説明

種子繰出装置

【課題】点播に適した種子繰出装置を提供すること。
【解決手段】種子Sが収容される種子ホッパ40と、種子ホッパ40から種子Sを搬送して繰り出す搬送ベルト11とを有する種子繰出装置1であって、種子ホッパ40は収容された種子Sを排出するための種子排出部(切欠部43)を有し、搬送ベルト11は、搬送方向の前方が後方に比し高く傾斜して設けられ、一定間隔ごとに種子排出部(切欠部43)に臨む凸部13を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子打ち込み装置等に一定量の種子を供給するための種子繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国における水稲直播栽培技術(体系)は、湛水直播体系、折衷直播体系、乾田直播体系の3体系に大別される。各体系における播種作業は、湛水直播では主として代掻圃場(水田)に、折衷直播では耕起後に代掻をせずに湛水した圃場に、乾田直播では耕起または不耕起の圃場に、それぞれ行われる。乾田直播並びに折衷直播は、代掻を行わないため、漏水などの関係からその適用地帯は自ずと限定されるが、湛水直播の播種方式においては、適用に当たって限定要因が少ないと考えられている。
【0003】
現在、湛水直播方式としては深さ1cm程度の代かき土壌中に播種される機械条播及び機械点播が倒伏などの問題も少なく主流となっている。また、機械条播と機械点播とでは、点播の水稲は桿が太く、穂が大きく耐倒伏性にも優れるため作柄安定という面で優れている。
【0004】
この機械点播は、種子繰出装置によって供給される5〜6粒程度(以下「数粒」という)の種子を種子打ち込み装置を用いて加速させて代かき土壌水田中にほぼ所定深さに貫入播種するものが主流となっており、この場合、種子繰出装置が数粒の種子を間歇的に供給する性能が高いほど点播性が担保される。点播の間隔は一定であり、例えば20cm程度であるため、供給速度が高いほど播種機の走行速度が速くなる。
【0005】
従来の種子繰出装置には、所定間隔に複数の凹孔を設けたコンベアが種子ホッパから種子の供給を受けて回転し、搬送端から種子を繰り出すものがあった(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を従来例1と呼ぶ。
【0006】
また、他の種子繰出装置には、凹孔を複数設けたロールを回転させて種子ホッパから上記凹孔に収容された種子を繰り出すものがあった(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を従来例2と呼ぶ。
【0007】
従来例1及び従来例2は共に凹孔に擦り切りで収容したとき規定量の粒数(4乃至6粒程度)となるため、コンベア又はロールと確実に接触するようにブラシが設けられており、これによって凹孔からはみ出した種子を排除している。
【0008】
【特許文献1】特開平7−289028号公報([0011],[0012]、図2)
【特許文献2】特開平9−154352号公報([0017]、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来例1及び従来例2はいずれも凹孔に種子を収容する構成であるため、高速運転してしまうと種子が規定量通り凹孔に入らないことがあり、高速運転には不向きである。従来例1及び従来例2では1秒間に4回程度の繰り出し回数が限界であり、播種機の走行速度は秒速80cm程度であった。また、直播においては低酸素条件下での発芽を安定させるために、種子表面に酸素発生剤(いわゆるカルパー粉粒剤(過酸化カルシウム16%、焼石膏等の鉱物質84%))による被覆(カルパーコーティング)を行うが、ブラシとコンベア又はロール間の摩擦によって運転中に被覆が剥離し易かった。また、この剥離した酸素発生剤が徐々に凹孔に堆積するため、長時間運転を行うと規定量の種子が収容されなくなる虞があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題を解決することを課題の一例とするものであり、これらの課題を解決し点播に適した種子繰出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明による種子繰出装置は、種子が収容される種子ホッパと、該種子ホッパから種子を搬送して繰り出す搬送ベルトとを有する種子繰出装置であって、前記種子ホッパは収容された種子を排出するための種子排出部を有し、前記搬送ベルトは、搬送方向の前方が後方に比し高く傾斜して設けられ、一定間隔ごとに前記種子排出部に臨む凸部を有することを特徴とする。
また、前記搬送ベルトには、前記凸部間において、搬送方向の前方側に位置する前記凸部と密着し、搬送方向の後方側に位置する前記凸部と所定の間隙を有し、前記凸部より低い高さである補助凸部が設けられることを特徴とする。
