説明

種子の消毒装置

【課題】据付面積を狭くする。
【解決手段】温湯消毒装置10では、搬送篭68内に原料Mが収容された状態で、搬送篭68が温湯槽18内に搬送されて原料Mが温湯20によって消毒されると共に、搬送篭68が冷水槽28内に搬送されて原料Mが冷水30によって冷却される。ここで、温湯槽18が縦型のものにされて、温湯槽18の内部及び外部がそれぞれ上下方向最大寸法を水平方向最大寸法に比し大きくされている。しかも、冷水槽28が縦型のものにされて、冷水槽28の内部及び外部がそれぞれ上下方向最大寸法を水平方向最大寸法に比し大きくされている。このため、据付面積を狭くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を温液によって加熱して消毒する種子の消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された種子の温湯消毒装置では、消毒容器に種籾を収容して、消毒容器を温浴槽内の温湯に搬送することで、種籾を加熱して消毒する。その後、消毒容器を冷浴槽内の冷水に搬送することで、種籾を冷却する。
【0003】
しかしながら、この種子の温湯消毒装置では、温浴槽が横型にされて温浴槽内の水平方向寸法が上下方向寸法に比し大きくされると共に、冷浴槽が横型にされて冷浴槽内の水平方向寸法が上下方向寸法に比し大きくされている。このため、装置の据付面積が広い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、据付面積を狭くできる種子の消毒装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の種子の消毒装置は、内部の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされ、内部に温液が収容される温液槽と、前記温液槽内に種子を搬送することで種子が温液によって加熱されて消毒される搬送手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の種子の消毒装置は、内部に温液が収容される温液槽と、内部の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされ、内部に冷液が収容される冷液槽と、前記温液槽内に種子を搬送することで種子が温液によって加熱されて消毒されると共に、前記温液槽内に搬送した後の種子を前記冷液槽内に搬送することで種子が冷液によって冷却される搬送手段と、を備えている。
【0008】
請求項3に記載の種子の消毒装置は、請求項1又は請求項2に記載の種子の消毒装置において、前記温液槽の上側を被覆し、前記温液槽内に搬送される前の種子を温液の蒸気によって予熱する予熱室を形成する被覆部材を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の種子の消毒装置では、温液槽内に温液が収容されており、搬送手段が温液槽内に種子を搬送することで、種子が温液によって加熱されて消毒される。
【0010】
ここで、温液槽内の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされている。このため、据付面積を狭くできる。
【0011】
請求項2に記載の種子の消毒装置では、温液槽内に温液が収容されており、搬送手段が温液槽内に種子を搬送することで、種子が温液によって加熱されて消毒される。さらに、冷液槽内に冷液が収容されており、搬送手段が温液槽内に搬送した後の種子を冷液槽内に搬送することで、種子が冷液によって冷却される。
【0012】
ここで、冷液槽内の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされている。このため、据付面積を狭くできる。
【0013】
