、温度および電場ならびに磁場の変化を用いることを含めて、培養および測定条件を変化させることによって加速できる。
【0071】
錯体は各種手法を用いて検出可能であるが、好ましい検出方法は交流ボルタメトリー(ACV)である。この検出方法は、高次調和分析などの追加の分析手法を用いて補完できる。
【0072】
これらの錯体は、表面プラズモン共鳴(SPR)などの光学手段によっても検出可能である。後者の手法を使用する場合、検出表面に錯体を補充することによって、光学特性に大きな変化が生じる。
【0073】
このような疾病関連ペプチドの凝集状態は、重合種または凝集体(結合種を凝集体または原繊維形成種に随意に変換できる凝集体または原繊維形成種)の導入時に、目視確認できるようにしたり、光散乱検出において光を散乱できるようにしたり、フロー検出系で粘度を変化させたり、電子信号伝達エンティティが凝集体の一部を形成する成分に結合している場合は電子的に検出したりすることによって、検出可能な特性が元の非凝集状態から変化する凝集体を鎖が形成するように、潜在的に病原性のペプチド(結合種あるいは凝集体または原繊維形成種)をリンカーの一端に結合させることによっても検出できる。あるいは、正常な形の病原性ペプチドを機能化ハイドロゲルまたはゲル状物質の規則「正孔」に結合させることもできる。種またはタンパク質凝集体を導入すると、ポリマー内に与えられた可溶性ペプチドまたは凝集体の変換が起こり、光学特性が変化するため、これらの凝集体が目視検出できるようになる。
【0074】
または、磁気粒子は金コートするか、SAMによって誘導体化することができる。SAMは、ペプチド−チオールの直接付加によって、またはSAMに含まれるDNA−チオールに結合するDNA−ペプチド、あるいはSAM中に包含されるNTA−チオールに結合するヒスチジン付加ペプチドなどのように間接的に、望ましいペプチドを与える。本明細書で述べるコロイドは金属原子のクラスタであり、好ましい金属は金である。金クラスタはわずか20個の金原子から作成できるため、コロイドは直径わずか数ナノメーターの考えられる最小の粒子内に含まれる。このことは、これらの比較的小規模な原繊維形成ペプチドおよび金属含有化合物を原繊維およびプラーク内に包含させ、浮遊状態で維持する場合に著しく有利である。
【0075】
該磁気粒子はヒスチジン付加ペプチドおよびペプチドフラグメントを捕捉するために、金でコートし、NTAチオールを含むSAMで誘導体化することもできる。SAMは、またペプチドに共有結合している相補DNA配列に結合しているDNA−チオールによって誘導体化することもできる。立体障害が正常および異常なプリオンペプチド間の相互作用に干渉しないように、ペプチドおよび粒子またはコロイド、あるいはペプチドを粒子またはコロイドに結合させる認識基の間にリンカーを挿入することもできる。
【0076】
このリンカーまたはスペーサーは、グリコールまたはアミノ酸を含む、各種の物質より構成できる。スペーサーの長さは、凝集体に近接させて疎水性環境を促進すると、電子活性信号検出物質の酸化ポテンシャルの変化を促すために変化させることができる。
【0077】
磁気粒子はさらに寸法の大きい第2のコロイドで置換することも可能であり、これらの大きなコロイドは電極表面に電磁気的に吸着される。しかしこれらは、信号伝達部分に存在する付随コロイドによって修飾された場合のみ信号伝達を行う。あるいは、どちらかのコロイドを、電磁力が加えられた場合にその移動度を変化させる荷電部分によって修飾することもできる。すべてのコロイドは同じサイズでもよく、そのとき、電磁力を用いて凝集したコロイドを個々の粒子から分離することもできる。別の変形では、第1の粒子は培養中に機械的に混合可能なさらに重い粒子またはコロイドであり、次に測定を行う際に沈殿によって電極表面に蓄積される。
【0078】
これらの手法は1粒子系でも使用できる。たとえば、磁気ビードは病原性ペプチドおよび遷移金属錯体を供与できる。溶液中の病原性ペプチドがビード上のペプチドと相互作用して凝集体を形成すると、遷移金属の局所的環境は、より高いポテンシャルで酸化するように変化する。病原性凝集体または原繊維の存在は、この系を電気化学的に分析すると、遷移金属の酸化ポテンシャルの変化として、またはより低いポテンシャルでの第2酸化ピークの出現として検出される。別の1粒子系は、遷移金属錯体を含む溶液中に正常なペプチドおよび増幅ペプチドを出現させる磁気粒子を含む。これらの遷移金属は、導電性または非導電性のデンドリマーまたはポリマーに結合させることができる。試験サンプル中の病原性ペプチドが凝集体生成を促進するため、金属含有化合物は、磁気粒子に結合したペプチドと絡み合い、補充および電子的に検出可能な電子活性および磁気錯体が生じる。
【0079】
本アッセイ系はビードを使わずに構築することもできる。金属含有化合物またはペプチド−チオールを含むペプチドおよび遷移金属錯体チオールは、電極上のSAMに固定化したり、包含させることができる。増幅ペプチドは測定溶液に加えても、加えなくてもよい。試験サンプルが病原性または感染性ペプチドを含む場合は、表面固定化ペプチドに結合する。
【0080】
このことは、金属錯体の局所的環境を変化させ、その酸化ポテンシャルを変化させる。測定溶液中の増幅ペプチドは、デンドリマーまたはポリマーに結合する金属錯体を含む。試験サンプルが病原性ペプチドを含む場合は、凝集種は金属化ペプチドおよび表面固定化ペプチドをブリッジするよう作用する。この相互作用によって、信号伝達部分が電極表面付近に配置され、電子信号は電極に伝達される。同様に、SAMに包含されたペプチドは、チオールによる直接結合によって、またはHis付加ペプチドを予備形成NTA−SAMに結合することによって電極上に生成し、病原性ペプチドと、ペプチドとフェロセンなどの信号伝達部分の両方を与えるコロイドをさらに含むサンプル溶液中に導入できる。これらを再度、原繊維/凝集体に組み込むと、信号伝達部分(この場合はコロイド)が電極に近づけられ、信号が伝達される。反対に、NTA基によって誘導体化されたペプチドは、ヒスチジン6個分の長さのペプチドとの相互作用によって、表面に結合することができる。増幅ペプチドは、測定溶液に加えても、加えなくてもよい。
【0081】
これらの手法は、これらの神経変性疾病を治療する潜在的な薬剤候補のスクリーニング用に改変することもできる。詳細には、記載した変形すべてにおいて、薬剤候補を溶液に添加して、凝集体形成を阻害するその能力を、用量に変換される時間および濃度の関数として測定することができる。信号損失や電流ピークの位置の変化などの各種パラメータは、陽性の、したがって治療上有用な効果を示すことができる。さらに、薬剤候補を金属含有化合物を有するビードに結合させると、NTA−チオールがあってもなくてもSAMsによってコートされたコロイドとなり、ペプチドが結合したコロイドに結合したそれらの金属含有化合物とは異なるポテンシャルで酸化を行う。次に異なる酸化ピークを探す。信号伝達金属含有化合物は、ペプチドが結合したコロイドから除去することも可能であり、薬剤含有コロイドによる単一の電流ピークも測定できる。また、薬剤候補をマイクロアレイに加え、分析のためにアレイ全体をSAM修飾電極蓋上に反転させて載せる、多重薬剤スクリーニング装置を設計することもできる。
【0082】
信号検出化合物が薬剤候補を含むコロイド上にある系では、競合阻害アッセイを実施することもできる。
この系では、金属含有信号検出化合物を含まない磁気ビードがペプチドを有する。溶液中の遊離ペプチドが、これらの磁気ビードに結合したペプチドと相互作用可能である。推定薬品候補は金属含有信号検出化合物を含むコロイドに配置される。コロイド上の金属含有信号検出化合物は、凝集プロセスを中断し、磁気ビード上のペプチドと直接相互作用すると、信号伝達を行う。薬剤候補が凝集体と相互作用した場合にも信号が得られる。後者の情報は有用であるが、薬剤の作用箇所を判定するために、その後のマルチステップアッセイが必要な場合が多い。
薬剤候補は、予備形成原繊維、電子信号伝達コロイドに結合したペプチドおよび磁気ビードに結合したペプチドを含む溶液に添加される。培養時間の後、磁気ビードは検出電極に引き付けられ、ACVによって分析される。信号の損失は、薬剤候補が原繊維形成を阻害したことを示す。
【0083】
準安定性プロト原繊維は選択的に形成され、サイズ排除クロマトグラフィーによって均質になるまで精製され、その後、薬剤スクリーニングの標的原繊維使用することができる。同様に、パーキンソン病に特徴的な原繊維中に包含されるタンパク質であるアルファ−シヌクレインは、His付加され、電子信号伝達コロイドおよび磁気粒子に結合されることが可能である。これらの粒子は、溶液中またはパーキンソン病患者のサンプルによるシヌクレインによって培養された後、電子分析用の検出電極に磁気的に引き付けられる。
【0084】
このような分析では、表面(または粒子状実体の表面)に結合するペプチドまたはタンパク質が、興味のある相互作用が発生するように、表面から離れて(表面から隔離されて)存在する場合に有用である。粒子または表面は、アッセイに必要な結合プロセスを立体的に干渉できる。柔軟性のリンカーはタンパク質またはペプチドおよびHisタグの間に挿入できる。あるいは、NTA基が結合する炭素鎖の長さは変更可能であり、多数のリンカー基をNTA基および炭素鎖HS−(R)n−(X)m−NTAの間に挿入できる。ここでSは硫黄、RはCH2などのSAMに包含される任意の分子、Xはエチレングリコールなどのリンカー単位、NTAはニトリロトリ酢酸である。電磁場または機械的撹拌によって溶液にパルスを与えることは、包含プロセスの促進に用いられる。 以前述べたように、本発明のアッセイは電子相互作用に限定されるものではない。ある実施態様において、方法は検出表面を使用しない。むしろ該方法は、これに限定されるわけではないが、目視検査、密度走査、光伝送、吸収、色変化および/または光散乱を含む各種手法によって検出可能な凝集を含む。
【0085】
予備形成原繊維に包含可能なペプチドは、コロイド(たとえば金コロイド)または他の粒子(たとえば蛍光ビード)に結合される。これらのペプチド供給粒子は遊離ペプチドとともに、原繊維(たとえば患者サンプル)を含む溶液と混合される。粒子(たとえばコロイド)が原繊維内に包含されるにつれ、原繊維が視覚的に検出可能となる。
【0086】
本発明は、本態様がアッセイとして形式化される詳細な方法に限定されるものではないが、都合のよい手法は96ウェルELISAプレート形式である。反応のために、以下の試薬をリン酸緩衝液(10mMリン酸、pH7.4、100mM NaCl)中のELISAプレートに添加し、以下の濃度を都合よく使用することができる:58.2μMまたは14μMのN−末端(His)6タグを持つ合成Aβ(1−40)ペプチド、金コロイドを与える30μL NTA/Ni++(下記に示す調製)および0.6μM Aβアミロイド原繊維「種」。次にELISAプレートを37℃で撹拌せずに、望ましい時間だけ(たとえば30分〜2時間)培養する。1時間後に、58.2μM(His)6−Aβペプチドを含むウェルで暗赤色の凝集体構造がはっきりと見られた。望ましい時間の後(たとえば1〜4.5時間)、プレートを短時間撹拌してから、目視検査できる。凝集体構造は、(His)6−AβペプチドおよびAβ原繊維「種」の両方を含むすべてのウェルではっきりと見られた。これらの凝集体、原繊維状の構造体は、より低い速度であるが、最大50%のウシ胎仔血清(FBS)を含む溶液中でも形成可能である。FBS濃度を連続希釈して、一定濃度の原繊維種および(His)6−Aβペプチドを用いて培養すると、目視可能な原繊維形成速度はFBS濃度の低下とともに上昇し、このことは、該アッセイがAβ原繊維に固有のものであり、胎仔血清中に存在する原繊維種を認識しないことを示している。原繊維または(His)6−Aβペプチドのどちらかを含むウェルは、目視可能な凝集体を形成しない。負の対照として、無関係なHis付加ペプチドをコロイドおよび種原繊維を用いて培養できる。このような対照溶液は、目視可能な原繊維凝集体を生成しない。
【0087】
上述の方法を使用すると、10ピコモルという低い濃度の原繊維種濃度は、コロイドおよびAβペプチドを含む溶液から目視識別可能であったが、種原繊維を含んでいなかった。
【0088】
本明細書で述べる比色手法は、アッセイプロセスを阻害しない。
1つの流体混合物を調製すると、移転または他の撹拌を用いずに、凝集体の生成またはその欠如を判定するために観察できる。あるいは特定のアッセイに、撹拌または別の形式のエネルギーを与えることができる。たとえば、ある例においては、特定の系にエネルギーを導入することが凝集形成に影響を与えるかどうかを判定することが望ましい。エネルギーは、かき混ぜ、振盪、振動、超音波処理または他の機械的撹拌などの撹拌、赤外線、紫外線または可視光などの電磁気放射への曝露、無線周波数エネルギー、マイクロ波放射またはスペクトルの任意の部分での実質的に任意の電磁放射への曝露の形で導入できる。ある例において、系のエネルギーへの曝露は、凝集の速度に影響を与え、このことは神経変性疾病プロセスに対するエネルギーの潜在的な影響を示す。
【0089】
本発明のこれらおよび他の態様の機能および利点は、以下の例によりさらに十分に理解されるであろう。以下の例は本発明の恩恵を例示する目的であるが、本発明の全範囲を例証するものではない。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明のある好ましい態様を例示するものであり、その範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0091】
以下に続く実験開示において、以下の省略形を適用する:eq(当量);μ(ミクロン);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);mM(ミリモル濃度);N(ノルマル);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);nM(ナノモル濃度);℃(摂氏度);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);U(単位);d(日数)。
【0092】
実施例1:原繊維の分光光度法による検出
本実施例において、14μM His−Aβ(1−40)ペプチドを含む100μLの分割量および30μLのNTA−チオールコロイドを、1μM Aβ原繊維種、50pM Aβ原繊維種または原繊維なしで培養した。混合物を37℃にて30分間培養した後、キュベットに移し、日立U−2000分光光度計に配置した。各分割量について、569nmでの吸収を記録してから、キュベットを取り外し、ペプチドの原繊維内への包含を促進するために硬い表面に激しく叩きつけ、10分間放置した後、569nmで再度走査した。
【0093】
我々は原繊維種を含む溶液で、(原繊維が溶液より沈殿したため)569における吸収が急激に低下したのを観察したが、ペプチドのみを含む溶液における吸収は安定したままであった(図3)。グラフの棒の高さは、2回目の測定値に対する最初の測定値の比である。1)1μM Aβ原繊維種(斜線棒)および原繊維なし(塗りつぶし棒)および2)50μM Aβ原繊維種(斜線棒)および原繊維なし(塗りつぶし棒)。
【0094】
実施例2:コロイドの沈殿
本実施例において、1.5mlの市販金コロイド(AmershamのAuro Dye)を微量遠心管内に入れ、高で10分間遠心分離してペレットにした。ペレットを100μLの貯蔵緩衝液(クエン酸ナトリウムおよびtween−20)中で再懸濁させた。40μM ニトリロトリ酢酸(NTA)−チオール、100μM フェロセン−チオールおよび500μM カルボキシ−末端チオールを含む100μLのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を加えた(フェロセン信号実体は随意である)。チオール溶液で3時間培養した後、コロイドをペレットにし、上澄は廃棄した。ペレットはその後、100μLの400μM トリ−エチレングリコール末端チオールDMF溶液中で55℃にて2分間、37℃にて2分間、55℃にて1分間、37℃にて2分間、室温にて10分間培養した。次にコロイドをペレットにし、100μLの100mM NaClリン酸緩衝液を加えた。さらにコロイドを180μM NiSO4のコロイド貯蔵緩衝液を用いて、1:1に希釈した。
【0095】
実施例3:SAMコード化電極の形成
以下に示す実施例の一部において、該実施例はSAM形成、コラーゲンコーティング、細胞増殖、コロイド形成およびを含む交流ボルタメトリー(ACV)を含む。SAM形成の場合、ガラス製の顕微鏡スライドはTi層、次いでAu層によってスパッタリングされる。各電極は、10% メチル末端チオール(HS−(CH2)15CH3)、40% トリ−エチレングリコール末端チオール、HS(CH2)11(CH2CH2)3OH、(式)および50% ポリ(エチニルフェニル)チオール(C16H10S)を含む300μLのDMF溶液によって室温にて0.5時間培養した。次に2mlの400μM トリ−エチレングリコール末端チオールを、チップを含むシンチレーションバイアルに加え、該バイアルに対し、水浴中で次のような熱サイクルを行った:55℃で2分間;37℃で2分間;55℃で1分間;37℃で2分間、次に室温で10分間。次いで電極をEtOH中に漬け、さらに滅菌PBSですすいだ。
【0096】
実施例4:非常に高感度の凝集体検出を示すアッセイ
我々は、色の変化および視覚的な原繊維形成を時間の関数として監視することによって、事前に形成された凝集体、神経変性疾病の特徴を高感度に検出することができる。
【0097】
金コロイドは、実施例2に記載したようにヒスチジン付加タンパク質を捕捉するために、ニトリロトリ−酢酸/ニッケル自己凝集単層(NTA−Ni−SAMs)によって誘導体化される。コロイドは、最近隣のペプチドの凝集を抑制するために低密度のNTA−Ni(1000:Mのチオール総濃度中の40μM NTA−チオール)によってコーティングし、通常のコロイド粒子に固定化した。30μLの誘導体化コロイドの分割量を96ウェルプレートに配置した。ヒスチジン付加βアミロイドペプチド(アミノ酸1−40)はpH7.4のリン酸緩衝液に溶解させ、次に、100μLの体積における最終濃度が14μMになるようにコロイド溶液に添加した。合成のヒスチジンが付加していないμ−アミロイドペプチドより作成された予備形成の原繊維は連続希釈し、原繊維の最終濃度が330nM〜50pMの範囲になるように溶液に加えた。各アッセイ(各ウェル)について、原繊維を加えない、負の対照アッセイを実施した(図4)。溶液は37℃で1時間培養し、溶液を攪拌しないように注意した。原繊維を含む溶液の色は、金コロイドの特徴的なピンク色から濃い紫/灰色に変化した。ヒスチジン結合μーアミロイド(1−40)を含むが予備形成原繊維を含まない溶液は、原繊維を加えた溶液も低い速度でより薄い紫色に変化した。ウェルの中心の、予備形成原繊維を含む黒ずんだ塊は、肉眼ではっきりと見えた(図5)。解剖顕微鏡によって40倍に拡大して観察すると、大きな紫色の網状組織が見られた。これらの凝集体はプレートの底に沈殿しているのではなく、明らかに液体培地中に浮遊していた。負の対照のウェルは粒状の沈殿物を示したが、大きな凝集体はなかった。目視検査によって、予備形成原繊維を含むウェルと含まないウェルを、50ピコモルの添加原繊維濃度まで区別することができた(図6)。結果は、倒立顕微鏡に取り付けたニコン製カメラ(ASA800フィルム)を用いて40倍で撮影した写真によって記録した。
【0098】
実施例5:コロイドを用いた描出
ペプチドおよび原繊維の濃度が高くなると、大きなコロイド修飾原繊維構造が見られる。40μM NTA−Ni SAMを含むコロイドは実施例2に記載したように調製した。コロイドの30μLの分割量を96ウェルプレートに加えた。100μLの最終体積中で20μMの最終濃度となるように、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)を加えた。100μMの最終体積中で最終濃度が20μMとなるように、予備形成β−アミロイド原繊維を加えた。
【0099】
最終濃度が1μMとなるように、予備形成β−アミロイド原繊維を加えた。サンプルは37℃で20分間培養し、次に凝集を加速するために3回激しく叩きつけた。
【0100】
37℃で1時間培養を続けた後、大きなコロイド−原繊維構造が肉眼ではっきりと見られた(図7A)。コロイドが原繊維の構造に集塊するにつれて、周囲の溶液は透明になった(ピンク色なし)。負の対照では、コロイドに固着する結合種の代わりに、無関係のタンパク質が固着した。結果を図7Bに示す。
【0101】
実施例6:薬剤のスクリーニング
我々はヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドが原繊維を形成する条件を決定した。Sigma Aldrich RBI薬剤ライブラリによる薬剤候補を各アッセイ溶液に別々に加え、アルツハイマー病の特徴である原繊維形成を阻害する薬剤候補を判定した。結果を描出する方法として、(以前述べた)NTA−Ni−SAMsを含むコロイドを加えた。
【0102】
96ウェルプレートの各ウェルに、各薬剤の最終濃度が100〜200μMとなるように以下を加えた:30μLのNTA−SAMを含むコロイド、65μLの10.7μM ヒスチジン付加βーアミロイド(1−40)ペプチドの溶液(最終濃度6.6μM)および5μLの薬剤候補。溶液を含むプレートを37℃で数時間培養した。この時間内に、プレートを目視検査し、経過を定期的に記録するために写真を撮影した。
結果:
色の変化(ピンクから青)によって、原繊維形成を阻害する薬剤が予測された。培養時間約2時間で、陽の対照を含む、すなわち薬剤を含まないウェルおよび負の対照を含む、すなわち薬剤を添加したがヒスチジン付加ペプチドがβ−アミロイドではなく、GSTであるウェルと、溶液の色を比較することによって、原繊維形成を阻害した薬剤を含むウェルを肉眼ではっきりと見ることができた。
【0103】
ウェル内で原繊維に集塊したコロイドによっても、ウェル内に目で見える凝集体がないことに注目すれば、原繊維形成を阻害する薬剤を含むウェルを識別できる。40倍に拡大すると、異なるウェルでの薬剤の作用を区別する能力が向上した。
【0104】
図8は37℃で72時間培養した後の、小分子ライブラリ、ラック1の写真のコピーである。プレートの最右端(第12列)のウェルは、ピンクのままであった負の対照ウェルであり、そこではHis付加GSTがβ−アミロイドペプチドの代わりとなっていた。
【0105】
左隣の列、列番号11は、His付加β−アミロイドを含み、薬剤候補を含まない陽の対照であった。ウェルG9は明るいピンクであったが、そのウェル内の化合物が原繊維形成を阻害したことを示す。ウェルA4、B5、C5、D5、F5、F9、G5およびH10がすべて、ただちに目視確認可能な凝集体形成を示していることに注意する。
【0106】
生理条件下で時間の関数として色および/または凝集体形成を監視することは、薬剤の有効性および薬剤の安定性の指標である。
実施例7:溶液中で遊離したペプチドの増幅への使用
NTA−Ni−SAMsを示すコロイドは、実施例2に記載したように調製した;1000μMのチオール総濃度において40μM NTA−チオールを使用した。ヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドを加えて、100μLの最終体積において最終濃度が58.2μMとなるようにした。負の対照として、無関係のヒスチジン付加ペプチド、GSTをβ−アミロイドペプチドの代わりにコロイド溶液に加えた。溶液は37℃で培養した。15分以内に大きな凝集体が溶液内ではっきり見えるようになり、それにはヒスチジン付加β−アミロイドペプチドが含まれていた。対照溶液中には構造物が見られなかった。β−アミロイドペプチドを含む溶液は灰色/紫に変化したが、負の対照溶液はピンクのままであった。これらの結果は、溶液中の遊離β−アミロイドペプチドが凝集し、凝集過程を増幅または加速するよう作用したという考えに矛盾しない。
【0107】
実施例8:電子的検出
β−アミロイド原繊維を電子的に検出する我々の戦略は最初に、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)を、μ−アミロイド1−42ペプチドから作成した予備形成原繊維に含めることであった。電子信号伝達のために、NTAおよびフェロセン誘導体を含むコロイドを、少なくとも一部のHis付加βアミロイドペプチドがコロイド粒子に付加するように加えた。我々の目的は次に、コロイド修飾原繊維に結合する結合リガンドを押しのけて進み、それらを作用電極に磁気的に補充する磁気ビードを加えることであった。
【0108】
NTA−SAMsを持つコロイドは、実施例2に記載したように調製した(標準のフェロセン−チオールの代わりに、100μM オクタメチルフェロセン−チオールを使用したことを除く)。30μLのコロイドを各アッセイ溶液に加えた。ペプチド添加後に溶液をピペットで取らずに(このことは予備形成原繊維がない場合にペプチドの原繊維形成を促進する)、交流ボルタメトリー(ACV)分析を促進するために、アッセイ溶液を、実施例3に記載したように、静止マグネット上で自己凝集単層によって誘導体化した金コートガラススライド上にクランプされた容量1mlのシリコンガスケット中で混合した。
【0109】
ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(アミノ酸1−40)を、100μLの体積において最終濃度が14μMとなるように添加した。β−アミロイドペプチド(1−42)より成る予備形成原繊維は、最終濃度が15μMとなるように加えた。負の対照溶液は以下のとおりであった:(1)コロイド、ヒスチジン付加GSTと原繊維を含むが、His付加β−アミロイドペプチド(1−40)を含まない;(2)コロイド、His付加β−アミロイドペプチド(1−40)を含むが、原繊維を含まない;および(3)陽の結果を与えることが予想される成分すべて、ただしHis付加ペプチドが原繊維内に含まれる以前の、時間0にて測定。溶液は37℃にて20分間培養した。タンパク質Aによって誘導体化した(抗体のFc部分を結合する)市販の磁気ビード(Bang LabsおよびProzymeによる)はその結合性能の1/10まで、β−アミロイドペプチド1−42を認識するが、1−40は認識しない抗体(Biosource Int.より購入)に予備結合された。20μLの抗体表示磁気ビードを、ACV分析(10Hz;25mV過電位;Pt補助を備えたAg/AgCl参照電極;作用電極として作用するSAMコート金チップ)の直前に各溶液に注入した。
【0110】
結果:
ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)、NTA−Niおよびフェロセンを持つコロイド、さらに予備形成原繊維を含む溶液は、37℃にて20分間培養すると、コロイド粒子に結合したフェロセン誘導体(オクタメチルフェロセン)特徴的な酸化ポテンシャル(220mV)において2.0μAの電流ピークが生じた。図9の線Aを参照。 ヒスチジン付加ペプチドが原繊維に含有される直前に測定した同一の溶液は、図9の線Bに示すように、220mVにおいて約0.17μAのわずかなピークを生成した。
【0111】
予備形成原繊維を除くすべての成分を含む、別の負の対照溶液は、0.022μAのわずかなピークを生成した(図9、線C)。
予備形成原繊維を含むが、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチドの代わりにヒスチジン付加GSTタンパク質がコロイドに結合している第3の負の対照溶液は、電流ピークを生成しなかった(図9、線D)。
【0112】
実施例9:光散乱分析
溶液中の粒子の平均直径を定量化する市販の光散乱装置を用いて、NTA−Ni−SAMコートコロイドおよびヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドを含む溶液を、予備形成原繊維のある場合とない場合に分析した。
【0113】
コロイドは実施例2に記載したように調製し、100μLの最終体積において最終濃度が10.2μMとなるようにヒスチジン付加β−アミロイドを加えた。予備形成原繊維は、最終濃度が2μMとなるように加えた。平均粒子直径の基線測定値は、いずれの成分もβ−アミロイド原繊維がない場合に凝集しないようにするために、試薬についてのみ得た。