また、前記搬送ベルトは無端状に形成された弾性体からなり、ローラ間に掛架されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
搬送ベルトに一定間隔で設けられた凸部は種子ホッパに設けられた種子排出部(例えば切欠部によって設ける)に臨んで設けられるため、搬送ベルトが駆動すると凸部が種子を掻き上げながら種子排出部に沿って移動する。このとき、搬送ベルトの前方が高くなるように傾斜しているため、凸部によって種子が支えられるようにして保持される。また、補助凸部を設けた場合、補助凸部上には凸部がないため種子が支えられず流下しやすくなっており、ちょうど凸部と補助凸部との間隙に種子が保持されやすくなる。さらに、搬送ベルトがウレタンゴム等の弾性体からなっており、ローラによって定期的に歪められるため、搬送ベルトが局所的に伸縮し凸部及び補助凸部の付け根部分が変形を繰り返す。これによって付け根部分に酸素発生材等が堆積し難くなる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、凸部が設けられた搬送ベルトを傾斜させて用いることで、該凸部によって種子を掻き上げるようにして搬送するので高速運転を行っても確実に種子を搬送することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、凸部間に補助凸部を設けることによって該補助凸部上には種子が収容され難くなり種子が間隙部分に集中するため、より点播性が高まる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、搬送ベルトが弾性体からなるため、ローラ部分において搬送ベルトに歪みが生じる。これにより凸部及び補助凸部の付け根部分に酸素発生剤等が堆積し難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。便宜上、同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。本実施の形態に係る種子繰出装置1は、後述の播種機60と連結されたうえで播種作業車に装着する。例えば、トラクタに装着した場合は、代かきした水田の表層を撹拌しながら同時に播種するもので、撹拌された田面に水稲種子をほぼ所定深さに貫入させて能率及び精度のよい播種作業が行われる。
【0015】
種子繰出装置1は、種子Sを矢印方向に搬送する搬送ベルト11及び該搬送ベルト11の駆動部材からなる種子繰出部10と、搬送される種子Sが収容される種子ホッパ40とからなる。図1及び図2に示す通り、種子繰出部10は無端状に形成されたタイミングベルト(歯付きベルト)からなる搬送ベルト11が駆動輪であるタイミングプーリ21(歯車)、従動輪である後輪23及び撓み防止のためのガイド(ガイド歯車25、ガイドローラ27)によって支持され、タイミングプーリ21、後輪23及び上記ガイドの回転軸21a,23a,25a及び27aは支持部材31によって軸支される。
【0016】
搬送ベルト11は背ゴムと歯ゴムとを一体成形してなり、背ゴムの幅方向の中央部には板状に成形された凸部13が周面方向に所定の間隔で設けられる。各凸部13間には補助凸部15が凸部13より低い高さで設けられ、該補助凸部15は搬送方向側の凸部13に密接し搬送方向と逆側の凸部13に対して所定の間隙を作るように設けられる。なお、凸部及び補助凸部の搬送ベルトに対する固定は溶着または接着等によるものでの良いし、凸部及び補助凸部を搬送ベルトと一体成形しても良い。実施例では搬送ベルト11の幅W1は約30mm程度であり、凸部13は幅W2が約20mm程度、高さH1が約5mm程度、長さL1が約2mm程度であり、補助凸部15は幅が凸部13と同じ20mm程度、高さH2が約2mm程度、長さL2が約26mm程度である。補助凸部15と搬送方向に対して逆側の凸部13との間隙Vは約7mm程度設けられるため、凸部13は約35mm間隔で設けられる。実施例では凸部13が20個設けられる構成であり、搬送ベルト11の全長は約700mmとなる。
【0017】
搬送ベルト11は前端側に設けられたタイミングプーリ21と後端側に設けられた後輪23との間に適切な取付張力で掛架される。さらに後輪23とタイミングプーリ21との間には後輪23側から順番にガイド歯車25、ガイドローラ27が設けられ搬送ベルト11の撓みを防止する。なお、タイミングプーリ21及びガイド歯車25のピッチは搬送ベルト11の歯ゴムのピッチに対応する。
【0018】