請求項3に記載の種子の消毒装置では、被覆部材が温液槽の上側を被覆して予熱室を形成しており、予熱室では、温液槽内に搬送される前の種子が温液の蒸気によって予熱される。このため、温液槽内への種子の搬送により温液の温度が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における温湯消毒設備を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る温湯消毒装置の主要部を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る温湯消毒装置の主要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における温湯消毒設備を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の実施の形態における温湯消毒設備12が模式図にて示されており、図4には、温湯消毒設備12が正面図にて示されている。さらに、図2には、本発明の種子の消毒装置が適用された実施の形態に係る温湯消毒装置10の主要部が正面図にて示されており、図3には、温湯消毒装置10の主要部が斜視図にて示されている。なお、図面では、温湯消毒設備12の前方を矢印FRで示し、温湯消毒設備12の右方を矢印RHで示し、温湯消毒設備12の上方を矢印UPで示す。
【0016】
図1及び図4に示す如く、本実施の形態における温湯消毒設備12には、温湯消毒装置10が設けられている。
【0017】
図1に示す如く、温湯消毒装置10の上部には、右部において、供給手段としての有底筒状の原料タンク14が設けられており、原料タンク14には、種子としての原料M(水稲の種子等の種籾)が上側から投入されて貯留される。原料タンク14の下部(底部)は、漏斗状にされており、原料タンク14の下端部には、供給調整手段としてのロータ式の定量供給弁16が設けられている。これにより、定量供給弁16によって原料タンク14の下端から原料Mが所定量(例えば60Kg以上)毎に供給(流下)される。
【0018】
温湯消毒装置10の下側部には、左部において、温液槽としての有底矩形筒状の温湯槽18が設けられており、温湯槽18内には、上端近傍まで、温液としての温湯20が貯留(収容)されている。温湯槽18は、縦型のものにされており、温湯槽18の内部及び外部は、それぞれ、上下方向最大寸法が水平方向最大寸法(例えば左右方向最大寸法や前後方向最大寸法)に比し大きくされている。なお、温湯槽18の周壁は、断熱材によって構成されている。
【0019】
温湯槽18には、温液調整手段としての温水器22が接続されており、温水器22は、水(液体)を加熱可能にされている。温水器22は、温液排出手段としての温湯排出管24を介して温湯槽18の下端内に接続されており、温湯槽18内の温湯20は、温湯排出管24を介して温水器22に排出可能にされている。温水器22は、温液供給手段としての温湯供給管26を介して温湯槽18の上端内に接続されており、温水器22は、温湯20を温湯供給管26を介して温湯槽18内に供給可能にされている。これにより、温湯槽18内の温湯20が、温湯排出管24、温水器22及び温湯供給管26を介して循環されると共に、温水器22によって加熱されることで、温湯槽18内の温湯20が所定加熱温度(例えば60℃±1℃)に調整されている。
【0020】
温湯消毒装置10の下側部には、左右方向中央部において、冷液槽としての有底矩形筒状の冷水槽28が設けられており、冷水槽28内には、上端近傍まで、冷液としての冷水30が貯留(収容)されている。冷水槽28は、縦型のものにされており、冷水槽28の内部及び外部は、それぞれ、上下方向最大寸法が水平方向最大寸法(例えば左右方向最大寸法や前後方向最大寸法)に比し大きくされている。
【0021】
冷水槽28には、冷液調整手段としての冷水器32(冷却チラー)が接続されており、冷水器32は、水(液体)を冷却可能にされている。冷水器32は、冷液排出手段としての冷水排出管34を介して冷水槽28の下端内に接続されており、冷水槽28内の冷水30は、冷水排出管34を介して冷水器32に排出可能にされている。冷水器32は、冷液供給手段としての冷水供給管36を介して冷水槽28の上端内に接続されており、冷水器32は、冷水30を冷水供給管36を介して冷水槽28内に供給可能にされている。これにより、冷水槽28内の冷水30が、冷水排出管34、冷水器32及び冷水供給管36を介して循環されると共に、冷水器32によって冷却されることで、冷水槽28内の冷水30が所定冷却温度(例えば15℃以下)に調整されている。
【0022】
温湯槽18及び冷水槽28の上側には、被覆部材としての略直方体形箱状のケース38が設けられている。
【0023】
ケース38内には、温湯槽18の上面開口及び冷水槽28の上面開口が開口しており、温湯槽18の上面開口及び冷水槽28の上面開口は、ケース38によって被覆されている。ケース38内の左部は、予熱室40にされており、予熱室40には、温湯槽18内の温湯20からの蒸気が温湯槽18の上面開口を介して放出される。
【0024】