【0114】
基線測定値:
1. 40μM NTA−SAM誘導体化コロイドのみ;直径=14.87nm
2. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;直径=14.96nm
3. 1μMβ−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合したコロイド(表面固定化His付加Aβ1−40を除く);直径=15.93nm;t=0
実験:
1. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド、1μM β−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合、t=0で測定 15.5nm
2. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド、1μM β−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合、高輝度ランプのもとで、t=1.5時間で測定:直径=10,000nm超、図10を参照。
【0115】
負の対照:
3. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;予備形成原繊維の代わりに緩衝液を加えた;t=0で測定;直径=14.96nm。
【0116】
4. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;予備形成原繊維の代わりに緩衝液を加えた;t=1.5で測定;直径=579.7nm、図11を参照。
【0117】
これらの結果は、試料における凝集体の量が、生じたマクロ構造体の直径を測定することによって定量化できることを示している。同時に96ウェルプレート形式の溶液の平均粒子直径も測定する光散乱装置は、市販されている。現在までに、光散乱を使用してペプチドモノマーとβ−アミロイド凝集体を区別しようとする試みは、両方の種の直径が非常に小さく、さらに低い検出限界では(β−アミロイド原繊維がおよそ数百ナノメータである)、モノマーと凝集体の差も小さいために、成功する場合は限られていた。
【0118】
しかし発明者らは、リガンドを持つコロイドが、より小さく、検出しにくい原繊維を相互に結合させ、それらを検出しやすいマクロ構造体にまとめるように作用することを示している。
【0119】
実施例10:特異性
誘導体化コロイドによって示されるβ−アミロイドペプチドが、通常の診断サンプル中に存在する原繊維種に非特異的に含まれるかどうかを判定するために、ウシ胎仔血清(FBS)中で目視アッセイを実施した(FBSは、他の原繊維種を含め、CSFの100倍以上の無関係なタンパク質を含む)。ヒスチジン付加Aβ1−40を示す40μM NTA−SAMコロイドの異なるFBS濃度の溶液30μlに、1μM Aβ 1−42原繊維を加えた。誘導体化コロイドの原繊維への凝集はFBS濃度の上昇とともに増加せず、アッセイは他のタンパク質や原繊維種によって生じるアーティファクトが起こりにくいことを示している。コロイドに固定化されたHis付加Aβ1−40を含むが、予備形成Aβ原繊維を含まない負の対照溶液は、ピンクのままであった;40または100倍拡大では構造体は見られなかった。
【0120】
実施例11:CSFサンプルにおけるアルツハイマー病診断への可視原繊維構の範囲の利用
CSFサンプルを使用した盲検(サンプルの片方、両方がアルツハイマー病患者によるものか、あるい両方ともアルツハイマー病患者によるものでないことを作業者に知らせていない)において、実施例2に記載したように調製した、40μM NTA−SAMsを含むコロイドの30μMの分割量を96ウェルプレートのウェルに加えた。His付加Aβ(1−40)ペプチドは最終濃度が3.75μMとなるように加えた。2人のアルツハイマー病患者によるCSFの分割量をコロイド/ペプチド溶液に加えた。加えたCSFの量は、最終CSF濃度が12.5%または25%となるように変化させた。試験を行った各CSFサンプルについて、条件を次のように変化させた:(1)サンプル溶液は予備形成Aβ原繊維(1μM;1−42)を用いてドープまたは「播種」した;(2)溶液は予備形成Aβ原繊維(0.1μM;1−42)によって播種した;(3)溶液には何も播種しなかった;(4)負の対照として、プローブHis−Aβをコロイドに固定化しなかった。37℃にて3時間後、患者#101によるCSFを含む原繊維のマクロ構造が、負の対照を除くすべての試験溶液で見られた。原繊維構造の範囲は、CSF濃度の上昇とともに広がった。同様に、種濃度の上昇とともに構造形成も増大した。他のCSF含有溶液はピンクから紫に変化したが、40倍拡大では減繊維構造の形成は見られなかった。対照溶液(コロイドへの固定化His−Aβなし)はピンクのままであり、構造形成の徴候は一切見られなかった。
【0121】
一晩(合計10時間)培養した後、患者#109によるCSFを含む原繊維も溶液中ではっきり見えたが、それらは最初の患者によるものよる原繊維よりもまだはるかに小規模なものであった。患者1と同様に、構造形成の範囲は、CSF濃度およびβ−アミロイド種濃度の上昇とともに拡大した。サンプル記録の検査によって、CSFサンプルは両方ともアルツハイマー患者によるものであり、診断してからの時間およびBlessed Dementiaスケールのスコアに基づいて、最初の患者(101)の疾病の進行は第2の患者の約2倍であることが確認された。患者101のBlessed Dementiaスケールのスコアは21であったが、患者109のスコアは12であった。患者101のβ−アミロイド濃度は、8mgs/mlにて測定したが、#109は4.6mgs/mlであった。
【0122】
実施例12:CJD検出および診断
この仮説的な実施例では、少なくともHis付加ペプチドの一部がコロイドに結合するように、可溶形(未変換形)のHis付加PrPタンパク質を含む溶液にNTA−Niを示すコロイドを加える。伝染性PrPを含むと思われるサンプルを加える。伝染性PrPは、コロイド上の、および溶液中で遊離している正常なPrPタンパク質を、それらが他のPrPタンパク質を変換できるように変換する(アルファらせんから、正常なPrPとは異なり、プロテイナーゼK消化に対して耐性である、ひだ付きベータシートへのラジカル立体配座変化を含む凝集を引き起こす)。この種の信号増幅、すなわち変換増幅は、比色(ピンクから紫)変化としてただちに検出可能な塊状の凝集と、肉眼または光散乱装置によって検出可能である大規模なタンパク質凝集体の生成を引き起こす。添加した正常なPrPの変換によって生じるこの信号増幅の場合、添加PrP(His付加、またはなし)はサンプル中に予測されるPrPと同じ種に由来するか、PrPが伝染性サンプルによって変換可能な種に由来しなければならないことに注意する。
あるいは、定量的で上述した信号増幅を含まないアッセイ、あるいは未知の種起源のプリオン疾病を検出可能なアッセイが必要な場合がある。このような場合、シリアンハムスターPrPから切除した119−141(GAVVGGLG
GYMLGSAMSRPMMHF)に相同性の配列などの、プリオンタンパク質(PrP)に由来するペプチドまたはタンパク質は、好ましくはN末端にヒスチジン付加され、実施例2に記載したようなNTA−SAMsを示すコロイドに添加される。この配列は、変換または伝染性PrPの複数の部位に結合するため、他の正常なPrPタンパク質を「変換する」その能力を阻害することがわかっている。
【0123】
伝染性PrPが含まれると考えられるサンプルは、コロイドおよびペプチドに添加される。
サンプルが伝染性PrPを含む場合、コロイド結合ペプチドの凝集が発生し、上記と同様に検出できる。これらは、全長タンパク質に加えて、his付加され、このアッセイで使用できるハムスターPrPに由来する配列である。
106−128(KTNMKHMAGAAAAGAVVGGLGGY)
109−141(MKHMAGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
113−141(AGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
119−141(GAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
117−141(AAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
115−141(AAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
113−141(AGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
Charby J, Caughey B, Chesebro B, J
Biol Chem 1998 May 22; 273(21):
13203−7; Residues 90−145 of Syrian
hamster PrP(シリアンハムスターPrPの残基90−145),
J. Mol. Biol.(1997) 270, 574−586
実施例13:電子的検出
この仮説的な実施例では、サンプル中のプリオン疾病の存在も電子的に検出できる。少なくともHis付加ペプチドの一部がコロイドに結合するように、可溶形(未変換形)のHis付加PrPタンパク質を含む溶液にNTA−Niを示すコロイドおよびオクタメチルフェロセンを加える。PrPまたはそれに対する抗体のいずれかを与える磁気粒子もアッセイに加える。伝染性PrPが含まれると思われるサンプルを加える。コロイド上の、および溶液中に遊離している伝染性PrPは正常なPrPを変換し、この正常なPrPを他のタンパク質の変換に関与させ、その結果として塊状凝集が起こる。磁気粒子およびコロイド粒子の両者が同一の凝集体に含まれる塊状凝集が生じ、これらの凝集体はSAMコート可能な電極に磁気的に引き付けられ、ACVによって分析される。
【0124】
実施例14:ELISA
分子または細胞生物学の当業者に周知の技術を使用する。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル), Volume 2 Immunology 11.2, John Wiley and Sons Inc.による著作権、1994−1998)。通常、ELISAを実施する場合は、第1の種を直接または間接的にプラスチック基質に結合させる。
【0125】
第2の種を加え、プレートを洗浄し、信号伝達機能も備えている「第2の」抗体を結合させて第2の種を検出する;第2の抗体は、通常はセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ(AP)などの酵素、または加えられた基質上で色の変化を生じる(分光光度計によって検出)反応を起こす能力のある蛍光標識、またはフルオリメータによって検出可能な蛍光標識タグに結合される(たとえば「生体内での感染神経線維および感覚神経に対する単純疱疹ウイルス糖タンパク質Dの、受動的に伝達されたヒト組換えモノクローナル抗体の局在化」Localization of a passively transferred human recombinant monoclonal antibody to herpes simplex virus
glycoprotein D to infected nerve fibers and sensory neurons in vivo, Sanna PP, Deerinck TJ, and Ellisman MH, 1999, Journal of Virology Oct. Vol
73(108817−23)を参照)。便宜上、各抗体を酵素に結合させずにすむように、マウス抗体を特異性認識抗体として使用し、次に酵素結合ウサギ抗マウス抗体を添加することが最も多い。
【0126】
本明細書に記載した技術を使用して、ELISAの感度を大幅に上昇させて、天然リガンド(タンパク質またはペプチド)または薬剤候補をプローブ分子として使用して固定標的種の存在を検出することができる。固定種の存在は、複数のセイヨウワサビペルオキダーゼ(HRPO)またはアルカリホスファターゼ(AP)も与えるコロイドに結合されたリガンドにその固定種を結合することによって検出される。酵素は、酵素に直接結合したヒスチジンタグを含む各種方法によって、あるいはヒスチジン付加タンパク質Gによってコロイドに結合したヤギ抗体にマウス抗ヤギ酵素結合抗体を結合させて、都合よく該コロイドに結合することができる(Akerstom, B., Nielson, E., Bjorck, L. Journal of Biological Chemistry, 1987 Oct. 5 Vol 262(28); pgs. 13388−91およびFahnestock, S. R., Alexander, P., Nagle, J. and Filpula, D.(1986) Journal of Bacteriology Vol. 167, 870−880)。コロイド上に複数の酵素とともに固定化されたリガンドを第2の抗体の代わりに標的種に結合させることによって、結合事象に対する信号伝達分子の比は、著しく上昇する。コロイド上の1個の抗体またはリガンドを、ELISAプレート上に与えられた抗原に結合させると、間接的に数千また数百万の]酵素の結合につながる。あるいは、信号伝達酵素とともにそれぞれ別個の薬剤候補を与えるコロイドによって調査できるようにするために、既知の種を故意に96ウェルプレートのプレートに結合させることができる。現在、各薬剤候補が酵素に結合できない既存のELISA技術では、このことを実施できない。あるいは固定標的の天然リガンドを、相互作用を阻害するために各プレート上に加えた信号伝達酵素および薬剤候補とともにコロイド上に与えることができる。
【0127】
未結合コロイド、そしてその信号は洗浄ステップで消失する。抗体またはリガンド供与コロイドの標的は、ELISAプレートに直接または間接的に(別の抗体またはリガンド経由で)結合した細胞でもタンパク質でもよい。ELISAのこのような改良の利点は、感受性だけでなく、有効性でもある。数百の信号伝達酵素がコロイド経由で1個の抗原に結合されたままになっているため、基質の加水分解がさらに迅速に起こり、十分な読取りに必要な時間がさらに短くなる。
【0128】
この仮説的な実施例では、ELISAプレート上での、サンプル中の凝集体形成または原繊維形成、プロト原繊維、凝集体種の存在の検出方法、神経変性疾病を阻害する薬剤のスクリーニングについて述べる。神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を結合する結合種、あるいは原繊維または凝集体形成種、プロト原繊維、凝集体に対する抗体(特にAβ1−42に対する抗体)は、ELISAプレートのウェル内に固定化される。診断アッセイでは、抗体は次に、凝集体形成または原繊維形成種を含むと思われるサンプルに曝露され、該サンプルは金属結合タグ(ヒスチジンタグ)を持つ結合種、随意に上述した増幅因子種、それぞれ粒子に固定された金属(NTA)および非電子信号伝達エンティティを配位するキレートを持つコロイド粒子と混合される。非電子信号伝達エンティティは、蛍光タグ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどである。
このアッセイを用いて薬剤をスクリーニングしたい場合は、神経変性疾病を阻害する候補薬剤の存在下で、同様の手順を実施する。
【0129】
実施例15:疾病の生化学的進行の各種段階において神経変性疾病を阻害するめの候補薬剤の細胞ベーススクリーニングアッセイ
この仮説的な実施例では、酵素β−分泌酵素およびγ−分泌酵素などの、神経変性疾病での凝集体形成または原繊維形成種の生成に関与する細胞プロセスに対する活性について候補薬剤を試験する方法について述べる(Wolfe, et
al., Nature, 1999 April 8; 398(6727);513−7; Haass, Nat. Med. December,
1999; 1(12);1291−6)。
【0130】
ELISAプレートのウェルには、原繊維形成または凝集体形成種、特にAβ−原繊維形成種を分泌する細胞を配置する。細胞はAβの過発現プラスミドを用いて形質移入する(LaBlanc, et al., J Neurosci
Res., April, 1992, 31(4):635−45)。
【0131】
細胞がAβ原繊維形成種を過発現するために十分な時間が経過した後、薬剤スクリーニングのための上述したアッセイの1つの成分をウェル内に導入する。たとえば、コロイドおよびコロイドに固定されたまたは固定するよう改変された結合種、随意に増幅因子種をウェル内に導入する。薬剤がAβ原繊維形成種を阻害する能力(該薬剤は過発現開始前に導入されている)は、分泌された基質の凝集可能性を示す、ウェル内でのコロイドの相対的凝集を観察することによって監視される。
【0132】
本実施例は、神経変性疾病を阻害する候補薬剤を、神経変性疾病原繊維または凝集体形成種を分泌するよう改変された細胞に曝露することと、細胞から分泌された物質の凝集可能性に対する候補薬剤の効果を決定することを含む、本発明のまた別の態様を示す。
【0133】
当業熟練者は、本明細書に挙げたすべてのパラメータが例示のためであり、実際のパラメータは本発明の方法および装置が使用される具体的な応用例によって変化することをただちに認識するであろう。したがって、上述の実施態様は例示目的のみで与えられており、添付請求項およびその相当物の範囲内で、本発明は明細記述した通り以外にも実施できるものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、デンドリマーまたはポリマーを介してフェロセンなどの金属含有化合物に付着する原繊維およびプラーク形成に関与する能力を持つペプチドを示したものである。これらの誘導されたペプチドは、ニューロペプチドの凝集および原繊維への同時の組み込みを通じて、類似のペプチド型を示す磁気粒子と結合する。磁石を介したSAM被膜電極に対する漸増の後、凝集の存在は、組み込まれた電気活性を有するフェロセンなどの信号部分の存在を、サイクリックボルタンメトリー(CV)や交流ボルタンメトリー(ACV)などの技術を用いて検出することによって測定される。
【図2】図2は、原繊維形成と、コロイド粒子に付着したフェロセン誘導体などの金属錯体に関与する能力を持つペプチドを示したものである。これらのペプチドは、両方がこれらのプリオン型の(および、原繊維形成性の)異常な型の凝集に組み込まれた場合、類似のぺプチドを持つ磁気粒子に結合する。磁石を介したSAM被膜電極に対する漸増の後、凝集の存在は電気的に検出される。
【図3】図3は、分光測光法的手法を用いた原繊維形成の検出を示す棒グラフである。
【図4】図4は、発明のアッセイを通じてネガティブコントロールの写真を複写したものである。
【図5】図5は、発明のアッセイを通じて形成された、裸眼で容易に識別可能な凝集の写真の複写である。
【図6】図6は6発明のアッセイを通じて50ピコモルのAβ原繊維から形成された、顕微鏡下で観察することのできる小型凝集の写真の複写である(図4−6はすべて40倍に拡大してある)。
【図7】図7Aは、発明の別のアッセイに関係して形成された、裸眼で容易に識別可能な大型のコロイド凝集を40倍に拡大した写真の複写である。 図7Bは、図7Aのアッセイのネガティブコントロールの写真の複写である。
【図8】図8は、発明の薬品選別アッセイの結果を示すELISAプレートの写真の複写である。
【図9】図9は、発明の別のアッセイによる原繊維の電子修飾を示す4つのACVからなるオーバーレイである。
【図10】図10は、発明の光散乱原繊維アッセイの結果を示す。
【図11】図11は、図10の光散乱実験のネガティブコントロールである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、神経変性疾患に関連したペプチド凝集の迅速かつ高感度な検出並びに分析ついての方法、アッセイおよび成分に関するものである。このような方法並びにアッセイは、高処理量の薬品選別によって薬品の発見を容易にするのみならず、臨床試験用に用いることもできる。
【従来の技術】
【0002】
現在、多くの神経変性疾患は、ニューロペプチドの異常型凝集の結果生じた脳内の凝集および、または原繊維形成に関係するプラークに連結していること、および、または、プラークが原因であることが分かっている。アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲルストマン・ストライスラー・シャインカー症候群、到死性家族性不眠症、ハンチントン舞踏病、クールー、さらには、クロイツフェルト・ヤコブ病、羊海綿状脳症および牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)のような家族性アミロイド多発ニューロパチー並びに伝播性海綿状脳症は、脳内に形成された配列タンパク質原繊維、すなわち凝集を特徴とする。これらの原繊維を形成するタンパク質は、配列相同性、あるいは、保存されたモチーフさえも共有することはないが、原繊維自体は一定の形態的な特徴を共有する。参照:ランズベリ(Lansbury)著、Proc. NatL Acad.Sci. USA、第96号:3342頁(1999年刊)。これらの疾患においては、病原状態に関係する常態では可溶性のペプチドが、自然ペプチドの突然変異や、変更ペプチドとの物質的な関連を通して3次元構造に転化を受け、神経変性疾患に罹病した脳内の見られる異常なタンパク質沈積の特徴である不溶性の配列重合状態に変化する。この配列重合または凝集は、内因性ないし外因性の作用因、またはペプチドが核となって生じる場合がある。
【0003】
例えば、アルツハイマー病(AD)の場合、これらの原繊維は、配座変化を受けて可溶性の単量体から不溶性のβ−シート低重合体に変化したβ−アミロイドタンパク質から形成される。脳内におけるこれらの原繊維の濃度は、臨床疾患の進行と相互関係を示してきた。特徴的な原繊維の発達図は極端に非線形であり、この事実を用いれば、なぜ罹病者が何年間も兆候を示さず、その後、突然、急速な変性を受けて痴呆状態に陥るのかが説明可能となる。生体外における原繊維形成は、ペプチド濃度に依存する。アルツハイマー病の特徴である模擬原繊維形成を目的として生体外で原繊維を形成するために、β−アミロイド(Aβ)タンパク質から誘導された短い合成ペプチドを生成することができる。Aβ 1−42(長い疎水性のC−終末を持つ)は、Aβ 1−40よりも速い割合で原繊維を形成することが分かっている。参照:J. ジャレット(Jarrett)他著『β−アミロイドタンパク質のカルボキシル基終末はアミロイド形成の核となる危険がある:アルツハイマー病因に関する潜在的重要性』「生化学(Biochemistry)」誌第32号、4693−4697頁(1993年刊)。Aβ
1−40はそれ自体の上に原繊維および凝集を形成することができる一方で、Aβ 1−40を含む溶液は、可溶性の低い1−42ペプチドとの「混合物」であるか、または、予め形成されたペプチド原繊維の「核を有する」場合には、促進された原繊維形成を受ける。Aβ 1−40は神経炎プラーク内における優勢タンパク質であるが、これらの研究は、原繊維形成率が、1−40に対する1−42の濃度比率に依存すると思われることを示している。これらの研究結果に一致して、あらゆる形態の初期AD兆候は、1−42ペプチドの高い発現水準を伴う。
【0004】
2つの最も優勢な変異体であるAβ、1−42並びに1−40を用いた生体外における原繊維形成に関する原子力顕微鏡(AFM)研究は、準安定中間物を突き止め、原繊維形成以前に生じるそれを「プロトフィブリル」と名づけた。参照:J. ハーパー(Harper)他著『原子力顕微鏡による準安定Aβプロトフィブリルの観察』「Chem. and Biol」第4号、119−125頁(1997年刊)。原繊維に対するこれらの先駆物質の存在は、ADの素因を持つ人々の脳内で観察される広汎性のアミロイド沈着を説明すると思われる。Aβ原繊維がADの発病因であるとすることに関して賛成と反対の議論が起きている、生体外および生体内で観察されるいくつかの矛盾は、毒性中間物であるプロトフィブリルの存在によって説明できるだろう。神経変性疾患の原繊維または原繊維形成種の試験、または、神経変性疾患の治療に適した薬品の選別を目的とする既存のアッセイは、コンゴレッド並びにチオフラビン−Tによるアッセイである(「Methods in Enzymology」大学出版(Academic Press)1999年刊、第309巻、274−287、304−305頁)が、その方法では、一般的には、小型の凝集やプロトフィブリルを検出することはできない。特に、約100μM以下の濃度では凝集や原繊維形成種を直接検出することはできない。この方法は、初期段階にある疾患の検出用、並びに、初期段階疾患への使用に適した薬品選別用としては不適当である。
【0005】
疾患の発症前段階(小型の原繊維ないし凝集しか存在しない時)に有効な薬品候補は、プラークおよび、または原繊維の抑制、並びに、兆候疾患の予防に関してより強い効果を持つと思われる。このため、小型の原繊維凝集を効率よく検出する必要がある。しかし、これらの凝集は小さすぎて、ほとんどすべての検出法で検出不能である。AFMを用いれば検出可能であるが、この技術は臨床的な特徴や薬品選別プロトコルには向かない。そのため、これまで、小型の原繊維性種に有効な薬品の選別は不可能とされてきた。さらに、すべての段階で原繊維形成を抑制する薬品を選別しようとすると、非常に制限された。
【0006】
凝集および原繊維形成率は、突然変異ニューロまたは転化プリオンペプチドなどの、保存されたか、または、誤って折り返されたペプチドの濃度の極端に非線形な関数であり、それらのペプチドは凝集形成および原繊維形成種である。いったん、異常型の種の濃度が危険濃度に達すると、反応率は急激に進行するため、投薬治療は有効ではない。そのため、プラーク形成の抑制に有効な薬品については、このように症状緩和的なものではなく予防治療的なものであって、必ず、初期段階で有効なものでなければならない。現状の専門技術では、平行薬品選別法または非侵襲性診断法と両立する形で、小型の凝集および原繊維を検出することはできない。このことは、1)初期疾患状態の治療薬は容易には特定できない、2)発症前の患者は特定できない、さらに、3)存在するか、または、将来確認される可能性のある潜在的な薬品候補の効果は正確には評価できないことを意味する。
【0007】
コンゴレッド並びにチオフラビン−Tを例とする既存技術のもう一つの欠点は、処理過程に機械的な介入が必要な点である。すなわち、原繊維形成を促進する非再現的な方法におけるアッセイを乱す、体液を容器から容器へ移すなどの処理を必要とする。さらに、コンゴレッド並びにチオフラビン成分は反応を消滅させ、凝集過程を停止させる。そのため、一回の溶液アッセイでは、いくつかの観察時点のデータが得られない。
【0008】
神経変性疾患の診断に伴う複雑な状況の一つは、疾患の特徴である凝集および原繊維を形成することのできる種が極端に低い濃度で存在する場合があり、その濃度でも、検出された場合には疾患の開始を示すとされることにある。
【0009】
神経変性疾患の過程に関する情報が存在する一方で、特に診断法および薬品選別に関して、神経変性疾患を対象とした簡易で高価に傾かない信頼できるアッセイ法や、神経変性疾患治療の候補薬品を選別する技術、および、それに関連する成分が示されたなら、この分野における重要な進歩となることだろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、神経変性疾患に関係する一連の構成、アーティクル、キット、および方法を提供する。提供される技術並びに成分は、神経変性疾患治療の候補薬品の選別のためのみならず、疾患診断のためにも提供できる。技術は簡易で、感度が極端に高く、かつ、容易に入手できる成分を利用している。発明の技術並びに成分は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を非常に感度よく検出するが、それらは、概して非常に小さく、例えば、長さ1から100nmの間であり、これまで、既存の技術を用いた方法や、神経変性疾患の治療薬の選別法では検出することが困難か、または不可能であった。