タイミングプーリ21、ガイドローラ27、ガイド歯車25及び後輪23の各回転軸は支持部材31によって回転自在に支持される。タイミングプーリ21の回転軸21aはモータ(図示省略)からの動力によって回転し、この回転によって搬送ベルト11が駆動する。実施例ではタイミングプーリ21の直径は約20mm程度であり、後輪23の直径は約65mm程度である。なお、後輪23は搬送ベルト11に対して両端及び中央のみで接触するように中央から左右に2条の溝が設けられ、3個のローラが同軸上に並設されたように形成される。これにより搬送ベルト11と後輪23との間に種子Sが入り込んでも溝から落下することになる。
【0019】
図3に示す通り、種子ホッパ40は、種子の排出を行う切欠部43が上端縁から底部にかけて設けられる種子収容部41と切欠部43の両縁に設けられ搬送ベルト11と接触する接触部45とからなり、種子ホッパ40上部には接触部45に向かってブラシ49を取り付けるためのブラシ取付部47が設けられる。接触部45は例えばプラスティック板のような成型が容易な板部材にゴム板を接合したもので、切欠部43の上端縁までは直線状であり、それ以降は下側に所定の回転半径で屈曲する曲線部45aとなる。実施例ではプラスティック板とゴム板の厚さはそれぞれ約3mm程度と約1mm程度であり、左右の接触部45の距離Dは凸部13及び補助凸部15より若干大となる約21mm程度である。上記回転半径はタイミングプーリ21の外径に背ゴムの厚みを加えた径であり約25mm程度である。
【0020】
種子繰出部10及び種子ホッパ40にそれぞれ設けられた取付具(図示省略)によって種子繰出装置1を組み立てると、種子ホッパ40の接触部45が種子繰出部10の搬送ベルト11に接触するように曲線部45aが搬送ベルト11の前端に掛けられた状態となり、切欠部43から搬送ベルト11の中央部(凸部13、補助凸部15及び間隙W)が臨む。このときガイド歯車25及びガイドローラ27によって搬送ベルト11が弛まないように支持されていることにより、凸部13、補助凸部15及び間隙Wが切欠部43を埋めるため、種子ホッパ40に収容された種子Sが切欠部43からこぼれ落ちることはない。本実施例では種子繰出部10の搬送ベルト11上面が約49°の角度になるよう取付角度を調整しているが、この取付角度は一回に繰り出したい種子数等によって適宜変更可能であり、籾を数粒繰り出す場合には45°〜55°程度が好ましい。種子繰出装置1の搬送ベルト11前端部にはL字状の繰出管51が設けられ、搬送ベルト11によって掻き上げられた種子Sが繰出管51から繰り出される。
【0021】
図4は種子繰出装置1を播種機60に連結した場合を示す側面の断面図である。播種機60は所定幅を有する円形状のケーシング63内に、モータ(図示省略)により回転する回転軸62を介して、所定幅を有する円形の回転体61を、所定方向に回転するように軸支している。回転体61の外周部には、種子繰出装置1から繰出管51及び供給管65を介して供給された種子Sを収容する側面視鋸歯状をなす多数の収容溝61aを設けている。回転体61は高速で回転しているため、収容溝61aに収容された種子Sは周方向に加速されて放出管67から水田に放出される。なお、繰出管51と供給管65とは例えばゴムのような収縮性のある筒状部材53によって連接される。
【0022】
上記回転体61の外周部に設けられる収容溝61aの側面視鋸歯状の個々の形状は、回転体61の回転方向に対しそれぞれ鋭角をなす形状となっている。また、回転体61の回転方向に対して、収容溝61aが下向きになって下降する部分、即ち、図4で回転軸62の中心を通る垂線から左側部分の上部位置に供給管65の下端部を開口させ、その下方位置に放出管67を収容溝61aの幅に近似させて開口している。
【0023】
ここで、本実施例における播種機60の主要部分の寸法、諸元は、ケーシング63の直径が140mm(内径130mm)、回転体61の直径が124mm、回転体61の外周とケーシング63の内周との間隙が3mm、収容溝61aの幅が30mm、角状のパイプからなる供給管65は厚さが20mm、幅が25mm、同じく角状のパイプからなる放出管67は厚さが20mm、幅が25mm、回転体61における鋸歯状をなす収容溝61aの個数が16個、鋸歯状をなす収容溝61aのピッチが24mm、回転体61の回転数が1500〜1700rpm、回転体61の材質は発泡性のゴムが好ましい。
【0024】