ケース38の左部には、上側において、円筒状の排気筒42が一体に形成されており、排気筒42は、予熱室40とケース38外とを連通している。排気筒42内には、排気手段としてのファン44が設けられており、ファン44が駆動されることで、予熱室40に放出された蒸気が排気筒42内を介してケース38外へ排気される。また、排気筒42内には、ファン44が設けられているため、ファン44が駆動されない際には、ケース38内(特に予熱室40)が略密閉される。
【0025】
ケース38の右部は、上側において、原料タンク14を支持しており、原料タンク14の下端から原料Mは、ケース38の右部内に供給される。
【0026】
ケース38の右部には、下側において、排出手段としての漏斗状の排出ホッパ46が設けられており、排出ホッパ46内は、上側(大径部側)からケース38内に開放されている。排出ホッパ46の下端部には、排出調整手段としてのロータ式の定量排出弁48が設けられている。
【0027】
温湯消毒装置10には、搬送手段としての搬送装置50が設けられている。
【0028】
搬送装置50には、第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64がそれぞれ一対設けられている。各対の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64は、それぞれ、前後方向において互いに離間された状態で対向されており、各対の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64は、それぞれ、連結されて、一体に回転可能にされている。また、第4スプロケット58、第5スプロケット60及び第7スプロケット64は、第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56及び第6スプロケット62に比し、径が小さくされている。
【0029】
第1スプロケット52は、ケース38内の右部(原料タンク14の下方)に支持されており、第2スプロケット54は、ケース38内の左部(第1スプロケット52の左方かつ温湯槽18の上方)に支持されている。第3スプロケット56は、温湯槽18内の下部(第2スプロケット54の下方)に支持されており、第4スプロケット58は、ケース38内の温湯槽18右部直上(第3スプロケット56の右端の上方)に支持されている。第6スプロケット62は、冷水槽28内の下部に支持されており、第5スプロケット60は、ケース38内の冷水槽28左部直上(第4スプロケット58の右方かつ第6スプロケット62の左端の上方)に支持されると共に、第7スプロケット64は、ケース38内の冷水槽28右部直上(第6スプロケット62の右端の上方かつ第1スプロケット52の下端の左方)に支持されている。
【0030】
前側の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64と、後側の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64とには、それぞれ、長尺無端状のチェーン66が掛け回されている。
【0031】
このため、各対の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64が回転されることで、一対のチェーン66が回動される。すなわち、チェーン66は、第1スプロケット52と第2スプロケット54との間で左方へ移動され、第2スプロケット54と第3スプロケット56との間で下方へ移動され、第3スプロケット56と第4スプロケット58との間で上方へ移動され、第4スプロケット58と第5スプロケット60との間で右方へ移動され、第5スプロケット60と第6スプロケット62との間で下方へ移動され、第6スプロケット62と第7スプロケット64との間で上方へ移動され、第7スプロケット64と第1スプロケット52との間で右方へ移動される。
【0032】
一対のチェーン66間には、搬送容器としての搬送篭68が複数固定されており、複数の搬送篭68は、一対のチェーン66と一体に回動されて、搬送される。また、複数の搬送篭68は、チェーン66の長手方向に等間隔に配置されている。
【0033】