【0011】
そのため、当発明は、これらの神経変性疾患の初期段階の特徴である原繊維および前−原繊維の検出および監視を可能にする予定である。また、推定上の薬品候補を用いた治療によって生ずる凝集形成率の研究も可能にする予定である。
【0012】
当発明は、神経変性疾患の表現型に含まれるペプチド配列の選別に使用可能な凝集および原繊維の検出法を提供する。一方の技術では、選択したペプチド配列を合成して、粒子に固定するか、または、固定しやすい形にして、発明のアッセイにかけ、粒子凝集、または、神経変性疾患過程に関与する可能性のあるペプチド配列を示す、本文中に記すような粒子を包合するその他の結合が生じるかどうか調査する。もう一方の技術では、任意のペプチド配列を遺伝子操作してファージに作り変えるが、そのファージは粒子に結合して発明のアッセイに関与することができる。当発明の方法は、原繊維およびペプチド凝集の検出用に提供されるもので、これらの疾患の診断に利用できる。と言うのも、原繊維性種が、容易に試料採取できる脳脊髄液(CSF)および他の体液中を循環することが分かっているからである。
【0013】
実施例の一つでは、当発明は、伝播性海綿状脳症を含む神経変性疾患の特徴である凝集、原繊維、および前−原繊維(凝集形成および原繊維形成種)の存在に関して生物学的試料を迅速、高感度に分析できる検出方式を示す予定である。ある面から見た場合、発明は、疾患検出や薬品選別に利用可能な一連のキットを提供する。具体的使用法の一つでは、キットには、1表面を持つ第1アーティクルと、1表面を持つ第2アーティクル、および、多数の結合種が含まれており、少なくとも、結合種のうちのいくつかは、第1アーティクルか第2アーティクルの表面に固定されるか、または、固定されやすい形になっている。結合種は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つ。以下の詳細な記述で明らかになるように、この実施例の中では、アーティクルを様々に組み合わせて使用することができる。各アーティクルは溶液懸濁作用がある分離可能アーティクルであり、その組み合わせとしては、両方がそれぞれコロイド粒子を有する場合、一方がコロイド粒子を有し、他方が磁気ビーズなどを有する場合、あるいは、一方のアーティクルが、電極、表面プラスモン共鳴(SPR)チップ、またはその他の肉眼で見えるアーティクルのような大きい方のアーティクルの表面となることが可能で、他方のアーティクルが上記のような溶液懸濁作用を有する場合がある。
【0014】
発明の別のキットには、1表面を持つ1アーティクル(様々なアーティクルを予定している)と、多数の結合種が含まれており、少なくとも、結合種のうちのいくつかはアーティクル表面に固定されるか、または、固定されるやすい形になっている。この実施例では、アーティクル表面は、表面、または、凝集形成および原繊維形成種に固定されていないか、または、固定されやすい形になっていない結合種の不特定結合を、実質的に抑制する化学的な機能を持つ。この実施例は、特に高感度の検出技術を可能にする。発明の本概要で用いる場合、「結合種」とは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力のある結合種を指す。
【0015】
発明の別のキットには、1表面を持つ1アーティクルと、アーティクル表面に固定されるか、または、固定されやすい形になっている多数の結合種が含まれており、この実施例では、アーティクルがSPR成分ではないことがはっきりしている。この実施例は、罹病試料や薬品活性の電子分析などに関する非常に高感度で非SPRの分析を可能にする。
【0016】
別の面から見た場合、発明は、発明の様々なキット並びに方法と共に利用できる一連の成分、方式およびアーティクルを提供する。本発明のアーティクルの1つには、結合種が固定された表面が含まれる。信号エレメントもこのアーティクルの表面に固定されている。発明の構成には、結合種と、結合種との関係で固定される電子信号統一体が含まれる。発明の別の構成には、金属を配位結合できる部分に固定された結合種が含まれる。
【0017】
発明の方式の一つには、神経変性疾患の原繊維および凝集との関係で固定された少なくとも2粒子が含まれる。発明のもう一つの方式には、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種との関係で固定された少なくとも2粒子が含まれる。これらの方式は、概して、罹病および前−罹病状態、または、混合物を選別する候補薬品を検出するために計画されたアッセイの結果である。
【0018】
別の面から見た場合、発明は一連の方法を提供する。一つの方法には、アーティクル表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった1結合種を投入して、その結合種を、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種でない状態から、凝集形成および原繊維形成種である状態に転化させることが含まれる。この方法は、以下の詳細な記述から明らかになるように、高感度アッセイにおいて重要な用途を持つことになる。
【0019】
別の実施例では、新案の方法には、結合種と神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種との相互作用を可能にして、その結果、結合種を神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種へ転化させることが含まれる。転化を受けたこの種は、その後、神経変性疾患の凝集形成ないしは原繊維形成種の存在に特徴的な凝集に関与することになる。その後、この凝集を検出する。この方法も、疾患状態ないしは疾患前状態の選別に関する感度において重要な進歩を示すものである。
別の実施例では、この目的を含むがそれに限らず、薬品選別に利用することができ、その分野において重要な前進を示す発明の方法を提供する。方法には、アーティクル表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった1結合種を投入して、随意、(最初に固定されていない場合には)その結合種を表面に固定し、さらに、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種に結合することが含まれる。結合は、結合種を表面に固定する前もしくは後に行なうことができ、結合種は結合過程で凝集形成および原繊維形成種へは転化しない。第2アーティクルの表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった第2の結合種は、凝集形成および原繊維形成種に結合できる。第2の結合種の凝集形成および原繊維形成種との結合は、この方法による他の処理に関連して随時行なうことができる。
【0020】
発明の別の方法には、1表面を持つ1アーティクルと、表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種が含まれる。アーティクルの表面は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を含む懸濁試料に曝露される。以下で明らかになるように、例えば、試料中の罹病状態の検出用の技術など、様々な個別技術がこの方法に付随可能である。
【0021】
発明の別の方法には、凝集形成および原繊維形成種を含む試料中に、神経変性疾患の凝集および原繊維を最初に形成することが含まれる。凝集および原繊維は、アーティクルの表面に固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種を含むアーティクルに曝露される。結合種は、凝集、原繊維、凝集形成種、または原繊維形成種を結合する能力を持つ。
【0022】
別の面から見た場合、発明は、神経変性疾患抑制用の候補薬品効果を測定する1技術を提供する。技術には、神経変性疾患の原繊維および凝集形成種の分泌機能を持つ1細胞を、候補薬品に曝露して、細胞から分泌された物質の凝集可能性を測定することが含まれる。Aβ原繊維形成種を例とする発現過剰なプラスアミドを用いた転写によって、細胞を、原繊維および凝集形成種を分泌しやすい形に変えることができる。細胞から分泌される物質が神経変性疾患の特徴である凝集を形成する可能性は、候補薬品に対して細胞を暴露した後、原繊維形成および凝集形成種の存在を示すコロイド凝集を抑制するよう計画された発明のアッセイに、細胞環境を暴露することによって監視することができる。
【0023】
発明の別の面は、表面に自己集積的な単層を形成する一連の方法である。これらの方法は、発明の他の面との関係で使用可能な単層被膜のアーティクルを形成するために使用できる。ある方法には、自己集積的な単層を形成する分子性種および界面活性剤を含む媒質に表面を曝露することによって、表面に自己集積的な単層を形成することが含まれる。別の方法では、自己集積的な単層を形成する分子性種およびカルボン酸塩を含む媒質に表面を曝露する。さらに別の方法では、界面活性剤およびカルボン酸塩の両方を媒質に入れる。種の上に自己集積的な単層を沈積させるという発明のこの面に一致する形で使用可能な界面活性剤には、本質上、広範囲の様々な界面活性剤が含まれる。自己集積的な単層形成を助けるために使用するカルボン酸塩には、クエン酸ナトリウムを含むカルボン酸塩が含まれることが好ましい。
【0024】
自己集積的な単層形成の別の方法には、コロイド粒子の表面に自己集積的な単層を形成することが含まれる。形成は、コロイド粒子自身が形成されている間は起こらない。例えば、予め形成の完成したコロイド粒子の上に単層は形成される。別の方法では、自己集積的な単層は、粒子がいかなる溶液・溶液界面にも存在しないような懸濁溶液中のコロイド粒子の表面に形成される。
【0025】
発明の様々な面におけるより特殊な例として、凝集プラーク並びに原繊維に組み込まれるか、あるいは、それらと結合する能力を持つペプチドもしくはほかの結合種は、信号部分に変更を受けた後、疾患に関係するペプチド凝集および、または原繊維を含む可能性のある生物学的な試料、あるいは、凝集形成を誘導する効果を持つ薬剤と混合される。プラーク並びに原繊維に組み込み可能で、感知表面に特異的に引き寄せられる漸増部分に変更を受けたその他の種も、同一の試料に混合される。適切な定温放置期間の後、試料溶液は、検出装置に対して補充可能なペプチドが特異的に引き寄せられる条件下に置かれる。予め存在していたプラークおよび原繊維に対する信号部分並びに補充部分のこの組み込みは、凝集に標識付けを行なった後、それらを検出域に集中される感度の高い効果的な方法を提供する。
【0026】
既存の原繊維ないし凝集に対する組み込みは容易であるが、既存の原繊維が存在しない場合は容易に凝集しないような、信号および漸増種に付着した結合種の配列を選ぶことができる。ペプチドは、標識付けされたデンドリマーまたはポリマーに対する直接、化学的な結合付着によって信号部分に連結される。それに代わる方法として、ペプチドは、結合種と信号群の両方に同時に存在する、コロイドを含む粒子様金属との結合を通して信号部分に連結される。さらに、原繊維の形成に関与可能な異型種を添加して、溶液中に遊離させ(標識付けの有無を問わず)、凝集過程を促進させることで増幅装置として用いる。
【0027】
結合種は、電磁場または定置磁石を通じて検出域に補充可能な磁気ポリマーにペプチドを付着させるなどの、直接、化学的な付着によって漸増部分に連結される。さらに、結合種は、磁気ビーズ、A−セファローズビーズ(抗体を結合するタンパク質A部分を含む表面機能を表わす)、あるいは、感知域または表面に特異的に付着する帯電粒子などの、粒子様物質との結合によって漸増部分に連結される。結合種も、直接、化学的な結合によって、または、金属結合標識(ヒスジビン標識など)に連結されたペプチドなどの生物学的認識単位の効果によって補充が可能な漸増部分に対する、粒子様物質を用いた結合によっても、連結されることができる。後に、金属結合標識は、表面の自己集積的な単層(SAM)部分として表面に固定することの可能なニトリロ三酢酸(NTA)などの表面に結合したキレートによって配位結合された金属に結合する。結合種もしくはその他の種も、チオールなどの自己集積的な単層を形成する種に付着したバイオメトラから工業的に入手可能なストレプト標識を用いて表面に連結される。自己集積的な単層部分を形成するストレプト標識は、ビオチン変更結合種などのビオチン変更部分を容易に固定すると思われる。結合種は、以下により完全な形で記すような別の方法によっても表面に連結される。
【0028】
発明のその他の利点、新しい特徴、および目的は、付随の図とともに考察された時、以下の詳細な記述から明らかになるだろう。図は概要を示すものであり、尺度を考慮して描かれたものではない。図中では、様々な図に記された各々の同一か、ほとんど同一の成分は、単一の数字で表わされている。明解にする目的から、すべての図のすべての成分に標識付けを行なうことはせず、専門分野に通常の技能を有する人々が、発明を理解する上で図解が不要な個所では、発明の各々の実施例のすべてに関する全成分を示すこともしていない。
詳細な説明
定義
本文中で「小型の分子」という場合は、5キロダルトン未満の分子を、より一般的には、1キロダルトン未満の分子を指す。
【0029】
「神経変性疾患の凝集および原繊維」の用語は、分子混合物(例:結合相手どうしなど相互に作用する分子)のみならず、同族分子からなる錯体(例:原繊維凝集)も指すが、一般的には、神経変性疾患の特徴であり、同疾患を引き起こすと見なされるタンパク質性分子を指す。当発明の凝集は、一般的には、光散乱または色彩変化によって顕微鏡下で目に見えるものとなる程度の大きさ(コロイドの相互作用の効によって)である。
【0030】
「原繊維を目に見えるものとする」という句は、目に見えない原繊維を、目で、顕微鏡で、あるいは、吸光度によって見えるものにする技術を指す。原繊維に着色粒子を付着させるか、または、同粒子で修飾することを含むが、それに限らず、様々な方法が予定されている。
【0031】
本文中で「候補薬品」の用語を用いる場合は、人体もしくは他の動物体内で使用するすべての医学的な物質を指す。この定義の範囲内には、類似化合物や、自然発生および合成組み換えによる調合剤、ホルモン、抗菌薬、神経伝達物質などが含まれる。この語には、神経変性疾患の治療薬または予防薬として有効と評価されるすべての物質(自然発生、合成、組み換えを問わず)が含まれる。評価は、一般的には、当発明の選別アッセイなど、アッセイ活動を通して実施される。
【0032】
発明では、様々な型の粒子を使用する。例えば、「溶液懸濁粒子」とは、懸濁溶液中に留まるように作成されたものであり、懸濁溶液中で、発明の目的のために(一般的には水溶液として)単独で利用されるか、または、磁場や電磁場にかけたり、かき混ぜたり振ったり、振動、超音波処理、遠心分離器、渦巻運動などのような撹拌にかけることによって溶液中に維持することができる。「磁気による懸濁が可能な」粒子とは、磁場にかけることによって懸濁溶液中に留めおくことのできる粒子である。電磁気による懸濁が可能な粒子とは、電磁場にかけることによって懸濁溶液中に留めおくことのできる粒子である(例:帯電粒子、または、帯電可能に変更された粒子)。「自己懸濁粒子」とは、十分に小さいサイズおよび、または量なので、少なくとも1時間は利用可能な状態(一般的には水溶液)で懸濁中に留まるような粒子である。その他の自己懸濁粒子には、他の助力なしに5時間、1日、1週間、あるいは、さらに1ヵ月でも、発明により懸濁中に留まるような粒子である。
【0033】
本文中で「神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つ結合種」という場合は、タンパク質、ペプチド、それぞれの配列、抗体、コンゴレッド、チオフラビン−T、または、具体的に記された結合能力を持つ種などの、すべての種が含まれる。抗体の場合には、この結合は位置特定的である。その他のものの場合は、位置特定的ではない。タンパク質またはペプチドの場合には、結合は、一般的に、不特定のβ−シートおよび、またはβ−シート相互作用を含む。結合種には、自然発生による神経変性疾患の凝集体または原繊維形成種に一致するペプチド、断片、または完全体のタンパク質も含まれる。
【0034】
「タンパク質」並びに「ペプチド」は専門的によく知られた用語であり、各々が含むアミノ酸の数に関しては専門的には厳密に定義されていない。これらの用語を本文中で用いる場合、専門で通常用いる意味に使用する。通例、ペプチドは、長さにおいて約100個未満のアミノ酸からなるアミノ酸配列であるが、300個までのアミノ酸からなる配列も含まれる。
【0035】
本文中で「金属結合標識」という場合は、キレートによって配位結合された金属に固定された分子群を指す。利用に適したこのような分子群には、ヒスジビン並びにシステイン(「ポリアミノ酸標識」)を含むが、それに限らないアミノ酸配列が含まれる。金属結合標識には、以下で定義するヒスジビン標識が含まれる。
【0036】
本文中で「金属を配位結合するキレート」または、キレートによって配位結合された金属という場合には、金属上の利用可能な配位位置を全部は満たず、いくつかの配位位置を、金属結合標識による結合に利用できるように残しておくキレート剤によって配位結合された金属を指す。 「信号統一体」とは、特定の試料または特定の位置にそれ自体の存在を示す能力を持つ統一体を意味する。発明の信号統一体には、裸眼で識別可能なものや、孤立した形では見えないが十分な量が集まれば裸眼で検出可能であると思われるもの(例:コロイド粒子)、目で(裸眼または顕微鏡などを用いて)または分光器で容易に検出できるレベルまたは波長幅内で電磁気放射を吸収もしくは放射する統一体、または、適切な活性化エネルギーに対する曝露時に、特徴的な酸化および、または還元パターンを示す酸化還元活性のある分子などの電子的に検出可能な統一体(「電子信号統一体」)などが該当する。例としては、染料や、色素、酸化還元活性分子など電気活性を有する分子、蛍光部分、上昇調整(up−regulating)蛍光体、または、セイヨウワサビぺルオキシダーゼ並びにアルカリ性ホスファターゼを含む、酵素に連結した信号部分が含まれる。
【0037】
アーティクルの表面に関係する種について、本文で文脈中で「固定されるか、または、固定されやすい形になって」という場合には、共有結合による付着によって種が化学的および生化学的に連結しているか、あるいは、キレートおよび、または金属結合のような配位結合などを意味する(例:バイオチンおよび、またはストレプトアビジン)。例えば、この状況でいう「固定されて」には、ポリエチレンビーズ上で発達したペプチドなどの結合種や、ビーズに共有結合するタンパク質Aなどのタンパク質に不特定的および、または生物学的に結合した抗体と特に生物学的に結びついた結合種や、共有結合によって表面に固定された結合相手に、後で特に生物学的に結合するGSTやファージなどの分子の(遺伝子工学的に形成された)一部を形成する結合種(例:GSTの場合にはグルタチオン)などを含むが、それに限らない、複合の化学的な結合や、複合の化学的および、または生物学的な結合などが含まれる。別の例として、共有結合でチオールに連結した部分は、チオールが非常に強力に、たぶん共有結合で、金を結合するために、金の表面に固定されやすい形になる。同様に、金属結合標識を帯びる種は、表面に共有結合された分子(チオールおよび、または金結合など)を帯びる表面に固定されやすい形になるが、それらの分子も金属を配位結合させるキレートを示す。種も、表面が特定のヌクレオチド配列を帯びる場合には、表面に固定されやすい形になっており、相補性のヌクレオチド配列も種に含まれる。「固定されて」の定義には、いくつかの不特定結合、すなわち、発明の技術の目的ための、種の表面に対する志向的な付着が含まれる。発明の「固定されて」の定義に該当する不特定結合は、発明のアッセイに関係する洗浄処理手順に耐える付着を生じると思われる。具体的には、不特定結合した種は、トウィーン−20などの界面活性剤、並びに、溶液を生理的pHに保つためのリン酸塩緩衝液などの緩衝液を一般的には含む洗浄水溶液による少なくとも1回の洗浄手順に耐えるような場合には、表面に「固定されて」いるという。
【0038】
「明確に固定されて」または「明確に固定されやすい形になって」とは、「固定されるか、または、固定されやすい形になって」の定義に関連して上に記したように、種が化学的および生化学的に表面に連結されていることを意味するが、すべての不特定結合は除く。
【0039】
本文中で「不特定結合」という場合は、生化学分野で通常用いられる意味で用いる。
本文中で「コロイド」という場合は、生化学分野で通常用いられる意味で用いる。一般的に、コロイド粒子とは、どの断面で切っても250nm未満のもの、より一般的には、どの断面で切っても100nm未満のものをいう。
【0040】
本文中で「金属を配位結合できる部分」という場合は、金属結合標識やキレートなど、金属原子の少なくとも二つの配位位置を占めることができるすべての分子を意味する。
【0041】
本文中で用いられているように、他の成分に固定されるか、または、例えば、他の成分もまた固定されている第三の成分に固定されることによって、あるいは他の方法で、間接的に他の成分に固定される他の成分に「関連して固定され」た成分は、換言すれば、他の成分に結合していることになる。例えば、信号統一体が結合種に固定されている場合には、結合種との関連で固定されたことになり、結合種が固定されたコロイド粒子に固定され、結合種が固定されたデンドリマーまたはポリマーに固定されたことになる、などということである。
【0042】
本文中で「神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種」という場合には、神経変性疾患に関係のある他の分子(類似分子を含む)に結合して、神経変性疾患の特徴である原繊維および凝集を形成する十分な結合能力を持つ、神経変性疾患に関係する生物学的な種を意味する。このような凝集形成および原繊維形成種は、一般的には、配列相同性が健常な対部分に関連する分子配座の変更を特徴とし、類似および同様の分子に対する対部分の結合をより容易なものとする。いくつかの場合には、このような凝集形成および原繊維形成種は、結合種を非凝集形成および原繊維形成配座から凝集形成および原繊維形成配座へと転化する能力を持つ。プロトフィブリルは、神経変性疾患に関係する他の分子を結合して、神経変性疾患の特徴である凝集に関わる原繊維を形成することが報告されている。この例で見る限りでは、プロトフィブリルは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種に関して本文中で用いられている定義に含まれる。凝集体または原繊維形成種には、一般的には、1−38から1−44までのアミノ酸配列が含まれる。
【0043】
「異なる生物学的種」とは、マウスとハムスター、マウスとヤギなどのように別々の動物を意味する。
「試料」という用語は、生物学的採取源から得られた細胞、組織、体液のすべて(「生物学的試料」)、または、患者から得られた生物学的試料や、動物から得られた試料、人の食用を意図した食品から得られた試料、家畜飼料など動物の食用を意図した食品から得られた試料、臓器提供試料などを含むが、それに限らず、発明に従って有益と評価されるその他のすべての媒質を指す。
【0044】
特定の成分を「含むと推測される試料」とは、関係成分の内容が分かっていない試料を意味する。例えば、神経変性疾患であると推測はされるが、神経変性疾患を罹病していたかどうか分からない人から得られた体液試料は、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を含むと推定される試料と定義される。この場合の「試料」には、「構造的に前決定された試料」のみならず、人やその他の動物から得られた生理学的な試料や、食品や家畜飼料などの自然発生試料が含まれる。本文中にいう「構造的に前決定された試料」とは、構造が神経変性疾患に関係しているかどうか試験することを意図する分析で使用される前決定構造からなる化学的および生物学的な配列および構造である。例えば、「構造的に前決定された試料」には、ペプチド配列、および、ファージ表示ライブラリー中の任意のペプチド配列などが含まれる。動物から採取される定型的な試料には、血液、尿、涙液、唾液、脳脊髄液、扁桃由来の体液あるいは他の試料、リンパ節、針生検などが含まれる。
【0045】
本文中で用いられるように、「ポリ−ヒスチジン域(tract)」または「ヒスチジン標識」または「HIS−標識」とは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ基およびカルボキシル基のどちらかの終末を持つ2個から10個までのヒスチジン残基の存在を指す。6個から10個までの残基からなるポリ−ヒスチジン域は、発明で好んで使用される。ポリ−ヒスチジン域は、機能的には、問題となるタンパク質に付け加えられたいくつかの連続的なヒスチジン残基であるとも定義され、キレートコラム(column)上に生じたタンパク質の親和力精製、または、もう一つの分子(例:HIS−標識と反応可能な抗体)との相互作用を通じたタンパク質終末の同定を可能にする。ヒスチジン標識を持つ配位子およびヒスチジン標識を持つ推定上の結合相手は、コロイド状態を示すNTAおよび、またはNi(II)ともに定温放置される。その結果、2成分が相手を結合した場合には、目に見える網状組織が生じるはずである。それに代わる方法として、推定上の結合相手を、コロイド上に現れるダンタチオンに結合するGST溶解タンパク質にすることもできる。発明のアッセイにおいて結合種やその他の関連物を表面に付着するのに役立つリンカーには、親和力標識が含まれる。親和力標識は、生物学、生化学などの分野で幅広く利用されるよく知られた種である。
【0046】
図1について言えば、当発明の1配合法を略図的に図にしたものである。図1に示されたアーティクル20は、具体的には、表面にSAM22を含む電極である。SAM22が相対的に電気伝導性を持つことが望まれる実施例では、SAM22は、「分子ワイヤー」24を含む。一般的に、混合SAMは、アリキルなどの比較的伝導性のない種から形成され、ポリエチレングリコールなどの不特定の結合抑制物質で任意の終末を構成し、分子ワイヤーと混合されている。表面および、表面に自己集積的な単層分子を結合させる機能群の選択は、よく知られた専門技術である。この件およびその他の参考のために参考文献として本文に組み込まれた米国特許番号5,512,131並びに5,620,850、および、国際特許公示番号WO96/29629を参照のこと。
【0047】
本文中で「分子ワイヤー」という場合には、SAMで被膜した電極の作用を受ける溶液の能力を高めて電極と電気的に連絡できるようにするワイヤーを意味する。これには、伝導性分子、すなわち、上で少し触れ、以下でより完全に例示するように、溶液の電極への接触を許すことでSMA内で欠陥を引き起こす可能性のある分子が含まれる。追加可能な分子ワイヤーの終わりのないリストには、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオトレイトル、1,2−ベンゼンジチネル、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン−エタンチオール、および2−メルカプトエチルエーテルが含まれる。単層の伝導率は、伝導率を高める分子を電極面に添加することによっても高められる。伝導SAMは、1)硫黄終末を持つポリ(エチニルフェニル)鎖、2)ベンゼン環終末を持つアルキルチオール、3)DNA塩基終末を持つアルキルチオール、4)単層中に不完全に詰まった硫黄終末を持つすべての種、5)不特定の吸着を抑制するエチレングリコル単位またはメチル基の終末を持つ上記のプラス・マイナスどちらかのアルキルチオールスペーサー分子から構成されるが、それだけに限定はされるものではない。チオールを取り上げたのは、SAMの容易な形成において金に対する親和力を持つためである。米国特許番号5,620,820およびその他の参考文献由来の技術で知られているチオールの代わりに、他の分子を用いることもできる。分子ワイヤーは、容積またはその他の配位のために、一般的に、他の方法で相対的にしっかりと詰まったSAMの中では、SAMが表面を密閉して曝露された溶液に触れないようすることを妨げる欠陥を生む。分子ワイヤーは、しっかりと詰まった自己結積構造の崩壊を引き起こし、その結果、表面が曝露されている溶液が表面と電気的に連絡することを許す欠陥が明らかとなる。この状況において、溶液は、表面に接触するか、または、トンネル効果が生じるほど表面近くまで接近することによって、表面と電気的に連絡する。