種子ホッパ40内にはカルパーコーティングされた種子S(籾)が所定量収容されている。種子繰出装置1を運転させると、搬送ベルト11の凸部13が、種子ホッパ40の切欠部43において凸部13の搬送方向側の面により種子Sを掻き上げるようにして移動する。このとき、凸部13と補助凸部15と接触部45とによって搬送ベルト11の背ゴム上に一時的に形成される擬似的な凹状部17に種子Sが収容される(図5参照)。補助凸部15の高さが凸部13の高さより低く形成されるため開口が大きくなるので搬送ベルト11を高速で回転させても規定量の種子Sを収容することができる。なお、補助凸部15を設けなくても凸部13のみによって種子Sを掻き上げることができるが、補助凸部15を設けることにより種子Sの周回方向に対する分散が小さくなり、凹状部17に種子Sが集中して収容される。補助凸部15を設けない場合は収容される種子Sの粒数が増加するため取付角度を大きくするなど調整が必要である。また、形成される凹状部17は左右の接触部45に対し凸部13、補助凸部15及び間隙Vが移動するので、凹状部17の底部において、搬送方向に向かって左右の隅部に剥離したカルパー粉粒剤が堆積し難い。
【0025】
凹状部17に収容された数粒の種子S(以下、「種子群G」という)は搬送ベルト11の移動に伴って種子繰出装置1の前端部まで搬送され一気に繰り出される(図6参照)。種子群Gは凹状部17に集中して収容されているため、繰り出しの際に補助凸部15の搬送方向と逆側の端部がストッパーとして機能し、種子Sの滑落を防ぐので、殆ど同時に全ての種子Sが繰り出されることになる。また、タイミングプーリ21は直径が小であるため、直径が大であるプーリを使用するのに比し回転数が高くなければならない。これにより繰り出しの際の角速度が大となるので繰り出しの斉一性が高まる。さらに、搬送ベルト11が回転する際の背ゴム部分の歪みが大きくなるため、凸部13及び補助凸部15の付け根部分に剥離したカルパー粉粒剤が堆積し難い。また、従来はブラシとコンベア又はロール間の摩擦によって運転中に被覆が剥離し易かったが、本実施例のブラシは搬送ベルト11の凸部13とのみ接するように設けられており、補助凸部15には接しないため、種子Sが搬送ベルト11とブラシとの間で擦られ難くなっている。
【0026】
繰り出された種子Sは、供給管65を介し回転体61の収容溝61aに流下され、該回転体61によって加速されて放出管67から水田に放出される。種子Sの繰り出しは播種作業車が20cm前進する毎に1回行われるよう同期させるのが好ましい。この場合、例えば毎秒8回の繰り出し回数であれば播種作業車が秒速160cmで移動できることになる。これは、従来の約2倍程度の作業速度となる。
【0027】
図7は繰り出し回数を変化させた場合における種子群Gの粒数を示したものである。横軸が1秒間あたりの繰り出し回数を表し、縦軸が1回に繰り出される粒数の平均値を表す。搬送ベルト11の取付角度を49°と一定にして試験した。繰り出し回数は、タイミングプーリ21の回転数によって変化させた。本実施例では、タイミングプーリ21の回転数が120rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は14cm/sであり繰り出し回数は4回/sとなる。同様に、回転数が150rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は17.5cm/sであり繰り出し回数は5回/s、回転数が180rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は21cm/sであり繰り出し回数は6回/s、回転数が210rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は24.5cm/sであり繰り出し回数は7回/s、回転数が240rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は28cm/sであり繰り出し回数は8回/s、回転数が270rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は31.5cm/sであり繰り出し回数は9回/s、回転数が360rpmのとき搬送ベルトの搬送速度は35cm/sであり繰り出し回数は10回/sとなる。なお、数値はそれぞれの繰り出し回数で100回の繰り出しを行ったものの平均値である。
【0028】
従来例の繰り出し回数の2倍以上の繰り出し回数である8回以上の場合、粒数が5〜6粒となり籾の点播に最適のものとなった。繰り出し回数が4回及び5回の場合は粒数が7粒以上と多くなっているが、実際の水田での作業において繰り出し回数が5回以下となる低速運転を行うのは枕地旋回の場合であり、このような枕地では稲の生育が芳しくないため通常より粒数が多いことは好ましい。
【0029】
図8は繰り出し回数を変化させた場合における種子群Gの間歇落下の割合を示したものである。横軸が1秒間あたりの繰り出し回数を表し、縦軸が間歇落下の割合を表す。間歇落下の割合は、全繰り出し回数における間歇落下に成功した回数の割合であり、先に繰り出された種子群と直後に繰り出された種子群との間にどちらにも属さない種子が繰り出された場合において、後に繰り出された種子群を間歇落下の失敗としてカウントした。繰り出し回数が4回〜10回までは間歇落下の割合が90%以上であり極めて高い確率で間歇落下を行うことができた。繰り出し回数が11回以上では間歇落下の割合が低下しているが、これは凸部13等によって種子Sが弾かれる確率が高くなるためである。