図2及び図3に示す如く、搬送篭68には、略半楕円柱形容器状の篭本体70が設けられている。篭本体70の前面及び後面には、支持具72が固定されており、篭本体70は、支持具72によってチェーン66に回転不能に固定されている。篭本体70には、矩形状の開口74が設けられており、開口74は、搬送篭68の搬送方向に平行に配置されている。搬送篭68が第1スプロケット52と第2スプロケット54との間で左方へ搬送される際には、開口74が篭本体70内を上方へ開放可能にされると共に、搬送篭68が第7スプロケット64と第1スプロケット52との間で右方へ搬送される際には、開口74が篭本体70内を下方へ開放可能にされている。篭本体70の前後方向に垂直な断面は、略半楕円状にされており、篭本体70内の開口74に平行な断面積は、開口74とは反対側部分において開口74へ向かうに従い徐々に大きくされると共に、開口74側部分において開口74へ向かうに従い等しくされている。
【0034】
篭本体70の周壁(前壁及び後壁以外の部分)には、貫通孔76が多数貫通形成されている。貫通孔76は原料Mに比し径が小さくされており、篭本体70内に原料Mが収容された際には、原料Mが貫通孔76から篭本体70外に流出することが防止されている。
【0035】
篭本体70には、開口74の一端縁において、矩形板状の開閉蓋78が回動可能に支持されており、開閉蓋78が回動されることで、開閉蓋78が開閉されて、開口74が開閉される。
【0036】
開閉蓋78には、維持部材としての円柱状の開閉棒80が一対固定されており、一対の開閉棒80は、それぞれ開閉蓋78から前方及び後方へ突出されている。
【0037】
篭本体70の前面と前側の開閉棒80との間及び篭本体70の後面と後側の開閉棒80との間には、それぞれ付勢手段としての引張コイルスプリング82が架け渡されており、引張コイルスプリング82は、開閉蓋78を閉方向へ付勢している。
【0038】
篭本体70の前面及び後面には、それぞれ係止手段としての略L字形板状のロック板84が基端において支持されており、ロック板84は、開口74側及び開口74とは反対側へ回動可能にされている。ロック板84には、円柱状のカム棒86が固定されており、カム棒86は、ロック板84から篭本体70とは反対側へ突出されている。
【0039】
篭本体70の前面及び後面には、それぞれ円柱状のストッパ88が固定されており、ロック板84がストッパ88に当接されることで、ロック板84の開口74とは反対側への回動が規制される。
【0040】
篭本体70の前面と前側のロック板84との間及び篭本体70の後面と後側のロック板84との間には、それぞれ保持手段としての引張コイルスプリング90が架け渡されており、引張コイルスプリング90は、ロック板84の回動位置に応じて、ロック板84を開口74側へ回動させる方向へ付勢可能にされると共に、ロック板84を開口74とは反対側へ回動させる方向へ付勢可能にされている。
【0041】
ケース38内の右部には、各第1スプロケット52の周囲において、維持手段としての長尺板状のガイドレール92が固定されており、ガイドレール92の右側部分(長手方向中間部)は、第1スプロケット52と同軸上の円弧状に湾曲されている。ガイドレール92の下側端部は、傾斜部92Aにされて、右方へ向かうに従い下方へ向かう方向へ傾斜されており、ガイドレール92の上側端部は、左方へ水平に延出されている。搬送篭68が搬送される際に、開閉蓋78の開閉棒80がガイドレール92の外周面に係止されることで、開閉蓋78が引張コイルスプリング82の付勢力に抗して開けられた状態が維持される。
【0042】
ケース38内の右部には、各第1スプロケット52の上端の左方において、閉手段としての略三角形板状の閉カム94が固定されており、閉カム94の上縁は、凸状に湾曲されて、左方へ向かうに従い上方へ向かう方向へ傾斜されている。搬送篭68が搬送される際に、ロック板84のカム棒86が閉カム94の上縁を移動(摺動)されることで、ロック板84が開口74側へ回動される。
【0043】
ケース38内の右部には、各第1スプロケット52の下端の左方において、開手段としての略三角形板状の開カム96が固定されており、開カム96の上縁は、凸状に湾曲されて、右方へ向かうに従い上方へ向かう方向へ傾斜されている。搬送篭68が搬送される際に、ロック板84のカム棒86が開カム96の上縁を移動(摺動)されることで、ロック板84が開口74とは反対側へ回動される。
【0044】
ケース38内の右部には、一対の第1スプロケット52間の左方において、補助手段としてのシャワー98が固定されており、シャワー98は、下方の搬送篭68へ向けて水(液体)を噴出(供給)可能にされている。
【0045】
図1及び図4に示す如く、温湯消毒設備12では、温湯消毒装置10(排出ホッパ46の下端)に遠心分離方式の脱水機100が連設されており、脱水機100にネットコンベア方式の乾燥機102が連設されている。