【0048】
アーティクル26、具体的には磁気ビーズは、神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種を結合する能力を持つビーズに固定されたか、または、固定されやすい形になった多数の結合種とともに投入される。多数の結合種28も、実施例の図解では各々が多数の信号統一体34を運ぶように示されたデンドリマー32を含む信号統一体30に固定されたか、または、固定されやすい形で投入される。神経変性疾患の凝集形成および原繊維形成種である多数の標的分子36は、例えば、分子を含むと推測される生理的試料中に入れることによって導入可能である。結合種28は、凝集形成および原繊維形成種36に結合して、付着した結合種を持つビーズ26、付着した結合種を持つ信号統一体30、および、各々に固定された凝集体または原繊維形成種36を含む連結の存在を明らかにする。この配合は、電極の下にある磁石38の働きによって電極20の表面に引き寄せられ、さらに、信号統一体34が電子信号統一体である場合には、試料中の凝集形成および原繊維形成種36の存在を示す電極20付近への接近が検出される。
【0049】
特に、この実施例では、電子信号統一体34には、メタロセン、特にフェロセンなどの酸化還元活性を有する分子を用いることができる。信号統一体34としてのフェロセンの電極20付近への接近は、交流ボルタンメトリー(ACV)などの循環ボルタンメトリー技術を用いて測定される。
【0050】
結合種28は、信号統一体30および、またはビーズ26に最初から固定されている必要はないが、混合物は、種36、結束種28、信号統一体30、およびビーズ26を含むと推測される試料を含む形で投入され、その中で、結束種28は、まだ固定されていない場合には、信号統一体30および、またはビーズ26に固定されやすい形になる。この配合で、種28は、化学的および生物学的な結合相手である、信号統一体30またはビーズ26に固定された分子を含むことによって、信号統一体30および、またはビーズ26に固定されやすい形になることができる。ビーズ26が重合体ビーズの場合には、共有結合で結びついた様々な連結分子を含むことができる。同様に、統一体30も、このような方法でも変更可能である。上に載せたSAMの形成を促進する働きのある金のような物質の表面層に、ビーズ26も被膜可能であり、連結分子を帯びる、分子を形成するSAM(金表面の場合にはチオール)が、その上で形成される。ビーズ26上の連結分子または信号統一体30と、結合種28の間の連結は、金属結合標識、金属、キレートの連結や、相補性の核酸配列、ビオチン、ストレプトアビジンなどを含むことができる。金属結合標識、金属、キレートの連結(linkage)を用いた配列で、キレートは、ビーズ26上のSAM部分を形成することが可能で、共有結合で信号統一体30に付着する。キレートは金属を配位結合させるが、少なくとも金属上の2カ所の配位位置は空けたままにしておく。ポリアミノ酸標識などの金属結合標識は、結合種36に組み込むことが可能で、金属に結合する金属の配位結合によってビーズまたは信号統一体に標識を固定する能力を結合種36に与える。適したキレートの例としては、ニトロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリインデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または、1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンが含まれる。交替固定技術では、結合種36は、終端のシステインを帯びることができ、それによってビーズ26の金表面に固着する。
【0051】
様々な結合種36が選択可能である。結合種には、ペプチド、タンパク質、タンパク質由来の配列、コンゴレッドやチオフラビン−Tなどの小型分子、あるいは、凝集形成種やRNA、DNA、ヌクレオチド誘導体、または、凝集形成および原繊維形成種36に対する抗体から誘導した配列と相同の配列を用いることができる。
【0052】
様々な表面を用いて、キットまたは方式の成分を形成するか、または、発明の方法を実施することができる。ビーズ、コロイド、電極、ELISAプレート、または、その他の多ウェルプレートなどが使用可能である。
【0053】
多くの発明の技術においては、アッセイに導入されたすべての結合種の凝集形成への関与を防ぐことが望ましい。このような場合には、凝集結合性の、ただし、凝集形成耐性のある結合種を利用することができる。専門分野に通常の技能を有する人々であれば、抗体、または、タンパク質やペプチドの断片などのような凝集を結合するが形成しない種の中から、凝集形成に耐性を持つ結合種を容易に選択することができる。
【0054】
電極、粒子、ビーズなどを問わず、アーティクルの表面は、凝集形成および原繊維形成種の不特定結合を実質的に抑制する化学的機能を有することが望ましい。ある実施例では、これに、アッセイで望まれる機能提示のため、表面上でSAM形成を行なうことも可能であるが、この場合のSAMは、他の不特定結合抑制物質を含む混合SAMである。NSB抑制物質には、ポリエチレングリコール終末を持つSAM形成種が含まれる。
【0055】
コロイドを被膜するSAMは、コロイド・コロイドの自己凝集を抑制する。これには、帯電部分および、またはカルボキシル基終末を持つ種がSAM外へ出ることを防ぐ十分な量のSAM形成種を使用することができる。帯電部分および、またはカルボキシル基終末を持つ種は、量においてSAMの約10パーセント以上か、または、望ましくは、最低値でSAMの約30パーセントおよび約45パーセント存在する必要がある。
【0056】
次に、図2について言えば、図1に示されたようなアッセイに用いるのに適したもう一つの配合が示されているが、変更点がある。図2の配合では、種28に固定されたか、または、固定されやすい形になった信号統一体30ではなく、個々の信号統一体34に関係するか、関係して固定されやすい形になった種28が、コロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形になった各々の種28並びに信号統一体34を通じて固定されている。種28並びに信号統一体34は、専門分野で知られているか、または、本文中に記すような様々な化学的ないし生物学的な技術通じて、コロイド粒子40に固定されやすい形になることができる。金コロイド粒子40を使用することによって特に便利なのは、コロイド40の表面に結合する予定のチオールに対して信号統一体34並びに結合種28を付着させる過程である。SAMは、信号統一体34並びに結合種28を含むコロイド40の表面を被膜して形成することができる。図2の配合では、塩基26並びにコロイド40の各々に固定された結合種28の凝集体または原繊維形成種36に対する結合は、ビーズ26を電極20付近へ引き寄せる磁石38による活性化を受けて、信号統一体34がビーズ26に関係して固定されている理由から、次には、信号統一体34を電極20付近へ引き寄せる。電極20付近にある信号統一体34の電子的な検出は、ACVなどを用いる通常の手順である。
【0057】
図1並びに2に示されたアッセイは、様々な目的に使用することができる。凝集体または原繊維形成種36が試料中に存在するどうかの測定に使用する場合には、ビーズ26、信号統一体30(図1)、またはコロイド粒子40(図2)、および、ビーズ26、統一体30、またはコロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形の結合種28を含むキットを投入し、試料とともに溶液中に混合する。凝集体または原繊維形成種36が試料中に存在する場合には、混合と磁石38による活性化の後、電極20付近に信号統一体34が集まることによって分かる。凝集体または原繊維形成種36が存在しない場合には、信号統一体34は磁石による活性化を受けても電極付近には引き寄せられない。 薬品選別に利用される別の技術では、神経変性疾患の候補治療薬とともに、凝集体または原繊維形成種36が既アッセイ、試料中に加えられる。このような配合では、凝集体または原繊維形成種36を通して、異なる候補薬品が、結合、信号統一体30、コロイド粒子40、または、ビーズ26に対して異なる効果を現わすと思われる。この結合を抑制する候補薬品が、神経変性疾患の候補治療薬である。アッセイは、信号(電極20付近への信号統一体34の接近)が、試料中の凝集体または原繊維形成種36の濃度のみならず、試料中で生じる凝集および原繊維形成の程度とも比例または他の方法で関係するような方法を用いて確立される。薬品選別アッセイにおけるこのような配合では、信号は、特定の薬品候補が、神経変性疾患の特徴である凝集および原繊維形成を妨げて、試料中の凝集体または原繊維形成種36を凝集させないようにする程度に比例または関係すると思われる。
【0058】
薬品選別アッセイでは、しばしば、信号統一体34に関係したビーズ26の固定と、特定の溶液中における凝集体または原繊維形成種36の濃度および、または薬品候補の濃度との間の関係を量的に測定することが望まれる。このような配合では、結合種28が凝集体または原繊維形成種に転化されることなく、凝集体または原繊維形成種36を結合して、結合事象と信号の間の1対1の関係を維持することが望ましい。これは、異なる生物学的な種、例えば、ハムスターとマウスから別個に、または、標的に1対1で結合する同一種から誘導された配列などの中から、結合種28並びに凝集体または原繊維形成種36を選択することによって達成される。
【0059】
別の配合では、結合事象と信号の間の、すなわち、溶液中の種間の1対1関係を維持するよりも、アッセイ感度を最大化することの方が望まれる。このような配合では、結合種28を、ただ、神経変性的な凝集体または原繊維形成種36に結合するだけで、それ自体は凝集体または原繊維形成種ではない種から、他の結合種を凝集体または原繊維形成種に転化する能力を持つ凝集体または原繊維形成種に転化することが望まれる。このような配合では、図1並びに2に見るように、ほんの少量の凝集体または原繊維形成種36しか試料中に存在しない(例えば、ごく初期段階の神経変性疾患患者から得られた試料に特徴的に見られる10万分子ほどの少量であっても検出されなければならない。なぜなら、感染性プリオン分子はその数で十分疾患を引き起こす)場合には、溶液中に「増幅」種29が投入され、試料と混合される。このような配合では、試料中にごく少量の凝集体または原繊維形成種36しか存在しなくても、それによって増幅種29が凝集体または原繊維形成種へ転化された結果、凝集体または原繊維形成種は、アッセイで使用するために十分検出可能な濃度で存在するようになる。試料中に凝集体または原繊維形成種36が最初から存在しない場合には、その後増幅種29は転化を止めて、信号はほとんど、ないし、まったく、検出されなくなる。増幅種29は、試料中の凝集体または原繊維形成種36の濃度を検出可能なレベルまで増幅するのみならず、神経変性疾患の特徴である種36の塊状凝集を促進するが、それは、後には、何百、何千ものビーズ、コロイド、および、または、1マクロ構造内の何千もの凝集体または原繊維形成種に結合した信号統一体を含むマクロ構造を形成する。これらの構造は電子的に、さらに、しばしば、目で容易に検出できる。
【0060】
増幅種29は、上記にリストされた結合種28を結合する種のすべての中から選択可能であるが、特定のアッセイでは、結合種28を結合する種と同一であってはならない。例えば、特定のアッセイにおける結合種28は結合種ではあるが、凝集体または原繊維形成種への転化能力はない。一方、増幅種29は、凝集体または原繊維形成種の存在を明らかにするように転化可能である。後者の状況(結合種28は転化不能であるが、増幅種29は凝集体または原繊維形成種へ転化可能である)は、陽性反応が出ない(試料中に凝集体または原繊維形成種36がない)場合の粒子・粒子の凝集を防ぐのに役立つが、種36の増幅は、試料中に投入されると発生し、アッセイ感度を上げる。
【0061】
塊状凝集を引き起こすために十分な量(種36の検出に望まれるレベルに達してはいないが)の凝集体または原繊維形成種36を最初から含んでいる試料に、塊状凝集を引き起こすために増幅種29を使用することに合わせて、必ずしも、図1並びに2に記されたような電子信号統一体並びに磁気ビーズを使用する必要はない。このような配合では、コロイド粒子40と、コロイド粒子40に固定されたか、または、固定されやすい形になった結合種28、および、増幅結合種28を含むキットが投入される。このようなキットは、凝集体または原繊維形成種36を含むと推測される試料と混合することができる。非常に低いレベルであっても、種36は、増幅結合種28を凝集体または原繊維形成種に転化することが可能で、例えば、裸眼や、顕微鏡、光散乱、吸光度などで容易に検出可能な塊状凝集、並びに、マクロ構造の形成を引き起こす。この配合では、コロイド粒子40は、必ずしも、補助的な信号統一体を帯びる必要はない。
【0062】
図1並びに2に関する上記の配合では、表面固定ではない補助的な凝集形成および原繊維形成種36の不存在下で、(1)補助的な凝集体または原繊維形成種の不存在下における凝集と(2)補助的な凝集体または原繊維形成種の存在下における凝集の比較を可能にする時間枠の間、粒子・粒子曝露上の粒子凝集を抑制できる結合種28が選択され、ビーズ26並びにコロイド粒子40(コロイド粒子が使用されている場合)の表面濃度に投入される。すなわち、凝集体または原繊維形成種36が最初から試料中に存在していない場合には、コロイド粒子の凝集が生じるが、それは、ごくゆっくりとした限られた範囲に留まるものであるのに対して、種36が最初から存在している場合には、凝集はより迅速に、および、または、より広範囲に生じることになる。このようなアッセイでは、対照に試料自体は用いず、試料から得られた割合および、または凝集レベルを、対照値と比較することが可能である。
【0063】
当発明の方式並びにアッセイは、特定の神経変性疾患に関係する特定の1原繊維に限定されるものではない。実際、当発明は、このような疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト−ヤコブ病など)の宿主に関係する原繊維の検出を予定している。
【0064】
本発明は、疾病を検出し、そのような疾病の治療用薬剤の有効性を判定するための各種アッセイおよびアッセイの構成要素を提供する。アッセイには、サンプルまたは薬剤スクリーニングアッセイと検出電極との電子的相互作用が含まれることもあり、これに限定されるわけではないが、目視検査、密度走査、光透過、吸収、色変化および光散乱などを含む様々な手法で検出できる凝集が含まれることもある。凝集に関連して、凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な、または先在する凝集体または原繊維に包含可能な結合種は、コロイド(たとえば金コロイド)または他の粒子(たとえば蛍光ビード)に結合する。これらの粒子は、随意に遊離結合種(コロイドに結合していないが、コロイドが浮遊している流体中に浮遊または溶解している種)とともに、凝集体または原繊維(たとえば患者サンプル)を含む溶液と混合される。粒子(たとえばコロイド)が原繊維内に包含されるにつれ、粒子によって原繊維が目視検出できるようになる。コロイド上に固定化されたペプチドが相互に作用するのを阻害するために、荷電部分(COOH、PNA、荷電ペプチド)などの反発基をコロイド表面に固定できる。このことにより、固定ペプチドが相互作用せずに、原繊維と作用するために、診断アッセイにおける偽陽性の発生が減少する。
【0065】
また、グリコール単位などの柔軟性基はニトリロトリ酢酸(NTA)部分およびチオール部分の間に化学的に挿入できる。さらに自由度を導入すると、反応のエントロピーコストが上昇することによって、相互作用の速度が低下する。本発明は検出方法によって限定されるものではない。検出を行いやすくするために、本発明は各種手法を検討する。たとえば、染料などの信号伝達エンティティは、原繊維およびプラークを包含可能なペプチドの片方の末端に固定できる。信号修飾ペプチドを原繊維内に導入すると、ペプチドによって原繊維の表面で染料が濃縮され、「見える」ようになる。別の態様において、蛍光部分および消光部分をペプチドの両端に別々に結合させる。低濃度の溶液中では、これらは頻繁に相互作用しない;しかし、原繊維上で共局在化されると、消光反応が起こり、溶液の蛍光に変化が生じる。これらの変化は標準のELISAプレートリーダーを用いて分析できる。また別の態様において、2個の別個の化合物を、原繊維またはプラーク中に包含可能なペプチドのN−末端側に結合させる。該化合物は、片方の化合物が第2の化合物を改変し、それを活性化または検出可能になるように設計されている。該化学修飾は、修飾しない場合は化合物は発光しないが、修飾後には発光するように行う。統計的には、該反応は2個の化合物が原繊維またはプラーク上に共局在化している場合に、何桁倍も頻繁に発生する。別の態様において、たとえば、酸化還元活性分子に固定化された種を、電極に固定化された種あるいは、磁気ビードなどの、電極に引きつけられる補強可能な粒子に結合することを示す、電極表面付近における酸化還元活性分子の存在を検出可能な場合に、電子的相互作用は検出手法の役割を果たす。別の検出手法において、サンプルの画像をデジタル化し、次にパターン認識ソフトウェアを使用して、サンプルが凝集体を含むかどうかを判定する。たとえば、図8に示すサンプルはCCDカメラを用いてデジタル化可能であり、パターン認識を用いて、色、凝集体のサイズ、凝集体の空間分布、凝集体の相対量などを決定できる。多数の薬剤をスクリーニングする場合に、各種サンプルを個別および空間的に位置指定できることは特に有用である。本発明の手法は、多ウェルプレートの各種プレート(図8を参照)および/または複数の電極などの、個別および空間的に位置指定可能な領域を用いて実施できる。
【0066】
複数の電極は多ウェルプレートの個々のウェルなどに配置できる。
多数の薬剤をスクリーニングする場合に、各種サンプルを個別および空間的に位置指定できることは特に有用である。本発明の手法は、多ウェルプレートの各種プレート(図8を参照)および/または複数の電極などの、個別および空間的に位置指定可能な領域を用いて実施できる。 用いる態様とは無関係に、本発明のアッセイは凝集体または原繊維形成を阻害する化合物の薬剤ライブラリのスクリーニングを行うためにただちに改変できる。薬剤スクリーニングアッセイでは、結合種をコロイド(または他の粒子)に結合させて、凝集体形成または原繊維形成種および薬剤候補を含む溶液を用いて培養できる。該溶液は、ペプチドの原繊維内への包含を促進するために攪拌しても、しなくてもよい。結合種が凝集体または原繊維内に包含されるにつれ、あるいはその後凝集体または原繊維を形成する凝集体形成または原繊維形成種に包含されるにつれ、結合種は結合したコロイドを相互に接近させるため、コロイド溶液の色が変化する(たとえばピンク色の懸濁液から透明溶液中の暗青色の沈殿へ)。この変化は、明確に目視可能である。吸収分光測光法によると、569nmのピークはコロイドの凝集につれて低下する。
【0067】
1つの態様において、1μM β−アミロイド(Aβ)原繊維46「種」および金コロイドに結合したHis付加β−アミロイドペプチドを含む溶液と、原繊維を含まない対照溶液で、吸収分光測定を行う。どちらも主吸収ピークを569nmに示す。最初の走査の後、手段(たとえばキュベット、管、マイクロウェルなど)を含む反応物を撹拌し、次に再走査する。ペプチドがはるかに低い密度のコロイドに結合すると、コロイドは溶液から沈殿せず、色も変わらないが、原繊維を目視可能な粒子で修飾するよう作用する。暗赤色のクラスターが透明溶液中に現れ、はっきりと目視できる。溶液を60−100倍に拡大して観察すると、解像度の向上が得られる。分析は、(例示目的のみで)吸収分光測定または光散乱を用いて自動化可能であり、これによって大きな原繊維構造を小さな微粒子物質と見分けることができる。
【0068】
1つの態様において、本発明の方法は(神経変性疾病に特徴的な原繊維を形成する)ペプチドを使用して、信号伝達および/または補強部分によって改変し、疾病状態を示す変換または凝集ペプチドを潜在的に含む生物由来のサンプル(またはそのようなサンプルの生体外模造品)を用いて培養する。
【0069】
ペプチドプラーク、凝集体または原繊維の存在は、標識ペプチドの包含により検出される。本アッセイは以下に述べるような各種方法で、原繊維または凝集種を迅速に効率よく検出できる系において実施できる。 たとえば、ある要素は原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドを持つ磁気粒子でもよい。第2の要素は、原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドと、信号伝達部分として作用する、フェロセンなどの金属含有化合物の両者を与える、非相同SAMによって誘導体化されたコロイドの形である。原繊維またはプラーク形成に関与するペプチドは、ビードやコロイドに結合したような、他のペプチドの誤折畳および自発的凝集を触媒できる。ペプチドのこのような原繊維または変換種の存在は、磁気ビード上のペプチドと信号伝達コロイド上のペプチドの会合を、それらが原繊維または凝集体に同時に含まれていることによって検出して、サンプル中で検出できる。
【0070】
このような凝集が起きる培養期間の後、いまや磁気粒子はもちろん信号伝達コロイドを含む錯体を引き付ける電磁場を印加することができる。このような系において磁気粒子は、大容量のサンプルによって生体認識粒子を混合し、次に検出のために電極に標識された標的を迅速に補充する方法を提供する。振動ポテンシャルを電極に印加すると、包含金属に特徴的な酸化ポテンシャルにおける電流ピークによって、電極に凝集が存在することが示され、結果として凝集ペプチドが存在することが示される。さらに、凝集速度および/または凝集物質量を上昇させるために、遊離した変換されていないペプチドを測定溶液に加えて、凝集増幅因子として作用させることもできる。凝集体形成も、周波数パルス、温度および電場ならびに磁場の変化を用いることを含めて、培養および測定条件を変化させることによって加速できる。
【0071】
錯体は各種手法を用いて検出可能であるが、好ましい検出方法は交流ボルタメトリー(ACV)である。この検出方法は、高次調和分析などの追加の分析手法を用いて補完できる。
【0072】
これらの錯体は、表面プラズモン共鳴(SPR)などの光学手段によっても検出可能である。後者の手法を使用する場合、検出表面に錯体を補充することによって、光学特性に大きな変化が生じる。
【0073】
このような疾病関連ペプチドの凝集状態は、重合種または凝集体(結合種を凝集体または原繊維形成種に随意に変換できる凝集体または原繊維形成種)の導入時に、目視確認できるようにしたり、光散乱検出において光を散乱できるようにしたり、フロー検出系で粘度を変化させたり、電子信号伝達エンティティが凝集体の一部を形成する成分に結合している場合は電子的に検出したりすることによって、検出可能な特性が元の非凝集状態から変化する凝集体を鎖が形成するように、潜在的に病原性のペプチド(結合種あるいは凝集体または原繊維形成種)をリンカーの一端に結合させることによっても検出できる。あるいは、正常な形の病原性ペプチドを機能化ハイドロゲルまたはゲル状物質の規則「正孔」に結合させることもできる。種またはタンパク質凝集体を導入すると、ポリマー内に与えられた可溶性ペプチドまたは凝集体の変換が起こり、光学特性が変化するため、これらの凝集体が目視検出できるようになる。
【0074】
または、磁気粒子は金コートするか、SAMによって誘導体化することができる。SAMは、ペプチド−チオールの直接付加によって、またはSAMに含まれるDNA−チオールに結合するDNA−ペプチド、あるいはSAM中に包含されるNTA−チオールに結合するヒスチジン付加ペプチドなどのように間接的に、望ましいペプチドを与える。本明細書で述べるコロイドは金属原子のクラスタであり、好ましい金属は金である。金クラスタはわずか20個の金原子から作成できるため、コロイドは直径わずか数ナノメーターの考えられる最小の粒子内に含まれる。このことは、これらの比較的小規模な原繊維形成ペプチドおよび金属含有化合物を原繊維およびプラーク内に包含させ、浮遊状態で維持する場合に著しく有利である。
【0075】
該磁気粒子はヒスチジン付加ペプチドおよびペプチドフラグメントを捕捉するために、金でコートし、NTAチオールを含むSAMで誘導体化することもできる。SAMは、またペプチドに共有結合している相補DNA配列に結合しているDNA−チオールによって誘導体化することもできる。立体障害が正常および異常なプリオンペプチド間の相互作用に干渉しないように、ペプチドおよび粒子またはコロイド、あるいはペプチドを粒子またはコロイドに結合させる認識基の間にリンカーを挿入することもできる。
【0076】
このリンカーまたはスペーサーは、グリコールまたはアミノ酸を含む、各種の物質より構成できる。スペーサーの長さは、凝集体に近接させて疎水性環境を促進すると、電子活性信号検出物質の酸化ポテンシャルの変化を促すために変化させることができる。
【0077】
磁気粒子はさらに寸法の大きい第2のコロイドで置換することも可能であり、これらの大きなコロイドは電極表面に電磁気的に吸着される。しかしこれらは、信号伝達部分に存在する付随コロイドによって修飾された場合のみ信号伝達を行う。あるいは、どちらかのコロイドを、電磁力が加えられた場合にその移動度を変化させる荷電部分によって修飾することもできる。すべてのコロイドは同じサイズでもよく、そのとき、電磁力を用いて凝集したコロイドを個々の粒子から分離することもできる。別の変形では、第1の粒子は培養中に機械的に混合可能なさらに重い粒子またはコロイドであり、次に測定を行う際に沈殿によって電極表面に蓄積される。
【0078】
これらの手法は1粒子系でも使用できる。たとえば、磁気ビードは病原性ペプチドおよび遷移金属錯体を供与できる。溶液中の病原性ペプチドがビード上のペプチドと相互作用して凝集体を形成すると、遷移金属の局所的環境は、より高いポテンシャルで酸化するように変化する。病原性凝集体または原繊維の存在は、この系を電気化学的に分析すると、遷移金属の酸化ポテンシャルの変化として、またはより低いポテンシャルでの第2酸化ピークの出現として検出される。別の1粒子系は、遷移金属錯体を含む溶液中に正常なペプチドおよび増幅ペプチドを出現させる磁気粒子を含む。これらの遷移金属は、導電性または非導電性のデンドリマーまたはポリマーに結合させることができる。試験サンプル中の病原性ペプチドが凝集体生成を促進するため、金属含有化合物は、磁気粒子に結合したペプチドと絡み合い、補充および電子的に検出可能な電子活性および磁気錯体が生じる。
【0079】
本アッセイ系はビードを使わずに構築することもできる。金属含有化合物またはペプチド−チオールを含むペプチドおよび遷移金属錯体チオールは、電極上のSAMに固定化したり、包含させることができる。増幅ペプチドは測定溶液に加えても、加えなくてもよい。試験サンプルが病原性または感染性ペプチドを含む場合は、表面固定化ペプチドに結合する。
【0080】
このことは、金属錯体の局所的環境を変化させ、その酸化ポテンシャルを変化させる。測定溶液中の増幅ペプチドは、デンドリマーまたはポリマーに結合する金属錯体を含む。試験サンプルが病原性ペプチドを含む場合は、凝集種は金属化ペプチドおよび表面固定化ペプチドをブリッジするよう作用する。この相互作用によって、信号伝達部分が電極表面付近に配置され、電子信号は電極に伝達される。同様に、SAMに包含されたペプチドは、チオールによる直接結合によって、またはHis付加ペプチドを予備形成NTA−SAMに結合することによって電極上に生成し、病原性ペプチドと、ペプチドとフェロセンなどの信号伝達部分の両方を与えるコロイドをさらに含むサンプル溶液中に導入できる。これらを再度、原繊維/凝集体に組み込むと、信号伝達部分(この場合はコロイド)が電極に近づけられ、信号が伝達される。反対に、NTA基によって誘導体化されたペプチドは、ヒスチジン6個分の長さのペプチドとの相互作用によって、表面に結合することができる。増幅ペプチドは、測定溶液に加えても、加えなくてもよい。