【0030】
図9は補助凸部15の有無による繰り出しの際の種子群Gの分散の程度を示したものである。横軸が1秒間あたりの繰り出し回数を表し、縦軸が繰り出された直後における種子群Gの最上部から最下部までの距離(mm)である。なお、数値はそれぞれの繰り出し回数で100回の繰り出しを行ったものの平均値である。いずれの繰り出し回数においても補助凸部15を設けたほうが分散が小であり、より点播に適していることが分かる。繰り出し回数が4回の場合に比し、6回以上では分散の程度が小であり略一定となっている。これは、繰り出し回数が6回以上になると1回に繰り出される粒数が安定するためであり、特に補助凸部15を設けたものについては凹状部17に集中して収容されるため分散の程度が極めて小となる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、各構成のサイズは適宜変更可能であり種子の種類や繰出粒数によっても変更されるものである。実施例においてはカルパーコーティングされた籾を5〜6粒繰り出すのに適したサイズを示したものである。
【0032】
また、搬送ベルトに設けられた凸部の形状について単純な板状の例を示したが、これに限られない。凸部は種子ホッパに収容された種子から所定粒数の種子を掻き上げる搬送できればよく、例えば搬送方向に向かって凹状であっても良い。
【0033】
また、1台の種子繰出装置につき1台の播種機を連動させる構成を示したが、複数の種子繰出装置及び播種機を連動させても良い。例えば、4台の種子繰出装置を連動させた場合において、本発明ではタイミングベルトとタイミングプーリとによって4台の繰り出しのタイミングを同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】種子繰出装置における種子繰出部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の側部断面図である。
【図3】種子繰出装置における種子ホッパの構成を示す斜視図である。
【図4】種子繰出装置と播種機とを組み合わせたときの側部断面図である。
【図5】図4のA部拡大図である。
【図6】図4のB部拡大図である。
【図7】種子繰出装置の試験結果を示すグラフである。
【図8】種子繰出装置の試験結果を示すグラフである。
【図9】種子繰出装置の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0035】
1…種子繰出装置、10…種子繰出部、11…搬送ベルト、13…凸部、15…補助凸部、21…タイミングプーリ、21a…回転軸、23…後輪、23a…回転軸、25…ガイド歯車、25a…回転軸、27…ガイドローラ、27a…回転軸、31…支持部材、40…種子ホッパ、41…種子収容部、43…切欠部、45…接触部、45a…曲線部、47…ブラシ取付部、49…、51…繰出管、53…筒状部材、60…播種機、61…回転体、62…回転軸、63…ケーシング、65…供給管、67…放出管、G…種子群、S…種子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子が収容される種子ホッパと、該種子ホッパから種子を搬送して繰り出す搬送ベルトとを有する種子繰出装置であって、
前記種子ホッパは収容された種子を排出するための種子排出部を有し、
前記搬送ベルトは、搬送方向の前方が後方に比し高く傾斜して設けられ、一定間隔ごとに前記種子排出部に臨む凸部を有することを特徴とする種子繰出装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトには、前記凸部間において、搬送方向の前方側に位置する前記凸部と密着し、搬送方向の後方側に位置する前記凸部と所定の間隙を有し、前記凸部より低い高さである補助凸部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の種子繰出装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトは無端状に形成された弾性体からなり、ローラ間に掛架されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の種子繰出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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