【0046】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成の温湯消毒設備12では、温湯消毒装置10において、各対の第1スプロケット52、第2スプロケット54、第3スプロケット56、第4スプロケット58、第5スプロケット60、第6スプロケット62及び第7スプロケット64が一体に回転されることで、一対のチェーン66が回動されて、複数の搬送篭68が一対のチェーン66と一体に搬送される。
【0048】
搬送篭68が第1スプロケット52の周辺を左方へ搬送される際には、搬送篭68の開閉蓋78の開閉棒80がガイドレール92の外周面に係止されることで、開閉蓋78が引張コイルスプリング82の付勢力に抗して開けられて篭本体70の開口74が開けられた状態が維持される。
【0049】
このため、原料タンク14内に貯留された原料Mが定量供給弁16によって原料タンク14の下端から所定量毎に供給されることで、各搬送篭68内に開口74から所定量の原料Mが収容される。
【0050】
その後、搬送篭68が左方へ更に搬送されて、開閉棒80のガイドレール92外周面への係止が解除されることで、開閉蓋78が引張コイルスプリング82の付勢力によって閉じられて、篭本体70の開口74が閉じられる。
【0051】
さらに、搬送篭68が左方へ更に搬送されて、搬送篭68のロック板84のカム棒86が閉カム94の上縁を移動されることで、ロック板84が開口74側へ回動されて、ロック板84の先端部が開閉蓋78の開閉棒80に係止されると共に、ロック板84の先端部が開閉棒80に係止された状態が引張コイルスプリング90の付勢力によって保持される。このため、ロック板84によって開閉蓋78が閉状態に係止(ロック)される。
【0052】
その後、搬送篭68が第2スプロケット54の周辺の予熱室40を搬送される際には、温湯槽18内の温湯20から予熱室40に放出された蒸気が篭本体70の多数の貫通孔76を介して搬送篭68内に侵入する。これにより、搬送篭68内の原料Mが蒸気によって加熱される。また、必要に応じて排気筒42内のファン44が駆動されることで、予熱室40に放出された蒸気が排気筒42内を介してケース38外へ排気される。
【0053】
次に、搬送篭68が第2スプロケット54から第3スプロケット56を介して第4スプロケット58まで上下方向へ搬送される際に、搬送篭68が温湯槽18内の温湯20を所定加熱時間(例えば10分)通過する。
【0054】
温湯槽18内の温湯20は、温水器22によって加熱されることで、所定加熱温度に調整されており、搬送篭68が温湯20を通過する際には、温湯20が篭本体70の多数の貫通孔76を介して搬送篭68内に浸入して、搬送篭68内の原料Mが温湯20に浸漬される。これにより、搬送篭68内の原料Mが温湯20によって加熱されて消毒(殺菌)される。
【0055】
次に、搬送篭68が第5スプロケット60から第6スプロケット62を介して第7スプロケット64まで上下方向へ搬送される際に、搬送篭68が冷水槽28内の冷水30を所定冷却時間(例えば5分)通過する。
【0056】
冷水槽28内の冷水30は、冷水器32によって冷却されることで、所定冷却温度に調整されており、搬送篭68が冷水30を通過する際には、冷水30が篭本体70の多数の貫通孔76を介して搬送篭68内に浸入して、搬送篭68内の原料Mが冷水30に浸漬される。これにより、搬送篭68内の原料Mが冷水30によって冷却されることで、原料Mの発芽が抑制される。
【0057】
次に、搬送篭68が第7スプロケット64と第1スプロケット52との間で右方へ搬送される際に、搬送篭68のロック板84のカム棒86が開カム96の上縁を移動されることで、ロック板84が開口74とは反対側へ回動されて、ロック板84が篭本体70のストッパ88に当接されると共に、ロック板84がストッパ88に当接された状態が引張コイルスプリング90の付勢力によって保持される。このため、ロック板84の開閉棒80への係止が解除されて、ロック板84による開閉蓋78の閉状態の係止が解除(ロック解除)される。
【0058】
これにより、開閉蓋78が搬送篭68内の原料Mの重量によって引張コイルスプリング82の付勢力に抗して開けられて、篭本体70の開口74が開けられることで、搬送篭68内の原料Mが開口74から排出(流下)される。
【0059】