【0081】
これらの手法は、これらの神経変性疾病を治療する潜在的な薬剤候補のスクリーニング用に改変することもできる。詳細には、記載した変形すべてにおいて、薬剤候補を溶液に添加して、凝集体形成を阻害するその能力を、用量に変換される時間および濃度の関数として測定することができる。信号損失や電流ピークの位置の変化などの各種パラメータは、陽性の、したがって治療上有用な効果を示すことができる。さらに、薬剤候補を金属含有化合物を有するビードに結合させると、NTA−チオールがあってもなくてもSAMsによってコートされたコロイドとなり、ペプチドが結合したコロイドに結合したそれらの金属含有化合物とは異なるポテンシャルで酸化を行う。次に異なる酸化ピークを探す。信号伝達金属含有化合物は、ペプチドが結合したコロイドから除去することも可能であり、薬剤含有コロイドによる単一の電流ピークも測定できる。また、薬剤候補をマイクロアレイに加え、分析のためにアレイ全体をSAM修飾電極蓋上に反転させて載せる、多重薬剤スクリーニング装置を設計することもできる。
【0082】
信号検出化合物が薬剤候補を含むコロイド上にある系では、競合阻害アッセイを実施することもできる。
この系では、金属含有信号検出化合物を含まない磁気ビードがペプチドを有する。溶液中の遊離ペプチドが、これらの磁気ビードに結合したペプチドと相互作用可能である。推定薬品候補は金属含有信号検出化合物を含むコロイドに配置される。コロイド上の金属含有信号検出化合物は、凝集プロセスを中断し、磁気ビード上のペプチドと直接相互作用すると、信号伝達を行う。薬剤候補が凝集体と相互作用した場合にも信号が得られる。後者の情報は有用であるが、薬剤の作用箇所を判定するために、その後のマルチステップアッセイが必要な場合が多い。
薬剤候補は、予備形成原繊維、電子信号伝達コロイドに結合したペプチドおよび磁気ビードに結合したペプチドを含む溶液に添加される。培養時間の後、磁気ビードは検出電極に引き付けられ、ACVによって分析される。信号の損失は、薬剤候補が原繊維形成を阻害したことを示す。
【0083】
準安定性プロト原繊維は選択的に形成され、サイズ排除クロマトグラフィーによって均質になるまで精製され、その後、薬剤スクリーニングの標的原繊維使用することができる。同様に、パーキンソン病に特徴的な原繊維中に包含されるタンパク質であるアルファ−シヌクレインは、His付加され、電子信号伝達コロイドおよび磁気粒子に結合されることが可能である。これらの粒子は、溶液中またはパーキンソン病患者のサンプルによるシヌクレインによって培養された後、電子分析用の検出電極に磁気的に引き付けられる。
【0084】
このような分析では、表面(または粒子状実体の表面)に結合するペプチドまたはタンパク質が、興味のある相互作用が発生するように、表面から離れて(表面から隔離されて)存在する場合に有用である。粒子または表面は、アッセイに必要な結合プロセスを立体的に干渉できる。柔軟性のリンカーはタンパク質またはペプチドおよびHisタグの間に挿入できる。あるいは、NTA基が結合する炭素鎖の長さは変更可能であり、多数のリンカー基をNTA基および炭素鎖HS−(R)n−(X)m−NTAの間に挿入できる。ここでSは硫黄、RはCH2などのSAMに包含される任意の分子、Xはエチレングリコールなどのリンカー単位、NTAはニトリロトリ酢酸である。電磁場または機械的撹拌によって溶液にパルスを与えることは、包含プロセスの促進に用いられる。 以前述べたように、本発明のアッセイは電子相互作用に限定されるものではない。ある実施態様において、方法は検出表面を使用しない。むしろ該方法は、これに限定されるわけではないが、目視検査、密度走査、光伝送、吸収、色変化および/または光散乱を含む各種手法によって検出可能な凝集を含む。
【0085】
予備形成原繊維に包含可能なペプチドは、コロイド(たとえば金コロイド)または他の粒子(たとえば蛍光ビード)に結合される。これらのペプチド供給粒子は遊離ペプチドとともに、原繊維(たとえば患者サンプル)を含む溶液と混合される。粒子(たとえばコロイド)が原繊維内に包含されるにつれ、原繊維が視覚的に検出可能となる。
【0086】
本発明は、本態様がアッセイとして形式化される詳細な方法に限定されるものではないが、都合のよい手法は96ウェルELISAプレート形式である。反応のために、以下の試薬をリン酸緩衝液(10mMリン酸、pH7.4、100mM NaCl)中のELISAプレートに添加し、以下の濃度を都合よく使用することができる:58.2μMまたは14μMのN−末端(His)6タグを持つ合成Aβ(1−40)ペプチド、金コロイドを与える30μL NTA/Ni++(下記に示す調製)および0.6μM Aβアミロイド原繊維「種」。次にELISAプレートを37℃で撹拌せずに、望ましい時間だけ(たとえば30分〜2時間)培養する。1時間後に、58.2μM(His)6−Aβペプチドを含むウェルで暗赤色の凝集体構造がはっきりと見られた。望ましい時間の後(たとえば1〜4.5時間)、プレートを短時間撹拌してから、目視検査できる。凝集体構造は、(His)6−AβペプチドおよびAβ原繊維「種」の両方を含むすべてのウェルではっきりと見られた。これらの凝集体、原繊維状の構造体は、より低い速度であるが、最大50%のウシ胎仔血清(FBS)を含む溶液中でも形成可能である。FBS濃度を連続希釈して、一定濃度の原繊維種および(His)6−Aβペプチドを用いて培養すると、目視可能な原繊維形成速度はFBS濃度の低下とともに上昇し、このことは、該アッセイがAβ原繊維に固有のものであり、胎仔血清中に存在する原繊維種を認識しないことを示している。原繊維または(His)6−Aβペプチドのどちらかを含むウェルは、目視可能な凝集体を形成しない。負の対照として、無関係なHis付加ペプチドをコロイドおよび種原繊維を用いて培養できる。このような対照溶液は、目視可能な原繊維凝集体を生成しない。
【0087】
上述の方法を使用すると、10ピコモルという低い濃度の原繊維種濃度は、コロイドおよびAβペプチドを含む溶液から目視識別可能であったが、種原繊維を含んでいなかった。
【0088】
本明細書で述べる比色手法は、アッセイプロセスを阻害しない。
1つの流体混合物を調製すると、移転または他の撹拌を用いずに、凝集体の生成またはその欠如を判定するために観察できる。あるいは特定のアッセイに、撹拌または別の形式のエネルギーを与えることができる。たとえば、ある例においては、特定の系にエネルギーを導入することが凝集形成に影響を与えるかどうかを判定することが望ましい。エネルギーは、かき混ぜ、振盪、振動、超音波処理または他の機械的撹拌などの撹拌、赤外線、紫外線または可視光などの電磁気放射への曝露、無線周波数エネルギー、マイクロ波放射またはスペクトルの任意の部分での実質的に任意の電磁放射への曝露の形で導入できる。ある例において、系のエネルギーへの曝露は、凝集の速度に影響を与え、このことは神経変性疾病プロセスに対するエネルギーの潜在的な影響を示す。
【0089】
本発明のこれらおよび他の態様の機能および利点は、以下の例によりさらに十分に理解されるであろう。以下の例は本発明の恩恵を例示する目的であるが、本発明の全範囲を例証するものではない。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明のある好ましい態様を例示するものであり、その範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0091】
以下に続く実験開示において、以下の省略形を適用する:eq(当量);μ(ミクロン);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);mM(ミリモル濃度);N(ノルマル);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);nM(ナノモル濃度);℃(摂氏度);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);U(単位);d(日数)。
【0092】
実施例1:原繊維の分光光度法による検出
本実施例において、14μM His−Aβ(1−40)ペプチドを含む100μLの分割量および30μLのNTA−チオールコロイドを、1μM Aβ原繊維種、50pM Aβ原繊維種または原繊維なしで培養した。混合物を37℃にて30分間培養した後、キュベットに移し、日立U−2000分光光度計に配置した。各分割量について、569nmでの吸収を記録してから、キュベットを取り外し、ペプチドの原繊維内への包含を促進するために硬い表面に激しく叩きつけ、10分間放置した後、569nmで再度走査した。
【0093】
我々は原繊維種を含む溶液で、(原繊維が溶液より沈殿したため)569における吸収が急激に低下したのを観察したが、ペプチドのみを含む溶液における吸収は安定したままであった(図3)。グラフの棒の高さは、2回目の測定値に対する最初の測定値の比である。1)1μM Aβ原繊維種(斜線棒)および原繊維なし(塗りつぶし棒)および2)50μM Aβ原繊維種(斜線棒)および原繊維なし(塗りつぶし棒)。
【0094】
実施例2:コロイドの沈殿
本実施例において、1.5mlの市販金コロイド(AmershamのAuro Dye)を微量遠心管内に入れ、高で10分間遠心分離してペレットにした。ペレットを100μLの貯蔵緩衝液(クエン酸ナトリウムおよびtween−20)中で再懸濁させた。40μM ニトリロトリ酢酸(NTA)−チオール、100μM フェロセン−チオールおよび500μM カルボキシ−末端チオールを含む100μLのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を加えた(フェロセン信号実体は随意である)。チオール溶液で3時間培養した後、コロイドをペレットにし、上澄は廃棄した。ペレットはその後、100μLの400μM トリ−エチレングリコール末端チオールDMF溶液中で55℃にて2分間、37℃にて2分間、55℃にて1分間、37℃にて2分間、室温にて10分間培養した。次にコロイドをペレットにし、100μLの100mM NaClリン酸緩衝液を加えた。さらにコロイドを180μM NiSO4のコロイド貯蔵緩衝液を用いて、1:1に希釈した。
【0095】
実施例3:SAMコード化電極の形成
以下に示す実施例の一部において、該実施例はSAM形成、コラーゲンコーティング、細胞増殖、コロイド形成およびを含む交流ボルタメトリー(ACV)を含む。SAM形成の場合、ガラス製の顕微鏡スライドはTi層、次いでAu層によってスパッタリングされる。各電極は、10% メチル末端チオール(HS−(CH2)15CH3)、40% トリ−エチレングリコール末端チオール、HS(CH2)11(CH2CH2)3OH、(式)および50% ポリ(エチニルフェニル)チオール(C16H10S)を含む300μLのDMF溶液によって室温にて0.5時間培養した。次に2mlの400μM トリ−エチレングリコール末端チオールを、チップを含むシンチレーションバイアルに加え、該バイアルに対し、水浴中で次のような熱サイクルを行った:55℃で2分間;37℃で2分間;55℃で1分間;37℃で2分間、次に室温で10分間。次いで電極をEtOH中に漬け、さらに滅菌PBSですすいだ。
【0096】
実施例4:非常に高感度の凝集体検出を示すアッセイ
我々は、色の変化および視覚的な原繊維形成を時間の関数として監視することによって、事前に形成された凝集体、神経変性疾病の特徴を高感度に検出することができる。
【0097】
金コロイドは、実施例2に記載したようにヒスチジン付加タンパク質を捕捉するために、ニトリロトリ−酢酸/ニッケル自己凝集単層(NTA−Ni−SAMs)によって誘導体化される。コロイドは、最近隣のペプチドの凝集を抑制するために低密度のNTA−Ni(1000:Mのチオール総濃度中の40μM NTA−チオール)によってコーティングし、通常のコロイド粒子に固定化した。30μLの誘導体化コロイドの分割量を96ウェルプレートに配置した。ヒスチジン付加βアミロイドペプチド(アミノ酸1−40)はpH7.4のリン酸緩衝液に溶解させ、次に、100μLの体積における最終濃度が14μMになるようにコロイド溶液に添加した。合成のヒスチジンが付加していないμ−アミロイドペプチドより作成された予備形成の原繊維は連続希釈し、原繊維の最終濃度が330nM〜50pMの範囲になるように溶液に加えた。各アッセイ(各ウェル)について、原繊維を加えない、負の対照アッセイを実施した(図4)。溶液は37℃で1時間培養し、溶液を攪拌しないように注意した。原繊維を含む溶液の色は、金コロイドの特徴的なピンク色から濃い紫/灰色に変化した。ヒスチジン結合μーアミロイド(1−40)を含むが予備形成原繊維を含まない溶液は、原繊維を加えた溶液も低い速度でより薄い紫色に変化した。ウェルの中心の、予備形成原繊維を含む黒ずんだ塊は、肉眼ではっきりと見えた(図5)。解剖顕微鏡によって40倍に拡大して観察すると、大きな紫色の網状組織が見られた。これらの凝集体はプレートの底に沈殿しているのではなく、明らかに液体培地中に浮遊していた。負の対照のウェルは粒状の沈殿物を示したが、大きな凝集体はなかった。目視検査によって、予備形成原繊維を含むウェルと含まないウェルを、50ピコモルの添加原繊維濃度まで区別することができた(図6)。結果は、倒立顕微鏡に取り付けたニコン製カメラ(ASA800フィルム)を用いて40倍で撮影した写真によって記録した。
【0098】
実施例5:コロイドを用いた描出
ペプチドおよび原繊維の濃度が高くなると、大きなコロイド修飾原繊維構造が見られる。40μM NTA−Ni SAMを含むコロイドは実施例2に記載したように調製した。コロイドの30μLの分割量を96ウェルプレートに加えた。100μLの最終体積中で20μMの最終濃度となるように、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)を加えた。100μMの最終体積中で最終濃度が20μMとなるように、予備形成β−アミロイド原繊維を加えた。
【0099】
最終濃度が1μMとなるように、予備形成β−アミロイド原繊維を加えた。サンプルは37℃で20分間培養し、次に凝集を加速するために3回激しく叩きつけた。
【0100】
37℃で1時間培養を続けた後、大きなコロイド−原繊維構造が肉眼ではっきりと見られた(図7A)。コロイドが原繊維の構造に集塊するにつれて、周囲の溶液は透明になった(ピンク色なし)。負の対照では、コロイドに固着する結合種の代わりに、無関係のタンパク質が固着した。結果を図7Bに示す。
【0101】
実施例6:薬剤のスクリーニング
我々はヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドが原繊維を形成する条件を決定した。Sigma Aldrich RBI薬剤ライブラリによる薬剤候補を各アッセイ溶液に別々に加え、アルツハイマー病の特徴である原繊維形成を阻害する薬剤候補を判定した。結果を描出する方法として、(以前述べた)NTA−Ni−SAMsを含むコロイドを加えた。
【0102】
96ウェルプレートの各ウェルに、各薬剤の最終濃度が100〜200μMとなるように以下を加えた:30μLのNTA−SAMを含むコロイド、65μLの10.7μM ヒスチジン付加βーアミロイド(1−40)ペプチドの溶液(最終濃度6.6μM)および5μLの薬剤候補。溶液を含むプレートを37℃で数時間培養した。この時間内に、プレートを目視検査し、経過を定期的に記録するために写真を撮影した。
結果:
色の変化(ピンクから青)によって、原繊維形成を阻害する薬剤が予測された。培養時間約2時間で、陽の対照を含む、すなわち薬剤を含まないウェルおよび負の対照を含む、すなわち薬剤を添加したがヒスチジン付加ペプチドがβ−アミロイドではなく、GSTであるウェルと、溶液の色を比較することによって、原繊維形成を阻害した薬剤を含むウェルを肉眼ではっきりと見ることができた。
【0103】
ウェル内で原繊維に集塊したコロイドによっても、ウェル内に目で見える凝集体がないことに注目すれば、原繊維形成を阻害する薬剤を含むウェルを識別できる。40倍に拡大すると、異なるウェルでの薬剤の作用を区別する能力が向上した。
【0104】
図8は37℃で72時間培養した後の、小分子ライブラリ、ラック1の写真のコピーである。プレートの最右端(第12列)のウェルは、ピンクのままであった負の対照ウェルであり、そこではHis付加GSTがβ−アミロイドペプチドの代わりとなっていた。
【0105】
左隣の列、列番号11は、His付加β−アミロイドを含み、薬剤候補を含まない陽の対照であった。ウェルG9は明るいピンクであったが、そのウェル内の化合物が原繊維形成を阻害したことを示す。ウェルA4、B5、C5、D5、F5、F9、G5およびH10がすべて、ただちに目視確認可能な凝集体形成を示していることに注意する。
【0106】
生理条件下で時間の関数として色および/または凝集体形成を監視することは、薬剤の有効性および薬剤の安定性の指標である。
実施例7:溶液中で遊離したペプチドの増幅への使用
NTA−Ni−SAMsを示すコロイドは、実施例2に記載したように調製した;1000μMのチオール総濃度において40μM NTA−チオールを使用した。ヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドを加えて、100μLの最終体積において最終濃度が58.2μMとなるようにした。負の対照として、無関係のヒスチジン付加ペプチド、GSTをβ−アミロイドペプチドの代わりにコロイド溶液に加えた。溶液は37℃で培養した。15分以内に大きな凝集体が溶液内ではっきり見えるようになり、それにはヒスチジン付加β−アミロイドペプチドが含まれていた。対照溶液中には構造物が見られなかった。β−アミロイドペプチドを含む溶液は灰色/紫に変化したが、負の対照溶液はピンクのままであった。これらの結果は、溶液中の遊離β−アミロイドペプチドが凝集し、凝集過程を増幅または加速するよう作用したという考えに矛盾しない。
【0107】
実施例8:電子的検出
β−アミロイド原繊維を電子的に検出する我々の戦略は最初に、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)を、μ−アミロイド1−42ペプチドから作成した予備形成原繊維に含めることであった。電子信号伝達のために、NTAおよびフェロセン誘導体を含むコロイドを、少なくとも一部のHis付加βアミロイドペプチドがコロイド粒子に付加するように加えた。我々の目的は次に、コロイド修飾原繊維に結合する結合リガンドを押しのけて進み、それらを作用電極に磁気的に補充する磁気ビードを加えることであった。
【0108】
NTA−SAMsを持つコロイドは、実施例2に記載したように調製した(標準のフェロセン−チオールの代わりに、100μM オクタメチルフェロセン−チオールを使用したことを除く)。30μLのコロイドを各アッセイ溶液に加えた。ペプチド添加後に溶液をピペットで取らずに(このことは予備形成原繊維がない場合にペプチドの原繊維形成を促進する)、交流ボルタメトリー(ACV)分析を促進するために、アッセイ溶液を、実施例3に記載したように、静止マグネット上で自己凝集単層によって誘導体化した金コートガラススライド上にクランプされた容量1mlのシリコンガスケット中で混合した。
【0109】
ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(アミノ酸1−40)を、100μLの体積において最終濃度が14μMとなるように添加した。β−アミロイドペプチド(1−42)より成る予備形成原繊維は、最終濃度が15μMとなるように加えた。負の対照溶液は以下のとおりであった:(1)コロイド、ヒスチジン付加GSTと原繊維を含むが、His付加β−アミロイドペプチド(1−40)を含まない;(2)コロイド、His付加β−アミロイドペプチド(1−40)を含むが、原繊維を含まない;および(3)陽の結果を与えることが予想される成分すべて、ただしHis付加ペプチドが原繊維内に含まれる以前の、時間0にて測定。溶液は37℃にて20分間培養した。タンパク質Aによって誘導体化した(抗体のFc部分を結合する)市販の磁気ビード(Bang LabsおよびProzymeによる)はその結合性能の1/10まで、β−アミロイドペプチド1−42を認識するが、1−40は認識しない抗体(Biosource Int.より購入)に予備結合された。20μLの抗体表示磁気ビードを、ACV分析(10Hz;25mV過電位;Pt補助を備えたAg/AgCl参照電極;作用電極として作用するSAMコート金チップ)の直前に各溶液に注入した。
【0110】
結果:
ヒスチジン付加β−アミロイドペプチド(1−40)、NTA−Niおよびフェロセンを持つコロイド、さらに予備形成原繊維を含む溶液は、37℃にて20分間培養すると、コロイド粒子に結合したフェロセン誘導体(オクタメチルフェロセン)特徴的な酸化ポテンシャル(220mV)において2.0μAの電流ピークが生じた。図9の線Aを参照。 ヒスチジン付加ペプチドが原繊維に含有される直前に測定した同一の溶液は、図9の線Bに示すように、220mVにおいて約0.17μAのわずかなピークを生成した。
【0111】
予備形成原繊維を除くすべての成分を含む、別の負の対照溶液は、0.022μAのわずかなピークを生成した(図9、線C)。
予備形成原繊維を含むが、ヒスチジン付加β−アミロイドペプチドの代わりにヒスチジン付加GSTタンパク質がコロイドに結合している第3の負の対照溶液は、電流ピークを生成しなかった(図9、線D)。
【0112】
実施例9:光散乱分析
溶液中の粒子の平均直径を定量化する市販の光散乱装置を用いて、NTA−Ni−SAMコートコロイドおよびヒスチジン付加β−アミロイド(1−40)ペプチドを含む溶液を、予備形成原繊維のある場合とない場合に分析した。
【0113】
コロイドは実施例2に記載したように調製し、100μLの最終体積において最終濃度が10.2μMとなるようにヒスチジン付加β−アミロイドを加えた。予備形成原繊維は、最終濃度が2μMとなるように加えた。平均粒子直径の基線測定値は、いずれの成分もβ−アミロイド原繊維がない場合に凝集しないようにするために、試薬についてのみ得た。
【0114】
基線測定値:
1. 40μM NTA−SAM誘導体化コロイドのみ;直径=14.87nm
2. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;直径=14.96nm
3. 1μMβ−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合したコロイド(表面固定化His付加Aβ1−40を除く);直径=15.93nm;t=0
実験:
1. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド、1μM β−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合、t=0で測定 15.5nm
2. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド、1μM β−アミロイドペプチド(1−42)予備形成原繊維と混合、高輝度ランプのもとで、t=1.5時間で測定:直径=10,000nm超、図10を参照。
【0115】
負の対照:
3. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;予備形成原繊維の代わりに緩衝液を加えた;t=0で測定;直径=14.96nm。
【0116】
4. ヒスチジン付加Aβ1−40ペプチドを示すコロイド;予備形成原繊維の代わりに緩衝液を加えた;t=1.5で測定;直径=579.7nm、図11を参照。
【0117】
これらの結果は、試料における凝集体の量が、生じたマクロ構造体の直径を測定することによって定量化できることを示している。同時に96ウェルプレート形式の溶液の平均粒子直径も測定する光散乱装置は、市販されている。現在までに、光散乱を使用してペプチドモノマーとβ−アミロイド凝集体を区別しようとする試みは、両方の種の直径が非常に小さく、さらに低い検出限界では(β−アミロイド原繊維がおよそ数百ナノメータである)、モノマーと凝集体の差も小さいために、成功する場合は限られていた。
【0118】
しかし発明者らは、リガンドを持つコロイドが、より小さく、検出しにくい原繊維を相互に結合させ、それらを検出しやすいマクロ構造体にまとめるように作用することを示している。
【0119】
実施例10:特異性
誘導体化コロイドによって示されるβ−アミロイドペプチドが、通常の診断サンプル中に存在する原繊維種に非特異的に含まれるかどうかを判定するために、ウシ胎仔血清(FBS)中で目視アッセイを実施した(FBSは、他の原繊維種を含め、CSFの100倍以上の無関係なタンパク質を含む)。ヒスチジン付加Aβ1−40を示す40μM NTA−SAMコロイドの異なるFBS濃度の溶液30μlに、1μM Aβ 1−42原繊維を加えた。誘導体化コロイドの原繊維への凝集はFBS濃度の上昇とともに増加せず、アッセイは他のタンパク質や原繊維種によって生じるアーティファクトが起こりにくいことを示している。コロイドに固定化されたHis付加Aβ1−40を含むが、予備形成Aβ原繊維を含まない負の対照溶液は、ピンクのままであった;40または100倍拡大では構造体は見られなかった。
【0120】
実施例11:CSFサンプルにおけるアルツハイマー病診断への可視原繊維構の範囲の利用
CSFサンプルを使用した盲検(サンプルの片方、両方がアルツハイマー病患者によるものか、あるい両方ともアルツハイマー病患者によるものでないことを作業者に知らせていない)において、実施例2に記載したように調製した、40μM NTA−SAMsを含むコロイドの30μMの分割量を96ウェルプレートのウェルに加えた。His付加Aβ(1−40)ペプチドは最終濃度が3.75μMとなるように加えた。2人のアルツハイマー病患者によるCSFの分割量をコロイド/ペプチド溶液に加えた。加えたCSFの量は、最終CSF濃度が12.5%または25%となるように変化させた。試験を行った各CSFサンプルについて、条件を次のように変化させた:(1)サンプル溶液は予備形成Aβ原繊維(1μM;1−42)を用いてドープまたは「播種」した;(2)溶液は予備形成Aβ原繊維(0.1μM;1−42)によって播種した;(3)溶液には何も播種しなかった;(4)負の対照として、プローブHis−Aβをコロイドに固定化しなかった。37℃にて3時間後、患者#101によるCSFを含む原繊維のマクロ構造が、負の対照を除くすべての試験溶液で見られた。原繊維構造の範囲は、CSF濃度の上昇とともに広がった。同様に、種濃度の上昇とともに構造形成も増大した。他のCSF含有溶液はピンクから紫に変化したが、40倍拡大では減繊維構造の形成は見られなかった。対照溶液(コロイドへの固定化His−Aβなし)はピンクのままであり、構造形成の徴候は一切見られなかった。
【0121】
一晩(合計10時間)培養した後、患者#109によるCSFを含む原繊維も溶液中ではっきり見えたが、それらは最初の患者によるものよる原繊維よりもまだはるかに小規模なものであった。患者1と同様に、構造形成の範囲は、CSF濃度およびβ−アミロイド種濃度の上昇とともに拡大した。サンプル記録の検査によって、CSFサンプルは両方ともアルツハイマー患者によるものであり、診断してからの時間およびBlessed Dementiaスケールのスコアに基づいて、最初の患者(101)の疾病の進行は第2の患者の約2倍であることが確認された。患者101のBlessed Dementiaスケールのスコアは21であったが、患者109のスコアは12であった。患者101のβ−アミロイド濃度は、8mgs/mlにて測定したが、#109は4.6mgs/mlであった。
【0122】
実施例12:CJD検出および診断
この仮説的な実施例では、少なくともHis付加ペプチドの一部がコロイドに結合するように、可溶形(未変換形)のHis付加PrPタンパク質を含む溶液にNTA−Niを示すコロイドを加える。伝染性PrPを含むと思われるサンプルを加える。伝染性PrPは、コロイド上の、および溶液中で遊離している正常なPrPタンパク質を、それらが他のPrPタンパク質を変換できるように変換する(アルファらせんから、正常なPrPとは異なり、プロテイナーゼK消化に対して耐性である、ひだ付きベータシートへのラジカル立体配座変化を含む凝集を引き起こす)。この種の信号増幅、すなわち変換増幅は、比色(ピンクから紫)変化としてただちに検出可能な塊状の凝集と、肉眼または光散乱装置によって検出可能である大規模なタンパク質凝集体の生成を引き起こす。添加した正常なPrPの変換によって生じるこの信号増幅の場合、添加PrP(His付加、またはなし)はサンプル中に予測されるPrPと同じ種に由来するか、PrPが伝染性サンプルによって変換可能な種に由来しなければならないことに注意する。
あるいは、定量的で上述した信号増幅を含まないアッセイ、あるいは未知の種起源のプリオン疾病を検出可能なアッセイが必要な場合がある。このような場合、シリアンハムスターPrPから切除した119−141(GAVVGGLG
GYMLGSAMSRPMMHF)に相同性の配列などの、プリオンタンパク質(PrP)に由来するペプチドまたはタンパク質は、好ましくはN末端にヒスチジン付加され、実施例2に記載したようなNTA−SAMsを示すコロイドに添加される。この配列は、変換または伝染性PrPの複数の部位に結合するため、他の正常なPrPタンパク質を「変換する」その能力を阻害することがわかっている。
【0123】
伝染性PrPが含まれると考えられるサンプルは、コロイドおよびペプチドに添加される。
サンプルが伝染性PrPを含む場合、コロイド結合ペプチドの凝集が発生し、上記と同様に検出できる。これらは、全長タンパク質に加えて、his付加され、このアッセイで使用できるハムスターPrPに由来する配列である。
106−128(KTNMKHMAGAAAAGAVVGGLGGY)
109−141(MKHMAGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
113−141(AGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
119−141(GAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
117−141(AAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
115−141(AAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
113−141(AGAAAAGAVVGGLGGYMLGSAMSRPMMHF)
Charby J, Caughey B, Chesebro B, J
Biol Chem 1998 May 22; 273(21):
13203−7; Residues 90−145 of Syrian
hamster PrP(シリアンハムスターPrPの残基90−145),
J. Mol. Biol.(1997) 270, 574−586
実施例13:電子的検出
この仮説的な実施例では、サンプル中のプリオン疾病の存在も電子的に検出できる。少なくともHis付加ペプチドの一部がコロイドに結合するように、可溶形(未変換形)のHis付加PrPタンパク質を含む溶液にNTA−Niを示すコロイドおよびオクタメチルフェロセンを加える。PrPまたはそれに対する抗体のいずれかを与える磁気粒子もアッセイに加える。伝染性PrPが含まれると思われるサンプルを加える。コロイド上の、および溶液中に遊離している伝染性PrPは正常なPrPを変換し、この正常なPrPを他のタンパク質の変換に関与させ、その結果として塊状凝集が起こる。磁気粒子およびコロイド粒子の両者が同一の凝集体に含まれる塊状凝集が生じ、これらの凝集体はSAMコート可能な電極に磁気的に引き付けられ、ACVによって分析される。
【0124】
実施例14:ELISA
分子または細胞生物学の当業者に周知の技術を使用する。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル), Volume 2 Immunology 11.2, John Wiley and Sons Inc.による著作権、1994−1998)。通常、ELISAを実施する場合は、第1の種を直接または間接的にプラスチック基質に結合させる。
【0125】
第2の種を加え、プレートを洗浄し、信号伝達機能も備えている「第2の」抗体を結合させて第2の種を検出する;第2の抗体は、通常はセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ(AP)などの酵素、または加えられた基質上で色の変化を生じる(分光光度計によって検出)反応を起こす能力のある蛍光標識、またはフルオリメータによって検出可能な蛍光標識タグに結合される(たとえば「生体内での感染神経線維および感覚神経に対する単純疱疹ウイルス糖タンパク質Dの、受動的に伝達されたヒト組換えモノクローナル抗体の局在化」Localization of a passively transferred human recombinant monoclonal antibody to herpes simplex virus
glycoprotein D to infected nerve fibers and sensory neurons in vivo, Sanna PP, Deerinck TJ, and Ellisman MH, 1999, Journal of Virology Oct. Vol
73(108817−23)を参照)。便宜上、各抗体を酵素に結合させずにすむように、マウス抗体を特異性認識抗体として使用し、次に酵素結合ウサギ抗マウス抗体を添加することが最も多い。
【0126】
本明細書に記載した技術を使用して、ELISAの感度を大幅に上昇させて、天然リガンド(タンパク質またはペプチド)または薬剤候補をプローブ分子として使用して固定標的種の存在を検出することができる。固定種の存在は、複数のセイヨウワサビペルオキダーゼ(HRPO)またはアルカリホスファターゼ(AP)も与えるコロイドに結合されたリガンドにその固定種を結合することによって検出される。酵素は、酵素に直接結合したヒスチジンタグを含む各種方法によって、あるいはヒスチジン付加タンパク質Gによってコロイドに結合したヤギ抗体にマウス抗ヤギ酵素結合抗体を結合させて、都合よく該コロイドに結合することができる(Akerstom, B., Nielson, E., Bjorck, L. Journal of Biological Chemistry, 1987 Oct. 5 Vol 262(28); pgs. 13388−91およびFahnestock, S. R., Alexander, P., Nagle, J. and Filpula, D.(1986) Journal of Bacteriology Vol. 167, 870−880)。コロイド上に複数の酵素とともに固定化されたリガンドを第2の抗体の代わりに標的種に結合させることによって、結合事象に対する信号伝達分子の比は、著しく上昇する。コロイド上の1個の抗体またはリガンドを、ELISAプレート上に与えられた抗原に結合させると、間接的に数千また数百万の]酵素の結合につながる。あるいは、信号伝達酵素とともにそれぞれ別個の薬剤候補を与えるコロイドによって調査できるようにするために、既知の種を故意に96ウェルプレートのプレートに結合させることができる。現在、各薬剤候補が酵素に結合できない既存のELISA技術では、このことを実施できない。あるいは固定標的の天然リガンドを、相互作用を阻害するために各プレート上に加えた信号伝達酵素および薬剤候補とともにコロイド上に与えることができる。
【0127】
未結合コロイド、そしてその信号は洗浄ステップで消失する。抗体またはリガンド供与コロイドの標的は、ELISAプレートに直接または間接的に(別の抗体またはリガンド経由で)結合した細胞でもタンパク質でもよい。ELISAのこのような改良の利点は、感受性だけでなく、有効性でもある。数百の信号伝達酵素がコロイド経由で1個の抗原に結合されたままになっているため、基質の加水分解がさらに迅速に起こり、十分な読取りに必要な時間がさらに短くなる。
【0128】
この仮説的な実施例では、ELISAプレート上での、サンプル中の凝集体形成または原繊維形成、プロト原繊維、凝集体種の存在の検出方法、神経変性疾病を阻害する薬剤のスクリーニングについて述べる。神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を結合する結合種、あるいは原繊維または凝集体形成種、プロト原繊維、凝集体に対する抗体(特にAβ1−42に対する抗体)は、ELISAプレートのウェル内に固定化される。診断アッセイでは、抗体は次に、凝集体形成または原繊維形成種を含むと思われるサンプルに曝露され、該サンプルは金属結合タグ(ヒスチジンタグ)を持つ結合種、随意に上述した増幅因子種、それぞれ粒子に固定された金属(NTA)および非電子信号伝達エンティティを配位するキレートを持つコロイド粒子と混合される。非電子信号伝達エンティティは、蛍光タグ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどである。
このアッセイを用いて薬剤をスクリーニングしたい場合は、神経変性疾病を阻害する候補薬剤の存在下で、同様の手順を実施する。
【0129】
実施例15:疾病の生化学的進行の各種段階において神経変性疾病を阻害するめの候補薬剤の細胞ベーススクリーニングアッセイ
この仮説的な実施例では、酵素β−分泌酵素およびγ−分泌酵素などの、神経変性疾病での凝集体形成または原繊維形成種の生成に関与する細胞プロセスに対する活性について候補薬剤を試験する方法について述べる(Wolfe, et
al., Nature, 1999 April 8; 398(6727);513−7; Haass, Nat. Med. December,
1999; 1(12);1291−6)。
【0130】
ELISAプレートのウェルには、原繊維形成または凝集体形成種、特にAβ−原繊維形成種を分泌する細胞を配置する。細胞はAβの過発現プラスミドを用いて形質移入する(LaBlanc, et al., J Neurosci
Res., April, 1992, 31(4):635−45)。
【0131】
細胞がAβ原繊維形成種を過発現するために十分な時間が経過した後、薬剤スクリーニングのための上述したアッセイの1つの成分をウェル内に導入する。たとえば、コロイドおよびコロイドに固定されたまたは固定するよう改変された結合種、随意に増幅因子種をウェル内に導入する。薬剤がAβ原繊維形成種を阻害する能力(該薬剤は過発現開始前に導入されている)は、分泌された基質の凝集可能性を示す、ウェル内でのコロイドの相対的凝集を観察することによって監視される。
【0132】
本実施例は、神経変性疾病を阻害する候補薬剤を、神経変性疾病原繊維または凝集体形成種を分泌するよう改変された細胞に曝露することと、細胞から分泌された物質の凝集可能性に対する候補薬剤の効果を決定することを含む、本発明のまた別の態様を示す。
【0133】
当業熟練者は、本明細書に挙げたすべてのパラメータが例示のためであり、実際のパラメータは本発明の方法および装置が使用される具体的な応用例によって変化することをただちに認識するであろう。したがって、上述の実施態様は例示目的のみで与えられており、添付請求項およびその相当物の範囲内で、本発明は明細記述した通り以外にも実施できるものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、デンドリマーまたはポリマーを介してフェロセンなどの金属含有化合物に付着する原繊維およびプラーク形成に関与する能力を持つペプチドを示したものである。これらの誘導されたペプチドは、ニューロペプチドの凝集および原繊維への同時の組み込みを通じて、類似のペプチド型を示す磁気粒子と結合する。磁石を介したSAM被膜電極に対する漸増の後、凝集の存在は、組み込まれた電気活性を有するフェロセンなどの信号部分の存在を、サイクリックボルタンメトリー(CV)や交流ボルタンメトリー(ACV)などの技術を用いて検出することによって測定される。
【図2】図2は、原繊維形成と、コロイド粒子に付着したフェロセン誘導体などの金属錯体に関与する能力を持つペプチドを示したものである。これらのペプチドは、両方がこれらのプリオン型の(および、原繊維形成性の)異常な型の凝集に組み込まれた場合、類似のぺプチドを持つ磁気粒子に結合する。磁石を介したSAM被膜電極に対する漸増の後、凝集の存在は電気的に検出される。
【図3】図3は、分光測光法的手法を用いた原繊維形成の検出を示す棒グラフである。
【図4】図4は、発明のアッセイを通じてネガティブコントロールの写真を複写したものである。
【図5】図5は、発明のアッセイを通じて形成された、裸眼で容易に識別可能な凝集の写真の複写である。
【図6】図6は6発明のアッセイを通じて50ピコモルのAβ原繊維から形成された、顕微鏡下で観察することのできる小型凝集の写真の複写である(図4−6はすべて40倍に拡大してある)。
【図7】図7Aは、発明の別のアッセイに関係して形成された、裸眼で容易に識別可能な大型のコロイド凝集を40倍に拡大した写真の複写である。 図7Bは、図7Aのアッセイのネガティブコントロールの写真の複写である。
【図8】図8は、発明の薬品選別アッセイの結果を示すELISAプレートの写真の複写である。
【図9】図9は、発明の別のアッセイによる原繊維の電子修飾を示す4つのACVからなるオーバーレイである。
【図10】図10は、発明の光散乱原繊維アッセイの結果を示す。
【図11】図11は、図10の光散乱実験のネガティブコントロールである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を持つ第1のアーティクルと;
表面を持つ第2のアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、
前記結合種の少なくとも一部が第1のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変され、前記結合種の少なくとも一部が第2のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変されているキット。
【請求項2】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種と;
結合種に対して固定化された電子信号伝達エンティティより成る組成物。
【請求項3】
アーティクルであって:
前記アーティクルの表面と;
前記表面に固定された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種と;
表面に固定された信号伝達エンティティより成るアーティクル。
【請求項4】
SPRアーティクルではない、表面を持つアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、前記結合種の少なくとも一部が前記表面に固定されている、または固定されるように改変されているキット。
【請求項5】
表面を持つアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、前記結合種の少なくとも一部が前記表面に固定されている、または固定されるように改変されており、前記表面が凝集体形成または原繊維形成種の非特異性結合を実質的に阻害する化学機能性を備えているキット。
【請求項6】
神経変性疾病原繊維または凝集体と、前記原繊維または凝集体に対して固定化された少なくとも2個の粒子より成る系。
【請求項7】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に対してそれぞれ固定化された少なくとも2個の粒子より成る系。
【請求項8】
金属を配位できる部分に固定された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種より成る組成物。
【請求項9】
第1の表面および前記表面に固定されている、または固定されるように改変された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種を備えたアーティクルを供給することと;
前記第1の表面を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むと考えられるサンプルに曝露することより成る方法。
【請求項10】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むサンプル中で神経変性疾病凝集体または原繊維を形成することと;
前記凝集体または原繊維を、表面および凝集体、原繊維、凝集体形成種または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種を備えたアーティクルに曝露することより成る方法であって、
前記結合種が前記アーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された方法。
【請求項11】
第1のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種ではないが、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能な結合種を供給することと;
前記結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換することより成る方法。
【請求項12】
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種ではないが、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能な結合種を供給することと;
前記結合種を神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種と相互作用させることによって、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に変換し、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種の存在時の凝集特性に関与させることと、
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種の存在時の凝集特性を検出することより成る方法。
【請求項13】
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能で、アーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種を供給することと;
随意に前記結合種を前記アーティクルの表面に固定させることと;
前記結合種を神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に変換せずに、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に結合させることと、
第2のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された第2の結合種を、前記凝集形成または原繊維形成種に結合させることより成る方法。
【請求項14】
結合種がペプチドである、上述の請求項のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項15】
結合種がタンパク質である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項16】
結合種がタンパク質からの配列である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項17】
結合種が小規模の分子である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項18】
小規模の分子がコンゴレッドまたはチオフラビンTである、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
結合種が凝集形成または原繊維種に対する抗体である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項20】
結合種が神経変性原繊維または凝集体を結合可能である、請求項1に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項21】
結合種が複数の神経変性疾病原繊維または凝集体に結合した複数のアーティクルを含むマクロ構造を形成可能である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
結合種が神経変性疾病に特徴的な凝集を持つタンパク質である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項23】
結合種がベータアミロイドタンパク質、アミロイドタンパク質、Tau、シンヌクレイン、PrP CJD、PrP BSE、PrP Scrapic、およびそのフラグメントならびに融合物である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項24】
タンパク質、フラグメントまたは融合物が凝集体結合、凝集体形成耐性である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項25】
アーティクルが流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項26】
アーティクルがコロイド粒子である、請求項25に記載のキット。
[請求項26.1]
アーティクルが金コロイド粒子である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
アーティクルがSPRチップである、請求項1−5に記載のキット。
【請求項28】
少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された粒子をさらに含む、請求項22に記載のキット。
【請求項29】
少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された粒子をさらに含む、請求項1−5に記載のキット。
【請求項30】
アーティクルが粒子であり、キットがさらに少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された追加の粒子をさらに含む、請求項1−5に記載のキット。
【請求項31】
表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種が金属結合タグ/金属/キレート結合によって表面に固定可能である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項32】
表面が、表面に対して固定化された金属を配位しているキレートを持ち、結合種がポリアミノ酸タグによって誘導体化される、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
表面が、表面に対して固定化された金属を配位しているキレートを持ち、結合種がヒスチジンタグによって誘導体化される、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種が相補核酸配列対によって表面に固定可能である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項35】
結合種が末端システインを持ち、それにより表面に固定されている、請求項1−5に記載のキット。
【請求項36】
少なくとも一部の結合種に固定された複数の粒子より成るキットであり、表面以外に固定化された補助凝集体形成または原繊維形成種がない場合に、補助凝集体または原繊維形成種が存在しない場合の凝集を補助凝集体または原繊維形成種が存在する場合の凝集と比較可能な時間内に、粒子上または粒子曝露時の粒子凝集が十分に阻害される低い表面濃度において、結合種が粒子の表面に対して固定化されている、請求項30に記載のキット。
【請求項37】
さらに神経変性疾病を阻害する候補薬剤より成る、請求項30に記載のキット。
【請求項38】
表面に自己集合単層を持つ、請求項3−5に記載のキット。
【請求項39】
自己集合単層がコロイド/コロイド自己凝集を阻害する種より成る、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
自己集合単層が荷電部分を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
自己集合単層がカルボキシ末端種を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項42】
荷電部分がニトリロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンを含む、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
荷電部分がニトリロトリ酢酸より成る、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
自己集合単層がオリゴヌクレオチドより成る、請求項38に記載のキット。
【請求項45】
自己集合単層がDNA部分より成る、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
自己集合単層が荷電ペプチドを含む、請求項38に記載のキット。
【請求項47】
自己集合単層が界面活性剤を含む溶液より表面上に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項48】
自己集合単層がカルボン酸塩を含む溶液より表面上に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項49】
自己集合単層がコロイド粒子自体の形成中以外に表面に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項50】
自己集合単層が流体中に浮遊状態に保たれた表面に付着し、粒子が流体−流体界面に存在しない、請求項38に記載のキット。
【請求項51】
自己集合単層がさらに結合種より成る混合自己集合単層である、請求項38に記載のキット。
【請求項52】
結合種が末端システインを持つペプチドであり、表面が金である、請求項1および3−5に記載のキット。
【請求項53】
結合種が神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種ではない、上述のいずれかの請求項に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項54】
結合種が他の結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換することができない、請求項53に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項55】
結合種が神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種によって凝集体形成または原繊維形成種に変換される、上述のいずれかの請求項に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項56】
凝集体形成または原繊維形成種に変換された結合種が、他の結合種を凝集体形成または原繊維形成種に変換可能である、請求項55に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項57】