開閉蓋78が開けられた際には、シャワー98が搬送篭68へ向けて水を噴出する。しかも、シャワー98からの水は、篭本体70の多数の貫通孔76を介して搬送篭68内に浸入する。このため、搬送篭68及び原料Mが洗浄されると共に、搬送篭68内への原料Mの残留が抑制される。
【0060】
搬送篭68内の原料Mの重量によって開閉蓋78が開けられている間には、開閉蓋78の開閉棒80がガイドレール92の傾斜部92Aに到達する。このため、搬送篭68内の原料Mが排出された後にも、開閉棒80がガイドレール92の外周面に係止されることで、開閉蓋78が引張コイルスプリング82の付勢力に抗して開けられて篭本体70の開口74が開けられた状態が維持される。
【0061】
搬送篭68内から排出された原料Mは、ケース38の排出ホッパ46内に流下して、定量排出弁48によって排出ホッパ46の下端から一定量ずつ(単位時間当たりの流下量が一定にされつつ)流下されることで、温湯消毒装置10から排出される。
【0062】
また、シャワー98からの水が排出ホッパ46へも流下して、排出ホッパ46内及び原料Mが洗浄されると共に、排出ホッパ46内への原料Mの残留が抑制される。
【0063】
温湯消毒装置10から排出された原料Mは、脱水機100によって脱水された後に、乾燥機102によって乾燥される。これにより、原料Mが仕上水分(原料Mの全重量に対する水分の重量の割合であり、例えば15%)にされる。なお、その後には、原料Mが計量された後に出荷される。
【0064】
ここで、温湯消毒装置10では、温湯槽18が縦型のものにされて、温湯槽18の内部及び外部がそれぞれ上下方向最大寸法を水平方向最大寸法に比し大きくされている。しかも、冷水槽28が縦型のものにされて、冷水槽28の内部及び外部がそれぞれ上下方向最大寸法を水平方向最大寸法に比し大きくされている。
【0065】
このため、温湯消毒装置10の据付面積を狭くでき、温湯消毒設備12の据付面積を狭くできる。
【0066】
しかも、搬送篭68を冷水槽28からの搬出位置から原料Mの排出位置及び原料Mの受給位置を介して温湯槽18への到達位置まで搬送する経路を短くできる(搬送篭68を水平方向(左右方向)へ搬送する経路を短くできる)。これにより、チェーン66を短くでき、チェーン66に固定する搬送篭68を少なくできて、コストを低減できる。
【0067】
また、原料Mの消毒は通常4月頃に行われるため、原料Mは低温である。
【0068】
ここで、温湯槽18の上面開口がケース38によって被覆されて略密閉されることで、温湯槽18の上側のケース38内に予熱室40が形成されている。このため、搬送篭68が温湯槽18内の温湯20に搬送される前に、搬送篭68内の低温の原料Mが温湯槽18内の温湯20から予熱室40に放出された蒸気によって加熱される。これにより、温湯槽18内の温湯20への搬送篭68の搬送により温湯20の温度が低下することを抑制でき、温湯槽18内の温湯20を温水器22によって加熱する頻度を低くできて、熱効率を高くできる。
【符号の説明】
【0069】
10 温湯消毒装置(種子の消毒装置)
18 温湯槽(温液槽)
20 温湯(温液)
28 冷水槽(冷液槽)
30 冷水(冷液)
38 ケース(被覆部材)
40 予熱室
50 搬送装置(搬送手段)
M 原料(種子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされ、内部に温液が収容される温液槽と、
前記温液槽内に種子を搬送することで種子が温液によって加熱されて消毒される搬送手段と、
を備えた種子の消毒装置。
【請求項2】
内部に温液が収容される温液槽と、
内部の上下方向寸法が水平方向寸法に比し大きくされ、内部に冷液が収容される冷液槽と、
前記温液槽内に種子を搬送することで種子が温液によって加熱されて消毒されると共に、前記温液槽内に搬送した後の種子を前記冷液槽内に搬送することで種子が冷液によって冷却される搬送手段と、
を備えた種子の消毒装置。
【請求項3】
前記温液槽の上側を被覆し、前記温液槽内に搬送される前の種子を温液の蒸気によって予熱する予熱室を形成する被覆部材を備えた請求項1又は請求項2記載の種子の消毒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−90554(P2012−90554A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239846(P2010−239846)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】