金属を配位可能な部分がポリアミノ酸タグより成る、請求項8に記載の組成物。
【請求項58】
金属を配位可能な部分がヒスチジンタグより成る、請求項8に記載の組成物。
【請求項59】
結合種が金属を配位可能な部分にN−末端で固定されたペプチドである、請求項20に記載の組成物。
【請求項60】
さらにアーティクルの表面に対して固定化された金属を配位可能な部分より成る、請求項26に記載のキット。
【請求項62】
結合種が少なくとも1個のキレート、カルボン酸塩基、n−ヒドロキシ−スクシンイミド、核酸配列、グルタチオニン、ビオチン、ストレプトアビジン、またはそのフラグメントによって表面に固定されている、または固定されるように改変された、請求項1−5に記載のキット。
【請求項63】
流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子の断面がいずれの方向でも250nmを超えない、請求項25に記載のアーティクル。
【請求項64】
流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子の断面がいずれの方向でも100nmを超えない、請求項25に記載のアーティクル。
【請求項65】
コロイド粒子および金属を配位可能な部分より成る該粒子の表面上の自己集合単層より成る、請求項60に記載のアーティクル。
【請求項66】
自己集合単層がキレートを含む、請求項65に記載のアーティクル。
【請求項67】
自己集合単層がニトリロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンを含む、請求項66に記載のアーティクル。
【請求項68】
自己集合単層が、自己集合単層形成種を含む混合自己集合単層であり、すべてでなく一部の自己集合単層形成種が金属を配位可能な部分を含む、請求項65に記載のアーティクル。
[請求項68.1]
さらに信号伝達エンティティより成る、請求項60に記載のアーティクル。
【請求項69】
複数の信号伝達エンティティより成る、請求項68に記載のアーティクル。
【請求項70】
コロイド粒子に固定された複数の信号伝達エンティティより成る、請求項68に記載のアーティクル。
【請求項71】
少なくとも2個の粒子がそれぞれ神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合する結合種に固定されている、請求項7に記載の系。
【請求項72】
少なくとも2個の粒子がそれぞれ、粒子に固定され、原繊維または凝集体を結合する結合種によって原繊維または凝集体に対して固定化されている、請求項6に記載の系。
【請求項73】
少なくとも2個の粒子に対して固定化されている原繊維または凝集体より成り、少なくとも1個の粒子が第2の原繊維または凝集体に対して固定化されている、請求項72に記載の系。
【請求項74】
粒子および原繊維または凝集体がヒトの肉眼で見える構造体を形成する、請求項73に記載の系。
【請求項75】
凝集体または原繊維を結合種に固定可能な複数のコロイドに曝露することと、それによってコロイドを原繊維または凝集体に結合することをより成る、請求項10に記載の方法。
【請求項76】
コロイドの添加によって原繊維または凝集体を目視検出可能にすることより成る、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
表面が粒子の表面であって、
前記表面に固定化された結合種を持つ複数の粒子を供給することと; 前記粒子をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項78】
さらに、サンプル中に存在する神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を示す、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
表面が粒子の表面であって、
粒子の表面に固定されている、または固定されるように改変された複数の粒子および結合種を供給することと;
前記粒子および結合種をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項80】
結合種およびサンプルが多様な生物種より由来する、請求項78に記載の方法。
[請求項80.1]
相互作用する種およびサンプルが多様な生物種より由来する同一のタンパク質またはタンパク質フラグメントである、請求項80に記載の方法。
【請求項81】
さらに、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
サンプルが神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含み、曝露ステップが神経変性疾病原繊維または凝集体形成を阻害すると考えられる候補薬剤の存在下で粒子および結合種をサンプルに曝露することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
サンプルが細胞から分泌される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
さらに、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
最初にサンプルを分泌する細胞を、神経変性疾病を阻害すると考えられる候補薬剤に曝露させることと、次に粒子および結合種を前記サンプルに曝露させることより成る、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
薬剤が、神経変性疾病に関連する活性を備えた酵素を阻害すると考えられる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
候補薬剤がβ−分泌酵素を阻害すると考えられる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
候補薬剤がγ−分泌酵素を阻害すると考えられる、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
曝露ステップが、1−38〜1−44のアミノ酸配列を含むβ−アミロイドの存在下で粒子をサンプルに曝露することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項90】
β−アミロイドペプチドが1−40のアミノ酸配列を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
曝露ステップが、神経変性疾病に関連すると考えられるサンプルから得た生物試料に粒子を曝露させることより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項100】
試料を粒子および結合種に曝露することより成る、請求項91に記載の方法。
【請求項101】
サンプルが血液サンプルより成る、請求項91に記載の方法。
【請求項102】
サンプルをヒト患者より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項103】
サンプルを動物より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項104】
サンプルを家畜より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項105】
サンプルを家畜飼料より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項106】
サンプルを臓器提供サンプルより採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項107】
さらに、粒子をサンプルに曝露したときに、目視可能なサンプルの変化を観察することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項108】
目視可能な変化が粒子の凝集より成る、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
目視可能な変化が金コロイド粒子の凝集より成る、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
目視可能な変化が色の変化より成る、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
さらに、サンプルに粒子を曝露させるときに、光散乱装置を使用して有効粒子/凝集サイズの変化を測定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項112】
サンプルの画像をデジタル化することと、次にパターン認識を使用してどのサンプルが凝集体を含んでいるかを判定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項113】
表面以外に固定化された補助凝集体形成または原繊維形成種がない場合に、補助凝集体または原繊維形成種が存在しない場合の凝集を補助凝集体または原繊維形成種が存在する場合の凝集と比較可能な時間内に、粒子上または粒子曝露時の粒子凝集が十分に阻害される表面濃度において、結合種が粒子の表面に対して固定化されている、請求項91に記載の方法。
【請求項114】
さらに、結合種とサンプル中に存在するすべての凝集体形成または原繊維形成種との相互作用を判定することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項115】
結合種およびサンプルが多様な生物種である、請求項9に記載の方法。
【請求項116】
凝集体形成または原繊維形成種に結合する粒子に対して固定化された結合種の存在下で、サンプルに表面を曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項117】
粒子が補助信号伝達エンティティを備えている、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
補助信号伝達エンティティが、ワサビダイコンペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む、染料、色素、電子活性粒子、蛍光部分、アップレギュレーションリン光体、酵素固定信号伝達部分より成る、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
表面が電極表面であり、粒子が前記表面に固定化された電子活性種を備えている、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
粒子が複数の固定化された電子活性種を備えている、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
複数の電子活性種がメタロセンより成る、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
複数の電子活性種がフェロセンより成る、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
アーティクルが磁気ビードである、請求項9に記載の方法。
【請求項124】
アーティクルがSPRチップである、請求項9に記載の方法。
【請求項125】
アーティクルが電極である、請求項9に記載の方法。
【請求項126】
アーティクルがELISAプレートである、請求項9に記載の方法。
【請求項127】
表面が複数の個別および空間的に位置指定可能な領域より成る、請求項9に記載の方法。
【請求項128】
個別および空間的に位置指定可能な領域が多ウェルプレートの別個のウェルより成る、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
神経変性疾病を阻害する候補薬剤の存在下で、表面にサンプルを曝露することより成る、請求項132に記載の方法。
【請求項132】
さらに、候補薬剤の存在による、凝集体形成または原繊維形成種と表面固定化結合種との相互作用の低下を観察することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
サンプルが凝集体形成または原繊維形成種を含んでいても、含んでいなくてもよい、請求項9に記載の方法。
【請求項136】
サンプルが凝集体形成または原繊維形成種を含む薬剤スクリーニング調製物である、請求項145に記載の方法。
【請求項137】
表面が粒子表面であり、
結合種、結合種に固定された粒子および固定種に固定可能な磁気ビードより成る、流体溶媒中に浮遊した組成物を作成することと;
前記組成物をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項138】
粒子および/または磁気ビードが固定化キレートを備え、少なくとも一部の結合種がキレートによって配位される金属に固定可能な金属結合タグを備えている、請求項135に記載の方法。
【請求項139】
各粒子およびビードの少なくとも一部が結合種に固定されている、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
組成物がさらに、粒子に固定されている、または固定可能な酸化還元活性種より成る、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
さらに、神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むと考えられるサンプルに組成物を曝露することより成る、請求項137に記載の方法。
【請求項143】
さらに、神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種および神経変性疾病を阻害する候補薬剤を含むサンプルに組成物を曝露することより成る、請求項137に記載の方法。
【請求項144】
さらに、酸化還元活性剤を含む粒子に固定された凝集体形成または原繊維形成種に固定された少なくとも一部の磁気ビードを電極に引きつけることと、電極に近接した酸化還元活性剤の有無を判定することより成る、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
電極が非特異結合性の阻害剤によってコートされている、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
非特異結合性の阻害剤が自己集合単層より成る、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
自己集合単層がポリエチレングリコール末端自己集合単層形成種より成る、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
自己集合単層がさらに、電子に対する自己集合単層の透過性を向上させる種より成る、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
電子に対する透過性を向上させる種が、導電性自己集合単層形成種より成る、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
電子に対する透過性を向上させる種が、自己集合単層の欠陥部位を生じさせる種より成る、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
信号伝達エンティティが複数の信号伝達エンティティである、上述の請求項のいずれかに記載の組成物、アーティクル、方法、系またはキット。
【請求項153】
結合種に他の結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換させることより成る、請求項11に記載の方法。
【請求項154】
結合種に神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種と相互作用させることと、それによって神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に構造変換させることと、次に前記種を他の結合種に変換させることより成る、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種でない、表面以外に結合した補助結合種に系を曝露することと、前記補助結合種を神経変性凝集体形成または原繊維形成種に変換させることより成る、請求項11に記載の方法。
【請求項156】
結合種が最初にアーティクルの表面に固定される、請求項11に記載の方法。
【請求項157】
結合種が最初にアーティクルの表面に固定されない、請求項11に記載の方法。
【請求項158】
結合種および神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種が異なる生物分類種に由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項159】
表面を自己集合単層形成分子種および界面活性剤を含む媒体に曝露することによって、表面上に自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項160】
表面を自己集合単層形成分子種およびカルボン酸塩を含む媒体に曝露することによって、表面上に自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項161】
コロイド粒子の表面上に、コロイド粒子自体の形成時以外に、自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項162】
流体中で浮遊状態にあるコロイド粒子の表面上に自己集合単層を作成することより成り、前記粒子が流体−流体界面に存在していない方法。
【請求項163】
自己集合単層形成分子種および界面活性剤を含む媒体が溶液または懸濁液である、請求項159および160に記載の方法。
【請求項164】
さらに、表面上に自己集合単層を作成した後に、自己集合単層から残留界面活性剤をすべて除去することより成る、請求項159に記載の方法。
【請求項170】
神経変性疾病凝集体または原繊維形成種をそれぞれ結合可能であって、相互に固定化された、または相互に固定化されるように改変された少なくとも2個の結合種を供給することと、それによって神経変性疾病凝集体または原繊維リンカーを規定することと、
前記リンカーを、神経変性疾病凝集体または原繊維種を含むと考えられるサンプルあるいは神経変性疾病を阻害する候補薬剤を含む溶液に曝露することより成る方法。
【請求項171】
神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を分泌するよう改変された細胞を、神経変性疾病を阻害する候補薬剤に曝露することと、
神経変性疾病に特徴的な凝集体を形成する細胞から分泌される物質のポテンシャルを監視することより成る方法。
【請求項172】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な種および神経変性疾病凝集体または原繊維形成を阻害する候補薬剤のための神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を含むと考えられる1個のサンプルを含む溶液を作成することと、
成分を前記溶液に移したり、容器から溶液を取り出したりせずに、神経変性疾病に特徴的な溶液中の凝集体を検出することより成る方法。
【請求項173】
エネルギーを流体に導入することより成る方法。
【請求項174】
原繊維または凝集体を見えるようにすることより成る、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項175】
アーティクルが流体中に浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項176】
アーティクルが磁気的に浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項177】
アーティクルが自己浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項178】
結合種が表面に特異的に固定されている、または特異的に固定されるように改変される、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【請求項179】
サンプルが天然型サンプルである、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【請求項180】
サンプルが構造的に既定されたサンプルである、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【請求項1】
表面を持つ第1のアーティクルと;
表面を持つ第2のアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、
前記結合種の少なくとも一部が第1のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変され、前記結合種の少なくとも一部が第2のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変されているキット。
【請求項2】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種と;
結合種に対して固定化された電子信号伝達エンティティより成る組成物。
【請求項3】
アーティクルであって:
前記アーティクルの表面と;
前記表面に固定された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種と;
表面に固定された信号伝達エンティティより成るアーティクル。
【請求項4】
SPRアーティクルではない、表面を持つアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、前記結合種の少なくとも一部が前記表面に固定されている、または固定されるように改変されているキット。
【請求項5】
表面を持つアーティクルと;
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種より成るキットであり、前記結合種の少なくとも一部が前記表面に固定されている、または固定されるように改変されており、前記表面が凝集体形成または原繊維形成種の非特異性結合を実質的に阻害する化学機能性を備えているキット。
【請求項6】
神経変性疾病原繊維または凝集体と、前記原繊維または凝集体に対して固定化された少なくとも2個の粒子より成る系。
【請求項7】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に対してそれぞれ固定化された少なくとも2個の粒子より成る系。
【請求項8】
金属を配位できる部分に固定された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な結合種より成る組成物。
【請求項9】
第1の表面および前記表面に固定されている、または固定されるように改変された神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種を備えたアーティクルを供給することと;
前記第1の表面を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むと考えられるサンプルに曝露することより成る方法。
【請求項10】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むサンプル中で神経変性疾病凝集体または原繊維を形成することと;
前記凝集体または原繊維を、表面および凝集体、原繊維、凝集体形成種または原繊維形成種を結合可能な複数の結合種を備えたアーティクルに曝露することより成る方法であって、
前記結合種が前記アーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された方法。
【請求項11】
第1のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種ではないが、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能な結合種を供給することと;
前記結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換することより成る方法。
【請求項12】
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種ではないが、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能な結合種を供給することと;
前記結合種を神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種と相互作用させることによって、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に変換し、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種の存在時の凝集特性に関与させることと、
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種の存在時の凝集特性を検出することより成る方法。
【請求項13】
神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種を結合可能で、アーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種を供給することと;
随意に前記結合種を前記アーティクルの表面に固定させることと;
前記結合種を神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に変換せずに、神経変性疾病凝集形成または原繊維形成種に結合させることと、
第2のアーティクルの表面に固定されている、または固定されるように改変された第2の結合種を、前記凝集形成または原繊維形成種に結合させることより成る方法。
【請求項14】
結合種がペプチドである、上述の請求項のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項15】
結合種がタンパク質である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項16】
結合種がタンパク質からの配列である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項17】
結合種が小規模の分子である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項18】
小規模の分子がコンゴレッドまたはチオフラビンTである、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
結合種が凝集形成または原繊維種に対する抗体である、請求項1〜5のいずれかに記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項20】
結合種が神経変性原繊維または凝集体を結合可能である、請求項1に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項21】
結合種が複数の神経変性疾病原繊維または凝集体に結合した複数のアーティクルを含むマクロ構造を形成可能である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
結合種が神経変性疾病に特徴的な凝集を持つタンパク質である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項23】
結合種がベータアミロイドタンパク質、アミロイドタンパク質、Tau、シンヌクレイン、PrP CJD、PrP BSE、PrP Scrapic、およびそのフラグメントならびに融合物である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項24】
タンパク質、フラグメントまたは融合物が凝集体結合、凝集体形成耐性である、上述の請求項のいずれかに記載のキット、組成物、アーティクル、系または方法。
【請求項25】
アーティクルが流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項26】
アーティクルがコロイド粒子である、請求項25に記載のキット。
[請求項26.1]
アーティクルが金コロイド粒子である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
アーティクルがSPRチップである、請求項1−5に記載のキット。
【請求項28】
少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された粒子をさらに含む、請求項22に記載のキット。
【請求項29】
少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された粒子をさらに含む、請求項1−5に記載のキット。
【請求項30】
アーティクルが粒子であり、キットがさらに少なくとも一部の結合種に固定されている、または固定されるように改変された追加の粒子をさらに含む、請求項1−5に記載のキット。
【請求項31】
表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種が金属結合タグ/金属/キレート結合によって表面に固定可能である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項32】
表面が、表面に対して固定化された金属を配位しているキレートを持ち、結合種がポリアミノ酸タグによって誘導体化される、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
表面が、表面に対して固定化された金属を配位しているキレートを持ち、結合種がヒスチジンタグによって誘導体化される、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
表面に固定されている、または固定されるように改変された結合種が相補核酸配列対によって表面に固定可能である、請求項1−5に記載のキット。
【請求項35】
結合種が末端システインを持ち、それにより表面に固定されている、請求項1−5に記載のキット。
【請求項36】
少なくとも一部の結合種に固定された複数の粒子より成るキットであり、表面以外に固定化された補助凝集体形成または原繊維形成種がない場合に、補助凝集体または原繊維形成種が存在しない場合の凝集を補助凝集体または原繊維形成種が存在する場合の凝集と比較可能な時間内に、粒子上または粒子曝露時の粒子凝集が十分に阻害される低い表面濃度において、結合種が粒子の表面に対して固定化されている、請求項30に記載のキット。
【請求項37】
さらに神経変性疾病を阻害する候補薬剤より成る、請求項30に記載のキット。
【請求項38】
表面に自己集合単層を持つ、請求項3−5に記載のキット。
【請求項39】
自己集合単層がコロイド/コロイド自己凝集を阻害する種より成る、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
自己集合単層が荷電部分を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
自己集合単層がカルボキシ末端種を含む、請求項39に記載のキット。
【請求項42】
荷電部分がニトリロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンを含む、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
荷電部分がニトリロトリ酢酸より成る、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
自己集合単層がオリゴヌクレオチドより成る、請求項38に記載のキット。
【請求項45】
自己集合単層がDNA部分より成る、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
自己集合単層が荷電ペプチドを含む、請求項38に記載のキット。
【請求項47】
自己集合単層が界面活性剤を含む溶液より表面上に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項48】
自己集合単層がカルボン酸塩を含む溶液より表面上に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項49】
自己集合単層がコロイド粒子自体の形成中以外に表面に付着した、請求項38に記載のキット。
【請求項50】
自己集合単層が流体中に浮遊状態に保たれた表面に付着し、粒子が流体−流体界面に存在しない、請求項38に記載のキット。
【請求項51】
自己集合単層がさらに結合種より成る混合自己集合単層である、請求項38に記載のキット。
【請求項52】
結合種が末端システインを持つペプチドであり、表面が金である、請求項1および3−5に記載のキット。
【請求項53】
結合種が神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種ではない、上述のいずれかの請求項に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項54】
結合種が他の結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換することができない、請求項53に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項55】
結合種が神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種によって凝集体形成または原繊維形成種に変換される、上述のいずれかの請求項に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項56】
凝集体形成または原繊維形成種に変換された結合種が、他の結合種を凝集体形成または原繊維形成種に変換可能である、請求項55に記載のキット、方法、組成物、系またはアーティクル。
【請求項57】
金属を配位可能な部分がポリアミノ酸タグより成る、請求項8に記載の組成物。
【請求項58】
金属を配位可能な部分がヒスチジンタグより成る、請求項8に記載の組成物。
【請求項59】
結合種が金属を配位可能な部分にN−末端で固定されたペプチドである、請求項20に記載の組成物。
【請求項60】
さらにアーティクルの表面に対して固定化された金属を配位可能な部分より成る、請求項26に記載のキット。
【請求項62】
結合種が少なくとも1個のキレート、カルボン酸塩基、n−ヒドロキシ−スクシンイミド、核酸配列、グルタチオニン、ビオチン、ストレプトアビジン、またはそのフラグメントによって表面に固定されている、または固定されるように改変された、請求項1−5に記載のキット。
【請求項63】
流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子の断面がいずれの方向でも250nmを超えない、請求項25に記載のアーティクル。
【請求項64】
流体中に浮遊可能で、単離可能な粒子の断面がいずれの方向でも100nmを超えない、請求項25に記載のアーティクル。
【請求項65】
コロイド粒子および金属を配位可能な部分より成る該粒子の表面上の自己集合単層より成る、請求項60に記載のアーティクル。
【請求項66】
自己集合単層がキレートを含む、請求項65に記載のアーティクル。
【請求項67】
自己集合単層がニトリロトリ酢酸、2,2−ビス(サリチリデンアミノ)−6,6−デメチルジフェニル、または1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンを含む、請求項66に記載のアーティクル。
【請求項68】
自己集合単層が、自己集合単層形成種を含む混合自己集合単層であり、すべてでなく一部の自己集合単層形成種が金属を配位可能な部分を含む、請求項65に記載のアーティクル。
[請求項68.1]
さらに信号伝達エンティティより成る、請求項60に記載のアーティクル。
【請求項69】
複数の信号伝達エンティティより成る、請求項68に記載のアーティクル。
【請求項70】
コロイド粒子に固定された複数の信号伝達エンティティより成る、請求項68に記載のアーティクル。
【請求項71】
少なくとも2個の粒子がそれぞれ神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合する結合種に固定されている、請求項7に記載の系。
【請求項72】
少なくとも2個の粒子がそれぞれ、粒子に固定され、原繊維または凝集体を結合する結合種によって原繊維または凝集体に対して固定化されている、請求項6に記載の系。
【請求項73】
少なくとも2個の粒子に対して固定化されている原繊維または凝集体より成り、少なくとも1個の粒子が第2の原繊維または凝集体に対して固定化されている、請求項72に記載の系。
【請求項74】
粒子および原繊維または凝集体がヒトの肉眼で見える構造体を形成する、請求項73に記載の系。
【請求項75】
凝集体または原繊維を結合種に固定可能な複数のコロイドに曝露することと、それによってコロイドを原繊維または凝集体に結合することをより成る、請求項10に記載の方法。
【請求項76】
コロイドの添加によって原繊維または凝集体を目視検出可能にすることより成る、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
表面が粒子の表面であって、
前記表面に固定化された結合種を持つ複数の粒子を供給することと; 前記粒子をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項78】
さらに、サンプル中に存在する神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を示す、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
表面が粒子の表面であって、
粒子の表面に固定されている、または固定されるように改変された複数の粒子および結合種を供給することと;
前記粒子および結合種をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項80】
結合種およびサンプルが多様な生物種より由来する、請求項78に記載の方法。
[請求項80.1]
相互作用する種およびサンプルが多様な生物種より由来する同一のタンパク質またはタンパク質フラグメントである、請求項80に記載の方法。
【請求項81】
さらに、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
サンプルが神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含み、曝露ステップが神経変性疾病原繊維または凝集体形成を阻害すると考えられる候補薬剤の存在下で粒子および結合種をサンプルに曝露することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
サンプルが細胞から分泌される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
さらに、粒子の凝集範囲を決定することより成る、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
最初にサンプルを分泌する細胞を、神経変性疾病を阻害すると考えられる候補薬剤に曝露させることと、次に粒子および結合種を前記サンプルに曝露させることより成る、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
薬剤が、神経変性疾病に関連する活性を備えた酵素を阻害すると考えられる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
候補薬剤がβ−分泌酵素を阻害すると考えられる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
候補薬剤がγ−分泌酵素を阻害すると考えられる、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
曝露ステップが、1−38〜1−44のアミノ酸配列を含むβ−アミロイドの存在下で粒子をサンプルに曝露することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項90】
β−アミロイドペプチドが1−40のアミノ酸配列を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
曝露ステップが、神経変性疾病に関連すると考えられるサンプルから得た生物試料に粒子を曝露させることより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項100】
試料を粒子および結合種に曝露することより成る、請求項91に記載の方法。
【請求項101】
サンプルが血液サンプルより成る、請求項91に記載の方法。
【請求項102】
サンプルをヒト患者より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項103】
サンプルを動物より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項104】
サンプルを家畜より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項105】
サンプルを家畜飼料より採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項106】
サンプルを臓器提供サンプルより採取する、請求項91に記載の方法。
【請求項107】
さらに、粒子をサンプルに曝露したときに、目視可能なサンプルの変化を観察することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項108】
目視可能な変化が粒子の凝集より成る、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
目視可能な変化が金コロイド粒子の凝集より成る、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
目視可能な変化が色の変化より成る、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
さらに、サンプルに粒子を曝露させるときに、光散乱装置を使用して有効粒子/凝集サイズの変化を測定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項112】
サンプルの画像をデジタル化することと、次にパターン認識を使用してどのサンプルが凝集体を含んでいるかを判定することより成る、請求項78に記載の方法。
【請求項113】
表面以外に固定化された補助凝集体形成または原繊維形成種がない場合に、補助凝集体または原繊維形成種が存在しない場合の凝集を補助凝集体または原繊維形成種が存在する場合の凝集と比較可能な時間内に、粒子上または粒子曝露時の粒子凝集が十分に阻害される表面濃度において、結合種が粒子の表面に対して固定化されている、請求項91に記載の方法。
【請求項114】
さらに、結合種とサンプル中に存在するすべての凝集体形成または原繊維形成種との相互作用を判定することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項115】
結合種およびサンプルが多様な生物種である、請求項9に記載の方法。
【請求項116】
凝集体形成または原繊維形成種に結合する粒子に対して固定化された結合種の存在下で、サンプルに表面を曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項117】
粒子が補助信号伝達エンティティを備えている、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
補助信号伝達エンティティが、ワサビダイコンペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む、染料、色素、電子活性粒子、蛍光部分、アップレギュレーションリン光体、酵素固定信号伝達部分より成る、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
表面が電極表面であり、粒子が前記表面に固定化された電子活性種を備えている、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
粒子が複数の固定化された電子活性種を備えている、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
複数の電子活性種がメタロセンより成る、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
複数の電子活性種がフェロセンより成る、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
アーティクルが磁気ビードである、請求項9に記載の方法。
【請求項124】
アーティクルがSPRチップである、請求項9に記載の方法。
【請求項125】
アーティクルが電極である、請求項9に記載の方法。
【請求項126】
アーティクルがELISAプレートである、請求項9に記載の方法。
【請求項127】
表面が複数の個別および空間的に位置指定可能な領域より成る、請求項9に記載の方法。
【請求項128】
個別および空間的に位置指定可能な領域が多ウェルプレートの別個のウェルより成る、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
神経変性疾病を阻害する候補薬剤の存在下で、表面にサンプルを曝露することより成る、請求項132に記載の方法。
【請求項132】
さらに、候補薬剤の存在による、凝集体形成または原繊維形成種と表面固定化結合種との相互作用の低下を観察することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
サンプルが凝集体形成または原繊維形成種を含んでいても、含んでいなくてもよい、請求項9に記載の方法。
【請求項136】
サンプルが凝集体形成または原繊維形成種を含む薬剤スクリーニング調製物である、請求項145に記載の方法。
【請求項137】
表面が粒子表面であり、
結合種、結合種に固定された粒子および固定種に固定可能な磁気ビードより成る、流体溶媒中に浮遊した組成物を作成することと;
前記組成物をサンプルに曝露することより成る、請求項9に記載の方法。
【請求項138】
粒子および/または磁気ビードが固定化キレートを備え、少なくとも一部の結合種がキレートによって配位される金属に固定可能な金属結合タグを備えている、請求項135に記載の方法。
【請求項139】
各粒子およびビードの少なくとも一部が結合種に固定されている、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
組成物がさらに、粒子に固定されている、または固定可能な酸化還元活性種より成る、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
さらに、神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を含むと考えられるサンプルに組成物を曝露することより成る、請求項137に記載の方法。
【請求項143】
さらに、神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種および神経変性疾病を阻害する候補薬剤を含むサンプルに組成物を曝露することより成る、請求項137に記載の方法。
【請求項144】
さらに、酸化還元活性剤を含む粒子に固定された凝集体形成または原繊維形成種に固定された少なくとも一部の磁気ビードを電極に引きつけることと、電極に近接した酸化還元活性剤の有無を判定することより成る、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
電極が非特異結合性の阻害剤によってコートされている、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
非特異結合性の阻害剤が自己集合単層より成る、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
自己集合単層がポリエチレングリコール末端自己集合単層形成種より成る、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
自己集合単層がさらに、電子に対する自己集合単層の透過性を向上させる種より成る、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
電子に対する透過性を向上させる種が、導電性自己集合単層形成種より成る、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
電子に対する透過性を向上させる種が、自己集合単層の欠陥部位を生じさせる種より成る、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
信号伝達エンティティが複数の信号伝達エンティティである、上述の請求項のいずれかに記載の組成物、アーティクル、方法、系またはキット。
【請求項153】
結合種に他の結合種を神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に変換させることより成る、請求項11に記載の方法。
【請求項154】
結合種に神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種と相互作用させることと、それによって神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種に構造変換させることと、次に前記種を他の結合種に変換させることより成る、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種でない、表面以外に結合した補助結合種に系を曝露することと、前記補助結合種を神経変性凝集体形成または原繊維形成種に変換させることより成る、請求項11に記載の方法。
【請求項156】
結合種が最初にアーティクルの表面に固定される、請求項11に記載の方法。
【請求項157】
結合種が最初にアーティクルの表面に固定されない、請求項11に記載の方法。
【請求項158】
結合種および神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種が異なる生物分類種に由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項159】
表面を自己集合単層形成分子種および界面活性剤を含む媒体に曝露することによって、表面上に自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項160】
表面を自己集合単層形成分子種およびカルボン酸塩を含む媒体に曝露することによって、表面上に自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項161】
コロイド粒子の表面上に、コロイド粒子自体の形成時以外に、自己集合単層を作成することより成る方法。
【請求項162】
流体中で浮遊状態にあるコロイド粒子の表面上に自己集合単層を作成することより成り、前記粒子が流体−流体界面に存在していない方法。
【請求項163】
自己集合単層形成分子種および界面活性剤を含む媒体が溶液または懸濁液である、請求項159および160に記載の方法。
【請求項164】
さらに、表面上に自己集合単層を作成した後に、自己集合単層から残留界面活性剤をすべて除去することより成る、請求項159に記載の方法。
【請求項170】
神経変性疾病凝集体または原繊維形成種をそれぞれ結合可能であって、相互に固定化された、または相互に固定化されるように改変された少なくとも2個の結合種を供給することと、それによって神経変性疾病凝集体または原繊維リンカーを規定することと、
前記リンカーを、神経変性疾病凝集体または原繊維種を含むと考えられるサンプルあるいは神経変性疾病を阻害する候補薬剤を含む溶液に曝露することより成る方法。
【請求項171】
神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を分泌するよう改変された細胞を、神経変性疾病を阻害する候補薬剤に曝露することと、
神経変性疾病に特徴的な凝集体を形成する細胞から分泌される物質のポテンシャルを監視することより成る方法。
【請求項172】
神経変性疾病凝集体形成または原繊維形成種を結合可能な種および神経変性疾病凝集体または原繊維形成を阻害する候補薬剤のための神経変性疾病凝集体または原繊維形成種を含むと考えられる1個のサンプルを含む溶液を作成することと、
成分を前記溶液に移したり、容器から溶液を取り出したりせずに、神経変性疾病に特徴的な溶液中の凝集体を検出することより成る方法。
【請求項173】
エネルギーを流体に導入することより成る方法。
【請求項174】
原繊維または凝集体を見えるようにすることより成る、上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項175】
アーティクルが流体中に浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項176】
アーティクルが磁気的に浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項177】
アーティクルが自己浮遊可能な粒子である、上述の請求項のいずれかに記載のアーティクル、方法、キット、系または組成物。
【請求項178】
結合種が表面に特異的に固定されている、または特異的に固定されるように改変される、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【請求項179】
サンプルが天然型サンプルである、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【請求項180】
サンプルが構造的に既定されたサンプルである、上述の請求項のいずれかに記載の方法、アーティクル、系、キットまたは組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230124(P2012−230124A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161791(P2012−161791)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2000−595161(P2000−595161)の分割
【原出願日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願人】(501291558)ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2000−595161(P2000−595161)の分割
【原出願日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願人】(501291558)ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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